JP4291682B2 - バリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、食品や医療品等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料、基板材料として用いられるバリア性の極めて高いバリアフィルムの製造方法に関する。
従来より、酸素ガスおよび水蒸気等に対するバリア性を備え、食品や医薬品等の良好な保存適性を有する包装用材料として、種々のものが開発され提案されており、例えば、可撓性プラスチック基材の上にポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体のコーテンィグ層を設けた構成からなるバリアフィルムが提案されている。
しかし、これらのバリアフィルムにおいては、酸素、水蒸気に対するバリア性が十分でなく、特に高温での殺菌処理においてバリア性の著しい低下が生じるという問題があった。さらに、ポリ塩化ビニリデンのコーティング層を設けたバリアフィルムは、焼却時に有毒なダイオキシンを発生し、環境への悪影響が懸念されている。
そこで、近年、基材フィルムの上に酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜を設けた構成からなるバリアフィルムが提案されている。例えば、無機窒化酸化珪素膜からなるバリア層を備えたバリアフィルムの製造方法として、窒素ガスの存在下でイオンプレーティング法により成膜する製造方法(特許文献1)がある。
特開平2000−15737号公報
しかしながら、従来のイオンプレーティング法による窒化酸化珪素膜の成膜では、成膜チャンバー内に供給される窒素ガスによってプラズマ放電圧の低下が生じ、これにより必要なプラズマ放電が維持できず、成膜される窒化酸化珪素膜の緻密性が低下し、高いバリア性(例えば、酸素透過率が0.1cc/m2/day以下、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下)が得られないという問題があった。また、成膜された窒化酸化珪素膜の柔軟性が低く、種々の加工適性、耐久性が不十分であるという問題もあった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、極めて高いガスバリア性を有し、透明性が高く、柔軟性、耐候性にも優れ、かつ、種々の後加工適性に必要な耐熱性、耐薬品性を有するバリアフィルムをより高い生産性で製造可能な製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、基材フィルム上にバリア層を備えたバリアフィルムの製造方法において、酸化珪素または窒化珪素を成膜材料とし、分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物ガスと窒素ガスの存在下で、前記有機珪素化合物ガスの供給量A(sccm)と窒素ガスの供給量B(sccm)の間にA>B/(有機珪素化合物ガス1分子あたりに含まれるSi−CH3結合数)>1の関係が成立するようにイオンプレーティング法により窒化酸化炭化珪素膜を基材フィルム上に形成してバリア層とするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記有機珪素化合物ガスの供給量Aは0.01〜20slmの範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記有機珪素化合物はヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチルシラン、および、ヘキサメチルジシラザンのいずれかであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記イオンプレーティング法は、ホローカソード型イオンプレーティング法であるような構成とした。
本発明の他の態様として、予め樹脂層を前記基材フィルムに設け、該樹脂層上に前記バリア層を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基材フィルム上に前記バリア層を形成し、該バリア層上に平滑性を有する樹脂層および/またはゾルゲル層を形成するような構成とした。
本発明によれば、窒化酸化炭化珪素膜からなるバリア層の成膜時に、窒素ガスによるプラズマ放電圧の低下が生じるが、窒素ガスとともに存在する分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物ガスによってプラズマ放電圧が増大され、上記の窒素ガスによるプラズマ放電圧の低下が打ち消されてプラズマ放電圧が安定し、成膜された窒化酸化炭化珪素膜は緻密なものとなり、かつ、上記の有機珪素化合物の炭素が窒化酸化炭化珪素膜中に取り込まれるので柔軟なものとなり、さらに、プラズマ中で有機珪素化合物ガスが−SiCH3フラグメントや−CH3フラグメントに適度の分解されることで、成膜性が良くなり、無機材料と有機材料(例えば、バリア層とプラスチック基材フィルム)間の密着性が向上し、これにより、極めて高いバリア性を有し、透明性が高く、柔軟性、耐候性にも優れ、かつ、種々の後加工適性に必要な耐熱性、耐薬品性を有するバリアフィルムが可能となる。そして、製造されたバリアフィルムは、極めて高いガスバリア性と耐熱性、耐薬品性、耐候性が要求される用途、例えば、食品や医薬品等の包装材料、電子デバイス等のパッケージ材料等に好ましく用いることができる。
