JP4288188B2 - 吸放熱特性に優れた表面処理金属材料 - Google Patents

吸放熱特性に優れた表面処理金属材料 Download PDF

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Description

本発明は、家電用、自動車用、建材用などに利用される表面処理金属材料のうち、特に高い吸熱性および放熱性が必要とされる表面処理金属材料に関するものである。詳しくは、モーター類のハウジングや家電製品等の筐体として、あるいは放熱板として好適に用いることができる吸放熱特性に優れた表面処理金属材料に関するものである。
家電製品をはじめとした電気機器類では、大容量化する一方でサイズは小型化する場合が多く、機器内部の素子、部品から発生する熱を効率よく外部に放出することが大きな問題となっている。従来は、放熱器を取り付けることによって温度上昇を防いだり、発熱する部品の周囲にある程度の大きさの空間を作って、放射(輻射)と対流によって熱を放出するケースが多かった。
しかしながら、小型化の進展とともに、放熱器を取り付けるためのスペースがとれなかったり、熱を逃がすための十分な空間が確保できなくなりつつある。このため、内部の部品については、過酷な環境下で動作している場合も多く、結果として寿命が短くなるといった問題点を抱えていた。この問題に対しては、家電製品の筐体や外装ケースから効率よく放熱することがひとつの解決策になると考えられる。
また、パソコンに関しても、近年の演算速度の向上に伴って中央演算素子(CPU)からの発熱量は大幅に増加しており、この熱をいかに放散するかが大きな課題となっている。通常、熱の放散にはファンが用いられており、発熱が激しい場合にはファンの回転数を上げて風量を増やしているが、回転数の増加とともに騒音が大きくなるといった問題点があった。この場合においても、パソコンの筐体から放射によって熱を放散することができれば、ファンの回転数の増加に伴う騒音の問題を気にすることなく、放熱の問題を解決することができる。
以上のように、放熱に対する要求は強いものの、内部の空気の流れがほとんどないか、あっても小さい場合においては、筐体やハウジングからの放熱性を向上させることで、内部の部品を長寿命化することができ、ひいては省エネルギーに寄与することができると考えられる。
上述の課題に対して、これまで検討された例はほとんどないが、(特許文献1)、(特許文献2)には、家電製品の筐体等に適した熱放射性に優れた鋼板に関する技術が開示されている。この技術は、高い熱放射性の塗膜を有する表面処理材料に関するものであるが、熱の放射に優れる塗膜は熱の吸収にも優れるため、熱の吸収と放射のバランスによっては、予想したほど機器内部の温度が低下しないといったケースも考えられる。また、これら文献には、2層に形成した塗膜のうち、内側の塗膜に熱放射性に優れた塗膜を用いる技術も開示されているが、前述した通り、熱の放射に優れる塗膜は熱の吸収にも優れるため、外層の塗膜の性状によっては、吸収した熱が内側の塗膜に蓄えられて、鋼板の温度が上昇する可能性も考えられる。
特開2002-226783号公報 特開2002-228085号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、効率よく熱の吸収と放散を行うことができる表面処理金属材料を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、シロキサン結合に有機基を含む有機‐無機ハイブリッド樹脂またはシリコーン樹脂を主成分としたマトリックスに特定形状の微小炭素繊維を添加し、所定の熱伝導率を有してなる被覆層を形成した表面処理金属材料によって課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的には、以下の通りである。
(1)金属材料表面の少なくとも一部に、シロキサン結合に有機基を含む有機‐無機ハイブリッド樹脂またはシリコーン樹脂から成るマトリックスに平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を含有してなる被覆層を有する表面処理金属材料であって,マトリックスの熱伝導率が0.5W/m・K以上、かつ該被覆層全体の熱伝導率が1.4W/m・K以上であることを特徴とする吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
