JP4283531B2 - マスト細胞の細胞死誘発剤 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はMITF変異体を用いた医薬用途に関する。より詳細にはMITF変異体を構成要素とする融合蛋白質の医薬用途に関する。
【0002】
【従来技術】
MITF(microphthalmia−associated transcription factorの略)は生体内に存在する転写制御因子の一種であり、マスト細胞に特有な、c−kit遺伝子発現調節能を有する蛋白質である。
【0003】
MITFは既知の物質である(非特許文献1)が、最初に見出されたのはMITFをコードする遺伝子であった。すなわち、当該遺伝子は、mi/miマウスの原因遺伝子として単離された。mi/miマウスにおいては、MITF遺伝子に突然変異、すなわちMITF遺伝子の転写活性化領域の1アミノ酸欠失が生じたため、正常なMITFが発現されない。mi/miマウスは、眼球の形成不全、メラノサイトの欠損、マスト細胞の消失、骨大理石症を主な症状とする変異マウスであり、メラノサイト、マスト細胞、網膜色素上皮細胞、破骨細胞などの組織で分化異常を呈する。mi/miマウスにおけるこれらの細胞の分化異常は、正常MITFが発現されずMITFによる遺伝子転写活性化が行われないことに起因する。
【0004】
また、正常マウスの組織あるいは培養細胞株を用いたノザンブロットによる発現組織分布の解析で、MITFmRNAが、心臓、メラノサイト、マスト細胞で発現していることが認められた。近年では、MITFにはcDNAの5’末端の配列が異なるアイソフォーム、すなわちメラノサイト型(Mタイプ)、心臓型(Hタイプ)、Aタイプが存在することが報告されている(非特許文献2)。MITF遺伝子は10個(Mタイプ)あるいは11個(A、Hタイプ)のエクソンから構成されており、エクソン2以降は3タイプ共ほぼ共通である。Mタイプにおいては、6アミノ酸をコードする18塩基からなるエクソン5bの付加の有無によって、さらに2つのタイプに区別される。AとHのタイプはエクソン1B以降が完全に一致しており、5’末端のエクソン1が異なる。A、HタイプとMタイプとは、エクソン2以降は共通であるが、Mタイプにはエクソン2の上流にエクソン1Bがなく、特異的なエクソン1がつながる。また、ゲノム配列からそれぞれのタイプのプロモーターは異なっていることが明らかになっている。
【0005】
MITF蛋白質は、核移行領域、転写活性化領域、DNA結合領域、二量体形成領域およびMITF自体の活性化領域からなることが推定されており、これら領域を含むことは既知の全てのタイプで共通である。MITF蛋白質は、その構造の中央にbHLH−Zip(basic−helix−loop−helix/leucine zipper)を有する転写制御因子であり、二量体を形成してDNAに結合し、対象となる遺伝子の転写を活性化する。AタイプとHタイプの転写活性能には大きな差違があることが報告されており、両タイプ間で遺伝子配列の異なるエクソン1に、転写活性を制御する機能があると推測される。
【0006】
また、MITF蛋白質は、メラノサイトにおいては転写制御因子として作用し、メラノサイトの増殖分化、ならびにメラニン合成系等に関わっていることが報告されている。
【0007】
マスト細胞においても、MITF蛋白質はc−kit遺伝子発現を調節する転写制御因子(c−kitプロモーターを活性化する転写因子)として作用することが報告されている(非特許文献3)。c−kit遺伝子は造血前駆細胞、マスト細胞、色素細胞、生殖細胞で発現されており、これら細胞の増殖分化を、Sl因子の作用により制御している。マスト細胞において、MITF蛋白質は、c−kit遺伝子発現を制御することによりマスト細胞の生存維持に関わっていると考えられる。
【0008】
マスト細胞はアレルギー疾病に関与していることが古くから報告されている(非特許文献4)。また、アレルギー疾病以外にマスト細胞が関わる疾病として、自己免疫疾患、肺線維症、癌、マストサイトーシス、マストサイトーマ等が挙げられる。
【0009】
一方、PTD(Protein Transduction Domainの略)は、生体膜を貫通して蛋白質を細胞内に移行させる(取り込ませる)働きを有するドメインの総称である。例えば、HIV抗原中のドメイン単位で分析したところ、TAT由来ペプチドの部分が、HIV抗原を正常なT細胞内に移行させる働きを有しており、これが細胞感染の一因であることが確認されている(非特許文献5)。こうした知見がベースとなって、TATと同じような働きを有する各種PTDが存在すること、これらのPTDと各種蛋白質を融合させることにより細胞内に移行させる手法が報告されている(非特許文献6)。
【0010】
しかしながら、MITFあるいはマスト細胞に関して、PTDを利用して細胞内に移行させる技術については、今までのところ報告例は見出されていない。
【0011】
【特許文献1】
国際公開第00/47765号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第01/66735号パンフレット
【特許文献3】
特表2001−513987号公報
【特許文献4】
特表2002−505077号公報
【特許文献5】
特表平5−505102号公報
【特許文献6】
特表2002−512808号公報
【非特許文献1】
セル(Cell)、1993年、74巻、395〜404頁
【非特許文献2】
生化学、1999年、71巻1号、61〜64頁
【非特許文献3】
ブラッド(Blood)、1996年、88巻4号、1225〜1233頁
【非特許文献4】
IgE,mast cells and the allergic response(Ciba Foundation symposium)147、John Wiley & Sons出版社、Chichester,UK.、1989年
【非特許文献5】
セル(Cell)、1988年、55巻、1179〜1188頁
【非特許文献6】
カレント・オピニオン・イン・モレキュラ・セラピューティクス(Current Opinion in Molecular Therapeutics)2000、2000年、2巻2号、162〜167頁
【非特許文献7】
トレンズ・イン・ジェネティクス(Trends in Genetics)、1995年、11巻11号、442〜448頁
