JP4268572B2 - 等速ジョイント - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車の駆動力伝達部において、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結させる等速ジョイントに関する。
従来より、自動車の駆動力伝達部では、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結し回転力を各車軸へと伝達する等速ジョイントが用いられている。
この種の従来技術に係る等速ジョイントとして、例えば、非特許文献1には、継手軸(駆動シャフト及び被駆動シャフト)上において、継手中心の両側に等距離だけオフセットして配置されたアウタレースのボール溝中心とインナレースのボール溝中心とを有するツェッパ型等速ジョイントが開示されている。
このツェッパ型等速ジョイントでは、前記アウタレースのボール溝と前記インナレースのボール溝との相対的動作によって、保持器に保持された6個のボールが等速面又は継手軸間の二等分角面上に位置することにより、駆動接点が常に等速面上に維持されて等速性が確保されるとしている。
この場合、非特許文献1には、一般的に使用されるボール溝の断面(継手軸と直交する方向の断面)が楕円弧形状に形成され、前記楕円弧形状のボール溝におけるボールとの接触角度が30度〜45度に設定され、最も一般的に採用されている接触角度は45度であることが記載されている。
また、特許文献1には、外側継手部材、内側継手部材、8個のトルク伝達ボール及び保持器によって構成される固定型等速自在継手が開示され、前記外側継手部材のボール溝(トラック溝)の中心と内側継手部材のボール溝(トラック溝)の中心とが軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ボールトラックにおけるPCD隙間(外側継手部材のボール溝のピッチ円径と内側継手部材のボール溝のピッチ円径との差)を5〜50μmとすることが記載されている。
前記特許文献1では、PCD隙間を5〜50μmとすることにより、8個のトルク伝達ボールを備えた固定型等速自在継手において、高負荷時での耐久性の向上及び寿命ばらつきの安定化を実現することができる、としている。
さらに、特許文献1には、外側継手部材と保持器との間の径方向隙間を20〜100μmとし、前記保持器と内側継手部材との間の径方向隙間を20〜100μmとすることが記載されている。
なお、特許文献1では、8個のトルク伝達ボールを備えた等速自在継手と6個のトルク伝達ボールを備えた等速自在継手とではその基本構造が異なっており、前記PCD隙間の設定値もその構造に適した固有の値が存在すると記載されており、6個のトルク伝達ボールを備えた等速自在継手に関するPCD隙間等の設定値については、何ら開示乃至示唆されていない。
すなわち、この種の等速自在継手において、外側継手部材及び内側継手部材の相互に対向する一組のボール溝によって形成されるボールトラックに対するPCD(ピッチ円径)隙間をどのように設定するかは重要である。なぜならば、前記PCD隙間が小さすぎると、ボールをボールトラックに挿入する際のボールの組み付け作業が困難となり、また、ボールに対する拘束力が大きくなって前記ボールの円滑な転動動作が阻害されるからである。一方、PCD隙間が大きすぎると保持器の窓部とボールとの間で打音が発生したり、継手振動が増大するという問題があるからである。
特開平2002−323061号公報 チャールズ・イー・コーニー・ジュニア(Charles E. Cooney,Jr)編、「UNIVERSAL JOINT AND DRIVESHAFT DESIGN MANUAL ADVANCES IN ENGINEERING SERIES NO.7」、(米国)、第2版、THE SOCIETY OF AUTOMOTIVE ENGINEERS,INC. 1991年、p.145−149
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、6個のボールを備えた等速ジョイントにおいて、各種クリアランスやリテーナの保持窓のオフセット量を最適に設定することによってジョイント寿命に直結するアウタ側案内溝とボールとの間及びインナ側案内溝とボールとの間の面圧を低減して耐久性を向上させることが可能な等速ジョイントを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、相交わる2軸の一方に連結され、内径面を有すると共に軸方向に延在する複数の第1案内溝が形成され、一端部が開口するアウタ部材と、
