はじめに、本発明において用いられるプリピット同期とデータ同期とを説明する。上述したように、通常、DVD−Rにおいてはプリピット同期によりデータが記録される。これに対して、DVD−Rに既に記録されているデータ(ピット)からタイミング信号(同期信号)を抽出し、そのタイミング信号に基づいてデータを記録する方法も可能である。このような同期をデータ同期という。
図6および図7を参照して、DVD−Rにおけるプリピット同期の長所と短所とを説明する。
図6は、プリピット同期の長所を説明する図である。図6(a)は、何らかの障害により、以前の記録がセクタ(前セクタ)の途中で停止してしまっている状態を示している。この場合、DVD−Rディスクに既に記録されたデータがないのでデータ同期による記録開始が行えない。例えば、新品の追記型光ディスクに初めてデータを記録する場合は、如何なる補間方法を用いたとしても、データ同期は使えないのは明白である。従って、新品の追記型光ディスクに初めてデータ記録する場合は、必然的にプリピット同期によって記録が開始される。図6(b)は、追加記録した後のセクタの状態を示している。プリピット同期によれば、DVD−Rディスクには未記録の区間801が存在するが、接続セクタからデータを追記することができる。
図7は、プリピット同期の短所を説明する図である。図7(a)は、追加記録する前のセクタの状態で、何らかの障害により、以前に記録されたデータ(図7(a)にハッチングありで示されるデータ)がウォブル周期とずれてしまっている場合を示している。例えば、ウォブル信号の品質が悪くてウォブルPLLのロックが不安定であると、このような記録が発生する。
図7(b)は、この状態でプリピット同期を用いて新しいデータを追記した後のセクタの状態を示している。追記の開始位置付近には2重に記録された領域951が形成されている。以前に記録されたデータのずれの向きによっては、追記の開始位置付近には未記録領域ができる場合もある。この領域の大きさは、1バイト超の大きさである。また、このような2重記録領域または未記録領域が形成されると、記録されたデータのフレーム周期が不正になる。不正なフレーム周期をもつセクタでは、フレーム同期マークの間隔(SY0とSY5の間隔)が所定の間隔とは異なるようになる。その結果、フレーム同期マークであるSY5および以降のフレーム同期マークが検出できなくなり、結果的にデータが再生できなくなる。
以下、図面を用いて、本発明の一実施の形態の追記型の情報記憶媒体の記録方法、記録装置、および追記型の情報記憶媒体を説明する。
本明細書中において、情報記録媒体の記録領域に沿って領域Aと領域Bとがある場合、領域Aの方が領域Bよりも後に記録または再生される場合に、領域Aは領域Bの「後方」にあるという。この場合に、また、領域Bは領域Aの「前方」にあるという。ただし、「後方」および「前方」にあることは、2つの領域が隣接することに限定されない。領域Aの方が領域Bよりも後方にあり、かつ、領域Aが領域Bに隣接する場合に、領域Aは領域Bに続く領域であるという。
DVD−Rディスクでは、「後方」とは、ディスクのより外周側(外側)に対応する。ただし、本発明の原理は、「後方」と「外側」とが対応する場合に限定されない。「後方」と「内周側(内側)」とが対応する場合であっても、本発明の原理は同様に成立する。以下、「後方」が「外側」に対応するものとして説明を行う。
(実施の形態1)
図8は、本発明の実施の形態1におけるシステム700の構成図である。システム700は、上位装置1と、光ディスク装置2(記録装置)と、光ディスク3とを含む。上位装置1は、光ディスク装置2に光ディスク3に対する記録または再生を命令する。上位装置1は、例えば、パーソナルコンピュータである。
上位装置1と光ディスク装置2が同一筐体に収められていてもよい。このような形態は、例えば、光ディスクプレイヤや光ディスクレコーダにおいて採用される。光ディスク3は、光ディスク装置2に装着される。
光ディスク装置2は、装置全体を制御するマイコン4と、光ディスク3への記録と再生のアクセスを行う記録再生回路5と、マイコン4の制御プログラムが格納されたプログラムメモリ6と、光ディスク3へ記録および再生するデータを一時的に保持するDRAM7と、それらの構成要素をつなぐ内部バス8から構成される。
記録再生回路5は、光ディスク3(情報記録媒体)に管理情報を記録する記録手段として機能する。
図9は、光ディスク装置2の記録再生回路5のタイミング発生を説明するブロック図である。トラッキング誤差信号から抽出されたウォブル信号1001は、ウォブルPLL1021に入力される。ウォブルPLL1021は、ウォブル信号1001の周波数を抽出して、ウォブルクロック1004を出力する。トラッキング誤差信号から抽出されたLPP信号1002は、プリピット同期マーク検出部1022に入力される。プリピット同期マーク検出部1022は、入力されたトラッキング誤差信号の中から同期パターンを検出すると、プリピット同期検出信号1005を出力する。ウォブルカウンタ1026は、ウォブルクロック1004でカウンタ値を1増加し、プリピット同期検出信号1005でカウンタ値を0にし、カウンタ値が所定の値になるとタイミング信号1009を出力する。
光ディスクから反射された全光量であるRF信号1003は、データPLL1023と2値化部1024に入力される。データPLL1023はRF信号1003の周波数を抽出して、データクロック1006を出力する。2値化部1024はRF信号1003の振幅をスライスして、2値化RF1007を出力する。データ同期マーク検出部1025は、2値化RF1007をデータクロック1006によってサンプリングする。データ同期マーク検出部1025は、同期マークを検出するとデータ同期検出信号1008を出力する。データカウンタ1027は、データクロック1006に応答してカウンタ値を1増加し、データ同期検出信号1008に応答してカウンタ値を0にする。データカウンタ1027は、カウンタ値が所定の値になるとタイミング信号1010を出力する。マイコン4が設定する選択信号1011は、セレクタ1028に入力される。セレクタ1028は、選択信号1011に従って、タイミング信号1009もしくはタイミング信号1010のいずれかを選択タイミング信号1012として出力する。