(2)前記微小炭素繊維の含有量が、被覆層全体に対し0.01〜25質量%である(1)に記載した吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
(3)前記微小炭素繊維の繊維径が10μm以下である(1)に記載した吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
(4)前記微小炭素繊維がカーボンナノチューブである(1)に記載した吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
)前記金属材料が、めっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材、アルミニウム合金材から選ばれる1種である(1)に記載した表面処理金属材料。
本発明によれば、例えば、電気機器の内部で発生する熱の吸収および放散に優れた表面処理金属板を容易に得ることができる。本発明の表面処理金属材料の特徴として、被覆層は所定の熱伝導率を有しているため、発熱源から吸収した熱を、固体内の伝導によって効率良く外部に放出することが可能である。
以下に、本発明の表面処理金属材料について説明する。
本発明の表面処理金属材料に形成された被覆層は、その構成主体であるマトリックス、微小炭素繊維からなり、加えて必要に応じて添加する添加物からなっている。
当該被覆層中に含まれる微小炭素繊維は、平均アスペクト比が3以上であることを特徴としている。ここでいう微小炭素繊維とは、直径が10μmを超えない繊維形状を有する炭素化合物の総称であり、繊維状であればいかなるものも好適に用いることができる。繊維状炭素としてしばしば用いられるものには、炭素繊維、ウィスカー、カーボンナノチューブがあげられる。このうち、ウィスカーとは、転位をほとんど含まない単結晶材料のことをいい、炭素化合物のウィスカーとしては、カーボンウィスカー、フラーレンウィスカーなどが知られている。
本発明の被覆層に含まれる微小炭素繊維として、とりわけ好ましいのは、カーボンナノチューブである。カーボンナノチューブとは、炭素原子のみから構成される直径0.4〜50nmの筒(チューブ)状物質であり、一般的にはグラファイトの六角網面の1原子層を、筒状に丸めた構造を有するものをいう。また、カーボンナノチューブとは、せまい意味では結晶性の炭素からなるものを指すが、ここでは、周囲に非晶質状態のアモルファスカーボンが存在するものも含めてカーボンナノチューブとよぶことにする。
カーボンナノチューブには、単層、二層、多層ナノチューブなどの種類があるが、本発明で用いるカーボンナノチューブは、これらのうちのいずれであっても特に支障なく用いることができる。また、製造方法としてCVD法、アークジェット法などが知られているが、本発明で用いるナノチューブはいずれも好適に用いることができる。これらの合成の過程で触媒等を用いた場合には、ナノチューブ内に不純物として残留していることがあるが、ナノチューブの電気伝導性には大きな影響を及ぼさないため、これらのナノチューブも好適に用いることができる。
本発明で用いる微小炭素繊維の平均アスペクト比を3以上に限定したのは、少量の添加量で優れた吸放熱特性が得られるためであり、好ましくは平均アスペクト比が5以上、より好ましくは10以上の平均アスペクト比を有する微小炭素繊維を含有していることが好ましい。これらの微小炭素繊維を用いることで、少ない添加量で被覆層に顕著な吸放熱性を付与することが可能となる。これは、炭素材料が持っている優れた吸放熱性に加えて、被覆層の熱伝導率が高くなることによると考えている。すなわち、一般的には、微小炭素繊維の熱伝導率はマトリックス部分と比較して大きいため、長手方向にのびた微小繊維同士が接触することにより、等方的な形状の炭素材料、例えばカーボンブラックなどと比較して、より少ない添加量で熱の通る路が確保され、熱の伝導が向上することによると考えられる。一方で、被覆層に含まれる微小炭素繊維の平均アスペクト比が大きすぎる場合には、繊維同士の凝集が発生しやすくなり、多くのフロックを形成して被覆層中に均一に分散させることが困難になる。これらの点から、好ましい平均アスペクト比は10000以下であり、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは3000以下である。
