JP4279103B2 - 光ファイバ素線 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ素線の信頼性、特に耐疲労特性を向上させた光ファイバ素線に関する。
光ファイバ素線は、外径125μmの石英製光ファイバ裸線上に、1〜10MPa程度の比較的ヤング率の低い紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)、シリコーン樹脂等からなる一次被覆層を被覆し、この一次被覆層上に、100〜1000MPa程度の比較的ヤング率の高い紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)等からなる二次被覆層を設けた外径250μmのものが一般的に使用されている。二次被覆層は高ヤング率化によって摩擦や外力から光ファイバを保護する効果を、一次被覆層は低ヤング率化によって外部からの側圧等を緩和する効果をそれぞれ有している。現状では、製造性の点から、被覆材としてはUV樹脂が多く用いられている。
光ファイバ素線の使用形態は、単心線の状態で集合し、もしくは複数本の光ファイバ素線を並列に並べた状態でその周囲を紫外線硬化型UV樹脂で被覆してテープ心線化し、テープ心線を複数枚集合して、それぞれ光ケーブル化して使用されることがほとんどである。この光ケーブルは、架空や洞道内、管路内等に敷設されて使用される。敷設された光ケーブルでは、その敷設状態によっては常時引張力が加わり、この引張力の一部が光ケーブルを構成する光ファイバ素線にも作用し、小さい負荷が光ファイバ素線に継続的に長期間にわたってかかることがある。このような比較的小さい負荷が継続的に光ファイバ素線に加えられると、ある時点で突然光ファイバ素線が破断したり、やや大きな引張力が加わっただけで破断したりする現象が起こることがある。この問題は、光ファイバ素線の疲労特性に原因があり、これを避けるためには、光ファイバ素線に十分な疲労特性を持たせる必要がある。
光ファイバ素線の疲労特性は、光ファイバ裸線を被覆している樹脂、特に一次被覆層2を構成する樹脂の特性と密接な関係があり、良好な疲労特性を得るには、一次被覆層2に適切な樹脂を選択して使用する必要がある。
通常一次被覆層には、光ファイバ裸線と一次被覆層の密着力を持たせるためにシランカップリング剤が添加されている。シランカップリング剤は、有機樹脂に対する親和性もしくは反応性を有する有機官能性基と、石英光ファイバ裸線等の無機材料に対して親和性もしくは反応性を有する加水分解性のアルコキシ基を化学的に結合させたシラン化合物である。UV樹脂は線引き中に被覆され、直後にUV照射を受けて硬化し、ボビンに巻き取られる。UV照射によってUV樹脂は急激に硬化するため、ファイバ裸線/一次被覆層界面付近に存在しているシランカップリング剤は、有機官能基側が一次被覆材と、アルコキシ基側がファイバ裸線とそれぞれ反応して、ファイバ裸線と一次被覆層界面の密着力を向上させる効果を有する。ファイバ裸線と一次被覆層の界面中でのシランカップリング剤の濃度が高いほど密着力が高くなる。
シランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が市販されており、この中ではγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが最も一般的に使用されている。
これ以外では、シランカップリング剤として、β―(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グルシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グルシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グルシドキシプロピルトリエトキシシラン等の例が示され、これらは高温高湿下での光ファイバ破断強度を低下抑制に効果があるとされている。(例えば特許文献1参照。)。
しかし、これらのシランカップリング剤のうち例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランは、それ自体連鎖移動剤として作用するが、未硬化樹脂中で構成材中の不飽和二重結合と勝手に反応し、樹脂の保管時間とともに、硬化時のヤング率が当初の値よりも高くなってしまうなどの樹脂安定性に悪影響を与える等の問題、さらにはシランカップリング剤が樹脂中で失活し、保管時間ととも樹脂のガラスに対する密着特性が低下する現象も、少なからずあることがわかってきた。
