JP4270596B2 - 穀類外皮から水溶性糖類を製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穀類外皮である、小麦ふすま、とうもろこし外皮、もみ殻又は大豆皮などの繊維質に含まれるヘミセルロースを食品用途等で有効に活用するために、穀類外皮からヘミセルロースを高収率で可溶化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
穀類外皮には繊維質が多く含まれ、これらの繊維質はセルロースやヘミセルロースなどから構成される。小麦ふすま、とうもろこし外皮又はもみ殻のヘミセルロースは、主にキシロースとアラビノースから成るアラビノキシランという多糖であることが知られている。また、大豆皮にはヘミセルロースとしてアラビノガラクタンが含まれている。
【0003】
小麦ふすまやとうもろこし外皮などの穀類外皮に含まれるヘミセルロースを分離する従来技術としては、▲1▼アルカリ水を用いて抽出する方法、▲2▼爆砕処理後に水または熱水を用いて抽出する方法、▲3▼加熱処理後の酵素分解によってヘミセルロースを可溶化する方法等が知られている。
【0004】
上記▲1▼の方法としては、小麦ふすま又はとうもろこし外皮を水洗した残部からヘミセルロースを主成分とする物質をアルカリ水で抽出する方法(特開平 1−242530号)が、小麦ふすまを水洗した残部のアルカリ水による処理で溶出する主成分がヘミセルロースである区分を限外濾過膜及びイオン交換樹脂で精製する方法(特開平 2−1701号)が、また、上記▲2▼の方法としては、小麦ふすまを爆砕処理した後に水又は熱水で抽出して分子量10万以上の物質を分画して得る方法(特開平 2−169594号)が、更に、上記▲3▼の方法としては、小麦ふすま等を水分存在下で加熱処理した後に植物細胞壁崩壊酵素の作用によってヘミセルロース(アラビノキシラン)を可溶化させる方法(特開平 5−219976号)が、それぞれ、挙げられる。
【0005】
しかし、上記▲1▼のアルカリ水による抽出法では、小麦ふすまやとうもろこし外皮に含まれるヘミセルロースの一部しか得ることができない。また、上記▲2▼の爆砕処理を利用した抽出法は、爆砕に特殊な装置を必要とすること、並びに10〜20 kg/cm2G(概ね180〜215℃)の高圧蒸気を使用することから経済性が低いのみならず、高温高圧下での処理であるためにフェノール性の酸などの好ましくない物質を生成するという欠点がある。更に、上記▲3▼の酵素による可溶化法では、水分存在下での加熱処理(100〜145℃)によって小麦ふすま等の繊維質構造が破壊されて酵素分解を受け易くなることからヘミセルロース(アラビノキシラン)の酵素分解による可溶化率は加熱処理を施さない場合に較べて高まる。しかし、この方法でも顕著な量のヘミセルロース(アラビノキシラン)が可溶化できずに残渣に残るので、満足できる収率が得られないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、小麦ふすまやとうもろこし外皮などの穀類外皮に含まれるアラビノキシラン等のヘミセルロースから高収率で水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類を得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、小麦ふすまやとうもろこし外皮などの穀類外皮を(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、及び(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次行えば、アラビノキシラン等のヘミセルロースを選択的、且つ高収率で可溶化できること、また、該処理後、更に、繊維質分解酵素処理を行うと、高収率でオリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類を得ることを見い出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の方法に関するものである。
【0009】
(1) ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶性糖類を得る方法において、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、及び(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次行うことを特徴とするキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれる1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
【0010】
(2)ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶性糖類を得る方法において、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程、及び(4)加水分解生成物を繊維質分解酵素処理する工程からなる4工程を順次行うことを特徴とするキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれる1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
【0011】
(3)酸がシュウ酸、塩酸又は硫酸である上記(1)又は(2)記載のキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
【0012】
(4)穀類が小麦、コーン、大豆又は米である上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
【0013】
特に、本発明は、穀類外皮として小麦ふすま又はコーンファイバーを用いて、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次行った後、繊維質分解酵素で処理する方法を採用するのが好ましい。
【0014】
本発明の特徴点は、以下の通りである。
【0015】
