JP4286549B2 - ムライトウィスカーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ムライトウィスカーの製造方法に係り、特に、プラスチック、セラミックス、金属等の複合材料の充填材等に好適に用いられ得る、長径が長く、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを有利に製造する方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、プラスチック、セラミックス、金属等に、様々な形状の微粒子や繊維状物質を充填材として配合し、内在せしめることによって、材料の強度や耐熱性等を向上させる方法が採用されており、そのための充填材として、様々なものが開発されている。
【0003】
一方、古くから耐火材や陶磁器等に利用されているムライト結晶は、元来、針状の結晶を成すことが広く知られているところから、プラスチック、セラミックス、金属等の複合材料における充填材としての研究が進められてきており、様々なムライト結晶(ムライトウィスカー)の製造方法が、提案されている。しかしながら、そのような従来のムライトウィスカーの製造方法にあっては、種々の問題を内在するものであった。
【0004】
例えば、特開平2−157200号公報においては、ムライト粉末又はムライト前駆体を、SO4 2- 及びNO3 -の群の中から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液中において水熱処理することにより、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを製造する方法が示されているが、かかる製造方法においては、製造コストが高いという欠点がある。
【0005】
また、特開平1−212299号公報、特開平3−261700号公報、特開平5−58618号公報、及び特開平11−43399号公報においては、SiO2 源とAl23源とを含む原料混合物に、AlF3 、或いはAlF3 及び他の添加剤を配合し、比較的低い温度で焼成することにより、ムライトウィスカーを製造する方法が提案されているのであり、更に、特開平3−265600号公報では、AlF3 に替えて、HFを用いることとして、ムライト組成ゾルにHFを添加してゲル化せしめたものを、乾燥、焼成することにより、ムライトウィスカーを製造する方法が、開示されている。加えて、特開平6−191999号公報や特開平10−101500号公報等においては、Si及びAlを含む原料を、種々の添加剤と共に焼成して、その焼成体中にムライト結晶を生成させ、その後、焼成体中のガラス相を溶解、除去せしめることにより、低コストで、ムライトウィスカーを製造する方法が、提案されている。
【0006】
しかしながら、このような従来の製造方法にあっては、原料に配合せしめられたAlF3 等の添加剤が加熱されて、刺激性や毒性を有するヒューム、ガス等を発生するものであるところから、これらの製造方法を工業的規模で実施するに際しては、排ガスの処理、環境・人体への悪影響等の問題を、内在するものであった。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−157200号公報
【特許文献2】
特開平1−212299号公報
【特許文献3】
特開平3−261700号公報
【特許文献4】
特開平5−58618号公報
【特許文献5】
特開平11−43399号公報
【特許文献6】
特開平3−265600号公報
【特許文献7】
特開平6−191999号公報
【特許文献8】
特開平10−101500号公報
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、プラスチック、セラミックス、金属等の複合材料の充填材として好適に用いられ得る、長径が長く、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを、環境に悪影響を与えることなく、安価に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
そして、本発明は、かかる課題の解決のために、平均長さが8μm以上であり、且つアスペクト比の平均が12.0以上であるムライトウィスカーを製造する方法にして、Al23及びSiO2 を主成分とする化学組成を与えるムライト原料を、平均粒径が20μm以下となるように粉砕する一方、そのような原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ、次いで、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、かかる造粒物を、焼成炉内において、焼成温度下、1時間以上保持した後、500℃/時間以下の冷却速度にて、炉内温度が1000℃となるまで冷却することにより、焼成せしめた後、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去して、長径が長く、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを得ることを特徴とするムライトウィスカーの製造方法を、その要旨とするものである。