光ディスク3(図8)に予めカッティングされた情報(ウォブルおよびLPP)から得たタイミング信号1009(第2の同期信号)を用いる同期方法がプリピット同期に対応し、光ディスクに記録された情報(データ)から得たタイミング信号1010(第1の同期信号)を用いる同期方法がデータ同期に対応する。このように、光ディスク3(情報記録媒体)に記録されているデータには、第1の同期信号が含まれているということができる。また、光ディスク3には、第2の同期信号が予めカッティングによって形成されているということができる。
本発明の実施の形態1の光ディスク装置2(図8)では、以前に記録されたセクタの状態に応じて、追加記録するときの同期条件(プリピット同期またはデータ同期)が動的に切り替えられる。この切り替えは、マイコン4が生成する選択信号1011によって行われる。具体的には、データの追記を開始しようとする位置のすぐ前方の領域が記録済みならばデータ同期で追記を行い、直前が未記録であるか、または既にデータ同期での追記に失敗したのであればプリピット同期で追記を行う。さらに、いずれの同期方法も追記できない場合はその場所をスキップして別の場所に追記を行う。このようにして、光ディスク装置2は、プリピット同期でもデータ同期でも記録が開始できない場合にも、対処することが可能である。ただし、連続してスキップする数には限度が設けられている。これにより、光ディスク装置2を用いて記録された光ディスク3に対して、実施の形態3において後述する、記録終端を探索する処理をおこなうことが可能である。
プリピット同期でもデータ同期でも記録が開始できないという事態は、例えば、追記を開始しようとする箇所の直前のセクタに汚れが付着したり傷があったりする場合に発生し得る。このような場合には、そのセクタを光スポットが通過すると、トラッキングサーボが外れることがあり、その結果、そのセクタには、データの記録が開始できなかったり、そのセクタに記録されたデータが再生できなかったりする。
図10は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置2(図8)におけるRMA更新処理の手順を示す。図10に示されるRMA更新処理は、光ディスク装置2によって実行される。図10において、RMA先頭におけるLLA(図4)とRMAリードイン領域(図4)とに対する処理は、フローチャートが複雑になるため省いている。以下、RMA記録処理の各ステップを説明する。
ステップ1101:記録終端のサーチ処理が行われる。記録終端のサーチ(探索)処理は、実施の形態3において後述する。記録終端とは、記録済みのブロックと未記録のブロックとの境界をいう。
ステップ1102:RMDスキップ数が0に初期化される。RMDスキップ数が0であることは、RMDを追記するブロックをスキップした個数が0であることを示す。
ステップ1103:ステップ1101において探索された記録終端がRMAの先頭であるか否かが判定される。記録終端がRMAの先頭であることは、RMAにRMDが全く記録されていないことを示す。ステップ1103の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ1104に進む。ステップ1103の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1105に進む。
ステップ1104:プリピット同期が選択される。これは、セレクタ1028(図9)にタイミング信号1009を選択するように、マイコン4(図8)が選択信号1011(図9)を発行することによって行われる。
ステップ1105:データ同期が選択される。これは、セレクタ1028にタイミング信号1010を選択するように、マイコン4が選択信号1011を発行することによって行われる。
ステップ1106:現在の記録終端の次のブロックが、新しいRMDを記録する対象として決められる。
ステップ1107:ステップ1104またはステップ1105において選択された同期方法を使用して、ステップ1106で決められた対象に、RMDが記録される。
ステップ1108:RMDの記録に成功したか否か(RMDの記録動作が正常に終了したか否か)が判定される。RMDの記録動作が正常に終了しない場合とは、RMDの記録動作を開始することができない場合(例えば、記録を開始する位置決めができない場合)を含む。また、RMDの記録動作が正常に終了しない場合とは、RMDの記録動作を開始することはできたが、何らかの原因(例えば、記録ヘッドのサーボ系のエラー、ウォブルPLLの同期外れ等)によって、その記録動作が中断した場合を含む。
ステップ1108における判定は、マイコン4(図8)によって行われる。ステップ1108において、マイコン4は、記録動作が正常に終了したか否かを判定する判定手段として機能する。
ステップ1108の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ1109に進む。ステップS1108の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1114に進む。
ステップ1109:記録に成功したブロック分だけ、記録終端の位置が進められる。
ステップ1110:RMDスキップ数が0にリセットされる。
ステップ1111:RMDが記録されたブロックのベリファイ(再生検証)が行われる。
ステップ1112:ベリファイの結果が正常である(記録されたRMDが正しく再生される)か否かが判定される。ステップ1112の判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了する(正常終了)。ステップ1112の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1113に進む。
ステップ1113:RMAを使い尽くしたか否かが判定される。ステップ1113の判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了(異常終了)する(RMDの記録に失敗)。ステップ1113の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1105に戻る(データ同期を選択してRMDの記録のリトライが行われる)。
ステップ1114:リトライ済みであるか否かが判定される。「リトライ済み」とは、ステップ1108において失敗した(正常に完了しなかった)RMDの記録動作が、最初の記録動作ではないことをいう。ステップ1114の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ1115に進む。ステップ1114の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1104に戻る(プリピット同期を設定して同じブロックでリトライする)。