ここで、アスペクト比とは、繊維の長さを繊維の直径で除した値をいう。すなわち、アスペクト比が3以上の微小炭素繊維とは、微小炭素繊維であって、繊維の長さが直径の3倍以上のものをいう。本発明では、平均アスペクト比で微小炭素繊維の性状を規定しているが、平均アスペクト比とは微小炭素繊維の繊維長さの数平均を繊維直径の数平均で除した数値である。この場合において、種々のアスペクト比の微小炭素繊維を含んでいる場合には、まず、含まれる微小炭素繊維の平均繊維長さを求め、これを炭素繊維の平均繊維直径で除することによって平均アスペクト比を求めることができる。また、微小炭素繊維に枝分かれ、折れ曲がりなどがあったり、複雑な形状をしている場合など、一本の繊維に対しても複数のアスペクト比が定義できる場合がある。この場合には、最も大きなアスペクト比となるような繊維長さと繊維直径を用いて平均アスペクト比を計算することができる。
本発明で用いる被覆層中の微小炭素繊維のアスペクト比は、原則として、添加原料として使用する微小炭素繊維の平均アスペクト比で代用することができる。また、原料段階での微小炭素繊維の平均アスペクト比が求められない場合には、当該被覆層を溶剤等によって溶解し、あるいは薬品を用いてマトリックスを分解して得られた微小炭素繊維を顕微鏡によって観察した画像から、あるいはその画像を画像解析装置によって解析することにより求めることができる。さらに簡便な方法としては、被覆層のある断面を顕微鏡によって観察し、観察される微小炭素繊維の切断面の形状から計算によって求めることができる。これらの方法で平均アスペクト比を計算する場合には、できるだけ多くの微小炭素繊維に対して行うことが望ましいが、観察できる微小炭素繊維には限界があり、少なくとも100本の微小炭素繊維の測定結果をもって微小炭素繊維の性質として代表することができる。
本発明で用いる微小炭素繊維は、マトリックスに添加され、被覆層を形成している。微小炭素繊維の含有量は、被覆層全体の質量に対する割合で0.01%以上25%以下であるが、好ましくは0.1%以上20%以下であり、より好ましくは0.1%以上10%以下である。微小炭素繊維の含有量がこれらの範囲を超えて少なすぎる場合、目的とする吸放熱特性が得られない場合が多く、逆に含有量がこれらの範囲を超えて多すぎる場合には、マトリックスが本来有している種々の性質が損なわれ、また、基材と良好な密着性が得られない可能性がある。これらの点を考慮すると、添加量はできるだけ少ない方が好ましく、必要な吸放熱特性が得られる範囲で最小限の含有量とするのが望ましい。
また、被覆層の熱伝導率は1W/m・K以上であることが望ましく、2.5W/m・K以上であるとより好ましい。本発明の表面処理金属板の機能を、(a)発熱体からの熱を効率よく吸収する、(b)吸収した熱を効率よく放散する、に分けて考えた場合、被覆層の熱伝導率を特定の値以上にすることは、特に(b)の機能に対して重要である。熱の吸収と放散とは表裏一体の関係にあり、熱の吸収に優れた塗膜は吸収した熱も容易に放出する傾向にある。したがって、被覆層の熱伝導率が低い場合には、吸収した熱の移動がほとんど起こらず、吸収した熱をそのまま放散することとなる。これに対して、熱伝導率の高い被覆層を有する金属板においては、熱を吸収した面から温度の低い面への熱の移動が起こり、反対面から効率よく熱の放散が起こることになる。この場合でも熱を吸収した面からそのまま熱の放散が生じるが、反対側への熱の移動が大きい分、低い温度で定常状態となることが考えられる。
.4W/m・K以上の熱伝導率を有する被覆層は、シロキサン結合に有機基を含む有機‐無機ハイブリッド樹脂またはシリコーン樹脂から成るマトリックスに平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を添加することによって達成される。また、特に熱伝導率を高めることを目的として、熱伝導性の良い無機化合物粒子などを含有していても一向に差し支えない。これらの目的に対しては、一般的には酸化物、複酸化物粒子が用いられるが、炭化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物なども必要に応じて用いることができる。
