JP4282145B2 - 樹脂粒子の分散安定化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂粒子の分散安定化方法および水性塗料の製造方法に関し、特に懸濁重合法によって得られた樹脂粒子の分散安定化方法および水性つや消し塗料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
つや消し塗料は、塗料中に無機系または有機系の粒子を含むものであり、その中でも水性のものは、建材表面の塗装に用いられることが多い。つや消し塗料としての種々の性能を考慮すると、塗料中に含まれる粒子は、大粒径を有する樹脂粒子であることが好ましい。このような大粒径を有する樹脂粒子は、通常、二重結合を有する単量体を水中に分散させて重合させる、いわゆる懸濁重合によって得ることができる。ところが、懸濁重合で得られた樹脂粒子の水分散体の貯蔵安定性は低く、経時で粒子が沈降して固化する、いわゆるハードケーキ化が起こる。このような状態に一旦なってしまうと、粒子を再分散させることは不可能であるため、懸濁重合で得られた樹脂粒子は、水分散体からわざわざ分離・乾燥工程を経て、粉末化して用いられるのが通常である。
【0003】
一方、特開平5−224462号公報には、懸濁重合などで得られた粒子の分散液に親−疎水両性有機溶媒を添加し、粒子同士を会合させて不定形の粒子を得る方法が開示されている。この方法では、不定形の粒子を得ることを目的としており、懸濁重合などで得られた粒子の分散状態を保つことについては記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、懸濁重合によって得られた樹脂粒子水分散体の貯蔵安定性を向上させる方法を提供すること、および、樹脂粒子水分散体を分離・乾燥工程を得ることなく、そのままつや消し剤として使用できる水性つや消し塗料の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂粒子水分散体の安定化方法は、分散安定剤を用いる水中での懸濁重合法によって得られた樹脂粒子水分散体に、親水性有機溶剤を添加するものである。
【0006】
また、本発明の水性つや消し塗料の製造方法は、
(1)分散安定剤を用いてエチレン性不飽和結合を有する単量体成分を水中で懸濁重合して樹脂粒子水分散体を得る工程、
(2)第1の工程で得られた樹脂粒子水分散体に、親水性有機溶剤を添加する工程、
(3)水性バインダーに第2の工程で得られた樹脂粒子水分散体を添加する工程からなるものである。
【0007】
樹脂粒子水分散体の安定化方法
本発明の樹脂粒子水分散体の安定化方法における、上記樹脂粒子水分散体は分散安定剤を用いる水中での懸濁重合法によって得られるものである。
【0008】
分散安定剤を用いる水中での懸濁重合法は、当業者によく知られている方法を利用することができる。ここで用いられる分散安定剤としては、特に限定されるものではないが、親水性を有するポリマーであることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩など当業者によく知られているものを挙げることができる。また、分散性を向上させるために、通常の界面活性剤を併用することも可能である。
【0009】
本発明の樹脂粒子水分散体の安定化方法における樹脂粒子水分散体の平均粒子径は特に限定されないが、つや消し塗料に用いる場合には、1〜100μmのものが好ましく、1〜50μmのものがさらに好ましい。1μm未満だとつや消しの効果が得られず、100μmを上回ると、塗膜化の際にブツとなって外観不良を引き起こす恐れがある。なお、上記平均粒子径は、レーザー光散乱法などを用いた通常の測定機器により、決定することができる。
【0010】
上記樹脂粒子水分散体の樹脂固形分は、20〜50重量%であることが好ましい。20重量%未満では、水分散体中の樹脂粒子量が少ないため経済的ではなく、50重量%を上回ると合成が困難になる。
【0011】
本発明の樹脂粒子水分散体の安定化方法では、上記樹脂粒子水分散体に、親水性有機溶剤を添加する。上記親水性有機溶剤は、0.3重量%以上の水への溶解度を有するものであって、かつ前記分散安定剤の1.25重量%水溶液100重量部に対して、上記親水性有機溶剤を添加して白濁が生じるための最少添加量が150重量部未満であることが好ましい。白濁が生じるための最少添加量は、100重量部未満であることがさらに好ましい。
【0012】