ところで一般に石英からなるガラスの光ファイバは、水素ガスが存在すると、その水素ガスの吸収が原因と考えられる伝送ロスが発生する。そのため、被覆材として用いる紫外線硬化型樹脂も劣化分解による水素ガス発生のない長期信頼性に優れた特性が求められる。アミン系化合物は樹脂からの水素発生の抑制に優れた効果があり(例えば、特許文献2。)、現状では一般的に用いられている。アミン化合物としては、R−NHで示される1級モノアミン、NH−R−NHで示される1級ジアミン、及びRR−NHで示される2級アミン、RRR−Nで示される3級アミンが挙げられる。1級モノアミンは、Rがエチルやプロピル等のアルキル基である脂肪族アルキルアミンで、たとえばエチルアミン、プロピルアミンであり、Rがベンゼン環等の芳香族アミンではアニリン、アミノベンゾフェノン等である。1級ジアミンではRがアルキル基である脂肪族アミン、たとえばエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン等であり、Rがベンゼン環等よりなる芳香族アミンでは、トルエンジアミン、キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン等である。2級アミンではたとえば、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、N−メチルアニリン、N−メチルベンジルアミン等である。3級アミンとしては、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等である。これらはいずれも、水素発生を効果的に抑制する効果を有するものである。
特開2000-86936号公報 特開昭63-27503号公報
ところが、アミン系化合物を樹脂に添加すると、最も一般的に使用されているシランカップリング剤であるγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランでは、以下の問題が生じることがわかってきた。すなわち外線硬化型樹脂は、オリゴマー、モノマー、光開始剤、及び老化防止剤、シランカップリング剤等の添加剤から構成されるが、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランは、塩基性を有するアミン化合物の添加により、予めメルカプト基がオリゴマーやモノマーの末端部のアクリル二重結合と反応して、メルカプト基が無くなるために、シランカップリング剤自体が硬化前の樹脂中ですでに高分子状態で存在することとなり、高分子であるがため、硬化時にファイバ裸線と一次被覆層の界面への移動しにくくなり、ガラス表面上のシランカップリング剤濃度が小さくなる、そのために良好な界面間の密着性が確保できず、良好な疲労特性が得られないことがわかってきた。
また、アミン系化合物は水素発生抑制に有効であるが、塩基性を示すことが多く、光ファイバ裸線自身の破断強度や耐疲労性の低下に影響することがわかってきた。
樹脂のpHがファイバの耐疲労性に影響する例としては、特開2001−064040のように被覆層の未硬化樹脂のpHを8.0以下としたものや、特開2003−004993のように光ファイバ裸線に直接接する被覆層の硬化後樹脂のpHが4.5以下としたものを特徴としているものが公知である。
しかし、上記のように樹脂のpHが8.0以下や、光ファイバ裸線に直接接する樹脂のpHが4.5以下であっても、耐疲労性は高くならないことも本発明者等の鋭意検討によりわかってきた。
本発明は、上記課題を解決し、耐疲労性の良好な光ファイバ素線を提供することを目的とするものである。
本発明は上記の課題を解決するための手段として、
光ファイバ裸線上に、紫外線硬化型樹脂からなる、一次被覆層及び二次被覆層が設けられてなる光ファイバ素線であって、前記一次被覆層を形成する樹脂組成物がシランカップリング剤を0.01〜5質量%含有し、また紫外線硬化後も単独で存在する非塩基性の添加剤を含み、前記シランカップリング剤の有機官能基がアクリル基及びメタクリル基から選ばれる少なくとも1種よりなり、前記添加剤がリン系酸化防止剤として6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンを含むことを特徴とする光ファイバ素線を提供するものである
た、二次被覆層を構成する紫外線硬化型樹脂は、紫外線硬化後も単独で存在する添加剤を含み、前記添加剤は非塩基性であることを特徴とするものである。
本発明の光ファイバ素線は、良好な耐疲労性を有し、信頼性に優れる。従って、本発明の光ファイバ素線は、ケーブル内での使用において長期間継続的に張力が加わっても断線することのない高い信頼性を示す。
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の好ましい一実態様を図面に従って説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
図1は、本発明の光ファイバ裸線の一例を示す断面図である。図中、光ファイバ素線1は、光ファイバ裸線2の外周表面に被覆された一次被覆層3と、この一次被覆層3の外周に被覆された二次被覆層4とから構成されている。
(一次被覆層)
本発明における一次被覆層を形成する一次被覆材の具体的なものとしては、末端に二重結合を有するウレタンアクリレート系やエポキシ樹脂系等の紫外線硬化型樹脂を含んでなる樹脂組成物、いわゆるオリゴマーが挙げられる。またその他には希釈剤として、同じく末端に二重結合を有する反応性モノマー(以下、反応性希釈モノマーということがある。)、光重合開始剤が使用されても良い。