前記2軸の他方に連結され、軸方向に延在し前記第1案内溝と同数の第2案内溝が形成されたインナリングと、
前記第1案内溝と前記第2案内溝との間で転動可能に配設され、トルクを伝達する6個のボールと、
前記各ボールを収納する保持窓が形成されたリテーナと、
を備える等速ジョイントにおいて、
前記第1案内溝のピッチ円径をアウタPCDとし、前記インナリングの第2案内溝のピッチ円径をインナPCDとした場合、前記アウタPCDと前記インナPCDとの差(アウタPCD−インナPCD)からなるPCDクリアランスが0〜100μmの範囲内で設定されることを特徴とする。
本発明によれば、PCDクリアランスが0μmよりも小さくなるとアウタ部材の孔部内に対するボールの組み付け性が悪化すると共にボールの円滑な転動動作が阻害され、耐久性が劣化するためである。一方、前記PCDクリアランスが100μmを超えると高負荷時にボールと第1及び第2案内溝との接触楕円が溝端である肩部からはみ出してしまい、面圧が増大すると共に肩部の欠けが発生して耐久性が劣化するからである。
この場合、前記アウタ部材の内径面におけるアウタ内球径と前記リテーナの外面におけるリテーナ外球径との差と、前記リテーナの内面におけるリテーナ内球径とインナリングの外面におけるインナ外球径との差とを加算することによって形成される球面クリアランス[(アウタ内球径)−(リテーナ外球径)]+[(リテーナ内球径)−(インナ外球径)]を、50〜200μmの範囲内で設定するとよい。
前記球面クリアランスが50μm未満であると、アウタ部材の内面とリテーナの外面との間及びインナリング外面とリテーナの内面との間の潤滑不良によって焼き付けが発生して悪影響を及ぼすからである。一方、前記球面クリアランスが200μmを超えるとアウタ部材及びインナリングとリテーナとの間で打音が発生して商品性に悪影響を及ぼすからである。
また、前記リテーナに形成された保持窓の窓幅中心を、前記リテーナの外面及び内面の球面中心から前記リテーナの軸方向に沿って20〜100μmの範囲内でオフセットした位置に設定するとよい。
リテーナの窓幅中心と球面中心とのオフセット量が20μmより小さくなるとボールに対する拘束力が不足して等速性を確保することが困難となり、100μmより大きくなると、拘束力が過大となってボールの円滑な転動動作が阻害されて耐久性が劣化するからである。
案内溝の肩部の欠けや摩耗等の発生を防止すると共に、ボールとの接触による案内溝に対する面圧を低減して耐久性を向上させることができる。
本発明に係る等速ジョイントについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、本実施の形態において、縦断面とは、第1及び第2軸の軸方向に沿った断面をいい、横断面とは、前記軸方向と直交する断面をいう。
図1において参照符号10は、本発明の実施の形態に係る等速ジョイントを示し、この等速ジョイント10は、第1軸12の一端部に一体的に連結されて開口部14を有する有底円筒状のアウタカップ(アウタ部材)16と、第2軸18の一端部に固着されてアウタカップ16の孔部内に収納されるインナ部材22とから基本的に構成される。
図1及び図3に示されるように、前記アウタカップ16の内壁には球面からなる内径面24を有し、前記内径面24には、軸方向に沿って延在し、軸心の回りにそれぞれ60度の間隔をおいて6本の第1案内溝26a〜26fが形成される。
前記アウタカップ16に形成され軸方向に沿った縦断面が曲線状からなる第1案内溝26a(26b〜26f)は、図2に示されるように、点Hを曲率中心としている。この場合、前記点Hは、内径面24の球面中心K(ボール28の中心点Oを結ぶ仮想面(ボール中心面)と継手軸27とが直交する交点)から軸方向に沿ってアウタカップ16の開口部14側に距離T1だけオフセットした位置に配置される。
前記アウタカップ16に形成された第1案内溝26a〜26fの横断面は、それぞれ、図4に示されるように、ボール28の中心Oを通る鉛直線L上に曲率中心Aを有する単一の円弧形状からなり、前記第1案内溝26a〜26fは、後述するボール28の外面と、図面上、1点Bで接触するように形成される。
なお、実際上、回転トルクを伝達する際に負荷が付与された時には、ボール28の外面と第1案内溝26a〜26fとは点接触ではなく、面接触する。