ステップ1115:RMAを使い尽くしたか否かが判定される。ステップ1115の判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了(異常終了)する(RMDの記録に失敗)。ステップ1115の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1116に進む。
ステップ1116:1ブロック分、記録終端が進められる。これにより、ステップ1108において記録に失敗したブロックがスキップされる。
ステップ1117:スキップしたブロックの数を示すRMDスキップ数を1増加させる。
ステップ1118:RMDスキップ数が上限値よりも大きいか否かが判定される。RMDスキップ数は、連続して未記録のままに残した領域の大きさ(ブロック数)を示す。ステップ1118の判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了(異常終了)する(RMDの記録に失敗)。ステップ1118の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1104に戻る(プリピット同期を選択して、次のブロックにリトライする)。
図11、図12、図13は、図10のフローチャートに従ってRMAを記録する処理の具体例を示す。図11、図12、図13において、太線で囲まれた矩形は、記録済みのブロックを示す。
図11は、記録に成功し続けた場合のRMAの更新の例を示す。RMAの更新とは、RMAに新たなRMDを記録(追記)することである。状態(a)は、RMAに初めてRMDを記録する前の状態を示す。状態(a)では、LLAとRMAリードイン領域とRMD#1の3ECCブロックに、プリピット同期で記録動作を行おうとしている。
状態(b)は、RMD#1のベリファイに失敗(図10のステップ1111)した場合のリトライ、もしくは、記録終端探索でRMD#1が記録済みと判断された場合(すなわち、図10のステップ1101で、RMD#1とRMD#2との間が記録終端であると求められた場合)の最初のトライ(記録動作)を示す。状態(b)では、RMD#2の1ECCブロックに、データ同期で記録動作を行おうとしている。
状態(c)は、RMD#2のベリファイに失敗した場合のリトライ、もしくは記録終端探索でRMD#2が記録済みと判断された場合の最初のトライを示す。状態(c)では、RMD#3の1ECCブロックに、データ同期で記録動作を行おうとしている。
図12は、RMAの先頭付近で記録に失敗した場合のRMAの更新の例を示す。状態(a)は、RMAに初めてRMDを記録する記録動作を示す。状態(a)では、LLAとRMAリードイン領域とRMD#1との3ECCブロックに、プリピット同期で記録動作を行おうとしている。
状態(b)は、LLAがプリピット同期で記録できなかった場合の動作を示す。状態(b)では、そのブロック(LLA)をスキップして、RMAリードイン領域とRMD#1との2ECCブロックに、プリピット同期で記録動作を行う。
状態(c)は、RMAリードイン領域もプリピット同期で記録できなかった場合の動作を示す。状態(c)では、そのブロック(RMAリードイン領域)をスキップして、RMD#1の1ECCブロックに、プリピット同期で記録動作を行おうとしている。
状態(d)は、RMD#1もプリピット同期で記録できなかった場合の動作を示す。状態(d)では、そのブロックをスキップして、RMD#2の1ECCブロックにプリピット同期で記録動作を行おうとしている。RMDスキップの上限値が3ECCブロックであると仮定すると、RMD#2にプリピット同期で記録できなければ、RMDの更新に失敗(図10のステップ1118における判定が「Yes」)して異常終了することとなる。通常、ここまで記録できないディスクは殆どないので、状態(b)〜(d)の何れかでRMDの更新が正常に終了する。
このように、記録再生回路5(記録手段)は、状態(c)において、光ディスク3の所定の位置RMD#1に記録する記録動作を行い、その記録動作が正常に終了しなかったとマイコン4(判定手段)によって判定された場合には、状態(d)において、光ディスク3のその所定の位置RMD#1とは異なる位置RMD#2に記録する記録動作を行う。
さらに、記録再生回路5は、状態(c)〜(d)において、記録動作が正常に終了するか、または、記録動作の繰り返し回数が所定の回数に達するまで、光ディスク3の異なる位置について管理情報の記録動作を行う。
図13は、RMAの中ほどで記録に失敗した場合のRMAの更新の例を示す。状態(a)は、既にRMD#2まではRMAに正常に記録されていて、RMD#3に最新の記録状態を示す内容を記録する動作を示す。状態(a)では、RMD#3の1ECCブロックに、データ同期で記録動作を行おうとしている。
状態(b)は、RMD#3がデータ同期で記録できなかった場合(図10のステップ1108における判定が「No」である場合)の動作を示す。状態(b)では、RMD#3にプリピット同期で記録動作を行おうとしている。
このように、記録再生回路5(記録手段)は、状態(a)において、データ同期で(すなわち、第1の同期信号に基づいて)、所定の位置RMD#3に管理情報を記録するための記録動作を行う。マイコン4(判定手段)によって、その記録動作が正常に終了しなかったと判定された場合には、記録再生回路5(記録手段)は、状態(b)において、プリピット同期で(すなわち、第2の同期信号に基づいて)、その所定の位置RMD#3に管理情報を記録するための記録動作を行う。
状態(c)は、RMD#3がプリピット同期でも記録できなかった場合の動作を示す。状態(c)では、RMD#3に記録しようとしたデータをRMD#4にプリピット同期で記録しようとしている。
このように、プリピット同期での所定の位置RMD#3への管理情報の記録が正常に終了しなかったと判定された場合には、記録再生回路5(記録手段)は、状態(c)において、プリピット同期で(すなわち、第2の同期信号に基づいて)、RMD#3とは異なる位置RMD#4に管理情報を記録するための記録動作を行う。
状態(d)は、RMD#4もプリピット同期で記録できなかった場合の動作を示す。状態(d)では、RMD#3に記録しようとした内容をRMD#5にプリピット同期で記録する。