上記親水性有機溶剤としては、アルキルアルコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルおよびエチレングリコールジアルキルエーテルを挙げることができる。ここでアルキル基としては、枝分かれしていてもいい炭素数が2〜8のものである。その中でも好ましいものとして、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルを挙げることができる。
【0013】
上記親水性有機溶剤の樹脂粒子水分散体への添加量は、上記親水性有機溶剤を添加して白濁が生じるための最少添加量に基づいて決定することができる。上記最少添加量が5重量部未満の場合には、上記樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対する、親水性有機溶剤の添加量は0.5〜2重量部であることが好ましい。上記最少添加量が5〜20重量部の場合には、上記樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対する、親水性有機溶剤の添加量は2〜15重量部であることが好ましい。上記最少添加量が20〜50重量部の場合には、上記樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対する、親水性有機溶剤の添加量は5〜30重量部であることが好ましい。上記最少添加量が50〜150重量部の場合には、上記樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対する、親水性有機溶剤の添加量は5〜50重量部であることが好ましい。上記添加量が所定量未満であると、目的とする貯蔵安定性を得ることができない恐れがある。また、所定量を上回ると、つや消し塗料に用いた際の塗料の貯蔵安定性やそれから得られる塗膜の外観に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0014】
上記親水性有機溶剤の樹脂粒子水分散体への添加方法は、特に限定されるものではなく、上記所定量の親水性有機溶剤を樹脂粒子水分散体に撹拌しながら加える方法などをとることができる。このように親水性有機溶剤を樹脂粒子水分散体へ添加することにより、樹脂粒子が会合し、その結果、樹脂粒子水分散体を安定化することができる。この会合により、樹脂粒子の平均粒径が添加前に比べて30%ほど増大することがある。また、会合体の沈降が生じることがあるが、通常の撹拌でこれを再分散することが可能である。
【0015】
水性つや消し塗料の製造方法
本発明の水性つや消し塗料の製造方法は、(1)分散安定剤を用いてエチレン性不飽和結合を有する単量体成分を水中で懸濁重合して樹脂粒子水分散体を得る工程、(2)第1の工程で得られた樹脂粒子水分散体に、親水性有機溶剤を添加する工程、(3)水性バインダーに第2の工程で得られた樹脂粒子水分散体を添加する工程からなるものである。
【0016】
本発明の水性つや消し塗料の製造方法の第1の工程は、分散安定剤を用いてエチレン性不飽和結合を有する単量体成分を水中で懸濁重合して樹脂粒子水分散体を得る工程である。この第1の工程で用いられる分散安定剤は、先の樹脂粒子水分散体の安定化方法のところで述べたものを使用することができる。また、この第1の工程で用いられるエチレン性不飽和結合を有する単量体成分は、得られる樹脂粒子の物性を考慮すると、1重量%以上の多官能性単量体を含んでいることが好ましく、全てが多官能性単量体であっても構わない。
【0017】
多官能性単量体は、分子中にエチレン性不飽和結合を2つ以上有するものであって、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0018】
また、上記単量体成分は、親水性単量体およびその他の単量体を含んでいても構わない。親水性単量体は、分子中に親水性の官能基を有するものであって、カルボン酸基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、水酸基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体を挙げることができる。カルボン酸基含有単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの塩などを挙げることができる。スルホン酸基含有単量体の例としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸およびこれらの塩などを挙げることができる。水酸基含有単量体の例としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルにε−カプロラクトンを開環付加重合させたものなどを挙げることができる。アミノ基含有単量体の例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。アミド基含有単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
