JP4284633B2 - 半導体発光装置の製造方法 - Google Patents

半導体発光装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光装置構造及びその製造方法に関し、より詳細には、キャリアを3次元方向から閉じ込め(キャリアの運動の自由度がゼロ次元的な)量子ドット(量子箱ともいう)を有する半導体発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
キャリアが3次元の運動の自由度を有する、いわゆるバルクの半導体結晶では、キャリアの状態密度は、エネルギーとともに放物線的に連続して増大する。
【0003】
キャリアは温度で決まる分布関数に従って各状態に分布する。
【0004】
バルク結晶を、例えばレーザー等の発光素子の発光層として用いれば、例えば室温において発光の波長分布が非常にブロードになり活性層からの特定波長での発光効率が低下する。さらに、発光のしきい値も高くなり、しきい値の温度変化も大きくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
キャリアの運動の自由度を2次元的に閉じ込めた構造(量子井戸構造)を用いた量子井戸レーザが用いられている。量子井戸構造では、キャリアの状態密度は階段状となる。
【0006】
キャリアを1次元的に閉じ込めた構造(量子細線構造)を用いた量子細線レーザも提案されている。量子細線構造では、キャリアの状態密度は狭い幅を有したピーク状の形状を有する。
【0007】
しかしながら、これらの低次元構造を用いても、キャリアの閉じ込めの効果は十分ではない。さらなる高効率化のためには、キャリアの閉じ込めの効果を一層高めることが望まれる。
【0009】
本発明の目的は、効率化、低しきい値化された半導体発光装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、
半導体基板上に、第1の半導体材料を含む第1の半導体層を成長する第1の工程と、
(a)前記第1の半導体層上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップの小さい第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以上供給して量子ドット層を形成する工程と、
(b)その後、前記第1の半導体層上に、前記第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以下であって前記(a)の工程における供給量よりも少ない供給量で供給し、前記量子ドットを追加成長させる工程とを含む第2の工程と、
該量子ドットの上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップが小さく、前記第2の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第3の半導体材料を含む第1のキャリア閉じ込め層を形成する第3の工程と、
該第1のキャリア閉じ込め層の上に前記第3の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第4の半導体材料を含む第2のキャリア閉じ込め層を形成する第4の工程と
を含む半導体発光装置の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に半導体レーザー装置Aの概略構造を示す。
【0013】
半導体レーザー装置Aは、発光に寄与する活性層1とその一方の面(基板側)に形成されるn型クラッド層(バリア層)3とn型クラッド層(バリア層)3にコンタクトしている第1の電極層5とを含む。発光層1の基板とは反対側(表面側)には、p型のクラッド層11とp型のクラッド層11にコンタクトしている第2の電極層15とを含む。
【0014】
発光層1は両側をクラッド層3、11で囲まれている。
【0015】
第2の電極層15に対して正の電圧を印加すると、p型のクラッド層11からは正孔が、n型のクラッド層3からは電子が、発光層1に流れ込む。
【0016】
発光層1に流れ込んだ多数の電子と正孔とが、活性層1中において再結合する。再結合の際に、活性層1のエネルギーバンドギャップEgに対応する波長を有するレーザ光が、活性層1の端面から出射される。
【0017】
一般的に、レーザーの発光波長λは、次に示す式で表される。
【0018】
λ = 1240/Eg
ここで、λは発光波長(nm)、Egは半導体の禁制帯幅(eV)である。Egの値が、レーザーの発光波長を決める。
【0019】
レーザー用の半導体材料としては、III−V族化合物半導体が多用されている。III−V族化合物半導体のうち、GaAsでは、その禁制帯幅Egは、1.43eVである。GaAsを活性層として用いたレーザーの発光波長は0.87μmであり、赤外領域の発光を示す。
【0020】
III−V族半導体のうち、InAsのEgは、0.36eVと比較的小さい。バルクのInAsを活性層として用いた場合(活性層の厚さが電子のドブロイ波長、すなわち10nm程度よりも十分に厚い場合)には、キャリアはほとんど電子及び正孔の基底準位の間で遷移し、電子と正孔の再結合に起因する発光の波長は3.4μm程度である。
【0021】
光ファイバーにより情報を伝搬する光通信用の発光素子としては、1.3μm帯の発光波長を有するレーザーを用いるのが好ましい。
【0022】
1.3μm帯の発光波長を有するレーザーを得るためには、活性層の材料としては、例えばGaAsとInAsあるいはInPとの混晶(例えばInGaAsP)を用い組成比を適切に選択する。
【0023】
活性層の厚さを薄くしていくと(活性層の厚さが電子の波長、すなわち10nm程度以下の場合)、レーザー装置Aは、活性層を井戸としクラッド層をバリアとする量子井戸構造となる。量子井戸構造を用いると、キャリア(電子及び正孔)は活性層内に閉じ込められ、運動の自由度は2次元的になる。量子井戸内には、伝導帯及び価電子帯の基底準位よりも高いエネルギーを有するサブバンド(いわゆる量子準位)が形成される。量子井戸構造では、活性層の厚さをコントロールすることによって所望の波長で発光するレーザーを得ることが可能である。
【0024】
レーザー用の活性層としては一次元的にクラッド層(バリア層)内に閉じ込めた量子細線構造を用いることも可能である。
【0025】
量子井戸構造や量子細線構造を用いたとしても、キャリアを活性層内に完全な状態で閉じ込めることはできない。閉じ込めが不十分な方向が存在するからである。したがって、特に室温での発光波長の分布幅は、ブロードとなる。