状態(e)は、RMD#5もプリピット同期で記録できなかった場合の動作を示す。状態(e)では、RMD#3に記録しようとした内容をRMD#6にプリピット同期で記録しようとしている。RMDスキップの上限値が3ECCブロックであると仮定すると、RMD#6もプリピット同期で記録できなければ、RMDの更新に失敗して異常終了(図10のステップ1118における判定が「Yes」となる)することとなる。通常、ここまで記録できないディスクは殆どないので、状態(b)〜(e)の何れかでRMDの更新が正常に終了する。
このように、プリピット同期でのRMD#4への管理情報の記録が正常に終了しなかったと判定された場合には、記録再生回路5(記録手段)は、状態(d)〜(e)において、記録動作が正常に終了するか、または、記録動作の繰り返し回数が所定の回数に達するまで、光ディスク3の異なる位置について管理情報の記録動作を行う。
結果的に、上記の記録方法で記録された光ディスク3は、追加記録されるデータ(最新の管理情報)は、古いデータ(RMD)にデータ同期もしくはプリピット同期で接続される。新しいRMDが古いRMDにデータ同期を使用して接続された場合、RMAに含まれる複数のブロックのうち、少なくとも1つのブロックには、前方に隣接するブロックに記録されたデータ(古いRMD)を基準にして位置決めされたデータ(新しいRMD)が記録されている。これにより、RMD(管理情報を表すデータ)が正しく読み出される確率が高くなり、データの信頼性が高くなる。
また、何らかの不具合により記録できない領域がある場合には、その領域を未記録のまま残し、後続の領域に最新の管理情報が記録される。その結果、RMAに含まれる複数のブロックのうち、未記録のブロックに続く少なくとも1つのブロックが記録済みになっている。
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、追記型の情報記憶媒体の管理情報を記録する領域に記録が困難な場所があった場合でも、記録を開始する際に同期方法として動的に適した条件を選択することで、記録が成功する確率が増える。また、いずれの同期条件でも記録が開始できない場所があった場合、その場所を未記録のままにしてでも、後続の領域に最新の管理情報をディスク上に記録することができる。
記録管理領域(RMA)の場合について説明したが、ユーザデータが記録された領域以外の領域に、ユーザデータ以外の所定のデータを記録する(例えば、RZoneのクローズの為にユーザデータが記録された領域に隣接する領域に0埋めデータを記録する、リードアウト領域やリードイン領域のような同じデータを繰返して記録する、等)場合にも、データ同期とプリピット同期とを動的に選択するという本発明の原理を適用することができる。
(実施の形態2)
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態2の追記型の情報記憶媒体の記録方法、記録装置、および追記型の情報記憶媒体を説明する。
実施の形態2の光ディスク装置の構成は、図8を参照して説明した光ディスク装置2の構成と同一である。また、記録再生回路の構成も、図9を参照して説明した記録再生回路5の構成と同一である。
図14は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置におけるRMA更新処理の手順を示す。実施の形態2では、RMAの更新のリトライを行う場合に、複数のRMDに同一の内容が一気に(連続したブロックに)記録される。図14において、図10に示されるステップと同一のステップには同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
ステップ1501:ステップ1107において行おうとしているRMDの記録が、リトライであるか否かが判定される。「RMDの記録がリトライである」とは、その同一の内容のRMDをRMA領域のいずれかの位置に記録するための記録動作が既に試みられた後であることをいう。ステップ1501の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ1503に進む。ステップ1501の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1502に進む。
ステップ1502:RMD繰り返し数が「1」にセットされる。
ステップ1503:RMD繰り返し数が「3」にセットされる。
ステップ1502またはステップ1503においてセットされたRMD繰り返し数は、ステップ1107において使用される。ステップ1107では、RMD繰り返し数だけの連続したブロックに、同一のRMD(管理情報)が記録される。
図15は、図14のフローチャートに従ったRMAの更新の一例を示す。図15において、太線で囲まれた矩形は、記録済みのブロックを示す。状態(a)は、既にRMD#2までは管理情報が正常に記録されている状態を示す。状態(a)では、RMD#3に最新の記録状態を示す内容を記録しようとしている。RMD#3のRMD#3の1ECCブロックに、データ同期で記録動作が行われる。
状態(b)は、RMD#3の記録開始に失敗した場合に、失敗した箇所の続きから記録動作を行うことを示す。状態(b)では、RMD#3に記録しようとした内容を、RMD#3とRMD#4とRMD#5に、プリピット同期で記録する。
このように、記録再生回路5(記録手段)は、状態(a)における記録動作が正常に終了しなかった場合には、RMAの連続した少なくとも2つのブロックのそれぞれに同一の管理情報を記録するための記録動作を行う。
RMD#3とRMD#4とRMD#5とのうち、図14のステップ1111において再生ができることを検証(ベリファイ)しなければならない最低限のECCブロックは、RMD#5の1ECCブロックに記録されたRMD(最後に記録された管理情報)のみである。RMD#4およびRMD#3のECCブロックは、再生できなくても、リトライ対象としなくても良い。
状態(c)は、RMD#3がプリピット同期でも記録できなかった場合の動作を示し、RMD#3に記録しようとした内容を、RMD#4とRMD#5とRMD#6にプリピット同期で記録する。この場合、再生ができることを検証しなければならない最低限のECCブロックは、RMD#6の1ECCブロックである。
このように、連続した複数のブロックに同一の管理情報(RMD)を記録した場合に、少なくとも最後に記録された管理情報のみを再生検証するようにする。