次に、本発明の実施形態について説明する。
本発明のバリアフィルムの製造方法は、酸化珪素または窒化珪素を成膜材料とし、分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物ガスと窒素ガスの存在下でイオンプレーティング法により窒化酸化炭化珪素膜を基材フィルム上に形成してバリア層とするものである。イオンプレーティング法としては、ホローカソード型イオンプレーティング法、ホローアノード型イオンプレーティング法等を使用することができる。また、本発明では、成膜時の有機珪素化合物ガスと窒素ガスの供給を、有機珪素化合物ガスの供給量A(sccm)と窒素ガスの供給量B(sccm)の間にA>B/(有機珪素化合物ガス1分子あたりに含まれるSi−CH3結合数)>1の関係が成立するように設定する。
このような本発明では、成膜時に存在する分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物ガスは、プラズマによる自身の分解性は悪いが、プラズマ放電圧を上げる作用をなし、これにより窒素ガスによるプラズマ放電圧の低下が打ち消されてプラズマ放電圧が安定する。また、プラズマ中で有機珪素化合物ガスが−SiCH3フラグメントや−CH3フラグメントへ適度の分解されることで、成膜性が良くなり、無機材料と有機材料(例えば、バリア層とプラスチック基材)間の密着性が向上する。
有機珪素化合物ガスの供給量Aが上記の関係から外れて少ない場合、プラズマ放電圧の低下が生じ易く、必要なプラズマ放電が維持できず、成膜される窒化酸化珪素膜の緻密性低下が見られる。また、有機珪素化合物ガスの供給量Aが上記の関係から外れて多い場合、成膜圧力が高くなり膜質悪化が生じ、形成される膜のガスバリア性が悪くなるか、または、成膜圧力が維持できたとしても、成膜ガスの排気能力を大幅に増強した装置が必要となり、装置コストが上昇することになる。
また、本発明では、有機珪素化合物ガスの供給量Aは0.01〜20slm、好ましくは0.05〜1slmの範囲内とすることができる。有機珪素化合物ガスの供給量Aが0.01slm未満であると、有機珪素化合物の炭素が窒化酸化炭化珪素膜中に取り込まれる量が少なく、柔軟性を備えた窒化酸化炭化珪素膜が得にくく、20slmを超えると、成膜圧力が高くなり膜質悪化が生じ、形成される膜のガスバリア性が悪くなるか、または、成膜圧力が維持できたとしても、成膜ガスの排気能力を大幅に増強した装置が必要となり、装置コストが上昇することになる。
本発明で使用する成膜材料は、SiOx(xは1.0〜2.0の範囲)で示される酸化珪素、および、SiNx(xは1.00〜1.33の範囲)で示される窒化珪素を挙げることができる。また、本発明で使用する有機珪素化合物としては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等の分子構造にSi−CH3結合、Si−C25結合を有する材料を挙げることができる。尚、本発明では、有機珪素化合物ガス、窒素ガス以外の添加ガスとして酸素ガス、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、一酸化二窒素等を適宜使用することができる。
本発明のバリアフィルムの製造方法では、窒化酸化炭化珪素膜の成膜時に、窒素ガスによるプラズマ放電圧の低下が生じるが、窒素ガスとともに存在する分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物ガスによってプラズマ放電圧が増大される。これにより、窒素ガスによるプラズマ放電圧の低下が打ち消されて成膜時のプラズマ放電圧が安定し、緻密な窒化酸化炭化珪素膜の成膜が可能となる。また、有機珪素化合物の炭素が窒化酸化炭化珪素膜中に取り込まれるので、成膜された窒化酸化炭化珪素膜は柔軟なものとなる。
本発明により成膜した窒化酸化炭化珪素膜からなるバリア層の厚みは、5〜500nm、好ましくは10〜200nmの範囲で適宜設定することができる。バリア層の厚みが5nm未満であると、極めて高いバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下程度を指す)を発現できない。また、バリア層の厚みが500nmを超えると、応力が大きくかかり、基材フィルムがフレキシブルな場合、バリア層にクラックが生じ易くバリア性が低下するとともに、成膜に要する時間が長くなり好ましくない。
尚、本発明により成膜される窒化酸化炭化珪素膜は、元素数比がSi:O:N:C=100:80〜150:30〜80:30〜150の範囲にあることが好ましい。上記の元素数比は光電子分光(ESCA)法により測定することができる。