【0026】
レーザーの発光効率をより一層高めるためには、さらに発光波長の分布幅を狭くできるレーザ装置の実現が望まれていた。
【0027】
キャリアを3次元方向から閉じ込めた量子ドット構造を用いると、量子準位における電子及び正孔の状態密度はデルタ関数状になる。すなわち、キャリアは、原子のように完全に離散的となりエネルギー幅も非常に狭くなる。
【0028】
一般的には電子や正孔が熱励起される確率が高くなる状態、例えば室温においても量子ドット構造においては、キャリアが3次元方向に閉じ込められ、キャリアは離散的な量子準位にのみ存在する。キャリアは離散的に形成される量子準位間でのみ遷移し、エネルギー的に不連続な遷移が起こることになる。量子ドット構造からの発光エネルギーのスペクトルは、各量子準位のエネルギー幅に対応して非常に急峻になる。
【0029】
量子ドット内には、伝導帯及び価電子帯に基底準位よりも高いエネルギーを有するサブバンド(量子準位)が形成される。量子準位のエネルギーの値は、量子ドット構造のサイズに依存する。
【0030】
量子ドットのサイズを小さくしていくと、伝導帯及び価電子帯に形成される量子準位のエネルギー値は高くなる。量子準位間において生じる電子と正孔の再結合エネルギーも大きくなる。量子ドットのサイズを変化させることにより再結合エネルギーを調整することができ、発光波長を調整することも可能である。
【0031】
以下図面を参照して半導体レーザー装置の活性層について説明する。
【0032】
図2から図8までに、本発明の第1の実施の形態による半導体レーザー装置に用いられる活性層の構造について示す。
【0033】
図2は、GaAs層21上にInAsを含む量子ドット25を多数形成した状態におけるGaAs表面の様子を示す平面図である。この平面図は、AFM(tomic orce icroscopy)法を用いた測定結果に基づくものである。 いわゆるMBEやMOCVD等における通常の成長原料の供給速度、すなわち0.1ML/s程度では、ドット底面の直径は22nm、表面密度は8.7×1010cm-2程度である。上記MLは、monolayerの略であり、単分子層のことである。
【0034】
InAsの供給速度を0.02ML/s程度にすると、ドット底面の直径は39nm、表面密度は2.6×1010cm-2程度である。
【0035】
InAsの供給速度を0.007ML/sとすると、ドット底面の直径は44nm、表面密度は1.4×1010cm-2程度となる。
【0036】
さらにInAsの供給速度を低下させ、0.002ML/sにすると、ドット底面の直径は50nm、表面密度は0.5×1010cm-2程度となる。InAs量子ドットはGaAs基板上に多数、散点状(それぞれの量子ドットが接触していない状態を言う)に形成される。
【0037】
図3に、InAsの供給速度(ML/s)と、室温(300K)における発光ピーク波長、スペクトルの半値幅との関係を示す。基板温度は510℃、InAsの供給量は1.9MLである。
【0038】
通常のInAsの供給速度すなわち0.1ML/sでは、発光波長は1.1μm程度である。供給速度を0.04ML/sにすると、発光波長は、1.2μm以上の値を示す。供給速度0.007ML/sでは、発光波長は1.23μm程度である。さらに供給速度を低下させて0.002ML/sにすると、発光波長は1.3μmに達する。
【0039】
発光スペクトルの半値幅は、供給速度を遅くするに従い小さい値を示すようになる。
【0040】
図4に、活性層を含む半導体層のTEM観察に基づく断面図を示す。GaAs層21上に形成されるInAs量子ドットの底面直径は、約20nm、高さ6から8nm程度である。量子ドットは、円錐形または半球状の形状を有している。
【0041】
尚、AFM法に基づく観測結果である図2(c)において、InAs量子ドット25の底面の平均的な直径は、44nm程度に見えた。実際には、図4に示すように20nm程度であることが判明している。図2における量子ドットの底面の直径の測定誤差は、AFM測定におけるカンチレバーの大きさと量子ドットの形状との関係に起因するものであると解される。
【0042】
以下に示す量子ドットにおいても、上記のようなAFM法における測定誤差を含んでいる。
【0043】
尚、InAsの成長条件、例えば基板温度Ts、InAsの供給速度、成長中のAs圧等を所定の条件に限定することにより、底面直径25nm以下、高さ15nm以下の半球様の形状、円錐または四角錐様の形状の量子ドットが得られる。
【0044】
図5(a)に、室温におけるInAs量子ドット25を含む活性層からのPLの発光スペクトルを示す。
【0045】
InAs量子ドットの成長条件としては、InAsの供給速度0.007ML/s、InAsの供給量として、1.9ML、基板温度510℃である。
【0046】
尚、本明細書において定義したInAsの供給量1.9MLとは、InAsと格子整合する基板、例えばInAs基板上に成長した場合に、InAs層が1.9ML成長する供給量として定義される。
【0047】
上記の条件下において、InAs量子ドットを成長したところ、発光スペクトルのピークにおける波長として約1.25μm、発光スペクトルの半値幅として約40meVの値が得られた。
【0048】
上記の値は、通常の量子ドットの成長条件を用いて得られた値とは全く異なる。
【0049】
本明細書における通常の成長条件とは、InAs量子ドットの成長条件として、成長速度0.1ML/s、InAsの供給量として1.9ML(分子層)分、基板温度510℃である。通常の成長条件におけるInAsの供給速度は、本実施の形態によるInAsの供給速度よりも各段に大きい。
【0050】
図5(b)に示すように、InAsの供給速度を0.1ML/sとした場合には、室温におけるInAs量子ドット25を含む活性層からのPLの発光スペクトルのピーク波長は約1.1μm、発光スペクトルの半値幅として約60meVの値が得られている。通常のInAsの供給速度においては、量子ドットの面密度として8.7×1010cm-2、平均粒径として22nmの値が得られている。
【0051】
本実施の形態によるInAs量子ドットからの発光スペクトルは、通常のInAs量子ドットからの発光スペクトルと比べて、発光のピーク波長として約0.15μm程度、長波長側にシフトしている。発光スペクトルの半値幅に関しては、60meV程度から40meV程度と小さくなる。
【0052】