ステップ1111(図12)において、記録再生回路5は、連続した複数のブロックに記録された管理情報のうち、最後に記録された管理情報のみを再生検証する検証手段として機能する。
図16は、図14のフローチャートに従ったRMAの修復(リカバリ)の一例を示す。図16において、太線で囲まれた領域は、記録済みの領域を示す。状態(a)は、既にRMD#1までは管理情報が正常に記録されている状態を示す。状態(a)では、RMD#2に最新の記録状態を示す内容を記録しようとしている。RMD#2の1ECCブロックに、データ同期で記録動作が行われる。
状態(b)は、RMD#2の記録が途中で失敗(中断)した場合に、失敗した箇所の続きから記録動作を行うことによってRMAを修復する動作を示す。状態(b)でRMD#2に記録しようとした内容を、RMD#2とRMD#3とRMD#4とに、プリピット同期で記録しようとしている。この場合、再生ができることを検証(ベリファイ)しなければならない最低限のECCブロックは、RMD#4の1ECCブロックである。RMD#3の1ECCブロックは、再生できなくても、リトライ対象としなくても良い。
状態(c)は、リトライにより修復されたRMAの状態を示す。
結果的に、上記の記録方法で記録された追記型の情報記憶媒体は、RMAに含まれる複数のブロックのうち、連続した少なくとも2つのブロックに、同一の管理情報が記録されている(図16の状態(c)に示されるRMD#3とRMD#4)。この連続したブロックへの記録動作は、記録動作を中断することなく行われることが好ましい。なぜなら、記録動作を中断することなく連続した少なくとも2つのブロックへの記録動作を行うことにより、ブロックの境界部分においてデータのリンキングに伴う接続点が生じないからである。
図16を参照して説明したRMAの修復方法によれば、RMDとしての内容を持つべき領域(ブロック)には、必ずRMDの内容が記録される。これは、記録が中断した位置の後方に特定のデータ(例えば、「0」)を埋めることに比較して、再生装置による読み誤りがないという利点が得られる。記録が中断した位置の後方に「0」を埋めるような修復方法によれば、規格通りに作られた再生装置が、その「0」をRMDと解釈してしまうおそれがある。
また、記録動作を中断することなく連続した複数のブロックへの記録動作を行った場合には、最後に記録されたRMD(図中のRMD#4に記録されるRMD)は、リンキングせずに記録される。このため、RMDの最初のフレームのビットずれが発生することがなく、エラー訂正能力がそのようなビットずれによって浪費されることがない。これにより、光ディスク3に記録されたデータ(RMD)の信頼性を高めることができる。
(実施の形態3)
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態3の追記型の情報記憶媒体の再生方法、および再生装置を説明する。
実施の形態2の光ディスク装置の構成は、図8を参照して説明した光ディスク装置2の構成と同一である。
図17は、図8で示した記録再生回路5における、光ディスク3のセクタが未記録か記録済みかの判定に用いられる機能を説明するブロック図である。図17において、図9に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、重複した説明を省略する。図17において、図9に示される構成要素と異なる構成要素は、ハッチングで示されている。
RF信号1003はエンベロープ検波部1821に入力される。エンベロープ検波部1821は入力された信号の振幅変化であるエンベロープ1801を出力する。レベル比較器1822は、エンベロープ1801をウォブルクロック1004の周期でサンプリングして、エンベロープ1801が所定値を超える場合にエンベロープ検出1802を出力する。
エンベロープカウンタ1823は、エンベロープ検出信号1802に応答してカウンタ値を1増加し、プリピット同期検出信号1005に応答してカウンタ値を0にする。エンベロープカウンタ1823のカウンタ値は、エンベロープカウンタ値1803として出力される。
同期マークカウンタ1824は、データ同期検出信号1008に応答してカウンタ値を1増加し、プリピット同期検出信号1005に応答してカウンタ値を0にセットする。同期マークカウンタ1824のカウンタ値は、同期マークカウンタ値1804として出力される。
マイコン4(図8)は、エンベロープカウンタ値1803と同期マークカウンタ値1804の何れか、もしくは両方を用いることにより、プリピット同期の周期(即ちセクタ周期)で、光ディスク3が記録済みか未記録を判断することができる。
実施の形態3の再生装置は、実施の形態1および実施の形態2の記録装置において、RMAの途中に未記録の箇所を含んでいる場合でも、最後に記録された箇所(図13の状態(c)〜(e)参照)を適切に探索するために用いられる。このような探索は、図10(実施の形態1)および図14(実施の形態2)のステップ1101において行われる。
実施の形態3において説明する方法は、記録の終端を含む領域を絞り込む処理(粗探索処理)と、絞り込んだ領域の中から記録の終端をセクタ単位に検出する処理(密探索処理)との2段階を包含する。
実施の形態1および実施の形態2において説明したように、本発明の光ディスク装置2では、記録済みのブロックと記録済みのブロックとの間に未記録のブロックが介在する場合がある。従って、最新のRMDを再生する際には、そのような場合を考慮して記録終端を探索しなければならない。記録済みのブロックと記録済みのブロックとの間に未記録のブロックが連続する数は、ステップ1118(図10および図14)において使用される上限値よりも大きくなることはない。この上限値以下の連続する未記録のブロックは、記録終端の探索処理において、「無視」すべきである。
図18は、記録の終端を含む領域を絞り込む粗探索処理の手順を示すフローチャートである。
ステップ1901:サーチ範囲(記録の終端を探索する範囲)をユニット単位に分割(グルーピング)する。ここで、ユニットは、所定の数のセクタを含む。ユニットを構成するセクタ数は、無視したい未記録のブロックの数に1を加えたブロックの数に対応するセクタ数にする。
ステップ1902:サーチ先頭ユニット番号とサーチ終端ユニット番号とをそれぞれサーチ範囲の先頭とサーチ範囲の終端のユニット番号に初期化する。これは、サーチ範囲がRMAの全体であることを意味する。
