(用語の定義)
本明細書で使用する用語を以下に定義する。
(1)「シーケンシャル繰り返し記録」とは、所定の記録領域において未割付け領域をサーチし、そのサーチ結果に基づいて領域を割付け、その割付けられた領域にデータを記録することをいう。所定の記録領域において未割付け領域をサーチすることは、所定の位置から一定の方向に未割付け領域をサーチし、そのサーチがその所定の記録領域の終端に到達した場合には、その所定の記録領域の始端から次の未割付け領域をサーチすることによって達成される。なお、本明細書では、「シーケンシャル繰り返し記録」のことを「一定方向の繰り返し記録」ともいう。これらは、同義の用語である。
(2)「AVデータ」とは、映像および音声の少なくとも一方を表すデータをいう。
(3)「AVファイル」とは、AVデータを含むファイルをいう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
1.実施の形態1
実施の形態1では、同一領域に対するデータの書換回数が制限される情報記録媒体と、その情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置と、その情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生装置とを説明する。
本実施の形態では、同一領域に対するデータの書換回数が約100回から1000回に制限される情報記録媒体を想定している。しかし、それより少ない数にデータの書換回数が制限される情報記録媒体や、それより多い数にデータの書換回数が制限される情報記録媒体に対しても本発明を適用することができる。情報記録媒体は、任意のタイプの情報記録媒体(例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなど)であり得る。以下、情報記録媒体が光ディスクである場合を例にとり、本実施の形態を説明する。
また、情報記録媒体に記録される情報または情報記録媒体から再生される情報が、ECMA167規格に準拠したUDF(Universal Disk Format)規格を基本とするファイル構造を用いて管理されるファイルである場合を例にとり、本実施の形態を説明する。
なお、以下の説明では、ボリューム・ファイル構造として情報記録媒体に記録される記述子やポインタ等は、特に詳細な記載がない限り、ECMA167規格あるいはUDF(Universal Disk Format)規格に規定されたデータ構造をもつものとする。
1.1 光ディスクのデータ構造
図1は、光ディスクのデータ構造の一例を示す。
光ディスク上には、リードイン領域と、ボリューム空間と、リードアウト領域とが形成されている。リードイン領域は、光ディスクの内周側に設けられている。リードアウト領域は、光ディスクの外周側に設けられている。ボリューム空間は、リードイン領域とリードアウト領域とに挟まれている。
リードイン領域には、記録情報ゾーン111が割付けられている。記録情報ゾーン111は、カウントユニットと複数の登録ユニットとを含む。
ボリューム空間には、ボリューム構造領域101と、最新ファイル構造領域131と、AVファイル領域102、103、105とが割付けられている。未割付け領域121、122、124、125は、有効なデータが割付けられていない領域である。
リードアウト領域には、拡張記録情報ゾーン112が割付けられている。
1.2 情報記録再生装置の構成
図2は、情報記録再生装置の一例を示す。
情報記録再生装置は、システム制御部201と、メモリ回路202と、磁気ディスク装置204と、光ディスクドライブ装置205とを含む。これらの構成要素は、I/Oバス203を介して相互に接続されている。
システム制御部201は、ボリューム構造を記録するボリューム構造記録手段211と、ボリューム構造を再生するボリューム構造再生手段214と、VAT構造を記録するVAT構造記録手段212と、VAT構造を再生するVAT構造再生手段215と、空間管理構造を記録する空間管理構造記録手段251と、空間管理構造を再生する空間管理構造再生手段252と、基本ファイル構造を記録する基本ファイル構造記録手段261と、基本ファイル構造を再生する基本ファイル構造再生手段262と、ファイルデータを記録するファイル記録手段213と、ファイルデータを再生するファイル再生手段216と、欠陥領域管理手段217とを含む。システム制御部201は、例えば、制御プログラムや演算用メモリを含むマイクロプロセッサによって実現され得る。
メモリ回路202は、ファイルを一時的に保存するデータ用メモリ221と、VAT構造の演算や一時保存に使用するVAT構造用メモリ222と、空間管理構造の演算や一時保存に使用する空間管理構造用メモリ253と、基本ファイル構造の演算や一時保存に使用する基本ファイル構造用メモリ263と、ボリューム構造の演算や一時保存に使用するボリューム構造用メモリ223と、欠陥リスト用メモリ224とを含む。
光ディスクドライブ装置205は、ドライブ制御部231と、メモリ回路232と、記録再生手段234とを含む。これらの構成要素は、内部バス233を介して相互に接続されている。
ドライブ制御部231は、記録情報ゾーンに情報を記録する記録情報ゾーン記録手段271と、記録情報ゾーンに記録された情報を再生する記録情報ゾーン再生手段272とを含む。
メモリ回路232は、記録情報ゾーンに記録する情報の演算や一時保存に使用する記録情報ゾーン用メモリ273と、バッファメモリ241とを含む。
記録再生手段234は、光ディスク235に情報を記録し、または、光ディスク235に記録された情報を再生する。
なお、図2に示される情報記録再生装置は、光ディスク235に情報を記録する機能と、光ディスク235に記録された情報を再生する機能とを併せ持ったものである。従って、図2に示される情報記録再生装置を光ディスク235に情報を記録する「情報記録装置」とみなすこともできる。この場合、光ディスク235に情報を記録する機能に関係のない構成要素は省略され得る。また、図2に示される情報記録再生装置を光ディスク235に記録された情報を再生する「情報再生装置」とみなすこともできる。この場合、光ディスク235に記録された情報を再生する機能に関係のない構成要素は省略され得る。
1.3 フォーマット処理
図3は、光ディスク235をフォーマットするフォーマット処理の手順を示す。フォーマット処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図3に示される各ステップを詳細に説明する。
(S301)システム制御部201は、ボリューム名など予め指定されたパラメータを含むボリューム構造を作成し、そのボリューム構造をメモリ回路202のボリューム構造用メモリ223に格納する。さらに、システム制御部201は、ボリューム構造用メモリ223に格納されたボリューム構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ボリューム構造記録手段211としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、ボリューム構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、この記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S302)システム制御部201は、基本ファイル構造を作成し、その基本ファイル構造をメモリ回路202の基本ファイル構造用メモリ263に格納する。さらに、システム制御部201は、基本ファイル構造用メモリ263に格納された基本ファイル構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、基本ファイル構造記録手段261としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、基本ファイル構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S303)システム制御部201は、空間管理構造を作成し、その空間管理構造をメモリ回路202の空間管理構造用メモリ253に格納する。このとき、ステップ(S304)で割付けられるVAT構造領域の容量を考慮して、未割付け領域422の位置情報が未割付け空間エントリ453に登録される。さらに、システム制御部201は、空間管理構造用メモリ253に格納された空間管理構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、空間管理構造記録手段251としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、空間管理構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S304)システム制御部201は、VAT構造を作成し、そのVAT構造をメモリ回路202のVAT構造用メモリ222に格納する。さらに、システム制御部201は、VAT構造用メモリ222に格納されたVAT構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、VAT構造記録手段212としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、VAT構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S305)システム制御部201は、記録情報ゾーンへの記録を光ディスクドライブ装置205に指示する。ドライブ制御部231は、最新ファイル構造領域の終端の位置を示すエントリセクタ番号(ポインタ情報)と有効な登録ブロックを識別するためのバージョン番号(バージョン情報)とを含む第1の登録ブロック176を作成し、第1の登録ブロック176をメモリ回路232の記録情報ゾーン用メモリ273に格納し、第1の登録ブロック176を光ディスク235の所定の位置に記録する。例えば、ドライブ制御部231は、第1の登録ブロック176を第1の登録ユニット142に記録し、記録が行われた登録ユニットの識別番号を含むカウントブロックをカウントユニットの先頭に記録する。ドライブ制御部231の上述した動作は、例えば、記録情報ゾーン記録手段271としてドライブ制御部231に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
なお、本実施の形態では、登録ブロックの記録動作とカウントブロックの記録動作とが別々に行われる例を説明したが、これらの記録動作が同時に行われてもよい。
図4は、フォーマット処理が実行された後に、光ディスク235に記録されているデータの構造を示す。