一方、被覆層の熱伝導率は大きすぎても特に支障はないが、実用的な観点からは50W/m・K以下、望ましくは30W/m・K以下とすると良い。これらの上限に近い熱伝導率は、熱伝導率が高い無機系のマトリックスに、微小炭素繊維あるいは前述した熱伝導性が良い無機化合物粒子を必要に応じて添加することによって得られる。
また、マトリックスには、目的、用途に応じて一般に公知の顔料、あるいは着色、防錆等を目的とした成分を含んでいてもかまわない。
述のマトリックスは、本願発明で用いる微小炭素繊維や前述の無機化合物粒子を含有しない状態で0.5W/m・K以上の熱伝導率を有している。これは、マトリックスの熱伝導率が高いほど金属材料表面の被覆層の熱伝導率を高くすることができるためであり、結果として吸放熱特性に優れた表面処理金属材料を得ることができる。より好ましいマトリックスの熱伝導率は1.2W/m・K以上である。マトリックスの熱伝導率の上限は特に限定は受けないが、実用的な観点からは50W/m・K以下であり、望ましくは30W/m・K以下とするのが良い。
これらの熱伝導率は、マトリックスとしてシロキサン結合に有機基を含む有機‐無機ハイブリッド樹脂あるいはシリコーン樹脂を用いることで好適に達成することができる。また、多くの無機化合物が熱伝導率が高いことを利用して、無機化合物とこれらの複合体、混合体として用いることも可能である。複合体あるいは混合体の望ましい態様としては、上記マトリックス中に無機化合物の粒子を混合する方法、あるいは逆に無機化合物の母材中に上記マトリックス混合をする方法を好適に用いることができる。
被覆層の厚さは特に限定を受けるものではなく、目的に応じて適宜決定すればよい。高い吸放熱特性を得るためには、被覆層の厚さは厚い方が好ましい。しかしながら厚すぎる場合も経済的でなく、0.1μm以上20μm以下とするのが良く、好ましくは0.1μm以上15μm以下、より好ましくは0.5μm以上15μm以下である。
本発明の被覆層は、通常、基材金属材料表面に直接形成されているが、金属材料と被覆層との間に、例えば密着性を確保するための処理層を設けても差し支えない。あるいは耐食性など特定の機能を持った中間層を設けることも可能である。また、本発明で用いる被覆層表面に別の機能を有する皮膜を形成することもできる。この場合には、本発明の被覆層は、発熱物からの熱には直接接触しないため、間接的な熱の吸収あるいは高い熱伝導率を生かした放熱の役割をになうことになる。
本発明の被覆層によって少なくとも一部が被覆された基材は、優れた吸放熱特性を発揮するほか、被覆部分は腐食性ガス、熱、摩擦、酸素、水、水蒸気、各種薬品などから保護されるため外部環境の影響を受けにくい。ここでいう基材とは特に限定されるものではないが、めっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材、アルミニウム合金材が好ましい。めっき鋼材としては亜鉛めっき鋼材、亜鉛−鉄合金めっき鋼材、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼材、亜鉛−クロム合金めっき鋼材、亜鉛−アルミ合金めっき鋼材、アルミめっき鋼材、亜鉛−アルミ−マグネシウム合金めっき鋼材、亜鉛−アルミ−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼材、アルミ−シリコン合金めっき鋼材、亜鉛めっきステンレス鋼材、アルミめっきステンレス鋼材等が挙げられる。
ステンレス鋼材としてはフェライト系ステンレス鋼材、マルテンサイト系ステンレス鋼材、オーステナイト系ステンレス鋼材等があげられる。 チタン材、チタン合金材としては、純度の高いαチタンのほかα+βチタン、βチタンなどがあげられる。α+βチタンにはTi-6Al-4V、βチタンにはTi-15V-3Cr-3Sn-3Al、Ti-22V-4Alなどの成分系があり、これらのいずれも好適に用いることができる。アルミニウム合金材としてはJIS1000番系(純Al系)、JIS2000番系(Al−Cu系)、JIS3000番系(Al−Mn系)、JIS4000番系(Al−Si系)、JIS5000番系(Al−Mg系)、JIS6000番系(Al−Mg−Si系)、JIS7000番系(Al−Zn系)等があげられる。