ステップ1903:サーチ先頭ユニット番号とサーチ終端ユニット番号が等しいか否かが判定される。ステップ1903における判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了し、ステップ1903における判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1904に進む。
ステップ1904:未記録検査ユニット番号が、サーチ先頭ユニット番号とサーチ終端ユニット番号を足して2で割った値にセットされる。未記録検査ユニット番号とは、未記録か記録済みかを検査するユニット番号を示す。この演算において、小数点以下は切り捨てて、整数にする。
ステップ1905:未記録検査ユニットを検査する。ステップ1905では、図17で示した回路を用いて、未記録検査ユニットを構成する全セクタについて、記録済みであるか否かの検査が行われる。
ステップ1906:検査したユニットを構成する全てのセクタが未記録であるか否かが判定される。ステップ1906における判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ1908に進む。ステップ1906における判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ1907に進む。
ステップ1907:サーチ先頭ユニット番号を未記録検査ユニット番号に1を加えた値に設定する。
ステップ1908:サーチ終端ユニット番号を未記録検査ユニット番号に設定する。
図18に示される処理は、マイコン4(図8)によって実行される。マイコン4は、図18に示される処理を実行することによって、RMAのうち、最後に管理情報が記録されたブロックを特定する特定手段として機能する。この特定手段は、所定の数以上の連続した未記録のセクタが続く記録済みのブロックを、最後に管理情報が記録されたブロックとして特定する。
このようにして特定されたブロックに記録されている管理情報は、記録再生回路(再生手段)によって再生される。
図18に示されるステップ1903〜ステップ1908の処理は、全体として、ユニットに含まれるすべてのセクタが未記録であるユニットと、ユニットに含まれる少なくとも1つのセクタが記録済みであるユニットとの境界を二分木探索によって求めるステップに相当する。
図19は、絞り込んだ領域の中から記録の終端をセクタ単位に検出する密探索処理の手順を示すフローチャートである。
ステップ2001:サーチ範囲を粗探索で求めた先頭ユニットとその直前のユニットのセクタにセットする。
ステップ2002:図17で示した回路を用いて、サーチ範囲の全てのセクタについて、記録済みであるか否かの検査を行う。
ステップ2003:各セクタの検査結果から、記録済みのセクタであって、その後方にユニットを構成するセクタの数以上の連続した未記録領域を持つセクタ(ユニットを構成するセクタの数以上の連続した未記録のセクタが続く記録済みのセクタ)を記録終端セクタとする。
図19に示される処理は、マイコン4(図8)によって実行される。このように、マイコン4(特定手段)は、記録済みのユニットと未記録のユニットとの境界を挟んで隣接する2つのユニットに含まれるすべてのセクタについて、記録済みであるか否かを判定する。
図20は、記録管理領域(RMA)に対して、図18と図19のフローチャートによる探索を行う動作を説明する図である。図20に示される状態では、記録管理領域は、RMD#12まで更新されているが、RMD#8とRMD#9が未記録のままスキップされている。ユニットを構成するセクタ数もしくはブロック数は、RMDスキップの上限値に等しい。また、ユニット番号は0から始まるものとする。
先頭ユニット番号を0、終端ユニット番号を終端ユニットを指す233に初期化して1回目の探索を行う(図20(a))。探索を繰り返す毎に終端ユニット番号は変化する。終端ユニット番号は、2回目の探索の前に116(=233/2)であり、3回目の探索の前に58であり、4回目の探索の前に29であり、5回目の探索の前に14であり、6回目の探索の前に7である(図20(b))。6回目の探索のときに、検査されるユニット(ユニット番号3)の一部のセクタが記録済みである。従って、7回目の探索の前に、先頭ユニット番号が4であり、終端ユニット番号が7である(図20(c))。7回目の探索のときに、検査されるユニット番号が5であり、検査されるユニット(ユニット番号5)の全てのセクタが未記録である。従って、8回目の探索の前に、先頭ユニット番号が4であり、終端ユニット番号が5である(図20(d))。8回目の探索のときに、検査されるユニット番号が4であり、検査されるユニット(ユニット番号4)の一部のセクタが記録済みである。従って、9回目の探索の前に、先頭ユニット番号と終端ユニット番号が共に5となり、粗探索が終了する(図20(e))。
次に密探索の範囲は、先頭ユニット(ユニット番号5)とその直前のユニット(ユニット番号4)を構成するセクタとなる。記録済みのセクタであって、その後方にユニットを構成するセクタの数以上の連続した未記録領域を持つセクタは、RMD#12の最終セクタであると求まる。
図21は、より新しいRMDを読み込む処理の手順を示すフローチャートである。図21に示されるフローチャートは、上述したRMAの記録終端が求まった後に実行される。
ステップ2201:再生の対象とするブロックを、記録済みの最終の(最も後方に位置する)ECCブロックとする。
ステップ2202:ステップ2201で指定されたブロックを再生する。
ステップ2201およびステップ2202において、記録再生回路5は、RMAの複数のブロックのうち、最も後方に位置するブロックに記録された管理情報を再生する再生手段として機能する。
ステップ2203:データの再生に成功したか否かが判定される。ステップ2203の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ2204に進む。ステップ2203の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ2205に進む。
ステップ2203の判定は、マイコン4(図8)によって行われる。ステップ2203において、マイコン4は、再生処理が正常に終了したか否かを判定する判定手段として機能する。
