JP4266066B2 - シート状物の搬送経路切替装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輪転印刷機の折機等におけるシート状物の搬送経路切替装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
巻紙輪転印刷機には、印刷後、乾燥冷却されたウェブを所定の長さごとに断裁したり、これを幅方向又は長さ方向に折ったりする折機が備えられている。この折機による折り方には、断裁前のウェブをフォーマで幅方向に半折りするフォーーマ折りと、断裁後の折丁を折胴で長さ方向に半折りしたり四つ折りしたりする平行一回折り又は平行二回折りと、平行折りされた折丁をチョッパで直交方向へ半折りするチョッパ折りとがあり、これらの折り方は、折丁の仕様にしたがい選択されて単独で用いられたり、このうちのいくつかが組み合わされたりする。
【０００３】
ところで、前記各折装置のうちのチョッパ折装置は、その構造上他の折装置と比べて折丁の処理速度が低く制限されてしまう。そこで、一台の折機にチョッパ折装置を上，下二段の二系列設け、平行折装置からの折丁を上，下減速胴（渡胴）にて減速して両チョッパ折装置へ振り分けて供給することで、折機の高速化を図ることが行われている。
【０００４】
この種折機として、従来、例えば特許第２５６６２６５号公報に開示されたものがある。これによれば、平行折り二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）から平行折り合流排紙（上段或いは下段の一系列にて排紙）へ又はその逆へと排紙系列を変更して、両チョッパ折り装置の使用の有無をそれぞれ切り替えることで折仕様を変更することが可能とされ、各々の排紙系列にスタッカーを設置することを不要とするなどで、排紙の高効率化と印刷紙の後処理工程の簡略化を図っている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような折仕様の変更にあたって、排紙方向上流側の上減速胴又は下減速胴にてくわえ爪装置を作動させずに折丁を単に通過させるタイミングがある。このような時のくわえ爪と折丁の干渉を回避するために、従来の折機では、前記上減速胴又は下減速胴の位相を、位相変更ギヤ（ギヤレーション）の追加や二重シリンダ（胴）構造により、変更していた。
【０００６】
そのため、折仕様の切替時には、折精度や搬送精度を折仕様切替に影響されずに安定させるために高精度の復帰性が要求されると共に、位相変更ギヤの追加や二重シリンダ構造により、位相切替構造が複雑となり、部品点数も増大して製造コストが増大するという問題点があった。
【０００７】
そこで、本発明の目的は、シリンダの位相を変更することなく搬送経路の切替えが行えて、搬送精度の安定化と搬送経路切替構造の簡素化が図れるシート状物の搬送経路切替装置を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、シート状物を保持するシート保持手段を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第１の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第２の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を備え、回動自在に支持された第３の胴と、前記シート状物を前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置にのみ渡す搬送経路と、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置及び前記第３の胴のくわえ爪装置とに渡す搬送経路に切り替える切替機構を備えたシート状物の搬送経路切替装置において、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を、前記シート状物をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記第１の胴に保持されたシート状物から退避した退避位置とを採ることを可能とするくわえ爪動作切替手段を備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に移動可能に支持された第２の作動部材を備え、前記第２の作動部材により、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を前記退避位置へ移動させることを特徴とする。
【００１０】
また、前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に固定され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪をくわえ位置に動作させるカム曲線を有するメインカムと、装置フレーム側に移動可能に支持され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪を退避位置に動作させるカム曲線を有するサブカムとを備えたカム機構であることを特徴とする。
【００１１】
また、前記くわえ位置と前記退避位置との間に、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置へシート状物を受け取る開き位置を備えたことを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシート状物の搬送経路切替装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【００１３】
［第１実施例］
図１は本発明の第１実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図、図２は同じくカム機構の構造図、図３は同じく動作説明図、図４は同じく動作説明図である。
【００１４】
図１に示すように、印刷後、冷却乾燥されて折機の入紙部へ導かれたウェブＷの進行方向には、このウェブＷを所定の寸法に断裁、折紙する平行折装置１が設けられており、この平行折装置１は、図に矢印で示す方向に回転する断裁胴２、折胴３、くわえ胴（第１の胴）４を備えている。
【００１５】
前記断裁胴２と折胴３との間に送り込まれたウェブＷは、断裁胴２の図示しない断裁刃によって所定の寸法に断裁されると共に、折胴３の図示しない針に保持されて折胴３の下側周面に巻き付けられる。前記針に保持された断裁ウェブは、次に折胴３の図示しない差込みナイフとの協働によってくわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄ（シート保持手段で、周面を４等分する位置に配されたくわえ板軸６ａ〜６ｄ上に多数設けられる）にくわえられて半折りされながら折丁（シート状物）となって上側周面に添接される。
【００１６】
前記くわえ胴４の下流側には、上減速胴（第２の胴）７と下減速胴（第３の胴）８とが対接され、上減速胴７の下流側には上チョッパ折装置９が設けられ、下減速胴８の下流側には下チョッパ折装置１０が設けられている。くわえ胴４、上減速胴７及び下減速胴８は同一回転数で回転するように歯車（図示せず）で連結されている。
【００１７】