【非特許文献8】
プロシーディング・ネイショナル・アカデミック・ソサイアティ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、1988年、85巻、8998〜9002頁
【非特許文献9】
カレント・プロトコールズ・イン・イムノロジー(ウィレイ)セクション[Current Protocols in Immunology(Wiley)Section]7.25.2
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、MITF変異体を用いた新規な医薬用途を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の事情を考慮して研究を行った結果、MITF変異体とPTDを組合せることにより、マスト細胞の細胞死を誘発できることを見出して本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、PTDおよびMITF変異体から構成される融合蛋白質を有効成分とするマスト細胞の細胞死誘発剤;PTDおよびMITF変異体から構成される融合蛋白質を有効成分とするマスト細胞が関与する疾患の予防治療剤;HisTag、PTDおよびMITF変異体から構成される融合蛋白質において、MITF変異体がMITFのmi変異体、wh変異体、HLH断片またはAタイプのN末領域(1−305)断片であり、PTDがTAT由来ペプチドである、当該融合蛋白質;前記の融合蛋白質および製剤学的に許容しうる担体を含む医薬組成物;前記の融合蛋白質の製造方法において、遺伝子工学的手法を用いて融合蛋白質を産生する工程を含む、当該製造方法;前記の融合蛋白質をコードするDNA、に関するものである。以下の詳細を説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
A.MITF変異体
本発明で用いられるMITF変異体は、天然型(野生型)MITFの変異体であって、MITF阻害活性を有するものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、MITFのmi変異体、MITFのwh変異体、その他のMITF変異体、例えば、スプライシングバリアント(A体、H体、M体、N体由来のいずれでも可)、あるいはMITFの部分構造であってMITF阻害活性を有するもの、例えば、bHLH−Zip(M体のN末196番目から285番目まで)断片、その部分を含むN末側断片、A体のN末領域(N末1番目から305番目まで)断片などが例示される。具体的には、非特許文献7、特許文献1、特許文献2などに開示されたMITF変異体などが挙げられる。特に好ましい変異体は、mi変異体、wh変異体、bHLH−Zip断片(以下、HLH断片)、A体のN末領域(1−305)断片である。これらのアミノ酸配列、塩基配列の関係は表1のとおりである。
【0016】
【表1】
Figure 0004283531
【0017】
また、これらの変異体の構造類似体であっても、当該変異体と実質的に同程度のMITF阻害活性を有するものも本発明の範疇に含まれる。例えば、上述のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸を置換、欠失、挿入または付加したものであって、当該変異体と実質的に同程度の活性を有するものであってもよい。
【0018】
B.PTD
本発明で用いられるPTDは、細胞内に取り込まれる(移行する)性質を有するものであれば、特に限定されるものではなく、公知のものを利用できる。具体的には、前記の文献(非特許文献6)中の164頁表2に列挙された各種オリゴペプチド、特許文献3、特許文献4、特許文献5で開示されたPTD用の各種オリゴペプチドなどが例示される。より好ましいPTDは、TAT由来ペプチド(アミノ酸配列はYGRKKRRQRRR、配列番号7、好ましい塩基配列は同8で各々示される)である。PTDはMITF変異体のN末側、C末側のいずれに結合していてもよい。また、結合は直接でもよく、架橋剤(リンカー)を介して間接的なものであってもよい。リンカーとしてはグリシン残基などが例示される。
【0019】
C.その他の構成要素(ドメイン)
本発明の融合蛋白質は、精製用アフィニティクロマトにおけるリガンドに対して親和性を有するものを結合していてもよい。当該ドメインは特に限定されるものではなく、公知のものを利用することができる。このような関係にあるものとしては、抗原とその抗体、受容体とそのリガンド、Ni−NTA(ニトリロ三酢酸)とHisTag、アビジン(またはストレプトアビジン)とビオチン、などが例示される。より好ましいのは、HisTag(アミノ酸配列はMGGSHHHHHH、配列番号9、好ましい塩基配列は同10で各々示される)である。本ドメインは融合蛋白質のN末側、C末側のいずれに結合していてもよい。また、結合は直接でもよく、架橋剤(リンカー)を介して間接的なものであってもよい。リンカーとしてはグリシン残基などが例示される。
【0020】
D.融合蛋白質の調製
本発明の融合蛋白質の調製方法としては、▲1▼融合蛋白質全体を、化学的合成手法を用いて合成する方法、▲2▼上記の各構成要素(ドメイン)を各々別個に調製した後に、化学的な反応手段を用いて結合する方法、▲3▼各構成要素をコードする遺伝子を連結した上で遺伝子工学的手法を用いて一気に融合蛋白質として発現させる方法などが例示される。▲2▼の場合、各構成要素の調製方法としては、化学的合成方法、細胞培養法、遺伝子工学的な手法を用いる方法などが挙げられる。PTDはHIV抗原からの切断・単離によっても調製することもできる。
【0021】
例えば、融合蛋白質を遺伝子工学手法により調製する場合で説明する。