ただし、樹脂のpHは極性基例えばエステル、ウレタン基等の量によって変わるので、ウレタンアクリレートの構成材種類やモノマー類、光開始剤の種類・量を適宜選択したものが用いられる。
例えば特許第1535199号、特許第2018841号、特許第2784339号、特許第2893135号等に記載の樹脂組成物が挙げられる。これらは一次被覆材に40質量%以上99.95質量%未満含有されることが好ましい。
これらの樹脂には、シランカップリング剤が加えられ、さらに、必要に応じて老化防止剤、連鎖移動剤、光安定剤、重合禁止剤、増感剤その他の添加剤が加えられる。
添加剤は、紫外線照射による架橋反応時には樹脂とは架橋反応せず、硬化後も単独で存在するものであり、その添加量はいずれも0.005〜3%の範囲で使用されるものである。添加量が少なければ効果はなく、多すぎればブリードや変色等の問題が起こりやすくなる。
一次被覆材は、光ファイバ裸線の外周表面に塗布され、紫外線により硬化されて、外径180μm〜200μmになるように被覆されることが好ましい。本発明において一次被覆層は多層からなっていても良い。硬化時のヤング率は0.8MPa〜10MPaが好ましく、特に1MPa〜3MPaが好ましい。ヤング率が小さすぎると、側圧等により被覆層が変形しやすく、大きすぎると、側圧によるロス増が発生しやすくなる。
一次被覆材に含有されるシランカップリング剤は、光ファイバ裸線と被覆樹脂との密着性を高める役割を有する。シランカップリング剤は、有機樹脂に対する親和性もしくは反応性を有する有機官能性基と、石英光ファイバ裸線等の無機材料に対して親和性もしくは反応性を有する加水分解性のアルコキシ基を化学的に結合させたシラン化合物である。
本発明において、一次被覆材に含有されるシランカップリング剤量は0.01〜5質量%であり、0.1〜1質量%であることが好ましい。シランカップリング剤量が少なすぎると光ファイバ裸線と一次被覆層との密着性が悪くなり耐疲労性が悪く、多すぎると硬化性が悪くなるためである。
本発明に用いるシランカップリング剤は有機官能基としてアクリル基,メタクリル基の内少なくとも1種を有してなるものである。有機官能基は、1分子中に、少なくとも1個あればよい。有機官能基がアクリル基,メタクリル基であるシランカップリング剤は、未硬化樹脂中では他の成分と反応することはなく、そのままのいわゆる低分子の安定した状態で存在する。低分子状態のままで存在するためにUV照射による硬化時において、ファイバ裸線/一次被覆層界面に多く移動できると考えられる。また、これらは有機官能基が二重結合を有するアクリル基,メタクリル基であり、オリゴマーやモノマーの末端と同じ構成であることから、樹脂自体の硬化速度を損なうことがない。好ましいシランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM-5103、信越化学工業製)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM-503、信越化学工業製)、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名KBE-503、信越化学工業製)が挙げられ、この中でも特に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
ところで、紫外線硬化型樹脂のpHは樹脂の硬化前後で大きく異なり、硬化することによってpH値は低下する。これはウレタンアクリレート樹脂の硬化反応時に、副生成物としてカルボン酸等の酸類が生成されるためである。
紫外線硬化型樹脂は、硬化した状態で光ファイバ裸線の被覆層として使用される。そのため、未硬化樹脂のpHよりも、硬化した状態での樹脂のpHがファイバに大きく影響する。
さらに、本発明者等は、鋭意検討の結果、紫外線照射による架橋反応時には樹脂とは架橋反応せず、硬化後も単独で存在している添加剤がpHの増加に大きく影響することを見出した。
すなわち、本発明者等は、本発明に用いられる紫外線硬化型樹脂組成に添加される添加剤は非塩基性であることが好ましいことを見出した。
例えば従来使用されている水素発生を抑制するためのアミン系化合物は、塩基性であり、主成分に比較して、添加量は微量であるが、樹脂のpHを上げる作用は非常に大きく、pH値を1程度増加させる。
このような微量な量であってもpHを大きく上げる作用を有する塩基性の添加剤としては、エチルアミン、プロピルアミン、アニリン、アミノベンゾフェノン等の1級モノアミンや、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、トルエンジアミン、キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン等の1級ジアミン等のアミン系化合物が挙げられる。