1.本発明は、穀類外皮を、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次を行うことにより、穀類外皮中のアラビノキシラン等のヘミセルロースを殆ど回収することができるが、該2つの処理後、更に、繊維質分解酵素処理を行うことにより、キシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又はキシロースやアラビノース等の単糖から成る水溶性糖類を高収率で得ることができる。
【0016】
2. 水溶性糖類として、キシロースやアラビノース等の単糖を主成分とするものを直接、高収率で得ることができる。
【0017】
3. 水溶性糖類として、水溶性アラビノキシラン等の分子量1,000以上の水溶性多糖を殆ど含まないものを得ることができる。
【0018】
4..本発明では、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次を行うという比較的穏和な条件下の処理にもかかわらず、穀類外皮中のヘミセルロースから、高い収率で、キシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類が得られが、このことは、食品産業において汎用される機器を利用できることになるから、経済性に優れた方法である。
【0019】
5. 得られる単糖やオリゴ糖は、甘味料として利用できる他、アラビノキシラン由来の単糖であるキシロースやアラビノースは、褐変反応性が高いことから水産練り製品等の色づけに有効であり、オリゴ糖は、ビフィズス菌増殖活性などの生理機能を持つことが知られているが、本発明では、このような食品用途での有用性が非常に高い糖類素材を、小麦ふすま等の穀類外皮から直接得ることができる。
【0020】
6. 本発明の方法によってヘミセルロースを可溶化した後の残渣は、その主成分が水不溶性蛋白やセルロースであるが、酸処理や繊維質分解酵素処理の効果で消化性が向上しているので良好な飼料原料、堆肥原料、等として使用することができるし、この残渣は、成形加工することで生分解性の園芸用ポットや緩衝材等の素材とすることも可能である点においても、価値の高いものである。
【0021】
以上のように、本発明は、上記のような特定の3つの処理方法を併用することにより、水溶性アラビノキシラン等の水溶性多糖を殆ど含まない、キシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とするオリゴ糖及び/又はキシロースやアラビノース等の単糖が、しかも、該単糖を主成分として、高収率で得られるという予想外の結果が得られている点において、格別の発明であることが分かる。
【0022】
以下、更に、本発明について、詳述する。
【0023】
本発明において原料として使用する穀類外皮としては、小麦ふすま、とうもろこし外皮、もみ殻、大豆皮などが挙げられる。小麦ふすまとしては、通常の製粉工程で発生する一般ふすま及びそれ以外のふすまの何れも利用できる。また、とうもろこし外皮には、コーンファイバー、コーンブラン、コーンハルと呼ばれるものの他にグルテンフィード等も含む。小麦ふすまやとうもろこし等の外皮であれば、それらの成分組成や生成過程は問わないが、ヘミセルロース以外の成分を予め除いた小麦ふすま等を使用することが好ましい。
【0024】
具体的には、小麦ふすま等から水洗によって水溶性蛋白、少糖類、ミネラル類などの水溶性成分を除去し、本発明の方法に供すれば、純度のより高い水溶性アラビノキシラン等を高収率で得られる。
【0025】
また、水洗した小麦ふすま等に澱粉分解酵素を作用させて澱粉を完全に除去し、場合によっては更に蛋白分解酵素の作用で水不溶性蛋白を除いてから、本発明の方法に供すれば、更に純度の高い水溶性アラビノキシラン等を高収率で得ることができる。
【0026】
上述したように、本発明では、まず、原料の小麦ふすま等を水洗して、水溶性蛋白や少糖類などを除去するのが好ましい。水洗時の水温や分散方法については特に限定されない。固液分離は、濾過、遠心分離、湿式分級などの一般的な方法であれば何れの方法を採用してもよい。固液分離によって回収した小麦ふすま等は、更に、澱粉を除去してから本発明の方法に供するのが望ましいが、必ずしも澱粉の除去を行う必要はない。
【0027】
小麦ふすま等から澱粉を完全に除くには、澱粉分解酵素を作用させる必要がある。澱粉分解酵素としては、ノボノルディスクバイオインダストリー(株)の「ターマミル」やナガセ生化学工業(株)の「グルコチームDB」等が使用できる。例えば、「ターマミル」を用いる場合には、水洗後の固液分離によって得られた小麦ふすま等に10〜15倍容量程度の水を加え、小麦ふすま等に対して 0.1%(w/w)の「ターマミル」を添加して75〜95℃で1〜2時間も反応させれば十分である。澱粉分解反応終了後の固液分離は、濾過、遠心分離、湿式分級など何れの方法で行ってもよい。
【0028】
尚、小麦ふすま等の粒度は、特に調整する必要はないが、澱粉分解酵素を作用させる場合には、粉砕によって予め粒度をある程度細かくしておくのが望ましい。粉砕は乾式または湿式の何れを採用してもよく、粉砕操作は水洗前後の何れで行っても構わない。ただし、過度の粉砕によって固液分離の効率に影響するほど粒子が細かくなりすぎるのは好ましくない。また、水洗後に乾式で粉砕するには、水洗後に固液分離で回収した小麦ふすま等を乾燥する必要があるので、経済的にはあまり望ましくない。
【0029】
以上のように調製した小麦ふすま等の穀類外皮を本発明の方法で処理する。
【0030】
次に、本発明の方法について、説明する。
【0031】
本発明の方法は、原料の小麦ふすま等の穀類外皮を、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次を行い、次いで、更に、繊維質分解酵素処理を行うものであるが、該繊維質分解酵素処理は、酸処理を、pH1.5〜 3.0の範囲で行った場合に、特に有効である。
【0032】
まず、酸処理は、以下のようにして行うのがよい。
【0033】
