JP4283548B2 - スクロール圧縮機の真空防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール圧縮機の真空防止装置に関し、特に、ポンプダウンまたは膨脹弁の閉塞のような非正常運転時に、吐出圧側のガスを吸入圧側に逆流させて圧縮機が真空になることを防止し得るスクロール圧縮機の真空防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧縮機は、機械的エネルギーを圧縮性流体の潜在エネルギー(latent energy)に変化させるものであるが、通常、往復動式、スクロール式、遠心式そしてベーン式に分類することができる。
【0003】
特に、スクロール式圧縮機は、ピストンの直線往復運動を利用する往復動式とは違って、遠心式またはベーン式のように回転体を利用してガスを吸入、圧縮、吐出する構造となっている。
【0004】
図7は、従来技術によるスクロール圧縮機の内部を示す縦断面図である。
図7において、従来のスクロール圧縮機は、ガス吸入管SP(gas suction tube)とガス吐出管DPを有するケース1と、ケース1の内周面の上下両側に各々設けられたメーンフレーム2及びサブフレーム(図示せず)と、メーンフレーム2とサブフレームとの間に設置される駆動モータ3と、駆動モータ3の回転力を伝達できるように駆動モータ3の中心部に係合する回転軸4と、回転軸4の上部に偏心回転(eccentric rotation)自在に設けられて、上部にインボリュート曲線状のラップ5a(wrap)を有する旋回スクロール5と、旋回スクロール5と係合して、その内部に複数個の圧縮室Pを形成するようにインボリュート曲線状のラップ6aを有する固定スクロール6とから構成される。
【0005】
ケース1の内部は、高・低圧分離板7によって吸入圧領域S1(suction pressure zone)と吐出圧領域S2(discharging pressure zone)とに区画され、圧縮室Pと連通する位置では、中間圧領域S3(middle pressure zone)が形成される。
【0006】
固定スクロール6の側面と中央部には、各々ガス吸入口6bと吐出口6cが形成され、さらに吐出されたガスの逆流を防止し得るように固定スクロール6の上面には、逆止め弁8が設けられる。
【0007】
メーンフレーム2とサブフレームは、熔接等の通常の固定手段によってケース1の内周面に固定され、固定スクロール6もボルトのような通常の固定手段によって高・低圧分離板7の下面に固定される。
【0008】
一方、ポンプダウン(pump down)または膨脹弁の閉塞状態では、圧縮機の吸入圧領域S1は高真空状態となるが、この時圧縮機の構成部品が焼損または破損される。
【0009】
これを防止するために、従来技術による圧縮機では、真空防止装置20が設けられている。
ここで、図8は、図7の真空防止装置における正常運転時の動作を示す縦断面図で、図9は、図7の真空防止装置における非正常運転時の動作を示す縦断面図で、図10は、図8の矢視線A−Aに沿う断面図である。
【0010】
次に、図8、9を参照して真空防止装置20の構成を説明する。
固定スクロール6の一側にはチャンバー10が形成され、そのチャンバー10の上面には、吐出圧領域S2と連通可能な吐出圧孔11が形成される。
【0011】
チャンバー10の下面には、中間圧領域S3と連通可能な中間圧孔12が形成されて、チャンバー10の開口部側には、吸入圧孔13を有する栓14が固定ピン15により固定され、さらに該吸入圧孔13は、吐出圧孔11と連通することができるように構成される。
【0012】
チャンバー10の中には、吐出圧孔11と吸入圧孔13とを選択的に連通させることができるように、開閉部材17が移動自在に設けられる。
チャンバー10の開口部側には、開閉部材17の移動を制限して開閉部材17に弾性力を提供するスプリング16が設けられる。
【0013】
以下、このように構成された従来のスクロール圧縮機の作用を説明する。
まず、駆動モータ3に電源が印加されると、その駆動モータ3が回転軸4を回転させるが、ここで回転軸4に係合した旋回スクロール5が偏心距離だけ旋回される。
