JP4270073B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の空燃比制御装置に係り、特に、車載用内燃機関の空燃比を制御する装置として好適な空燃比制御装置に関する。
従来、例えば特開平7−197837号公報に開示されているように、内燃機関の排気通路に2つの排気ガスセンサを備える内燃機関が知られている。この内燃機関は、排気通路に配置された触媒の上流に空燃比センサ(空燃比に対してリニアな特性を示すセンサ)を備え、その触媒の下流にO2センサ(空燃比に対していわゆるZ特性を示すセンサ)を備えている。
上記従来の内燃機関では、上流側の空燃比センサの出力に基づいてメインのフィードバック制御が実行され、一方、下流側のO2センサの出力に基づいてサブのフィードバック制御が実行される。メインフィードバック制御では、触媒に流入する排気ガスの空燃比が制御目標空燃比と一致するように燃料噴射量の制御が行われる。また、サブフィードバック制御では、触媒の下流に流出してくる排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、より具体的には、触媒の下流に配置されたO2センサの出力がストイキ出力となるように、メインフィードバック制御の内容が修正される。これらの制御によれば、触媒の下流における空燃比を制度良く理論空燃比の近傍値に維持して、優れたエミッション特性を実現することができる。
より詳細に説明すると、上記従来の内燃機関において実行されるサブフィードバック制御では、メインフィードバック制御の内容を修正するための補正量ΔVA/FをPID制御によって、以下のように算出することとしている。
ΔVA/F=KP・ΔVO2+KI・(SUMΔVO2)+KD・(dΔVO2)
但し、上記の式において、ΔVO2は下流側O2センサの出力VO2と基準出力VO2sとの出力偏差(ΔVO2=VO2−VO2s)、SUMΔVO2は上記出力偏差ΔVO2の積算値、dΔVO2は上記出力偏差ΔVO2の微分値、また、KP、KI、KDはそれぞれ比例項ゲイン、積分項ゲイン、微分項ゲインである。
特開平7−197837号公報 特開平8−177568号公報 特開昭52−144536号公報
ところで、内燃機関では、運転状態や触媒の特性等に応じて、触媒下流の空燃比を、意図的に理論空燃比に対してリッチ側或いはリーン側に少しだけ偏った空燃比に制御することが望ましい場合がある。このような場合に、上記従来の技術のようにサブフィードバック制御を実行する内燃機関では、上記比例項ゲインKPの値を、リッチ側とリーン側とで異なる値に変更する手法が用いられてきた。上記従来技術の構成がP制御のみであれば、この手法によって狙いの偏りを持たせた空燃比に制御することができる。
しかしながら、P制御に加えてI制御が行われると、制御目標空燃比とのずれ(O2センサの出力偏差ΔVO2)が積分項KI・(SUMΔVO2)に蓄積されることとなる。その結果、過渡的には、I制御に比して応答速度の速いP制御のゲイン変更によって、制御目標空燃比をリッチ側またはリーン側の何れか一方に偏らせることができるが、定常的には、P制御による(すなわち、上記比例項ゲインKPの設定による)空燃比の偏りをI制御が打ち消すように作用することで、触媒下流の空燃比を狙いの空燃比に偏らせることができなくなる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、P制御による意図的な空燃比の偏りがI制御によって打ち消されるのを抑制しつつ、触媒下流の空燃比を理論空燃比に対して所望の偏りを持たせた空燃比に制御し得る内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気通路に配置される触媒と、
前記触媒の上流に配置される上流側排気ガスセンサと、
前記触媒の下流に配置される下流側排気ガスセンサと、
前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒上流の空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するメインフィードバック手段と、
前記下流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒下流の空燃比が理論空燃比となるように、前記メインフィードバック手段による前記補正に修正を施すサブフィードバック手段とを備え、
前記サブフィードバック手段は、
前記下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合には、前記下流側排気ガスセンサの出力とその出力の目標値との出力偏差にリッチ時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合には、前記出力偏差にリーン時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、かつ、前記リーン時比例項ゲインを前記リッチ時比例項ゲインより大きく設定する比例項算出手段と、
前記出力偏差に積算ゲインを乗じた値を所定の処理サイクル毎に積算する積算処理によって出力偏差積算値を算出し、当該出力偏差積算値に比例する積分項を算出する積分項算出手段とを含み、
前記積分項算出手段は、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合に用いる前記積算ゲインを、当該下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合に用いる前記積算ゲインに比して大きく設定することを特徴とする。
第2の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気通路に配置される触媒と、
前記触媒の上流に配置される上流側排気ガスセンサと、
前記触媒の下流に配置される下流側排気ガスセンサと、
前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒上流の空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するメインフィードバック手段と、
前記下流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒下流の空燃比が理論空燃比となるように、前記メインフィードバック手段による前記補正に修正を施すサブフィードバック手段とを備え、
前記サブフィードバック手段は、
