JP4287543B2 - 電気回路の安全装置とその製造方法 - Google Patents

電気回路の安全装置とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気回路の過電流による事故防止を図るための電気回路の安全装置とその製造方法に関し、特に、第一の保護手段である過電流保護素子が異常過熱した場合、第二の保護手段である温度ヒューズによって確実な事故防止を図る電気回路の安全装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車に搭載される電源ボックスなどの電気回路には、過電流による事故防止を図るための過電流保護素子が設けてある。
過電流保護素子として、例えば、PTC(Positive Temperture Coefficient)素子やバリスタ,アルミ電解コンデンサ等が用いられており、いずれも、過電流が流れた際に発熱して抵抗を増大させ、過電流を減少又は遮断して電気回路の安全を保つものである。
【0003】
しかし、過電流が流れ続けて過電流保護素子が異常過熱した場合、この状態を放置すれば、過電流保護素子が発火して車両火災をまねくおそれがある。
そこで、従来から過電流保護素子の異常過熱に対処する種々の措置が提案されている。
【0004】
例えば、特開平8−250304号では、図13に示すように、PTC素子111に半田付けした一対のリード112,113の一方に、PTC素子111に対する離間方向にばね性をもたせた電気回路の安全装置110が提案されている。
【0005】
このような構成によれば、過電流によりPTC素子111が異常過熱した場合、半田が溶けて一方のリード112が跳ね上がり、PTC素子111から離間する。これによって、電気回路に流れる過電流が遮断される。
【0006】
また、実開平1−129744号では、図14(a)に示すように、電圧依存型バリスタ(以下、ZNRという)121を用いた電気回路の安全装置120が提案されている。
この電気回路の安全装置120は、ZNR121のリード122を直角に曲折し、該リード122を、回路基板上で離隔絶縁された一と他の導体パターン123,124に半田付けし、これら一と他の導体パターン123,124を電気的に接続する構成となっている。
【0007】
このような構成によれば、図14(a)〜(c)に示すように、過電流によりZNR121が異常過熱した場合、リード122を固定する半田が溶融して、ZNR121が自重で脱落し、一と他の導体パターン123,124の導通が遮断される。これによって、電気回路に流れる過電流も遮断される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の各電気回路の安全装置110,120では、過電流保護素子の異常過熱による事故防止を図ることができるが、次のような問題点があった。
【0009】
図13に示す電気回路の安全装置110では、リード112の弾性力に抗して半田付けをしなければならず、半田付け作業に手間と時間を要し、自動半田付け装置などで容易に製造することができないという問題があった。
【0010】
図14に示す電気回路の安全装置120では、異常過熱時に自重で脱落するように、ZNR121を保持しながら半田付けしなければならず、上記と同様、半田付け作業に手間と時間を要し、自動半田付け装置などで容易に製造することができないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、過電流保護素子の近傍に、温度ヒューズを設け、該過電流保護素子の異常過熱を、該温度ヒューズにより検知して電気回路を遮断すればよいという技術的思想に至った。
【0012】
ここで、一般的な温度ヒューズについて、図15(a),(b),(c)を参照しつつ説明する。
図15(a)に示すように、回路基板131には、一の導体パターン132と他の導体パターン133が形成してあり、これら一と他の導体パターン132,133の各電極132a,133aは、ギャップ(間隔)134をあけて絶縁してある。そして、図15(b)に示すように、これら電極132a,133aを半田135で橋絡する(橋をかけ渡すように連結接続する)ことにより、温度ヒューズ130を形成した構成となっている。
【0013】
このような構成によれば、一又は他の導体パターン132,133や、半田135周辺の雰囲気温度が高温となったときに、該半田135が完全溶融する。
すると、図15(c)に示すように、該半田135が、ギャップ134における濡れにくい基板表面にはじかれ、表面張力によって濡れやすい各電極132a,133a側にそれぞれ分離する。
この結果、一と他の導体パターン132,133の導通が遮断され、電気回路の異常過熱による事故防止が図られる。
【0014】
ところが、上述した従来の温度ヒューズ130では、該温度ヒューズ130を形成するときに、半田135を完全溶融に近い状態にして各電極132a,133a間に乗せなければならないが、このときに、半田135が各電極132a,133aに分離してしまい、完全溶融に近い状態の半田135を、各電極132a,133a間に乗せることが極めて困難であった。
このため、他の電気部品の半田付けと同時に、自動半田付け装置などで容易に温度ヒューズ130を形成することができないという問題があった。
【0015】
このような問題は、図15(a)に示すように、各電極132a,133aのギャップ134が、図中の矢印方向に連続するため、換言すれば、図中の矢印方向に溶融した半田135を止める電極がないため、ギャップ134における基板表面上で、溶融した半田135が安定しにくいことが原因と考えられる。
【0016】
ただし、溶融した半田135が各電極132a,133aに分離しやすいという性質は、電気回路の異常過熱時におけるヒューズとしての信頼性に寄与するものなので、温度ヒューズ130を形成するときにだけ、溶融した半田135が各電極132a,133aに分離しないようにする必要がある。
【0017】
なお、上記問題点を解決すべく、特開平4−56028号では、回路基板上で離隔絶縁された一と他の回路パターンの各電極を、半田粒子間の空隙が残留する多孔質の半田層で橋絡した温度ヒューズが提案されている。
【0018】