1)融合蛋白質をコードするDNAを調製する。当該調製は常法により行われる。まず、MITF変異体をコードする遺伝子を調製する。当該遺伝子の調製は、適当な細胞からmRNAを抽出し、逆転写酵素とDNAポリメラーゼを用いてcDNAを合成し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で増幅することにより得ることができる。具体的には、mRNAの抽出は、市販のmRNA抽出用キットなどを用いて行い、逆転写、cDNA合成および増幅は、市販のcDNA増幅キットなどを用いた5’−RACE法(非特許文献8)または適当なプライマーを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法などにより行うことができる。また、適当な細胞からゲノムDNAを抽出し、当該遺伝子をPCRで増幅して得ることもできる。また、公知の報告例、例えば、上述の非特許文献1、特許文献2で開示されたMITFをコードする遺伝子を利用することもできる。例えば、本発明のHLH断片はMITFのMタイプから、AタイプのN末領域(1−305)断片はMITFのAタイプ(MITF A/pCDNA3)から、各々調製することかできる。
【0022】
次いで、PTDをコードする遺伝子を上記と同様の方法により調製し、MITF変異体をコードする遺伝子と連結する。HisTagについても同様である。また、HisTagを担持する市販のプラスミド(pTrcHisB、インビトロジェン社)を用いて、PTD−MITF変異体からなる融合蛋白質をコードするDNAを挿入することにより、本発明の融合蛋白質をコードするDNAを調製することができる。
【0023】
2)DNAを適当なベクターに組込んで発現用ベクターを調製する。当該ベクターは特定のプロモーターの制御下に融合蛋白質を発現するために用いる。その組込みは常法により行われる。
【0024】
上記得られた目的のDNAを精製し、ベクターDNAに導入して、宿主・ベクター系を構築することができる。宿主・ベクター系は一般に宿主細胞とコンパチブルな種に由来するレプリコンと、当該宿主を組合せて使用する。ベクターDNAは、複製起点、プロモーター、制御配列(エンハンサー)、シグナル配列、リボソーム結合部位、RNAスプライス配列、ポリA付加部位、転写終結配列(ターミネーター)などを有する。また、形質転換細胞中で表現型の選択が可能となるマーカーの配列を有していてもよい。ベクターDNAとしては、例えば、染色体、エピソーム由来のベクター、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来のベクター、またはバキュロウイルス、パポバウイルス、SV40、などのウイルス由来のベクター、あるいはコスミドおよびファージミドなどが挙げられる。また、目的により発現ベクターやクローニングベクターなどを用いることができる。
【0025】
プロモーターは公知のものが挙げられ、発現のための宿主に合わせて選択することができる。例えば、大腸菌を宿主とする場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、trcプロモーター(trpプロモーターの−35領域とlacプロモーターの−10領域を連結した合成プロモーター)、T7プロモーターなどのプロモーターが例示される。また、当該発現ベクターはamp rなどのマーカー遺伝子を担持していてもよい。
【0026】
ベクターDNAに本発明に係るDNAを組み込む方法は、自体公知の方法を適用し得る。例えば、適当な制限酵素を選択し、処理して目的のDNAを特定部位で切断し、次いで同様に処理したベクターDNAと混合し、リガーゼによって再結合する方法が用いられる。あるいは、目的のDNAに適当なリンカーをライゲーションし、これを目的に適したベクターのマルチクローニングサイトへ挿入することによっても、所望の組換えベクターが得られる。また、宿主に導入するベクターDNAとして発現ベクターを使用すれば、目的とする蛋白質の製造が可能である。
【0027】
3)発現用ベクターを宿主に導入して形質転換体を調製する。形質転換は常法により行われる。宿主としては、大腸菌、枯草菌、酵母、動物細胞などを用いることができる。好ましくは大腸菌である。また、栄養要求性株、抗生物質感受性株を宿主とすることもできる。
【0028】
形質転換体を調製する方法としては、プラスミドを直接宿主細胞内に導入する方法、プラスミドを染色体上に組込む方法などが挙げられる。前者としては、プロトプラストポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法などが例示される。後者としては、宿主染色体中に存在する遺伝子の一部のDNA配列をプラスミドに含有させて、その相同な配列部分を利用して、プラスミドまたはその線状断片を相同組換えにより宿主染色体上に導入することができる。
【0029】
4)形質転換体を培養し、融合蛋白質を産生する。培養は常法により宿主に応じて適用な培地、培養条件(温度、時間など)を用いて行われる。大腸菌を用いる場合の培養条件としては通常、15〜43℃(好ましくは30〜37℃)程度で、1〜100時間程度行う。また、必要に応じて通気や攪拌を加えることもできる。培養形式としては、回分培養、半回分培養(フェッド・バッチ培養)、連続培養のいずれであってもよい。
【0030】
5)産生された融合蛋白質を精製する。宿主として大腸菌を用いた場合はまず菌体を超音波粉砕等の処理により当該蛋白を可溶化する。産生された融合蛋白質の精製は自体公知の手法により行うことができる(特許文献6など)。例えば、Niカラムを用いる方法、陰イオン交換体処理、透析処理などが例示される。また、本発明の融合蛋白質は変性剤(カオトロピック剤)処理後に変性剤を除去して得られたものを用いることが好ましい。変性剤としては尿素、塩酸グアニジン、チオシアン酸塩などが例示される。変性剤処理時の変性剤の添加条件としては、濃度1〜10M程度が例示される。具体的には融合蛋白質と変性剤を接触させて処理した後に、変性剤の共存下にNiカラムを用いて処理を行い、さらに陰イオン交換体または透析処理により変性剤を除去する操作を行って、当該融合蛋白質を精製する。
【0031】
E.調製された融合蛋白質の性状
本発明の融合蛋白質は、細胞内、特にマスト細胞内に移行する性質を有するものである。好ましくは、HisTag、PTDおよびMITF変異体から構成される。このものは10〜100キロダルトン(kDa)程度の分子量を有する。好適には、N末側からみて、HisTag、PTD、MITF変異体の順番に並んだものである。具体的な配列としては、表2に示すとおりである。
【0032】
【表2】
Figure 0004283531
【0033】
F.製剤化
本発明の融合蛋白質の製剤化には、自体公知の手法を用いることができる。例えば融合蛋白質に、製剤学的に許容しうる担体を添加あるいは混合すればよい。製剤化により得られた医薬組成物において、融合蛋白質の濃度として0.1〜100μg/mLまたは0.1〜100nM程度が例示される。