前記下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合には、前記下流側排気ガスセンサの出力とその出力の目標値との出力偏差にリッチ時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合には、前記出力偏差にリーン時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、かつ、前記リッチ時比例項ゲインを前記リーン時比例項ゲインより大きく設定する比例項算出手段と、
前記出力偏差に積算ゲインを乗じた値を所定の処理サイクル毎に積算する積算処理によって出力偏差積算値を算出し、当該出力偏差積算値に比例する積分項を算出する積分項算出手段とを含み、
前記積分項算出手段は、前記下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合に用いる前記積算ゲインを、当該下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合に用いる前記積算ゲインに比して大きく設定することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記積分項算出手段は、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合に用いる前記積算ゲインと当該下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合に用いる前記積算ゲインとの比が、前記リーン時比例項ゲインと前記リッチ時比例項ゲインとの比と対応するように前記積算ゲインを設定することを特徴とする。
第1の発明によれば、比例項算出手段の作用によって、下流側排気ガスセンサの出力が、リーン出力に比してリッチ出力に長くなるように制御される。また、本発明によれば、積分項算出手段による積算処理を行う際に、下流側排気ガスセンサがリッチ出力を示している場合に算出される出力偏差積算値の処理サイクル毎の変化率に比して、下流側排気ガスセンサがリーン出力を示している場合に算出される出力偏差積算値の処理サイクル毎の変化率が大きくなるように制御される。このため、積分項の値が負の方向に大きく推移するのが抑制される。このため、本発明によれば、制御による意図的な空燃比の偏りがI制御によって打ち消されるのを効果的に抑制しつつ、触媒下流の空燃比を本来意図したリッチ空燃比に精度良く制御することが可能となる。
第2の発明によれば、比例項算出手段の作用によって、下流側排気ガスセンサの出力が、リッチ出力に比してリーン出力に長くなるように制御される。また、本発明によれば、積分項算出手段による積算処理を行う際に、下流側排気ガスセンサがリーン出力を示している場合に算出される出力偏差積算値の処理サイクル毎の変化率に比して、下流側排気ガスセンサがリッチ出力を示している場合に算出される出力偏差積算値の処理サイクル毎の変化率が大きくなるように制御される。このため、積分項の値が正の方向に大きく推移するのが抑制される。このため、本発明によれば、制御による意図的な空燃比の偏りがI制御によって打ち消されるのを効果的に抑制しつつ、触媒下流の空燃比を本来意図したリーン空燃比に精度良く制御することが可能となる。
第3の発明によれば、積分項の値が正または負の一方の方向に大きくずれていくのを阻止することができる。このため、本発明によれば、制御による意図的な空燃比の偏りがI制御によって打ち消されることなく、触媒下流の空燃比を本来意図したリッチまたはリーン空燃比に極めて精度良く制御することが可能となる。
実施の形態1.
[実施の形態1の装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の空燃比制御装置の構成を説明するための図である。図1に示す通り、本実施形態の装置は、内燃機関の排気通路10に配置された上流触媒(S/C)12および下流触媒(U/F)14を備えている。上流触媒12および下流触媒14は、何れも、CO、HCおよびNOxを同時に浄化することのできる三元触媒である。
上流触媒12の上流および下流には、それぞれメイン空燃比センサ16、およびサブO2センサ18が配置されている。メイン空燃比センサ16は、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比A/Fに対してほぼリニアな出力を発するセンサである。一方、サブO2センサ18は、上流触媒12から流出してくる排気ガスが理論空燃比に対してリッチである場合にリッチ出力(例えば0.8V)を発生し、また、その排気ガスがリーンである場合にリーン出力(例えば0.2V)を発生するセンサである。
メイン空燃比センサ16の出力、およびサブO2センサ18の出力は、それぞれECU(Electronic Control Unit)20に供給されている。ECU20には、更に、エアフロメータ22、回転数センサ24、および燃料噴射弁26などが接続されている。エアフロメータ22は、内燃機関の吸入空気量Gaを検出するセンサである。回転数センサ24は機関回転数Neに応じた出力を発するセンサである。また、燃料噴射弁26は、内燃機関の吸気ポートに燃料を噴射するための電磁弁である。
[実施の形態1における空燃比制御]
図2は、本実施形態の空燃比制御装置において実行される空燃比制御の内容を説明するための制御ブロック図である。尚、図2において、Cat12は、図1に示す上流触媒12に対応している。また、図2におけるA/Fs16、およびVox18は、それぞれ図1に示すメイン空燃比センサ16、およびサブO2センサ18に対応している。また、図2におけるEng30は、図1に示すシステムが組み込まれる内燃機関の本体を意味するものとする。
本実施形態のシステムにおいて、メイン空燃比センサ16は、内燃機関30から流出し、上流触媒12へ流入する排気ガスの空燃比に対応する出力A/Fs[v]を発生する。この出力A/Fsは、具体的には、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比が大きいほど、つまり、その空燃比がリーンであるほど大きな値となる。
