JP4292806B2 - 無端金属ベルトの組付け方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板片状の多数のエレメント(ブロックともいう)を互いに対面させて環状に配置し、それらのエレメントに金属バンドであるフープを通して各エレメントを環状に結束して構成した無端金属ベルトの組付け技術に関し、特に、無端金属ベルトにおけるエレメントのクリアランスを決定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、トランスミッションの変速比を車両の走行状況に応じて無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が搭載されることがある。このCVTは、エンジン出力を効率的に引き出すことが可能であり、燃費および走行性能の向上に優れる。実用化されたCVTの1つとして、金属ベルトと一対のプーリとを用いて、油圧によってプーリの有効径を変化させることで連続的に無段の変速を実現するものがある。無端金属ベルトが、入力軸に取付けられた入力側プーリおよび出力軸に取付けられた出力側プーリに巻き掛けられて使用される。入力側プーリおよび出力側プーリは、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブをそれぞれ備え、溝幅を変えることで、無端金属ベルトの入力側プーリおよび出力側プーリに対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸と出力軸との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0003】
この無端金属ベルトは、厚さの異なる複数の種類のエレメントを準備し、これら複数の種類のエレメントを予め定められた個数の比率でランダムに組合せることにより製造される。このような無端金属ベルトのエレメントは、金属板をファインブランキングして製造されるが、そのエレメントの厚さ、特にエレメントの左右のプーリ当接面の厚さは製品のロット毎に異なっている。すなわち、同一ロット内のエレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差には共通の特徴があり、ロット毎にエレメントの左側のプーリ当接面が右側のプーリ当接面よりも厚い場合と、右側のプーリ当接面が左側のプーリ当接面よりも厚い場合とがある。
【0004】
エレメントのプーリ当接面が入力側プーリあるいは出力側プーリのV面に係合しているとき、そのエレメントがヨーイングするとプーリ当接面の前後のエッジがプーリのV面にエッジコンタクトし、プーリのV面に異常摩耗が発生して変速特性や耐久性に悪影響が及ぶことになる。
【0005】
無端金属ベルトに含まれる多数のエレメントが全て同一ロットのものから構成されている場合、多数のエレメントが強い押し力で相互に密着すると、それぞれのエレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差が累積されるため、エレメントが大きくヨーイングしてプーリへの巻きつき部分において前記エッジコンタクトが発生する可能性がある。
【0006】
このような不具合は、左右のプーリ当接面の厚さの偏差が小さいエレメントだけを選択して使用すれば解決されるが、このようにするとエレメントの歩留りが低下してコストアップの要因となる問題が発生する。
【0007】
特開2001−280426公報(特許文献1)は、左右のプーリ当接面の厚さに偏差を有するエレメントを使用しても、プーリのV面との間にエッジコンタクトが発生しない製造方法を開示する。
【0008】
特許文献1に開示されたエレメントの組合せ方法は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体と、金属リング集合体に積層状態で支持された多数のエレメントとから構成され、入力側プーリおよび出力側プーリに巻き掛けられて両プーリ間で駆動力の伝達を行なう無段変速機用ベルトにおいて、エレメントの左右のプーリ当接面の厚さを測定するステップと、予め定められた個数のエレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差の総和が所定の範囲となるように予め定められた個数のエレメントを選択するステップと、選択したエレメントをランダムに組合せて金属リング集合体に組付けるステップとを含む。
【0009】
この組合せ方法によると、エレメントの左右のプーリ当接面の厚さを測定し、予め定められた個数のエレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差の総和が所定の範囲となるように、所定個数のエレメントを選択される。これらのエレメントがランダムに組合されて、金属リング集合体に組付けるので、入力側プーリの出口付近で強い押し力を受けたエレメントがヨーイングしても、そのプーリ当接面が入力側プーリのV面にエッジコンタクトするのが防止される。これにより、入力側プーリのV面の損傷を防止して耐久性の向上を図りながら、左右のプーリ当接面の厚さに偏差があるエレメントを使用することを可能として、エレメントの歩留りを向上させてコストダウンを図ることができる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−280426公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたエレメントの組合せ方法では、以下のような問題を解決していない。