ボリューム構造領域101には、ボリューム構造が記録されている。ボリューム構造は、ボリュームの認識情報をもつボリューム認識列441と、ボリュームの属性情報をもつ基本ボリューム記述子442と、処理システムのための情報をもつ処理システム用記述子443と、区画の情報をもつ区画記述子444と、論理ボリュームの識別情報をもつ論理ボリューム記述子445と、ボリューム空間内の未割付け領域の情報をもつ未割付け空間記述子446と、基本的な記述子列の終端を示す終端記述子447と、論理ボリュームの保全状態の情報をもつ論理ボリューム保全記述子448と、ボリュームに対するアクセス開始情報をもつ開始ボリューム記述子ポインタ449とを含む。なお、このボリューム構造領域に記録される情報はこの順またはこの種類に限定されるものではない。
最新ファイル構造領域341の基本ファイル構造領域432には、基本ファイル構造が記録されている。基本ファイル構造は、ファイル集合記述子450と、ルートディレクトリ451とファイルエントリ(ルートディレクトリ)452とを含む。
最新ファイル構造領域341の空間管理構造領域421には、空間管理構造が記録されている。空間管理構造は、未割付け空間エントリ453を含む。
最新ファイル構造領域341のVAT構造領域401には、VAT構造が記録されている。VAT構造は、VAT454とVATICB455とを含む。VAT454およびVATICB455は、UDF規格で規定されたデータ構造である。光ディスク上のデータの記録位置は、仮想アドレス空間上の仮想アドレスと、論理アドレス空間上の論理アドレスとを用いて表される。VAT454は、仮想アドレスと論理アドレスとの対応関係を保持する。VATICB455は、VAT454の記録位置を示す。VATICB455は、データが記録された領域の最後尾のセクタに割り付けられる。
記録情報ゾーン111は、有効な登録ユニットの番号を指定するためのカウントユニット141と、第1の登録ユニット142、第2の登録ユニット143を含む複数の登録ユニットとを含む。カウントユニット141には、第1の登録ユニット142の識別番号を示す第1のカウントブロック171のみが記録されている。第1の登録ユニット142には、最新ファイル構造領域431の位置情報を示すエントリセクタ番号464を有する第1の登録ブロック176が記録されている。
カウントユニット141内の第2のカウントブロック以降は未記録であり、第第1の登録ユニット142内の第2の登録ブロック以降も未記録であり、第2の登録ユニット143以降も未記録である。
1.4 ファイル記録処理
図5は、光ディスク235にファイルを記録するファイル記録処理の手順を示す。ファイル記録処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図4に示されるデータ構造を有する光ディスク235にAVファイル(AVfile−a)とAVファイル(AVfile−b)とそれらの制御ファイルとを記録する場合を例にとり、図5に示される各ステップを詳細に説明する。
(S501)システム制御部201は、空間管理構造用メモリ253に読み出されている未割付け空間エントリ453から未割付け領域の位置情報467を取得する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、空間管理構造記録手段251としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S502)システム制御部201は、ステップ(S501)において取得された未割付け領域の位置情報に従って未割付け領域をアロケートし、そのアロケートされた領域にAVファイル(AVfile−a)641のデータを記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。さらに、システム制御部201は、AVファイル(AVfile−a)641のファイルエントリ(AVfile−a)642を作成し、このファイルエントリをデータ用メモリ221に格納し、このファイルエントリをAVファイル(AVfile−a)641のデータが記録された領域に連続する領域に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。同様に、システム制御部201は、AVファイル(AVfile−b)643のデータとそのファイルエントリ(AVfile−b)644とを連続する領域に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ファイル記録手段213としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、これらのデータを光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S503)システム制御部201は、基本ファイル構造を作成し、その基本ファイル構造をメモリ回路202の基本ファイル構造用メモリ263に格納する。さらに、システム制御部201は、基本ファイル構造用メモリ263に格納された基本ファイル構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、基本ファイル構造記録手段261としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、基本ファイル構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S504)システム制御部201は、空間管理構造を作成し、その空間管理構造をメモリ回路202の空間管理構造用メモリ253に格納する。このとき、ステップ(S505)で割付けられるVAT構造領域602の容量を考慮して、未割付け領域#1(623)の位置情報666と未割付け領域#2(621)の位置情報667とが未割付け空間エントリ652に登録される。さらに、システム制御部201は、空間管理構造用メモリ253に格納された空間管理構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、空間管理構造記録手段251としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、空間管理構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S505)システム制御部201は、VAT構造を作成し、そのVAT構造をメモリ回路202のVAT構造用メモリ222に格納する。さらに、システム制御部201は、VAT構造用メモリ222に格納されたVAT構造を光ディスク235に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、VAT構造記録手段212としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、VAT構造を光ディスク235の所定の位置に記録し、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
(S506)システム制御部201は、記録情報ゾーンへの記録を光ディスクドライブ装置205に指示する。ドライブ制御部231は、最新ファイル構造領域の終端の位置を示すエントリセクタ番号(ポインタ情報)と有効な登録ブロックを識別するためのバージョン番号(バージョン情報)とを含む第2の登録ブロック177を作成し、第2の登録ブロック177をメモリ回路232の記録情報ゾーン用メモリ273に格納し、第2の登録ブロック177を光ディスク235の所定の位置(第1の登録ブロック176が記録された領域に連続する領域)に記録する。ドライブ制御部231の上述した動作は、例えば、記録情報記録手段271としてドライブ制御部231に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、記録動作が終了すると記録動作の完了をシステム制御部201に通知する。
図6は、ファイル記録処理が実行された後に、光ディスク235に記録されているデータの構造を示す。
ボリューム構造領域101には、ボリューム構造が記録されている。ボリューム構造の詳細は、図4を参照して説明したとおりである。
AVファイル領域601には、AVファイル(AVfile−a)641と、そのファイルエントリ(AVfile−a)642と、AVファイル(AVfile−b)643と、そのファイルエントリ(AVfile−b)644とが記録されている。
最新ファイル構造領域631の基本ファイル構造領域632には、基本ファイル構造が記録されている。基本ファイル構造は、AVファイルの関連情報をもつ制御ファイル(Datafile)645と、そのファイルエントリ(Datafile)646と、AVディレクトリ(AVDir)647と、ファイルエントリ(AVDir)648と、ファイル集合記述子649と、ルートディレクトリ650と、そのファイルエントリ(ルートディレクトリ)651とを含む。AVディレクトリ(AVDir)647は、AVファイル(AVfile−a)641のファイルエントリ(AVfile−a)642の位置情報とAVファイル(AVfile−b)643のファイルエントリ(AVfile−b)644の位置情報とを含む。
なお、ファイル集合記述子649と、ルートディレクトリ650と、ファイルエントリ(ルートディレクトリ)651とは、新たな記録位置(論理アドレス)に記録されることになる。仮想アドレスと論理アドレスとの対応関係を記述したVAT653における論理アドレスを更新することにより、以前と同じ仮想アドレスを用いてその新たな記録位置にアクセスすることが可能になる。例えば、論理ボリューム記述子445から指定されるファイル集合記述子649の記録位置は、仮想アドレスを用いて指定される。ファイル集合記述子649が新たな記録位置(論理アドレス)に記録されたとしても、仮想アドレスと論理アドレスとの対応関係を記述したVAT653における論理アドレスを更新することにより、ファイル集合記述子649の新たな記録位置にアクセスすることが可能となる。
最新ファイル構造領域631の空間管理構造領域622には、空間管理構造が記録されている。空間管理構造は、未割付け空間エントリ652を含む。
最新ファイル構造領域631のVAT構造領域602には、VAT構造が記録されている。VAT構造は、VAT653とVATICB654とを含む。
記録情報ゾーン111は、有効な登録ユニットの番号を指定するためのカウントユニット141と、第1の登録ユニット142、第2の登録ユニット143を含む複数の登録ユニットとを含む。カウントユニット141には、第1の登録ユニット142の識別番号を示す第1のカウントブロック171のみが記録されている。第1の登録ユニット142には、第1の登録ブロック176と、最新ファイル構造領域631の位置情報を示すエントリセクタ番号663を有する第2の登録ブロック177とが記録されている。第2の登録ブロック177が有効なエントリセクタ番号663を有する最新の登録ブロックであることは、第1の登録ブロック176のバージョン番号463と第2の登録ブロック177のバージョン番号662とを比較することによって認識される。
1.5 空間管理構造