【0019】
その他の単量体は、上記の親水性単量体および多官能性単量体以外のものであり、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン化合物、その他ものとして炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル、酢酸アリール、(メタ)アクリロニトリルなどを挙げることができる。
【0020】
上記親水性単量体およびその他の単量体を含む場合に、それぞれが単量体成分に占める割合は、親水性単量体が10重量%未満、その他の単量体が99重量%未満であることが好ましいこれらの範囲外では、得られる樹脂粒子の物性の低下を引き起こす恐れがある。
【0021】
本発明の水性つや消し塗料の製造方法の第1の工程における懸濁重合は、上記単量体成分は重合開始剤と共に、上記分散安定剤を含んだ加温した水中に、滴下などの方法により、撹拌しながら添加することにより行われる。また、先に単量体成分および重合開始剤を分散安定剤を含んだ水中に分散しておき、この得られた懸濁液を加温した水中に撹拌しながら滴下する方法もとることができる。ここで媒体として用いる水の量は、得られる樹脂粒子水分散体の樹脂固形分が20〜50になるように適宜設定することができる。また上記加温は、重合開始剤の分解温度に応じて設定されることが好ましい。
【0022】
上記分散安定剤は、上記単量体成分100重量部に対して0.1〜10重量部用いることが好ましく、0.5〜5部用いることがさらに好ましい。また、上記重合開始剤は、油溶性のものを用いることが好ましい。具体的には、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシエチルヘキサネート、過酸化ベンゾイル、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエートなどの有機過酸化物やアゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリルなどの有機アゾ化合物を用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記単量体成分100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0023】
樹脂粒子の平均粒子径は、1〜100μmのものが好ましく、1〜50μmのものがさらに好ましい。1μm未満だとつや消しの効果が得られず、100μmを上回ると、塗膜化の際にブツとなって外観不良を引き起こす恐れがある。樹脂粒子の平均粒子径は、撹拌速度および時間により制御することが可能である。また、先に単量体成分および重合開始剤を分散安定剤を含んだ水中に分散させた懸濁液を添加する場合には、この分散液の油滴の粒径を制御することによって、最終的に得られる樹脂粒子の平均粒子径を制御することも可能である。
【0024】
上記単量体成分および重合開始剤が添加された後、そのまま数時間、加温下での撹拌を継続することによって、樹脂固形分が20〜50重量%である樹脂粒子水分散体を得ることができる。
【0025】
本発明の水性つや消し塗料の製造方法の第2の工程は、第1の工程で得られた樹脂粒子水分散体に、親水性有機溶剤を添加する工程である。この第2の工程については、先の樹脂粒子水分散体の安定化方法のところで記載した内容をそのまま用いることができる。なお先に述べたように、親水性有機溶剤の添加によって、樹脂粒子の会合が生じ、樹脂粒子の平均粒子径が増大することがあるが、その場合、上で述べた樹脂粒子の平均粒子径の範囲内であれば、特に問題はない。
【0026】
本発明の水性つや消し塗料の製造方法の第3の工程は、水性バインダーに第2の工程で得られた樹脂粒子水分散体を添加する工程である。
この第3の工程で用いられる水性バインダーとしては、水性塗料用のものであれば特に限定されない。例えば、水溶性または水分散性のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂を用いることができ、これらは単独で、または2つ以上のものを使用することができる。入手が容易なことから、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0027】