エレメントの左右方向以外の板厚、すなわちエレメントのピッチ線よりも外側の板厚とピッチ線上の板厚との板厚差が変化すると、無端金属ベルトの伝達効率が変化する。このため、特許文献1で言及していない、エレメントのピッチ線よりも外側の板厚とピッチ線上の板厚との板厚差によっては、無端金属ベルトのコストダウンを図れても、伝達効率が悪化するという問題が残る。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エレメントの板厚差に基づいて変動する伝達効率を向上させるように、エレメント間のクリアランスを決定して、無端金属ベルトを組付ける方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る無端金属ベルトの組付け方法は、幅方向の両側面をシーブ面に接触させる複数のエレメントを、その板厚方向に並べて環状のフープに通すことにより構成された無端金属ベルトを組付ける方法である。この方法は、エレメントのピッチ線よりも外側の板厚と、ピッチ線上の板厚との板厚差を測定する測定ステップと、予め導出され、板厚差に基づいてクリアランス設定値を算出できる関係マップと、測定された板厚差に基づいて、エレメント間のクリアランスを決定する決定ステップと、決定されたクリアランスとなるようにエレメントをフープに組付ける組付けステップとを含む。そして、上記関係マップは、良好な伝達効率が得られるような板厚差とクリアランスとの関係を予め導出したものである。そして、上記関係マップは板厚差が大きくなるとクリアランスが大きくなるという関係を示す。
【0014】
エレメントのピッチ線よりも外側の板厚と、ピッチ線上の板厚との上下板厚差をパラメータとして、エレメント間のクリアランスと伝達効率との間に所定の関係がある。第1の発明によると、決定ステップは、測定ステップにて測定された上下板厚差とこの所定の関係とに基づいて、伝達効率が最適になるようにエレメント間のクリアランスを決定する。組付けステップは、決定されたクリアランスとなるようにエレメントをフープに組付ける。その結果、エレメントの上下板厚差に基づいて変動する伝達効率を向上させるように、エレメントのクリアランスを決定して、無端金属ベルトを組付ける方法を提供することができる。
【0015】
第2の発明に係る無端金属ベルトの組付け方法においては、第1の発明の構成に加えて、測定ステップは、1本の無端金属ベルトに使用されるエレメントの全ての板厚差、1本の無端金属ベルトに組合される所定の個数のエレメントから任意に抽出したエレメントの板厚差、エレメントの製造ロット毎に抽出したエレメントの板厚差のいずれかを測定するステップを含む。
【0016】
第2の発明によると、測定ステップにおいて、上下板厚差が測定されるエレメントは、無端金属ベルト1本に使用されるエレメントの全て(たとえば400個)であったり、400個から任意に抽出したエレメントであったり、400個からエレメントの製造ロット毎に抽出したエレメントであったりする。測定対象のエレメントを抽出してその個数を少なくすることにより処理を迅速に行なうことができる。
【0017】
第3の発明に係る無端金属ベルトの組付け方法においては、第1または2の発明の構成に加えて、決定ステップは、測定された板厚差の平均値に基づいて、エレメント間のクリアランスを決定するステップを含む。
【0018】
第3の発明によると、上下板厚差の平均値に基づいて、クリアランスを決定できる。このため多数のエレメントの上下板厚差の傾向に応じてクリアランスを決定できる。
【0019】
第4の発明に係る無端金属ベルトの組付け方法においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、組付けステップは、決定されたクリアランスとなるように、エレメントの個数を決定して、決定された個数のエレメントをフープに組付けるステップを含む。
【0020】
第4の発明によると、フープの周長とクリアランスと基準エレメントの厚さとに基づいて、エレメントの個数を決定して、決定された個数のエレメントをフープに組付けることができる。
【0021】
第5の発明に係る無端金属ベルトの組付け方法においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、組付けステップは、決定されたクリアランスとなるように、予め準備した厚みの異なる2種類以上のエレメントの各個数を決定して、決定された個数のエレメントをフープに組付けるステップを含む。
【0022】
第5の発明によると、フープの周長とクリアランスと基準エレメントの厚さと調整用エレメントの厚さとに基づいて、基準エレメントおよび調整用エレメントの個数を決定して、決定された個数のエレメントをフープに組付けることができる。調整用エレメントを使うので、クリアランスを微調整できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
以下の説明では、多数のエレメントが互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部にフープを通して各エレメントが結束されて構成された無端金属ベルトおよびその無端金属ベルトを使用したベルト式無段変速機について説明する。