【0014】
この時、旋回スクロール5のラップ5aと固定スクロール6のラップ6aとの間に形成された複数個の圧縮室Pは、旋回スクロール5の持続的な旋回運動によって順次固定スクロール6の中央へ移動しながらその体積が減少する。
【0015】
圧縮室Pの持続的な体積減少によって吸入圧領域S1のガスは、吸入口6bを通って圧縮室Pでに吸入されるが、吸入されたガスは、また吐出口6cを通じて吐出圧領域S2にて吐出される。
【0016】
前記圧縮機の正常運転時には、中間圧力(中間圧領域の圧力)がスプリング16の弾性力より大きいため、開閉部材17は、スプリング16の弾性力を克服して吐出圧孔11を遮断(密封)するに対して、圧縮機が非正常運転時には、中間圧力がスプリング16の弾性力より小さくなるために開閉部材17は、スプリング16の弾性力により圧押され、吐出圧孔11を開放し、この時、吐出圧孔11は吸入圧孔13と相互に連通する。
【0017】
吐出圧孔11と吸入圧孔13とが連通することによって、吐出圧領域S2のガスが吐出圧孔11と吸入圧孔13とを通じて吸入圧領域S1に逆流し、圧縮機の真空は解消される。
【0018】
このような従来技術によるスクロール圧縮機では、図4に示すように、開閉部材17の円滑な摺動を誘導するために、チャンバー10の内壁と開閉部材17外周面の間に微細な間隙t(チャンバー内壁の下面と開閉部材の下面とがなす隙間)が設けられている。
【0019】
通常、間隙tは、開閉部材17がチャンバー10を摺動によって移動するための最小限の大きさで形成されると共に、開閉部材17が吐出圧孔11を遮断している時、その吐出圧孔11を通じてガスが漏れない程度の微細な大きさで形成される。
【0020】
間隙tが小さければ小さいほど、ガスは效果的に遮断されるが、開閉部材17の動作は円滑でなく、反対に間隙tが大きければ大きいほどガス漏れは大きくきくなる一方、開閉部材17の動作は円滑になる。従って、開閉部材17の動作に鑑み、間隙tは、許容公差範囲内で設計および製造される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、このような従来のスクロール圧縮機においては、圧縮機が正常に運転する時に、吐出圧領域S2のガス圧力によって開閉部材17が下方に加圧され、この時開閉部材17の下面は、チャンバー10の内壁下面に密着されると同時に、開閉部材17の上面は、その分だけチャンバー10の内壁上面から離隔する。即ち、間隙tが許容公差範囲を超えて大きくなる。
【0022】
このように間隙が大きくなると、その間隙を通じて吐出側ガスの一部が吸入側に漏れ、結局、圧縮機の圧縮効率が低下する問題を生じる。
また、間隙を設計及び製造するにおいて、従来は、蒸気問題点を解決することができる程度の精度が必要であったため、製造コストが高くなる一方、生産性が落ちるという問題点がある。
【0023】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、固定スクロールの一側に中間圧力と吐出圧力との差により回転しながら吐出圧孔と吸入圧孔とを選択的に連通させる回転部材を設けることによって、非正常運転時に圧縮機の真空を效果的に防止し得ると共に、正常運転時に吐出圧方向のガス漏れを效果的に防止できるスクロール圧縮機の真空防止装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明は、圧縮室の中間圧領域に連通するように形成された中間圧孔と吸入圧領域とに連通するように形成された吸入圧孔とを覆うように固定スクロールの上面に固定されて、その上面には、前記吸入圧孔と連通する吐出圧孔が形成され、さらにその内部には、回転部材受容空間が形成されたハウジングと、前記中間圧孔と吐出圧孔との間のガスの圧力差に基づいて選択的に所定の角度にて回転し得るように前記受容空間に軸固定され、またその一方には、前記中間圧孔を開閉する中間圧ガス受容溝が形成され、他方には、前記吸入圧孔と吐出圧孔とを開閉する吸入圧ガス受容溝が形成された回転部材とを具備したスクロール圧縮機の真空防止装置を提供する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係るスクロール圧縮機の真空防止装置を詳細に説明する。