発光スペクトルのピークエネルギー値と半値幅とは、量子ドットの高さが支配的になっているものと推測される。
【0053】
通常の成長条件において形成されたInAs量子ドットの高さは、3から5nmと扁平な形状を有している。本実施の形態によるInAs量子ドットの高さは6から8nmと高い。
【0054】
従来の成長条件により形成されたInAs量子ドットからのPLの発光波長は、ピークとして1.0μm程度の値が得られている。量子準位間の遷移エネルギーが1.25eV程度と推測される。
【0055】
一方、本実施の形態によるInAs量子ドットからのPLの発光波長は、ピークとして1.25μmの値が得られている。量子準位間の遷移エネルギーは、1.0eV程度と推測される。
【0056】
発光スペクトルの半値幅の相違については、以下のように解釈される。
【0057】
量子ドット、特に通常の成長条件によるInAs量子ドットでは、扁平な形状(高さが低い)である。そのため、前述にように、通常の成長条件で成長した量子ドットでは、量子準位のエネルギー値は、量子ドットの高さが支配的になっていると解される。1ML程度の高さ(0.3nm)のバラツキが生じただけでも、量子準位のエネルギー値が大きく変化する。
【0058】
本実施の形態によるInAs量子ドットでは、通常のInAsの供給速度により成長されたInAs量子ドットよりも高さが高い。その分、成長量のバラツキに起因する量子準位のエネルギー値の変化量(バラツキ)が小さい。InAsの供給速度としては、2×10−3から4×10−2ML/sが好ましい。
【0059】
以上説明した現象により、発光スペクトルの半値幅に大きな差が生じたものと考えられる。
【0060】
InAsを低供給速度で成長した際には、通常の供給速度で成長した場合と比較して、径が大きくなりかつ高さも高いInAs量子ドットが形成できる。このような現象については以下のように解釈できる。
【0061】
通常の供給速度でInAsを供給した場合のInAs量子ドットにおいても、GaAs層の上に供給されたInAs分子はGaAsとの格子不整合が大きいため、下地のGaAsからの強い束縛を受けることなく表面を移動することができる。高速成長の場合には、GaAs表面上に供給されるInAsの量が多いため、量子ドットの核が形成される速度が高い。
【0062】
一旦、GaAs表面上に高密度の核が形成されると、GaAs表面上に供給される原子は、速やかに核に取り込まれ、核を成長させる。核の成長の間にも、新たなInAsが供給され、さらに多くの核を形成、成長させていく。
【0063】
従って、高供給速度の条件で成長した場合には、比較的小さなサイズの量子ドットが高密度で形成されることになる。
【0064】
一方、低供給速度で成長した場合には、供給されるInAsの量が少ないため、GaAs基板上に形成される量子ドットの核の生成密度は小さい。
【0065】
GaAs上に供給されるInAsの量が少ないため、供給原子はGaAs表面上を長い距離を移動できる。
【0066】
InAsは、長い距離を移動し、表面密度が比較的小さい核に優先的に取り込まれ核を成長させる。新たな核生成の確率は小さい。その結果、供給当初に生成された低密度の核の中に、その後に供給されたInAsが優先的に供給される。
【0067】
従って、通常の成長速度の場合と比較して、大きな(高さも高い)InAs量子ドットを成長することが可能となる。
【0068】
次に、InAs量子ドットを成長する際、各種成長条件(InAsの供給速度、基板温度、InAs供給量、As圧力)を変化させた場合の、発光スペクトルの波長、半値幅、ドット密度、ドットの底面の直径(前述のようにAFMよる測定値)の値について説明する。
【0069】
図6に、InAs量子ドットの供給速度と、室温(300K)における量子ドットの表面密度、ドット底面の直径との関係を示す。基板温度は510℃、InAsの供給量は1.9MLである。
【0070】
成長速度を低下させるに従って表面密度は小さくなりそのため、ドット底面の直径は大きくなる傾向になる。
【0071】
図7に、InAsの供給量と、室温(300K)における量子ドットからの発光スペクトルのピーク波長及び発光強度との関係を示す。基板温度は510℃、供給速度は0.007ML/sである。
【0072】
InAsの供給量を1.7MLから2.75MLまで変化させると、発光波長は、1.21から1.25μmまで長波長化する。一方発光強度は、InAsの供給量として1.8MLにピークを有している。それ以上の供給量では、発光強度は徐々に低下する。
【0073】
発光強度をある程度の値以上に維持するためには、InAsの供給量としては、1.6から2.2MLの範囲から選択するのが好ましい。
【0074】
図8に、Asの圧力と、室温(300K)における量子ドットからの発光スペクトルのピーク波長及び発光強度との関係を示す。基板温度は510℃、InAsの供給速度は0.007ML/sである。
【0075】
発光強度に関しては、Asの圧力が5から7×10-7Torrで高い値を示している。As圧をこれよりも低くすると、As(V族元素)の不足に起因するAsサイトの格子欠陥(Vacancy)の影響やIII族元素の微小なクラスタなどの欠陥に起因すると推測される発光強度の低下がみられる。
【0076】
As圧をこれよりも高くすると、As(V族元素)の過剰な供給に起因する格子間欠陥(格子間にAs原子が取り込まれることによる欠陥)の影響に起因すると推測される発光強度の低下がみられる。
【0077】
以上の実験結果より、InAsの供給速度として2×10-3から2×10-2ML/s、InAsの供給量1.6から2.2ML、As圧として0.8×10-6以上、2×10-6以下にすれば好ましい。
【0078】
低供給速度での成長法によりInAs量子ドットからの発光のピーク波長を長波長化し、かつ、発光スペクトルの半値幅を狭くすることが可能となった。発光スペクトルの半値幅を狭くすることにより、レーザーに適用した場合の発光効率を大幅に高めることができる。
【0079】
尚、InAsの供給速度として、通常よりも非常に遅い供給速度を得るためには、Inのクヌードセンセル(Kセル)の温度を低くしてInの蒸発速度を低く抑えればよい。
【0080】
供給速度を低減する他の方法としては、InのKセルに設けられているシャッターの開閉をパルス的に行う方法もある。請求項において用いた「平均的に供給量を制御する」との表現は、上記のようなシャッターコントロールによる供給方法をも含むものであることを意味している。
【0081】
