JP4288977B2 - 二次電池用非水系電解液及び非水系電解液二次電池 - Google Patents

二次電池用非水系電解液及び非水系電解液二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電解液二次電池及びそれに用いられる非水系電解液に関する。詳しくは、本発明は、特にリチウムを吸蔵及び放出する非炭素材料を含む活物質の塗膜を集電体上に形成した電極を負極として用いたリチウム二次電池において、サイクル時の充放電特性の改善に有効な非水系電解液とこの非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電気製品の軽量化、小型化に伴い、高いエネルギー密度を持つリチウム二次電池の開発が以前にもまして望まれており、また、リチウム二次電池の適用分野の拡大に伴い電池特性の改善も要望されている。
【0003】
現在、リチウム二次電池の正極には、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物及びリチウムマンガン酸化物等の金属酸化物塩が、負極には、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素質材料が単独又は混合されて使用されている。
【0004】
このようなリチウム二次電池においては、負極上において電極表面での電解液の溶媒の分解が起こることが知られており、このことが保存特性やサイクル特性の低下の原因となっている。
【0005】
エチレンカーボネートはこのような分解が少なく、またその一部の分解により生成した分解物が負極表面に比較的良好な保護皮膜を生成することから、従来において、非水系電解液二次電池の電解液の主溶媒として多用されている。しかしながら、エチレンカーボネートであっても、充放電過程において電解液が少量づつ分解をしつづけるために充放電効率の低下等が起こる問題があった。
【0006】
これらの問題を改善する手法として、例えばビニレンカーボネートに代表されるような保護皮膜形成剤を電解液中に少量添加することが知られている(例えば特開平6−52887号公報)。即ち、このような保護皮膜形成剤は、初期充放電時に炭素系負極表面において分解してその分解物が良好な保護皮膜を形成し、保存特性やサイクル特性を向上させることができるため、現在多く用いられている。
【0007】
一方、近年、炭素系負極に対し、単位質量・体積当りの充放電容量が大幅に上回る新たな負極材料として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な錫やシリコン等の金属やその酸化物等の材料を用いた次世代の非水系電解液二次電池が提案され、注目を集めている(Solid State Ionics.113−115.57(1998))。
【0008】
しかしながら、これらシリコンや錫等の金属やそれらの元素を含む合金や酸化物の負極材料は、一般に電解液材料の各種電解質、有機溶媒、添加剤との反応性が、従来の炭素系負極に増して非常に高いという問題がある。このため、これらの新たな負極材料に適応した新たな保護皮膜を形成し得る電解液添加剤が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−52887号公報
【非特許文献1】
Solid State Ionics.113−115.57(1998)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非水系電解液二次電池の電解液の分解を最小限に抑えて、充放電効率が高く、優れた充放電サイクル特性を示す高エネルギー密度の非水系電解液二次電池を実現し得る二次電池用非水系電解液と、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の二次電池用非水系電解液は、集電体と、該集電体上に形成された、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な非炭素材料を含む活物質の塗膜とを有する負極と、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とを備える非水系電解液二次電池であって、前記非炭素材料が、シリコン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有するものであり、前記活物質が、該非炭素材料、或いは該非炭素材料及び炭素材料を含む非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液において、下記一般式(I)で表される化合物を0.1〜10重量%含有することを特徴とする。
−M=O ……(I)
(式中、Rは、以下の(1)〜(3)のいずれかであり、MはS又はPであり、nは、MがSの時は2、Pの時は3である。
(1)n個のRのすべてが、各々独立に、炭素数1〜4の鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の環状アルキル基であり、該鎖状アルキル基及び環状アルキル基は置換基を有していても良い。
(2)MがSであり、2個のRが互いに結合して、環を巻くことにより、炭素数4〜8のアルキレン基を形成しており、該アルキレン基は置換基を有していても良い。
(3)MがPであり、3つのRのうちの2つが互いに結合して、環を巻くことにより、炭素数4〜8のアルキレン基を形成しており、該アルキレン基は置換基を有していても良く、残る1つのRが、炭素数1〜4の鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の環状アルキル基であり、該鎖状アルキル基及び環状アルキル基は置換基を有していても良い。
【0012】