本発明で使用する基材フィルムは、窒化酸化炭化珪素膜を保持し得るフィルムであれば特に制限はなく、バリアフィルムの使用目的等から適宜選択することができる。具体的には、基材フィルムとしてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物;ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルブチラート樹脂;ポリアリレート樹脂;エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリサルホン樹脂;ポリエーテルサルホン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の延伸(一軸ないし二軸)または未延伸の可撓性透明樹脂フィルムを用いることができる。基材フィルムの厚さは、5〜500μm、好ましくは10〜100μmの範囲内で適宜設定することができる。
図1は本発明のバリアフィルムの製造方法により製造されるバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。図1において、バリアフィルム1は基材フィルム2と、この基材フィルム2の一方の面に形成されたバリア層3とを備えている。尚、本発明のバリアフィルム1は、基材フィルム2の両面にバリア層3を備えるものでもよい。
また、図2はバリアフィルムの他の例を示す概略断面図である。図2において、バリアフィルム11は基材フィルム12と、この基材フィルム12の一方の面に樹脂層14を介して形成されたバリア層13とを備えている。尚、本発明のバリアフィルム11は、基材フィルム12の両面に樹脂層14とバリア層13を積層するものでもよい。また、樹脂層14とバリア層13との積層を2回以上繰り返して形成してもよい。
また、図3はバリアフィルムの他の例を示す概略断面図である。図3において、バリアフィルム21は基材フィルム22と、この基材フィルム22の一方の面にバリア層23と樹脂層24とがこの順に積層されて設けられている。尚、本発明のバリアフィルム21は、基材フィルム22の両面にバリア層23と樹脂層24をこの順に積層するものでもよい。また、バリア層23と樹脂層24との積層を2回以上繰り返して形成してもよい。
上記のバリアフィルム11を構成する樹脂層14は、基材フィルム12とバリア層13との密着性を向上させ、かつ、バリア性も向上させるためのものである。また、バリア層23を被覆する樹脂層24は、保護膜として機能して耐熱性、耐薬品性、耐候性をバリアフィルム21に付与するとともに、バリア層23に欠損部位があっても、それを埋めることによりバリア性を向上させるためのものである。
このような樹脂層は、ポリアミック酸、ポリエチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等の市販の樹脂材料、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類との重合体である高分子量エポキシ重合体を含有する硬化性エポキシ樹脂、および、上述の基材フィルムに使用する樹脂材料、後述の積層材に使用するアンカーコート剤、接着剤、ヒートシール性樹脂材料等の1種、または、2種以上の組み合わせにより形成することができる。樹脂層の厚みは、使用する材料により適宜設定することが好ましいが、例えば、5nm〜5×105nm程度の範囲で設定することができる。
また、本発明では、樹脂層に平均粒径が0.8〜5μmの範囲にある非繊維状の無機充填材を含有させることができる。使用する非繊維状の無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、アルミナ、マグネシア、シリカ、二酸化チタン、クレイ等を挙げることができ、特に焼成されたクレイが好ましく使用できる。このような無機充填材は、樹脂層の10〜60体積%、好ましくは25〜45体積%の範囲で含有させることができる。
さらに、本発明では、樹脂層24を平滑性を有する樹脂層とし、この樹脂層上に平滑性を有するゾルゲル層を設けてもよく、あるいは、バリア層23上に平滑性を有するゾルゲル層を介して平滑性を有する樹脂層24を設けてもよく、あるいは、バリア層23上に平滑性を有するゾルゲル層のみを設けてもよい。
このような樹脂層は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の樹脂材料中から、基材フィルムにコーティング後、加熱、紫外線照射、電子線照射等により硬化処理を施して硬化させたときに、透明で平坦な面が得られる樹脂材料を使用して形成することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、メチルフタレート単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリ(−4−メチルペンテン−1)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、これらをポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、多官能性アクリレート化合物等で変性したものや、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリエチレン/エポキシ樹脂、架橋ポリエチレン/シアナート樹脂、ポリフェニレンエーテル/エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル/シアナート樹脂等の熱可塑性樹脂で変性した熱硬化性樹脂等を挙げることができる。また、上記に挙げた樹脂を複数種併用してもよい。