次に、本発明の第2の実施の形態によるInAs量子ドットを含む半導体基板及びその成長方法について説明する。
【0082】
図9に、第2の実施の形態によるInAs量子ドットの製造工程を示す。
【0083】
図9(a)に示すように、まず、第1の工程として、通常の高速成長法(0.1ML/s)で、1.7ML相当のInAsをGaAs基板上に供給する。
【0084】
面密度が高く、かつ、サイズの小さいInAs量子ドットがGaAs基板上に多数形成される。サイズの均一性も良くない。その後、90秒間、成長を中断する。
【0085】
次いで、第2の工程として、InのKセルの温度を下げ、0.004ML/sの供給速度で0.4ML相当のInAsをGaAs基板上に供給する(図9(b))。
【0086】
第1の工程で形成されたInAs量子ドットの大きさが第2の工程により拡大する。この第2の工程においては、新たな核を形成することがほとんどない。ただ、InAsの量子ドットの成長のみが起こる。
【0087】
この第2の工程により、面密度が高く(5×1010cm-2)、かつ、サイズの大きな量子ドットを形成することができる(図9(c))。
【0088】
以上の2段階の工程で得られた量子ドットにおいては、室温でのPLの発光スペクトルのピーク波長として1.25μmの値が得られた。
【0089】
この値は、通常の供給速度でInAs量子ドットを成長した場合には得られない長波長での発光である。第1の実施の形態による成長方法と比較して、短時間の工程により長波長の発光特性を示すInAs量子ドットを形成することができる。
【0090】
次に本発明の第3の実施の形態によるInAs量子ドット構造について説明する。
【0091】
図10は、本発明の第3の実施の形態によるInAs量子ドット構造の製造工程を示す工程図である。
【0092】
図10(a)に示すように、第1の実施の形態に示した方法により、GaAs基板上に、0.007ML/sの供給速度で約1.9ML相当のInAs27とGaAs28とを供給する。第2の実施の形態による方法(2段階成長法)を用いてInAs量子ドット25を形成しても良い。
【0093】
これにより、GaAs基板21上にサイズ(特にドットの高さの高い)の大きなInAs量子ドット25が形成される。
【0094】
図10(b)に示すように、InxGa1-xAs(x=0.17)層31を、4nm相当の膜厚成長する。
【0095】
図10(c)に示すように、InAs量子ドット25が、InGaAs層31によって埋め込まれた構造が形成される。
【0096】
InGaAs層の上には、GaAs層41(図11)を形成する。
【0097】
図11は、図10(c)の構造に対応する断面TEM像を模写した図である。InxGa1-xAs(x=0.17)層31を、4nm相当の膜厚成長したものである。下地のGaAs21とInGaAs31との間には、S−K(Stranski−Krastanow)型の成長に特有の濡れ層が存在する。
【0098】
InxGa1-xAs(x=0.17)層31を成長する前の工程において予め形成されていたInAs量子ドット25の直上に、新たな微小構造33が形成されている。
【0099】
InGaAs層31とその上に成長されたGaAs層41との界面には、濡れ層が存在しない。
【0100】
上記の微小構造33は、InGaAs層31とその上に成長されたGaAs層41との界面のうち、InAs量子ドット25の上部にのみ形成されている。組成分析によれば、上記の微小構造33中と微小構造33が形成されていないInGaAs層31との組成に顕著な差異は認められない。
【0101】
微小構造33は、InAs量子ドット25とInGaAs層31との格子定数の違いと、InAs量子ドット25の表面形状(半球型または円錐型)とに起因して形成されたInGaAs(In0.17Ga0.83As)層31よりも格子定数の大きい歪み領域(歪みドット)であると推察される。
【0102】
図12は、0.007ML/sの供給速度で、1.9ML相当のInAsを供給することにより得られたInAs量子ドットの上に成長するIn0.17Ga0.83As閉じ込め層の厚さを変化させた場合の、室温でのPLの発光波長と発光強度を示したものである。
【0103】
閉じ込め層の厚みは、0から12nmまで変化させた。
【0104】
閉じ込め層の厚さを厚くするに従って、発光波長は1.27μmから1.32μmまで長波長化する。ただし、閉じ込め層の厚さが6nmを越えると、発光波長は緩やかに短波長化する。
【0105】
発光強度に関しては、閉じ込め層の厚さが厚くなるに従って発光強度が弱くなる。特に、閉じ込め層の厚さが6nmを越えると、発光強度は急激に低下する。発光強度の低下の原因としては、GaAsと格子定数の異なるInGaAsの厚さが厚くなるに従って、格子不整合に起因する欠陥(ミスフィット転位)が発生するためと考えられる。ミスフィット転位は、非発光性の再結合中心となる。
【0106】
好ましいInGaAs閉じ込め層の厚さは、1から8nm、さらに好ましくは2から6nmである。
【0107】
図13は、InxGa1-xAsの閉じ込め層の厚さを8nmで一定とし、InAsの組成比xを0(GaAs埋め込み層の場合)から0.19まで変化させた場合の発光波長と発光強度の変化を示したものである。
【0108】
発光波長は、閉じ込め層のInAsの組成xを大きくするに従い長波長化する。InAsの組成を0.15以上にすると発光波長は1.3μmになる。InAsの組成を0.19にすると、発光波長は1.32μmまで達する。
【0109】
一方、発光強度は、InAsの組成として0.17を越えると急激に低下する。臨界膜厚を越えることにより、ミスフィット転位が発生するためするためと考えられる。実験に用いた条件下でのInAsの組成は0.17以下、好ましくは0.1から0.17の範囲にすることが望ましい。
【0110】
以上のように、本実施の形態による量子ドット構造においては、InAs量子ドットの上にInGaAsの閉じ込め層を成長することにより、量子ドット上に新たな微小構造(量子構造)を形成することができ、この構造からの発光波長としては1.3μmを越える値が得られることがわかった。
【0111】
尚、上記微小構造においては、InGaAs閉じ込め層の組成が大きく変化していないこと、InAs量子ドット上にのみ形成されることから、微小構造は、半球状又は円錐状のInAs量子ドットとInGaAs閉じ込め層との間の格子不整合に起因して形成されたInGaAs層よりも格子定数の大きな微小歪み構造ではないかと推測される。
【0112】