前記上減速胴７の周面を４等分する位置に配されたくわえ爪軸１１ａ〜１１ｄ上には軸方向に多数設けられたくわえ爪（装置）１２ａ〜１２ｄが設けられ、下減速胴８の周面を２等分する位置に配されたくわえ爪軸１３ｂ，１３ｄ上には軸方向に多数設けられたくわえ爪（装置）１４ｂ，１４ｄが設けられる。前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ〜１２ｄはくわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄと順次対向し、下減速胴８のくわえ爪１４ｂ，１４ｄはくわえ胴４のくわえ板５ｂ，５ｄとだけそれぞれ対向するようになっている。尚、図１中１５は排紙用の羽根車、１６は排紙用のコンベアである。
【００１８】
図２に示すように、前記くわえ胴４にはカム機構（切替機構）２０が設けられ、前記くわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄから前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ〜１２ｄにのみ渡す搬送経路と、前記くわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄから前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ，１２ｃ及び下減速胴８のくわえ爪１４ｂ，１４ｄとに渡す搬送経路に切り替えるようになっている。
【００１９】
前記カム機構２０は、印刷機フレーム２１の軸受２２端面にボルト２３で固定された円板状のメインカム２４（図３及び図４参照）と、該メインカム２４と隣接して前記軸受２２上に歯車２５ａ，２５ｂを介して回動可能に支持された円弧板状のサブカム２６（図３及び図４参照）とを備える。
【００２０】
そして、図３及び図４にも示すように、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの軸端に取り付けたカムフォロア２７がメインカム２４に従動し（即ち、くわえ板軸６ａ，６ｃ上のくわえ板５ａ，５ｃがメインカム２４のくわえ板開き用カム曲線２４ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２４ｂにより開閉動作する）、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの軸端に取り付けたカムフォロア２８がメインカム２４とサブカム２６とに従動している（即ち、くわえ板軸６ｂ，６ｄ上のくわえ板５ｂ，５ｄがメインカム２４のくわえ板開き用カム曲線２４ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２４ｂとサブカム２６のくわえ板開き用カム曲線２６ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２６ｂとにより開閉動作する）。尚、図２中２９はサブカム２６を回動させるハンドル、３０はサブカム２６を所定の回動位置で固定するクランプである。
【００２１】
図２と同様の構造で、前記上減速胴７にもカム機構（爪動作切替手段）３１が設けられ、前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ〜１２ｄの動作を、前記折丁をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記折丁を放す放す位置と、この放す位置からさらに開いて前記折丁から退避する退避位置とに切替可能になっている。
【００２２】
前記カム機構３１は、図２に括弧書きで符号を付して示すように、印刷機フレーム２１の軸受４１端面にボルト４２で固定された円板状のメインカム３２（図３及び図４参照）と、該メインカム３２と隣接して前記軸受４１上に歯車４３ａ，４３ｂを介して回動可能に支持された円弧板状のサブカム３３（図３及び図４参照）とを備える。
【００２３】
そして、図３及び図４にも示すように、前記くわえ爪軸１１ａ，１１ｃの軸端に取り付けたカムフォロア３４がメインカム３２に従動し（即ち、くわえ爪軸１１ａ，１１ｃ上のくわえ爪１２ａ，１２ｃがメインカム３２のくわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線３２ａ及びくわえ爪閉じ用（折丁くわえ用）カム曲線３２ｂにより開閉動作する）、前記くわえ爪軸１１ｂ，１１ｄの軸端に取り付けたカムフォロア３５がメインカム３２とサブカム３３とに従動している（即ち、くわえ爪軸１１ｂ，１１ｄ上のくわえ爪１２ｂ，１２ｄがメインカム３２のくわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線３２ａ及びくわえ爪閉じ用（折丁くわえ用）カム曲線３２ｂとサブカム３３のくわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線３３ａ及びくわえ爪大開き用（折丁退避用）カム曲線３３ｂとにより開閉動作する）。尚、図２中４４はサブカム３３を回動させるハンドル、４５はサブカム３３を所定の回動位置で固定するクランプである。
【００２４】
このように構成されるため、平行二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）の時は、図３に示すように、くわえ胴４のサブカム２６を回動させて上減速胴７と下減速胴８との間に位置させると共に、上減速胴７のサブカム３３を回動させて同上減速胴７とくわえ胴４との対接点に位置させる。
【００２５】
これにより、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃはメインカム２４により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ板開き動作を行い折丁を放す。この時、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ，１１ｃもメインカム３２により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ爪閉じ動作を行いくわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃより折丁を受け取る。
【００２６】
一方、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄはメインカム２４及びサブカム２６により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間ではくわえ板５ｂ，５ｄは閉じたままになっている。この時、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄと同位相の上減速胴７のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄはメインカム３２及びサブカム３３により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間ではくわえ爪１２ｂ，１２ｄが大開きとなり、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄにより搬送される折丁からくわえ爪１２ｂ，１２ｄを退避させられる。