【0034】
G.用途
本発明のMITF変異体(または、それを用いた融合蛋白質)はマスト細胞内に移行することにより内在性MITFの活性を阻害する、前駆細胞からのマスト細胞の分化を阻害する、マスト細胞の生存を阻害する、成熟マスト細胞に細胞死(アポトーシス)を誘導する、などの作用を有する。従って、本発明の製剤は、マスト細胞が関与する各種疾患の予防・治療に有用であることが期待される。当該疾患としては、例えば、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、肺線維症、癌、マストサイトーシス、マストサイトーマ等が挙げられる。
【0035】
H.用法・用量
本発明の融合蛋白質の用法・用量としては、生体内において0.001〜10μg/mL程度の濃度で存在するように、投与量を選択すればよい。あるいは投与量として、10μg〜50mg程度が例示される。投与経路としては、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経皮投与、気道内投与などが例示される。
【0036】
【実施例】
本発明をより詳細に説明するために実施例、製剤例および実験例を挙げるが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0037】
実施例1
1)融合蛋白質発現プラスミドの構築
発現プラスミドは、大腸菌用発現ベクターpTrcHisB(インビトロジェン社、No.V360−20)のHisTag配列の上流に存在するNcoIサイトとマルチクローニングサイト中のHindIIIサイトの間に、精製用のHisTagの下流にPTD配列が接続し、その下流にMITF変異体のcDNAを接続したHisTag−PTD−MITF変異体の遺伝子を挿入することにより構築した。図1を参照のこと。
【0038】
MITFのcDNAへのHisTag、PTD配列の付加はPCR法を用いて行った。まず、MITF MタイプのcDNA(pSU054、MITF−M/pT7 Blue)を鋳型にして、MITFおよびBamHIサイトを含む上流部分をPCR法により増幅した。さらに4種類のプライマー(M−tat、Tat3、Tat 2、Tat 1)を用いてMITFの転写開始コドンの上流にHisTagと制限酵素NcoIの認識配列を付加するまで伸長させた後に、大腸菌用発現ベクターpTrcHisB(このものはlac P/OおよびAmp rを担持してなる)のNcoIサイトとBamHIサイトの間にクローニングした。
【0039】
各プライマーは以下の塩基配列を有する。
M−tat(配列番号17): GCGACGAAGAGGTATGCTAGAATACAGTCACTACC
Tat 3(配列番号18): GGCAGGAAGAAGCGGAGACAGCGACGAAGAGGTATG
Tat 2(配列番号19): ATCATCATCATGGTGGTTATGGCAGGAAGAAGCGG
Tat 1(配列番号20): TAAACCATGGGGGGTTCTCATCATCATCATCATCATGGTG
【0040】
次いで、Mタイプ(pSU054)、mi変異体(pSU061、MITF−Mmi/pT7 Blue)、wh変異体(pSU062、MITF−M wh/pT7 Blue)をそれぞれBamHIとHindIII消化することにより、MITFcDNAの下流部分を単離した。この部分に変異部分も含まれる。単離したcDNA断片を、上流部分をクローニングしたプラスミドのBamHIサイトとHindIIIサイトの間に挿入した。プラスミドpSU81は正常型MITFであるMタイプを含む融合蛋白質の遺伝子を挿入したものである。pSU082はmi変異体を、pSU083はwh変異体を含む融合蛋白質を各々挿入したものである。
【0041】
2)融合蛋白質の発現
構築した発現プラスミドを大腸菌DH5α(東洋紡)に導入し形質転換した。50mLのL−Broth(50μg/mLのアンピシリンを含む)に、大腸菌を1白金耳量となるように植菌し、37℃で17時間培養した。さらに、1LのL−Broth(50μg/mLのアンピシリンおよび0.2%のグルコースを含む)に、培養液を1%となるように植菌した。A600の濁度が約0.1となるまで37℃で培養した後に、IPTG(イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド)を終濃度0.4mMとなるように添加した。2時間培養後に大腸菌を集菌した。
【0042】
3)融合蛋白質の精製
大腸菌を遠心分離にて回収し、8Mの尿素、0.1Mの塩化ナトリウム、10mMのDTTを含む20mMのHEPES緩衝液(pH8.0、pHは以下同様)中で超音波粉砕し可溶化した。得られたLysateを8Mの尿素、0.1Mの塩化ナトリウム、10mMのイミダゾール、1mMのDTTを含む20mMのHEPES緩衝液で平衡化したNi−NTAアガロース(Qiagen社)カラムにアプライし、同緩衝液で洗浄した。カラムに結合した蛋白をA液として同緩衝液、B液として200mMのイミダゾールを含む同緩衝液を用いたイミダゾールの濃度直線勾配法で溶出し、SDS−PAGE(Tefco社)で解析して目的の分子量を示す画分をプールした。
【0043】
溶出液1容量に対して、20mMのHEPES緩衝液を1容量、4Mの尿素を含む同緩衝液を2容量、各々添加して希釈した溶液を、4Mの尿素、25mMの塩化ナトリウムを含む20mMのHEPES緩衝液で平衡化した四級アンモニウム塩型強陰イオン交換体(商品名Q−Sepharose、ファルマシア社)にアプライし、同緩衝液で洗浄した。次に、20mMのHEPES緩衝液で洗浄して尿素を除去した後に、1Mの塩化ナトリウムを含む同緩衝液でカラムに結合した蛋白を溶出した。溶出した融合蛋白質は10%グリセロールを含むDulbecco’s PBS(等張化リン酸緩衝液)に対して透析した後に分注して−80℃で保存した。
【0044】
得られた最終産物をSDS−PAGEで分析したところ、還元条件下で約50キロダルトンの分子量を示すバンドが観察された。このバンドはウサギ抗MITF抗体と反応した。なお、このウサギ抗MITF抗体は、ウサギにMITFのC末20アミノ酸残基のペプチドを免疫して得られた抗血清を、同ペプチドを結合したカラムを用いてアフィニティ精製を行うことにより、同ペプチドを特異的に認識する抗体を調製したものである。