このような微小歪み構造が存在することにより、その直下に存在するInAs量子ドットに歪み応力(格子定数を大きくする方向の応力)が働き、結果として、量子ドットに対して歪み応力が働かない状態よりも、発光に寄与する電子と正孔との再結合エネルギーが小さくなるものと考えられる。
【0113】
下地基板(GaAs)と量子ドット(InAs)と第1のキャリア閉じ込め層(InGaAs)と、第1のキャリア閉じ込め層上の第2のキャリア閉じ込め層(GaAs)と、第1のキャリア閉じ込め層と第2のキャリア閉じ込め層との界面近傍の第1のキャリア閉じ込め層中に形成される微小構造層との、自由成長(無歪み状態)における格子定数の大小関係は、下地基板の格子定数〜第2のキャリア閉じ込め層の格子定数<第1のキャリア閉じ込め層≦微小構造層<量子ドットである。
【0114】
一方、エネルギーギャップに関しては、下地基板の格子定数〜第2のキャリア閉じ込め層の格子定数>第1のキャリア閉じ込め層≧微小構造層>量子ドットの関係を有する。
【0115】
図14に、本発明の第4の実施の形態によるInAs量子ドット構造を示す。この量子ドット構造においては、GaAs基板21上にInAs量子ドット25aが形成され、その上にInGaAs閉じ込め層31aが形成されている。さらにInGaAs閉じ込め層31aの上には、GaAs層41aが形成されており、GaAs層41a上にInAs量子ドット25bが形成され、その上にInGaAs閉じ込め層31bが形成されている。このような単位が繰り返されて積層構造を形成している。
【0116】
この実施の形態による積層構造においては、InAs量子ドット構造が多層に積層されている。
【0117】
従って、同じ結晶成長条件を用いても、発光に寄与する量子ドットの個数が多くなる。トータルの発光強度が大きくなる。
【0118】
次に、本発明の第5の実施の形態によるレーザー装置について説明する。
【0119】
図15は、第5の実施の形態によるレーザー装置Hの断面図である。
【0120】
n型不純物がドーピングされたGaAs基板101上に、厚さ1.4μmのn型Al0.4Ga0.6Asからなるクラッド層105が形成されている。クラッド層の上には、厚さ115nmのGaAsからなるSCH(eparated onfinement eterostructure)層111、115で挟まれた活性層121が形成されている。
【0121】
上側のSCH層115上には、p型不純物がドーピングされた厚さ1.4μmのp型Al0.4Ga0.6Asからなるクラッド層131が形成されている。p型Al0.4Ga0.6Asからなるクラッド層上には、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8As層141、厚さ0.4μmの高濃度p型GaAs層151が形成されている。
【0122】
p型Al0.4Ga0.6Asからなるクラッド層131、p型Al0.2Ga0.8As層141、高濃度p型GaAs層151は、約4.5μm幅程度の大きさのストライプ状に加工されている。クラッド層131は、高濃度p型GaAs層側に向けて縮径するテーパ形状を有している。高濃度p型GaAs層151は、逆テーパ形状を有している。
【0123】
n型のGaAs基板101及び高濃度p型GaAs層151上には、それぞれn型半導体用の電極201とp型半導体用の電極211とが形成されている。
【0124】
活性層121の構造は、上記第4の実施の形態による積層構造が用いられる。
【0125】
活性層のInGaAsの厚さは4nm、GaAsの厚さは26nmである。InGaAsとGaAsとの積層構造が、3層から4層形成されている。
【0126】
上記のレーザー装置Hを用いることにより、波長1.3μmでの室温連続発振が観測された。
【0127】
図16に、本発明の第6の実施の形態による光通信システムの概略図を示す。
【0128】
本実施の形態による光通信システムは、発光装置として、第5の実施の形態で説明したレーザー装置Hを用いる。
【0129】
レーザー装置Hは、1.3μm帯の光をレーザー発光する。
【0130】
一方、受光側には、1.3μm帯の光を光電変換する光電変換素子としてフォトダイオードPDを用いる。フォトダイオードPDの受光層の材料として、1.3μm帯での受光感度の高いInGaAs0.50.5又はGaAs0.5Sb0.5を用いる。基板材料としてはInPを、クラッド層用の材料としてはInAlAsPを用いることができる。
【0131】
尚、フォトダイオードの受光層用の材料として、本発明の第1から第4の実施の形態による量子ドット構造を有する活性層と同じ構造を用いることも可能である。
【0132】
発光用のレーザー装置Hと、受光用のフォトダイオードPD311の間には、1.3μm帯の光を効率良く伝送することのできるよう、吸収係数の極小値が1.3μm帯に存在する1.3μm帯伝送用の光ファイバー301を用いることができる。その他、フォトダイオード311が受けた光を増幅する電気信号に変換した後に電気信号を増幅する増幅回路321や、光信号や電気信号を制御する制御回路325を含んでいても良い。さらに、レーザー装置Hからの発光を減衰させる光減衰器331を含んでいても良い。
【0133】
本実施の形態による光通信システムを用いれば、効率良く光通信を行うことができる。
【0134】
以上、実施の形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0135】
上記の実施の形態においては、GaAs上に格子定数の大きなInAsの量子ドットを形成し、これをGaAsよりも格子定数が大きくかつInAsよりも格子定数が小さいInGaAsで埋め込んだ構造を中心にして説明した。
【0136】
上記の構造は、主に下地の結晶と成長すべき結晶との格子定数の差異に起因する歪みの影響により形成されるものと推測される。
【0137】
したがって、上記実施の形態による半導体の組み合わせと同様の関係にある(Al)GaAs上に成長したInGaAs、(Al)GaAs上に成長した(Al)GaSb、In(Al)GaSb(As)及びInP上に成長したIn(Ga)As、(In)GaSb等の材料においても、同様の構造、光学的特性が得られるのは言うまでもない。
【0138】
また、例えば、半導体層の厚さは所望の特性を満足する範囲で任意に変更することができる。成長条件その他のプロセスパラメータも種々選択することができる。その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明あろう。
【0139】