本発明の非水系電解液二次電池は、集電体と、該集電体上に形成された、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な非炭素材料を含む活物質の塗膜とを有する負極と、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とを備える非水系電解液二次電池において、該電解液がこのような本発明の非水系電解液であることを特徴とする。
【0013】
本発明者等は、上記目的を達成するために種々の検討を重ねた結果、非水系電解液二次電池の電解液として、前記一般式(I)で表される化合物を含有する非水系電解液を使用することにより、初期の充電時から負極の活物質の表面にリチウムイオン透過性が高く、安定性の良い良好な保護皮膜が効率良く生成し、この保護皮膜により、過度の電解液の分解が抑制されるために、活物質の劣化が抑制されることにより、充放電サイクル特性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
本発明において、電解液は、一般式(I)で表される化合物を0.1〜10重量%含有することが好ましい。
【0016】
また、負極を構成するリチウムを吸蔵及び放出することが可能な非炭素材料としては、シリコン、ゲルマニウム、錫及びアルミニウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有するものが挙げられ、負極を構成する活物質は、このような非炭素材料、或いはこの非炭素材料及び炭素材料を含むものが挙げられる。
【0017】
本発明において、電解液の非水溶媒としては、総炭素数3〜9の、ラクトン化合物、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エーテル及び鎖状カルボン酸エステルからなる群から選ばれる1種以上の溶媒を70容量%以上含有し、かつ、該ラクトン化合物及び/又は環状カーボネートを20容量%以上含有するものが好ましく、ラクトン化合物としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びδ−バレロラクトンからなる群から選ばれる1種以上が、環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上が、鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0018】
また、電解液のリチウム塩としては、LiBF及び/又はLiPFを電解液中の総リチウム塩に対して5〜100mol%含むことが好ましい。
【0019】
また、前記正極は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物及びリチウムマンガン酸化物、並びにこれらの酸化物を含有する複合酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属複合酸化物を含むことが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明の二次電池用非水系電解液について説明する。
【0022】
本発明の非水系電解液は、下記一般式(I)で表される化合物を含有するものである。
−M=O ……(I)
【0023】
上記一般式(I)中、Rは、置換基を有していても良いアルキル基を表し、n個のRは互いに同一であっても異っていても良く、独立した置換基であっても、互いに結合して環を巻いていても良い。
【0024】
MはS又はPを表し、MがSの場合はnは2、つまりRが一般式中に2つ存在するスルホキシド化合物を表す。よって、Rが互いに独立している場合は、同一でも異っていても良い、置換基を有していても良いアルキル基が2つ存在し、Rが互いに結合して環を巻いている場合は、その2つのRが互いに結合してMを含む環を形成することになる。
【0025】
MがPの場合はnは3、つまりRが一般式中に3つ存在するホスフィンオキシド化合物を表す。よって、Rが互いに独立している場合は、同一でも異っていても良い、置換基を有していても良いアルキル基が3つ存在し、Rが互いに結合して環を巻いている場合は、その内の2つのRが互いに結合してMを含む環を形成し、独立したRが別途1つ存在することになる。
【0026】
独立しているRで表されるアルキル基としては、鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられる。
【0027】
鎖状アルキル基としては、通常、炭素数1以上、4以下の鎖状アルキル基、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルの鎖状アルキル基が挙げられる。環状アルキル基としては、炭素数3以上、8以下の環状アルキル基が挙げられ、具体的には、シクロプルピル、シクロヘキシル等が好ましく用いられる。これらの中で、更に好ましくは、炭素数1以上、4以下の鎖状アルキル基であるメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルである。アルキル基を構成する炭素数が多くなりすぎると、耐酸化性が低下し、電解液中への溶解度が下がる等の問題を生じる恐れがある。
【0028】
独立しているRで表されるアルキル基に置換していても良い置換基としては、アルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、炭酸エステル基、カルボン酸エステル基、アミノ基等が挙げられる。
【0029】
独立しているRで表されるアルキル基の分子量は、置換基を含めて、それぞれ通常200以下である。この分子量が大きすぎると、一般式(I)で表される化合物の後述の非水溶媒への溶解性が低下しやすく、粘度が上昇しやすくなるおそれがある。