【0045】
製剤例1
本発明の融合蛋白質、および、10%グリセロールを含むDulbecco’sPBSからなる組成物を調製した。
【0046】
実験例1
1)まず、本発明の融合蛋白質が細胞内に移行しているかどうかを確認した。実施例1で調製したMITF変異体の融合蛋白質をFITC(フルオレセイン・イソチオシアネート)で常法により蛍光標識し、COS7細胞に添加した。添加1時間後にFACS(fluorescene−activated cell sorter) Calibur(ベクトン・ディキンソン社)を用いて、蛍光強度を測定した。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0004283531
【0048】
表3から明らかなように強い蛍光が細胞に会合(アソシエート)していることが観察され、当該融合蛋白質が細胞内に効率よく移行していることが確認された。
【0049】
2)本発明の融合蛋白質が細胞内に移行して内在性MITFの活性を阻害するか調べる目的でルシフェラーゼ分析を行った。
【0050】
発現用プラスミドとして、正常MITF発現用プラスミドpSU063(MITF−M/pCDNA3)、c−kit遺伝子プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を接続したプラスミドを調製するための各種ベクター、すなわち、C−kit−Rluc発現用ベクターpSU053(C−kit/R−luc)、ルシフェラーゼ発現用ベクターpGL2(Lluc、プロメガ社)を用いた。各プラスミドを、COS7細胞に導入(トランスフェクト)した。その条件は以下のとおり。プラスミドの使用量は、6cmのディッシュ当たり3μg(pSU063:pSU053:pGL2=1:1:0.1)。プラスミドの導入にはトランスフェクションキット(Stratagene社、#200385)を用いた。
【0051】
6ウェルプレートに1ウェル当たり1×10個の細胞を植え込み、17時間COインキュベータに静置した。10μLのSolution 1(前記キットに添付されている試薬。2.5M CaClからなる)に90μLの蒸留水と3μgのDNAを添加した後に、等量のSolution 2[前記キットに添付されている試薬。2×PBS(pH6.95)からなる]を加え、室温で20分間静置した。混合したDNA溶液を培養液に添加した。24時間後に上記の培地を交換し、1μg/mLの本発明の融合蛋白質(実施例1で調製)を添加した。
【0052】
本発明の融合蛋白質の添加48時間後に細胞をPBS(−)で洗浄し、6穴のディシュ当たり0.5mLのpassive lysis bufferを添加し、スクレーバーを用いて細胞を掻き採った。細胞を1.5mL容のチューブに移し、14000rpm、4℃で5分間遠心した。ルシフェラーゼ活性の測定は、Dual luciferase assay kit(プロメガ社)を用いて行った。96穴プレート上で20μLの遠心上清に、100μLのLuciferase Assay Reagent IIを添加・混合し、ホタルルシフェラーゼ活性を測定した。さらに混合液に100μLのStop&Go Reagentを添加・混合し、ウミシイタケルシフェラーゼ(R−luc)活性を測定した。R−lucの数値をpGL2で補正後、PBS添加におけるR−lucを1としたときの値に換算した。その結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
Figure 0004283531
【0054】
なお、表中のmiはHisTag−PTD−MITFのmi変異体からなる融合蛋白質、whはHisTag−PTD−MITFのwh変異体からなる融合蛋白質、を各々示す。
【0055】
COS細胞が発現するルシフェラーゼ活性も本発明の融合蛋白質存在下で阻害され、当該融合蛋白質が細胞内に移行して内在性MITFを阻害することが示唆された。
【0056】
実験例2
本発明の融合蛋白質がSCFで誘導されるマスト細胞の分化系にどのように影響するかを確認した。
【0057】
正常マウスから骨髄細胞を調製し、その2×10個/穴を、10%のFCS、0.1mMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、50μMの2−メルカプトエタノール、2μg/mLの本発明の融合蛋白質(HisTag−PTD−MITFのwh変異体)を含むRPMI1640中で骨髄細胞因子(SCF、IBL社)50〜100ng/mLの存在下に24穴プレートにて培養した。週に一度培地を半量交換し、その際にSCFも添加した。37℃で21日間培養した後に、マスト細胞数、c−kitおよびIgE受容体の発現量を測定した。
【0058】
マスト細胞数の測定はトルイジン青染色法によった。トルイジン青染色は非特許文献9に従い、pH2.7の染色液を用いて行った。
【0059】
c−kitの発現量の測定はFACSを用いて行った。細胞を、0.1%のNaN、0.1%のBSAを含むPBS100μLに懸濁し、5〜10μg/mLのR−PE(R−phycoerythrin)標識抗マウスc−kit抗体(PharMingen社)あるいはR−PE標識ラットIgG2B,k isotype standard(PharMingen社)と氷中で1時間インキュベーションした。洗浄後に1μg/mLのヨウ化ピリジウムを添加して、FACS Calibur(前記)で解析した。IgE受容体の発現量の測定は、5μg/mLのFITC標識マウスIgEを用いて同様にFITCによる解析を行った。マスト細胞数に関する結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
Figure 0004283531
【0061】
本発明の融合蛋白質の添加群では、培養21日目でマスト細胞数が未添加群に比べて10分の1以下に減少していた。また、c−kitの発現に関する培養21日目の結果を表6に示す。
【0062】
【表6】
Figure 0004283531
【0063】
本発明の融合蛋白質の添加群では、培養21日目でc−kitの発現量が未添加群に比べて10分の1以下に減少していた。また、IgE受容体の発現量は変化がなかった(実験データは示さず)。このように本発明の融合蛋白質はマスト細胞前駆細胞のSCF受容体c−kitの発現を特異的に阻害し、その結果、マスト細胞の分化を強く阻害することが確認された。