また、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物や、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂化合物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記で挙げたような樹脂組成物の混合物を用いることも可能である。
樹脂層の形成方法に関しては、特に制限されるものではなく、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップ法、ロールコート法、蒸着法等のいずれであってもよい。上述のような熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、いずれの樹脂層においても、成膜性向上およびピンホール防止等を目的として、適切な樹脂や添加剤を併用してもよい。さらに、樹脂層を形成する際には、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な希釈溶剤に樹脂を溶解または分散させて薄膜を形成するが、使用する溶剤はいずれであってもよい。樹脂層の厚みは、薄すぎるとピンホールや突起を埋めるに際して適さず、また、厚すぎると生産性やコスト面が悪化するため、例えば、0.5〜15μm程度の範囲が好ましい。
上記のゾルゲル層は、例えば、特許第2556940号に開示されているように、アルコキシシラン、シランカップリング剤、ポリビニルアルコールを含有する組成物を、ゾルゲル法によって重縮合して形成することができる。また、特許第3387814号に開示されているように、アルコキシシランとアミノ基含有有機化合物または(メタ)アクリル系重合物を用い、加水分解縮合により形成することができる。このようなゾルゲル層の厚みは、薄すぎるとピンホールや突起を埋めるに際して適さず、また、厚すぎると生産性やコスト面が悪化するため、例えば、0.5〜15μm程度の範囲が好ましい。
このような樹脂層やゾルゲル層が設けられたバリアフィルムは、その表面平均粗さRaが6nm以下、好ましくは0.1〜2nm、最大高低差P−Vが60nm以下、好ましくは0.1〜10nmであることが望ましい。バリアフィルムがこのような平滑性を有することにより、突起部でのガス透過がなく、ガスバリア性が著しく向上する。また、表面に突起部がなく平滑なため、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、種々の用途に展開することが可能となる。
尚、表面平均粗さの測定は、原子間力顕微鏡(Nanopics1000:セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、清浄表面を非接触モードで測定し、表面平均粗さRa(スキャンエリア=4μm平方)および最大高低差P−V(スキャンエリア=100μm平方)を測定する。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(バリアフィルムの作製)
基材フィルムとして幅30cmの巻取り状の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製 PETフィルムA4100、厚み100μm、)を準備し、この基材フィルムの易接着面と反対側の面を被成膜面として、図4に示すような圧力勾配型プラズマガンを備えた巻取り式のホローカソード型イオンプレーティング装置31のチャンバー32内に装着した。このイオンプレーティング装置31は、真空チャンバー32と、この真空チャンバー32内に配設された基材フィルムの供給ロール33a、巻き取りロール33b、コーティングドラム34、バルブを介して真空チャンバー32に接続された真空排気ポンプ35と、仕切り板39,39で真空チャンバー32と仕切られた成膜チャンバー36、この成膜チャンバー36内の下部に配設された坩堝37、アノード磁石38、成膜チャンバー36の所定位置(図示例では成膜チャンバーの右側壁)に配設された圧力勾配型プラズマガン40、収束用コイル41、シート化磁石42、圧力勾配型プラズマガン40へのアルゴンガスの供給量を調整するためのバルブ43、成膜チャンバー36にバルブを介して接続された真空排気ポンプ44、窒素ガスの供給量を調整するためのバルブ45、酸素ガスの供給量を調整するためのバルブ46、および、モノマー流量計48と気化器49を介して成膜チャンバー36に接続された有機珪素化合物供給源47とを備えている。
次に、酸化珪素(SiOx(xは1.0))を成膜材料として坩堝37に搭載した。この成膜材料と基材フィルムとの距離(TS距離)は70cmに設定した。