上記水性バインダーと上記樹脂粒子水分散体との比率は、上記水性バインダーの樹脂固形分100重量部に対して、上記樹脂粒子水分散体の樹脂固形分が1〜40重量部になるように設定されることが好ましく、3〜25重量部がさらに好ましい。1重量部未満であると、水性つや消し塗料から得られた塗膜のつや消し性が不十分であり、40重量部を上回ると上記塗膜の耐候性が低下する恐れがある。
【0028】
上記水性バインダーへの樹脂粒子水分散体の添加は、任意の方法により行うことができ、添加後撹拌して、状態を均一にしておくことが好ましい。
【0029】
本発明の水性つや消し塗料の製造方法の第3の工程では、さらに必要に応じて、顔料、硬化剤および添加剤を加えることができる。これらの成分の添加は、上記水性バインダーへの樹脂粒子水分散体の添加を行う際に同時に行ってもよいし、添加の前後でも構わない。
【0030】
上記顔料としては、二酸化チタン、弁柄、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなどの体質顔料などが使用できる。上記硬化剤としては、アミノ樹脂、イソシアネート樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、エポキシ樹脂などが使用できるが、上記バインダーが有する官能基の種類および量に合わせて選択することができる。また、添加剤としては、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防錆剤、フィラーなどが使用できる。
【0031】
このようにして得られた本発明の水性つや消し塗料は、つや消し性が必要な用途に塗装することができる。適用される素材としては、金属、スレート板、コンクリート、窯業系の建材などを挙げることができる。本発明の水性つや消し塗料の上記素材に対する塗装方法としては、ロールコーター塗装、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗りなどの種々の方法を用いることができる。本発明の水性つや消し塗料は、つや消し性を発現させるため、乾燥塗膜で10〜60μmに塗装することが好ましい。乾燥は、本発明の水性つや消し塗料に含まれる水性バインダーや硬化剤の種類、塗装方法などによって異なるが、常温〜250℃で約20秒〜60分の範囲の中で行われるものである。
【0032】
【実施例】
製造例1 樹脂粒子水分散体Aの製造
エチレングリコールジメタクリレート10重量部、スチレン15重量部、シクロヘキシルメタクリレート45重量部、メチルメタクリレート30重量部を混合した単量体成分に、重合開始剤であるラウロイルパーオキサイド4重量部を溶解した。これを、PVA217EE(クラレ社製のポリビニルアルコール)2重量部を溶解した脱イオン水水溶液70重量部に撹拌しながら添加し、ディスパーを用いて2000rpmの速度で撹拌・分散して懸濁液を得た。この懸濁液を滴下ロートに移し、撹拌機、冷却器、温度制御装置および窒素導入管を備えた反応容器に備え付けた。反応容器に脱イオン水90重量部、ハイドロキノン0.1重量部を入れ、100rpmの速度で撹拌下、80℃で懸濁液を2時間かけて逐次滴下し、滴下後、80℃で2時間反応させた。得られた樹脂粒子水分散体Aの平均粒子径は20μmであった。
【0033】
製造例2 樹脂粒子水分散体Bの製造
エチレングリコールジメタクリレート10重量部、スチレン45重量部、シクロヘキシルメタクリレート45重量部を混合した単量体成分に、重合開始剤であるラウロイルパーオキサイド4重量部を溶解した。これを、PVA217EE(クラレ社製のポリビニルアルコール)2重量部を溶解した脱イオン水水溶液70重量部に撹拌しながら添加し、ディスパーを用いて2000rpmの速度で撹拌・分散して懸濁液を得た。この懸濁液を滴下ロートに移し、撹拌機、冷却器、温度制御装置および窒素導入管を備えた反応容器に備え付けた。反応容器に脱イオン水90重量部、ハイドロキノン0.1重量部を入れ、100rpmの速度で撹拌下、80℃で懸濁液を2時間かけて逐次滴下し、滴下後、80℃で2時間反応させた。得られた樹脂粒子水分散体Bの平均粒子径は20μmであった。
【0034】
親水性有機溶剤の添加量の決定
PVA217EE(クラレ社製のポリビニルアルコール)の1.25重量%脱イオン水水溶液を調整した。この100重量部に対して、下記の0.3重量%以上の水への溶解度を有する親水性有機溶剤を添加して白濁が生じるための最少添加量を求めた。結果を表1に示す。
【0035】
実施例1〜5
製造例1および2で製造した樹脂粒子水分散体AまたはBに対して、表1に示した親水性有機溶剤を所定量撹拌して加えた。この親水性有機溶剤添加後の樹脂粒子水分散体100重量部をそれぞれ100mlのビーカーに取り、室温で1日放置したところ、内容物の上部3割ほどが上澄み液となっており、樹脂粒子の会合体が沈降していることが全てのビーカーで確認された。これらの沈降物は、ガラス棒で容易にほぐすことができ、撹拌によって全て均一状態にすることができた。なお、30日が経過しても、上澄み液の量が増加したくらいであり、それぞれのビーカーに特別な変化は認められず、沈降物も1日後と同様にほぐすことができた。