【0010】
このように、本発明に従うムライトウィスカーの製造方法にあっては、細かく粉砕された原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ、その混合物を造粒して得られる造粒物を、焼成炉内において、焼成温度(最高温度)下、一定時間以上保持した後、緩やかな冷却速度にて炉内温度が1000℃となるまで冷却することにより、焼成せしめるものであるところから、各々の造粒物中において、焼成による化学反応(ムライトウィスカーの生成・成長反応)を充分に生ぜしめ得るのであり、その結果、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去することによって、長径が長く、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを、ウィスカー成長助剤となる所定の化学物質を用いることなく、効率良く製造することが出来るのである。
【0011】
なお、かかる本発明に従うムライトウィスカーの製造方法においては、前記ムライト原料の粉砕は、湿式粉砕操作にて実施されることが望ましく、このように、湿式粉砕操作によりムライト原料が粉砕されることによって、粉砕後、原料粉砕物の分散媒体中への分散、混合が、容易ならしめられ得るのである。
【0012】
また、本発明の望ましい態様の一つによれば、前記造粒物は、1500〜1800℃の焼成温度にて焼成されることとなるのであり、このような焼成温度にて焼成されることにより、焼成体中に、ムライトウィスカーを効果的に生成、成長せしめることが出来る。
【0013】
さらに、このような本発明におけるムライトウィスカーの製造方法にあっては、一般に、化学組成が、Al23:50〜70重量%、SiO2 :30〜50重量%、その他の成分:0〜5重量%となるように、前記ムライト原料が、調製されることとなる。このように調製されたムライト原料を用いることにより、ムライトウィスカーの収率を高めることが出来るのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
ところで、かかる本発明に従うムライトウィスカーの製造方法においては、先ず、Al23源原料や、SiO2 源原料、或いはAl23成分及びSiO2 成分を共に含有する原料鉱物等が出発原料として用いられて、Al23及びSiO2 を主成分とする化学組成を与えるムライト原料が、準備される。
【0015】
ここにおいて、Al23源原料としては、焼成後にAl23を生じ得る化合物であれば、如何なる原料であっても用いられ得るものであり、例えば、アルミナゲル、アルミナゾル、水酸化アルミニウム、仮焼アルミナ等を挙げることが出来る。また、SiO2 源原料としても、焼成後にSiO2 を生じ得る原料であれば、如何なる化合物であっても用いられ得るのであり、例えば、シリカ、シリカゲル、シリカゾル、ヒュームドシリカ等を挙げることが出来る。さらに、Al23成分及びSiO2 成分を共に含有する原料鉱物であっても、好適に用いられ得るのであり、例えば、ばんど頁岩、カオリナイト、ハロイサイト、デッカイト等のアルミナ−シリカ質粘土鉱物や、これらの粘土鉱物を含む粘土、例えば、チャイナクレー、フリントクレー、頁岩粘土、木節粘土、蛙目粘土等が、適宜に用いられ得るのである。
【0016】
なお、ムライトウィスカー(ムライト結晶)の化学組成は、Al23:71.8%、SiO2 :28.2%であることから、ムライトウィスカーの収率を確保するためには、ムライト原料中におけるAl23成分の含有量は50重量%以上であることが好ましく、その一方、Al23成分が過剰に存在すると、コランダム結晶の生成を引き起こし、ムライトウィスカーの成長を阻害する恐れがあるため、Al23成分の含有量は、70重量%以下とすることが、好ましい。また、かかるAl23成分の含有量に対応して、SiO2 成分の含有量は30〜50重量%とすることが、好ましい。なお、Al23、SiO2 以外の成分は、特に意図的に添加されるものではなく、出発原料より持ち込まれる成分であり、ムライトウィスカーの生成には全く関与しないものであるところから、ムライトウィスカーの収率を確保する観点より、Al23、SiO2 以外のその他の成分は、0〜5重量%とすることが好ましい。
【0017】
次いで、Al23成分、SiO2 成分、及びその他の成分が所定割合となるように調製されたムライト原料は、平均粒径が20μm以下となるように粉砕される。このように、ムライト原料が細かく粉砕されることにより、粉砕物を均一に分散、混合した後に造粒して得られる粒状物中においては、Al23源原料及びSiO2 源原料が密接に位置せしめられ得るのであり、これにより、Al23とSiO2 との間における化学反応(ムライトウィスカー生成・成長反応)が、より有効に、且つ均一に起こり得るのである。