尚、以下に記載した(1)から(23)までは、本願明細書に記載された発明から抽出されたものである。
【0140】
(1)第1の半導体材料を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に複数形成されるとともに、該第1半導体層から離間するに従って縮径し、かつ、該第1の半導体材料よりも小さいエネルギーバンドギャップを有する第2の半導体材料からなる複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを覆って前記第1半導体層上に形成され、前記第2の半導体材料よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第3の半導体材料からなる第1の量子ドット閉じ込め層と、該第1の量子ドット閉じ込め層上に形成され、第1の量子ドット閉じ込め層よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第4の半導体材料からなる第2の量子ドット閉じ込め層と、前記第1の量子ドット閉じ込め層において前記第1の量子ドット閉じ込め層と前記第2の量子ドット閉じ込め層との界面側であって前記量子ドットの直上に形成され、その存在によって前記量子ドットのエネルギー準位を制御する微細構造とを含む半導体発光装置。
【0141】
(2)前記微細構造は、前記量子ドットに対して歪み応力を与える歪みドットである上記(1)に記載の半導体発光装置。
【0142】
(3)前記歪みドットは前記量子ドットに対して前記第1の量子ドット閉じ込め層の面内方向に歪み応力を与える歪みドットである上記(1)又は(2)に記載の半導体発光装置。
【0143】
(4)前記第1の半導体材料と前記第4の半導体材料とが同一材料である上記(1)または(2)に記載の半導体発光構造。
【0144】
(5)第1の半導体材料を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に複数形成されるとともに、該第1半導体層から離間するに従って縮径し、かつ、該第1の半導体材料よりも小さいエネルギーバンドギャップを有する第2の半導体材料からなる複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを覆って前記第1半導体層上に形成され、前記第2の半導体材料よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第3の半導体材料からなる第1の量子ドット閉じ込め層と、該第1の量子ドット閉じ込め層上に形成され、第1の量子ドット閉じ込め層よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第4の半導体材料からなる第2の量子ドット閉じ込め層と、前記第1の量子ドット閉じ込め層内において前記第1の量子ドット閉じ込め層と前記第2の量子ドット閉じ込め層との界面側であって前記量子ドットの直上に形成され、その存在によって前記量子ドットのエネルギー準位を制御する微細構造とを含む積層構造が複数層積層されている半導体発光装置。
【0145】
(6)第1の半導体材料を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に複数形成され該第1半導体層から離間するに従って縮径するとともに、該第1の半導体材料よりも小さいエネルギーバンドギャップを有し、かつ、低速成長法により形成され第2の半導体材料からなる複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを覆って前記第1半導体層上に形成され、前記第2の半導体材料よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第3の半導体材料からなる第1の量子ドット閉じ込め層と、該第1の量子ドット閉じ込め層上に形成され、第1の量子ドット閉じ込め層よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第4の半導体材料からなる第2の量子ドット閉じ込め層とを含む半導体発光装置。
【0146】
(7)前記第1の半導体材料はGaAsであり、前記第2の半導体材料はInAsであり、前記第3の半導体材料はInxGa1-xAsであり、前記第4の半導体材料はGaAsである上記(1)から(6)までのいずれかに記載の半導体発光装置。
【0147】
(8)前記InxGa1-xAsのx値は、0.13から0.20までの範囲である上記(7)記載の半導体発光構造。
【0148】
(9)第1の半導体材料を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に複数形成されるとともに、該第1半導体層から離間するに従って縮径し、かつ、該第1の半導体材料よりも小さいエネルギーバンドギャップを有する第2の半導体材料からなる複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを覆って、前記第1半導体層上に形成され、前記第2の半導体材料よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第3の半導体材料からなる第1の量子ドット閉じ込め層と、該第1の量子ドット閉じ込め層上に形成され、第1の量子ドット閉じ込め層よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第4の半導体材料からなる第2の量子ドット閉じ込め層と、前記第1の量子ドット閉じ込め層内の前記第1の量子ドット閉じ込め層と前記第2の量子ドット閉じ込め層との界面側であって前記量子ドットの直上に形成され、その存在によって前記量子ドットのエネルギー準位を制御する微細構造とを含み、さらに、前記第1の半導体層のうち前記量子ドットとは反対側と前記第2の量子ドット閉じ込め層のうち前記第1の量子ドット閉じ込め層の反対側とに配置され、前記第1の半導体材料よりもエネルギーギャップの大きい第5及び第6の半導体材料で形成された第1及び第2のバリア層とを含む半導体発光装置。
【0149】