次に、成膜時の添加ガスとして酸素ガス(大陽東洋酸素(株)製(純度99.9995%以上))、窒素ガス(大陽東洋酸素(株)製(純度99.9999%以上))、および、アルゴンガス(大陽東洋酸素(株)製(純度99.9999%以上))を準備した。さらに、分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物原料として、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)(東レ・ダウ・コーニングシリコーン(株)製SH200 0.65cSt)を準備した。
次に、チャンバー32,36内を、真空排気ポンプ35,44により到達真空度1.0×10-4Paまで減圧した。次いで、チャンバー36内に窒素ガスを流量100sccmで導入し、同時に、HMDSOを気化させ、モノマー流量20sccm導入した。この状態でのHMDSOガスの供給量Aは20sccmであり、窒素ガスの供給量Bは100sccmであり、両者の供給量A、Bの間にはA>B/(有機珪素化合物ガス1分子あたりに含まれるSi−CH3結合数)>1の関係が成立した。
次いで、真空排気ポンプとチャンバーとの間にあるバルブの開閉度を制御することにより、チャンバー内圧力を1.0×10-1Paに保ち、基材フィルムを走行させた。そして、アルゴンガスを流量15sccmで導入した圧力勾配型プラズマガン40にプラズマ生成のための電力を4kW投入し、アノード磁石38上の坩堝37にプラズマ流を収束させて照射することにより成膜材料を蒸発させ、高密度プラズマにより蒸発分子をイオン化させて、基材フィルム上に窒化酸化炭化珪素膜からなるバリア層を形成して、バリアフィルム(実施例1)を得た。基材フィルムの走行速度は、形成される窒化酸化炭化珪素膜の膜厚が150nmとなるように設定した。尚、sccmとは、standard cubic centimeter per minuteの略であり、以下の実施例、比較例においても同様である。
上記のように形成した窒化酸化珪素膜の成分を下記の条件で測定し、結果を下記の表1に示した。
窒化酸化珪素膜の成分測定
ESCA(英国 VG Scientific社製 ESCA LAB220i−
XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300
Kcps〜1McpsとなるモノクロAlX線源、および、直径約1mmのスリッ
トを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で
行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のESCA装置に付属され
たソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、C:1s、
O:1s、N:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。
このとき、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク
面積に各元素の感度係数補正(C=1に対して、Si=0.817、O=2.930、
N=1.800)を行い、原子数比を求めた。得られた原子数比について、Si原
子数を100とし、他の成分であるOとNとCの原子数を算出して成分割合とした。
また、上記のように形成した窒化酸化珪素膜の膜密度を下記の条件で測定し、結果を下記の表1に示した。
膜密度の測定
X線反射率測定装置(理学電機(株)製ATX−E)を用いて以下のように測定し
た。すなわち、X線源として18kWのX線発生装置、CuターゲットによるCu
Kaの波長λ=1.5405Åを使用し、モノクロメーターには、放物面人工多層
膜ミラーとGe(220)モノクロ結晶を使用した。また、設定条件として、スキ
ャン速度:0.1000°/分、サンプリング幅:0.002°、走査範囲:0〜
4.0000°に設定した。そして、基板ホルダーにサンプルをマグネットにより
装着し、装置の自動アライメント機能により0°位置調整を行った。その後、上記
設定条件により反射率を測定した。得られた反射率測定値について、上述のX線反
射率測定装置に付属の解析ソフト(RGXR)を使用して、フィッティングエリア
:0.4°〜4.0°の条件で解析を行った。その際、フィッティング初期値とし
て、薄膜の元素比(Si:N=3:4)を入力した。反射率を非線形最小二乗法に
よりフィッティングし、膜密度を算出した。
さらに、上記のように作製したバリアフィルム(実施例1)について、下記の条件で柔軟性を測定して、結果を下記の表1に示した。
柔軟性の測定
バリアフィルムの柔軟性測定は、サンプルを100mm幅、120mm長で用意し、
サンプルの長さ方向で距離が100mmとなる2点を支持点として長さ方向に105
mmとなるまで引張り、この状態を10秒間保持した後、引張り負荷を解除した。
その後、このサンプルのバリア性を後述の条件で測定し、初期状態のバリア性と比
較した。引張り負荷をかける前のバリア性がほぼ維持されたサンプルは柔軟性があ
ると判断し、○表示で示した。