【0064】
実験例3
本発明の融合蛋白質の、成熟マスト細胞への影響を確認する目的で、線維芽細胞との共培養系でのマスト細胞生存への影響を確認した。
【0065】
正常マウスから脾細胞を調製し、10%のFCS、0.1mMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、50μMの2−メルカプトエタノールを含むRPMI1640中でIL−3(GENZYME社)またはWEHI−3細胞conditioned培地(WEHI−3CM)存在下に3週間以上培養して、脾臓由来培養マスト細胞(SMC)を得た。6穴プレートに線維芽細胞のNIH−3T3(理研セルバンク)をコンフルエントまで培養し、当該SMCをIL−3およびWEHI−3CMを含まず、かつ、1μg/mLの本発明の融合蛋白質を含む、上記の培地に懸濁し、3×10個で播種した。2〜3日ごとに新鮮培地に交換した。37℃で15日間培養した後に、マスト細胞数、ヒスタミン量およびキマーゼ活性を測定した。各種実験系を表7に示す。
【0066】
【表7】
Figure 0004283531
【0067】
ヒスタミンの定量はRIA法(栄研化学)によった。顆粒中のキマーゼ活性の測定は特異的な合成基質であるN−サクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−pNA(シグマ社)を用いて行った。結果を表8に示す。
【0068】
【表8】
Figure 0004283531
【0069】
線維芽細胞と正常マスト細胞を共培養するとマスト細胞は長期間生存し続けた。また、MITFに異常を持つ人為的に作成したmiマスト細胞(mi/miSMC、天然には存在しない)は線維芽細胞との共培養においてアポトーシスにより2週間以内に死滅した。正常マスト細胞と線維芽細胞の共培養に本発明の融合蛋白質(mi変異体型、wh変異体型)を添加すると、マスト細胞の生存は阻害され、miマスト細胞と同様に2週間後にはほとんどが死滅した。マスト細胞数の低下は、ヒスタミン量の低下およびキマーゼ活性の低下によっても確認された。この結果、本発明の融合蛋白質は、成熟マスト細胞にアポトーシスを誘導することが示唆された。
【0070】
実験例4
本発明の融合蛋白質の添加濃度における影響を調べた。MC/9マスト細胞株(ATCCより入手)をFITC標識したHisTag−PTD−MITFのwh変異体からなる融合蛋白質の存在下または非存在下に、FACS染色緩衝液(0.1%ウシ血清アルブミンおよび0.1%アジ化ナトリウムを含むDulbecco’s PBS)中で氷上1時間インキュベートした。洗浄後にヨウ化ピリジウムを添加して死細胞をゲートアウトし、FACS Calibur(前記)で解析した。結果を表9に示す。
【0071】
【表9】
Figure 0004283531
【0072】
表9の結果から、本発明の融合蛋白質の添加濃度に依存して、当該融合蛋白質が細胞内により高濃度で移行していることが判明した。
【0073】
実施例2: HisTag−PTD−HLH
1)発現ベクターの構築
発現ベクター作成の鋳型としては正常型のMITFのMタイプ(pSU054)を用いた。HLH断片はMタイプのN末196番目から285番目のアミノ酸までの領域をPCR法により増幅した。増幅断片のN末側には、プライマー(Tat1、Tat2、Tat3およびHLH F)を用い、HisTag、PTDと制限酵素NcoIの認識配列を付加した。またC末側には制限酵素XbaIの認識配列を付加した。増幅断片をNcoI+XbaIで消化し、実施例1で作成したpSU081のNcoI−XbaI領域と置換した。当該増幅断片をTAクローニングし塩基配列が正しいことを確認した。構築したベクターpSU085はlacプロモーター、HisTag−PTD−HLH領域の融合蛋白質のDNA、amp rから構成される(図2)。
【0074】
プライマーHLH Fは以下の塩基配列を有する。
HLH F(配列番号25):GCGACGAAGAGGTATGTTGGCTAAAGAGAGG
2)実施例1に準じて融合蛋白質を産生・精製した。
【0075】
実施例3: HisTag−PTD−MITFのAタイプN末領域
1)発現ベクターの構築
pSU064(MITFのAタイプ/pCDNA3、特許文献2を参照のこと)を鋳型に、2種類のプライマー(pTD3−MITFa、MITFR−N)を用いてPCRを行い、N末領域(N末1番目から305番目までのアミノ酸)を増幅した。pTD3−MITFaの5’末端にはSacIIサイトを、MITFR−Nの5’末端にはEcoRIサイトを付加した。増幅断片をSacII+EcoRIで消化し、pSU093(pTrcHisを基本骨格とするPTDカセット発現ベクター)の同サイト間に挿入した(図3)。構築した発現ベクターpSU087は、HisTag−PTD−AタイプのN末領域の順にDNA断片がつながり、lacプロモーターの制御下に融合蛋白質が発現する。
【0076】
各プライマーは以下の塩基配列を有する。
pTD3−MITFa(配列番号26): CGCCGCGGAATGCAGTCCGAATCGGGAATC
MITFR−N(配列番号27): GAATTCACTATGCTCTTGCTTCAGACTCTGTGGGG
【0077】
2)実施例1に準じて融合蛋白質を産生した後、これを精製する際に、Ni−アガロースの代わりにTALON(商品名、CLONTECH社)を用いて行った。精製物は10%グリセロール/PBS溶液として調製した。
【0078】
実施例4: pET14bを用いた発現ベクターの構築
pSU083(wh系)のNcoI−NdeI断片とpET14b(T7プロモーター、HisTag、amp rを連結してなる。Takara)の同領域を置換して発現ベクターpSU121を構築した(図4)。このpSU121はT7プロモーターの下流に、HisTag、PTD配列、MITFのwhタイプがつながり、大腸菌の菌体内において、T7プロモーターの制御下に融合蛋白質(HisTag−PTD−MITFのwhタイプ)を発現する。
【0079】
実施例1に従い、大腸菌をフラスコで培養し、融合蛋白質(wh系)を産生した。Ni−NTAアガロースを用いた精製を実施例1に準じて行った後に、Slide−A−Dialyzer(Pierce)を用いて透析し脱尿素処理を行った。溶媒としては290mMソルビトール、10μM EDTA、1mMトリス緩衝液(pH8)を用いた。培養液1L当たり約10mgの融合蛋白質が精製された。