【0030】
独立しているRで表されるアルキル基は、耐酸化還元性、溶解性及び保存安定性の点から、好ましくは、置換基を有さないアルキル基、又は炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部(好ましくは、置換基中に1個以上、3個以下程度)がフッ素に置換されたフルオロアルキル基が用いられる。
【0031】
独立しているRで表されるアルキル基の具体例としては、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、α−フルオロエチル、β−フルオロエチル、β,β,β−トリフルオロエチル、n−プロピル、α−フルオロ−n−プロピル、β−フルオロ−n−プロピル、γ−フルオロ−n−プロピル、γ,γ,γ−トリフルオロ−n−プロピル、i−プロピル、α−フルオロ−i−プロピル、ビス(トリフルオロメチル)メチル、n−ブチル、δ,δ,δ−トリフルオロ−n−ブチル、t−ブチル、フルオロ−t−ブチル、トリス(トリフルオロメチル)メチル等が挙げられる。
【0032】
独立しているRで表されるアルキル基として更に好ましくは、溶解性及び安定性の観点からは、メチル基、エチル基、1以上のフッ素原子で置換されたメチル基、1以上のフッ素原子で置換されたエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が用いられ、更に製造上の観点からは、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、β−フルオロエチル基、β,β,β−トリフルオロエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、最も好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が挙げられる。
【0033】
よって、独立しているRのみで構成される一般式(I)で表される化合物は具体的には、これらRの具体例の組み合わせによって得られる化合物すべてとなるが、それらの中でも好ましくは、MがSの場合は、ジメチルスルホキシド、フルオロメチルメチルスルホキシド、ビス(フルオロメチル)スルホキシド、メチルトリフルオロメチルスルホキシド、ビス(トリフルオロメチル)スルホキシド、ジエチルスルホキシド、ビス(β−フルオロエチル)スルホキシド、ビス(β,β,β−トリフルオロエチル)スルホキシド、ジ−n−プロピルスルホキシド、ジ−i−プロピルスルホキシド、ジ−n−ブチルスルホキシド、ジ−i−ブチルスルホキシド、ジ−t−ブチルスルホキシドが挙げられ、更に好ましくは、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジ−n−プロピルスルホキシド、ジ−n−ブチルスルホキシドが挙げられる。
【0034】
また、MがPの場合は、好ましくはトリメチルホスフィンオキシド、フルオロメチルジメチルホスフィンオキシド、トリス(トリフルオロメチル)ホスフィンオキシド、メチルトリフルオロメチルホスフィンオキシド、トリス(トリフルオロメチル)ホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリス(β−フルオロエチル)ホスフィンオキシド、トリス(β,β,β−トリフルオロエチル)ホスフィンオキシド、トリ−n−プロピロホスフィンオキシド、トリ−i−プロピロホスフィンオキシド、トリ−n−ブチルホスフィンオキシド、トリ−i−ブチルホスフィンオキシド、トリ−t−ブチルホスフィンオキシドが挙げられ、更に好ましくは、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリ−n−プロピロホスフィンオキシド、トリ−n−ブチルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0035】
2つのRが互いに結合して環を巻くアルキレン基としては、炭素数4以上、8以下の、Mを含む環を形成するアルキレン基が挙げられ、具体的には、MがSの場合は、一般式(I)の化合物がテトラメチレンスルホキシド骨格、ペンタメチレンスルホキシド骨格、ヘキサメチレンメチレンスルホキシド骨格、ヘプタメチレンスルホキシド骨格、オクタメチレンスルホキシド骨格等を有するものが好ましく用いられる。これらの中で、更に好ましくは、テトラメチレンスルホキシド骨格、ペンタメチレンスルホキシド骨格を持つものである。
【0036】
また、MがPの場合は、一般式(I)で表される化合物が1−アルキルホスフォラン−1−オキシド骨格、1−アルキルホスフォリナン−1−オキシド骨格、1−アルキルホスフェパン−1−オキシド骨格、1−アルキルホスフォカン−1−オキシド骨格等を有するものが好ましく用いられる。これらの中で、更に好ましくは、1−アルキルホスフォラン−1−オキシド骨格、1−アルキルホスフォリナン−1−オキシド骨格を持つものである。
【0037】
2つのRが互いに結合して環を巻くアルキレン基に置換していても良い置換基としては、アルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、炭酸エステル基、カルボン酸エステル基、アミノ基等が挙げられる。
【0038】
独立しているRで表されるアルキル基と同様に、2つのRが互いに結合して環を巻くアルキレン基を構成する炭素数が多くなりすぎると、耐酸化性が低下し、電解液中への溶解度が下がる等の問題を生じる恐れがある。
【0039】
2つのRが互いに結合して環を巻くアルキレン基の置換基を含めた分子量は、通常200以下、好ましくは100以下である。この分子量が大きすぎると、一般式(I)で表される化合物の溶解性が低下しやすく、粘度が上昇しやすすくなるおそれがある。
【0040】