しかし、多孔質の半田層を形成するため、回路基板上に半田クリームを印刷し、次いで、この半田クリームを半溶融させるといった特殊な工程を経なければならず、他の電気部品の半田付けと同時に、自動半田付け装置などで容易に温度ヒューズを形成することができないという問題があった。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、第一の保護手段である過電流保護素子が異常過熱した場合、第二の保護手段である温度ヒューズによって確実な事故防止を図ることができ、また、過電流保護素子の異常加熱時に該温度ヒューズを迅速に動作させることができ、さらに、該温度ヒューズを自動半田付け装置などで容易に形成することができる電気回路の安全装置とその製造方法の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電気回路の安全装置は、回路基板に実装され、電気回路を過電流から保護する第一の保護手段であって、電気回路に過電流が流れたときに発熱して抵抗を増大させ、過電流を減少又は遮断する過電流保護素子と、該過電流保護素子の近傍において該回路基板に設けられた第二の保護手段であって、前記過電流保護素子に接続された回路基板面上の一の導体パターンの第一電極,該第一電極とギャップにより絶縁された該回路基板面上の他の導体パターンの第二電極,これら第一及び第二電極を橋絡させ、該回路基板面上で前記過電流保護素子からの熱により溶融して、これら第一及び第二電極側に分離する半田からなる温度ヒューズとを備えた構成としてある。
【0021】
このような構成によれば、過電流によって過電流保護素子が異常過熱した場合、その熱により温度ヒューズが動作して電気回路が遮断される。
これにより、過電流保護素子の異常過熱による車両火災などの事故を確実に防止することができる。
【0022】
好ましくは、請求項2記載の電気回路の安全装置のように、前記過電流保護素子からの熱によって、前記温度ヒューズ周辺のレジスト膜が剥離されるようにした構成とする。
【0023】
このような構成によれば、温度ヒューズを形成する半田が溶融すると、該半田が剥離したレジスト膜と基板表面との間に吸い込まれ、一と他の導体パターンをより速く遮断することができる。
これにより、過電流保護素子の異常過熱時に温度ヒューズを迅速に動作させ、より確実な事故防止を図ることができる。
【0024】
好ましくは、請求項3記載の電気回路の安全装置のように、前記過電流保護素子及び前記温度ヒューズを実装した回路基板を縦に設置したとき、前記温度ヒューズが、前記過電流保護素子とほぼ同じ、又は、前記過電流保護素子より上方に位置するようにした構成とする。
【0025】
このような構成によれば、熱源である過電流保護素子と温度ヒューズの一関係により、過電流保護素子から温度ヒューズへの熱伝導が良好となる。
すなわち、温度ヒューズを過電流保護素子とほぼ同じ位置に設けた場合は、過電流保護素子の熱が温度ヒューズに直接伝わり、また、温度ヒューズを過電流保護素子より上方に設けた場合は、低い位置の過電流保護素子の熱が、高い位置の温度ヒューズに効率よく伝わる。
また、回路基板を縦に配置したことにより、過電流保護素子の熱で溶融した半田が、自重で積極的に下方に流れる。
これにより、過電流保護素子の異常過熱時に、一と他の導体パターンをより速く遮断することができ、すなわち、温度ヒューズを迅速に動作させることができ、より確実な事故防止を図ることができる。
【0026】
好ましくは、請求項4記載の電気回路の安全装置のように、前記温度ヒューズを形成する第一及び第二電極間のギャップに孔を穿設するとともに、該孔に電気部品のリードを挿通し、該リードとともに、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させた構成とする。
【0027】
このような構成によれば、第一及び第二電極を橋絡させる半田が、電気部品のリードに付着するので、これら第一及び第二電極間に半田が乗りやすくなり、通常の半田で、他の電気部品の半田付けと同時に、自動半田付け装置などで容易に温度ヒューズを形成することができる。
【0028】
また、独立した温度ヒューズを設ける必要がなくなり、回路基板全体としての半田付け箇所が減少し、作業性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0029】
好ましくは、請求項5記載の電気回路の安全装置のように、前記電気部品を、前記過電流保護素子とした構成とする。
【0030】
このような構成によれば、過電流保護素子の熱が、そのリードを伝わって直接、温度ヒューズに作用し、過電流保護素子の異常加熱時に、温度ヒューズをより迅速に動作させることができる。
【0031】
好ましくは、請求項6記載の電気回路の安全装置のように、前記温度ヒューズを形成する前記他の導体パターンを、前記回路基板の一面に形成し、該他の導体パターンを、スルーホールを介して、前記回路基板の他面に形成したランド状の前記第二電極に連続させ、前記回路基板の他面において、前記第二電極を前記第一電極によりギャップをあけて途切れなく包囲し、これら第一及び第二電極を半田で橋絡させた構成とする。
【0032】
このような構成によれば、途切れない第一電極の内側であれば、完全溶融に近い状態の半田を、該第一電極で止めることができるので、第一及び第二電極間のギャップ上で、完全溶融に近い状態の半田を安定させることができる。
これにより、通常の半田で、他の電気部品の半田付けと同時に、自動半田付け装置などで容易に温度ヒューズを形成することができる。
【0033】
また、過電流保護素子の異常過熱時には、完全溶融した半田が、第一及び第二電極にそれぞれ分離して、一と他の導体パターンの導通が遮断されるので、ヒューズとしての信頼性も高い。
【0034】
好ましくは、請求項7記載の電気回路の安全装置のように、前記温度ヒューズを形成する前記第二電極を、電気部品のリードを挿通するための孔の周縁に形成したランド状とし、該第二電極を前記第一電極によりギャップをあけて途切れなく包囲し、前記孔に挿通した前記電気部品のリードとともに、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させた構成としてある。