【0036】
比較例1〜3
製造例1および2で製造した樹脂粒子水分散体AまたはBに対して、表1に示した親水性有機溶剤および0.3重量%以上の水への溶解度を有しないキシレンを所定量撹拌して加えた。なお、比較例では、溶剤は何も添加しなかった。この親水性有機溶剤添加後の樹脂粒子水分散体100重量部をそれぞれ100mlのビーカーに取り、室温で1日放置した。樹脂粒子の会合体が沈降していることが全てのビーカーで確認された。これらの沈降物は、ハードケーキ化しており、ガラス棒でほぐすことが全て非常に困難であった。
【0037】
【表1】
Figure 0004282145
【0038】
*1 PVA217EEの1.25重量%脱イオン水水溶液100重量部に対して、白濁が生じるための最少添加量
*2 ○:沈降物をガラス棒で容易にほぐすことができ、撹拌により均一状態にすることが可能
×:沈降物をガラス棒でほぐすことが非常に困難
【0039】
実施例6 水性つや消し塗料の製造
水性バインダーとしての東洋インキ社製のアクリルエマルション樹脂NPX−7136(樹脂固形分47%)100重量部に対して、実施例1で得られた樹脂粒子水分散体A 19.3重量部をつや消し剤として加え、さらに造膜助剤としてジブチルカルビトールを7重量部、消泡剤としてサンノプコ社製SN−777を0.5重量部、造粘剤としてサンノプコ社製SN−6157を0.5重量部加えた。これをディスパーで撹拌した後、水を加えて固形分を30重量%に調整し、水性つや消し塗料を得た。
【0040】
実施例7〜13および比較例5〜7 水性つや消し塗料の製造
水性バインダーおよびつや消し剤について、種類および量を表2に記載したものに変更する以外は、実施例6と同様の操作によって水性つや消し塗料を得た。なお、実施例13では、硬化剤を併用した。
【0041】
【表2】
Figure 0004282145
【0042】
*1 東洋インキ社製NPX−7136(樹脂固形分47%)
*2 ユニチカ社製KZE−7016(樹脂固形分30%)
*3 ゼネカ社製R−967(樹脂固形分40%)
*4 水酸基価60、酸価50、数平均分子量6000、重量平均分子量18000のアクリル樹脂をジメチルエタノールアミンで中和して水に分散させたもの
*5 三井サイテック社製サイメル327
*6 積水化成品工業社製テクポリマーMBX−20
*7 日本シリカ社製E−1009
【0043】
水性つや消し塗料から得られる塗膜の評価
アクリルエマルションベースのシーラーおよび中塗り塗料を塗布して乾燥させたスレート板に、実施例6〜13および比較例5〜7で得られた水性つや消し塗料をエアースプレーを用いて、乾燥膜厚が15μmになるよう塗布した。これを100℃で5分間熱風乾燥を行い、さらに20℃で1日放置したものを試験板とした。なお、実施例13についてのみ、熱風乾燥を140℃で20分の条件で行った。このようにして得られた試験板について、下記に示す評価を行った。その結果を表3に示す。
【0044】
<つや消し性>
BYK社製の光沢計ガードナー・マイクログロスを用いて光沢値(60度グロス)を測定した結果である。
○:光沢値<20
×:光沢値≧20
【0045】
<耐水性>
60℃の温水に10日間浸漬した後、20℃で1日乾燥を行い、ミノルタ社製の色差計CR−300を用いて測定した色相の変化をΔEで評価した。
○:ΔE<1
△:1≦ΔE<2
×:ΔE≧2
【0046】
<耐候性>
ダイプラウィンテス社製のダイプラメタルウェザー試験器に試験板をセットし、照射4時間、シャワー放水10秒、結露4時間を1サイクルとして、これを繰り返して1000時間試験を行った。この色相の変化をΔEで評価した。なお、照射は光源からの距離4mmで行い、温度63℃、湿度40%の条件であり、結露は温度30℃、湿度98%の条件で行った。
○:ΔE<1
△:1≦ΔE<2
×:ΔE≧2
【0047】
【表3】
Figure 0004282145
【0048】
【発明の効果】
本発明の樹脂粒子水分散体の安定化方法を用いることによって、懸濁重合法で製造した樹脂粒子水分散体の貯蔵安定性を向上させることができる。