サブO2センサ18は、上流触媒12から下流触媒14へ向かって流通する排気ガス中の酸素濃度に応じた出力Vox[v]を発生する。サブO2センサ18の出力Vox[v]は、差分器32に供給される。差分器32では、その出力Voxとサブフィードバックの目標電圧Voxrefとの出力偏差Dvox=Voxref−Voxが算出される。そして、サブフィードバックコントローラ34は、上記の出力偏差Dvoxに対する「比例項Dvox・GainP」と、サブO2センサ18の出力変化量Dlvox(=前回の出力Vox(i−1)−今回のVox(i))に対する「微分項Dlvox・GainD」とを算出する。また、サブフィードバックコントローラ34は、上記の出力偏差Dvoxに対する「積分項Sumvox・GainI」を算出する。より具体的には、積分項Sumvox・GainIにおける出力偏差積算値Sumvoxは、今回の出力偏差Dvoxに後述する積算ゲインKgainを乗じた値に、前回の出力偏差積算値Sumvox(i−1)を加えることにより、Sumvox(i)=Sumvox(i−1)+(Dvox・Kgain)として算出される。
サブフィードバックコントローラ34は、上記各項の和「Dvox・GainP+Dlvox・GainD+Sumvox・GainI」を、サブフィードバック補正量Vsfb[v]として算出する。このサブフィードバック補正量Vsfbは、加算器36において、メイン空燃比センサ16の出力A/Fsに加算される。
図2に示す制御ブロックには、サブフィードバックコントローラ34と加算器36との間にローパスフィルタ38と、積算器40が挿入されている。ローパスフィルタ38は、サブフィードバックコントローラ34により算出される積分項Sumvox・GainIに生ずる変化分を取り出すためのブロックである。また、積算器40は、その変化分を積算してサブフィードバック学習値SFBGとして記憶するためのブロックである。加算器36は、このサブフィードバック学習値SFBGを、出力A/Fsおよびサブフィードバック補正量Vsfbに加えることにより補正電圧値Vfbを算出する。
また、この装置において、サブフィードバックコントローラ34は、ローパスフィルタ38により取り出された成分が積算器40においてサブフィードバック学習値SFBGに取り込まれる際には、そこで取り込まれるのと同じ値を積分項Sumvox・GainIから減ずることとしている。これらの処理によれば、積分項Sumvox・GainI自体は基準の値の近傍に維持しながら、積分項Sumvox・GainIに生ずる増減分を学習値SFBGとして取り出して加算器36に供給することができる。
補正電圧値Vfbは、電圧−空燃比変換器42に供給される。電圧−空燃比変換器42は、電圧−空燃比変換マップを記憶しており、そのマップに従って、補正電圧値Vfbに対応する補正空燃比eabyfを決定する。電圧−空燃比変換器42の処理によれば、より具体的には、補正電圧値Vfbが大きな値であるほど、補正空燃比eabyfは大きな値、つまり、リーンな値に決定される。
ECU20は、上記の如く決定された補正空燃比eabyfを基礎としてメインフィードバック制御を実行する。メインフィードバック制御によれば、具体的には、上述した補正空燃比eabyfと目標空燃比(理論空燃比)との偏差が消滅するように、ベースの燃料噴射量に増減補正が施される。その結果、最終的な燃料噴射量は、補正空燃比eabyfが理論空燃比に変化するように決定されることになる。尚、メインフィードバック制御の内容は、本発明の主要部ではなく、また、既に公知の事項であるため、ここでは、これ以上の説明は省略することとする。以下、出力A/Fsにサブフィードバック補正量Vsfbおよびサブフィードバック学習値SFBGを反映させることによって、メインフィードバック制御の内容を修正することを「サブフィードバック制御」と称することとする。
[サブフィードバック補正量Vsfbの特性、およびサブフィードバック学習]
次に、補正電圧値Vfbの特性について、より具体的には、サブフィードバック補正量Vsfbの特性について説明する。補正電圧値Vfbは、上述した通り、メイン空燃比センサ16の出力A/Fsに、サブフィードバック補正量Vsfb=Dvox・GainP+Dlvox・GainD+Sumvox・GainI、およびサブフィードバック学習値SFBGを加えたものである。以下、サブフィードバック補正量Vsfbの右辺各項の特性、およびサブフィードバック学習について具体的に説明する。
(1)「比例項Dvox・GainP」および「微分項Dlvox・GainD」の特性
ここでは、説明の便宜上、先ず、補正電圧値Vfbが、実現するべき空燃比、すなわち、理論空燃比に比して過大な値であった場合を想定する。
電圧−空燃比変換器42は、既述した通り、補正電圧値Vfbに基づいて補正空燃比eabyfを決定する。そして、補正電圧値Vfbが理論空燃比に対して過大な値である場合は、補正空燃比eabyfが理論空燃比に比してリーンな値に決定される。この場合、メインフィードバック制御では、その補正空燃比eabyfを理論空燃比とするための燃料噴射量補正が行われる。その結果、上流触媒12に流れ込む排気ガスの空燃比は、理論空燃比に比してリッチ側に偏った値に制御されることになる。上流触媒12に流れ込む排気ガスの空燃比がリッチ側に偏っている場合は、上流触媒12の下流に流出する排気ガスの空燃比もリッチ側に偏ったものとなる。
サブO2センサ18は、上流触媒12から流出してくる排気ガスの空燃比が理論空燃比の近傍で変化する場合に、0.8[v]程度のリッチ側上限値と、0.2[v]程度のリーン側下限値との間で、その出力Voxを敏感に変化させる。このため、上流触媒12に流れ込む排気ガスの空燃比がリッチ側にずれていれば、サブO2センサ18の出力Voxは、そのずれの影響を検知した時点で、リッチ側上限値(0.8[v])に向かって急変する。
差分器32では、上述したリッチ側上限値(0.8[v])とリーン側下限値(0.2[v])の中央値(0.5[v])がサブフィードバックの目標電圧Voxrefとして用いられる。このため、差分器32により算出される出力偏差Dvoxは、サブO2センサ18の出力Voxがリッチ側(0.8[v]側)にずれている場合は、負の符号を有する値となる。そして、この場合は、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる比例項Dvox・GainPが、サブO2センサ18の出力Voxのリッチずれ量に比例し、かつ、負の符号を有する値となる。また、同じくVsfbに含まれる微分項Dlvox・GainDが、出力Voxの急変の程度に応じた大きさを有し、かつ、負の符号を有する値となる。
これらの比例項Dvox・GainPおよび微分項Dlvox・GainDは、上記の如く、加算器36においてメイン空燃比センサ16の出力A/Fsに加算されることにより、補正電圧値Vfbの基礎とされる。そして、比例項Dvox・GainPおよび微分項Dlvox・GainDがともに負の値であれば、補正電圧値Vfbは小さな値に修正される。より具体的には、補正電圧値Vfbは、上流触媒12の下流におけるリッチずれが消滅するように、適正な値に減量される。