【００２７】
前記くわえ胴４〜上減速胴７間を過ぎたくわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄは、くわえ胴４〜下減速胴８間でサブカム２６により折丁を放し、下減速胴８のくわえ爪１４ｂ，１４ｄへ折丁を渡す。
【００２８】
このようにして、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃの折丁は、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ，１１ｃに渡され、上段の上チョッパ折装置９へ搬送され、ここでチョッパ折りされて排紙される。一方、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄの折丁は、下減速胴８のくわえ爪軸１３ｂ，１３ｄに渡され、下段の下チョッパ折装置１０へ搬送され、ここでチョッパ折りされて排紙される。
【００２９】
平行折り合流排紙（上段の一系列にて排紙）の時は、図４に示すように、くわえ胴４のサブカム２６を回動させて折胴３と上減速胴７との間に位置させると共に、上減速胴７のサブカム３３を回動させて同上減速胴７とくわえ胴４との対接点からずれた位置に位置させる。
【００３０】
これにより、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃはメインカム２４により、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ板開き動作を行い折丁を放し、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ，１１ｃもメインカム３２により、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ爪閉じ動作を行いくわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃより折丁を受け取る。
【００３１】
一方、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄはメインカム２４のカム曲線と同化されたサブカム２６のカム曲線により、くわえ胴４〜上減速胴７間で折丁を放し、上減速胴７のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄはメインカム３２により、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ爪閉じ動作を行いくわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄより折丁を受け取る。
【００３２】
このようにして、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ〜６ｄの折丁は、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ〜１１ｄに渡され、全て上段の上チョッパ折装置９へ搬送され、ここでチョッパ折りされて排紙される。
【００３３】
このように本実施例では、シリンダ（上減速胴７）の位相を変更することなく折仕様の切替えが出来るので、折精度や搬送精度の向上、安定化が図れる。即ち、本実施例における上減速胴７の回動するサブカム３３は折丁を回避するだけのもので、折丁を搬送するメインカム３２は固定されているため、折仕様の切替えによる折精度や搬送精度には全く影響しないのである。また、折仕様切替部の構成がカム機構３１により簡素化され、部品点数も削減できるので、製造コストが低減される。
【００３４】
［第２実施例］
図５は本発明の第２実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図、図６は同じく動作説明図、図７は同じく動作説明図である。
【００３５】
これは、第１実施例における上段での平行折り合流排紙から下段での平行折り合流排紙に変更した例である。この場合、下減速胴８には４本のくわえ爪軸１３ａ〜１３ｄが配されると共に上減速胴７には２本のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄが配され、平行折り合流排紙時には、上減速胴７の２本のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄのくわえ爪１２ｂ，１２ｄがサブカム３３により大開きとなり、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄにより搬送される折丁からくわえ爪１２ｂ，１２ｄを退避させられるようになっている。
【００３６】
また、くわえ胴４のカム機構２０は、印刷機フレーム側に固定された円板状の第１のメインカム２４（図２参照）と、同じく前記印刷機フレーム側に回動可能に支持された円弧板状のサブカム２６と、同じく前記印刷機フレーム側に固定された円板状の第２のメインカム４０を備える。
【００３７】
そして、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの軸端に取り付けた図示しないカムフォロアがメインカム４０に従動し（即ち、くわえ板軸６ａ，６ｃ上のくわえ板５ａ，５ｃがメインカム４０のくわえ板開き用カム曲線４０ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線４０ｂにより開閉動作する）、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの軸端に取り付けた図示しないカムフォロアがメインカム２４とサブカム２６とに従動する（即ち、くわえ板軸６ｂ，６ｄ上のくわえ板５ｂ，５ｄがメインカム２４のくわえ板開き用カム曲線２４ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２４ｂとサブカム２６のくわえ板開き用カム曲線２６ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２６ｂとにより開閉動作する）ようになっている。
【００３８】
従って、平行二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）の時は、図６に示すように、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの折丁は、メインカム２４とサブカム２６により上減速胴７のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄに渡され、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの折丁は、メインカム４０により下減速胴８のくわえ爪軸１３ａ，１３ｃに渡される。
【００３９】
一方、平行折り合流排紙（下段の一系列にて排紙）の時は、図７に示すように、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの折丁は、メインカム２４とサブカム２６（前記状態から回動されている）により下減速胴８のくわえ爪軸１３ｂ，１３ｄに渡され、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの折丁は、メインカム４０により下減速胴８のくわえ爪軸１３ａ，１３ｃに渡される。