これは、以下のように考えることができる。すなわち、懸濁重合で得られる樹脂粒子は乳化重合によって得られる粒子に比べて、粒径が大きく真球状であるため、経時で沈降しやすい。また、沈降した場合に粒子同志が接する面が大きくなり、結果としてハードケーキ化してしまう。一方、本発明においては、親水性有機溶剤を添加することにより、樹脂粒子同士が会合した粒子が得られ、この会合した粒子は、真球状でないため沈降した場合に粒子同志が接する面が小さく、ハードケーキ化することがない。よって、本発明で用いられる親水性有機溶剤は、分散安定剤と樹脂粒子との相互作用を解き、樹脂粒子同士を結びつける働きをしているものと考えられる。
【0049】
本発明の樹脂粒子水分散体の安定化方法によれば、懸濁重合で得られた樹脂粒子は、安定性が増加したため、水分散体からわざわざ分離・乾燥工程を経て、粉末化して用いる必要がなく、製造のためのコストを大幅に削減することができる。また、塗料化するための分散が容易である。
【0050】
また、水性つや消し塗料の製造方法において添加される親水性有機溶剤は、塗膜化する際に造膜助剤として働くことが期待できるため、水性つや消し塗料製造時に添加する造膜助剤を減少させることができる。

Claims (9)

  1. 分散安定剤を用いる水中での懸濁重合法によって得られた樹脂粒子水分散体に、親水性有機溶剤を添加することを特徴とする、樹脂粒子水分散体の安定化方法であって、
    該親水性有機溶剤が0.3重量%以上の水への溶解度を有し、かつ該分散安定剤の1.25重量%水溶液100重量部に対して、該親水性有機溶剤を添加して白濁が生じるための最少添加量が150重量部未満であり、
    該親水性有機溶剤の添加量が該樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対して、該最少添加量が5重量部未満の場合には、0.5〜2重量部、
    該最少添加量が5〜20重量部の場合には、2〜15重量部、
    該最少添加量が20〜50重量部の場合には、5〜30重量部、
    該最少添加量が50〜150重量部未満の場合には、5〜50重量部である、樹脂粒子水分散体の安定化方法
  2. 前記親水性有機溶剤の添加によって、前記樹脂粒子を会合させることを特徴とする、請求項1記載の樹脂粒子水分散体の安定化方法。
  3. 前記分散安定剤がポリビニルアルコールである、請求項1または2記載の樹脂粒子水分散体の安定化方法。
  4. 前記樹脂粒子の粒径が1〜100μmである、請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂粒子水分散体の安定化方法。
  5. (1)分散安定剤を用いてエチレン性不飽和結合を有する単量体成分を水中で懸濁重合して樹脂粒子水分散体を得る工程、
    (2)第1の工程で得られた樹脂粒子水分散体に、0.3重量%以上の水への溶解度を有し、かつ該分散安定剤の1.25重量%水溶液100重量部に対して、該親水性有機溶剤を添加して白濁が生じるための最少添加量が150重量部未満である親水性有機溶剤を、
    (2−1)該最少添加量が5重量部未満の場合には、該樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対して、0.5〜2重量部、
    (2−2)該最少添加量が5〜20重量部の場合には、該樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対して、2〜15重量部、
    (2−3)該最少添加量が20〜50重量部の場合には、該樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対して、5〜30重量部、
    (2−4)該最少添加量が50〜150重量部未満の場合には、該樹脂粒子水分散体の樹脂固形分40重量部に対して、5〜50重量部
    添加する工程、
    (3)水性バインダーに第2の工程で得られた樹脂粒子水分散体を添加する工程からなる、水性つや消し塗料の製造方法。
  6. 前記第2の工程において、前記親水性有機溶剤の添加によって、前記樹脂粒子を会合させることを特徴とする、請求項5記載の水性つや消し塗料の製造方法。
  7. 前記エチレン性不飽和結合を有する単量体成分中で、多官能性単量体の占める割合が、1重量%以上である、請求項5または6記載の水性つや消し塗料の製造方法。
  8. 前記第3の工程において、前記水性バインダーの固形分100重量部に対して、前記樹脂粒子水分散体の固形分1〜50重量部を添加することを特徴とする、請求項5ないし7のいずれかに記載の水性つや消し塗料の製造方法。
  9. 前記水性バインダーが、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂である請求項5ないし8のいずれかに記載の水性つや消し塗料の製造方法。
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