補正電圧値Vfbが上記の如く減量されると、補正空燃比eabyfは、その減量分だけ小さな値とされ、その結果、理論空燃比に対応する値となる。そして、その変更後の補正空燃比eabyfに基づいてメインフィードバック制御が実行されると、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比は、そこから流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、適当にリーン化される。
上述した説明は、補正電圧値Vfbが、理論空燃比に比して過大である場合を前提としているが、サブフィードバック補正量Vsfbが排気空燃比を理論空燃比の近傍値に修正する機能は、補正電圧値Vfbが理論空燃比に比して過小である場合にも同様に生ずる。すなわち、この場合は、先ず、上流触媒12の下流における排気空燃比がリーンな値に制御される。その影響が上流触媒12の下流に表れると、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる比例項Dvox・GainPおよび微分項Dlvox・GainDは、ともに、そのリーンずれを打ち消す大きさを有し、かつ、正の符号を有する値となる。
比例項Dvox・GainPおよび微分項Dlvox・GainDがともに正の値であれば、補正電圧値Vfbは、より大きな値に修正される。補正電圧値Vfbが大きな値に修正されると、補正空燃比eabyfも大きな値に変更される。そして、その変更後の補正空燃比eabyfに基づいてメインフィードバック制御が実行されると、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比は、そこから流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、適当にリッチ化される。
以上説明した通り、比例項Dvox・GainPおよび微分項Dlvox・GainDを含むサブフィードバック補正量Vsfbを用いたサブフィードバック制御によれば、上流触媒12の下流における排気空燃比を理論空燃比に一致させることができる。より具体的には、比例項Dvox・GainPによれば、上記の出力偏差Dvoxの大小を直接的に補正電圧値Vfbの修正に反映させることができる。また、微分項Dlvox・GainDによれば、上記の出力変化量Dlvoxの傾向を打ち消す方向に補正電圧値Vfbを修正することができる。
つまり、比例項Dvox・GainPおよび微分項Dlvox・GainDを含むサブフィードバック補正量Vsfbを用いたサブフィードバック制御によれば、上流触媒12の下流における排気空燃比が理論空燃比からずれている場合、およびずれようとした場合に、そのずれを消滅させる方向に、また、その変化を打ち消す方向に、補正電圧値Vfbを迅速に修正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、メインフィードバック制御の実行中において、上流触媒12の下流における空燃比を、精度良く理論空燃比の近傍値に維持することができる。
(2)「積分項Sumvox・GainI」の特性
次に、補正電圧値Vfbの変動中心が理論空燃比に比して過大な方向にシフトしていた場合を想定する。補正電圧値Vfbの変動中心が理論空燃比に対して過大な値にシフトしていた場合は、メインフィードバック制御の機能により、上流触媒12の上流における排気空燃比の変動中心がリッチに偏った値となる。そして、この場合は、上流触媒12の下流における排気空燃比の変動中心も、やはりリッチに偏った値となる。反対に、補正電圧値Vfbが、理論空燃比に比して過小な方向にシフトしている場合は、上流触媒12の下流における排気空燃比の変動中心が、リーンに偏った値となる。
このため、上流触媒12から流出してくる排気ガスの空燃比がリッチに偏っている場合は、サブO2センサ18の出力Voxもリッチ側(0.8[v]側)に偏った値となり、一方、その空燃比がリーンに偏っている場合は、その出力Voxもリーン側(0.2[v]側)に偏った値となる。サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる積分項Sumvox・GainIは、上記の出力偏差Dvoxに基づく出力偏差積算値Sumvoxに所定の積分項ゲインGainIを乗じたものであるから、上流触媒12の下流における排気空燃比の変動中心(以下、「下流空燃比変動中心」と称す)がリッチ側に偏っている場合には負の値となり、一方、その下流空燃比変動中心がリーン側に偏っている場合には正の値となる。そして、積分項Sumvox・GainIの絶対値は、その下流空燃比変動中心の理論空燃比からのずれ量に対応した値となる。
(下流空燃比変動中心にリッチずれが生じている場合)
サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる積分項Sumvox・GainIは、加算器36においてメイン空燃比センサ16の出力A/Fsに加算されて補正電圧値Vfbの基礎とされる。そして、下流空燃比変動中心がリッチ側に偏っており、積分項Sumvox・GainIが負の値を示している場合は、補正電圧値Vfbが小さな値に修正される。より具体的には、この場合、補正電圧値Vfbは、下流空燃比変動中心のリッチずれが消滅するように適正に減量される。
補正電圧値Vfbが上記の如く減量されると、補正空燃比eabyfは、その減量分だけ小さな値とされる(リッチ化される)。そして、その変更後の補正空燃比eabyfに基づいてメインフィードバック制御が実行されることにより、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比がリーン方向に修正される。上流触媒12に流れ込む排気ガスの空燃比がリーン方向に修正されると、上流触媒12から流出する排気ガスの空燃比も当然にリーン方向にシフトする。その結果、下流空燃比変動中心のリッチずれが解消される。
(下流空燃比変動中心にリーンずれが生じている場合)
一方、下流空燃比変動中心にリーンずれが生じており、その結果、積分項Sumvox・GainIが正の値を示している場合は、加算器36において、補正電圧値Vfbが大きな値に修正される。つまり、補正電圧値Vfbが、下流空燃比変動中心のリーンずれが消滅する程度に、適度に増量される。補正電圧値Vfbが上記の如く増量されると、補正空燃比eabyfは、その増量分だけ大きな値とされる(リーン化される)。そして、その変更後の補正空燃比eabyfに基づいてメインフィードバック制御が実行されると、上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比がリッチ方向の修正され、その結果、下流空燃比変動中心のリーンずれが解消される。