水洗や澱粉分解酵素処理等の前処理を行った後、小麦ふすま等の穀類外皮に、水を加えてシュウ酸等の酸でpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、次いで、該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程を行った後、次の湿式加熱処理に供する。酸溶液の浸漬処理は、通常、希酸への浸漬により行われるが、前述した、酸溶液の浸漬処理の前段で行う水洗又は澱粉分解酵素処理の最終段階で行ってもよく、その場合には、pH調整後、固液分離で得られる小麦ふすま等の穀類外皮を湿式加熱処理に供すればよい。
【0034】
酸処理における希酸水への浸漬では、小麦ふすま等に対する希酸水量や浸漬時間などは特に限定されない。使用する酸についても、小麦ふすま等の浸漬液をpH1.0〜 3.0に調整できるものであれば特に制限はないが、その中でも特に好ましい酸としては、シュウ酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
【0035】
次に、湿式加熱処理は、一例として以下のような方法で目的を達成することができる。
【0036】
湿式加熱としては、過熱水または過熱水蒸気を用いる方法が好ましく、回分式と連続式の何れの装置で行うこともできる。過熱水を用いる方法の具体的な例としては、小麦ふすま等の希酸水浸漬液を耐圧容器に入れて間接加熱によって過熱水とする方法、又はジェットクッカーのように連続的に過熱水処理できる装置を利用する方法などが挙げられる。一方、過熱水蒸気を用いる方法の具体的な例としては、希酸浸漬した小麦ふすま等を耐圧容器に入れて過熱水蒸気を導入する方法、又は連続式の蒸煮装置や蒸解装置を利用する方法などが挙げられる。尚、湿式加熱に供する小麦ふすま等の含水量は特に制限されないが、湿式加熱に過熱水蒸気を使用する場合には、小麦ふすま等の乾物重量に対して8倍量程度以下であるのが望ましい。過熱水蒸気による処理では、小麦ふすま等に含まれる水量が多すぎると熱効率の低下や圧力の損失を招く原因となることから望ましくない。
【0037】
湿式加熱は、120〜150℃の温度で行うが、加熱時間は品温が所定の温度に到達してから30分以内で十分に目的が達せられる。30分を越えて加熱してもアラビノキシランの収率はあまり上がらない。そればかりか、余り加熱時間が長くなると、副反応による著しい着色や可溶化したアラビノキシランの損失などを生じ、後工程での精製負荷の増大やアラビノキシランの収率低下などを招くので好ましくない。
【0038】
以上のように、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次を行った後、必要に応じて水を加え、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムなどを用いて中和する。そして、中和後に固液分離によってアラビノキシランの可溶化液を回収し、必要に応じて、酵素分解、酸分解、脱色、脱塩、分画、精製、濃縮、乾燥などの操作を施す。尚、酸処理等における固液分離には、濾過、遠心分離、湿式分級などの一般的な方法を採用することができる。
【0039】
更に、繊維質分解酵素処理は、以下のようにして行うのがよい。
【0040】
上記の酸溶液の浸漬(以下、「酸処理」ということもある)をpH1.5〜3.0で行った場合、その後、この繊維質分解酵素処理を行うことで、単糖及び/又はオリゴ糖を含む水溶性糖類を得ることができる。
【0041】
この処理は、上記の湿式加熱処理終了後、必要に応じて水を加え、使用する繊維質分解酵素の至適範囲にpHと温度を調整してから、繊維質分解酵素を作用させることにより行う。また、湿式加熱処理終了後、必要に応じて水を加える及び/又は中和するなどの措置を施し、その後の固液分離によって得られる残部に水を加えて使用する繊維質分解酵素の至適範囲にpHと温度を調整してから、繊維質分解酵素を作用させることもできる。
【0042】
ここで、pH調整剤及び中和剤としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムなどを使用することができる。
【0043】
本発明で使用する繊維質分解酵素としては、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼなどが挙げられる。現在市販されている酵素製剤では、新日本化学工業(株)の「スミチームAC」、「スミチームC」、「スミチームX」、ノボノルディスクバイオインダストリー(株)の「ウルトラフロ」、「フィニザイム」、「ビスコザイム」、「セルクラスト」、「セレフロ」、天野製薬(株)の「ヘミセルラーゼアマノ90」、阪急バイオインダストリー(株)の「セルロシンTP25」、「セルロシンHC100」、「セルロシンAL」、「セルロシンPEL」、「セルロシンHC」、「セルロシンAF」、ナガセ生化学工業(株)の「セルレースナガセ」、ヤクルト薬品工業(株)の「セルラーゼY−NC」、「セルラーゼオノズカ3S」、(株)樋口商会より入手した「ロハメント」、「ステルンザイムG」、「ステルンザイムH」等があるが、この中でも「スミチームAC」、「スミチームX」、「ウルトラフロ」、「ヘミセルラーゼアマノ90」、「セルラーゼY−NC」等が特に好ましい。これらの繊維質分解酵素を作用させる条件は、使用する酵素製剤によって多少異なるが、pH3.0〜 7.0且つ30〜70℃の範囲が好ましい。しかし、酵素分解反応中の発酵抑制を考慮に入れると、pH5.0以下且つ60℃以上にて、繊維質分解酵素を作用させるのが望ましい。また、繊維質分解酵素を作用させる時間は、攪拌の有無に拘わらず2〜24時間もあれば十分である。以上のような繊維質分解酵素処理を行った後、固液分離によってアラビノキシランの可溶化液を回収し、必要に応じて、酵素分解、酸分解、脱色、脱塩、分画、精製、濃縮、乾燥などの操作を施す。尚、繊維質分解酵素処理における固液分離にも、濾過、遠心分離、湿式分級などの一般的な方法を採用することができる。
【0044】
以上のようにして得られたオリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性多糖を含む溶液は、活性炭等による脱色、イオン交換樹脂等による脱塩、効用缶等による濃縮などを経て、食品用の糖液とすることができる。更に、目的に応じて噴霧乾燥等によって粉末品とすることもできる。また、当然のことながら、途中段階において結晶化やクロマト分画等の精製工程を入れても構わない。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらのものに限定されない。