【0080】
実施例5: 精製工程(HLH)
融合蛋白質(HLH系、実施例2により調製)をQ−セファロースカラムから1M NaCl/20mM HEPES(pH8)で溶出し、回収した画分を、使用前にPD−10カラム(ファルマシア)を用いてPBSに置換した。
【0081】
実施例6: 高密度培養(wh系)
発現ベクターpSU083を大腸菌HB101株に導入し、形質転換体を調製した。EBM0010010培地(アンピシリン添加)を用いてジャーファーメンターで37℃16時間培養し、融合蛋白質を産生した。精製は実施例1に準じて行った。
【0082】
実施例7: 高密度培養(HLH)
pSU085を用いて実施例6に準じて融合蛋白質を産生した。精製を実施例1に準じて行うに際し以下の点を変更した。Ni−NTAアガロース処理時に8M尿素の代わりに6M塩酸グアニジンを用いたこと、陰イオン交換体処理の代わりに分子量3000カット膜を用いて濃縮した後に、0.5M NaCl/20mM HEPES(pH8)で平衡化したPD−10カラム(ファルマシア)で脱塩したこと。0.5M NaCl/20mM HEPES(pH7.4)に対して透析し分注して−80℃で保存した。インビボで使用する際にはNaCl濃度を0.15Mとなるように希釈して用いた。
【0083】
製剤例2
融合蛋白質、10%グリセロール、PBSからなる組成物を調製した。
【0084】
製剤例3
融合蛋白質、0.15〜1M NaCl、20mM HEPES(pH7.4〜8)溶液として調製した。
【0085】
実験例5(精製結果)
各種融合蛋白質(実施例1〜3により調製)を大腸菌菌体より精製し、その分子量、収量(4Lフラスコ培養当たり)を表10に示した。なお、融合蛋白質(AタイプのN末領域)の分子量は37kDaであった。
【0086】
【表10】
Figure 0004283531
【0087】
実験例6(インビトロ阻害)
実験例3に準じて実験した。10nMの融合蛋白質を17日間作用させた後にマスト細胞数、ヒスタミン、トリプターゼ、キマーゼを測定した。結果を表11に示す。
【0088】
【表11】
Figure 0004283531
【0089】
表中の数値は平均±標準偏差を示す。また**は溶媒群との間に、student’s testによりp<0.05で有意差があることを示す。また*は同じくp<0.01で有意差があることを示す。以下同様。
【0090】
実験例7(同上)
実験例3に準じて実験した。20nMの融合蛋白質を15日間作用させた後にマスト細胞比率を測定した。結果を表12に示す。本発明の融合蛋白質はマスト細胞の生存を抑制した。
【0091】
【表12】
Figure 0004283531
【0092】
実験例8(同上)
1)実験例2に準じて実験を行った。マウス骨髄細胞(2×10/ウェル)をSCFの存在下に融合蛋白質を添加して28日間培養したときのマスト細胞数を求めた。例数は3とした。結果を表13に示す。
【0093】
【表13】
Figure 0004283531
【0094】
2)実験は1)に準じて行った。融合蛋白質の添加濃度は2.5nMとした。ヒスタミン濃度、キマーゼ活性を求めた。結果を表14に示す。
【0095】
【表14】
Figure 0004283531
【0096】
3)実験は1)と同様に行った。融合蛋白質の添加濃度は2.5〜20nMとした。細胞数とキマーゼ活性を求めた。例数は2とした。結果を表15に示す。
【0097】
【表15】
Figure 0004283531
【0098】
実験例9(ヒトマスト細胞への作用)
1)ヒトCD34陽性骨髄細胞(BioWhittaker社)2×10/ウェルを、SCF(100ng/ml)、IL−6(100ng/ml)、IL−10(10ng/ml)、融合蛋白質(HLH系)を添加した培養液を週に一度、半量交換しながら9週間培養し、細胞数、回収した細胞についてlysate中のキマーゼ活性、ヒスタミン含量を測定した。培養液は5%FCSを含むMediaI(免疫生物研究所)を用いた。例数は3とした。その結果、本発明の融合蛋白質はヒトマスト細胞分化を阻害した(表16)。
【0099】
【表16】
Figure 0004283531
【0100】
2)ヒトCD34陽性骨髄細胞を1)に準じてサイトカインの存在下に8週間培養し、途中まで分化した未成熟なマスト細胞を調製した。細胞を一旦回収、遠心洗浄し、新しくプレートに培養液中で7×10/ウェルずつ播種し、融合蛋白質(HLH系を10または50nM添加)を添加した同培養液(前記のサイトカインを含む)を用いて培養を継続した。週に一度培養液を半量交換した。培養2週間後に細胞数、キマーゼ活性、ヒスタミン含量を測定した。また当該細胞をPE標識抗c−kit抗体(あるいはPE標識対照抗体)で染色し、FACSで解析した。その結果、本発明の融合蛋白質は未成熟マスト細胞に作用してc−kit発現を阻害し、ヒトマスト細胞の成熟を阻害した(表17)。
【0101】
【表17】
Figure 0004283531
【0102】
3)ヒトCD34陽性骨髄細胞を1)に準じてサイトカインの存在下に12週間培養し、分化完了した成熟なマスト細胞を調製した。細胞を一旦回収、遠心洗浄し、新しくプレートに培養液中で2.4×10/ウェルずつ播種し、融合蛋白質(HLH系を2、10または50nM添加)を添加した同培養液(前記のサイトカインを含む)を用いて培養を継続した。週に一度培養液を半量交換した。培養3週間後に細胞数、ヒスタミン含量を測定した。その結果、本発明の融合蛋白質は濃度依存的にヒスタミン含量を低下させ、成熟ヒト骨髄培養マスト細胞の機能を抑制した(表18)。
【0103】
【表18】
Figure 0004283531
【0104】
実験例10(インビボ阻害)
1)C57BL/6マウスに融合蛋白質(wh系)60μgを200μLのPBS中で週3回4週間まで腹腔内投与した。最終投与の翌日に腹腔細胞を回収し、以下の項目を測定した。例数は4とした。投与4週間の結果を表19に示す。
【0105】
総細胞数: コールターカウンターまたは血球計数装置により測定した。
マスト細胞: スメア標本をトルイジンブルーで染色し、陽性の比率を算出した。