本発明で用いる金属材料の形状は、平板状のものはもちろんのこと、パイプ状、棒状、あるいはH形、矢板のような特殊な形状であっても差し支えない。これら金属材料の厚さも特に限定されるものではなく、薄いものから厚いものまで幅広い厚さの材料に対して適用することができる。また、金属材料の表面は、ブライトアニール、バフ研磨、あるいはブラストなどの処理を施してあってもよい。
本発明で用いる被覆層は、一般に公知の技術を用いて形成することができる。シロキサン結合に有機基を含む有機‐無機ハイブリッド樹脂またはシリコーン樹脂から成るマトリックスに微小炭素繊維を添加、混合する。混合には、ロールミル、ペイントシェーカー等の公知の技術を、あるいはボールミル、振動ミルなど粒子の微粉砕技術と組み合わせ、粉砕した微小繊維を塗料と混合する方法も好適に用いることができる。
本発明の微小炭素繊維は、被覆層中に均一に分散している状態が最も望ましいが、必ずしも均一な分散が必要とされているものではない。本願発明で用いる微小炭素繊維は、その凝集体が大きくても塗膜の厚さより小さくなっていることが好ましい。微小炭素繊維の大きさが、塗膜の厚さより大きい場合には、塗膜表面に凝集体に起因する凹凸が発生するため適当でない。
塗装方法としては、例えば浸漬、はけ塗り、スプレー塗装、ロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ローラーカーテンコーター塗装、バーコーター塗装、電着塗装、静電塗装などがあげられる。また、被覆した塗膜層を硬化させることを目的として加熱することも可能である。加熱方法は、一般に公知の方法、例えば熱風加熱炉、遠赤外線炉、誘導加熱炉、直火炉などを用いることができる。また、必要に応じて、常温で乾燥する方法や紫外線、電子線による硬化方法を使用することもできる。加熱による硬化方法では、マトリックスの成分、炭素繊維の添加量等に応じて、温度を設定することができる。
上述の塗膜の形成は、加工前の鋼材の状態で行ってもよく、あるいは所定の形状に加工した後に行うこともできる。使用目的、使用方法、使用部位などに応じて適宜決定することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明する。
(実施例2)
マトリックス成分としてシロキサン結合が3次元状にネットワークを形成し、側鎖およびネットワーク中にメチル基を有する有機−無機ハイブリッド材料に、微小炭素繊維として、(1)東海カーボン製カーボンウィスカー(直径0.3〜0.6μm、長さ5〜15μm;平均アスペクト比16)、(2) 気相法で合成したナノファイバーA(直径200nm、長さ0.5〜5μm;平均アスペクト比3.5、6)および合成条件を変えて合成したナノファイバーB(直径150nm、長さ10〜20μm;平均アスペクト比75)、(3) ILJIN社製多層カーボンナノチューブ(直径10〜25nm、長さ1〜50μm;平均アスペクト比180)、(4) シンセン・ナノテクポート社製単層カーボンナノチューブ(直径2nm、長さ1〜10μm;平均アスペクト比1200)を添加して塗料を作製した。また、添加物を含まない塗料および上記の炭素繊維のかわりにカーボンブラック(40nm径、平均アスペクト比1.0)を添加した塗料を比較材として作製した。塗料の作製は、実施例1に準ずる方法で行った。微小炭素繊維の添加量は、いずれもマトリックスの固形分全体に対する質量割合で1%とした。作製した塗料を、下地処理を行っていない0.6mm厚さのステンレス鋼板(SUS430、No.4仕上げ材)に塗布、焼付けを行い、表面処理ステンレス鋼板を得た。塗膜の焼付けは250℃、1分間とし、形成した被覆層の厚さは約3μmである。本実施例においても微小炭素繊維の凝集の凝集が認められたが、凝集の大きさは最大で約2μmであった。
得られた表面処理ステンレス鋼板について、吸放熱特性を以下の方法により測定した。150mm×300mm×100mm程度の大きさの箱を作製し、そのうちの150×300mmのひとつの面に、被覆層を形成した面が箱の内側となるように表面処理亜鉛めっき鋼板をセットする。箱の内部に模擬発熱体を置き、発熱体から約20mm離れた場所の温度を熱電対で測定する。被覆層を形成した表面処理亜鉛めっき鋼板を通して効率良く熱が吸収、放散されていれば、箱の内部の温度は鋼板の吸放熱特性に応じて低下する。吸放熱特性の評価は、塗装なしの鋼板と比較して測定温度が10℃以上低い場合には◎、7℃以上10℃未満の場合には○、3℃以上7℃未満の場合には△、それより小さい場合には×とした。