【００４０】
その他の構成は、第１実施例と同様なので、第１実施例（図１〜図４）と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【００４１】
この実施例でも、第１実施例と同様の作用・効果が得られる。
【００４２】
［第３実施例］
図８は本発明の第３実施例を示すくわえ爪動作切替手段の構造を示す正面図、図９は同じくくわえ爪動作切替手段の構造を示す側面図である。
【００４３】
これは第１実施例における（第２実施例にもおいても同様であるが）上減速胴７のメインカム３２とサブカム３３をくわえ爪軸１１ａ〜１１ｄ側に、またカムフォロア３４，３５を印刷機フレーム２１側に設けた例である。
【００４４】
つまり、印刷機フレーム２１の所定位置に、前記カムフォロア３４に相当するピン（第１の作動部材）３４Ａを固定すると共に、前記カムフォロア３５に相当するピン（第２の作動部材）３５Ａをエアシリンダ５０により胴軸方向へ移動可能に設ける一方、前記メインカム３２に相当するメインカムレバー３２Ａを前記くわえ爪軸１１ａ〜１１ｄ上にそれぞれ固設すると共に、前記サブカム３３に相当するサブカムレバー３３Ａを前記くわえ爪軸１１ｂ，１１ｄ上に前記カム３２Ａの内方に隣接してそれぞれ固設する。
【００４５】
そして、平行折り合流排紙（上段の一系列にて排紙）の時は、ピン３５Ａを実線位置に位置させることで、メインカムレバー３２Ａのみがピン３５Ａ及び３４Ａと係合してくわえ爪１２ａ〜１２ｄが開→閉→開と動作し、平行二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）の時は、ピン３５Ａを二点鎖線位置に位置させることで、くわえ爪軸１１ａ，１１ｃ上のメインカムレバー３２Ａがピン３５Ａ及び３４Ａと係合しかつくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄ上のサブカムレバー３３Ａがピン３５Ａと係合して、くわえ爪１２ａ，１２ｃが開→閉→開と動作すると共にくわえ爪１２ｂ，１２ｄが大きく退避するようになっている。
【００４６】
この実施例でも、第１実施例と同様の作用・効果が得られる。
【００４７】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能である。例えば、シリンダ構成を断裁胴，折胴，くわえ胴，上減速胴，下減速胴から構成される５胴型から断裁胴，折胴，くわえ胴，減速胴，第１渡胴，第２渡胴から構成される６胴型に変更したり、くわえ板（軸）を円周方向に２箇所，上流側のくわえ爪（軸）を円周方向に２箇所又は１箇所，下流側のくわえ爪（軸）を円周方向に１箇所又は２箇所としても良く、さらに、くわえ板（軸）及び上，下流側のくわえ爪（軸）が偶数箇所備えられていても良い。また、くわえ板〜くわえ爪の折丁受渡しをくわえ爪〜くわえ爪の折丁受渡しに変更したり、上減速胴のくわえ爪の動作の内くわえ爪中開きの動作を廃止してくわえ爪大開きの動作に紙放し機能を兼用させるようにしても良い。また、上減速胴７におけるくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄの軸端に取り付けたカムフォロア３５を二個に分割してメインカム３２とサブカム３３とにそれぞれ個別に従動させるようにしても良い。また、前記サブカム３３を回動自在に構成したが胴軸方向へ移動可能に構成し、くわえ爪１２ａ，１２ｃを退避させる時に前記カムフォロア３５と係合させても良い。
【００４８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シート状物を保持するシート保持手段を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第１の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第２の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を備え、回動自在に支持された第３の胴と、前記シート状物を前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置にのみ渡す搬送経路と、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置及び前記第３の胴のくわえ爪装置とに渡す搬送経路に切り替える切替機構を備えたシート状物の搬送経路切替装置において、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を、前記シート状物をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記第１の胴に保持されたシート状物から退避した退避位置とを採ることを可能とするくわえ爪動作切替手段を備えたことを特徴とするので、シリンダの位相を変更することなく搬送経路の切替えが行えて、搬送精度の安定化と搬送経路切替構造の簡素化が図れる。
【００４９】
また、前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に移動可能に支持された第２の作動部材を備え、前記第２の作動部材により、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を前記退避位置へ移動させることを特徴とするので、簡単な構造の切替手段により精度良くくわえ爪動作の切替えが行える。
【００５０】
また、前記くわえ爪動作切替手段は、装置フレーム側に固定され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪をくわえ位置に動作させるカム曲線を有するメインカムと、装置フレーム側に移動可能に支持され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪を退避位置に動作させるカム曲線を有するサブカムとを備えたカム機構であることを特徴とするので、簡単な構造の切替手段により精度良くくわえ爪動作の切替えが行える。
【００５１】
また、前記くわえ位置と前記退避位置との間に、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置へシート状物を受け取る開き位置を備えたことを特徴とするので、くわえ爪を細かく動作させられ、より高精度にシート状物の受渡しが行える。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図である。
【図２】同じくカム機構の構造図である。
【図３】同じく動作説明図である。
【図４】同じく動作説明図である。
【図５】本発明の第２実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図である。
【図６】同じく動作説明図である。
【図７】同じく動作説明図である。
【図８】本発明の第３実施例を示すくわえ爪動作切替手段の構造を示す正面図である。
【図９】同じくくわえ爪動作切替手段の構造を示す側面図である。
【符号の説明】
１ 平行折装置
２ 断裁胴
３ 折胴
４ くわえ胴
５ａ〜５ｄ くわえ板
６ａ〜６ｄ くわえ板軸
７ 上減速胴
８ 下減速胴
９ 上チョッパ折装置
１０ 下チョッパ折装置