前記横断面における第1案内溝26a〜26fの両側には前記内径面24が連続して形成され、前記第1案内溝26a〜26fと端部と内径面24との境界部分には面取りされた一組の第1肩部30a、30bが形成される。
前記アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fに対するボール28の接触角度は、鉛直線Lを基準として零度に設定されている。また、前記第1案内溝26a〜26fの横断面における溝半径Mとボール28の直径Nとの比(M/N)は、0.51〜0.55に設定されるとよい(図4参照)。
インナ部材22は、外径面35の周方向に沿って前記第1案内溝26a〜26fに対応する複数の第2案内溝32a〜32fが形成されたインナリング34と、前記アウタカップ16の内壁面に形成された第1案内溝26a〜26fと前記インナリング34の外径面35(図4参照)に形成された第2案内溝32a〜32fとの間で転動可能に配設され、回転トルク伝達機能を営む6個のボール28と、前記ボール28を保持する6個の保持窓36が周方向に沿って形成されアウタカップ16と前記インナリング34との間に介装されたリテーナ38とを有する。
前記インナリング34は、中心に形成された孔部を介して第2軸18の端部にスプライン嵌合され、あるいは第2軸18の環状溝に装着されるリング状の係止部材40を介して第2軸18の端部に一体的に固定される。該インナリング34の外径面35には、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fに対応して配置され、周方向に沿って等角度離間する複数の第2案内溝32a〜32fが形成される。
前記インナリング34に形成され軸方向に沿った縦断面が曲線状に形成された前記第2案内溝32a〜32fは、図2に示されるように、点Rを曲率中心としている。この場合、前記点Rは、内径面24の球面中心K(ボール28の中心点Oを結ぶ仮想面(ボール中心面)と継手軸27とが直交する交点)から軸方向に沿って距離T2だけオフセットした位置に配置される。
アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fの曲率中心である点Hと、インナリング34の第2案内溝32a〜32fの曲率中心である点Rは、内径面24の球面中心K(ボール中心面と継手軸27との交点)からそれぞれ反対側に向かい且つ軸方向に沿って等距離(T1=T2)だけオフセットした位置に配置される。前記点Hは、内径面24の球面中心Kを基準としてアウタカップ16の開口部14側に位置し、前記点Rは、アウタカップ16の奥部46側に位置し、前記点Hの曲率半径及び点Rの曲率半径は、たすき掛け状に交差するように設定される(図2参照)。
この場合、ボール28の直径をNとし、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26f及びインナリング34の第2案内溝32a〜32fの曲率中心(点H、点R)のオフセット量(内径面24の球面中心Kから軸方向に沿った離間距離)をそれぞれTとし、前記直径Nと前記オフセット量Tとの比をVとしたとき、前記比V(=T/N)は、0.12≦V≦0.14の関係式を充足するように、前記ボール28の直径Nとオフセット量Tとが設定されると好適である。
前記第2案内溝32a〜32fの横断面は、図4に示されるように、水平方向に沿って所定距離だけ離間する一対の中心C、Dを有する楕円弧形状からなり、前記第2案内溝32a〜32fは、ボール28の外面と、図面上、2点E、Fで接触するように形成される。なお、実際上、回転トルクを伝達する際に負荷が付与された時には、ボール28の外面と第2案内溝32a〜32fとは点接触ではなく、面接触するように形成される。
前記横断面における第2案内溝32a〜32fの両側には前記外径面35が連続して形成され、前記第2案内溝32a〜32fと端部と外径面35との境界部分には面取りされた一組の第2肩部42a、42bが形成される。
第2案内溝32a〜32fに対するボール28の接触角度αは、鉛直線Lを基準として左右に等角度αだけ離間するように設定される。この場合、前記第2案内溝32a〜32fに対するボール28の接触角度αを、13度〜22度の範囲で設定すると耐久性が良好となり、さらに、前記第2案内溝32a〜32fに対するボール28の接触角度αを、15度〜20度の範囲で設定すると極めて良好な耐久性が得られる。また、前記第2案内溝32a〜32fの横断面における溝半径P、Qとボール28の直径Nとの比(P/N、Q/N)は、0.51〜0.55に設定されるとよい(図4参照)。