次に、成膜条件(HMDSOガスの供給量A、窒素ガスの供給量B)を下記の表1に示されるように設定した他は、上記の実施例1と同様にして窒化酸化炭化珪素膜を形成してバリアフィルム(実施例2〜3、比較例1〜3)を作製した。これらのバリアフィルムの窒化酸化炭化珪素膜について、その成分、膜密度を実施例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。また、バリアフィルムの柔軟性を実施例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(バリア性の測定)
上述のように作製したバリアフィルム(実施例1〜3、比較例1〜3)について、下記の条件で酸素透過率および水蒸気透過率を測定して、結果を下記の表1に示した。
酸素透過率の測定
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/20)を用いて、
温度23℃、湿度90%RH、バックグラウンド除去測定を行うインディヴィジュ
アルゼロ(Individual Zero)測定ありの条件で測定した。
水蒸気透過率の測定
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN−W 3/31)を
用いて、温度40℃、湿度100%RHで測定した。
Figure 0004291682
表1に示されるように、実施例1〜3はバリア層である窒化酸化炭化珪素膜の膜密度が高く、優れたバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下程度を指す)を有することが確認された。また、実施例1〜3は良好な柔軟性を有することが確認された。
これに対して、比較例1〜3はバリア性、柔軟性が実施例1〜3に比べて悪いものであった。
バリア性が要求される食品や医療品等の包装材料、電子デバイス等のパッケージ材料、基板材料として利用可能である。
本発明のバリアフィルムの製造方法により製造されるバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明のバリアフィルムの製造方法により製造されるバリアフィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明のバリアフィルムの製造方法により製造されるバリアフィルムの他の例を示す概略断面図である。 実施例において使用したホローカソード型イオンプレーティング装置の構成を示す図面である。
符号の説明
1,11,21…バリアフィルム
1,12,22…基材フィルム
3,13,23…バリア層
14,24…樹脂層
31…ホローカソード型イオンプレーティング装置
32…真空チャンバー
33a…供給ロール
33b…巻き取りロール
34…コーティングドラム
35…真空排気ポンプ
36…成膜チャンバー
37…坩堝
38…アノード磁石
39…仕切り板
40…圧力勾配型プラズマガン
41…収束用コイル
42…シート化磁石
43,45,46…バルブ
44…真空排気ポンプ
47…有機珪素化合物供給源
48…モノマー流量計
49…気化器

Claims (6)

  1. 基材フィルム上にバリア層を備えたバリアフィルムの製造方法において、
    酸化珪素または窒化珪素を成膜材料とし、分子内に炭素−珪素結合をもつ有機珪素化合物ガスと窒素ガスの存在下で、前記有機珪素化合物ガスの供給量A(sccm)と窒素ガスの供給量B(sccm)の間にA>B/(有機珪素化合物ガス1分子あたりに含まれるSi−CH3結合数)>1の関係が成立するようにイオンプレーティング法により窒化酸化炭化珪素膜を基材フィルム上に形成してバリア層とすることを特徴とするバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記有機珪素化合物ガスの供給量Aは0.01〜20slmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のバリアフィルムの製造方法。
  3. 前記有機珪素化合物はヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチルシラン、および、ヘキサメチルジシラザンのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバリアフィルムの製造方法。
  4. 前記イオンプレーティング法は、ホローカソード型イオンプレーティング法であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバリアフィルムの製造方法。
  5. 予め樹脂層を前記基材フィルムに設け、該樹脂層上に前記バリア層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバリアフィルムの製造方法。
  6. 前記基材フィルム上に前記バリア層を形成し、該バリア層上に平滑性を有する樹脂層および/またはゾルゲル層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバリアフィルムの製造方法。
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