以下、図1を参照して空間管理構造について詳細に説明する。
空間管理構造は、ボリューム空間内に存在する、データを記録可能な連続した領域である未割付け領域の位置情報を管理するための構造である。空間管理構造は、光ディスク上に何らかのデータが記録された後に必ず記録される。
空間管理構造である未割付け空間エントリ155は、未割付け空間エントリであることを示す記述子タグ185と、ボリューム空間内に存在する少なくとも1つの未割付け領域の位置情報(図1に示される例では、未割付け領域#1の位置情報186、未割付け領域#2の位置情報187、未割付け領域#3の位置情報188、未割付け領域#4の位置情報189)とを含む。
最新情報を光ディスクの内周から外周に移動しながら記録するために、未割付け領域の位置情報は、最新ファイル構造領域131以降に存在する未割付け領域から外周に向かって順に未割付け空間エントリ155に登録される。最外周の未割付け領域の位置情報が未割付け空間エントリ155に登録されると、未割付け領域の位置情報は、最内周の未割付け領域から外周に向かって順に未割付け空間エントリ155に登録される。
図1に示される例では、未割付け領域#1(124)が最新ファイル構造領域131以降に最初に存在する未割付け領域である。従って、未割付け領域#1(124)の位置情報186が、1番目の位置情報として未割付け空間エントリ155に登録される。
次に、ボリューム空間の終端に位置する未割付け領域#2(125)の位置情報187が2番目の位置情報として未割付け空間エントリ155に登録される。次に、ボリューム空間において最内周に位置する未割付け領域#3(121)の位置情報188が3番目の位置情報として未割付け空間エントリ155に登録される。最後に、未割付け領域#4(122)の位置情報189が4番目の位置情報として未割付け空間エントリ155に登録される。このように、未割付け領域#1(124)、未割付け領域#2(125)、未割付け領域#3(121)、未割付け領域#4(122)の順に、それらの位置情報が未割付け空間エントリ155に登録される。
上述した順序で未割付け領域を未割付け空間エントリ155に登録しておき、未割付け空間エントリ155に登録されている順番に従ってデータを未割付け領域に記録することによって、最新ファイル構造領域を光ディスク上で移動させながら記録することができる。その結果、データの書換えが特定の領域に集中することを回避し、欠陥発生やデータ欠損を回避することが可能となる。
また、光ディスク上に記録されていたファイルが削除されたり編集された場合、それまで使用していた光ディスク上の領域が不要となることがある。不要となった領域の位置情報は新たな未割付け領域の位置情報として未割付け空間エントリ155に登録される。未割付け空間エントリ155に新たに登録される新たな未割付け領域の位置情報の順番は、未割付け空間エントリ155に既に登録されている未割付け領域の位置情報から算出される。その結果、新たな未割付け領域の位置情報は、未割付け空間エントリ155内の所定の位置に挿入される。
なお、本実施の形態では、ボリューム空間内の未割付け領域の位置に依存して、未割付け領域の位置情報を未割付け空間エントリ155に登録する順番を決定する方法を説明したが、データの削除により不要となった領域が発生した時点で、その不要となった領域の位置情報を新たな未割付け領域の位置情報として未割付け空間エントリ155の最後に登録してもよい。このように、不要となった領域を新たな未割付け領域として回収した時間に依存して、未割付け領域の位置情報を未割付け空間エントリ155に登録する順番を決定する方法によっても、データの書換えが特定の領域に集中することを回避することが可能になる。
なお、本発明の内周から外周までの記録方法は、追記形ディスクにも適用可能である。
なお、図8においてデータの信頼性が要求される制御ファイルが1つの場合を説明したが、複数の制御ファイルを光ディスクに記録するようにしてもよい。この場合、制御ファイルは、基本ファイル構造領域に記録してもよいし、AVファイル領域に記録してもよい。制御ファイルのサイズが小さい場合や制御ファイルの数が少ない場合には、制御ファイルを基本ファイル構造領域に記録することが好ましい。制御ファイルにアクセスすることが容易だからである。制御ファイルのサイズが大きい場合や制御ファイルの数が多い場合には、制御ファイルをAVファイル領域に記録することが好ましい。最新ファイル構造領域のサイズを小さく保つことができるからである。制御ファイルとそのファイルエントリをAVファイル領域に記録することにより、制御ファイルの更新時にデータの書換えが特定の領域に集中することを回避できることは自明である。
なお、エントリセクタ番号で指定される次の記録位置を示すための記録位置情報から、一定方向の繰り返し記録を行なうことも可能である。さらに、情報記録領域の記録可能な位置情報は空間管理構造から取得される。
1.6 記録情報ゾーンのデータ構造
図9は、記録情報ゾーン111のデータ構造の一例を示す。図9に示される例では、記録情報ゾーン111は、1個のカウントユニットと250個の登録ユニットとを含む。
カウントユニットは、10個のカウントブロックを含む。10個のカウントブロックのそれぞれは、例えば、最小記録単位であるECCブロック単位に形成されている。10個のカウントブロックのうちの1つには、250個の登録ユニットのうちのどの登録ユニットが有効かを示す識別情報(例えば、有効なエントリセクタ番号が記録されている登録ブロックが所属する登録ユニットの識別番号)が記録される。カウントユニットは、250個の登録ユニットから有効な登録ユニットを検索するために用いられる。カウントユニットを用いることにより、全ての登録ユニットを読み出して検索しなくても、1つの有効な登録ユニットのみを読み出すことで最新のエントリセクタ番号を取得することが可能になる。
カウントブロックは、有効な登録ユニットの識別番号を変更する場合に書換えられる。従って、カウントブロックが書換えられる回数は登録ブロックが書換えられる回数と比較して非常に小さい。
カウントブロックは、カウントユニットに含まれる10個のカウントブロックのうち先頭のカウントブロック(第1のカウントブロック)から順に使用される。1つのカウントブロックは、そのカウントブロックが記録不可能となるまで、何度でも繰り返し使用される。カウントブロックが記録不可能となる原因としては、例えば、書換可能な回数を上回る回数の書換が行われたこと、ごみなどが付着して欠陥状態となったことなどが挙げられる。第1のカウントブロックが記録不可能となった場合には、第2のカウントブロックが使用される。第2のカウントブロックが記録不可能となった場合には、第3のカウントブロックが使用される。このように、カウントブロックは記録不可能な状態になるまで書換えられ、そのカウントブロックが記録不可能な状態となった場合には、次のカウントブロックが使用される。従って、書換回数が少ないほどカウントブロックを高速に検索することができる。
第1の登録ユニット〜第250の登録ユニットのそれぞれは、10個の登録ブロックを含む。10個の登録ブロックのそれぞれは、最小記録単位であるECCブロック単位に形成されている。10個の登録ブロックのそれぞれは、その登録ブロックのバージョンを示すバージョン番号(バージョン情報)を記録するための領域と、最新ファイル構造領域の終端の位置を示すエントリセクタ番号(ポインタ情報)を記録するための領域とを含む。
最新ファイル構造領域への記録が行われる毎に、1つの登録ユニット内の第1の登録ブロックから第10の登録ブロックのうち選択された1つの登録ブロックにバージョン番号とエントリセクタ番号とが記録される。最新ファイル構造領域への記録が行われる毎に、バージョン番号とエントリセクタ番号とが記録される登録ブロックは変更される。例えば、最初に最新ファイル構造領域への記録が行われる場合には、バージョン番号とエントリセクタ番号とは第1の登録ブロックに記録され、2度目に最新ファイル構造領域への記録が行われる場合には、バージョン番号とエントリセクタ番号とは第2の登録ブロックに記録される。このように、バージョン番号とエントリセクタ番号とは、第1の登録ブロックから第10の登録ブロックの順に、登録ブロックの1つずつに記録されていく。バージョン番号とエントリセクタ番号とが第10の登録ブロックに記録された後は、バージョン番号とエントリセクタ番号とは、再び、第1の登録ブロックに記録される(上書きされる)。その後、再び、バージョン番号とエントリセクタ番号とは、第1の登録ブロックから第10の登録ブロックの順に、登録ブロックの1つずつに記録されていく(上書きされていく)。
このように、登録ブロックの1つずつに順番にバージョン番号とエントリセクタ番号とを記録していくことにより、データの書換えが特定の登録ブロックに集中することを回避することが可能になる。
なお、エントリセクタ番号(ポインタ情報)によって示される位置は、最新ファイル構造領域の終端の位置に限定されない。エントリセクタ番号(ポインタ情報)によって示される位置は、光ディスク235上の任意の領域(例えば、第2の情報記録領域)の任意の位置(例えば、所定の位置)であり得る。第2の情報記録領域は、シーケンシャル繰り返し記録によりデータを記録することが可能な領域であってもよい。
本実施の形態では、250個の登録ユニットのそれぞれに対して、データがシーケンシャルに繰り返し記録される。すなわち、250個の登録ユニットのそれぞれは、シーケンシャル繰り返し記録によりデータを記録することが可能な第1の情報記録領域の一例である。このように、分割された複数の領域のそれぞれに対して、データをシーケンシャルに繰り返し記録することにより、全領域の信頼性向上と、各領域からの読み出しの高速化とが可能になる。
最新の登録ブロックは、登録ブロックが所属する登録ユニット内で最大のバージョン番号を有するように管理される。最大のバージョン番号は最新のバージョン情報を示す。最大のバージョン番号(最新のバージョン情報)に対応するエントリセクタ番号(ポインタ情報)が有効なエントリセクタ番号(有効なポインタ情報)として使用される。
図9に示される例では、バージョン番号(3)を有する第3の登録ブロックが最新の登録ブロックである。このように、登録ユニットに含まれる登録ブロックの数を10個にすることにより、最大10個の登録ブロックを読み出すだけで最新の登録ブロックを認識することができる。
1つの登録ユニット内において1つ以上の登録ブロックが使用できない状態になった場合には、次の登録ユニットが使用される。例えば、第1の登録ユニット内の登録ブロックが欠陥ブロックになった場合(もしくは、第1の登録ユニット内の登録ブロックのバージョン番号がある一定の値に達した場合)には、第2の登録ユニットが使用される。有効な登録ユニットは、カウントユニットにより識別される。従って、有効な登録ユニットを識別するために、250個の登録ユニットの全てを検索する必要がない。
