JP4287305B2 - 気体燃料タンクへの車体への搭載方法 - Google Patents

Description

本発明は、気体燃料タンクへの車体への搭載方法に関する。

従来、この種の気体燃料タンクモジュールとして、支持フレーム部材と、その支持フレーム部材に水平に固定された気体燃料タンクとを有するものが知られている。この場合、気体燃料タンクとしては円筒形タンク本体と、そのタンク本体の軸線方向一端部から突出して気体燃料出入口用弁装置を取付けられる首部とを有するものが用いられている（例えば、特許文献１参照）。
特開２００２−１０６７８７号公報

しかしながら前記気体燃料タンクは、それを水平に位置決めするための手段を備えていないので、支持フレーム部材への固定に際し、気体燃料タンクの水平位置決め作業性が悪い、という問題があった。

本発明は前記問題を解消し得る前記気体燃料タンクへの車体への搭載方法を提供することを目的とする。

前記目的を達成するため第１発明によれば、円筒状タンク完成体と、前記タンク完成体の軸線方向一端部に設けられて一部がそのタンク完成体より外方に突出する気体燃料出入用弁装置と、前記タンク完成体の軸線方向他端部に設けられて外方に向って開口するピン孔とを備えた気体燃料タンクを、支持フレーム部材を介して車体に搭載するに当たり、前記タンク完成体の軸線と前記弁装置の前記一部の軸線と前記ピン孔の中心線とが１つの水平線上に配置されるようにし、且つ前記支持フレーム部材として、前記タンク完成体の軸線を挟んで該タンク完成体の両側に並ぶ前、後部フレームと、それら前、後部フレームに着脱可能に連結される右、左側部フレームとを備えたものを使用するようにした、気体燃料タンクの車体への搭載方法であって、
治具の所定位置に前記前、後部フレームをセットする工程と、前記治具に互いに間隔をおいて設けた第１水平保持部材及び第２水平保持部材の一方に前記弁装置の前記一部を、またその他方に前記ピン孔をそれぞれ保持させるようにして、前記気体燃料タンクを該治具上で水平に位置決め保持する工程と、その治具上に水平に位置決め保持した前記気体燃料タンクを、該治具にセットされている前記前、後部フレームに固定バンドを介して固定する工程と、その固定バンドによる固定状態のまま前記前、後部フレームおよび前記気体燃料タンクを前記治具より取外して、その前、後フレームを、予め車体に位置決め固定した前記右、左側部フレームに連結する工程とを含むことを特徴とする、気体燃料タンクへの車体への搭載方法が提供される。

本発明によれば、モジュール製作用治具に存する一方の水平保持部材により気体燃料タンク一端部の弁装置の一部を保持し、また他方の水平保持部材に同タンク他端部のピン孔を保持する、といった簡単な手段によって気体燃料タンクの水平位置決めを行うことができる。そして、前記治具に予め位置決め固定された支持フレーム部材の前、後部フレームに気体燃料タンクを水平に固定することができるので、それら気体燃料タンク及び前、後部フレームを治具より取り外してから、その前、後フレームを、予め車体に位置決め固定した支持フレーム部材の右、左側部フレームに連結することにより、気体燃料タンクを車体に水平に搭載することができる。

図１において、車載用気体燃料タンクモジュール１は、支持フレーム部材２と、その支持フレーム部材２に、２本の金属製固定バンド３により水平に固定された気体燃料タンク４とを有する。支持フレーム部材２は、車体の前側に配置される前部フレーム５と、車体の後側に配置される後部フレーム６と、車体の右側に配置される右側部フレーム７と、車体の左側に配置される左側部フレーム８とよりなり、右側部フレーム７および左側部フレーム８は予め車体に位置決め固定されている。

図２〜図４において、気体燃料タンク４は、円筒状タンク完成体９と、そのタンク完成体９の軸線方向一端部に設けられて一部がそのタンク完成体９より外方に突出する気体燃料出入用弁装置１１と、タンク完成体９の軸線方向他端部に設けられて外方に向って開口するピン孔１２とを備えている。弁装置１１の一部、実施例では六角状部１５およびピン孔１２を、気体燃料タンク４を支持フレーム部材２に固定する際に、そのタンク４の水平位置決めに用いるべく、タンク完成体９の軸線Ｌ₁ と、六角状部１５の軸線Ｌ₂ と、ピン孔１２の中心線Ｌ₃ とが１つの直線Ｌ上に配置されている。

このように構成すると、後述するように、モジュール製作用治具に存する一方の水平保持部材により六角状部１５を保持し、また他方の水平保持部材のピンをピン孔１２に嵌める、といった簡単な手段によって気体燃料タンク４の水平位置決めを行うことができる。そして、前記治具に予め位置決め固定された支持フレーム部材２、実施例では前、後部フレーム５，６に気体燃料タンク４を水平に固定することができる。