(「積分項Sumvox・GainI」を用いる効果)
サブO2センサ18の出力Voxを基礎とする積分項Sumvox・GainIは、サブO2センサ18の出力Voxが瞬間値としてどのような値を示しているかによらず、上流触媒12の下流における排気空燃比が、理論空燃比に対してどのような偏りを有しているかを表している。このため、積分項Sumvox・GainIを含むサブフィードバック補正量Vsfbを用いたサブフィードバック制御によれば、上流触媒12から流出してくる排気ガスの瞬間的な空燃比に影響されることなく、その空燃比の変動中心を理論空燃比に収束させるための補正を実現することができる。
(3)サブフィードバック学習の説明
以上説明したサブフィードバック補正量Vsfbは、上流触媒12の下流における排気空燃比をストイキとするための上流触媒12に流入する排気ガスの空燃比と、現実の上流空燃比とのずれに対応する値である。そして、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる積分項Sumvox・GainIの平均値は、空燃比制御に内在している恒常的なずれ(内燃機関30の個体差や経時変化に起因するずれ)に対応している。
積分項Sumvox・GainIのうち、その平均値をサブフィードバック学習値SFBGに移し替えることとすれば、システムに内在している恒常的なずれはサブフィードバック学習値SFBGにより相殺することができる。この場合、積分項Sumvox・GainIの役割は、種々の原因により生ずる一時的なずれを吸収することのみとなる。積分項Sumvox・GainIが、システム内の恒常的なずれの吸収をも担うものである場合は、その収束に長い時間が必要となる。これに対して、その役割が一時的なずれの吸収のみであれば、その収束に要する時間を十分に短縮することができる。このため、積分項Sumvox・GainIの一部をサブフィードバック学習値SFBGに移し替えることは、制御の収束時間を短縮するうえで極めて有用である。
[実施の形態1の特徴]
次に、図3および図4を参照して、本発明の実施の形態1の特徴について説明する。
内燃機関30では、運転状態や触媒の特性等に応じて、上流触媒12の下流に流出してくる排気ガスの空燃比を、意図的に理論空燃比に対してリッチ側或いはリーン側に少しだけ偏った空燃比に制御する、すなわち、サブO2センサ18の出力をリッチ側或いはリーン側に少しだけ偏った出力に制御することが望ましい場合がある。以下、本明細書中では、理論空燃比に対してリッチ側に偏った空燃比に制御することを、「リッチ寄せ」と称し、同様にリッチ側に偏った空燃比に制御することを、「リーン寄せ」と称することがある。ここでは、リッチ寄せを例にとって説明を進めるものとする。
(従来のリッチ寄せ制御)
先ず、図3を参照して、従来の空燃比制御装置で行われているリッチ寄せの手法、およびその手法がもたらす弊害について説明する。尚、ここでいう従来の空燃比制御装置では、上述した本実施形態の装置と同様に、P制御およびI制御を含むサブフィードバック制御が行われているものとする。図3(A)は、サブO2センサ18の出力Voxの波形を示し、図3(B)は、図3(A)のサブO2センサ18の出力voxに対応した積分値、すなわち、積分項Sumvox・GainIの波形を示している。
上記従来の装置は、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる比例項ゲインGainPをリッチ側とリーン側とで異なるものに設定することで、狙いのリッチ寄せ制御を行うこととしている。図3(A)は、比例項ゲインGainPがそのようなゲインに設定されることにより、サブO2出力Voxがリーン側に比してリッチ側により長く維持されている様子を示している。より具体的には、上記従来の手法では、サブO2センサ18がリッチ出力を発している場合に用いるリッチ時比例項ゲインGainPrに比して、サブO2センサ18がリーン出力を発している場合に用いるリーン時比例項ゲインGainPlを大きく設定している。このような設定によれば、サブO2出力Voxがリーン出力を示している場合に、P制御がそのリーンずれを打ち消す作用に対して、サブO2出力Voxがリッチ出力を示している場合に、P制御がそのリッチずれを打ち消す作用を弱くすることができる。従って、上記従来の手法によれば、図3(A)に示すように、サブO2出力Voxは、リーン側に比してリッチ側により長く維持されることとなる。
上記従来の装置では、上記の如く、P制御に加え、I制御を含むサブフィードバック制御が行われている。このため、サブO2出力Voxがリーン側に比してリッチ側により長く維持された場合に、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる積分項Sumvox・GainIにおいて、出力偏差Dvoxが処理サイクル毎に単純に積算されていくと、出力偏差積算値Sumvoxの波形、すなわち、その出力偏差積算値Sumvoxに一定の積分項ゲインGainIを乗じた積分項Sumvox・GainIの波形は、図3(B)に示すような曲線のようになる。これは、サブO2出力Voxがリーン出力を発している場合には、出力偏差Dvoxが正であるため、出力偏差積算値Sumvoxが増加傾向となり、一方、サブO2出力Voxがリッチ出力を発している場合には、出力偏差Dvoxが負であるため、出力偏差積算値Sumvoxが減少傾向となることに起因する。
上記のように、サブO2出力Voxがリーン側に比してリッチ側により長く維持されると、図3(B)に示すように、積分項Sumvox・GainIの値が負の方向に大きく推移してしまい、その結果、積分項Sumvox・GainIとしては、リーン補正を強く促すこととなる。つまり、上記従来の手法によれば、比例項ゲインGainPをリッチ側とリーン側と異ならせることで、過渡的には、I制御に比して応答速度の速いP制御のゲイン変更によってリッチ寄せを実現できるが、出力偏差Dvoxが積分項Sumvox・GainIに蓄積されるため、定常的には、I制御の作用によってP制御の作用によるリッチ寄せが打ち消されてしまう。また、従来の装置が本実施形態の装置のようなサブフィードバック学習処理を行っている場合には、図3(B)に示すように、大きく負の方向に推移した積分項Sumvox・GainIの値が結果的に学習値SFBGに取り込まれる(リーン補正として学習される)ことによって、サブフィードバック制御が停止している際に、却ってリーン寄せに制御されてしまうことが起こり得る。