記録情報ゾーン111に記録される情報のコピーが記録される予備記録情報ゾーンを図1に示す拡張記録情報ゾーン112に設けることにより、記録情報ゾーン111の信頼性を向上させることができる。読み出しエラーが発生したために記録情報ゾーン111からエントリセクタ番号を読み出すことができない場合には、拡張記録情報ゾーン112からエントリセクタ番号を読み出すようにすればよいからである。
情報記録ゾーン111は必ずしもリードイン領域やリードアウト領域に設けられなくてもよい。例えば、情報記録ゾーン111は、リードイン領域の更に内周側に配置されてもよい。あるいは、情報記録ゾーン111は、ボリューム構造領域101内に配置されてもよい。これらの場合にも、データの書換が特定のセクタに集中することを防止する効果が得られる。シーケンシャル繰り返し記録を行う場合において、エントリセクタ番号が記録した領域の終端の位置を示すことができるからである。
カウントブロックの数は10個に限定されない。カウントブロックの数は1以上の任意の数であり得る。登録ブロックの数も10個に限定されない。登録ブロックの数も1以上の任意の数であり得る。
登録ユニットの数は250個に限定されない。登録ユニットの数は1以上の任意の数であり得る。登録ユニットの数が1の場合には、カウントユニットは省略され得る。有効な登録ユニットを検索する必要がないからである。すなわち、1つの登録ユニットのみを含むように記録情報ゾーンを構成してもよい。例えば、登録ブロックの数を十分多くした場合には、1つの登録ユニットのみを含むように記録情報ゾーンを構成することができる。
なお、記録情報ゾーン内の記録単位はセクタ単位でもよく、ECCブロック単位に限定する必要はない。
なお、記録情報ゾーンが光ディスクの所定の領域に割付けられていることを示す識別情報が光ディスクに予め記録されていてもよい。この識別情報により、書換回数の制限のある光ディスクに対して、その光ディスクの出荷時にその光ディスクの信頼性が高いことを保証することができる。記録情報ゾーンを用いてデータをシーケンシャルに繰り返し記録することにより、書換回数の制限のある光ディスクに対して、その書換回数の制限を補償することができるからである。
なお、追記形ディスクは、書換回数が0回に制限された記録可能なディスクであるとみなすことができる。上述した記録情報ゾーンを用いることにより、追記の回数が多くなった場合でも、有効な登録ユニットとその中に記録された有効な登録ブロックとを高速に認識することができる。更に、追記回数が増えて記録情報ゾーンの登録ユニットが全て使用された場合には、拡張記録情報ゾーン内に記録情報ゾーンを割付けることにより、更に、追記が可能になる。
また、1つの登録ユニット内の登録ブロック数を増やしたり、1つのカウントユニット内のカウントブロック数を増やしたりすることにより、追記形ディスクにより適切なデータ構造を有する記録情報ゾーンを提供することも可能である。例えば、カウントユニット内のカウントブロックの数を登録ユニットの数と同じにすることにより、登録ユニットの更新回数分と同じだけカウントブロックの更新が可能である。また、カウントユニット内のカウントブロックの数を登録ユニットの数より大きくすることにより、カウントブロックの更新が欠陥ブロック等により出来ない場合でも次のカウントブロックに更新できる。
なお、カウントユニット内の特定のカウントブロックにデータの書換えが集中することを回避するために、カウントユニット内でデータをシーケンシャルに繰り返し記録するようにしてもよい。すなわち、カウントユニットは、シーケンシャル繰り返し記録によりデータを記録することが可能な第3の情報記録領域の一例である。この場合には、カウントユニットに含まれる各カウントブロックが、上述した登録ブロックと同様に、そのカウントブロックのバージョンを示すバージョン番号(バージョン情報)と、登録ユニットの識別番号(識別情報)とを含むことになる。
最新のカウントブロックは、カウントユニット内で最大のバージョン番号を有するように管理される。最大のバージョン番号は最新のバージョン情報を示す。最大のバージョン番号(最新のバージョン情報)に対応する登録ユニットの識別番号(識別情報)が有効な登録ユニットの識別番号(有効な識別情報)として使用される。
カウントユニットおよび登録ユニットのそれぞれに対して、各ユニット内で、データをシーケンシャルに繰り返し記録することにより、カウントブロックおよび登録ブロックには古い情報が残されることになる。これにより、更新される前の情報(ファイル)を光ディスク上に保持することができ、その情報(ファイル)をバックアップとして利用することができる。
また、上述した記録方法は、書換形ディスクに加えて追記形ディスクにも適用することができるので、書換形ディスクと追記形ディスクとで記録方法を共通化することが可能になる。
なお、書換回数の制限された光ディスクにおいて、登録ユニット内の登録ブロックは、シーケンシャルな繰り返し記録を行なう代わりに、その登録ブロックが記録不可能となるまで、何度でも繰り返し使用されるようにしてもよい。これにより、登録ユニットからの読み出し時間を短縮することができる。登録ブロックが記録不可能となる原因としては、例えば、書換可能な回数を上回る回数の書換が行われたこと、ごみなどが付着して欠陥状態となったことなどが挙げられる。登録ブロックが記録不可能になった場合には、次の登録ブロックが使用される。カウントブロックが記録不可能となるまでそのカウントブロックを何度も繰り返し使用するとともに、登録ブロックが記録不可能となるまでその登録ブロックを何度も使用することにより、カウントユニットからの読み出し時間を短縮するとともに、登録ユニットからの読み出し時間を短縮することができる。
1.7 ファイル再生処理
図7は、光ディスク235に記録されたファイルを再生するファイル再生処理の手順を示す。ファイル再生処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図1に示されるデータ構造を有する光ディスク235からAVファイル(AVfile−d)158を再生する場合を例にとり、図7に示される各ステップを詳細に説明する。
なお、図1に示されるデータ構造を有する光ディスク235は、図6に示されるデータ構造を有する光ディスク235からAVファイル(AVfile−b)を削除し、AVファイル(AVfile−c)とAVファイル(AVfile−d)とを記録することによって得られる。
(S701)光ディスクドライブ装置205に光ディスクが挿入されたことを検知すると、ドライブ制御部231は、記録情報ゾーン111のカウントユニット141の最初のカウントブロック171の位置を指定する。
(S702)ドライブ制御部231は、カウントユニット141内の指定されたカウントブロックが未記録状態であるか否かを判定する。「Yes」であれば処理はステップ(S704)に進み、「No」であれば処理はステップ(S703)に進む。
(S703)ドライブ制御部231は、カウントユニット141内の次のカウントブロックの位置を指定する。
(S704)ドライブ制御部231は、未記録状態でないカウントブロックのうち最後のカウントブロックから登録ユニットの識別番号(識別情報)を取得する。
(S705)ドライブ制御部231は、登録ユニットの識別番号により指定された登録ユニットの先頭の登録ブロックに対して再生動作を実行し、バージョン番号(バージョン情報)を取得する。
(S706)ドライブ制御部231は、指定された登録ユニットの次の登録ブロックの位置を指定する。
(S707)ドライブ制御部231は、指定された登録ブロックに対して再生動作を実行する。この再生動作で指定された登録ブロックが未記録状態の場合、もしくは登録ブロックに記録されたバージョン番号が先に取得したバージョン番号より小さい場合には、処理はステップ(S709)に進む。それ以外の場合には、ステップ(S708)に進む。
(S708)ドライブ制御部231は、指定された登録ユニット内の次の登録ブロックの位置を指定する。
(S709)ドライブ制御部231は、見つけられた最新の登録ブロックに記録されたエントリセクタ番号を取得し、そのエントリセクタ番号を記録情報ゾーン用メモリ273に格納する。
なお、(S701)〜(S709)において説明したドライブ制御部231の動作は、例えば、記録情報再生手段272としてドライブ制御部231に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S710)システム制御部201は、光ディスクドライブ装置205の記録情報ゾーン用メモリ273に格納されたエントリセクタ番号を最新ファイル構造領域の終端の位置を示す情報(ポインタ情報)として取得する。システム制御部201は、最新ファイル構造領域の終端に記録されたVATICB157を再生するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、VAT構造再生手段215としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。光ディスクドライブ装置205は、最新ファイル構造領域の終端に記録されたVATICB157を読み出し、メモリ回路202のVAT構造用メモリ222に格納する。
次に、システム制御部201は、読み出されたVATICBに含まれるVATの位置情報を解釈して、VATICBと同様な制御手順に従ってVAT構造領域108に記録されたVAT156を読み出し、メモリ回路202のVAT構造用メモリ222に格納する。
(S711)システム制御部201はステップ(S710)で取得されたVATを用いて仮想アドレスを論理アドレスに変換する処理を行いながら、ファイル集合記述子152を起点として、ファイルエントリ(ルートディレクトリ)154とルートディレクトリ153を読み出す。またこれらと同一領域にまとめて記録しているファイルエントリ(AVDir)151、AVディレクトリ(AVDir)150と共に、ファイルエントリ(Datafile)149と制御ファイル(Datafile)148も順次読み出すことにより、AVファイルの記録位置や関連情報を取得する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、基本ファイル構造再生手段261としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S712)最後に、システム制御部201は、ファイルエントリ(AVfile−d)159およびAVファイル(AVfile−d)158の読み出し動作を実行し、ファイル再生動作を完了する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ファイル再生手段216としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