円筒状タンク完成体９はアルミニウム製内殻体９₁ と、その内殻体９₁ を被覆するＦＲＰ製外殻体９₂ とよりなる。弁装置１１は内殻体９₁ の首部９ａに設けられている。ピン孔形成体１０は、一端面にピン孔１２を開口させた筒体１３と、その筒体１３の他端に在って内殻体９₁ に接合された取付フランジ１４とを有する。ピン孔形成体１０は外殻体９₂ 内に埋込まれていて、筒体１３の開口端面１３ａが、外殻体９₂ 外面と面一およびその外面より没入の一方の状態、実施例では面一の状態にある。

このように構成すると、内殻体９₁ に付設されたピン孔形成体１０が外殻体９₂ 外面に突出することがないので、車載状態にてピン孔形成体１０と他物との干渉を無くしてそのピン孔形成体１０を起点とした気体燃料タンク４の損傷を防止することができる。またＦＲＰ製外殻体９₂ をフィラメント・ワインディング法やハンドレイアップ法によって成形する際に、六角状部１５およびピン孔１２により内殻体９₁ の両端部を保持して、その成形作業性を向上させることができる。

内殻体９₁ は熱可塑性プラスチック（ＨＤＰＥなど）といった合成樹脂より構成されていてもよい。また外殻体９₂ において、マトリックスとしてはエポキシ樹脂が用いられているが、これは変性エポキシ樹脂等で代替し得る。また強化材としては炭素繊維が用いられているが、これはガラス繊維、アラミド繊維等で代替し得る。

図５において、モジュール製作用治具１６は、仮想長方形平面の四隅に立設された４本の角柱状第１〜第４脚１７〜２０を有し、前記平面の各長辺側に配置された第１、第２連結材２１，２２により、相対向する第１、第２脚１７，１８および第３、第４脚１９，２０の対向面中間部間がそれぞれ連結され、また前記平面の各短辺側に配置された第３、第４連結材２３，２４により、相対向する第１、第４脚１７，２０および第２、第３脚１８，１９の上部間が第１、第２連結材２１，２２の上方においてそれぞれ連結されている。第１〜第４脚１７〜２０の上端面および第３、第４連結材２３，２４の上面は同一仮想平面上に在る。

第１、第２脚１７，１８の上端面近傍において、第３、第４連結材２３，２４の上面端部にそれぞれ前部フレーム５用第１、第２位置決めピン２５，２６が立設され、また第３、第４脚１９，２０の上端面にそれぞれ後部フレーム６用第３、第４位置決めピン２７，２８が立設されている。さらに第３連結材２３の中間部に、ほぼＹ字形をなす第１水平保持部材２９が、その鉛直部３０を固着して立設され、その二股部３１の内面は、図６にも示すように、弁装置１１における六角状部１５の１つの稜線ａおよびその両側の傾斜面ｂに対応して、第１、第２位置決めピン２５，２６側および第３、第４位置決めピン２７，２８側から下り勾配で、且つ谷底部ｃを形成する２つの傾斜面ｄと、両傾斜面ｄの上縁から上方へ伸びる２つの鉛直面ｅとよりなる。

また第４連結材２４の中間部に、気体燃料タンク４のピン孔１２に対応して第２水平保持部材３２が設けられている。その部材３２は、第４連結材２４に立設された支持体３３と、その上端部に配置されて、第１水平保持部材２９との対向面から突出し、また没入するように構成されたピン３４と、そのピン３４の操作用つまみ３５とを有する。

支持フレーム部材２への気体燃料タンク４の取付けに当っては、図５に示すように、前部フレーム５を、その両端に存する位置決め孔３６を治具１６の第１、第２位置決めピン２５，２６にそれぞれ貫通させてその治具１６に載置する。また後部フレーム６を、その両端に存する位置決め孔３７を治具１６の第３、第４位置決めピン２７、２８に貫通させてその治具１６に載置する。

図７にも示すように、前部フレーム５の２つのバンド取付孔３８が存する位置に、２本の分割式固定バンド３の一方の半体３９に設けられた取付金具４０を当て、ボルト継手４１を介して各半体３９を前部フレーム５に取付ける。また後部フレーム６の２つのバンド取付孔４２が存する位置に他方の半体４３に設けられた取付金具４４を当て、ボルト継手４５を介して各半体４３を後部フレーム６に取付ける。