2つのRが互いに結合して環を巻くアルキレン基は、耐酸化還元性、溶解性及び保存安定性の点から、好ましくは、置換基を有さないアルキレン基、又は炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部がフッ素に置換されたフルオロアルキレン基が用いられる。
【0041】
2つのRが互いに結合して環を巻くアルキレン基を持つ化合物の具体例としては、MがSの場合は、好ましくは、テトラメチレンスルホキシド、2−フルオロテトラメチレンスルホキシド、3−フルオロテトラメチレンスルホキシド、オクタフルオロテトラメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホキシド、2−フルオロペンタメチレンスルホキシド、3−フルオロペンタメチレンスルホキシド、4−フルオロペンタメチレンスルホキシド、デカフルオロペンタメチレンスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド、2−フルオロヘキサメチレンスルホキシド、3−フルオロヘキサメチレンスルホキシド、4−フルオロヘキサメチレンスルホキシド、ドデカフルオロヘキサメチレンスルホキシド、ヘプタメチレンスルホキシド、2−フルオロヘプタメチレンスルホキシド、3−フルオロヘプタメチレンスルホキシド、4−フルオロヘプタメチレンスルホキシド、5−フルオロヘプタメチレンスルホキシド、テトラデカフルオロヘプタメチレンスルホキシド、オクタメチレンスルホキシド、2−フルオロオクタメチレンスルホキシド、3−フルオロオクタメチレンスルホキシド、4−フルオロオクタメチレンスルホキシド、5−フルオロオクタメチレンスルホキシド、ヘキサデカフルオロオクタメチレンスルホキシド等であり、更に好ましくは、テトラメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホキシドである。
【0042】
また、MがPの場合は、好ましくは、1−アルキルホスフォラン−1−オキシド、1−アルキル−2−フルオロホスフォラン−1−オキシド、1−アルキル−3−フルオロホスフォラン−1−オキシド、1−アルキルオクタフルオロホスフォラン−1−オキシド、1−アルキルホスフォリナン−1−オキシド、1−アルキル−2−フルオロホスフォリナン−1−オキシド、1−アルキル−3−フルオロホスフォリナン−1−オキシド、1−アルキル−4−フルオロホスフォリナン−1−オキシド、1−アルキルデカフルオロホスフォリナン−1−オキシド、1−アルキルホスフェパン−1−オキシド、1−アルキル−2−フルオロホスフェパン−1−オキシド、1−アルキル−3−フルオロホスフェパン−1−オキシド、1−アルキル−4−フルオロホスフェパン−1−オキシド、1−アルキルドデカフルオロホスフェパン−1−オキシド、1−アルキルホスフォカン−1−オキシド、1−アルキル−2−フルオロホスフォカン−1−オキシド、1−アルキル−3−フルオロホスフォカン−1−オキシド、1−アルキル−4−フルオロホスフォカン−1−オキシド、1−アルキル−5−フルオロホスフォカン−1−オキシド、1−アルキルテトラデカフルオロホスフォカン−1−オキシドであり、更に好ましくは、独立したアルキル基が、メチル基、フルオロメチル基、β−フルオロエチル基、β,β,β−トリフルオロエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基のものであり、これらの組み合わせの中で好ましくは、1−メチルホスフォラン−1−オキシド、1−エチルホスフォラン−1−オキシド、1−n−プロピルホスフォラン−1−オキシド、1−n−ブチルホスフォラン−1−オキシド、1−メチルホスフォリナン−1−オキシド、1−エチルホスフォリナン−1−オキシド、1−n−プロピルホスフォリナン−1−オキシド、1−n−ブチルホスフォリナン−1−オキシドが挙げられる。
【0043】
前述の如く、これらの一般式(I)で表される化合物は、初期の充電時から負極の活物質の塗膜の表面にリチウムイオン透過性が高く、安定性の良い良好な保護皮膜を効率良く生成させることにより、過度の電解液の分解を抑制し、これにより、活物質の劣化を抑制することにより、充放電サイクル特性を向上させるものと推定される。
【0044】
一般式(I)で表される化合物の電解液中の存在量が少なすぎると、このような保護皮膜の形成が不完全となり、初期の効果が十分に発現しないおそれがある。また、一般式(I)で表される化合物の電解液量が多すぎると、初期の充電時に皮膜形成に使用されない一般式(I)で表される化合物が電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、一般式(I)で表される化合物は、これらの効果が最大限発現される初期充電時に大部分が皮膜生成に消費されてしまう程度の含有量において用いることが好ましい。
【0045】
具体的に、一般式(I)で表される化合物は、電解液に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下含有されることが好ましい。
【0046】
本発明の電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、ラクトン化合物(環状カルボン酸エステル)類、鎖状カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種類以上混合して用いても良い。
【0047】
これらの中で好ましくは、総炭素数がそれぞれ3〜9の環状カーボネート、ラクトン化合物、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル類であり、特に総炭素数がそれぞれ3〜9の環状カーボネート及び鎖状カーボネートの一方又は双方を含むことが望ましい。
【0048】