図1は、本発明のスクロール圧縮機を示す縦断面図で、図2は、本発明のスクロール圧縮機の真空防止装置を示す縦断面図で、図3は、本発明のスクロール圧縮機の真空防止装置を示す分解斜視図で、図4は、初期運転及び非正常運転時における真空防止装置の動作を示す横断面図で、図5は、正常運転時における真空防止装置の動作を示す横断面図で、図6は、ガス漏れ時における真空防止装置の動作を示す横断面図である。
【0026】
本発明に係るスクロール圧縮機は、ガスを吸入する吸入圧領域S1とガスを吐出する吐出圧領域S2とに区画されるケース1と、ケース1の内部に固定設置される固定スクロール6と、固定スクロール6と係合し、その内部に中間圧領域S3と連通する圧縮室Pを形成して、ガスを吸入と圧縮そして吐出することができるようにケース1内部の駆動モータ3の回転軸4に偏心旋回自在に係合した旋回スクロール5と、非正常運転時、吐出領域S2のガスを吸入領域S1に逆流させて圧縮機の真空を防止する真空防止装置100とを具備する。
【0027】
即ち、ケース1は、高・低圧分離板7によって吸入圧領域S1と吐出圧領域S2とに区画されるが、吸入圧領域S1側のケース1には、ガス吸入管SPが形成され、また吐出圧領域S2側のケース1には、ガス吐出管DPが形成される。回転軸4の上端部に偏心回転自在に設置された旋回スクロール5は、その上部にインボリュート曲線状のラップ5aを有し、また旋回スクロール5と係合する固定スクロール6もその下部にインボリュート曲線状のラップ6aを有する。
【0028】
固定スクロール6の側面と中央部には、各々ガス吸入口6bと吐出口6cとが形成され、吐出されたガスの逆流を防止できるように固定スクロール6の上面には、逆止め弁8が設けられる。
【0029】
一方、前述したようにポンプダウンまたは膨脹弁の閉塞状態では、圧縮機の吸入圧領域S1は高真空状態になり、圧縮機の部品が焼損または破損される。
これを防止するために、本発明では、板状の回転部材とその回転部材を受容するハウジングからなる真空防止装置100が設けられている。
【0030】
真空防止装置100の構成は、固定スクロール6の上面一方には、圧縮室Pの中間圧領域S3と連通するように中間圧孔111が形成され、また固定スクロール6の上面他方には吸入圧領域S1と連通するように吸入圧孔112が形成される。
【0031】
固定スクロール6の上面には、中間圧孔111と吸入圧孔112を覆うようにハウジング120が配置される。ハウジング120の上面外周には、吸入圧孔112と連通し得る吐出圧孔113が形成され、ハウジング120の上面中心には、貫通孔121が形成され、さらにハウジング120の内部には、回転部材受容溝122が形成されている。
【0032】
回転部材受容溝122の中に回転部材130が受容されるが、その回転部材130の中心にはヒンジ溝131が設けられている。
ハウジング120の貫通ホール121と、回転部材130のヒンジ溝131にボルト型の軸140が嵌合し、その軸140は、固定スクロール6の上面に固定される。
【0033】
軸140によって、ハウジング120は固定スクロール6の上面に固定され、回転部材130は、その回転部材受容溝122内で所定の角度で回転自在に設けられる。
【0034】
回転部材受容溝122は、軸140を中心に所定の角度、例えば250〜280゜の中心角を有する扇形に形成され、回転部材受容溝122の両側には、各々回転部材130の回転角度を制限するために停止部122a、122bが形成される。
【0035】
回転部材130は、軸140を中心に所定の角度、例えば200〜240゜の中心角を有する扇形で形成され、回転部材130の両面の各々には、止め面132a、132bが形成される。
【0036】
回転部材130は、中間圧孔111と吐出圧孔113を通じて流入するガスの圧力差によって時計方向または、反時計方向に選択的に所定の角度で回転するように構成される。
【0037】