【0035】
このような構成によれば、第一及び第二電極を橋絡させる半田が、電気部品のリードに付着するので、請求項6記載の電気回路の安全装置における温度ヒューズと比較して、これら第一及び第二電極間に半田がさらに乗りやすくなる。
【0036】
また、回路基板の両面を利用する請求項6記載の電気回路の安全装置における温度ヒューズに対して、請求項7記載の電気回路の安全装置では、回路基板の片面のみで温度ヒューズを形成することができ、回路基板の簡単化を図ることができる。
【0037】
好ましくは、請求項8記載の電気回路の安全装置のように、前記温度ヒューズを形成する前記第一電極を、前記過電流保護素子のリードを挿通するための孔の周縁に形成したランド状とし、該第一電極を前記第二電極によりギャップをあけて途切れなく包囲し、前記孔に挿通した前記過電流保護素子のリードとともに、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させた構成とする。
【0038】
このような構成によれば、過電流保護素子の熱が、そのリードを伝わって直接、温度ヒューズに作用するので、請求項6及び請求項7の電気回路の安全装置における温度ヒューズと比較して、過電流保護素子の異常加熱時に、温度ヒューズをより迅速に動作させることができる。
【0039】
好ましくは、請求項9記載の電気回路の安全装置のように、前記過電流保護素子を、PTC素子とした構成とする。
【0040】
PTC素子、特に低抵抗型のPTC素子は、電気自動車に搭載される電源ボックスなどの電気回路に好適な過電流保護素子であり、該PTC素子を、請求項1〜8いずれか記載の電気回路の安全装置を構成する過電流保護素子として利用することにより、これら本発明の電気回路の安全装置を、電気自動車に特に適したものにできる。
【0041】
上記目的を達成するために、請求項10記載の電気回路の安全装置の製造方法は、請求項4〜8いずれか記載の電気回路の安全装置の製造方法であって、前記過電流保護素子を含む前記回路基板上の電気部品を自動的に半田付けする装置により、これら電気部品の半田付けと同時に、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させ、前記温度ヒューズを形成するようにしてある。
【0042】
このような方法によれば、自動半田付け装置などにより、他の電気部品の接続と同じ半田で、かつ、他の電気部品の半田付けと同時に、温度ヒューズを容易に形成することができ、従来のような特殊な製造工程を一切必要とせず、電気回路の安全装置を安価に製造することができる。
【0043】
また、請求項11記載の電気回路の安全装置のように、回路基板のスルーホール内に半田が装填され、該半田が該スルーホールの一方の開口側に凹部、他方の開口側に凸部を有し、該凸部が前記第一電極と第二電極とに橋絡していることも有効である。
【0044】
このような構成にすれば、異常高温で半田が溶融した際に、半田の凸部が凹部側に向けてスルーホール内に移動し(引き込まれ)、両電極の接続が迅速且つ確実に解除される。
【0045】
好ましくは、請求項12記載の電気回路の安全装置のように、前記スルーホールの内径を前記回路基板の板厚よりも大きく設定する。
このような構成にすれば、スルーホール内に半田の凸部が引き込まれる速度が増し、回路の遮断が一層迅速化する。また、製造時において溶融半田の自重で凹部と凸部が容易に且つ確実に形成される。
【0046】
好ましくは、請求項13記載の電気回路の安全装置のように、前記凹部側における前記回路基板の露出導体部の外径を少なくとも前記スルーホール寄りの前記第二電極の外径よりも大きく設定する。
【0047】
このような構成にすれば、異常高温で溶融した半田が凹部側に移動した際に、濡れ性の良い露出導体部に吸引され、半田の移動速度がアップし、回路の遮断速度が高まると共に回路の遮断が一層確実化する。
好ましくは、請求項14記載の電気回路の安全装置のように、前記回路基板を垂直に配置し、あるいは前記凸部を上にして前記回路基板を配置する。
【0048】
回路基板を垂直に配置することで、異常時に溶融した半田がスルーホール内に確実に吸引される。また、凸部を上にして回路基板を配置することで、半田の自重で凸部が凹部側に迅速に移動し、回路の遮断速度が高まると共に回路の遮断が一層確実化する。
【0049】
請求項15記載の電気回路の安全装置の製造方法は、請求項11〜14いずれか記載の電気回路の安全装置の製造方法であって、前記回路基板を水平に位置させ、垂直方向の前記スルーホール内に溶融した半田を装填し、該半田の自重により前記凹部と凸部とを形成させることを特徴としている。
この方法によれば、半田の自重によって凹部と凸部を容易に形成することができ、温度ヒューズの製造コストが低く抑えられる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気回路の安全装置とその製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0051】
図1は本発明の第一実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
図2は上記電気回路の安全装置を示すものであり、同図(a)は正面図,同図(b)は背面図である。
図3は上記電気回路の安全装置を構成する回路基板のみの断面図である。
図4は上記回路基板のみを示すものであり、同図(a)は正面図,同図(b)は背面図である。
図5(a),(b),(c)は上記電気回路の安全装置を構成する温度ヒューズの動作状態を示す正面図である。
【0052】
図1及び図2(a),(b)において、本実施形態の電気回路の安全装置1は、回路基板10に近接して設けられたPTC素子(過電流保護素子)20と温度ヒューズ30からなっている。
【0053】
PTC素子20は、電気回路を過電流から保護する第一の保護手段であり、電気回路に過電流が流れたときに発熱して抵抗を増大させ、過電流を減少又は遮断する役割を果たす。
【0054】
このようなPTC素子20は、回路基板10に穿設した孔11,11にリード21,21を挿通し、各リード21,21を回路基板10の裏面(他面)10Bに形成した二つの導体パターン(うち一つは、後述する一の導体パターン31)の電極にそれぞれ半田付けしてある。