尚、従来の手法によってリッチ寄せが行われた場合には、上記の如く、I制御の作用によってリッチ寄せが打ち消されるようにサブO2出力Voxが修正される。このため、積分項Sumvox・GainIが負の方向に推移していく状況下において、サブO2出力Voxは、現実には、リッチに維持される時間(以下、「リッチ維持時間」と称する)とリーンに維持される時間(以下、「リーン維持時間」と称する)との比が図3(A)に示すように一定の間隔のままで反転を繰り返すことはなく、やがてはリッチ維持時間とリーン維持時間とが等しくなるように制御されることとなる。しかし、ここでは、従来の手法によるリッチ寄せが行われた場合の積分項Sumvox・GainIが示す変化を分かり易く説明するために、図3(A)では、リッチ維持時間とリーン維持時間との比が一定のままで推移するように図示している。
(本実施形態のリッチ寄せ制御)
図4は、本実施形態で用いられるリッチ寄せ制御による効果を説明するための図である。より具体的には、図4(A)は、サブO2センサ18の出力Voxの波形を示し、図4(B)は、図4(A)のサブO2センサ18の出力voxに対応した積分値、すなわち、積分項Sumvox・GainIの波形を示している。本実施形態で用いられるリッチ寄せ制御の手法においても、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる比例項ゲインGainPを、リッチ時比例項ゲインGainPr<リーン時比例項ゲインGainPlが満たされるように設定することで、リッチ寄せ制御を行うものとしている。
このようなリッチ寄せ制御が実行されている際に、上述した従来の手法のように、サブO2出力Voxがリッチ出力を示しているかリーン出力を示しているかに関わらず、処理サイクル毎の出力偏差Dvox(i)を同じ重みで単純に前回の出力偏差積算値Sumvox(i−1)に積算することとすると、リッチ維持時間とリーン維持時間とが異なるため、積分項Sumvox・GainIが負の値に大きくずれてしまう(図3(B)参照)。そこで、本実施形態の手法では、リッチ寄せ制御時に出力偏差積分値Sumvoxが負の値に大きく推移するのを阻止すべく、出力偏差積算値Sumvoxの積算処理を行う際に、サブO2出力Voxがリッチ出力を示している場合に算出する出力偏差積算値Sumvoxの処理サイクル毎の変化率に対して、サブO2出力Voxがリーン出力を示している場合に算出する出力偏差積算値Sumvoxの処理サイクル毎の変化率を大きくさせることとした。以下、その手法を具体的に説明する。
既述した通り、本実施形態では、出力偏差積算値Sumvoxを、Sumvox=Sumvox(i−1)+Dvox・Kgainとして、出力偏差Dvoxを単純に積算するのではなく、以下のように設定された積算ゲインKgainを出力偏差Dvoxに乗ずることとしている。この積算ゲインKgainは、図4(B)における積分項Sumvox・GainIの曲線の傾き(すなわち、出力偏差積算値Sumvoxの変化率)を支配する因子である。
そこで、本実施形態では、積算ゲインKgainの値を、サブO2出力Voxがリッチ出力を示している場合に用いる積算ゲインKgainより、サブO2出力Voxがリーン出力を示している場合に用いる積算ゲインKgainを大きく設定することとした。このような設定によれば、サブO2出力Voxがリッチ出力を示している場合に算出される出力偏差積算値Sumvoxの処理サイクル毎の変化率に比して、サブO2出力Voxがリーン出力を示している場合に算出される出力偏差積算値Sumvoxの処理サイクル毎の変化率を大きくすることができ、積分項Sumvox・GainIが負の方向に大きく推移するのを抑制することができる。更に、本実施形態では、積分項Sumvox・GainIが一方向(ここでは、リッチ寄せなので負の方向)にずれるのを確実に阻止すべく、積算ゲインKgainを次のように設定している。
比例項ゲインGainPが、上記の如く、リッチ時比例項ゲインGainPr<リーン時比例項ゲインGainPlとなるように設定されていると、サブO2出力Voxにリッチずれが生じている場合には、リーンずれが生じている場合に比して、そのずれがより緩やかに打ち消される。つまり、このような比例項ゲインGainPの作用によって、図4(A)に示すように、リッチ維持時間は、リーン維持時間より長くなる。従って、リッチ維持時間とリーン維持時間との比は、以下の(1)式に示すように、リーン時比例項ゲインGainPlとリッチ時比例項ゲインGainPrとの比として置き換えて表現することができる。
リッチ維持時間:リーン維持時間=GainPl:GainPr ・・・(1)
積算ゲインKgainは、上記の如く、図4(B)における積分項Sumvox・GainIの曲線の傾きを支配する因子である。このため、積算ゲインKgainに、上記(1)式の関係に設定されたリッチ維持時間およびリーン維持時間をそれぞれ乗ずることとすると、それらの積は、リッチ維持時間中の出力偏差積算値Sumvoxの変化量とリーン維持時間中の出力偏差積算値Sumvoxの変化量との比を意味するものとなる。
そこで、本実施形態では、リッチ出力の場合に用いる積算ゲインKgainとリーン出力の場合に用いる積算ゲインKgainとの比を、以下の(2)式に示すように、リッチ維持時間とリーン維持時間との比(GainPl:GainPr)に対して逆数の関係となる比に設定している。
Kgain(リッチ):Kgain(リーン)=(1/GainPl):(1/GainPr)
=GainPr:GainPl ・・・(2)
上記(2)式により定められた積算ゲインKgainによれば、リッチ維持時間中の出力偏差積算値Sumvoxの変化量とリーン維持時間中の出力偏差積算値Sumvoxの変化量とを一致させることができる。つまり、この積算ゲインKgainの設定によれば、ある一定の振幅で、積分項Sumvox・GainIの値が図4(B)に示すように正負の間で変動することとなり、積分項Sumvox・GainIの値が負の方向に大きくずれていくのを確実に阻止することができる。また、この際、積算の初期段階において、出力偏差積算値Sumvoxの変動中心がゼロに対してずれていることがあっても、その変動中心のずれはサブフィードバック学習値SFBGに取り込まれることとなる。その結果、積分項Sumvox・GainIの値は、定常的には、確実にゼロに収束される。このため、本実施形態のリッチ寄せ制御の手法によれば、I制御の作用によって打ち消されることなく、P制御によるリッチ寄せを実現することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