前記ボール28は、例えば、鋼球によって形成され、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fとインナリング34の第2案内溝32a〜32fとの間に周方向に沿ってそれぞれ1個ずつ転動可能に6個配設される。このボール28は、第2軸18の回転トルクを、インナリング34及びアウタカップ16を介して第1軸12に伝達すると共に、第1案内溝26a〜26f及び第2案内溝32a〜32fに沿って転動することにより、第2軸18(インナリング30)と第1軸12(アウタカップ16)との間の交差する角度方向の相対的変位を可能とするものである。なお、回転トルクは、第1軸12と第2軸18との間でいずれの方向からでも好適に伝達される。
図5A及び図5Bに示されるように、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fに6個のボール28がそれぞれ点接触した状態における前記第1案内溝26a〜26fのピッチ円径をアウタPCDとし、インナリング34の第2案内溝32a〜32fに6個のボール28がそれぞれ点接触した状態における前記第2案内溝32a〜32fのピッチ円径をインナPCDとした場合、前記アウタPCDと前記インナPCDとの差によってPCDクリアランスが設定される(アウタPCD−インナPCD)。
また、図6A〜図6Cに示されるように、アウタカップ16の内径面24におけるアウタ内球径とリテーナ38の外径面におけるリテーナ外球径との差と、リテーナ38の内径面におけるリテーナ内球径とインナリング34の外径面におけるインナ外球径との差とを加算することによって球面クリアランスが設定される。
換言すると、球面クリアランス=[(アウタ内球径)−(リテーナ外球径)]+[(リテーナ内球径)−(インナ外球径)]によって設定される。
さらに、図7に示されるように、リテーナ38の保持窓36の窓幅中心(リテーナ38の軸方向を幅とする)と、前記リテーナ38の外面38a及び内面38bの球面中心とがリテーナ38の軸方向に沿って所定距離だけオフセットした位置に配置されている。
本実施の形態に係る等速ジョイント10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作並びに作用効果について説明する。
第2軸18が回転すると、その回転トルクはインナリング34から各ボール28を介してアウタカップ16に伝達され、第1軸12が前記第2軸18と等速性を保持しながら所定方向に回転する。
その際、第1軸12と第2軸18との交差角度(作動角)が変化する場合には、第1案内溝26a〜26fと第2案内溝32a〜32fとの間で転動するボール28の作用下にリテーナ38が所定角度だけ傾動して前記角度変位が許容される。
この場合、リテーナ38の保持窓36に保持された6個のボール28が等速面又は第1軸、第2軸12、18間の二等分角面上に位置することにより、駆動接点が常に等速面上に維持されて等速性が確保される。このように、第1軸12及び第2軸18の等速性を保持しつつ、それらの角度変位が好適に許容される。
本実施の形態では、アウタPCDとインナPCDとの差(アウタPCD−インナPCD)によって形成されるPCDクリアランス(図5A及び図5B参照)を、0〜100μmとし、好ましくは、0〜60μmに設定するとよい。前記PCDクリアランスを0〜100μmとしたのは、0μmよりも小さくなるとボール28の組み付け性が悪化すると共にボール28の円滑な転動動作が阻害され、耐久性が劣化するためである。一方、前記PCDクリアランスが100μmを超えると高負荷時にボール28と第1及び第2案内溝との接触楕円が溝端である肩部からはみ出してしまい、面圧が増大すると共に肩部の欠けが発生して耐久性が劣化するからである。この場合、図8の実験結果に示されるように、前記PCDの設定範囲を0〜60μmとすることにより、極めて良好な耐久性が得られる。
また、本実施の形態では、図6A〜図6Cに示されるように、[(アウタ内球径)−(リテーナ外球径)]+[(リテーナ内球径)−(インナ外球径)]によって設定される球面クリアランスを50〜200μmとし、好ましくは、50〜150μmに設定するとよい。50μm未満であるとアウタカップ16の内面とリテーナ38の外面38aとの間及びインナリング外面とリテーナ38の内面38bとの間の潤滑不良によって焼き付けが発生して悪影響を及ぼすからである。一方、200μmを超えるとアウタカップ16及びインナリング34とリテーナ38との間で打音が発生して商品性に悪影響を及ぼすからである。この場合、図9の実験結果に示されるように、前記球面クリアランスの設定範囲を50〜150μmとすることにより、極めて良好な耐久性が得られる。