なお、再生時に読出しエラーによってデータが読み出せなくなることを避けるために、そのデータのコピーを他の場所に記録してもよい。シーケンシャル記録によって移動する最新ファイル構造領域を2重化し、これらの位置情報を記録情報ゾーンにより指定してもよい。例えば、図10に示されるように、予備最新ファイル構造領域2103と主最新ファイル構造領域2107を予備記録情報ゾーン2101及び主記録情報ゾーン2102に記録された登録ブロックに記録される主エントリセクタ番号2151と予備エントリセクタ番号2152から指定してもよい。
シーケンシャルにベリファイ付き記録を行った後、キズや埃などの原因により再生が不可能になる可能性がある。このような場合も最新ファイル構造を読み出すことができるように、ボリューム空間内に主最新ファイル構造領域2107および予備最新ファイル構造領域2103を設け、その位置情報をそれぞれ主エントリセクタ番号2151および予備エントリセクタ番号2152としてリードイン領域に登録するようにしてもよい。これにより、データ再生信頼性が向上する。
予備最新ファイル構造領域2103に記録される情報は、基本的に主最新ファイル構造領域2107に記録される情報の予備情報であるが、VAT構造領域2110に記録されるVAT2145は、仮想アドレスと主最新ファイル構造領域2107に記録された最新ファイル構造の論理アドレスとの対応テーブルであるのに対し、VAT構造領域2106に記録されるVAT2135は仮想アドレスと予備最新ファイル構造領域2103に記録された最新ファイル構造の論理アドレスとの対応テーブルである。
なお、主最新ファイル構造領域2107の位置情報は主エントリセクタ番号2151として、予備最新ファイル構造領域2103の位置情報は予備エントリセクタ番号2152として、リードイン領域の主記録情報ゾーン2102および予備記録情報ゾーン2101に共に登録されてもよい。このとき予備記録情報ゾーン2101は主記録情報ゾーン2102に登録される情報の予備情報が登録される領域である。主または予備記録情報ゾーンの構成と使用方法は、実施の形態1に示した記録情報ゾーンと同様である。
なお、予備最新ファイル構造領域の位置情報は、主エントリセクタ番号からのオフセットアドレスで指定されてもよい。オフセットアドレスは、例えば、主エントリセクタ番号−256や、主エントリセクタ番号−512、主エントリセクタ番号+256、主エントリセクタ番号+512などで指定されてもよい。またこのオフセットの値が情報記録ゾーンに登録されてもよい。
なお、記録情報ゾーンを、リードイン領域内ではなく、ボリューム空間内に設けた場合でも、本発明の効果が得られるのは自明である。エントリセクタ番号は、例えば、ボリューム構造領域101などのボリューム空間内に記録されてもよい。この場合でも、エントリセクタ番号がリードイン領域に記録された場合と同様の効果が得られる。
なお、エントリセクタ番号など、次の記録開始位置を示すための記録位置情報をもつことで、書換される領域が情報記録媒体の情報記録領域に分散するように、データを一定方向に繰り返し記録することができる。
なお、主記録情報ゾーンに記録される情報の予備情報の登録方法は、主記録情報ゾーン2102と予備記録情報ゾーン2101においてそれぞれ独立に行われてもよい。この場合、ベリファイ付き記録を用いて欠陥領域を避けながらカウントブロックまたは登録ブロックが記録されるため、主記録情報ゾーン2102と予備記録情報ゾーン2101において、欠陥領域となるカウントブロックや登録ブロックの番号が異なる。
また、予備記録情報ゾーン2101には主記録情報ゾーン2102と同じカウントブロック及び登録ブロックに複製情報が記録されてもよい。この場合、予備記録情報ゾーン2101ではベリファイ付き記録を行う必要はなく、欠陥状態であっても記録が実行される。
なお、本実施の形態では予備最新ファイル構造領域に記録された情報は、主最新ファイル構造のコピー情報である。しかし、記録時間の短縮のため、予備最新ファイル構造領域には、前回の記録時より更新されたファイル構造のみを記録してもよい。主最新ファイル構造領域が読出し不可能であるとき、予備最新ファイル構造と、前回の主最新ファイル構造を利用してデータのバックアップを復元することができる。前回の主最新ファイル構造は、前回の登録ブロックをバージョン番号より判別し、その登録ブロックに記録されたエントリセクタ番号から取得することができる。
図10に示すようにボリューム空間に記録される最新ファイル構造が2重化され、その位置情報を共にリードイン領域にもつことによりシーケンシャル記録をしながらファイルへの記録再生に欠かすことのできないファイル構造領域のロバストネスを書換回数の制限された情報記録媒体において向上させることが可能となる。更に多重化された最新ファイル構造領域の位置情報の指定領域である記録情報ゾーンを確実に記録することで、キズや埃などの原因により再生が不可能になる恐れのあるディスクに対して再生信頼性が向上する。
なお、この最新ファイル構造領域とエントリセクタ番号はともに3重化などの2重化以上にも対応可能であることは自明である。
なお、ECMA167規格においてAVファイルのファイルエントリは、ファイル構造の一部として定義されるが、説明を簡単化するため本実施の形態においては、AVファイル領域に記録されることとした。
なお、AVファイルが記録されない情報記録媒体の場合、AVファイル領域に記録されるファイルは制御ファイルとしても本発明の効果が得られることは自明である。このとき、ボリューム空間内では、制御ファイルとそのファイル構造がシーケンシャルに記録される。
なお、本実施の形態では、最新ファイル構造領域にはVAT構造を用いたファイル構造が記録されているが、エントリセクタ番号で指定される最新ファイル構造領域には、例えばMS−DOSでも用いられているFATファイルシステム等、他のファイルシステムのファイル構造を記録してもよい。VAT構造以外のファイル構造を用いても、記録情報ゾーンに記録されたエントリセクタ番号を用いることにより、書換回数の制限されたディスクにおける書換の集中を回避する効果が得られる。
本実施の形態では、ディスク挿入時にシステムが、複数のAVファイルに記録された情報を認識するために、基本ファイル構造領域に制御ファイルを記録する例を示した。なお、ディスク上に記録されたファイルのみを認識すればよい場合は、基本ファイル構造領域に制御ファイルとそのファイルエントリを記録する必要はない。このとき基本ファイル構造領域はさらに小さくなるので読出し時間が短縮される。この基本ファイル構造領域が、読出し最小単位である1ECCブロック以内に記録された場合、ドライブ装置は1回の読出しを行うのみでよい。このように、本発明の情報記録媒体は、最新ファイル構造領域を含め更新記録するデータを内周から外周に移動させるため書換え集中によるデータ欠損や欠陥の発生を防止し、データ信頼性を向上させることができる。
2.実施の形態2
実施の形態2では、ボリューム空間に予め割付けられたAVファイル領域内においてAVファイルをシーケンシャルに記録する方法と、最新ファイル構造領域に記録される情報の欠陥管理方法とを説明する。
AVファイル領域に記録されるAVデータは、時間的に連続してデータを記録する必要があるために、ベリファイを行なうことなく記録される。他方、ファイル集合記述子などのファイル管理情報や制御ファイルは、データの信頼性が要求されるために、記録後にベリファイが行なわれて、記録時のデータの信頼性が確保される。また、一般に、AVファイルはデータのサイズが大きく、制御ファイルやファイル管理情報はデータのサイズが小さい。このように、AVデータの特性と非AVデータの特性とは異なっている。AVデータを記録する領域と、非AVデータを記録する領域とを分離する例を説明する。
実施の形態1のように未割付け領域の管理がテーブル形式によって行われる場合、未割付け領域の管理情報の登録順序を規定することによってシーケンシャルに記録が行われた。実施の形態2では、空間管理構造領域に記録される改良ビットマップを用いて未割付け領域の管理を行ない、ボリューム空間内のAVファイル領域内においてシーケンシャル記録する場合を説明する。
なお、以下の説明において、ボリューム・ファイル構造として情報記録媒体に記録される記述子やポインタ等は、特に詳細な記載がない限り、ECMA167規格あるいはUDF(Universal Disk Format)規格に規定されたデータ構造をもつものとする。
2.1 光ディスクのデータ構造
図11は、光ディスク235のデータ構造の一例を示す。
ボリューム空間には、ボリューム構造領域101と代替可能ファイル構造領域1303とAVファイル領域1308とがあらかじめ固定位置に割付けられている。代替可能ファイル構造領域1303は、最新ファイル構造領域の一部に空間管理構造領域1306を有している。この空間管理構造領域には、改良ビットマップが記録される。
ビットマップとは、セクタやECCブロックなど一定単位の領域毎に記録状態を示すマップである。ある一定単位の領域の記録状態は、記録済み状態であれば1、未記録状態であれば0として、1ビットで示される。全てのセクタの記録状態を示すビットの集合をビットマップと呼ぶ。実施の形態2では、ビットマップはユニットの記録状態を示す。未割付け領域の管理をビットマップで行なうメリットは、管理する単位領域毎にビットを用いて未割付けを指定するために、ビットマップのサイズが固定である点である。
ユニットは1セクタ以上から構成される記録管理の単位であり、本実施の形態では1ユニットが約5000セクタほどの例を示している。
また、リードイン領域には、記録情報ゾーン111が割付けられている。記録情報ゾーン111には、代替ユニット番号1310と代替領域アドレス情報1311をもつ代替指定情報領域1302が割付けられている。この代替指定情報領域は、最新ファイル構造領域1304を代替可能ファイル構造領域1303の代替可能領域1307や他のユニットへ代替する。これにより、代替可能ファイル構造領域1307の最新ファイル構造領域1304に書換えが集中した場合や、また領域全体が記録不可能な状態となった場合、代替することによって媒体全体が記録不可能になることなく、引き続き最新ファイル構造領域の記録を行うことができる。
2.2 ファイル記録処理
図13は、光ディスク235にファイルを記録するファイル記録処理の手順を示す。ファイル記録処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図13に示される各ステップを詳細に説明する。
(S1501)システム制御部201は、空間管理構造用メモリ253に読み出されている改良ビットマップ1313の先頭から開始ユニット番号1330を取得する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、空間管理構造記録手段251としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S1502)システム制御部201は、開始ユニット番号1330で指定されたユニット#40から順にシーケンシャルにAVファイル(AVfile−d)146を記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ファイル記録手段213としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S1503)システム制御部201は、記録されたAVファイル(AVfile−d)の管理情報を含めてファイル構造を更新し、更新されたファイル構造を最新ファイル構造領域1304に記録するように光ディスクドライブ装置205に指示する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、基本ファイル構造記録手段261としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