【0018】
ここで、上述の如きムライト原料の粉砕は、従来より公知の各種粉砕操作であれば、何れの方法によっても実施可能である。また、実際の粉砕に際しては、ムライト原料全体をまとめて粉砕することも、或いは、各出発原料を個別に粉砕することも、可能である。具体的には、乾式粉砕操作、或いは、液体の介在する湿式粉砕操作の何れによっても実施され得るが、粉砕と分散媒体中への混合を同時に行なうことができる湿式粉砕操作が、より好適に採用されることとなる。なお、原料の粉砕には、ボールミル、振動ミル、タワーミル等の各種粉砕機を用いることが出来る。
【0019】
このようにして得られた原料粉砕物は、水等の分散媒体と共に、混合装置内に投入されて、混合されることとなるが、原料粉砕物を分散媒体中において均一に分布せしめるためには、分散媒体中における原料粉砕物の流動性が確保される必要がある。具体的には、原料粉砕物と分散媒体の合計量に対する、固形物たる原料粉砕物の割合が、80重量%を超えると、粘度が高くなり、原料粉砕物の混合及び均一な分散が困難となるところから、好ましくは30〜70重量%の割合となるように、原料粉砕物及び分散媒体の量が調整されることとなる。なお、混合に際しては、原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ得る手法であれば、如何なるものであっても、用いられ得るのであり、例えば、高速撹拌機付き混合器や、粉砕・混合を同時に実施し得る撹拌・粉砕用ボール入りミル等が、好適に用いられる。
【0020】
さらに、ムライト原料が分散媒体中に均一に分散せしめられてなる混合物を脱水、乾燥し、必要に応じて所定のバインダーを加えた後、押出成形等の公知の手法により、所定形状の造粒物を作製する。
【0021】
そして、得られた造粒物は、焼成炉にて焼成されることとなるが、本発明においては、かかる造粒物を、焼成炉内において、焼成温度(最高温度)下、1時間以上保持した後、500℃/時間以下の冷却速度にて炉内温度が1000℃となるまで冷却して、焼成せしめるところに、大きな特徴を有しているのである。即ち、Al23源原料とSiO2 源原料が密接に位置せしめられた造粒物を、焼成炉内において、焼成温度(最高温度)下、一定時間以上保持した後、緩やかな冷却速度にて炉内温度が1000℃となるまで冷却すると、個々の造粒物は均一に、且つ充分に加熱せしめられて、各造粒物の内部における化学反応(ムライトウィスカーの生成・成長反応)が充分に進行せしめられるところから、以て、造粒物中に生成するムライトウィスカーは、長径が長く、アスペクト比の大きなものとなるのである。
【0022】
なお、かかる造粒物の焼成の際に用いられる焼成炉としては、焼成温度(最高温度)における保持時間及び冷却時間を容易に制御することが出来るものであれば、如何なるものであっても用いることが出来るが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、或いは電気炉等が、好適に用いられることとなる。また、焼成温度(最高温度)は、造粒物の組成や用いられる炉の性能等を考慮して、最適な温度が適宜設定されることとなるが、ムライトウィスカーを収率良く製造するためには、一般に、1500〜1800℃の範囲内において設定されることが、望ましいのである。
【0023】
ここにおいて、造粒物の焼成は、具体的には、以下のようにして実施される。即ち、先ず、造粒物を、1500〜1800℃程度まで加熱可能な焼成炉内に投入し、炉内が焼成温度(最高温度)に達するまで加熱する。そして、焼成温度(最高温度)にて1時間以上、好ましくは1.5〜5時間保持された後、500℃/時間(h)以下、好ましくは50〜350℃/時間(h)の冷却速度にて、炉内温度が1000℃となるまで冷却されて、焼成した粒状物(焼成体)が得られることとなる。
【0024】
なお、造粒物中におけるムライトウィスカーの生成は、焼成炉内の温度を昇温させる過程(昇温過程)、特に、焼成温度(最高温度)付近の温度領域においても起こり得るものであるが、本発明にあっては、造粒物は、焼成温度(最高温度)にて一定時間以上保持せしめられ、且つ緩やかな冷却速度にて冷却せしめられることにより、その内部において充分にムライトウィスカーを生成、成長せしめ得るところから、昇温速度及び昇温時間については、特定の条件が課されるものではない。一方、冷却過程においては、ムライトウィスカーと共に生成したガラス相の中から、温度の低下と共に、ムライトウィスカーの構成成分(Al23成分及びSiO2 成分)が析出し、これら析出したものが、ムライトウィスカーの生成及び成長に大きく寄与することとなるが、炉内温度が1000℃未満となると、そのような析出した成分もガラス相内に取り込まれてしまい、ムライトウィスカーの生成及び成長に寄与し得なくなるため、上述の如く、炉内温度が1000℃となるまでの冷却速度を調整することは、非常に重要である。
【0025】