ステップ2204:再生されたデータがRMDであるか否かが判定される。この判定は、例えば、RMDを示す識別子が再生データにあるかないかを判断することによって行われる。例えば、0埋めデータであれば、RMDの内容ではないと判断される。ステップ2204の判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了する(正常終了)。ステップ2204の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ2205に進む。
ステップ2205:現在処理中のブロックより内周にRMDのECCブロックがあるか否かが判定される。ステップ2205の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ2206に進む。ステップ2205の判定の結果が「No」である場合には、処理は終了(異常終了)する(RMDの再生に失敗)。
ステップ2206:再生の対象とするブロックを、1ECCブロック分、内周のECCブロックとする。
ステップ2202〜ステップ2206において、記録再生回路5(再生手段)は、再生動作が正常に終了するまで、RMAの複数のブロックに含まれる記録済みのブロックのうち、後方に位置するブロックから順にブロックに記録された管理情報を再生する再生動作を行う。
図22は、図21で示したフローチャートに従って、RMDの再生を試みる例を示す。図22には、RMD#2の記録が途中で中断した場合に、RMAの修復を0埋めデータによって行った例(a)と、RMD#2の記録が途中で中断した場合に、RMAの修復を実施の形態2の図16を参照して説明した方法によって行った例(b)とが示されている。
図22(a)では、最初の再生(図21のステップ2202)はRMD#4に対して行われる。RMD#4の再生に失敗した場合(ステップ2203の判定の結果が「No」)、2回目の再生はRMD#3に対して行われる。
RMD#3のECCブロックは、修復のため0埋めされている。このECCブロックのデータは、RMDの内容ではないと判定される(ステップ2204の判定の結果が「No」)ので、3回目の再生はRMD#2に対して行われる。
RMD#2は途中で壊れているので、再生は成功しない(ステップ2203の判定の結果が「No」)。従って、4回目の再生がRMD#1に対して行われる。
RMD#1の再生に失敗した場合(ステップ2203の判定の結果が「No」)、これ以上に内周にRMDが無いと判定される(ステップ2205の判定の結果が「No」)ので、異常終了(RMDの再生に失敗)する。
図22(b)では、最初の再生(図21のステップ2202)はRMD#4に対して行われる。RMD#4の再生に失敗した場合(ステップ2203の判定の結果が「No」)、2回目の再生はRMD#3に対して行われる。
RMD#3は、RMD#4と同じ内容を持つECCブロックである。RMD#3の再生に失敗した場合(ステップ2203の判定の結果が「No」)、3回目の再生はRMD#2に対して行われる。
RMD#2は途中で壊れているので、再生は成功しない(ステップ2203の判定の結果が「No」)。従って、4回目の再生がRMD#1に対して行われる。
RMD#1の再生に失敗した場合(ステップ2203の判定の結果が「No」)、これ以上に内周にRMDが無いと判定される(ステップ2205の判定の結果が「No」)ので、異常終了(RMDの再生に失敗)する。
本発明の実施の形態3によれば、図22(a)および図22(b)から分かるように、0埋めデータによって修復されたRMAでも本発明の実施の形態2に従って修復されたRMAでも、可能な限り新しいRMDを再生することができる。
図22(a)と図22(b)とを比較すると、本発明の実施の形態2の修復方法に従って修復されたRMAは、0埋めデータによる修復方法に従って修復されたRMAに比較して、RMD#3から正しいRMD(最新の管理情報)を再生できることが期待され得る。従って、本発明の実施の形態2の修復方法に従って修復されたRMAは、より新しいRMDが再生できる確率が高いことが分かる。
以上のように、本発明の実施の形態3によれば、記録済み領域と未記録領域の境界探索において、所定量以上連続した未記録領域を後方に持つ境界を求めることができる。例えば、実施の形態1で記録管理領域(RMA)の記録不能な箇所をスキップして後続の領域に最新の管理情報を記録したディスクであっても、最新の管理情報の記録場所を見つけ出す事ができる。
(実施の形態4)
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態4の追記型の情報記憶媒体の再生方法、および再生装置を説明する。
実施の形態4の光ディスク装置の構成は、図8を参照して説明した光ディスク装置2の構成と同一である。
図23は、追記型の情報記憶媒体に記録される第2の管理情報を説明する図である。エクストラ・ボーダー・ゾーンおよびボーダーイン領域には、第2の管理情報が記録される。第2の管理情報として、更新物理フォーマット情報(Updated Physical Format Information)が例示され得る。
エクストラ・ボーダー・ゾーンもしくはボーダーイン領域と、ボーダーアウト領域とに挟まれたボーダード領域(Bordered area)が記録済みになった後に、この更新物理フォーマット情報が記録される。この更新物理フォーマット情報には、そのボーダード領域に記録された最終ユーザデータの位置と、現ボーダーのボーダーアウト領域の位置と、次ボーダーのボーダーイン領域の予定位置とが記載される。図4に示されるように、複数のボーダーイン領域は、データ領域に分散する領域である。「分散する」とは、複数の領域が互いに隣接しない形態で存在していることをいう。
ボーダード領域には、ユーザデータが記録される。更新物理フォーマット情報は、ボーダード領域の両側を両側から挟んで完結させる緩衝領域(ボーダーゾーン)に記録される。従って、更新物理フォーマット情報は、ユーザデータに関連して光ディスク3に記録される、光ディスク3の記録状態を表す情報であるということができる。
RMAを再生する機能を持たない再生装置であっても、エクストラ・ボーダー・ゾーンを出発点として、この更新物理フォーマット情報をより外側のボーダーイン領域に向けて読み辿ることにより、ユーザデータの範囲を認識することができる。
RMAを再生する機能を持つ再生装置であれば、最新のRMDが再生できている限り、この更新物理フォーマット情報を読む必要はない。なぜならば、更新物理フォーマット情報に記載されている内容は、最新のRMDの内容から求める事ができるからである。しかしながら、最新のRMDが常に再生できるとは限らない。最新のRMDが何らかの原因(例えば、光ディスクの表面の汚れ等)により再生できない場合に、更新物理フォーマット情報は有用である。