このとき、代替可能ファイル構造領域1303において最新ファイル構造領域1304が書換え回数の集中やキズや埃などにより記録不可能な状態になったため、光ディスクドライブ装置205から書き込みエラーが返ってくると、システム制御部201は、記録位置を変更するため基本ファイル構造を更新し、代替可能領域1307に対する記録を指示する。
再度、代替可能領域1307がキズや埃などにより記録不可能な状態になったため、光ディスクドライブ装置205より書き込みエラーが返ってくると、システム制御部201は、AVファイル領域1308よりシーケンシャルに記録する場合に次の記録開始ユニットとなるユニット#56を代替可能ファイル構造領域として使用するため、ユニット#56に記録位置の変更を反映した基本ファイル構造領域の記録を指示する。このように、最新ファイル構造領域を記録時に書き込みエラーが発生すると、未記録状態の代替可能領域へ、最新ファイル構造領域に記録したデータを更新して記録する。さらに、代替可能領域において未記録状態の領域が無い場合には、開始ユニット番号を用いて、未割付け領域であるユニットに代替可能ファイル構造領域を割付け、最新ファイル構造領域に記録したデータを更新して代替可能ファイル構造領域の先頭に記録する。未割付け領域であるユニットに代替可能ファイル構造領域が割付けられると、所定のサイズの代替可能領域が未記録状態として配置されるために、最新ファイル構造領域の記録において、書き込みエラーが発生しても、代替記録が可能になる。
ドライブ制御部232は、基本ファイル構造をユニット#56に記録するように記録再生手段234に指示し、その記録が完遂されると、リードイン領域の記録情報ゾーン111の代替ユニット番号1410に56を記録し、代替領域アドレス情報1411に最新ファイル構造領域のアドレス情報を記録する。その後、ドライブ制御部232は処理の完遂をシステム制御部201に通知する。
(S1504)最後に、システム制御部201は、ディスクの未割付け領域の状態を反映した改良ビットマップ1412を形成し、ユニット#56の空間管理構造領域1403に記録する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、空間管理構造記録手段251としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
このとき改良ビットマップの先頭の開始ユニット番号には、記録されたユニット以降の先頭の未割付け領域を示すユニット番号57が登録され、この処理で記録が行われたユニット#40からユニット#56の記録状態を示すビットは記録済み状態を示す1に変更される。
図12は、図11に示されるデータ構造を有する光ディスク235に対してファイル記録処理が実行された後に、光ディスク235に記録されているデータの構造を示す。
本実施の形態では、AVファイル領域内での内周から外周へのシーケンシャル記録の2サイクル目を示した。書換え回数が制限された情報記録媒体において、記録開始位置が開始ユニット番号により指定されるため、AVファイル領域内において、ディスクの内周から外周に向かってシーケンシャルな記録を繰り返し行うことができる。
なお、次回の記録開始位置を開始ユニット番号で指定する代わりに、アドレスで指定してもよい。次回の記録開始位置をアドレスで指定することにより、次回の記録開始位置を開始ユニット番号で指定する場合に比べて、細かな記録開始位置を指定することが可能になる。なお、次回の記録開始位置の代わりに、前回の記録終端位置を指定してもよい。
なお、本実施の形態では、AVファイルの記録可能な未割付け領域の指定は、ユニット単位とし、AVファイルが記録された領域の指定は、論理セクタ単位としているが、簡単化のために、AVファイルが記録された領域の指定も、ユニット単位としてもよい。
なお、AVファイル領域には、AVファイルのみが記録される例を示したが、実施の形態1で説明したように、AVファイルのファイルエントリをAVファイル領域に記録してもよい。
また、制御ファイルのサイズが大きい場合や制御ファイルの数が多い場合には、AVファイル領域に制御ファイルとそのファイルエントリを記録することにより、制御ファイルの更新時にデータの書換が特定の領域に集中することを防止することができる。
なお、ボリューム構造領域と最新ファイル構造領域とにデータを記録する場合には、ベリファイ付き記録が行われ、AVファイル領域にデータを記録する場合には、ベリファイなし記録がおこなわれる。ベリファイ付き記録とは、記録を行った後にデータを読み出すことができるか確認する記録方法である。ベリファイなし記録とは、記録を行った後にデータを読み出すことができるか確認をしない記録方法である。
なお、本実施の形態では、代替された後の最新ファイル構造領域をシステム制御部201が管理することにしている。しかし、代替領域をドライブ制御部231が管理するシステムでは、リニアリプレースメントと呼ばれる方式で管理されてもよい。リニアリプレースメントは、ドライブ制御部がシステム制御部から指定された論理アドレス情報と実際にデータが記録された物理アドレス情報の対応関係を管理し、再生時は、指示された論理アドレスにアクセスする変わりに、対応する物理アドレスから情報を読み出す方式である。このとき、システム制御部は、代替にともなう記録位置情報の更新を基本ファイル構造に対して行う必要はない。
このように、代替可能領域への代替と、ユニットへの代替可能ファイル構造領域の割付けとの2段階の代替処理を行うことにより、ファイル構造領域やAVファイル領域のサイズが予め規定された媒体において予想外に書換え回数が増加しても、媒体への記録再生を引き続き行うことが可能となる。
2.3 ファイル再生処理
図14は、光ディスク235に記録されたファイルを再生するファイル再生処理の手順を示す。ファイル再生処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図12に示されるデータ構造を有する光ディスク235からAVファイル(AVfile−d)158を再生する場合を例にとり、図14に示される各ステップを詳細に説明する。
(S1601)光ディスクが挿入されると、ドライブ制御部231は、記録情報ゾーンの代替指定情報領域1302から、代替ユニット番号1410と代替領域アドレス情報1411とを読み出し、システム制御部201に通知する。ドライブ制御部231の上述した動作は、例えば、記録情報ゾーン再生手段272としてドライブ制御部231に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
システム制御部201は読み出された代替ユニット番号1410が0であるか否かを判別する。0の場合は、処理は(S1603)に進む。0以外の場合は、処理は(S1602)に進む。
(S1602)システム制御部201は、代替ユニット番号と代替領域アドレス情報とに基づいて、指定されたユニット番号をもつユニットに記録された最新ファイル構造領域の基本ファイル構造領域から基本ファイル構造を再生する。
図12に示される例では、代替ユニット番号1410は56である。従って、ユニット#56に記録された最新ファイル構造領域1401の基本ファイル構造領域1402から基本ファイル構造が読み出される。
(S1603)システム制御部201は、代替領域アドレス情報に基づいて、予め割り付けられている代替可能ファイル構造領域に記録された最新ファイル構造領域の基本ファイル構造領域から基本ファイル構造を再生する。
図11に示される例では、代替ユニット番号1410は0である。従って、代替可能ファイル構造領域1303に記録された最新ファイル構造領域1304の基本ファイル構造領域1305から基本ファイル構造が読み出される。
なお、(S1602)、(S1603)で説明したシステム制御部201の動作は、例えば、基本ファイル構造再生手段262としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S1604)システム制御部201は、基本ファイル構造を解釈し、目的のAVファイル(AVfile−d)158を再生する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ファイル再生手段216としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
なお、本実施の形態では、一般に、AVファイルのサイズは制御データのサイズより大きいために、AVファイルはユニット単位で管理されている。このため、AVファイルの記録位置情報は論理セクタ番号の変わりにユニット番号を用いて指定することにより、記録位置の指定が簡単になる。
なお、本実施の形態では、未割付け領域はディスクの内周から外周の順番でビットマップに登録されている。このため、開始ユニット番号で次回の記録位置を指定することによって、シーケンシャルな繰返し記録が実現される。ビットマップではなく、実施の形態1で示したようなテーブルを用いて未割付け領域を管理する方法では、ディスクの内周から外周の順番で未割付け領域をテーブルに登録し、エントリセクタ番号によって次回記録開始位置を指定する。
実施の形態2では、代替可能ファイル構造領域がボリューム空間に予め割付けられているため最新ファイル構造の書換えが集中してしまうが、記録情報ゾーンの設けられた代替指定情報領域により異なった場所への記録が可能なため、媒体全体が使用不可能な状態に陥ることを防止することができる。
また、空間管理構造領域に記録される改良ビットマップに設けられた開始ユニット番号を用いることにより、AVファイル領域における記録開始位置を取得することができる。これにより、書換え集中を回避しつつシーケンシャルにAVファイルを記録することが可能である。また、空間管理構造の先頭に開始ユニット番号を登録することにより、空間管理構造を取得した後、すぐに、記録開始位置から記録を開始することが可能となる。