【0025】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る無端金属ベルトが用いられるベルト式無段変速機100について説明する。このベルト式無段変速機100においては、無端金属ベルト106が、入力軸200に取付けられた入力側プーリ220および出力軸300に取付けられた出力側プーリ320に巻き掛けられて使用される。
【0026】
入力側プーリ220および出力側プーリ320は、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブ108をそれぞれ備え、車両の走行状態に応じて制御される油圧回路により溝幅を変えることで、無端金属ベルト106の入力側プーリ220および出力側プーリ320に対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸200と出力軸300との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0027】
図2を参照して、無端金属ベルト106は、多数のエレメント102が互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部に環状の金属帯であるフープ104を通して各エレメント102が結束されて、図3に示すように、全体として、無端金属ベルト106が構成される。
【0028】
エレメント102の形状の一例を、図4および図5に示す。エレメント102の幅方向の両側の側面は、シーブ108におけるテーパ状のシーブ面110に接触する対シーブ摩擦面112であって、シーブ面110と一致するテーパ面とされている。その対シーブ摩擦面112を備えた基体部分114の幅方向での中心部に、図4での上側に延びた首部116が形成され、その首部116が、左右に広がった頂部118につながっている。その左右に広がった頂部118と基体部分114との間にスリットが形成されており、この左右2つのスリットの部分にフープ104が通されている。そして、基体部分114におけるフープ104が接触する面がサドル面120となっている。
【0029】
このサドル面120の高さは、基体部分114を横切るピッチ線Pからの寸法で表わされる。また、エレメント102の幅は、ピッチ線P上の寸法で表わされる。なお、頂部118のうち首部116の延長位置には、一方の面側に凸となり、他方の面側では凹となったディンプル・ホール122が形成されており、互いに隣接するエレメント102のディンプル・ホール122が互いに嵌合するようになっている。なお、ディンプル・ホール122の凸部を有する面がエレメントの表面、凹部を有する面がエレメントの裏面である。
【0030】
図4に示すように、サドル面120は上に凸の曲面形状を有する。この曲面形状に沿ってフープ104が当接している。
【0031】
無端金属ベルト106は、1対のシーブ108の間に挟み付けられて使用される。その場合、シーブ面110および対シーブ摩擦面112がテーパ面であるために、各エレメント102には、シーブ108による挟圧力により半径方向での外側に荷重が作用するが、各エレメント102がフープ104によって結束されているので、フープ104の張力により半径方向での外側への移動が規制される。その結果、シーブ面110と対シーブ摩擦面112との間に摩擦力が生じ、あるいは油膜の剪断力が生じてシーブ108と無端金属ベルト106との間でトルクが伝達される。
【0032】
フープ104は、図2および図4に示すように、9〜12層のリングを積層して形成される(ただし、図2および図4では9〜12層ではなく3層として表わしている)。このとき、板幅が順に小さくなるように積層される。この場合、下層のリングほど、周長が短く板幅が大きく、上層のリングほど、周長が長く板幅が小さくなる。
【0033】
図2および図3に示すように、無端金属ベルト106は、フープ104に多数のエレメント102を組合せて製造される。このフープ104に組合される所定の個数(たとえば400個)のエレメント間にはクリアランスが存在する。すなわち、無端金属ベルト106を円状にして、互いのエレメント102を密接させていくと、1番目のエレメント102と400番目のエレメント102とのあいだに隙間が生じる。この隙間がエレメント間のクリアランスである。このクリアランスを、エレメント102における上下方向の板厚差(図4および図5におけるエレメント102のピッチ線Pよりも上側の板厚とピッチ線P上の板厚との板厚差)に応じて設定しないと、無端金属ベルト106の伝達効率が低下する。通常、エレメント102は、ピッチ線Pよりも上側の板厚が、ピッチ線P上の板厚よりもやや厚くなるように製造される。
【0034】
エレメント102の上下方向の板厚差が大きすぎる場合には、無端金属ベルト106が入力側プーリ220および出力側プーリ320に巻付けられて走行する際、その直線部において、伝達されるトルクにより回転中心から外側への力が発生して、フープ間の摩擦やフープ104とエレメント102との摩擦が増加してエネルギロスが発生し、伝達効率が低下する。そのため、エレメント間のクリアランスがある程度まで大きくないと、伝達効率が低下する。一方、エレメント間のクリアランスがある程度よりも大きいと、プーリ部において、クリアランスがあることによりシーブ面110と対シーブ摩擦面112との滑りが発生し回転ロスになり、伝達効率が低下する。すなわち、板厚差に対してクリアランスが小さ過ぎるとロスが大きくなって直線部におけるエネルギロスが発生し、板厚差に対してクリアランスが大き過ぎるとロスが大きくなってプーリ部におけるエネルギロスが発生する。