一方、非塩基性のヒンダードフェノール系の添加剤、例えばチオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ピロピオネート](商品名:Irganox1035, ciba Specialty Chemicals, Inc.製)は、長期劣化防止とともに、水素発生抑制に有効であり、アミン系添加剤の代替として十分機能するものであることを見出した。
なお、本明細書中非塩基性とは、上記のアミン系化合物のように、添加してもpH値が増加しない(具体的には添加することによるpH値の増加が0.5未満)ものであることを指す。
本発明において、pHの測定は以下の方法で行われる。
未硬化樹脂をガラス板上に0.2mmの厚さで塗布し、空気下で500mJ/cm(メタルハライドランプ使用)の照射量で硬化する。得られた硬化シートから質量2.0gを精秤し、ついでメスフラスコ等のガラス容器に入れて、さらに予めpH7.0に調整した純水20mlを加えて密閉し、80℃で18時間加熱する。容器を室温に冷却した後、水を別の容器に移してpHをpHメーターで測定する。
本発明に最も重要な添加剤のpHへの影響を確認するため、各添加剤の添加前後でのpHを測定し、添加後のpH値から添加前のpH値を引いた差分をpH増加量とした。
さらに本発明者等は以下の事項を見出した。即ち、本発明おいては添加剤が非塩基性であることが好ましいが、一部のアミン系添加剤に代表される塩基性の添加剤を添加したときに比べ、未硬化樹脂を長期間保管した場合に疲労特性が低下していく問題が新たに発生することがわかってきた。
これは、シランカップリング剤中のアルコキシ基が、樹脂中の微量水分と反応してシラノール基となり、さらにシラノール基同士が反応することによって、アルコキシ基が失活して、樹脂とガラスの密着性が低下するために、動疲労特性が低下すると考えられる。
紫外線硬化型樹脂を構成するウレタンアクリレートオリゴマーやモノマーには、その合成時に必要な触媒の残さ等の不純物が含まれている。一般にこのような不純物は、精製時に除去されるが、精製度合いによっては微量ではあるが残っていることも多く、このような触媒残さが、シランカップリング剤のアルコキシ基と樹脂中の微量水分との反応を促進させ、失活させることがわかってきた。そして、この現象一部のアミン系化合物のような塩基性の添加剤を添加すると改善される。
すなわち、上述した通り、添加剤は非塩基性であることが好ましいが、一部のアミン系添加剤のような塩基性の添加剤を添加しない場合は、樹脂の保管時間とともに、樹脂のガラス密着力を低下させ、やはり動疲労特性を低下させる問題を引き起こす。
かかる問題を解決するために、鋭意検討した結果、特定の酸化防止剤が、樹脂のpHを増加させることなく上記問題点である樹脂の保管時間とともに低下する動疲労特性を保持する効果を有していることを新たに見出した。
酸化防止剤としては、一般に、硫黄系、フェノール系、リン系、アミン系の種類のあることが知られている。
本発明において用いられる酸化防止剤としては、微量添加であっても、樹脂のpHを増加させるものでなければ、特に制限はないが、上記酸化防止剤のうち、リン系酸化防止剤、特に6-[3-(3-t-Butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propoxy]-2,4,8,10-tetra-t-butyldibenz[d,f][1,3,2]dioxaphosphepin(住友化学(株)製Sumilizer GP)が長期保管における密着力低下の抑制に効果のあることが新たに見出された。なお、本酸化防止剤の添加量としては、0.05〜3%が好ましく、特に0.5〜2.0%が好ましい。
(二次被覆層)
本発明における二次被覆層を形成する二次被覆層材としては、末端に二重結合を有するポリエーテル系ウレタンアクリレート樹脂系やエポキシアクリレート樹脂系等の紫外線硬化型樹脂を含んでなる樹脂組成物が挙げられる。また、その他には、同じく末端に二重結合を有する反応反応性希釈モノマー、光重合開始剤が使用されてもよい。例として特許第2021130号、特許第2135130号、特許第2525177号、特許第2601699号に記載の樹脂組成物が挙げられる。これらは二次被覆材に35〜100質量%含有されることが好ましい。
必要に応じて各種の添加剤、例えば連鎖移動剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、重合禁止剤、増感剤、滑剤等が添加される。これらの添加剤は、紫外線照射による架橋反応時には樹脂とは架橋反応せず、硬化後も単独で存在するものであり、その添加量はいずれも0.005〜3%の範囲で使用されるものである。添加量が少なければ効果はなく、多すぎればブリードや変色等の問題が起こりやすくなる。
二次被覆層中の添加剤は、樹脂中で単独に存在するために、一次被覆層に移行して、一次被覆層樹脂のpHを増加させ、光ファイバの耐疲労性を低下させる懸念がある。そのため本発明に用いられる紫外線硬化型樹脂組成に添加される添加剤は非塩基性であることが好ましい。