(10)第1の半導体材料を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に複数形成されるとともに、該第1半導体層から離間するに従って縮径し、かつ、該第1の半導体材料よりも小さいエネルギーバンドギャップを有する第2の半導体材料を平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以下の供給速度で供給することにより成長された複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを覆って前記第1半導体層上に形成され、前記第2の半導体材料よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第3の半導体材料からなる第1の量子ドット閉じ込め層と、該第1の量子ドット閉じ込め層上に形成され、第1の量子ドット閉じ込め層よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第4の半導体材料からなる第2の量子ドット閉じ込め層とを含む半導体発光装置。
【0150】
(11)前記第1の光閉じ込め層は、n型のAlGaAs層を含み、 前記第2の光閉じ込め層は、p型のAlGaAsを含む上記(9)記載の半導体発光装置。
【0151】
(12)前記微細構造は、前記量子ドットからの発光波長のピークが1.3μm帯となるよう応力を前記量子ドットに与える歪みドットである上記(1)記載の半導体発光装置。
【0152】
(13)第1の半導体材料を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に複数形成されるとともに、該第1半導体層から離間するに従って縮径し、かつ、該第1の半導体材料よりも小さいエネルギーバンドギャップを有する第2の半導体材料からなる複数の量子ドットと、前記複数の量子ドットを覆うように前記第1半導体層上に形成され、前記第2の半導体材料よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第3の半導体材料からなる第1の量子ドット閉じ込め層と、該第1の量子ドット閉じ込め層上に形成され、第1の量子ドット閉じ込め層よりも大きいエネルギーバンドギャップを有する第4の半導体材料からなる第2の量子ドット閉じ込め層と、前記第1の量子ドット閉じ込め層内において前記第1の量子ドット閉じ込め層と前記第2の量子ドット閉じ込め層との界面側であって前記量子ドットの直上に形成され、前記量子ドットのエネルギー準位を制御する微細構造とを含む半導体発光装置と、該半導体発光装置からの光を伝達するとともに1.3μm帯近傍に吸収係数の極小値を有する光ファイバーとを含む光通信システム。
【0153】
(14)さらに1.3μm帯の光を光電変換可能な光電変換素子を含む上記(13)に記載の光通信用装置。
【0154】
(15)半導体基板上に、第1の半導体材料を含む第1の半導体層を成長する第1の工程と、該第1の半導体層上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップの小さい第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以下の供給量で量子ドット層を形成する第2の工程と、該量子ドット層を覆って前記第1の半導体層の上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップが小さく、前記第2の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第3の半導体材料を含む第1のキャリア閉じ込め層を形成する第3の工程と、該第1のキャリア閉じ込め層の上に前記第3の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第4の半導体材料を含む第2のキャリア閉じ込め層を形成する第4の工程とを含む半導体発光装置の製造方法。
【0155】
(16)半導体基板上に、第1の半導体材料を含む第1の半導体層を成長する第1の工程と、(a)前記第1の半導体層上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップの小さい第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以上供給して量子ドット層を形成する工程と、(b)その後、前記第1の半導体層上に、前記第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以下であって前記(a)の工程における供給量よりも少ない供給量で供給し、前記量子ドットを追加成長させる工程とを含む第2の工程と、該量子ドットの上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップが小さく、前記第2の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第3の半導体材料を含む第1のキャリア閉じ込め層を形成する第3の工程と、該第1のキャリア閉じ込め層の上に前記第3の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第4の半導体材料を含む第2のキャリア閉じ込め層を形成する第4の工程とを含む半導体発光装置の製造方法。
【0156】
(17)前記第2の工程における基板温度は、495℃から525℃の間である上記15記載の半導体発光装置の製造方法。
【0157】
(18)前記第2の工程における前記第2の半導体材料を供給する工程は、該第2の半導体材料を供給・供給中断するためのシャッターを順次開閉することにより制御する工程を含む上記(15)に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0158】
(19)前記第2の工程における前記第2の半導体材料を供給する工程は、該第2の半導体材料の構成元素を分割供給する工程を含む上記(15)に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0159】
(20)前記第2の工程における前記第2の半導体材料を供給する工程は、該第2の半導体材料を分割供給する工程と成長中断する工程とを含む上記(19)に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0160】
(21)前記第2の工程は、前記第1の半導体層上に、該第1の半導体材料よりもバンドギャップの小さい前記第2の半導体材料を、平均的にまたは実質的に1秒間に0.05分子層(ML)以上の成長量で2分子層相当量供給する工程と、前記第2の半導体材料を、平均的にまたは実質的に1秒間に0.05分子層(ML)以下の供給速度で1分子層相当量供給する工程とを含む上記(15)に記載の半導体発光構造の製造方法。