なお、実施の形態1では、最新ファイル構造領域をシーケンシャルに記録していたが、実施の形態2では、データを更新する毎に最新ファイル構造領域の中でデータが書き換えられる例を示した。実施の形態1で示したように、空間管理構造領域に記録された空き領域情報と最新ファイル構造領域として割り付けられた位置を示す代替領域アドレス情報とを用いて、最新ファイル構造領域を代替可能ファイル構造領域内でシーケンシャルな繰り返し記録を行なってもよい。例えば、データの更新時、代替可能ファイル構造領域の終端までは、最新ファイル構造領域が割付けられた領域の位置(すなわち、ポインタ情報によって示される位置)に続く位置から一定方向に(例えば、ディスクの内周側から外周側に向かって)未割付け領域をサーチし、そのサーチ結果に基づいて領域を割付け、その割付けられた領域に最新ファイル構造領域のデータを記録し、代替可能ファイル構造領域の終端に最新ファイル構造領域が記録されている場合は、代替可能ファイル構造領域の先頭から一定方向に未割付け領域をサーチし、そのサーチ結果に基づいて領域を割付け、その割付けられた領域に最新ファイル構造領域のデータを記録してもよい。
このように、代替可能ファイル構造領域は、代替可能ファイル構造領域の一部に別の領域(例えば、最新ファイル構造領域)を割付けることが可能なように構成されている。また、代替可能ファイル構造領域の一部に割付けられた別の領域(例えば、最新ファイル構造領域)は、代替可能ファイル構造領域内で移動可能なように構成されている。これにより、最新ファイル構造領域が代替可能ファイル構造領域の全体に分散するように、データを一定方向に繰り返し記録することができる。
また実施の形態2では、AVファイル領域と代替可能ファイル構造領域ともにシーケンシャルに繰り返しデータを記録することができ、ディスク全域の書換え回数の集中が回避される。このように1つの領域を複数の領域に分割し、それぞれの領域に対してシーケンシャルな繰り返し記録を行うことにより、データの信頼性向上と目的ファイルなどの読み出しを高速化できる。
なお、このようにファイルを記録する領域とその領域内での次の記録開始位置を示すための記録位置情報を記録する領域のそれぞれにおいて、データを一定方向に繰り返し記録することができる。
3.実施の形態3
実施の形態3では、ハードディスクなどに適用されるFATファイルシステムのようにファイルの記録位置と未割付け領域の位置を同時に管理するテーブルにより、AVファイル領域内においてAVファイルをシーケンシャルに記録する場合の一例を説明する。
ハードディスクと整合性のあるシステムを構築する場合には、光ディスクにFATファイルシステムを導入することで、ハードディスクと光ディスクを一つのファイルシステムで扱える様になる。
なお、以下の説明において、ボリューム・ファイル構造として情報記録媒体に記録される記述子やポインタ等は、特に詳細な記載がない限り、FATファイルシステムとして知られているECMA107規格に規定されたデータ構造をもつものとする。
3.1 光ディスクのデータ構造
図15は、光ディスク235のデータ構造の一例を示す。
ボリューム空間には、システム領域1701と、最新ファイル構造領域1702と、AVファイル構造領域1703とが予め割付けられている。
最新ファイル構造領域1702は、FAT(File Allocation
Table)領域1704と、ルートディレクトリ領域1705と、AVディレクトリ領域1706と、データファイル領域1707とを含む。FAT領域1704には、ディレクトリやファイルの記録位置のチェーン情報やクラスタの記録状態の情報をもつFATが記録されている。
FATは、クラスタごとの記録情報をもつクラスタ記録情報がクラスタの数だけ記録されるテーブルである。ルートディレクトリ領域1705やAVディレクトリ領域1706に記録されたディレクトリエントリには、そのディレクトリやファイルの開始クラスタ番号が登録されている。図15に示される例では、ディレクトリエントリ(AVfile−a)1713は、AVファイル(AVfile−a)144の開始クラスタ番号1をもつ。FATのチェーン情報は、AVファイル(AVfile−a)の開始クラスタであるクラスタ#1に、続きのクラスタ番号2を登録しておくことで、チェーン情報を辿りAVファイル(AVfile−a)を再生可能にしている。チエーン情報の値欄において、EOFは、ファイルの終端を示し、具体的な値としては、例えば、16進のFF8が入る。
なお、クラスタは1セクタ以上から構成される記録管理の単位であり、本実施の形態3では実施の形態2に示したユニット同様、1クラスタが、約5000セクタほどの例を示している。
3.2 ファイル記録処理
図16は、光ディスク235にファイルを記録するファイル記録処理の手順を示す。ファイル記録処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図16に示される各ステップを詳細に説明する。
(S1801)システム制御部201は、最新ファイル構造領域1702の先頭のFAT領域1704からFATを読み出し、開始点情報としてマークされたクラスタ番号を探索し、マークされたクラスタ番号から昇順に未割付け領域情報の取得を行う。システム制御部201の上述した動作は、例えば、空間管理構造記録手段251としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S1802)システム制御部201は、指定された開始点クラスタから順にシーケンシャルにAVファイルを記録する。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ファイル記録手段213としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S1803)システム制御部201は、記録されたAVファイルの情報を加えたAVディレクトリ領域やルートディレクトリ領域やデータファイル、そしてFAT領域を最新ファイル構造領域に記録する。このとき記録されるFATは、記録されたファイルのチェーン情報や開始点情報が登録されるクラスタ情報が更新される。例えば、AVファイル(AVFile−c)146が記録された後のデータ構造を示す図15において、次の記録開始点はクラスタ#56であるので、FAT1710のクラスタ#56情報の開始点情報として1が登録される。システム制御部201の上述した動作は、例えば、基本ファイル構造記録手段261としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
本実施の形態では、AVファイル領域内での内周から外周へのシーケンシャル記録の2サイクル目を示した。書換え回数が制限された情報記録媒体の場合、AVファイル領域への記録は1サイクル目以上のサイクルにおいて同様にシーケンシャルな繰り返し記録が行われる。
なお、説明の簡単化から、データファイルである制御ファイルは最新ファイル構造領域の一部として記録しクラスタ番号は割り当てられず、論理セクタ番号で管理されるものとした。しかし、データファイルはAVファイルの情報を制御するデータファイルとしてAVファイル領域内のクラスタに記録されてもよい。
また、実施の形態3では、基本ファイル構造記録手段261に従ってAVディレクトリ領域やルートディレクトリ領域やデータファイルそしてFAT領域が最新ファイル構造領域に記録されることにした。FATは、空間管理構造の機能をもつ構造であるがファイルの管理も同時に行っているため、基本ファイル構造記録手段や基本ファイル構造再生手段によって取り扱われることにした。
なお、実施の形態3では、シーケンシャル記録を行う開始点情報は、ビット1を記録することにしたが、例えばFFhなどの他の値によってシーケンシャル記録の開始点であることを示してもよいことは自明である。
実施の形態3では、FATのように未割付け領域の情報とファイルのチェーン情報が同一テーブルで管理されているデータ構造を用いてもシーケンシャル記録の開始位置が取得でき、AVファイル領域において書換え集中を回避しつつシーケンシャルにAVファイルを記録することが可能である。
また、実施の形態2では空間管理構造の先頭に開始ユニット番号が登録されていたが、実施の形態3では空間管理構造の各クラスタ情報の一部として開始点情報が登録される。各クラスタ情報のリザーブされたバイトにこの開始点情報を登録する場合、FAT規格を拡張することなく既存コンピュータのオペレーティングシステムとも互換性を保つことが可能となる。
なお、実施の形態2で説明した2段階の欠陥管理方法を本実施の形態におけるFAT領域を含む最新ファイル構造領域にも適用できる。
なお、AVファイル領域において欠陥が発生したために使用不可能となったクラスタは、FAT領域1704におけるFAT1710に登録してもよい。この場合、例えば開始点情報の値にFFhを登録する。
4.実施の形態4
実施の形態4では、書換回数の制限されたディスクに対してシーケンシャルにAVファイル、制御ファイル、ボリューム・ファイル構造を記録したときの欠陥管理方法の一例を説明する。
実施の形態1のようにシーケンシャル記録を行うことによって書換えの集中を回避し欠陥領域の発生自体を防止した場合も、ディスクの使用が度重なるとともに欠陥領域は増加する。
なお、以下の説明において、欠陥領域は記録が出来ない領域または再生が出来ない領域を含む1ECCブロックを最小単位とする。
4.1 光ディスクのデータ構造
図17は、光ディスク235のデータ構造の一例を示す。
ボリューム空間には、欠陥領域1902、1906、1906および1910が存在する。またこれらの欠陥領域を登録するための欠陥リスト構造領域1908が割付けられている。欠陥リスト構造領域1908は、システムのためのデータ構造が登録されるシステムストリームディレクトリ1923とそのファイルエントリ1924と非割付け空間ストリームのファイルエントリ1925が記録される。非割付け空間ストリームは、欠陥領域や、ボリューム・ファイル構造を割付けることが出来ない領域を登録するために定義されたデータ構造である。本実施の形態では、非割付け空間ストリームは欠陥領域の位置情報を登録するために使用されている。
図18は、光ディスク235にファイルを記録するファイル記録処理の手順を示す。ファイル記録処理は、図2に示される情報記録再生装置によって実行される。以下、図17に示されるデータ構造を有する光ディスク235にAVファイル(AVfile−c)を記録する場合を例にとり、図18に示される各ステップを詳細に説明する。
(S2001)システム制御部201は、指定されたエントリセクタ番号以降の未割付け領域から順にシーケンシャルにAVファイル(AVfile−c)を記録する。このAVファイルの記録において、欠陥領域1906が検出されると、システム制御部201は、欠陥領域をスキップして次の未割付け領域に対して記録を続行する。したがって、AVファイルが実際に記録された領域は、AVファイル領域1905の第1のエクステント1921およびAVファイル領域1907の第2のエクステント1922となる。システム制御部201の上述した動作は、例えば、ファイル記録手段213としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
(S2002)システム制御部201は、AVファイル(AVfile−c)が記録された第1のエクステント1921と第2のエクステント1922の位置情報を登録したファイルエントリ(AVfile−c)147を作成し、そのファイルエントリ(AVfile−c)147をメモリ回路263の基本ファイル構造用メモリ235に格納する。