１１ａ〜１１ｄ くわえ爪軸
１２ａ〜１２ｄ くわえ爪（装置）
１３ａ〜１３ｄ くわえ爪軸
１４ａ〜１４ｄ くわえ爪（装置）
１５ 羽根車
１６ コンベア１６
２０ カム機構
２１ 印刷機フレーム
２２ 軸受
２３ ボルト
２４ メインカム
２４ａ くわえ板開き用カム曲線
２４ｂ くわえ板閉じ用カム曲線
２５ａ，２５ｂ 歯車
２６ サブカム
２６ａ くわえ板開き用カム曲線
２６ｂ くわえ板閉じ用カム曲線
２７ カムフォロア
２８ カムフォロア
２９ ハンドル
３０ クランプ
３１ カム機構
３２ メインカム
３２Ａ メインカムレバー
３２ａ くわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線
３２ｂ くわえ爪閉じ用（折丁くわえ用）カム曲線
３３ サブカム
３３Ａ サブカムレバー
３３ａ くわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線
３３ｂ くわえ爪大開き用（折丁退避用）カム曲線
３４ カムフォロア
３４Ａ ピン
３５ カムフォロア
３５Ａ ピン
４０ メインカム
４０ａ くわえ板開き用カム曲線
４０ｂ くわえ板閉じ用カム曲線
４１ 軸受
４２ ボルト
４３ａ，４３ｂ 歯車
４４ ハンドル
４５ クランプ
５０ エアシリンダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、輪転印刷機の折機等におけるシート状物の搬送経路切替装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
巻紙輪転印刷機には、印刷後、乾燥冷却されたウェブを所定の長さごとに断裁したり、これを幅方向又は長さ方向に折ったりする折機が備えられている。この折機による折り方には、断裁前のウェブをフォーマで幅方向に半折りするフォーーマ折りと、断裁後の折丁を折胴で長さ方向に半折りしたり四つ折りしたりする平行一回折り又は平行二回折りと、平行折りされた折丁をチョッパで直交方向へ半折りするチョッパ折りとがあり、これらの折り方は、折丁の仕様にしたがい選択されて単独で用いられたり、このうちのいくつかが組み合わされたりする。
【０００３】
ところで、前記各折装置のうちのチョッパ折装置は、その構造上他の折装置と比べて折丁の処理速度が低く制限されてしまう。そこで、一台の折機にチョッパ折装置を上，下二段の二系列設け、平行折装置からの折丁を上，下減速胴（渡胴）にて減速して両チョッパ折装置へ振り分けて供給することで、折機の高速化を図ることが行われている。
【０００４】
この種折機として、従来、例えば特許第２５６６２６５号公報に開示されたものがある。これによれば、平行折り二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）から平行折り合流排紙（上段或いは下段の一系列にて排紙）へ又はその逆へと排紙系列を変更して、両チョッパ折り装置の使用の有無をそれぞれ切り替えることで折仕様を変更することが可能とされ、各々の排紙系列にスタッカーを設置することを不要とするなどで、排紙の高効率化と印刷紙の後処理工程の簡略化を図っている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような折仕様の変更にあたって、排紙方向上流側の上減速胴又は下減速胴にてくわえ爪装置を作動させずに折丁を単に通過させるタイミングがある。このような時のくわえ爪と折丁の干渉を回避するために、従来の折機では、前記上減速胴又は下減速胴の位相を、位相変更ギヤ（ギヤレーション）の追加や二重シリンダ（胴）構造により、変更していた。
【０００６】
そのため、折仕様の切替時には、折精度や搬送精度を折仕様切替に影響されずに安定させるために高精度の復帰性が要求されると共に、位相変更ギヤの追加や二重シリンダ構造により、位相切替構造が複雑となり、部品点数も増大して製造コストが増大するという問題点があった。
【０００７】
そこで、本発明の目的は、シリンダの位相を変更することなく搬送経路の切替えが行えて、搬送精度の安定化と搬送経路切替構造の簡素化が図れるシート状物の搬送経路切替装置を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、シート状物を保持するシート保持手段を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第１の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第２の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を備え、回動自在に支持された第３の胴と、前記シート状物を前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置にのみ渡す搬送経路と、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置及び前記第３の胴のくわえ爪装置とに渡す搬送経路に切り替える切替機構を備えたシート状物の搬送経路切替装置において、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を、前記シート状物をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記第１の胴に保持されたシート状物から退避した退避位置とを採ることを可能とするくわえ爪動作切替手段を備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に移動可能に支持された第２の作動部材を備え、前記第２の作動部材により、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を前記退避位置へ移動させることを特徴とする。
【００１０】
また、前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に固定され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪をくわえ位置に動作させるカム曲線を有するメインカムと、装置フレーム側に移動可能に支持され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪を退避位置に動作させるカム曲線を有するサブカムとを備えたカム機構であることを特徴とする。
【００１１】
また、前記くわえ位置と前記退避位置との間に、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置へシート状物を受け取る開き位置を備えたことを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシート状物の搬送経路切替装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【００１３】
［第１実施例］
図１は本発明の第１実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図、図２は同じくカム機構の構造図、図３は同じく動作説明図、図４は同じく動作説明図である。
【００１４】