【0161】
(22)前記第2の工程は、前記第1の半導体層上に、該第1の半導体材料よりもバンドギャップの小さい前記第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以上の成長量で2分子層相当量供給する工程と、少なくとも10秒以上の成長中断を行う工程と、前記第2の半導体材料を、平均的にまたは実質的に1秒間に0.05分子層(ML)以下の供給速度で1分子層相当量供給する工程とを含む上記(15)に記載の半導体発光構造の製造方法。
【0162】
(23)前記第1の工程は、GaAsを成長する工程であり、前記第2の工程は、InAsを供給する工程であり、前記第3の工程は、InxGa1-xAsを成長する工程であり、前記第4の工程は、GaAsを成長する工程である上記(14)に記載の半導体発光構造の製造方法。
【0163】
【発明の効果】
室温連続発振し、かつ、発光スペクトルの半値幅を狭めることにより高効率されたレーザーを得ることができる。
【0164】
光ファイバーによる伝送にきわめて有効な波長である1.3μm帯での発光装置として、このレーザー装置を好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体レーザー装置の概略構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態によるInAs量子ドット構造の平面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態によるInAs量子ドットの成長速度(InAsの供給速度)と、室温における発光ピーク波長、発光スペクトルの半値幅との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第一の実施の形態によるInAs量子ドットを含む構造の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第一の実施の形態による、低供給速度で成長したInAs量子ドット構造の室温におけるPL発光スペクトル、(b)は通常の速度で成長したInAs量子ドットのPL発光スペクトルを示す。
【図6】本発明の第一の実施の形態によるInAs量子ドット構造の供給速度と表面密度及びAFM法により測定した量子ドット底面の直径との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第一の実施の形態によるInAs量子ドット構造におけるInAsの供給量と、室温における量子ドットからの発光スペクトルの発光強度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第一の実施の形態によるInAs量子ドット構造の成長時のAs圧と、室温における量子ドットからの発光スペクトルのピーク波長及び発光強度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態によるInAs量子ドット構造の製造工程を示す工程図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態によるInAs量子ドット構造の製造工程を示す工程図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態によるInAs量子ドット構造の断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態によるInAs量子ドット構造におけるInGaAs閉じ込め層の厚さを変化させた場合の、室温におけるPLの発光波長と発光強度を示した図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態によるInAs量子ドット構造におけるInGaAs閉じ込め層のInAs組成Xを変化させた場合の、室温におけるPLの発光波長と発光強度を示した図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態によるInAs量子ドット構造を示す断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態によるレーザー装置の断面図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態による光通信システムの概略図である。
【符号の説明】
A、H 半導体レーザー装置
PD フォトダイオード
1 活性層
3 n型クラッド層
5 第1の電極
11 p型クラッド層
15 第2の電極
21 GaAs層(第1半導体層)
25、25a、25b 量子ドット
27 InAs分子
28 GaAs分子
31 InGaAs層(第1の量子ドット閉じ込め層)
33 微小構造
41 GaAs層(第2の量子ドット閉じ込め層)
101 n型GaAs基板
105 n型クラッド層
111、115 SCH層
131 p型クラッド層
141 p型AlGaAs層
151 p型GaAs高濃度層
201 n型電極
211 p型電極
301 光ファイバー
311 受光素子

Claims (1)

  1. 半導体基板上に、第1の半導体材料を含む第1の半導体層を成長する第1の工程と、
    (a)前記第1の半導体層上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップの小さい第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以上供給して量子ドット層を形成する工程と、
    (b)その後、前記第1の半導体層上に、前記第2の半導体材料を、平均的に1秒間に0.05分子層(ML)以下であって前記(a)の工程における供給量よりも少ない供給量で供給し、前記量子ドットを追加成長させる工程とを含む第2の工程と、
    該量子ドットの上に、前記第1の半導体材料よりもバンドギャップが小さく、前記第2の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第3の半導体材料を含む第1のキャリア閉じ込め層を形成する第3の工程と、
    該第1のキャリア閉じ込め層の上に前記第3の半導体材料よりもバンドギャップの大きい第4の半導体材料を含む第2のキャリア閉じ込め層を形成する第4の工程と
    を含む半導体発光装置の製造方法。
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