(S2003)システム制御部201は、続く未割付け領域に制御ファイル(Datafile)148を記録する。この制御ファイルの記録において欠陥領域が検出された場合、ステップ(S2001)に示したAVファイルの記録と同様に、欠陥領域をスキップして続く未割付け領域に対して記録を続行する。
(S2004)システム制御部201は、制御ファイル(Datafile)148が記録された領域(エクステント)の位置情報を登録したファイルエントリ(Datafile)149を作成し、そのファイルエントリ(Datafile)149をメモリ回路263の基本ファイル構造用メモリ235に格納する。欠陥領域の検出のため制御ファイルが複数エクステントに記録されていた場合は、この制御ファイルの記録位置情報の登録において、AVファイルと同様、エクステント位置情報を全て登録する。
(S2005)システム制御部201は、欠陥リスト構造であるシステムストリームディレクトリ1924とそのファイルエントリ1923とともに、ボリューム空間内において検出された欠陥領域の位置情報が登録された非割付け空間ストリームのファイルエントリ1925を作成し、そのファイルエントリ1925を基本ファイル構造用メモリ235に格納する。
さらに、システム制御部201は、ファイル記録処理において記録された未割付け領域や検出された欠陥領域の位置情報を除いて、未割付け空間の位置情報が登録された未割付け空間エントリ1925を作成し、その未割付け空間エントリ1925を基本ファイル構造用メモリ235に格納する。
また同時に、システム制御部201は、記録されたAVファイルと制御ファイルの情報を加えたAVディレクトリ(AVDir)150、ファイル集合記述子152、ルートディレクトリ153、ルートディレクトリのファイルエントリ154、そして記録済みAVファイル(AVfile−a)144および(AVfile−d)158の位置情報や属性情報を登録したファイルエントリ145、159、そしてVAT156およびVATICB157を作成し、それらを基本ファイル構造用メモリ235に格納する。
(S2006)システム制御部201は、ステップ(S2002)、(S2004)および(S2005)において作成された基本ファイル構造、欠陥リスト構造、空間管理構造123およびVAT構造を、最新ファイル構造領域131に記録する。
(S2007)最新ファイル構造領域131への記録において欠陥領域が検出された場合、ステップ(S2008)以降が実行される。また欠陥が検出されず記録を完遂できた場合、ファイル記録処理を終了する。
(S2008)システム制御部201は、欠陥リスト構造と空間管理構造の登録情報とを更新作成する。欠陥リスト構造である非割付け空間ストリームには新たに検出された欠陥領域の位置情報が登録される。空間管理構造である未割付け空間エントリではこの欠陥領域の位置情報が除かれる。
(S2009)システム制御部201は、更新された最新ファイル構造を記録するために、続く未割付け領域を指定する。
なお、(S2002)〜(S2009)で説明したシステム制御部201の動作は、例えば、基本ファイル構造記録手段261としてシステム制御部201に内蔵されている制御プログラムを実行することによって達成される。
本実施の形態において、AVファイルの記録処理では、ベリファイ無し記録時に、記録が完遂されなかったとエラーが返ってきた領域を欠陥領域として識別している。
なお、一般的に、ボリューム構造領域と最新ファイル構造領域とに記録されるデータはベリファイ付き記録が行われ、AVファイル領域に記録されるデータはベリファイ無し記録が行われる。しかし、AVファイル領域に対しベリファイ付き記録が行われてもよい。また、ボリューム構造領域と最新ファイル構造領域とに記録されるデータにベリファイ無し記録が行われてもよい。また、AVファイルの記録においては、代替処理に要する時間を省くため、欠陥領域は存在しないものと見なして記録を行ってもよい。このときファイル再生時に欠陥領域であったことが判別される。
なお、ファイルの特性毎に欠陥管理方法を変えるために、ある欠陥管理方法が適用されるデータを記録する領域と、別の欠陥管理方法が適用されるデータを記録する領域を分けることができる。
なお、ファイルの再生時に再生不可能であった領域も欠陥領域として登録されてもよい。
なお、非割付け空間ストリームとして登録された欠陥領域の位置情報は、媒体の再フォーマットが行われるときに利用される。したがって、再フォーマット時に非割付け空間ストリームの内容を保持しておくことが必要である。
なお、検出された欠陥領域の位置情報はボリューム空間外で記録されてもよい。例えば実施の形態1における記録情報ゾーンの登録ブロック内で管理されてもよい。
なお、本実施の形態で説明した方法を実施の形態3に適用してもよい。欠陥管理を行う場合、AVファイルを欠陥をスキップしながら記録し、欠陥情報はFATに登録される。
このように、本実施の形態では、書換形媒体に対してシーケンシャルに記録を繰り返す中で、代替をすることなく検出された欠陥領域を回避しつつ、次の領域への記録を続けることが可能である。これにより、使用状況に応じて検出される欠陥量が大きく変化する書換形記録媒体において、あらかじめ代替領域を確保したり代替領域が不足した場合に拡張する必要がなく、領域の有効利用が可能となる。
5.実施の形態5
実施の形態5では、ディスクの高密度化によって物理的な書換回数が制限されたディスクにおいて、そのディスクの内周から外周にシーケンシャルに繰り返し記録を行うためのエントリセクタ番号に関するデータ構造とその更新方法の一例を説明する。
本実施の形態では、エントリセクタ番号は記録情報ゾーンではなく、ファイルシステムで管理されるボリューム空間に記録される。
実施の形態1では、記録情報ゾーンにカウントユニットと複数の登録ユニットとを構成することで書換回数の制限されたディスクでのエントリセクタ番号の信頼性を向上させる実施の形態を説明した。
本実施の形態では、ECMA167に規定されたデータ構造を段階的に更新することでエントリセクタ番号の信頼性を向上することが可能であり、エントリセクタ番号を記録するために記録情報ゾーンを必要としないために、汎用のディスクにも適用できる。
図19は、ボリューム構造の中で更新記録されるエントリセクタ番号に関するデータ構成図である。
エントリセクタ番号3032の機能は、他の実施の形態で述べた機能と同じであり、図19では、最新ファイル構造領域131内のVAT構造領域104のVAT ICB157のアドレスを示す。エントリセクタ番号3032は、論理ボリューム保全記述子列3011内の論理ボリューム保全記述子3031の中の処理システム用に確保されているフィールドに記録される。
論理ボリューム保全記述子には、ボリューム空間に記録されたファイル構造が正しい状態になっているかどうかを示す保全情報が記録されるために、エントリセクタ番号を論理ボリューム保全記述子に記録することで、さらにエントリセクタ番号の信頼性を向上させることができる。
論理ボリューム保全記述子列3011の位置情報は、ボリューム記述子列3010内の論理ボリューム記述子3022に記録される。ボリューム記述子列3010は、ボリュームに関する記述子を記録するためのものであり、基本ボリューム記述子3012や区画記述子3023もこのボリューム記述子内に記録される。
ボリューム記述子列3010の位置情報は、開始ボリューム記述子ポインタ3041に記録される。開始ボリューム記述子ポインタは、論理セクタ番号256の固定セクタに記録される。図示していないが、開始ボリューム記述子ポインタは、ボリューム空間の最外周の論理セクタ番号をNとして、N−256の論理セクタにも記録される。開始ボリューム記述子ポインタが2重記録されるので、一方が読み出せなくなっても、もう一方の開始ボリューム記述子ポインタを利用できる。
図20は、エントリセクタ番号を更新記録する手順を示す図であり、エントリセクタ番号に関する更新方法について説明する。
(S3001)論理ボリューム保全記述子列は、例えば、32セクタ分の領域が確保される。論理ボリューム保全記述子は、論理ボリューム保全記述子列の先頭から順番に記録され、最後に記録された論理ボリューム保全記述子が有効な記述子として認識される。エントリセクタ番号の更新は、後続の論理セクタに論理ボリューム保全記述子を記録することで行われ、後続する論理セクタがなくなった場合には、論理ボリューム保全記述子列のすべての論理セクタを00hで記録し、論理ボリューム保全記述子列の先頭に論理ボリューム保全記述子を記録する。
(S3002)論理ボリューム保全記述子の記録時に、記録しようとした論理セクタが欠陥セクタかどうかを調べる。欠陥でなければ終了するが、欠陥であった場合には、(S3003)として、ボリューム構造領域内の空き領域に、新たに論理ボリューム保全記述子列を確保し、論理ボリューム保全記述子を記録する。
このようにして、書換回数が100回のディスクでは、32×100回、論理ボリューム保全記述子を同じ論理ボリューム保全記述子列を用いて記録できる。
新たに論理ボリューム保全記述子列を割り当てた場合には、論理ボリューム保全記述子列の位置情報を管理する論理ボリューム記述子を記録する必要がある。
(S3004)ボリューム記述子列は、例えば、16セクタ分の領域が確保される。論理ボリューム記述子は、ボリューム記述子順序番号を示すフィールドをもち、複数の論理ボリューム記述子がボリューム記述子列に記録される場合、一番大きなボリューム記述子順序番号をもつ論理ボリューム記述子が有効になる。論理ボリューム記述子の記録については、ボリューム記述子列の先頭から空いている論理セクタを探し、空いている先頭の論理セクタに記録する。空いている論理セクタがない場合には、古い論理ボリューム記述子の全てを00hで記録して空いている論理セクタを作成した後、先頭の空いている論理セクタから記録する。
(S3005)論理ボリューム記述子の記録時に、記録しようとした論理セクタが欠陥セクタかどうかを調べる。欠陥でなければ終了するが、欠陥であった場合には、(S3006)として、ボリューム構造領域内の空き領域に、新たにボリューム記述子列を確保し、基本ボリューム記述子と区画記述子とともに、論理ボリューム記述子を記録する。
このようにして、書換回数が100回のディスクでは、(16−2)×100回、論理ボリューム記述子を同じボリューム記述子列に記録できる。
(S3007)新たにボリューム記述子列を割り当てた場合には、ボリューム記述子列の位置情報を管理する開始ボリューム記述子ポインタを更新記録する。
このようにエントリセクタ番号が段階的に更新記録されるために、書換回数が100回のディスクでも、合計(32×100)×((16−2)×100)×100回の記録が可能になる。
なお、必要な書換回数に応じて更新記録の段階を変えてもよい。1000回程度の書き換えでよければ、エントリセクタ番号の書き換えは同一論理ボリューム保全記述子列内でおこなえばよいのは自明である。