総炭素数がそれぞれ3〜9である環状カーボネート、ラクトン化合物、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテルの具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0049】
1)総炭素数が3〜9の環状カーボネート:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。この中で、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートがより好ましい。
【0050】
2)総炭素数が3〜9のラクトン化合物:γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等を挙げることができ、これらの中で、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
【0051】
3)総炭素数が3〜9の鎖状カーボネート:ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、n−ブチル−i−ブチルカーボネート、n−ブチル−t−ブチルカーボネート、i−ブチル−t−ブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、i−ブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、i−ブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート、n−ブチル−n−プロピルカーボネート、i−ブチル−n−プロピルカーボネート、t−ブチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチル−i−プロピルカーボネート、i−ブチル−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネート等を挙げることができる。これらの中で、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートがより好ましい。
【0052】
4)総炭素数3〜9の鎖状カルボン酸エステル:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸−i−プロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸−i−ブチル、プロピオン酸−t−ブチルを挙げることができる。これらの中で、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルがより好ましい。
【0053】
5)総炭素数3〜9、好ましくは3〜6の鎖状エーテル:ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等を挙げることができる。これらの中で、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
【0054】
本発明においては、非水溶媒の70容量%以上が総炭素数3〜9の、ラクトン化合物、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エーテル及び鎖状カルボン酸エステルから選ばれる1種以上の溶媒であることが好ましく、かつ非水溶媒の20容量%以上が総炭素数3〜9のラクトン化合物及び/又は総炭素数3〜9の環状カーボネートであることが望ましい。
【0055】
本発明の電解液の溶質としてのリチウム塩については、溶質として使用し得るものであれば良く、特に限定はされない。その具体例としては例えば以下のようなものが挙げられる。
【0056】
1)無機リチウム塩:LiPF、LiAsF、LiBF、LiAlF等の無機フッ化物塩、LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩。
【0057】
2)有機リチウム塩:LiCF3 SO3 等の有機スルホン酸塩、LiN(CF3 SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)等のパーフルオロアルキルスルホン酸イミド塩、LiC(CF3SO23等のパーフルオロアルキルスルホン酸メチド塩、LiPF3(CF33、LiPF2(C254、LiPF3(C253、LiB(CF34、LiBF(CF33、LiBF2(CF32、LiBF3(CF3)、LiB(C254、LiBF(C253、LiBF2(C252、LiBF3(C25)、等の、フッ素原子の一部をパーフルオロアルキル基で置換した無機フッ化物塩等の、含フッ素有機リチウム塩。これらのうち、LiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiPF3(CF33、LiPF3 (C253、LiBF2(C252がより好ましい。
【0058】
これらのリチウム塩は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0059】
特に、リチウム塩としては、LiBF及び/又はLiPFを、電解液中の総リチウム塩中、通常5mol%以上、好ましくは30mol%以上、通常100mol%以下の割合で含有することが望ましい。即ち、リチウム塩としてLiBF及び/又はLiPFを用いると電気化学的安定性が高く、広い温度範囲で高い電気伝導率を示す優れた電解液となる。LiBF及び/又はLiPFの割合が低すぎるとこれら性能が不足する恐れがある。
【0060】