【0055】
温度ヒューズ30は、該PTC素子20の近傍に設けられた第二の保護手段であり、要約すれば、PTC素子20に接続された前記一の導体パターン31の第一電極31aと、該第一電極31aとギャップ33により絶縁された他の導体パターン32の第二電極32aとを、半田34で橋絡させた構成となっている。
【0056】
具体的には、図1と図2(a),(b)、及び、これら図面に対応する図3と図4(a),(b)に示すように、一の導体パターン31は、上述のように回路基板10の裏面10Bに形成してあり、これに対する他の導体パターン32は、回路基板10の表面(一面)10Aに形成してある。
該他の導体パターン32は、長孔状のスルーホール32bを介して、回路基板10の裏面10Bに形成したランド状の第二電極32aに連続させてある。
【0057】
そして、図4(b)及び図5(a)に示すように、一の導体パターン31の第一電極31aにより、第二電極32aをギャップ33をあけて途切れなく包囲している。
これら第一及び第二電極31a,32aを半田34で橋絡させると、図1と図2(b)及び図5(b)に示すように、温度ヒューズ30が形成される。
【0058】
図1に戻って、回路基板10の両面10A,10Bは、第一及び第二電極31a,32aを含む全ての電極,ランドを除いてレジスト膜40が被覆してあり、本実施形態では、PTC素子20が異常過熱した場合に、該PTC素子20からの熱によって、温度ヒューズ30周辺のレジスト膜40が剥離されるようにしてある。
【0059】
温度ヒューズ30周辺のレジスト膜40が剥離されるための構成として、まず、異常過熱時のPTC素子20の熱が温度ヒューズ30に十分伝達し得る程度に、これらPTC素子20と温度ヒューズ30とを近接させて設ける必要がある。
【0060】
これに加え、レジスト膜40が、異常過熱時のPTC素子20の熱(一般的に約1000℃程度)によって、剥離可能な程度の強度であることも必要である。
発明者らが実験を行なった結果、通常の回路基板に用いられているレジスト膜40(300℃以上の熱に対して剥離強度1/2)で十分剥離可能である。
【0061】
また、図1において、本実施形態では、回路基板10を縦に設置した状態で、温度ヒューズ30がPTC素子20より上方に位置するように、回路をレイアウトしてある。
【0062】
ここで、本実施形態に係る電気回路の安全装置の製造方法について説明すると、電気回路の安全装置1は、図示しない自動半田付け装置により、図示しない回路基板10上の他の電気部品の半田付けと同時に形成している。
【0063】
すなわち、回路基板10上にPTC素子20を含む全ての電気部品を搭載し、例えば、噴流式の自動半田付け装置により、これら電気部品の半田付けと、温度ヒューズ30の形成(第一及び第二電極31a,32aの半田34による橋絡)とを同時に行なっている。
【0064】
次に、上記構成からなる本実施形態の電気回路の安全装置1の動作について、図1及び図5(b),(c)を参照しつつ説明する。
図1において、電気回路に過電流が流れると、PTC素子20が発熱して抵抗を増大させ、過電流を減少又は遮断する。これにより、通常は、電気回路の安全が保たれる。
【0065】
しかし、その後も過電流が流れ続け、PTC素子20が異常過熱した場合、PTC素子20からの熱が、リード21及び一の導体パターン31を介して、温度ヒューズ30側に伝達される。
このときの熱は、縦に設置した回路基板10における低い位置のPTC素子20から高い位置の温度ヒューズ30側へと効率よく伝達される。
【0066】
PTC素子20からの熱が、温度ヒューズ30に伝達されると、第一及び第二電極31a,32aを橋絡していた半田34が完全溶融するとともに、温度ヒューズ30周辺のレジスト膜40が熱によって剥離される(図5(b)参照)。
特に、熱源であるPTC素子20に近い、温度ヒューズ30下方のレジスト膜40が顕著に剥離される。
【0067】
すると、図5(c)に示すように、剥離されたレジスト膜40と基板表面の間に、溶融した半田34の一部(時には全部)が吸い込まれると同時に、ギャップ33における濡れにくい基板表面に残りの半田34がはじかれる。
特に、回路基板10を縦に設置してあるので、温度ヒューズ30下方の剥離されたレジスト膜40と基板表面の間に、溶融した半田34aが自重により積極的に下方に流れ込む。
【0068】
この結果、第一及び第二電極31a,32aを橋絡していた半田34が、濡れやすいこれら第一及び第二電極31a,32a側にそれぞれ分離した状態となり、一と他の導体パターン31,32の導通が遮断される。
【0069】
このような本実施形態の電気回路の安全装置1は、次にような優れた効果を奏する。
第一に、過電流によって過電流保護素子であるPTC素子20が異常過熱した場合でも、その熱により温度ヒューズ30が動作して電気回路が遮断される。
これによって、PTC素子20の異常過熱による車両火災などの事故を確実に防止することができる。
【0070】
第二に、PTC素子20と温度ヒューズ30を互いに近接して設け、PTC素子20の異常過熱時に温度ヒューズ30周辺のレジスト膜40が剥離されるようにしたことにより、溶融した半田34の一部又は全部が、剥離したレジスト膜40と基板表面との間に吸い込まれ、一と他の導体パターン31,32を速く遮断することができる。
これによって、PCT素子20の異常過熱時に温度ヒューズ30を迅速に動作させ、より確実な事故防止を図ることができる。
【0071】
第三に、回路基板10を縦に設置し、温度ヒューズ30がPTC素子20より上方に位置するようにしたことにより、熱源であるPTC素子20から温度ヒューズ30への熱伝導が良好となり、また、温度ヒューズ30を形成する半田34が溶融すると、該半田34が自重で下方に積極的に流れ、下方のレジスト膜40が顕著に剥離されることと相まって、一と他の導体パターン31,32をより速く遮断することができる。
これによって、PTC素子20の異常過熱時に温度ヒューズ30をより迅速に動作させ、さらに確実な事故防止を図ることができる。
【0072】