そして、かかる得られた焼成体中のガラス相を、フッ酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、硫酸及び塩酸等の混酸等を用いて、溶解、除去することにより、長径が長いムライトウィスカー、具体的には、平均長さが8μm以上であり、且つアスペクト比の平均が12.0以上であるムライトウィスカーが、効率良く得られるのである。なお、ガラス相を溶解、除去した後でも、ムライトウィスカーが自然に分散せず、凝集している粒(凝集粒)については、ミル等の粉砕機により、解砕処理が行なわれることとなる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の代表的な実施例を含む幾つかの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実験例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実験例に含まれる実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0027】
実験例 1
Al23源として水酸化アルミニウムを、またSiO2 源としてシリカ粉を、更にはAl23成分とSiO2 成分を同時に含む鉱物であるカオリナイトを含む粘土を、それぞれ出発原料として用いて、焼成して得られる焼成体における化学組成でAl23が60重量%となるような配合割合において、それら出発原料を配合して、出発原料が異なる2種類のムライト原料(原料A、B)を調製した。なお、各出発原料の化学組成を、下記表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004286549
【0029】
次いで、かかる調製された2種類のムライト原料を、アルミナ質ボールを充填させたボールミルを用いて、原料Aの一部については乾式粉砕操作を、また、原料Aの残りと原料Bについては湿式粉砕操作を、それぞれ実施した。これらの粉砕操作の後の各ムライト原料の平均粒径を、下記表2に示す。そして、乾式粉砕操作にて得られたムライト原料の微細粉については、撹拌機の付いた密閉容器中において、撹拌・混合(乾式混合)を行ない、適度に加湿せしめた後、プレス機により、直径:10mm、厚さ:3mmの円盤状の造粒物を作製した。一方、湿式粉砕が施されたムライト原料については、液体混合可能な高速撹拌機の設備の付いたタンク内において、分散媒体(水)中に均一に分散、混合せしめた後、原料Aの混合物(混合液)については、スプレードライヤーを用いて、脱水、乾燥、造粒を同時に行ない、直径:0.2〜3mmの略球状の造粒物を作製した。また、原料Bの混合物(混合液)にあっては、フィルタープレスにて脱水した後、押出機を用いて、直径:5mm、長さ:10mm前後の円柱形状の造粒物を作製した。
【0030】
さらに、このようにして得られた各造粒物を、シャトル炉内の耐火性坩堝に入れ、焼成温度(最高温度):1600℃、焼成温度までの昇温時間:7時間、及び下記表2に示す種々の条件(1600℃における保持時間、1000℃までの冷却速度)にて加熱処理を行ない、各造粒物の焼成体を得た。
【0031】
そして、その得られた各焼成体に対して、濃度:30重量%のフッ酸水溶液を用いて、20℃、20時間の条件にて浸漬処理を行ない、各焼成体中のガラス相を溶解、除去せしめ、更に溶解残渣を濾過し、洗浄、乾燥することにより、各種の針状結晶を得た。このようにして得られた結晶は、X線回折により、何れも、ムライトウィスカーであることを確認した。
【0032】
また、かかる得られたムライトウィスカーは、再度、液中に分散させ、観察試料台の上に液と共にのせ、ムライトウィスカーが横たわった状態となるように乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各原料より生成されたムライトウィスカーについて、その長さ及びアスペクト比を測定した。200個の結晶粒から算出したウィスカーの長さ、及びアスペクト比の平均を、下記表2に併せて示す。
【0033】
【表2】
Figure 0004286549
【0034】
かかる表2の結果からも明らかなように、本発明に従う方法(方法No.4、6、10)より得られたムライトウィスカーにあっては、平均長さが8μm以上あり、且つアスペクト比の平均が12.0以上であることを確認した。一方、本発明の範囲外の方法(方法No.1〜3、5、7〜9)により得られたムライトウィスカーにあっては、SEMによる観察の際に、アスペクト比の大きいウィスカーとアスペクト比の小さいウィスカーとが混在していることが認められ、その結果、アスペクト比の平均も小さなものとなっている。
【0035】
実験例 2
実験例1で用いたものと同種の水酸化アルミニウム、シリカ粉、及びカオリナイトを含む粘土を、出発原料として用いて、下記表3に示される如く、Al23含有量が異なる5種類のムライト原料(原料C、D、E、F、G)を調製した。次いで、各々のムライト原料を、分散媒体としての水と共に、ボールミル中に投入し、原料の粉砕と混合を同時に行なった。なお、かかる投入の際には、原料と水の合計量に対して、原料の割合が約60重量%となるように、原料及び水の量を調整した。