ヒスタミン: 腹腔細胞懸濁液にトリトンX100を添加してLysateを調製し、LysateについてELISAキットにより測定した。
c−kitおよびIgE受容体両陽性細胞: 回収した腹腔細胞をPE標識抗c−kit抗体およびマウスIgE/ビオチン標識抗IgE抗体/APC標識ストレプトアビジンで二重染色しFACSで解析した。
【0106】
【表19】
Figure 0004283531
【0107】
2)10または50μgの融合蛋白質(wh系、いずれも200μLベヒクル中で)をマウス腹腔内に2週間投与した。例数は10とした。1)と同様にして各項目を測定した。結果を表20に示す。
【0108】
【表20】
Figure 0004283531
【0109】
3)10μgの融合蛋白質(HLH系)を350μLベヒクル中でマウス腹腔内に13日間投与した。マスト細胞数、ヒスタミン含量の測定は1)に準じて行った。結果を表21に示す。
【0110】
【表21】
Figure 0004283531
【0111】
本発明の融合蛋白質(wh系、HLH系)はいずれの実験系においてもインビボでマスト細胞数を減少させた。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、MITF変異体を用いて、マスト細胞の細胞死を誘発することができる。よって、マスト細胞が関与する各種疾患の予防・治療に有用な薬剤を臨床の場に提供することができる。
【0113】
【配列表】
配列表配列番号1:MITFのmi変異体のアミノ酸配列
配列表配列番号2:その塩基配列
配列表配列番号3:MITFのwh変異体のアミノ酸配列
配列表配列番号4:その塩基配列
配列表配列番号5:bHLH−Zip断片のアミノ酸配列
配列表配列番号6:その塩基配列
配列表配列番号7:TAT由来ペプチドのアミノ酸配列
配列表配列番号8:その塩基配列
配列表配列番号9:HisTagのアミノ酸配列
配列表配列番号10:その塩基配列
配列表配列番号11:HisTag−PTD−MITFのmi変異体からなる融合蛋白質のアミノ酸配列
配列表配列番号12:その塩基配列
配列表配列番号13:HisTag−PTD−MITFのwh変異体からなる融合蛋白質のアミノ酸配列
配列表配列番号14:その塩基配列
配列表配列番号15:HisTag−PTD−MITFのbHLH−Zip断片からなる融合蛋白質のアミノ酸配列
配列表配列番号16:その塩基配列
配列表配列番号17:プライマーM−Tatの塩基配列
配列表配列番号18:プライマーTat 3の塩基配列
配列表配列番号19:プライマーTat 2の塩基配列
配列表配列番号20:プライマーTat 1の塩基配列
配列表配列番号21:MITFのAタイプN末領域(1−305)のアミノ酸配列
配列表配列番号22:その塩基配列
配列表配列番号23:HisTag−PTD−MITFのAタイプN末領域(1−305)からなる融合蛋白質のアミノ酸配列
配列表配列番号24:その塩基配列
配列表配列番号25:プライマーHLH F
配列表配列番号26:プライマーpTD3−MITFa
配列表配列番号27:プライマーMITFR−N
【0114】
Figure 0004283531
Figure 0004283531
Figure 0004283531
Figure 0004283531
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Figure 0004283531
Figure 0004283531

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の融合蛋白質(mi系、wh系)および当該融合蛋白質を発現するプラスミドpSU082(mi系/pTrcHisB)、pSU083(wh系/pTrcHisB)の構造を概略的に示したものである。
【図2】本発明の融合蛋白質(HLH系)および当該融合蛋白質を発現するプラスミドpSU085(HLH系/pTrcHisB)の構造を概略的に示したものである。
【図3】本発明の融合蛋白質(AタイプN末領域)を発現するプラスミドpSU087(AタイプN末領域/pSU093)の構築手順を概略的に示したものである。
【図4】本発明の融合蛋白質(wh系)を発現するプラスミドpSU121(wh系/pET14)の構築手順を概略的に示したものである。

Claims (9)

  1. PTDおよび、MITF阻害活性を有するMITF変異体であるMITFのAタイプのN末領域(1-305)断片から構成される融合蛋白質。
  2. 配列表の配列番号23で示されるアミノ酸配列で表される請求項1に記載の融合蛋白質。
  3. 融合蛋白質が、配列表の配列番号23で示されるアミノ酸配列の1又は複数個のアミノ酸を置換、欠失、挿入又は付加してなる融合蛋白質であり、かつその活性が配列表の配列番号23で示されるアミノ酸配列で構成される融合蛋白質が有するMITF阻害活性と同等であるアミノ酸配列で表される請求項1に記載の融合蛋白質。
  4. 請求項2に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA。
  5. 配列表の配列番号24で示される塩基配列からなる請求項4に記載のDNA。
  6. 融合蛋白質のアミノ酸配列をコードするDNAが、配列表の配列番号24で示される塩基配列の1又は複数個の塩基を置換してなるDNAであり、かつそのアミノ酸配列で構成される融合蛋白質が有するMITF阻害活性が配列表の配列番号23で示されるアミノ酸配列で構成される融合蛋白質が有するMITF阻害活性と同等であるアミノ酸配列をコードする請求項4に記載のDNA。
  7. 請求項1に記載の融合蛋白質を有効成分とする、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、肺線維症、癌、マストサイトーマ又はマストサイトーシスから選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤。
  8. 請求項1に記載の融合蛋白質及び製剤学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
  9. 請求項1に記載の融合蛋白質を有効成分とするマスト細胞の細胞死誘発剤。
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