第四に、温度ヒューズ30を形成する第一電極31aが、ギャップ33をあけて第二電極32aを途切れなく包囲しているので、途切れない第一電極31aの内側であれば、完全溶融に近い状態の半田34を、該第一電極31aで止めることができるので、第一及び第二電極31a,32a間のギャップ33上で、完全溶融に近い状態の半田34を安定させることができる。
これにより、通常の半田34で、他の電気部品の半田付けと同時に、自動半田付け装置などで容易に温度ヒューズ30を形成することができる。
【0073】
また、PTC素子20の異常過熱時には、完全溶融した半田34が、第一及び第二電極31a,32aにそれぞれ分離して、一と他の導体パターン31,32の導通が遮断されるので、ヒューズとしての信頼性も高い。
【0074】
一方、本実施形態に係る電気回路の安全装置の製造方法によれば、自動半田付け装置などにより、他の電気部品の接続と同じ半田34で、かつ、他の電気部品の半田付けと同時に、温度ヒューズ30を容易に形成することができ、従来のような特殊な製造工程を一切必要とせず、電気回路の安全装置を安価に製造することができる。
【0075】
次に、本発明の第二実施形態に係る電気回路の安全装置について説明する。
図6は本発明の第二実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
図7は上記電気回路の安全装置における温度ヒューズの導体パターンを示す説明図である。
【0076】
これら図面において、本実施形態の電気回路の安全装置2では、回路基板10の裏面10Bに、PTC素子20に接続された一の導体パターン51の第一電極51aと、該第一電極51aとギャップ53により絶縁された他の導体パターン52の第二電極52aとが形成してある。
【0077】
そして、これら第一及び第二電極51a,52a間のギャップ53に孔11を穿設するとともに、該孔11に電気部品60のリード61を挿通し、該リード61とともに、第一及び第二電極51a,52aを半田54で橋絡させ、温度ヒューズ50を形成した構成としてある。
【0078】
このような構成によれば、第一及び第二電極51a,52aを橋絡させる半田54が、電気部品60のリード61に付着するので、これら第一及び第二電極51a,52a間に半田54が乗りやすくなる。
これにより、通常の半田54で、電気部品60の半田付けと同時に、自動半田付け装置などで容易に温度ヒューズ50を形成することができる。
【0079】
また、独立した温度ヒューズ(例えば、第一実施形態における温度ヒューズ30)を設ける必要がなくなり、回路基板10全体としての半田付け箇所が減少し、作業性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0080】
さらに、回路基板10の両面10A,10Bを利用する第一実施形態の電気回路の安全装置1における温度ヒューズ30(図1参照)に対して、本実施形態のの電気回路の安全装置2では、回路基板10の片面10Bのみで温度ヒューズ50を形成することができ、回路基板10の簡単化を図ることができる。
【0081】
次に、本発明の第三実施形態に係る電気回路の安全装置について説明する。
図8は本発明の第三実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
これら図面において、本実施形態の電気回路の安全装置3は、第一実施形態に係る電気回路の安全装置1(図1参照)、及び、第二実施形態に係る電気回路の安全装置2をさらに発展的に改良したものである。
【0082】
要約すれば、第一実施形態における温度ヒューズ30に類似した構成の温度ヒューズ70を、PTC素子20のリード21を挿通するための孔11の周囲に形成したことを特徴としている。
【0083】
具体的に、回路基板10の裏面における孔11の周縁には、PTC素子20のリード21に接続されるランド状の第一電極71a(=一の導体パターン71)が形成してある。
そして、該ランド状の第一電極71aを、他の導体パターン72の第二電極72aにより、ギャップ73をあけて途切れなく包囲した構成となっている。
なお、これら第一及び第二電極71a,72aと孔11の外観は、第一実施形態の図5(a)と全く同一である。
【0084】
これら第一及び第二電極71a,72aを、孔11に挿通したPTC素子20のリード21とともに半田74で橋絡させることにより、温度ヒューズ70が形成される。
【0085】
このような構成によれば、PTC素子20の熱が、そのリード21を伝わって直接、温度ヒューズ70に作用するので、第一及び第二実施形態の電気回路の安全装置1,2における温度ヒューズ30,50と比較して、PTC素子20の異常加熱時に、温度ヒューズ70をより迅速に動作させることができる。
【0086】
また、第一及び第二電極71a,72aを橋絡させる半田74が、PTC素子20のリード21に付着するので、第一及び第二実施形態の電気回路の安全装置1,2における温度ヒューズ30,50と比較して、これら第一及び第二電極71a,72a間に半田74がさらに乗りやすくなる。
【0087】
さらに、第二実施形態に係る電気回路の安全装置2と同様、回路基板10全体としての半田付け箇所を減少させ、作業性及び信頼性の向上を図ることができるとともに、回路基板10の片面10Bのみで温度ヒューズ70を形成することが可能となり、回路基板10の簡単化を図ることができる。
【0088】
なお、本発明の電気回路の安全装置は、上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0089】
まず、第一の保護手段である過電流保護素子は、上述したPTC素子20に限らず、電気回路に過電流が流れたときに発熱して抵抗を増大させ、過電流を減少又は遮断するものであれば、他の素子、例えば、バリスタやアルミ電解コンデンサ等であってもよい。
【0090】
また、上述した第二実施形態に係る電気回路の安全装置2における温度ヒューズ50(図6参照)を、そのまま第三実施形態に係る電気回路の安全装置3の温度ヒューズ70(図8参照)に置き換えることができ、また、その逆も可能である。
【0091】
図9〜図10は本発明の第四実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。前記の実施形態におけるPTC素子20(図1)や電気部品60(図2)等は図示を省略している。