【0036】
次いで、このようにして得られた原料及び水の混合物(混合液)に対して、スプレードライヤーを用いて、脱水、乾燥、造粒を同時に行ない、更にその得られた造粒物を、シャトル炉にて焼成した。なお、造粒物の焼成は、焼成温度(最高温度)における保持時間:2時間、1000℃までの冷却速度:200℃/時間の条件にて行ない、また、焼成温度までの昇温時間については、実験例1と同様とした。更に、焼成温度については、1400〜1800℃の範囲内において、原料の組成に応じた温度を適宜選択した。そして、得られた各焼成体に対して、実験例1と同様の処理を施すことにより、各種の針状結晶を得た。
【0037】
このようにして得られた結晶について、X線回折により結晶の組成を調べると共に、実験例1と同様に、SEMによる測定結果より、ムライトウィスカーの平均長さ、及びアスペクト比の平均を求めた。その結果を、下記表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004286549
【0039】
また、X線回折による結晶の組成を調べたところ、原料C、D、E、及びFより得られた結晶は、全て、ムライトウィスカーの単一相であることが確認されたが、Al23 含有量が80重量%となるように調製された原料Gより得られた結晶中には、ムライトウィスカーの他に、コランダム結晶の存在が認められた。更に、上記表3の結果からも明らかなように、Al23含有量が40重量%となるように調製された原料Cより得られたムライトウィスカーにあっては、そのアスペクト比が小さいことが確認され、また、その収率も少ないものであった。一方、原料D、E、Fより得られたムライトウィスカーは、平均長さも長く、アスペクト比も大きいものであることが認められた。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従うムライトウィスカーの製造方法にあっては、細かく粉砕されたムライト原料を、所定の分散媒体中において均一に分散、混合せしめた後、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、かかる造粒物を、焼成炉内において、焼成温度下、一定時間保持した後、緩やかな冷却速度にて炉内温度が1000℃となるまで冷却することにより、焼成せしめるものであるところから、かかる造粒物中のAl23とSiO2 との間における化学反応(ムライトウィスカーの生成・成長反応)が、より有効に、且つ均一に生ぜしめられ、以て、長径が長く、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを、効率良く製造することが出来るのである。
【0041】
また、本発明において用いられるムライト原料は、焼成後にムライトウィスカーを構成することとなるAl23及びSiO2 を主成分とするものであり、その他の添加剤(ウィスカー成長助剤)等は一切必要とされないものであるところから、本発明に従えば、ムライトウィスカーを、環境に悪影響を与えることなく、且つ安価に製造することが出来るのである。

Claims (3)

  1. 平均長さが8μm以上であり、且つアスペクト比の平均が12.0以上であるムライトウィスカーを製造する方法にして、Al23及びSiO2 を主成分とする化学組成を与えるムライト原料を、平均粒径が20μm以下となるように湿式粉砕する一方、そのような原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ、次いで、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、かかる造粒物を、焼成炉内において、焼成温度下、1時間以上保持した後、500℃/時間以下の冷却速度にて、炉内温度が1000℃となるまで冷却することにより、焼成せしめた後、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去して、長径が長く、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを得ることを特徴とするムライトウィスカーの製造方法。
  2. 前記造粒物が、1500〜1800℃の焼成温度にて焼成されることを特徴とする請求項1に記載のムライトウィスカーの製造方法。
  3. 前記化学組成が、Al23:50〜70重量%、SiO2 :30〜50重量%、出発原料から持ち込まれる成分であって、ムライトウィスカーの生成には関与しない、その他の成分:0〜5重量%となるように、前記ムライト原料が、調製されることを特徴とする請求項1又は請求項に記載のムライトウィスカーの製造方法。
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