電解液中の溶質リチウム塩の含有濃度は、0.5mol/リットル以上、3mol/リットル以下であることが望ましい。電解液中のリチウム塩の含有濃度が低すぎると、絶対的な濃度不足により電解液の電気伝導率が不十分となり、濃度が高すぎると、粘度上昇のために電気伝導率が低下し、また低温での析出が起こりやすくなるため、電池の性能が低下する傾向がある。
【0061】
なお、本発明の非水系電解液は、非水溶媒と前記一般式(I)で表される化合物及びリチウム塩の他に、更に、公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤等を含有していても良い。
【0062】
次に、本発明の電解液が適用される本発明の非水系電解液二次電池について説明する。
【0063】
本発明の電池を構成する負極としては、集電体上に塗布法により形成された活物質の塗膜に、リチウムを吸蔵及び放出し得る非炭素材料を含むものであれば特に限定されない。
【0064】
活物質として負極に含まれるリチウムを吸蔵及び放出可能な非炭素材料としては、銀、亜鉛、ガリウム、インジウム、シリコン、ガリウム、ゲルマニウム、錫、鉛、リン、ビスマス、ストロンチウム、バリウム等から選ばれる金属の1種以上、又はこれらの金属の硼化物、酸化物、窒化物、硫化物、燐化物等の複合化合物材料が挙げられ、複数の金属元素を含む合金や更にその複合化合物を用いても良く、上記の金属の合金や合金の硼化物、酸化物、窒化物、硫化物、燐化物等の複合化合物等が、更に複雑に化学的に結合したものでも良い。これらの中で、好ましくは、シリコン、錫、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の元素を含有する各種化合物を含むことが好ましい。またこれらの化合物等は2種以上を混合して用いても良く、これらの内の1種以上と後述の炭素材料と混合して用いても良い。
【0065】
このような活物質の塗膜を集電体上に形成する方法は、塗工(塗布)による方法であれば良く、特に限定されない。例えば、活物質に、必要に応じて結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体の基板に塗布し、乾燥することにより負極を製造することができる。
【0066】
なお、このようにして形成される活物質の塗膜は、膜内における活物質濃度のバラツキが少なく、膜面方向に連続した膜面を有するものである。
【0067】
負極の製造に結着剤を用いる場合、粘着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば良く、特に限定されない。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。
【0068】
負極の製造に増粘剤を用いる場合、増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば良く、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
【0069】
負極の製造に導電材を用いる場合、導電材としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば良く、特に限定されない。その具体例としては、銅やニッケル等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック等のような炭素材料が挙げられる。
【0070】
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス等の金属が使用され、これらの中で薄膜に加工しやすいという点とコストの点から銅箔が好ましい。
【0071】
なお、活物質の塗膜の厚みは限定されるものではないが、集電体上に、乾燥後の膜厚として10μm以上、200μm以下の厚みに形成されることが好ましい。この厚みが薄過ぎると十分な容量を得ることができず、また、厚過ぎると集電体との剥離が起こりやすくなる。
【0072】
また、負極集電体の厚みは厚すぎると、電池構造体内の空間に占める割合が増え好ましくなく、30μm以下が好ましく、更には20μm以下が好ましい。また、薄すぎると強度が不足するため、1μm以上が好ましく、更には5μm以上が好ましい。
【0073】
このような集電体上に、本発明に係る活物質の塗膜を作製するに際し、予めリチウムが吸蔵された材料を用いても良く、活物質の塗膜を形成する際にリチウムを添加しても良い。また、活物質の塗膜を形成した後に、リチウムを吸蔵又は添加しても良い。
【0074】
本発明の電池を構成する正極の材料としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、これらの酸化物を含有する複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料等のリチウムを吸蔵及び放出可能な材料を使用することができる。これらの正極材料は1種を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
【0075】
正極の製造方法については、特に限定されず、例えば、上記正極材料に、必要に応じて結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、正極用集電体の基板に塗布し、乾燥することにより正極を製造することができる。また、該正極材料をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、溶射法等の手法で集電体上に薄膜状に形成することもできる。
【0076】
正極の製造に結着剤を用いる場合、粘着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば良く、特に限定されない。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。
【0077】