図１に示すように、印刷後、冷却乾燥されて折機の入紙部へ導かれたウェブＷの進行方向には、このウェブＷを所定の寸法に断裁、折紙する平行折装置１が設けられており、この平行折装置１は、図に矢印で示す方向に回転する断裁胴２、折胴３、くわえ胴（第１の胴）４を備えている。
【００１５】
前記断裁胴２と折胴３との間に送り込まれたウェブＷは、断裁胴２の図示しない断裁刃によって所定の寸法に断裁されると共に、折胴３の図示しない針に保持されて折胴３の下側周面に巻き付けられる。前記針に保持された断裁ウェブは、次に折胴３の図示しない差込みナイフとの協働によってくわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄ（シート保持手段で、周面を４等分する位置に配されたくわえ板軸６ａ〜６ｄ上に多数設けられる）にくわえられて半折りされながら折丁（シート状物）となって上側周面に添接される。
【００１６】
前記くわえ胴４の下流側には、上減速胴（第２の胴）７と下減速胴（第３の胴）８とが対接され、上減速胴７の下流側には上チョッパ折装置９が設けられ、下減速胴８の下流側には下チョッパ折装置１０が設けられている。くわえ胴４、上減速胴７及び下減速胴８は同一回転数で回転するように歯車（図示せず）で連結されている。
【００１７】
前記上減速胴７の周面を４等分する位置に配されたくわえ爪軸１１ａ〜１１ｄ上には軸方向に多数設けられたくわえ爪（装置）１２ａ〜１２ｄが設けられ、下減速胴８の周面を２等分する位置に配されたくわえ爪軸１３ｂ，１３ｄ上には軸方向に多数設けられたくわえ爪（装置）１４ｂ，１４ｄが設けられる。前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ〜１２ｄはくわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄと順次対向し、下減速胴８のくわえ爪１４ｂ，１４ｄはくわえ胴４のくわえ板５ｂ，５ｄとだけそれぞれ対向するようになっている。尚、図１中１５は排紙用の羽根車、１６は排紙用のコンベアである。
【００１８】
図２に示すように、前記くわえ胴４にはカム機構（切替機構）２０が設けられ、前記くわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄから前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ〜１２ｄにのみ渡す搬送経路と、前記くわえ胴４のくわえ板５ａ〜５ｄから前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ，１２ｃ及び下減速胴８のくわえ爪１４ｂ，１４ｄとに渡す搬送経路に切り替えるようになっている。
【００１９】
前記カム機構２０は、印刷機フレーム２１の軸受２２端面にボルト２３で固定された円板状のメインカム２４（図３及び図４参照）と、該メインカム２４と隣接して前記軸受２２上に歯車２５ａ，２５ｂを介して回動可能に支持された円弧板状のサブカム２６（図３及び図４参照）とを備える。
【００２０】
そして、図３及び図４にも示すように、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの軸端に取り付けたカムフォロア２７がメインカム２４に従動し（即ち、くわえ板軸６ａ，６ｃ上のくわえ板５ａ，５ｃがメインカム２４のくわえ板開き用カム曲線２４ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２４ｂにより開閉動作する）、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの軸端に取り付けたカムフォロア２８がメインカム２４とサブカム２６とに従動している（即ち、くわえ板軸６ｂ，６ｄ上のくわえ板５ｂ，５ｄがメインカム２４のくわえ板開き用カム曲線２４ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２４ｂとサブカム２６のくわえ板開き用カム曲線２６ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２６ｂとにより開閉動作する）。尚、図２中２９はサブカム２６を回動させるハンドル、３０はサブカム２６を所定の回動位置で固定するクランプである。
【００２１】
図２と同様の構造で、前記上減速胴７にもカム機構（爪動作切替手段）３１が設けられ、前記上減速胴７のくわえ爪１２ａ〜１２ｄの動作を、前記折丁をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記折丁を放す放す位置と、この放す位置からさらに開いて前記折丁から退避する退避位置とに切替可能になっている。
【００２２】
前記カム機構３１は、図２に括弧書きで符号を付して示すように、印刷機フレーム２１の軸受４１端面にボルト４２で固定された円板状のメインカム３２（図３及び図４参照）と、該メインカム３２と隣接して前記軸受４１上に歯車４３ａ，４３ｂを介して回動可能に支持された円弧板状のサブカム３３（図３及び図４参照）とを備える。
【００２３】
そして、図３及び図４にも示すように、前記くわえ爪軸１１ａ，１１ｃの軸端に取り付けたカムフォロア３４がメインカム３２に従動し（即ち、くわえ爪軸１１ａ，１１ｃ上のくわえ爪１２ａ，１２ｃがメインカム３２のくわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線３２ａ及びくわえ爪閉じ用（折丁くわえ用）カム曲線３２ｂにより開閉動作する）、前記くわえ爪軸１１ｂ，１１ｄの軸端に取り付けたカムフォロア３５がメインカム３２とサブカム３３とに従動している（即ち、くわえ爪軸１１ｂ，１１ｄ上のくわえ爪１２ｂ，１２ｄがメインカム３２のくわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線３２ａ及びくわえ爪閉じ用（折丁くわえ用）カム曲線３２ｂとサブカム３３のくわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線３３ａ及びくわえ爪大開き用（折丁退避用）カム曲線３３ｂとにより開閉動作する）。尚、図２中４４はサブカム３３を回動させるハンドル、４５はサブカム３３を所定の回動位置で固定するクランプである。
【００２４】
このように構成されるため、平行二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）の時は、図３に示すように、くわえ胴４のサブカム２６を回動させて上減速胴７と下減速胴８との間に位置させると共に、上減速胴７のサブカム３３を回動させて同上減速胴７とくわえ胴４との対接点に位置させる。
【００２５】
これにより、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃはメインカム２４により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ板開き動作を行い折丁を放す。この時、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ，１１ｃもメインカム３２により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ爪閉じ動作を行いくわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃより折丁を受け取る。