例えば従来使用されている水素発生を抑制するためのアミン系化合物は、主成分に比較して、添加量は微量であるが、樹脂のpHを上げる作用は非常に大きく、pH値を1程度増加させる。
このような微量な量であってもpHを大きく上げる作用を有する添加剤としては、エチルアミン、プロピルアミン、アニリン、アミノベンゾフェノン等の1級モノアミンや、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、トルエンジアミン、キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン等の1級ジアミン等のアミン系化合物が挙げられる。
一方、非塩基性のヒンダードフェノール系の添加剤、例えばチオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ピロピオネート](商品名:Irganox1035,ciba Specialty Chemicals, Inc. 製)は、長期劣化防止とともに、水素発生抑制に有効であり、アミン系添加剤の代替として十分機能するものであることを見出した。
非塩基性とは、上記のアミン系化合物のように、添加してもpHの増加しない(具体的には添加することによるpH値の増加が0.5未満)ものであることを指す。
従って、添加することによるpH値の増加は0.5未満である添加剤を、使用することが好ましく、より好ましくは、0.3未満の添加剤である。
二次被覆材は、前記一次被覆材の外周表面に塗布され、紫外線により硬化されて、外径240〜250μmで被覆されることが好ましい。本発明において二次被覆層は多層からなってもよい。硬化時のヤング率は100〜1000MPaが好ましく、特に500〜800MPaが好ましい。ヤング率が低すぎると、側圧特性を確保できず、高すぎると剛性が高すぎて曲げロスが発生する、作業性が悪い等の問題が発生する。
本発明における光ファイバ裸線にはコアとクラッドからなるガラスファイバを用いることができ、特に制限されるものではないが例えば石英系のガラスファイバなどを用いることができる。光ファイバ裸線は、例えばTech. Dig. Fiber Communication 1994 Tul 1 P.J.Lemaire et.al 等に記載の方法に準じて製造することができる。
なお、本明細書中、光ファイバ裸線を、ガラスファイバ、光ファイバガラス部分、又は単に、ガラス部分ともいう。
さらに、本発明者らは、以下に説明するコーティング前後の接触角変化量が小さい樹脂で被覆すると光ファイバ素線の耐疲労性が向上するため好ましく、逆に接触角変化量の大きい樹脂で被覆すると耐疲労性は低下することを見出し、特に光ファイバ素線内の、光ファイバ裸線表面のシランカップリング剤濃度が、耐疲労性に大きく影響し、このシランカップリング剤濃度が大きいほど、光ファイバ素線の耐疲労性が向上することを見出した。
コーティング前後の接触角変化量について説明する。
ガラス板上に樹脂をコーティングして硬化させた後、引き剥がすとガラス板表面に樹脂の一部が残留する。この状態でガラス板に対する純水の接触角を測定すると、コーティング前に比較して、残留する樹脂の影響により純水との濡れ性が低下して接触角が大きくなる。ところがシランカップリング剤が界面に多く存在するとアルコキシ基のSi原子も多く残留することになり、純水との濡れ性がさほど低下せず、コーティング前後の接触角の変化は小さい。
すなわち、コーティング前後の接触角変化量の測定値が小さければ、シランカップリング剤が界面に多く存在することになる。
上記接触角の測定方法は、以下の通りである。
アルコール等できれいに表面をふき取った未使用のソーダガラス板((有)鈴木光学製:主成分SiO2、CaO、Na2O)に対する純水(又はイオン交換水)の接触角を測定した後、改めて表面をきれいにふきガラス板上に一次被覆材料を塗布し、窒素雰囲気下で100mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ200μmのシートを作成する。その後室温雰囲気で7日間放置後、硬化シートを青板ガラスからはぎ取る。はぎ取った後のガラス表面に対する純水(又はイオン交換水)の接触角を測定し、被覆材塗布前の接触角との差をとる。この差をコーティング前後の接触角変化量とする。
本発明における一次被覆層を形成する樹脂組成物は、上記コーティング前後の接触変化量が30°以下であることが好ましい。より好ましくは5〜25°である。このような接触角変化量とするためには、例えばシランカップリング剤の種類、含有量を前述のようにすることや、雰囲気中に水分をある程度存在させることが好ましい。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