さらに、表面被覆層の熱伝導率を測定した。結果を第2表に示した。
Figure 0004288188
微小炭素繊維を添加していない被覆層、およびカーボンブラック(平均アスペクト比1)を添加した被覆層は熱伝導率が低く、本願発明の熱伝導率に達していない。この結果、これらの被覆層を形成した表面処理鋼板では十分な吸放熱特性が得られていない。一方、平均アスペクト比の平均値が3以上の微小炭素繊維を含有する被覆層では1 W/m・K以上の熱伝導率が得られており、吸放熱特性を測定した結果でも7℃以上温度が低くなっている。また、特に、微小炭素繊維の平均アスペクト比が大きく、2.5W/m・K以上の熱伝導率の被覆層を有する表面処理鋼板は、吸放熱特性の測定結果でも10℃以上低い温度が得られており、優れた吸放熱特性を有していることがわかる。
以上をまとめると、本発明の平均アスペクト比を有する微小炭素繊維を添加物として含有し、所定の熱伝導率の被覆層を形成した鋼板は良好な吸放熱特性を有していることがわかった。
(実施例3)
マトリックス成分としてメチル基を有するシリコーン樹脂、微小炭素繊維として実施例1と同じILJIN社製のCNTを選定し、実施例1と同様の方法により、第3表に示した割合で混合して塗料を作製した。CNTの添加量は、マトリックスの固形分全体に対する質量%である。作製した塗料をクロメート処理を行った0.8mm厚さの溶融亜鉛めっき鋼板に塗布、焼付けを行い、被覆層を有する亜鉛めっき鋼板を得た。塗膜の焼付けは200℃、1分間とし、形成した被覆層の厚さは約10μmである。本実施例の塗膜中におけるCNTの凝集体の大きさは4〜5μm程度であった。
得られた表面処理鋼板について、実施例2と同様に吸放熱特性、および表面被覆層の熱伝導率を測定した。結果を第3表に示した。
Figure 0004288188
本実施例では、マトリックスとして高い熱伝導率(1.2 W/m・K)の樹脂を使用したため、特にCNTを含有していない被覆層であっても1W/m・K以上の熱伝導率が得られている。しかしながら、CNTを含有しない被覆層を形成した鋼板では、十分な吸放熱特性が得られていないことがわかる。この結果から、所定の熱伝導率の被覆層を有する鋼板であっても、微小炭素繊維を含有していない場合には良好な吸放熱特性が得られず、被覆層中に微小炭素繊維が存在していることが優れた吸放熱特性を得るために重要であることがわかった。

Claims (5)

  1. 金属材料表面の少なくとも一部に、シロキサン結合に有機基を含む有機‐無機ハイブリッド樹脂またはシリコーン樹脂から成るマトリックスに平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を含有してなる被覆層を有する表面処理金属材料であって,マトリックスの熱伝導率が0.5W/m・K以上、かつ該被覆層全体の熱伝導率が1.4W/m・K以上であることを特徴とする吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
  2. 前記微小炭素繊維の含有量が、被覆層全体に対し0.01〜25質量%である請求項1記載の吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
  3. 前記微小炭素繊維の繊維径が10μm以下である請求項1記載の吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
  4. 前記微小炭素繊維がカーボンナノチューブである請求項1記載の吸放熱特性に優れた表面処理金属材料。
  5. 前記金属材料が、めっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材、アルミニウム合金材から選ばれる1種である請求項1記載の表面処理金属材料。
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