【００２６】
一方、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄはメインカム２４及びサブカム２６により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間ではくわえ板５ｂ，５ｄは閉じたままになっている。この時、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄと同位相の上減速胴７のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄはメインカム３２及びサブカム３３により開閉動作するため、くわえ胴４〜上減速胴７間ではくわえ爪１２ｂ，１２ｄが大開きとなり、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄにより搬送される折丁からくわえ爪１２ｂ，１２ｄを退避させられる。
【００２７】
前記くわえ胴４〜上減速胴７間を過ぎたくわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄは、くわえ胴４〜下減速胴８間でサブカム２６により折丁を放し、下減速胴８のくわえ爪１４ｂ，１４ｄへ折丁を渡す。
【００２８】
このようにして、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃの折丁は、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ，１１ｃに渡され、上段の上チョッパ折装置９へ搬送され、ここでチョッパ折りされて排紙される。一方、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄの折丁は、下減速胴８のくわえ爪軸１３ｂ，１３ｄに渡され、下段の下チョッパ折装置１０へ搬送され、ここでチョッパ折りされて排紙される。
【００２９】
平行折り合流排紙（上段の一系列にて排紙）の時は、図４に示すように、くわえ胴４のサブカム２６を回動させて折胴３と上減速胴７との間に位置させると共に、上減速胴７のサブカム３３を回動させて同上減速胴７とくわえ胴４との対接点からずれた位置に位置させる。
【００３０】
これにより、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃはメインカム２４により、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ板開き動作を行い折丁を放し、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ，１１ｃもメインカム３２により、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ爪閉じ動作を行いくわえ胴４のくわえ板軸６ａ，６ｃより折丁を受け取る。
【００３１】
一方、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄはメインカム２４のカム曲線と同化されたサブカム２６のカム曲線により、くわえ胴４〜上減速胴７間で折丁を放し、上減速胴７のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄはメインカム３２により、くわえ胴４〜上減速胴７間でくわえ爪閉じ動作を行いくわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄより折丁を受け取る。
【００３２】
このようにして、くわえ胴４のくわえ板軸６ａ〜６ｄの折丁は、上減速胴７のくわえ爪軸１１ａ〜１１ｄに渡され、全て上段の上チョッパ折装置９へ搬送され、ここでチョッパ折りされて排紙される。
【００３３】
このように本実施例では、シリンダ（上減速胴７）の位相を変更することなく折仕様の切替えが出来るので、折精度や搬送精度の向上、安定化が図れる。即ち、本実施例における上減速胴７の回動するサブカム３３は折丁を回避するだけのもので、折丁を搬送するメインカム３２は固定されているため、折仕様の切替えによる折精度や搬送精度には全く影響しないのである。また、折仕様切替部の構成がカム機構３１により簡素化され、部品点数も削減できるので、製造コストが低減される。
【００３４】
［第２実施例］
図５は本発明の第２実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図、図６は同じく動作説明図、図７は同じく動作説明図である。
【００３５】
これは、第１実施例における上段での平行折り合流排紙から下段での平行折り合流排紙に変更した例である。この場合、下減速胴８には４本のくわえ爪軸１３ａ〜１３ｄが配されると共に上減速胴７には２本のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄが配され、平行折り合流排紙時には、上減速胴７の２本のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄのくわえ爪１２ｂ，１２ｄがサブカム３３により大開きとなり、くわえ胴４のくわえ板軸６ｂ，６ｄにより搬送される折丁からくわえ爪１２ｂ，１２ｄを退避させられるようになっている。
【００３６】
また、くわえ胴４のカム機構２０は、印刷機フレーム側に固定された円板状の第１のメインカム２４（図２参照）と、同じく前記印刷機フレーム側に回動可能に支持された円弧板状のサブカム２６と、同じく前記印刷機フレーム側に固定された円板状の第２のメインカム４０を備える。
【００３７】
そして、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの軸端に取り付けた図示しないカムフォロアがメインカム４０に従動し（即ち、くわえ板軸６ａ，６ｃ上のくわえ板５ａ，５ｃがメインカム４０のくわえ板開き用カム曲線４０ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線４０ｂにより開閉動作する）、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの軸端に取り付けた図示しないカムフォロアがメインカム２４とサブカム２６とに従動する（即ち、くわえ板軸６ｂ，６ｄ上のくわえ板５ｂ，５ｄがメインカム２４のくわえ板開き用カム曲線２４ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２４ｂとサブカム２６のくわえ板開き用カム曲線２６ａ及びくわえ板閉じ用カム曲線２６ｂとにより開閉動作する）ようになっている。
【００３８】
従って、平行二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）の時は、図６に示すように、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの折丁は、メインカム２４とサブカム２６により上減速胴７のくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄに渡され、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの折丁は、メインカム４０により下減速胴８のくわえ爪軸１３ａ，１３ｃに渡される。