【0092】
この電気回路の安全装置4は、図9の如く、回路基板80に設けたスルーホール81内に半田82を装填し、スルーホール81の一方の開口81a側において半田82に凹部83を形成し、スルーホール81の他方の開口81b側において半田82に凸部84を形成して、図10の如く、半田82の溶融時に凸部82側が凹部83(図9)に向けてスルーホール81内に流入し、凸部84側が引くことにより、回路基板80の第一電極85と第二電極86との半田接続を解除するようにした温度ヒューズ88(図9)を備えるものである。
【0093】
図9において、回路基板80は部品装着面80A側を上向きにして水平に配置されている。部品とはPTC素子20(図1)や電気部品60(図2)等を言う。スルーホール81は垂直に位置し、スルーホール81内の半田82は溶融時に重力によって下側に凸部84を形成させ、上側に凹部83を形成させる。凸部84は大径な湾曲面84aを有し、凹部83は小径な湾曲面83aを有する。各湾曲面83a,84aは球面状のものであり、溶融時の半田82の表面張力によって発生する。スルーホール81内は内周側の導体部89によって半田82の濡れ性が良好であり、半田82の移動性が良い。
【0094】
スルーホール81内の導体部89は回路基板80の半田面80B側(下面側)においてスルーホール81の開口縁の第二電極86に続き、第二電極86の外側に細幅のギャップ87を介して第一電極85が形成されている。第一電極85は第一の導体パターン90に続き、第二電極86は部品装着面側の短い露出導体部96を経て第二の導体パターン91に続いている。各電極85,86とギャップ87とは図5の実施形態で示した如く環状のものである。
【0095】
回路基板80の部品装着面側において第二の(他の)導体パターン91上に半田レジスト膜92が形成され、半田面側において第一の(一の)導体パターン90上に半田レジスト膜93が形成されている。部品装着面側の半田レジスト膜(以下単にレジスト膜と言う)92はスルーホール81の一方の開口81aの直近まで延長され、半田面側のレジスト膜93はスルーホール81の他方の開口81bからやや遠く離れてギャップ85の外側に位置している。すなわち部品装着面側のレジスト膜92の端部92aよりも半田面側のレジスト膜93の端部93aがスルーホール81から径方向に遠く離れている。
【0096】
これにより、半田82の下側の凸部84がギャップ85を乗り越えて大きな径でレジスト膜93の端部93aまで拡がっている。半田82はその表面張力によって狭いギャップ87内に侵入することがない。例え侵入しても、絶縁性の基板本体95の表面は半田82に対する濡れ性(接合性)が悪いから、溶融した半田82はギャップ87から容易に離脱する。半田82がギャップ87を越えて第一電極85と第二電極86とを接続することで温度ヒューズ88が構成されている。半田82の上側の凹部83はその上端がスルーホール81の開口端に位置しており、開口81aよりも高くは突出していない。
【0097】
半田82は例えば噴流半田付けによってスルーホール81内に充填される。噴流半田付けとは、フロー炉内において溶融した半田82を噴水のように吹き上げて、その中に回路基板80を移動させつつ、溶融した半田82に回路基板80の表面を接触させることで、半田82を回路基板80の各金属導体部に付着させる方法であり、この際にスルーホール81内の導体部89の濡れ性でスルーホール81内に半田が吸い上げられて充填される。噴流半田付け工程でPTC素子20(図1)等の部品も同時に回路基板80に半田付けされる。
【0098】
噴流半田付けにおいて、スルーホール81の内径D1 が回路基板80の板厚T1 よりも小さい場合には、スルーホール内に入った半田の表面張力で図9のような凹部83が形成されず、逆に図10の膨出部97のように突出してしまう。従って、スルーホール81の内径(厳密にはスルーホール内の導体部89の内径)Dは回路基板80の板厚(厳密にはレジスト膜を含む板厚)T1 よりも大きく設定される。これは、図9の製造工程で、溶融した半田82の表面張力に打ち勝って、半田82の自重で上側に凹部83、下側に凸部84を十分に大きく形成するために必要な条件である。スルーホール81の内径D1 が回路基板80の板厚T1 よりも小さな場合は、半田82の表面張力によって上側の凹部83と下側の凸部84とができ難くなる。この状態では、異常時の発熱により半田82が溶融しても、回路(導体パターン90,91がオープンとなり難い。また、スルーホール81の内径D1 を回路基板80の板厚T1 よりも大きく設定することで、図10において異常高温で溶融した半田82がスルーホール81内に引き込まれやすくなり、回路遮断速度がアップする。
【0099】
図9の如く回路基板80を水平にした状態で温度ヒューズ88を形成し、図10の如く回路基板80を垂直にした状態で温度ヒューズ88(図9)を使用する。図10は、回路基板80上のPTC素子20(図1)が異常高温になって半田82が溶融し、各導体パターン90,91の各電極85,86の接続部が開いた(各電極85,86の接続が解除された)状態を示すものである。
【0100】
すなわち、図9の凹部83と凸部84を有する半田82が溶融することで、凹部83内に凸部84側の半田82が吸われるように流入し、図10の如く凸部84が小径化して、凸部84の裾部84bが第一電極85から内向きに離れてギャップ87を越えて第二電極86側に移動する。これにより、半田82が第一電極側と第二電極側に分離し、両電極85,86の接続が解除され、両導体パターン(回路)90,91がギャップ87を介して遮断される。凹部83(図9)は凸部84側の半田82の流入によって外側にやや膨出する。この膨出部97の端部97aはレジスト膜92の端部に接して停止する。
【0101】
なお、温度ヒューズ88(図9)の使用状態は回路基板80を垂直(縦置き)にした場合に限らず、例えば回路基板80を上下反転させて、図9の半田82の凹部83を下側にし、凸部84を上側にして使用することも可能である(図示せず)。
【0102】