外径125μmのシングルモード光ファイバ裸線を溶融紡糸後、硬化後の特性が表1に示す各実施例、比較例及び参考例のウレタンアクリレート型紫外線硬化型樹脂からなる一次被覆層を設け、これに引き続いて、ウレタンアクリレート型紫外線硬化型樹脂からなる二次被覆層を設けて外径250μmの光ファイバ素線を製造した。各実施例、比較例及び参考例の被覆材料の構成、及び特性は表1に示す通りである。なお、実施例、比較例及び参考例を構成する一次被覆層用樹脂の構成は、表1に示すようにシランカップリング剤の種類及び量、および添加剤の組み合わせを変え、その他の構成は全て同じとした。また、二次被覆層についても、添加剤以外は全て同じ材料を用いた。
なお、一次被覆層、二次被覆層ともに添加剤の組み合わせとしてはA、B、Cの3種類を準備した。即ち、Aは従来通りの塩基性添加剤(エチレンジアミン)を添加したものである。Bは塩基性添加剤に代替して非塩基性添加剤(チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ピロピオネート](商品名:Irganox1035, ciba Specialty Chemicals, Inc.製))を添加したものである。Cは前記Bの非塩基性添加剤に加えリン系酸化防止剤として6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[6-[3-(3-t-Butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propoxy]-2,4,8,10-tetra-t-butyldibenz[d,f][1,3,2]dioxaphosphepin(住友化学(株)製Sumilizer GP)をさらに添加したものである。
一次被覆層については、前述のようにして、接触角測定試験を行い、ガラス板への一次被覆層のコーティング前後の接触角変化を測定した。
なお、一次被覆層及び二次被覆層の両方のヤング率については、約200μm厚、空気下1.0J/cm2の照射量(メタルハライドランプ使用)で硬化させ、作成したシートから、幅6mmに切り出してサンプルとして、引っ張り試験機にて1mm/minで引っ張り、2.5%伸び時の引張強度から弾性率を計算しヤング率とした。
また、製造した光ファイバ素線試料の耐疲労性は、動疲労係数nによって試験した。
この動疲労係数nは、TIA/EIA-455-76:Method for measuring Dynamic Fatigue of Optical Fibers by Tension.に規定された試験方法に準じて、引っ張り試験機を用いて測定した。本発明においては、この動疲労係数nが20以上であるものを、耐疲労性が良好として判断した。
なお、n値に関しては、プライマリ樹脂を未処理で使用して線引きしたファイバと、プライマリ樹脂を予め60℃×7日で1週間加熱エージングを加えた樹脂を使用して線引きしたファイバの両方を測定した。
結果を下記表1に示す。
Figure 0004279103
上記表1の結果によれば、一次被覆材に含有されるシランカップリング剤の有機官能基がメルカプト基である光ファイバー素線試料(比較例1及び2)は、n値が20未満であり耐疲労特性に劣る。また、一次被覆材に含有されるシランカップリング剤の量が少なすぎる比較例3の光ファイバ素線試料は耐疲労性に劣り、多すぎる比較例4では一次被覆材の硬化性が悪いため線引きを完了できず、光ファイバー素線を作製できなかった。
これに対し、シランカップリング剤の有機官能基がアクリル基または、メタクリル基であり、シランカップリング剤の量も0.01〜5質量%である本発明の光ファイバ素線試料(実施例1〜)はいずれも良好な耐疲労性を有する。なお、接触角の変化量が30°以下であると、良好な耐疲労性を有しており好ましいことがわかる。
また実施例、及びにおいては、特定の酸化防止剤を添加することで、エージング後の樹脂を用いても良好な結果が得られている。さらに実施例では、前記酸化防止剤の添加に加えセカンダリ材の添加剤も非塩基性とすることで、さらに良好な耐疲労特性が得られた。
本発明の光ファイバ素線の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 光ファイバ素線
2 光ファイバ裸線
3 一次被覆層
4 二次被覆層

Claims (2)

  1. 光ファイバ裸線上に、紫外線硬化型樹脂からなる、一次被覆層及び二次被覆層が設けられてなる光ファイバ素線であって、前記一次被覆層を形成する樹脂組成物がシランカップリング剤を0.01〜5質量%含有し、また紫外線硬化後も単独で存在する非塩基性の添加剤を含み、前記シランカップリング剤の有機官能基がアクリル基及びメタクリル基から選ばれる少なくとも1種よりなり、前記添加剤がリン系酸化防止剤として6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンを含むことを特徴とする光ファイバ素線。
  2. 前記二次被覆層を構成する紫外線硬化型樹脂は、紫外線硬化後も単独で存在する添加剤を含み、前記添加剤は非塩基性であることを特徴とする請求項記載の光ファイバ素線。
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