図24は、管理情報の再生状態に応じた第2の管理情報の再生処理の手順を示すフローチャートである。ここで、管理情報(第1の管理情報)とはRMDを示し、第2の管理情報とは更新物理フォーマット情報を示す。RMDと更新物理フォーマット情報とは、いずれも、光ディスク(情報記録媒体)の記録状態を表す情報であるということができる。
図24において、更新物理フォーマット情報をUpPhyFmtInfoと略して記載している。
ステップ2501:何らかのRMDが取得済みであるか否かが判定される。ステップ2501の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ2503に進む。ステップ2501の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ2502に進む。
RMD(第1の管理情報)の取得(再生)は、図5に示される記録再生回路(再生手段)によって行われる。
ステップ2502:エクストラ・ボーダー・ゾーンの更新物理フォーマット情報が再生対象に設定される。
ステップ2503:そのRMDに記載されたクローズ済みのボーダーの中で最も外側にあるボーダーイン領域の更新物理フォーマット情報がターゲットに設定される。
ステップ2503において、再生されたRMDに基づいて、複数の領域(データエリアに含まれる、クローズ済みボーダーのボーダーイン領域)のうち、どの領域から更新物理フォーマット情報を読み出すかが特定される。したがって、ステップ2502およびステップ2503において、マイコン4は、複数の領域の1つを特定する特定手段として機能する。
ステップ2504:再生対象の更新物理フォーマット情報が再生される。
ステップ2505:再生に成功したか否かが判定される。ステップ2505の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ2507に進む。ステップ2505の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ2506に進む。
ステップ2506:少なくとも1度、更新物理フォーマット情報の再生に成功したか否かが判定される。ステップ2506の判定の結果が「Yes」である場合には、処理は終了(正常終了)する。ステップ2506の判定の結果が「No」である場合には、処理は終了(異常終了)する。
ステップ2507:再生に成功した更新物理フォーマット情報に、次ボーダーのボーダーイン領域の位置が記載されているか否かが判定される。ステップ2507の判定の結果が「Yes」である場合には、処理はステップ2508に進む。ステップ2507の判定の結果が「No」である場合には、処理は終了(正常終了)する。
ステップ2508:最新のRMDを取得済みであるか否か(最新のRMDの再生に成功したか否か)が判定される。ステップ2508の判定の結果が「Yes」である場合には、この更新物理フォーマットは最外のボーダーイン領域から読み出したものであるので、処理は終了(正常終了)する。ステップ2508の判定の結果が「No」である場合には、処理はステップ2509に進む。
ステップ2509:次のボーダーのボーダーイン領域の更新物理フォーマットが再生対象として設定される。次のボーダーの位置は、更新物理フォーマット情報に記載されている。
図24に示される処理の順序が適宜変更され得ることは言うまでもない。例えば、ステップ2508における判定が、ステップ2501における判定の前に行われてもよい。
図25は、図24のフローチャートに従った、更新物理フォーマット領域の再生順序を示す図である。図25に示される例では、光ディスクの3つのボーダーがクローズされている。図25には、図24に示されるステップに対応するステップが、同一の参照番号を付して示されている。
部分2601は、最初にアクセスする更新物理フォーマット情報の位置の選定の手順を示す。最新のRMDが再生できていれば(ステップ2508の判定の結果が「Yes」)、そのRMDの内容から最新の更新物理フォーマット情報が、3番目のボーダーのボーダーイン領域にあることが分かる。
最新のRMDが再生できなくても(ステップ2508の判定の結果が「No」)、古いRMDが再生できる場合には(ステップ2501の判定の結果が「Yes」)、そのRMDに記載のボーダー(この例では、2番目のボーダー)のボーダーイン領域にある更新物理フォーマット情報がアクセスされる(再生される)。
部分2602は、更新物理フォーマット情報を、内周のボーダーから外周のボーダーへ(すなわち、前方のボーダーから後方のボーダーへ)辿っていく処理を示す。
古いRMDが再生できて、そのRMDに2番目のボーダーまではクローズ済みと記載していれば、2番目のボーダーの更新物理フォーマット情報を再生して、次に3番目のボーダーの更新物理フォーマット情報を再生し、4番目のボーダーの更新物理フォーマット情報の再生を試みる。4番目のボーダーは未だクローズしていないので、3番目のボーダーの更新物理フォーマット情報が最新のものとして認識される。その結果、再生装置は、3番目のボーダーのユーザデータを全て再生することが可能になる。このように、記録再生回路5(図8)は、取得されたRMDに記載された領域(ボーダーイン領域)から順に、前記データ領域の後方に向かって、複数のボーダーイン領域に記録された更新物理フォーマット情報(第2の管理情報)を再生する。
以上のように、本発明の実施の形態4によれば、再生できたRMDに応じて、最初から(エクストラ・ボーダー・ゾーンの更新物理フォーマット情報から開始して)更新物理フォーマット情報を辿るよりも少ない回数で最新の更新物理フォーマット情報を取得することができる。従って、より迅速に、最新の更新物理フォーマット情報を取得することができる。また、最新のRMDを取得できなかった場合でも、クローズ済みの全てのボーダーにあるユーザデータを再生できる。
実施の形態4において、第2の管理情報の例として、更新物理フォーマット情報を挙げた。しかし、第2の管理情報は、これに限定されない。第2の管理情報として、光ディスク3(追記型の情報記憶媒体)のデータ領域内の分散した領域に記録される任意の管理情報が使用され得る。例えば、DVD−Rディスクの場合、第2の管理情報は、各ボーダーアウト領域に記録される、RMDの複製物であってもよい。