この場合はスルーホール81が垂直に位置するから、図10の場合に較べて、溶融した半田82が自重で凹部83側に流入しやすく、回路の遮断が一層迅速且つ確実に行われる。上側の凸部82側に両電極間のギャップ87が位置することは言うまでもない。なお、回路基板80を斜めに傾けて使用することも可能である。その場合も回路基板80の上側に半田82の凸部84と両電極間のギャップ87が位置することは言うまでもない。
【0103】
図11〜図12は本発明の第五実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。第四実施形態と同一の構成部分には同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0104】
この安全装置5は、図9の第四実施形態と同様に、図11の回路基板98の水平状態で、半田82の上側に凹部83、下側に凸部84をそれぞれ形成して温度ヒューズ88を構成したものであるが、第四実施形態に較べて凹部83側の回路基板98の表面のレジスト膜99を大きく後退させて、レジスト膜99の端部99a間の距離D2 を大きく設定し、すなわち部品装着面側の導体部100を大きく露出させて、ランド状の露出導体部100の外径D2 を大きく設定したことを特徴とするものである。その他の構成は第四実施形態と同様である。
【0105】
図11において回路基板98の下側の半田面側のレジスト膜93は第四実施形態と同様にスルーホール81から大きく離間し、上側のレジスト膜99の端部99aよりもスルーホール81の径方向に若干大きく後退している。下側のレジスト膜93のない部分に第一電極85とギャップ87と第二電極86とが環状に位置している。スルーホール81内の導体部89に続くランド状の第二電極86の外径D3 に較べて前記部品装着面側の露出導体部100の外径D2 が大きく設定されている。
【0106】
半田82の凹部83はスルーホール81の上側の開口81a内に位置し、凸部84は下側の開口81bから大きくはみ出して(突出して)半田面側のレジスト膜93の端部93aに接して位置している。第四実施形態と同様にスルーホール81の内径は回路基板98の板厚T2 よりも大きい。
【0107】
図12の如く回路基板98を垂直に立てた状態で、異常高温により半田82が溶融した際に、半田82の凸部84が図11の凹部83側に吸い寄せられるように移動しつつ、広いランド状の露出導体部100に吸引されて、スルーホール81の開口81a側に半田82が積極的に膨出する。これは、露出導体部100が半田82の濡れ性に優れているからに他ならない。
【0108】
図10(第四実施形態)の場合は、小径な露出導体部96に続くレジスト膜92で半田82が直ぐに停止してしまうが、本実施形態により、部品装着面側への半田82の流出量が増し、両電極85,86の接続の解除が一層確実に行われる。第四実施形態に較べて半田82の使用量が同じであれば、両電極間のギャップ87の位置をスルーホール81に一層近づけることも可能となる。また、半田82の凸部84を十分に大きく形成して、両電極85,86を大きな面積で確実に接続させることも可能となり、その場合でも迅速で確実な回路の遮断が行われる。
【0109】
回路基板98の使用形態は図11に対して上下反転させてもよく、あるいは傾斜させて用いてもよいことは第四実施形態と同様である。これら、いずれの使用形態においても、溶融した半田82がランド状の露出導体部100に積極的に吸引されることで、半田82の移動速度が速くなり、一層迅速で確実な回路の遮断が可能となる。但し、図11の凹部83を上向きにした状態での使用は不可能であり、これは第四実施形態でも同様である。
【0110】
上記図9〜図12で示した各実施形態において、回路基板80,98を水平にセットし、垂直方向のスルーホール81内に溶融した半田82を装填し、半田82の自重で上側に凹部83、下側に凸部84をそれぞれ形成し、凸部84の裾部84bを、両電極間のギャップ87を跨いで両電極85,86に接続させる構成は、電気回路の安全装置の製造方法としても有効である。
【0111】
この方法によれば、半田82の自重を利用して、凹部83と凸部84を簡単且つ確実に形成できると共に、下側(半田面側)の両電極85,86に半田82を積極的に吸着させて両電極85,86の電気的接続性を向上させることができる。
【0112】
図9〜図12の第四,第五実施形態によれば、第一〜第三実施形態における請求項2記載の発明に較べて、異常高温時にレジスト膜40(図1)が劣化して剥離することとは無関係に、半田82の溶融が発生した時点で両電極85,86の接続が解除され、回路が遮断されるから、温度ヒューズ88としての信頼性が更に向上する。すなわち、請求項2記載の発明においては、レジスト膜40(図1)が剥離してレジスト膜40と回路基板10の導体部31(図1)との間に半田34が吸い込まれ、それにより両電極31a,32aへの半田34の分離が促進されたが、第四,第五実施形態によれば、レジスト膜93の剥離を待つことなく、半田82の溶融と同時にスルーホール81内に半田82が吸引されて迅速に両電極85,86の接続が解除される。
【0113】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電気回路の安全装置によれば、第一の保護手段である過電流保護素子が異常過熱した場合、第二の保護手段である温度ヒューズによって確実な事故防止を図ることができ、また、過電流保護素子の異常加熱時に該温度ヒューズを迅速に動作させることができる。
一方、本発明の電気回路の安全装置の製造方法によれば、前記温度ヒューズを自動半田付け装置などで容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
【図2】上記電気回路の安全装置を示すものであり、同図(a)は正面図,同図(b)は背面図である。
【図3】上記電気回路の安全装置を構成する回路基板のみの断面図である。
【図4】上記回路基板のみを示すものであり、同図(a)は正面図,同図(b)は背面図である。
【図5】同図(a),(b),(c)は上記電気回路の安全装置を構成する温度ヒューズの動作状態を示す正面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
【図7】上記電気回路の安全装置における温度ヒューズの導体パターンを示す説明図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