【0035】
図6に示すような3種類の上下板厚差のエレメント102である場合、図7に示すような伝達効率になる。図6は、無端金属ベルト106を構成する、たとえば400個のエレメント102の上下板厚差の平均値であったり、400個から任意に抽出したエレメント102の上下板厚差の平均値であったり、400個からエレメント102の製造ロット毎に抽出したエレメント102の上下板厚差の平均値であったりする。図7は、クリアランスと伝達効率との関係を、エレメント102の上下板厚差をパラメータとして表わしたものである。図7に示すように、板厚差の大小によって、良好な伝達効率を実現するクリアランス領域が異なる。たとえば、図6に示す上下板厚差の平均値が「B」である場合には、図7に示すクリアランスの領域が最適なクリアランス領域になる。
【0036】
本実施の形態に係る無端金属ベルトの組付け方法においては、エレメント102の上下方向の板厚差を算出し、その板厚差に基づいて、最適なクリアランスを決定して、フープ104に多数のエレメント102を組合せて無端金属ベルト106を製造する。
【0037】
図8に、無端金属ベルト106のエレメント間のクリアランス決定処理を実行して無端金属ベルト106を製造するために用いられる装置の一例であるコンピュータシステムの外観を示す。図8を参照して、このコンピュータシステム1000は、FD(Flexible Disk)駆動装置1060およびCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)駆動装置1080を備えたコンピュータ1020と、モニタ1040と、キーボード1100と、マウス1120とを含む。
【0038】
図9に、このコンピュータシステム1000の構成をブロック図形式で示す。図9に示すように、コンピュータ1020は、上記したFD駆動装置1060およびCD−ROM駆動装置1080に加えて、相互にバスで接続されたCPU(Central Processing Unit)1200と、メモリ1220と、固定ディスク1240とを含む。FD駆動装置1060にはFD1160がセットされる。CD−ROM駆動装置1080にはCD−ROM1180がセットされる。
【0039】
本発明に係るクリアランス決定処理は、コンピュータハードウェアとCPU1200により実行されるソフトウェアとにより実現される。一般的にこうしたソフトウェアは、FD1160、CD−ROM1180などの記録媒体に格納されて流通し、FD駆動装置1060またはCD−ROM駆動装置1080などにより記録媒体から読取られて固定ディスク1240に一旦格納される。さらに固定ディスク1240からメモリ1220に読出されて、CPU1200により実行される。図8および図9に示したコンピュータのハードウェア自体は一般的なものである。したがって、本発明の特徴的な部分は、FD1160、CD−ROM1180、固定ディスク1240の記録媒体に記憶されたソフトウェアにより実現されるクリアランス決定処理である。
【0040】
なお、図8および図9に示したコンピュータ自体の動作は周知であるので、ここではその詳細な説明は繰返さない。
【0041】
図10に、固定ディスク1240に記憶される上下板厚差とクリアランス設定値との関係マップを示す。図10に示すようにこのマップは、エレメント102の上下板厚差に基づいて、クリアランス設定値が算出できるように構成される。
【0042】
図11を参照して、無端金属ベルト106のエレメント間のクリアランス決定処理は、以下のような制御構造を有する。
【0043】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100で、CPU1200は、無端金属ベルト106のエレメント102の上下板厚差を、固定ディスク1240に記憶する。このとき、上下板厚差が記憶されるエレメント102は、無端金属ベルト106の1本に使用されるエレメント102の数(たとえば400個)であったり、400個から任意に抽出したエレメント102の数であったり、400個からエレメント102の製造ロット毎に抽出したエレメント102の数であったりする。
【0044】
S200にて、CPU1200は、S100にて記憶された上下板厚差の平均値を算出する。このとき、算出される平均値は、400個のエレメント102の上下板厚差の平均値であったり、400個から任意に抽出したエレメント102の上下板厚差の平均値であったり、400個からエレメント102の製造ロット毎に抽出したエレメント102の上下板厚差の平均値であったりする。
【0045】
S300にて、CPU1200は、S200にて算出した上下板厚差の平均値と図10に示したマップとに基づいて、最適なクリアランス設定値を算出する。S400にて、CPU1200は、このエレメント102を組付けるフープの周長を読出す。この周長は、予め固定ディスク1240に記憶されている。S500にて、CPU1200は、読出したフープ周長と算出したクリアランス設定値とに基づいて、このフープに組付ける、基準厚さのエレメント102の数と厚み調整用のエレメント102の数とを算出する。すなわち、エレメント102の総厚みとフープ周長の差がクリアランスであるので、この差がクリアランス設定値になるように、エレメント102の数が決定される。
【0046】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る無端金属ベルトの製造方法の動作について説明する。