回転部材130の一方には、中間圧孔111を開閉する中間圧ガス受容溝133aが形成され、回転部材130の他方には、吸入圧孔112と吐出圧孔113を開閉する吐出圧ガス受容溝133bが形成される。
【0038】
中間圧ガス受容溝133aには、中間圧ガス流路134aが止め面132aまで形成され、吐出圧ガス受容溝133bには、吐出圧ガス流路134bが止め面132bまで形成される。
【0039】
図4に示すように、ハウジング120の停止部122aと回転部材130の止め面132aとの間には、中間圧領域S2のガスが集められる中間圧ガス貯蔵部135a(middle pressure gas storage portion)が形成され、ハウジング120の停止部122bと回転部材130の止め面132bとの間には、吐出圧領域S3のガスが集められる吐出圧ガス貯蔵部135b(discharge pressure gas storage portion)が形成される。
【0040】
正常運転時には、回転部材130の回転によって中間圧ガス貯蔵部135aは拡張し、一方、吐出圧ガス貯蔵部135bは縮小し、中間圧孔111と吸入圧孔112と吐出圧孔113とは、回転部材130によって遮断される。
【0041】
非正常運転時には、回転部材130の回転によって中間圧ガス貯蔵部135aは縮小し、一方、吐出圧ガス貯蔵部135bは拡張し、中間圧孔111は中間圧ガス受容溝133(suction pressure gas storage portion)に位置し、吸入圧孔112は吐出圧ガス受容溝133bに位置し、吐出孔113は吐出圧ガス貯蔵部135bに位置している。
【0042】
正常運転時には、吐出側のガス漏れによる回転部材130の逆回転を防止し得るように、中間圧ガス流路134aは止め面132a側の幅より中間圧ガス受容溝133a側の幅がより大きく形成される。すなわち、中間圧ガス流路134aは、止め面132a側から所定幅を維持して進行するが中間圧ガス受容溝133b側に近接すると幅がより大きくなっている。
【0043】
これは、正常運転時、吐出圧孔113からガスが漏れて、回転部材130が逆回転する場合、中間圧ガス流路134aを通じて中間圧領域S3のガスの一部が供給されることにより回転部材130の逆回転が防止される。
【0044】
回転部材130とハウジング120との間の間隙と、回転部材130と軸140との間の間隙とは、シールされるが、この時回転部材130の動作の円滑性を維持できる範囲内でシールすることは言うまでもない。
【0045】
初期運転時に中間圧孔111は、中間圧ガス受容溝133aに位置し、吸入圧孔112は、吐出圧ガス受容溝133bに位置し、吐出圧孔113は、吐出圧ガス貯蔵部135bに位置するように構成される。
【0046】
以下、このような本発明に係るスクロール圧縮機の真空防止装置の作用、効果について説明する。
前述のように、駆動モータ3により旋回スクロール5が旋回運動すると、吸入圧領域S1のガスを吸入し、圧縮室Pで圧縮した後圧縮されたガスを吐出圧領域S2にて吐出する。
【0047】
図4、5を参照すると、圧縮機の正常運転時には、中間圧領域S3のガスが中間圧孔111を通じて中間圧ガス受容溝133aに流入し、その中間圧ガス受容溝133aに流入したガスは、また中間圧ガス流路134aを経て中間圧ガス貯蔵部135aに流入する。
【0048】
中間圧ガス貯蔵部135aに貯蔵されたガスの圧力によって、回転部材130が軸140を中心に回転し、中間圧ガス貯蔵部135aが大きくなり、吐出圧ガス貯蔵部135bが縮小される。
【0049】
回転部材130がある程度回転すると、回転部材130の止め面132bが、ハウジング120の停止部122bに係合し、回転部材130の回転が制限される。
回転部材130の一側によって中間圧孔111は遮断され、回転部材130の他側により吐出圧孔113および吸入圧孔112は遮断される。
【0050】
圧縮機の非正常運転時には、中間圧領域S3と吸入圧領域S1の圧力が低下する反面、吐出圧領域S2の圧力は相対的に大きくなる。
この時、吐出圧領域S2のガスが吐出圧孔113を通じて吐出圧ガス貯蔵部5bに流入するが、このように流入したガスは、吐出圧ガス流路134bを通って吐出圧ガス受容溝133bに流入する。
【0051】