正極の製造に増粘剤を用いる場合、増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば良く、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
【0078】
正極の製造に導電材を用いる場合、導電材としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば良く、特に限定されない。その具体例としては、銅やニッケル等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック等のような炭素材料が挙げられる。
【0079】
正極用集電体の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属が使用され、これらの中で薄膜に加工しやすいという点とコストの点からアルミニウム箔が好ましい。正極用集電体の厚みは、特に制限されるものではないが、負極用集電体と同様な理由から50μm以下が好ましく、更に好ましくは30μm以下であり、また、1μm以上が好ましく、更には5μm以上であることが好ましい。
【0080】
本発明の電池に使用するセパレータの材質や形状については特に限定されないが、電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いるのが好ましい。
【0081】
負極、正極及び非水系電解液を少なくとも有する本発明の電池を製造する方法については、特に限定されず、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
【0082】
また、電池の形状についても特に限定されず、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が使用可能である。
【0083】
本発明においては、前記一般式(I)で表される化合物を含有する電解液を用いることにより、初期の充電時から負極の活物質の表面に、リチウムイオン透過性が高く、安定性の良い良好な保護皮膜が効率良く形成され、この保護皮膜により、負極活物質による電解液の分解が抑制される。これにより、集電体上の活物質の劣化が抑制されることにより、充放電効率、充放電サイクル特性に優れた非水系電解液二次電池が提供される。
【0084】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
なお、以下の実施例及び比較例において、非水系電解液二次電池の作製及び評価方法は次の通りである。
【0086】
[負極の作製]
活物質の非炭素材料として表1に示すもの63重量部と、人造黒鉛粉末(ティムカル社製、商品名KS−6)27重量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を12重量%含有するN−メチルピロリドン溶液83.5重量部、並びにN−メチルピロリドン50重量部とをディスパーザーで混合し、スラリー状としたものを負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布し、乾燥後、空孔率50体積部となるようにプレスし、その後直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて負極とした。
【0087】
形成された負極活物質膜の乾燥、プレス後の膜厚は表1に示す通りであった。
【0088】
[正極の作製]
正極活物質としてLiCoO(日本化学工業社製C5)85重量%にカーボンブラック(電気化学工業社製商品名デンカブラック)6重量%、ポリフッ化ビニリデンKF−1000(呉羽化学社製商品名KF−1000)9重量%を加え混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散して、スラリー状としたものを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、用いる負極の理論容量の9割となるように均一に塗布し、100℃で12時間乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて正極とした。
【0089】
[コイン型セルの作製]
上記の正極及び負極と、各実施例及び比較例で調製した電解液を用いて、正極導電体を兼ねるステンレス鋼製の缶体に正極を収容し、その上に電解液を含浸させたポリエチレン製のセパレータを介して負極を載置した。この缶体と負極導電体を兼ねる封口板とを、絶縁用のガスケットを介してかしめて密封し、コイン型セルを作製した。
【0090】
図1は作成したコイン型セルの構造を示す断面図であり、11は負極缶、12は皿バネ、13はスペーサ、14は負極、15はセパレータ、16は正極、17はスペーサ、18は正極缶、19はガスケットを示す。
【0091】
[コイン型セルの評価]
25℃において、充電終止電圧4.2V−3mA、充電終了電流0.15mAの定電流定電圧充電と、放電終止電圧3.0V−3mAの定電流放電とを1サイクルとして、10サイクル充放電を実施した。この時の、5サイクル目及び10サイクル目の容量を測定した。
【0092】
実施例1〜15、比較例1〜3
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1に混合した溶媒に、溶質として、アルゴン雰囲気中にて十分に乾燥を行った六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/リットルになるように溶解し、更に表1〜3に示す化合物を表1〜3に示す濃度となるように加え(ただし、比較例1〜3では添加せず)て電解液を調製した。この電解液と、活物質の非炭素材料として表1〜3に示すものを用いて作製した負極と、正極を用いてコイン型セルを作製してその評価を行い、結果を表1〜3に示した。