【0047】
作業者が、無端金属ベルト106を構成するフープの周長を、予め測定しておいて、キーボード1100から入力する。作業者が、無端金属ベルト106を構成するエレメント102の製造ロット毎の上下板厚差を、キーボード1100から入力する。キーボード1100から入力されたこれらの値は、固定ディスク1240に記憶される(S100)。上下板厚差の平均値が算出され(S200)、算出された平均値から図10に示すマップを用いてクリアランス設定値が算出される(S300)。
【0048】
固定ディスク1240から、これらのエレメント102を組付けるフープの周長が読み出されて(S400)、周長とクリアランスとから、このフープに組付ける基準厚さのエレメント数と厚み調整用のエレメント数とを算出する(S500)。
【0049】
算出された基準厚さのエレメント数と厚み調整用のエレメント数とに基づいて、フープにエレメント102が組付けられる。
【0050】
以上のようにして、製造された無端金属ベルトにおいて、エレメント間のクリアランスは、エレメントの上下板厚差によって決定されたものである。この決定においては、エレメントの上下板厚差をパラメータとして、クリアランスと伝達効率との関係に基づいて、伝達効率を向上させるように、クリアランスが決定される。その結果、伝達効率の良好な無端金属ベルトを組付ける方法を提供することができる。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る無端金属ベルトを用いたベルト式無段変速機の断面図である。
【図2】 無端金属ベルトを説明するための部分斜視図である。
【図3】 無端金属ベルトの全体構成を示す斜視図である。
【図4】 エレメントの正面図である。
【図5】 エレメントの側面図である。
【図6】 上下板厚差と示す図である。
【図7】 クリアランスと伝達効率との関係を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態にクリアランス決定処理を実行するコンピュータシステムの外観図である。
【図9】 図8に示すコンピュータシステムの制御ブロック図である。
【図10】 上下板厚差とクリアランスとの関係を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態に係るクリアランス決定処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 無段変速機、102 エレメント、104 フープ、106 無端金属ベルト、108 シーブ、110 シーブ面、112 対シーブ摩擦面、114 基体部分、116 首部、118 頂部、120 サドル面、122 ディンプル・ホール、124 傾斜面、200 入力軸、220 入力側プーリ、300 出力軸、320 出力側プーリ、1000 コンピュータシステム、1020 コンピュータ、1040 モニタ、1060 FD駆動装置、1080 CD−ROM駆動装置、1100 キーボード、1120 マウス、1200 CPU、1220 メモリ、1240 固定ディスク。

Claims (5)

  1. 幅方向の両側面をシーブ面に接触させる複数のエレメントを、その板厚方向に並べて環状のフープに通すことにより構成された無端金属ベルトの組付け方法であって、
    前記エレメントのピッチ線よりも外側の板厚と、前記ピッチ線上の板厚との板厚差を測定する測定ステップと、
    予め導出され、板厚差に基づいてクリアランス設定値を算出できる関係マップと、測定された板厚差に基づいて、前記エレメント間のクリアランスを決定する決定ステップと、
    決定されたクリアランスとなるように前記エレメントを前記フープに組付ける組付けステップとを含
    前記関係マップは、良好な伝達効率が得られるような板厚差とクリアランスとの関係を予め導出したものであり、前記関係マップは前記板厚差が大きくなると前記クリアランスが大きくなるという関係を示す、無端金属ベルトの組付け方法。
  2. 前記測定ステップは、1本の前記無端金属ベルトに使用される前記エレメントの全ての板厚差、1本の前記無端金属ベルトに組合される所定の個数の前記エレメントから任意に抽出した前記エレメントの板厚差、前記エレメントの製造ロット毎に抽出した前記エレメントの板厚差のいずれかを測定するステップを含む、請求項1に記載の無端金属ベルトの組付け方法。
  3. 前記決定ステップは、前記測定された板厚差の平均値に基づいて、前記エレメント間のクリアランスを決定するステップを含む、請求項1または2に記載の無端金属ベルトの組付け方法。
  4. 前記組付けステップは、決定されたクリアランスとなるように、前記エレメントの個数を決定して、前記決定された個数のエレメントを前記フープに組付けるステップを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の無端金属ベルトの組付け方法。
  5. 前記組付けステップは、決定されたクリアランスとなるように、予め準備した厚みの異なる2種類以上のエレメントの各個数を決定して、前記決定された個数のエレメントを前記フープに組付けるステップを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の無端金属ベルトの組付け方法。
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