【0046】
なお、小麦ふすまには、31%のアラビノキシランが含まれているものとして、アラビノキシランの回収率を求めた。
【0047】
【実施例1】
まず、小麦ふすまに10倍容量の水を加えて60℃にて30分間攪拌し、FRYMAコロイドミル(神鋼パンテック(株))を用いて湿式粉砕した。湿式粉砕後の分散液を遠心分離に供し、沈殿した小麦ふすまを回収した。続いて、回収した小麦ふすまに10倍容量の水を加えて塩酸でpHを5.0に調整し、固形分に対して0.1%(w/w)の澱粉分解酵素「グルコチームDB」を60℃にて24時間作用させた。酵素反応終了後、吸引濾過で小麦ふすまを濾別し、希酸処理に供した。
【0048】
上記のように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpHを1.0に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を120℃の飽和蒸気下にて15分間蒸煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15 mlの水を加えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には更に15 mlの水を加えて、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。このアラビノキシラン可溶化液の糖組成をShiibaらの方法(Cereal Chem., 70, 209, 1993)に準じて測定し、キシロースとアラビノースの合計量をアラビノキシラン量として求めた。
【0049】
【実施例2〜4】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpHを1.0(実施例2)、1.5(実施例3)、または2.0(実施例4)に調整した。次に、遠心分離で上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃の飽和蒸気下に10分間蒸煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15 mlの水を加えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加えて、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
【0050】
【実施例5】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を添加してpHを3.0に調整した。次に、遠心分離で上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃の飽和蒸気下に 20分間蒸煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15 mlの水を加えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加えて、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
【0051】
【実施例6】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5gに10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpHを3.0に調整した。次に、遠心分離で上澄みを除去し、回収した沈殿を130℃の飽和蒸気下に10分間蒸煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15mlの水を加えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15mlの水を加えて、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
【0052】
【実施例7、8】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を添加してpHを1.5(実施例7)または2.0(実施例8)に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて10分間蒸煮した。蒸煮後、直ちに冷却して 15 mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH 5.0に中和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
【0053】
【実施例9】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま (水分:80%)50 gに80 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を添加してpHを3.0に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて20分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して150 mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH 5.0に中和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて16時間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には100 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、250 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。
【0054】
アラビノキシラン可溶化液は、粉末活性炭処理(80℃、40分)により脱色した後、イオン交換樹脂「MB−3」を用いて脱塩した。そして、脱塩後の可溶化液をロータリーエバポレーターによる減圧濃縮に供し、10 mlの糖液を得た。この糖液に含まれるアラビノキシラン量は、実施例1と同様に求めた。