吐出圧ガス貯蔵部135bに流入した吐出圧ガスの圧力が次第に増加すると、回転部材130が軸140を中心に回転し、この時、吐出圧ガス貯蔵部135bは大きくり、中間圧ガス貯蔵部135aは縮小される。
【0052】
回転部材130がある程度回転すると、回転部材130の止め面132aが、ハウジング120の停止部122aに係合し、回転部材130の回転が制限される。
【0053】
この時、中間圧孔111は中間圧ガス受容溝133aに位置し、吸入圧孔112は吐出圧ガス受容溝133bに位置し、吐出孔113は吐出圧ガス貯蔵部135bに位置している。
【0054】
この時、吐出圧ガス流路134bを通じて、吐出孔113と吸入孔112とが連通することによって、吐出孔113を通じて流入したガスは、吐出圧ガス流路134bに沿って移動し吸入圧孔112から逆流する。
【0055】
吐出圧領域S2のガスが吸入圧領域S1へと逆流することにより、圧縮機の高真空が防止することができる。
【0056】
以下、図4〜図6を参照して運転状態に係る動作をより詳しく説明する。
まず、図4に示すように、初期運転時には、非正常運転時と同じく中間圧領域S3より吐出圧領域S2の圧力が大きいために、中間圧ガス貯蔵部135aよりは、吐出圧ガス貯蔵部135bの方がより大きく、中間圧孔111と吐出圧孔113と吸入圧孔112とが全て開いた状態を維持する。
【0057】
運転が始まると、中間圧領域S3の圧力が大きくなり、ガスが中間圧孔111を通じて中間圧ガス受容溝133aに流入する。
中間圧ガス受容溝133aに流入したガスは、中間圧ガス流路134aを通って中間圧ガス貯蔵部135aに流入する。
【0058】
中間圧ガス貯蔵部135aに貯蔵されたガスの圧力によって、回転部材130は軸140を中心に回転し、この時、中間圧ガス貯蔵部135aは大きくなる反面、吐出圧ガス貯蔵部135bは縮小される。
【0059】
回転部材130がある程度回転すると、図5に示すように、回転部材130の止め面132bがハウジング120の停止部122bに係合し、回転部材130の回転が制限される。
回転部材130の一側によって中間圧孔111は遮断され、また回転部材130の他側により吐出圧孔113と吸入圧孔111は遮断される。
【0060】
正常運転時には、吐出圧領域S2の圧力が次第に中間圧領域S3の圧力より大きくなるために、吐出圧領域S2のガスの一部が、吐出圧孔113を通じて吐出圧ガス貯蔵部135bに流入し、この時、吐出圧ガス貯蔵部135bの圧力が増加して、回転部材130が軸140を中心に時計方向に若干回転する。この時、吐出圧孔113を通じて流入したガスが、吸入圧孔112を通じて漏れることもある。
このような問題点を解決するために、本発明では、図6に示すように、吐出孔113からのガス漏れを防止できる構造となっている。
【0061】
即ち、回転部材130がある程度回転して、中間圧ガス受容溝133aと隣接する中間圧ガス流路134aに達すると、中間圧孔111が一部開かれて、その中間圧孔111を通じて、一部のガスが中間圧ガス貯蔵部135aに流入し、その圧力が増加する。
【0062】
中間圧ガス貯蔵部135aの圧力増加によって、回転部材130は軸140を中心に時計方向に回転して元の位置に戻る。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、中間圧力と吐出圧力との差により回転し、吐出圧孔を吸入圧孔と選択的に連通させる回転部材を配設することによって、非正常運転時に圧縮機の真空を效果的に防止できることはもちろん、正常運転時に吐出圧方向のガス漏れを效果的に防止して圧縮機の圧縮効率を高めるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクロール圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】本発明のスクロール圧縮機の真空防止装置を示す縦断面図である。
【図3】本発明のスクロール圧縮機の真空防止装置を示す分解斜視図である。
【図4】本発明による真空防止装置の初期運転及び非正常運転時の動作を示す横断面図である。