図６，８，９に示すように、第２水平保持部材３２のピン３４を支持体３３内に没入させた状態において、気体燃料タンク４を両固定バンド３の両半体３９，４３間に入れ、弁装置１１の六角状部１５に存する１本の稜線ａを、第１水平保持部材２９の二股部３１に存する谷底部ｃに、またその両側の傾斜面ｂを二股部３１に存する両傾斜面ｄにそれぞれ合致させて、その六角状部１５を第１水平保持部材２９に保持させ、また第２水平保持部材３２のピン３４をピン孔１２に嵌めてボス１３を第２水平保持部材３２に保持させる。これにより気体燃料タンク４は水平に位置決めされる。

図７，１０に示すように、対をなす両半体３９，４３の両端に在って相対向する両締付金具４６，４７のボルト挿通孔にボルト４８を挿通し、また各ボルト４８にナット４９をねじ込む。そして気体燃料タンク４の水平位置決め状態を崩さないように各ボルト４８およびナット４９による締付量を調整しつつ、両固定バンド３によって気体燃料タンク４を前、後部フレーム５，６に水平に取付ける。

その後、前、後部フレーム５，６および気体燃料タンク４を治具１６より取外して、 前、後フレーム５，６を、予め車体に位置決め固定された右側部、左側部フレーム７，８に連結するもので、これにより気体燃料タンク４が車体に水平に搭載される。

車載用気体燃料タンクモジュールの斜視図である。 気体燃料タンクの要部破断正面図である。 図２の３矢視図である。 図２の４矢視図である。 モジュール製作用治具と前、後部フレームとの関係を示す斜視図である。 第１水平保持部材と弁装置の六角状部との関係を示す側面図である。 モジュール製作用治具と、前、後部フレーム、気体燃料タンクおよび固定バンドとの関係を示す側面図である。 気体燃料タンクと、第１および第２水平保持部材との関係を示す正面図である。 図８の９矢視図である。 モジュール製作用治具上において、気体燃料タンクを固定バンドにより前、後部フレームに取付けた状態を示す側面図である。

１…………気体燃料タンクモジュール
２…………支持フレーム部材
３…………固定バンド
４…………気体燃料タンク
５…………前部フレーム
６…………後部フレーム
７…………右側部フレーム
８…………左側部フレーム
９…………タンク完成体
９₁ ………内殻体
９₂ ………外殻体
１０………ピン孔形成体
１１………気体燃料出入用弁装置
１２………ピン孔
１３………筒体
１４………取付フランジ
１５………六角状部（弁装置の一部）
１６………治具
２９………第１水平保持部材
３２………第２水平保持部材
Ｌ…………直線
Ｌ₁ ，Ｌ₂ ……軸線
Ｌ₃ ………中心線

Claims (1)

1. 円筒状タンク完成体（９）と、前記タンク完成体（９）の軸線方向一端部に設けられて一部（１５）がそのタンク完成体（９）より外方に突出する気体燃料出入用弁装置（１１）と、前記タンク完成体（９）の軸線方向他端部に設けられて外方に向って開口するピン孔（１２）とを備えた気体燃料タンク（４）を、支持フレーム部材（２）を介して車体に搭載するに当たり、
   前記タンク完成体（９）の軸線（Ｌ₁ ）と前記弁装置（１１）の前記一部（１５）の軸線（Ｌ₂ ）と前記ピン孔（１２）の中心線（Ｌ₃ ）とが１つの水平線（Ｌ）上に配置されるようにし、且つ前記支持フレーム部材（２）として、前記タンク完成体（９）の軸線（Ｌ ₁ ）を挟んで該タンク完成体（９）の両側に並ぶ前、後部フレーム（５，６）と、それら前、後部フレーム（５，６）に着脱可能に連結される右、左側部フレーム（７，８）とを備えたものを使用するようにした、気体燃料タンクの車体への搭載方法であって、
   治具（１６）の所定位置に前記前、後部フレーム（５，６）をセットする工程と、
   前記治具（１６）に互いに間隔をおいて設けた第１水平保持部材（２９）及び第２水平保持部材（３２）の一方に前記弁装置（１１）の前記一部（１５）を、またその他方に前記ピン孔（１２）をそれぞれ保持させるようにして、前記気体燃料タンク（４）を該治具（１６）上で水平に位置決め保持する工程と、
   その治具（１６）上に水平に位置決め保持した前記気体燃料タンク（４）を、該治具（１６）にセットされている前記前、後部フレーム（５，６）に固定バンド（３）を介して固定する工程と、
   その固定バンド（３）による固定状態のまま前記前、後部フレーム（５，６）および前記気体燃料タンク（４）を前記治具（１６）より取外して、その前、後フレーム（５，６）を、予め車体に位置決め固定した前記右、左側部フレーム（７，８）に連結する工程とを含むことを特徴とする、気体燃料タンクの車体への搭載方法。

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