さらに、本実施の形態では、図7に示されるように、リテーナ38の保持窓36の窓幅中心(リテーナ38の軸方向を幅とする)が、前記リテーナ38の外面38a及び内面38bの球面中心からリテーナ38の軸方向に沿って20〜100μmだけオフセットした位置に配置されている。リテーナ38の窓幅中心と球面中心とのオフセット量が20μmより小さくなるとボール28の拘束力不足によって等速性を確保することが困難となり、100μmより大きくなると、拘束力が過大となってボール28の円滑な転動動作が阻害されて耐久性が劣化するからである。この場合、図10の実験結果に示されるように、前記リテーナ38の窓幅中心と球面中心とのオフセット量の設定範囲を40〜80μmとすることにより、極めて良好な耐久性が得られる。
この結果、本実施の形態では、6個のボール28を備える等速ジョイント10において、高負荷時であっても、ボール28による接触楕円のはみ出しを抑制して耐久性を向上させることができる。
さらにまた、本実施の形態では、ボール28の直径Nと、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26f及びインナリング34の第2案内溝32a〜32fの曲率中心(点H、点R)のオフセット量(内径面24の球面中心Kから軸方向に沿った離間距離)Tとの比V(=T/N)が、0.12≦V≦0.14の関係式を充足するように設定される。
この場合、前記ボール28の直径Nとオフセット量Tとの比Vが0.12未満であると第1案内溝26a〜26fと第2案内溝32a〜32fとによって形成されるくさび角が極小状態となり、非回転動作時におけるボール28のロック状態が発生し易くなり、組み付け時の作業性が悪化するという不具合がある。
一方、前記ボール28の直径Nとオフセット量Tとの比Vが0.14を超えると第1及び第2案内溝26a〜26f、32a〜32fの深さが浅くなってしまうため、第1及び第2案内溝26a〜26f、32a〜32fの端部に形成された第1及び第2肩部30a、30b、42a、42bの乗り上げ又は欠けや摩耗等の発生を阻止することが困難となる。
このように、ボール28の直径Nと第1及び第2案内溝26a〜26f、32a〜32fの曲率中心(点H、点R)のオフセット量Tとを前記関係式(0.12≦V≦0.14)を充足するように設定することにより、第1及び第2案内溝26a〜26f、32a〜32fの端部に形成された第1及び第2肩部30a、30b、42a、42bの乗り上げ又は欠けや摩耗等の発生を好適に防止して等速ジョイント10の耐久性をより一層向上させることができる。
さらに、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fの横断面を円弧形状に形成してボール28に対して1点接触とし、且つインナリング34の第2案内溝32a〜32fの横断面を楕円弧形状に形成してボール28に対して2点接触とすることにより、従来技術と比較して、ボール28との接触による第1案内溝26a〜26f及び第2案内溝32a〜32fに対する面圧を低減して耐久性を向上させることができる。
この場合、第1案内溝26a〜26f及び第2案内溝32a〜32fの横断面における溝半径(M、P、Q)とボール28の直径Nとの比(M/N、P/N、Q/N)を、それぞれ、0.51〜0.55の範囲において設定し、且つ第1案内溝26a〜26fのボール28との接触角度を鉛直線Lを基準として零度とし、さらに第2案内溝32a〜32fとボール28との接触角度αを鉛直線Lを基準として13度〜22度の範囲に設定することにより、面圧を低減させてより一層耐久性を向上させることができる。
前記第1案内溝26a〜26f及び第2案内溝32a〜32fの横断面における溝半径(M、P、Q)とボール28との直径Nの比を、0.51〜0.55とした理由は、0.51未満であると溝半径(M、P、Q)とボール28の直径Nとが近接すぎるためにベタ当たり(全面接触)に近似した状態となりボール28の転がりが悪くなるために耐久性が劣化する、一方、0.55を超えると逆にボール28の接触楕円が小さくなるために接触面圧が高くなり耐久性が劣化するからである。