【図9】本発明の第四実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
【図10】上記電気回路の安全装置を構成する温度ヒューズの動作状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第五実施形態に係る電気回路の安全装置を示す断面図である。
【図12】上記電気回路の安全装置を構成する温度ヒューズの動作状態を示す断面図である。
【図13】従来のPTC素子を利用した電気回路の安全装置を示す外観図である。
【図14】同図(a),(b),(c)は、従来の電圧依存型バリスタを用いた電気回路の安全装置の構成及び動作を示す説明図である。
【図15】同図(a),(b),(c)は、従来の温度ヒューズの構成及び動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5 電気回路の安全装置
10,80,98 回路基板
10A 表面(一面)
10B 裏面(他面)
11 孔
20 PTC素子(過電流保護素子)
21,61 リード
30,50,70,88 温度ヒューズ
31,51,71,90 一の導体パターン
31a,51a,71a,85 第一電極
32,52,72,91 他の導体パターン
32a,52a,72a,86 第二電極
32b,81 スルーホール
33,53,73,87 ギャップ
34,54,74,82 半田
40,92,93,99 レジスト膜
60 電気部品
83 凹部
84 凸部
100 露出導体部

Claims (15)

  1. 回路基板に実装され、電気回路を過電流から保護する第一の保護手段であって、電気回路に過電流が流れたときに発熱して抵抗を増大させ、過電流を減少又は遮断する過電流保護素子と、
    該過電流保護素子の近傍において該回路基板に設けられた第二の保護手段であって、前記過電流保護素子に接続された回路基板面上の一の導体パターンの第一電極,該第一電極とギャップにより絶縁された該回路基板面上の他の導体パターンの第二電極,これら第一及び第二電極を橋絡させ、該回路基板面上で前記過電流保護素子からの熱により溶融して、これら第一及び第二電極側に分離する半田からなる温度ヒューズと
    を備えたことを特徴とする電気回路の安全装置。
  2. 前記過電流保護素子からの熱によって、前記温度ヒューズ周辺のレジスト膜が剥離されるようにした請求項1記載の電気回路の安全装置。
  3. 前記過電流保護素子及び前記温度ヒューズを実装した回路基板を縦に設置したとき、前記温度ヒューズが、前記過電流保護素子とほぼ同じ、又は、前記過電流保護素子より上方に位置するようにした請求項1又は2記載の電気回路の安全装置。
  4. 前記温度ヒューズを形成する第一及び第二電極間のギャップに孔を穿設するとともに、該孔に電気部品のリードを挿通し、該リードとともに、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させた請求項1〜3いずれか記載の電気回路の安全装置。
  5. 前記電気部品が、前記過電流保護素子である請求項4記載の電気回路の安全装置。
  6. 前記温度ヒューズを形成する前記他の導体パターンを、前記回路基板の一面に形成し、該他の導体パターンを、スルーホールを介して、前記回路基板の他面に形成したランド状の前記第二電極に連続させ、前記回路基板の他面において、前記第二電極を前記第一電極によりギャップをあけて途切れなく包囲し、これら第一及び第二電極を半田で橋絡させた請求項1〜3いずれか記載の電気回路の安全装置。
  7. 前記温度ヒューズを形成する前記第二電極を、電気部品のリードを挿通するための孔の周縁に形成したランド状とし、該第二電極を前記第一電極によりギャップをあけて途切れなく包囲し、前記孔に挿通した前記電気部品のリードとともに、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させた請求項1〜3いずれか記載の電気回路の安全装置。
  8. 前記温度ヒューズを形成する前記第一電極を、前記過電流保護素子のリードを挿通するための孔の周縁に形成したランド状とし、該第一電極を前記第二電極によりギャップをあけて途切れなく包囲し、前記孔に挿通した前記過電流保護素子のリードとともに、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させた請求項1〜3いずれか記載の電気回路の安全装置。
  9. 前記過電流保護素子を、PTC素子とした請求項1〜8いずれか記載の電気回路の安全装置。
  10. 請求項4〜8いずれか記載の電気回路の安全装置の製造方法であって、
    前記過電流保護素子を含む前記回路基板上の電気部品を自動的に半田付けする装置により、これら電気部品の半田付けと同時に、前記第一及び第二電極を半田で橋絡させ、前記温度ヒューズを形成することとした電気回路の安全装置の製造方法。
  11. 回路基板のスルーホール内に半田が装填され、該半田が該スルーホールの一方の開口側に凹部、他方の開口側に凸部を有し、該凸部が前記第一電極と第二電極とに橋絡していることを特徴とする請求項1記載の電気回路の安全装置。
  12. 前記スルーホールの内径を前記回路基板の板厚よりも大きく設定したことを特徴とする請求項11記載の電気回路の安全装置。
  13. 前記凹部側における前記回路基板の露出導体部の外径を少なくとも前記スルーホール寄りの前記第二電極の外径よりも大きく設定したことを特徴とする請求項11又は12記載の電気回路の安全装置。
  14. 前記回路基板を垂直に配置し、あるいは前記凸部を上にして前記回路基板を配置することを特徴とする請求項11〜13いずれか記載の電気回路の安全装置。
  15. 請求項11〜14いずれか記載の電気回路の安全装置の製造方法であって、
    前記回路基板を水平に位置させ、垂直方向の前記スルーホール内に溶融した半田を装填し、該半田の自重により前記凹部と凸部とを形成させることを特徴とする電気回路の安全装置の製造方法。
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