【0093】
【表1】
Figure 0004288977
【0094】
【表2】
Figure 0004288977
【0095】
【表3】
Figure 0004288977
【0096】
表1〜3より、本発明に係る前記一般式(I)で表される化合物を電解液中に含有させることにより、電池の充放電効率及び充放電サイクル特性が改善されることが分かる。
【0097】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、非水系電解液二次電池の電解液の分解が有効に抑制され、充放電効率が高く、優れた充放電サイクル特性を示す高エネルギー密度の非水系電解液二次電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において作成したコイン型セルの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
11 負極缶
12 皿バネ
13 スペーサ
14 負極
15 セパレータ
16 正極
17 スペーサ
18 正極缶
19 ガスケット

Claims (6)

  1. 集電体と、該集電体上に形成された、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な非炭素材料を含む活物質の塗膜とを有する負極と、
    リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極と、
    非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とを備える非水系電解液二次電池であって、前記非炭素材料が、シリコン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有するものであり、前記活物質が、該非炭素材料、或いは該非炭素材料及び炭素材料を含む非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液において、
    下記一般式(I)で表される化合物を0.1〜10重量%含有する二次電池用非水系電解液。
    −M=O ……(I)
    (式中、Rは、以下の(1)〜(3)のいずれかであり、MはS又はPであり、nは、MがSの時は2、Pの時は3である。
    (1)n個のRのすべてが、各々独立に、炭素数1〜4の鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の環状アルキル基であり、該鎖状アルキル基及び環状アルキル基は置換基を有していても良い。
    (2)MがSであり、2個のRが互いに結合して、環を巻くことにより、炭素数4〜8のアルキレン基を形成しており、該アルキレン基は置換基を有していても良い。
    (3)MがPであり、3つのRのうちの2つが互いに結合して、環を巻くことにより、炭素数4〜8のアルキレン基を形成しており、該アルキレン基は置換基を有していても良く、残る1つのRが、炭素数1〜4の鎖状アルキル基又は炭素数3〜8の環状アルキル基であり、該鎖状アルキル基及び環状アルキル基は置換基を有していても良い。
  2. 前記非水溶媒が、総炭素数3〜9の、ラクトン化合物、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エーテル及び鎖状カルボン酸エステルからなる群から選ばれる1種以上の溶媒を70容量%以上含有し、かつ、該ラクトン化合物及び/又は環状カーボネートを20容量%以上含有する請求項に記載の二次電池用非水系電解液。
  3. 前記非水溶媒のラクトン化合物が、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びδ−バレロラクトンからなる群から選ばれる1種以上であり、環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上であり、かつ、鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上である請求項に記載の二次電池用非水系電解液。
  4. 前記リチウム塩として、LiBF及び/又はLiPFを電解液中の総リチウム塩に対して5〜100mol%含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
  5. 前記正極が、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物及びリチウムマンガン酸化物、並びにこれらの酸化物を含有する複合酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属複合酸化物を含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
  6. 集電体と、該集電体上に形成された、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な非炭素材料を含む活物質の塗膜とを有する負極と、
    リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極と、
    非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とを備える非水系電解液二次電池において、
    該電解液が請求項1ないしのいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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