なお、前記PCDクリアランス、球面クリアランス、窓オフセット量、前記ボール28の直径Nと縦断面における第1及び第2案内溝26a〜26f、32a〜32fの曲率中心(点H、点R)のオフセット量Tとの比V(T/N)、第2案内溝32a〜32fとボール28との接触角度α、及び、前記第1案内溝26a〜26f及び第2案内溝32a〜32fの横断面における溝半径(M、P、Q)とボール28との直径の比は、それぞれ、シミュレーションと実験とを何度も繰り返した結果、最適なものが求められたものである。
さらに、第2案内溝32a〜32fに対するボール28の接触角度αを13度〜22度の範囲に設定した理由は、前記接触角度αが13度未満であるとボール28に対する荷重が増大することにより面圧が高くなり耐久性が劣化する、一方、前記接触角度αが22度を超えると第2案内溝32a〜32fの端部(第2肩部42a、42b)とボール28の接触位置が近接することとなり、接触楕円のはみ出しが起こり面圧が高くなって耐久性が劣化するからである。
本発明の実施の形態に係る等速ジョイントの軸方向に沿った縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの部分拡大縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの軸方向(矢印X方向)からみた一部断面側面図である。 図1に示す等速ジョイントの軸方向と直交する部分拡大横断面図である。 図5Aは、アウタカップに形成された第1案内溝のピッチ円径であるアウタPCDを示す縦断面図、図5Bは、インナリングに形成された第2案内溝のピッチ円径であるインナPCDを示す縦断面図である。 図6Aは、アウタカップの内径面のアウタ内球径を示す縦断面図、図6Bは、インナリングの外面のインナ外球径を示す縦断面図、図6Cは、リテーナの外面のリテーナ外球径及びリテーナの内面のリテーナ内球径をそれぞれ示す縦断面である。 リテーナの保持窓の窓幅中心と、リテーナの外面及び内面の球面中心とのオフセット量を示す縦断面図である。 PCDクリアランスと耐久性との関係を示す説明図である。 球面クリアランスと耐久性との関係を示す説明図である。 窓オフセットと耐久性との関係を示す説明図である。
符号の説明
10…等速ジョイント 12…第1軸
16…アウタカップ 18…第2軸
24…内径面 26a〜26f…第1案内溝
28…ボール 30a、30b…第1肩部
32a〜32f…第2案内溝 34…インナリング
36…保持窓 38…リテーナ
42a、42b…第2肩部

Claims (2)

  1. 相交わる2軸の一方に連結され、内径面を有すると共に軸方向に延在する横断面が円弧状の複数の第1案内溝が形成され、一端部が開口するアウタ部材と、
    前記2軸の他方に連結され、軸方向に延在し横断面が楕円弧形状で且つ前記第1案内溝と同数の第2案内溝が形成されたインナリングと、
    前記第1案内溝と前記第2案内溝との間で転動可能に配設され、トルクを伝達する6個のボールと、
    前記各ボールを収納する保持窓が形成されたリテーナと、
    を備える等速ジョイントにおいて、
    前記第1案内溝のピッチ円径をアウタPCDとし、前記インナリングの第2案内溝のピッチ円径をインナPCDとした場合、前記アウタPCDと前記インナPCDとの差(アウタPCD−インナPCD)からなるPCDクリアランスが0〜100μmの範囲内で設定され、
    前記アウタ部材の内径面におけるアウタ内球径と前記リテーナの外面におけるリテーナ外球径との差と、前記リテーナの内面におけるリテーナ内球径とインナリングの外面におけるインナ外球径との差とを加算することによって形成される球面クリアランス[(アウタ内球径)−(リテーナ外球径)]+[(リテーナ内球径)−(インナ外球径)]が、50〜200μmの範囲内で設定され、前記ボールは前記横断面が円弧状の第1案内溝に対して一点接触し、前記横断面が楕円弧形状の第2案内溝に対して2点接触し、さらに前記第2案内溝に対する前記ボールの接触角度αを13度〜22度の範囲に設定することを特徴とする等速ジョイント。
  2. 請求項1記載の等速ジョイントにおいて、
    前記リテーナに形成された保持窓の窓幅中心が、前記リテーナの外面及び内面の球面中心から前記リテーナの軸方向に沿って20〜100μmの範囲内でオフセットした位置に設定されることを特徴とする等速ジョイント。
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