図5は、上記の機能を実現するべく、本実施形態においてECU20が実行するルーチンのフローチャートである。尚、本ルーチンは、例えば、一定のクランク毎などの所定の処理サイクル毎に周期的に実行されるものである。図5に示すルーチンでは、先ず、サブO2センサ18の出力偏差Dvoxが算出される(ステップ100)。出力偏差Dvoxは、サブフィードバックの目標電圧VoxrefからサブO2センサ18の出力Voxを減じることによりDvox=Voxref−Voxとして算出される。
次に、サブO2センサ18の出力変化量Dlvoxが算出される(ステップ102)。出力変化量Dlvoxは、前回の処理サイクルの出力Vox(i−1)から今回の処理サイクルの出力Vox(i)を減ずることによりDlvox=Vox(i−1)−Vox(i)として算出される。
次に、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる比例項(P項)ゲインGainP、すなわち、リッチ時比例項ゲインGainPrおよびリーン時比例項ゲインGainPlが読み込まれる(ステップ104)。ECU20は、上述したリッチ寄せを可能とするため、リッチ時比例項ゲインGainPr<リーン時比例項ゲインGainPlとなるように設定されたゲインを記憶している。次いで、サブフィードバック補正量Vsfbに含まれる積分項(I項)ゲインGainIの読み込み(ステップ106)、微分項(D項)ゲインGainDの読み込み(ステップ108)がそれぞれ実行される。
次に、リーン出力中(目標電圧Voxref>出力Vox)か否かが判別される(ステップ110)。その結果、目標電圧Voxref>出力Voxが成立しない、すなわち、サブO2センサ18がリッチ出力を発していると判断された場合には、今回の処理サイクルで用いる積算ゲイン(P項ゲイン比率)Kgainが算出される(ステップ112)。ECU20は、上記(2)式の関係を満たすように設定された積算ゲインKgainを記憶している。すなわち、本ステップ112では、ECU20が記憶している積算ゲインKgainを参照し、サブO2センサ18がリッチ出力を発している場合に用いる積算ゲインKgainとして、Kgain=1.0に設定される。次いで、上記ステップ110の処理により、サブO2センサ18がリッチ出力を発していると判断された場合には、比例項ゲインGainPとしてリッチ時比例項ゲインGainPrが選択される(ステップ114)。
一方、上記ステップ110において、目標電圧Voxref>出力Voxが成立する、すなわち、サブO2センサ18がリーン出力を発していると判断された場合には、今回の処理サイクルで用いる積算ゲインKgainが、上記(2)式の関係に従って、Kgain=(GainPl/GainPr)として算出される(ステップ116)。次いで、上記ステップ110の処理により、サブO2センサ18がリーン出力を発していると判断された場合には、比例項ゲインGainPとしてリーン時比例項ゲインGainPlが選択される(ステップ118)。
次に、出力偏差Dvoxの積算処理が実行される(ステップ120)。具体的には、この積算処理によって、出力偏差積算値Sumvoxが、Sumvox=Sumvox(i−1)+(Dvox・Kgain)として算出される。次いで、以上の各処理により得られた要素を用いてサブフィードバック補正量Vsfbが算出される(ステップ122)。サブフィードバック補正量Vsfbは、比例項、積分項、および微分項の和として、すなわち、Vsfb=(Dvox・GainP)+(Sumvox・GainI)+(Dlvox・GainD)として算出される。
次に、上記ステップ122において算出されたサブフィードバック補正量Vsfbに基づいて、サブフィードバック学習処理が実行される(ステップ124)。具体的には、サブフィードバック学習処理では、上記ステップ122において算出された積分項Sumvox・GainIのローパス値を算出する処理が行われ、これにより、積分項Sumvox・GainIに生じた変化分が抽出される。そして、抽出されたローパス値(積分項Sumvox・GainIの変化分)を積算した値によって学習値SFBGを更新する処理、つまり、積分項Sumvox・GainIの定常的な値がSFBGに取り込まれ、その取り込まれた値だけ積分項Sumvox・GainIから減算または加算される。
以上の処理によれば、P制御によるリッチ寄せがI制御によって打ち消されることなく、上流触媒12の下流の空燃比を、本来意図したリッチ空燃比に極めて精度良く制御することが可能となる。また、以上の処理は、リッチ寄せの場合を示しているが、リーン寄せは、リッチ時比例項ゲインGainPr>リーン時比例項ゲインGainPlと設定する点を除き、上述したリッチ寄せと同様の手法により実現することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、上流触媒12の上流に配置されるセンサが空燃比センサとされ、また、上流触媒12の下流に配置されるセンサがO2センサとされているが、本発明において用いうるセンサは、これらの組み合わせに限定されるものではない。すなわち、それらのセンサは、何れも、空燃比センサ、O2センサ、NOxセンサ、HCセンサなど、フィードバック制御の基礎として排気ガスの特性を検出するセンサであれば、如何なるセンサであってもよい。また、上述した実施の形態1では、PID制御によるサブフィードバック制御を行うこととしているが、本発明はPI制御によるサブフィードバック制御においても当然に適用可能である。
尚、上述した実施の形態1においては、上流触媒12が前記第1の発明における「触媒」に、メイン空燃比センサ16が前記第1の発明における「上流側排気ガスセンサ」に、サブO2センサ18が前記第1の発明における「下流側排気ガスセンサ」に、それぞれ相当している。そして、ECU20が出力A/Fs、サブフィードバック補正量Vsfb、およびサブフィードバック学習値SFBGを基礎として算出した補正電圧値Vfbから得た補正空燃比eabyfを基礎としてメインフィードバック制御を実行することにより前記第1の発明における「メインフィードバック手段」が、ECU20が図5に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「サブフィードバック手段」が、ECU20が上記ステップ100、104、110〜114、および122の処理を実行することにより前記第1の発明における「比例項算出手段」が、ECU20が上記ステップ100、106、110〜122の処理を実行することにより前記第1の発明における「積分項算出手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1の空燃比制御装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の空燃比制御装置において実行される空燃比制御の内容を説明するための制御ブロック図である。 従来の空燃比制御装置で行われているリッチ寄せの手法、およびその手法がもたらす弊害を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いられるリッチ寄せ制御による効果を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 排気通路