【0055】
【実施例10】
ウエットミリング法によるコーンスターチ製造工程から発生するコーンファイバーの乾燥物 1 gをスクリューキャップ付き試験管に採取し、10 mlの水を加えた。次に、10%(w/v)シュウ酸水を用いてpHを3.0に調整した。試験管を密閉した後、ブロックヒーター中にて120℃で30分間加熱した。加熱終了後、直ちに水冷し、水酸化ナトリウム溶液を用いて中和した。そして、10 mlの0.2M 酢酸緩衝液(pH 5.0)を加え、更に10 mgの「ウルトラフロ」を添加した。そして、60℃にて4時間酵素分解を行った後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には10 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離で得た上澄みを合わせて、25 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。この可溶化液に含まれるアラビノキシラン量は、実施例1と同様に求めた。
【0056】
【実施例11〜13】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5gに10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpH1.0に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃(実施例ll)、140℃(実施例12)、130℃(実施例13)の飽和蒸気下にて10分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH5.0に中和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には10mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
【0057】
【実施例14、15】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5gに10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpHを1.5に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を140℃(実施例14)または130℃(実施例15)の飽和蒸気下にて10分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH5.0に中和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。
【0058】
酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には10mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
【0059】
【実施例16】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5gに10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を添加してpHを2.0に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を130℃の飽和蒸気下にて20分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15mlの水を加え、水酸化ナトリウムを用いてpH5.0に中和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には10mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
【0060】
【比較例1】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま (水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpHを4.0に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除去し、回収した沈殿を120℃飽和蒸気下にて20分間蒸煮した。蒸煮後、直ちに冷却して15 mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いて中和した。そして、遠心分離で上澄みを回収し、残渣には15 mlの水を加えた。残渣に水を加えた分散液は再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
【0061】
【比較例2】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を添加してpHを4.0に調整した。遠心分離で上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて10分間蒸煮した。蒸煮終了後、速やかに冷却して15 mlの水を加えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和した後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
【0062】
【比較例3】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加えた。この分散液(pH 4.9)を遠心分離し、上澄みを除去した。回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて10分間蒸煮した。蒸煮終了後、速やかに冷却して15 mlの水を加え、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
【0063】