【図5】本発明による真空防止装置の正常運転時の動作を示す横断面図である。
【図6】本発明による真空防止装置のガス漏れ時の動作を示す横断面図である。
【図7】従来技術によるスクロール圧縮機の内部を示す縦断面図である。
【図8】図7の真空防止装置の正常運転時の動作を示す縦断面図である。
【図9】図7の真空防止装置の非正常運転時の動作を示す縦断面図である。
【図10】図8の矢視線A−Aに沿う断面図である。
【符号の説明】
5…旋回スクロール
6…固定スクロール
10…チャンバー
111…中間圧孔
112…吸入圧孔
113…吐出圧孔
120…ハウジング
121…貫通孔
122…回転部材受容溝
130…回転部材
131…ヒンジ溝
132a…止め面
132b…止め面
133a…中間圧ガス受容溝
133b…吐出圧ガス受容溝
134a…中間圧ガス流路
134b…吐出圧ガス流路
135a…中間圧ガス貯蔵部
135b…吐出圧ガス貯蔵部
P…圧縮室
t…間隙
S1…吸入圧領域
S2…吐出圧領域
S3…中間圧領域

Claims (10)

  1. 圧縮室の中間圧領域に連通するように形成された中間圧孔と、吸入圧領域に連通するように形成された吸入圧孔とを覆うように固定スクロールの上面に固定され、その上面には、前記吸入圧孔と連通し得る吐出圧孔が形成されるとともに、その内部には、回転部材受容溝が形成されたハウジングと、
    前記中間圧孔と吐出圧孔との間のガスの圧力差に基づいて選択的に所定の角度で回転できるように前記回転部材受容溝に軸固定された回転部材とを具備したスクロール圧縮機の真空防止装置。
  2. 前記回転部材は、その一方に前記中間圧孔を開閉させる中間圧ガス受容溝が形成され、他方には、前記吸入圧孔と吐出圧孔とを開閉させる吐出圧ガス受容溝が形成されている請求項1記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  3. 前記回転部材受容溝は前記軸を中心に250〜280゜の中心角を有する扇形に形成されている請求項1記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  4. 前記回転部材は前記軸を中心に200〜240゜の中心角を有する扇形に形成されている請求項1記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  5. 前記回転部材の両面には止め面が形成され、また前記回転部材の回転を制限することができるように、前記回転部材受容溝の両側には各々前記止め面と所定間隔をおいて停止部が形成されている請求項1記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  6. 前記ハウジングの停止部と前記回転部材の止め面との間には、各々中間圧領域のガスが集められる中間圧ガス貯蔵部、および、吐出圧領域のガスが集められる吐出圧ガス貯蔵部が形成されている請求項5記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  7. 前記中間圧ガス受容溝には、前記止め面まで中間圧ガス流路が形成され、前記吐出圧ガス受容溝にも前記止め面まで吐出圧ガス流路が延長形成されている請求項1記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  8. 正常運転時、前記回転部材の逆回転を防止できるように前記中間圧ガス流路は、前記止め面側の幅より前記中間圧ガス受容溝側の幅がより大きく形成されている請求項7記載のスクロール圧縮機の真空防止装置。
  9. 前記吐出圧孔を通じてガスが漏れ、前記回転部材が逆回転される場合、前記中間圧ガス流路を通って前記中間圧領域のガスの一部が供給され、前記回転部材の逆回転が防止し得ることを特徴とする請求項7記載の圧縮機の真空防止装置。
  10. 前記ハウジングの中心には、前記軸が設けられるように貫通ホールが形成され、前記回転部材の中心には、ヒンジ溝が形成されている請求項1記載の圧縮機の真空防止装置。
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