12 上流触媒
16 メイン空燃比センサ
18 サブO2センサ
20 ECU(Electronic Control Unit)
30 内燃機関
32 差分器
34 サブフィードバックコントローラ
36 加算器
38 ローパスフィルタ
40 積算器
Vfb 補正電圧値
A/Fs メイン空燃比センサの出力
Vsfb サブフィードバック補正量
SFBG サブフィードバック学習値
Vox サブO2センサの出力
Voxref サブフィードバックの目標電圧
Dvox 出力偏差
Dlvox 出力変化量
Dvox・GainP サブO2センサの出力を基礎とする比例項
Dlvox・GainD サブO2センサの出力を基礎とする微分項
Sumvox・GainI サブO2センサの出力を基礎とする積分項
Sumvox 出力偏差積算値
Kgain 積算ゲイン
GainPr リッチ時比例項ゲイン
GainPl リーン時比例項ゲイン

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配置される触媒と、
    前記触媒の上流に配置される上流側排気ガスセンサと、
    前記触媒の下流に配置される下流側排気ガスセンサと、
    前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒上流の空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するメインフィードバック手段と、
    前記下流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒下流の空燃比が理論空燃比となるように、前記メインフィードバック手段による前記補正に修正を施すサブフィードバック手段とを備え、
    前記サブフィードバック手段は、
    前記下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合には、前記下流側排気ガスセンサの出力とその出力の目標値との出力偏差にリッチ時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合には、前記出力偏差にリーン時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、かつ、前記リーン時比例項ゲインを前記リッチ時比例項ゲインより大きく設定する比例項算出手段と、
    前記出力偏差に積算ゲインを乗じた値を所定の処理サイクル毎に積算する積算処理によって出力偏差積算値を算出し、当該出力偏差積算値に比例する積分項を算出する積分項算出手段とを含み、
    前記積分項算出手段は、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合に用いるリーン時積算ゲインを、当該下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合に用いるリッチ時積算ゲインに比して大きく設定し、かつ、前記リッチ時積算ゲインと前記リーン時積算ゲインとの比を、前記下流側排気ガスセンサの出力がリッチに維持されるリッチ維持時間と当該下流側排気ガスセンサの出力がリーンに維持されるリーン維持時間との比に対して逆数の関係となる比に設定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配置される触媒と、
    前記触媒の上流に配置される上流側排気ガスセンサと、
    前記触媒の下流に配置される下流側排気ガスセンサと、
    前記上流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒上流の空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するメインフィードバック手段と、
    前記下流側排気ガスセンサの出力に基づいて、前記触媒下流の空燃比が理論空燃比となるように、前記メインフィードバック手段による前記補正に修正を施すサブフィードバック手段とを備え、
    前記サブフィードバック手段は、
    前記下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合には、前記下流側排気ガスセンサの出力とその出力の目標値との出力偏差にリッチ時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、前記下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合には、前記出力偏差にリーン時比例項ゲインを乗じた値を比例項として算出し、かつ、前記リッチ時比例項ゲインを前記リーン時比例項ゲインより大きく設定する比例項算出手段と、
    前記出力偏差に積算ゲインを乗じた値を所定の処理サイクル毎に積算する積算処理によって出力偏差積算値を算出し、当該出力偏差積算値に比例する積分項を算出する積分項算出手段とを含み、
    前記積分項算出手段は、前記下流側排気ガスセンサがリッチ出力を発している場合に用いるリッチ時積算ゲインを、当該下流側排気ガスセンサがリーン出力を発している場合に用いるリーン時積算ゲインに比して大きく設定し、かつ、前記リッチ時積算ゲインと前記リーン時積算ゲインとの比を、前記下流側排気ガスセンサの出力がリッチに維持されるリッチ維持時間と当該下流側排気ガスセンサの出力がリーンに維持されるリーン維持時間との比に対して逆数の関係となる比に設定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記積分項算出手段は、前記リーン時積算ゲインと前リッチ時積算ゲインとの比が、前記リーン時比例項ゲインと前記リッチ時比例項ゲインとの比と対応するように前記リーン時積算ゲインおよび前記リッチ時積算ゲインを設定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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