【比較例4】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を添加してpHを4.0に調整した。次に、遠心分離で上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて 20分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15 mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH 5.0に中和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
【0064】
【比較例5】
実施例1に記したように温水洗浄及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を加えた。この分散液(pH 4.9)を遠心分離し、上澄みを除去した。回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて20分間蒸煮した。蒸煮終了後、速やかに冷却して15 mlの水を加えた。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
【0065】
実施例1〜16と比較例1〜5におけるアラビノキシランの回収率及びアラビノキシラン可溶化液の糖組成を表1に示した。
【表1】
上記の表1の結果によれば、実施例1〜6と比較例1〜3から、酸処理におけるpHが4.0以上では、小麦ふすまに含まれるアラビノキシランの半分以下しか可溶化できないが、本発明のpH1.0〜3.0で酸処理を行えば、ヘミセルロース(アラビノキシラン)の可溶化が効果的に図れることが分かる。特に、酸処理をpH1.0で行った実施例1及び2では、小麦ふすまに含まれるアラビノキシランがほぼ完全に回収されることが分かる。
【0066】
また、実施例7〜16と比較例4、5から、pH1.0〜3.0の範囲で酸処理を行い、加熱処理後、繊維質分解酵素等で酵素処理を行うことにより、分子量1,000を超える水溶性多糖を殆ど含まないところの、オリゴ糖及びアラビノースやキシロース等の単糖からなる水溶性糖類を、該単糖を主成分として、高収率で得ることができることが分かる。
【0067】
【発明の効果】
1. 本発明では、ヘミセルロースを含む穀類外皮から、キシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とするオリゴ糖及び/又はキシロースやアラビノース等の単糖から成る水溶性糖類が、高収率で得られる点で優れている。
【0068】
2. 本発明では、水溶性糖類として、キシロースやアラビノース等の単糖を主成分とするものが、直接、高収率で得られる。
【0069】
3. 本発明では、水溶性糖類として、水溶性アラビノキシラン等の分子量1,000を超える水溶性多糖を殆ど含まないものを得ることができる。
【0070】
4. 本発明では、pH1.0〜3.0の酸処理及び120〜150℃の湿式加熱という比較的穏和な条件下の処理にもかかわらず、穀類外皮中のヘミセルロースから、高い収率で、キシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とするオリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類が得られるが、このことは、食品産業において汎用される機器を利用できることになるから、経済性に優れた方法である。
【0071】
5. 得られる単糖やオリゴ糖は、甘味料として利用できる他、アラビノキシラン由来の単糖であるキシロースやアラビノースは、褐変反応性が高いことから水産練り製品等の色づけに有効であり、オリゴ糖は、ビフィズス菌増殖活性などの生理機能を持つことが知られているが、本発明では、このような食品用途での有用性が非常に高い糖類素材を、小麦ふすま等の穀類外皮から直接得ることができる。
【0072】
6. 本発明の方法によってヘミセルロースを可溶化した後の残渣は、その主成分が水不溶性蛋白やセルロースであるが、酸処理や繊維質分解酵素処理の効果で消化性が向上しているので良好な飼料原料、堆肥原料等として使用することができるし、この残渣は、成形加工することで生分解性の園芸用ポットや緩衝材とすることも可能である点においても、本発明は、価値の高いものである。
Claims (4)
- ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶性糖類を得る方法において、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、及び(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程からなる3工程を順次行うことを特徴とするキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれる1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
- ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶性糖類を得る方法において、(1)ヘミセルロースを含む穀類外皮をpH1.0〜3.0の酸溶液に浸漬する工程、(2)該酸溶液に浸漬された穀類外皮を、固液分離して、穀類外皮を分離する工程、(3)分離したヘミセルロースを含む穀類外皮を、120〜150℃の温度で湿式加熱処理して、ヘミセルロースを可溶化する工程、及び(4)加水分解生成物を繊維質分解酵素処理する工程からなる4工程を順次行うことを特徴とするキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれる1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
- 酸がシュウ酸、塩酸又は硫酸である請求項1又は請求項2記載のキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
- 穀類が小麦、コーン、大豆又は米である請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のキシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
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