【００３９】
一方、平行折り合流排紙（下段の一系列にて排紙）の時は、図７に示すように、前記くわえ板軸６ｂ，６ｄの折丁は、メインカム２４とサブカム２６（前記状態から回動されている）により下減速胴８のくわえ爪軸１３ｂ，１３ｄに渡され、前記くわえ板軸６ａ，６ｃの折丁は、メインカム４０により下減速胴８のくわえ爪軸１３ａ，１３ｃに渡される。
【００４０】
その他の構成は、第１実施例と同様なので、第１実施例（図１〜図４）と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【００４１】
この実施例でも、第１実施例と同様の作用・効果が得られる。
【００４２】
［第３実施例］
図８は本発明の第３実施例を示すくわえ爪動作切替手段の構造を示す正面図、図９は同じくくわえ爪動作切替手段の構造を示す側面図である。
【００４３】
これは第１実施例における（第２実施例にもおいても同様であるが）上減速胴７のメインカム３２とサブカム３３をくわえ爪軸１１ａ〜１１ｄ側に、またカムフォロア３４，３５を印刷機フレーム２１側に設けた例である。
【００４４】
つまり、印刷機フレーム２１の所定位置に、前記カムフォロア３４に相当するピン（第１の作動部材）３４Ａを固定すると共に、前記カムフォロア３５に相当するピン（第２の作動部材）３５Ａをエアシリンダ５０により胴軸方向へ移動可能に設ける一方、前記メインカム３２に相当するメインカムレバー３２Ａを前記くわえ爪軸１１ａ〜１１ｄ上にそれぞれ固設すると共に、前記サブカム３３に相当するサブカムレバー３３Ａを前記くわえ爪軸１１ｂ，１１ｄ上に前記カム３２Ａの内方に隣接してそれぞれ固設する。
【００４５】
そして、平行折り合流排紙（上段の一系列にて排紙）の時は、ピン３５Ａを実線位置に位置させることで、メインカムレバー３２Ａのみがピン３５Ａ及び３４Ａと係合してくわえ爪１２ａ〜１２ｄが開→閉→開と動作し、平行二段排紙（上，下二段の二系列にて排紙）の時は、ピン３５Ａを二点鎖線位置に位置させることで、くわえ爪軸１１ａ，１１ｃ上のメインカムレバー３２Ａがピン３５Ａ及び３４Ａと係合しかつくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄ上のサブカムレバー３３Ａがピン３５Ａと係合して、くわえ爪１２ａ，１２ｃが開→閉→開と動作すると共にくわえ爪１２ｂ，１２ｄが大きく退避するようになっている。
【００４６】
この実施例でも、第１実施例と同様の作用・効果が得られる。
【００４７】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能である。例えば、シリンダ構成を断裁胴，折胴，くわえ胴，上減速胴，下減速胴から構成される５胴型から断裁胴，折胴，くわえ胴，減速胴，第１渡胴，第２渡胴から構成される６胴型に変更したり、くわえ板（軸）を円周方向に２箇所，上流側のくわえ爪（軸）を円周方向に２箇所又は１箇所，下流側のくわえ爪（軸）を円周方向に１箇所又は２箇所としても良く、さらに、くわえ板（軸）及び上，下流側のくわえ爪（軸）が偶数箇所備えられていても良い。また、くわえ板〜くわえ爪の折丁受渡しをくわえ爪〜くわえ爪の折丁受渡しに変更したり、上減速胴のくわえ爪の動作の内くわえ爪中開きの動作を廃止してくわえ爪大開きの動作に紙放し機能を兼用させるようにしても良い。また、上減速胴７におけるくわえ爪軸１１ｂ，１１ｄの軸端に取り付けたカムフォロア３５を二個に分割してメインカム３２とサブカム３３とにそれぞれ個別に従動させるようにしても良い。また、前記サブカム３３を回動自在に構成したが胴軸方向へ移動可能に構成し、くわえ爪１２ａ，１２ｃを退避させる時に前記カムフォロア３５と係合させても良い。
【００４８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シート状物を保持するシート保持手段を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第１の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第２の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を備え、回動自在に支持された第３の胴と、前記シート状物を前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置にのみ渡す搬送経路と、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置及び前記第３の胴のくわえ爪装置とに渡す搬送経路に切り替える切替機構を備えたシート状物の搬送経路切替装置において、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を、前記シート状物をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記第１の胴に保持されたシート状物から退避した退避位置とを採ることを可能とするくわえ爪動作切替手段を備えたことを特徴とするので、シリンダの位相を変更することなく搬送経路の切替えが行えて、搬送精度の安定化と搬送経路切替構造の簡素化が図れる。
【００４９】
また、前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に移動可能に支持された第２の作動部材を備え、前記第２の作動部材により、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を前記退避位置へ移動させることを特徴とするので、簡単な構造の切替手段により精度良くくわえ爪動作の切替えが行える。
【００５０】
また、前記くわえ爪動作切替手段は、装置フレーム側に固定され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪をくわえ位置に動作させるカム曲線を有するメインカムと、装置フレーム側に移動可能に支持され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪を退避位置に動作させるカム曲線を有するサブカムとを備えたカム機構であることを特徴とするので、簡単な構造の切替手段により精度良くくわえ爪動作の切替えが行える。
【００５１】
また、前記くわえ位置と前記退避位置との間に、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置へシート状物を受け取る開き位置を備えたことを特徴とするので、くわえ爪を細かく動作させられ、より高精度にシート状物の受渡しが行える。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図である。
【図２】同じくカム機構の構造図である。
【図３】同じく動作説明図である。
【図４】同じく動作説明図である。
【図５】本発明の第２実施例を示す輪転印刷機の折機の胴配列図である。
【図６】同じく動作説明図である。
【図７】同じく動作説明図である。
【図８】本発明の第３実施例を示すくわえ爪動作切替手段の構造を示す正面図である。
【図９】同じくくわえ爪動作切替手段の構造を示す側面図である。
【符号の説明】
１ 平行折装置
２ 断裁胴
３ 折胴
４ くわえ胴
５ａ〜５ｄ くわえ板
６ａ〜６ｄ くわえ板軸
７ 上減速胴
８ 下減速胴
９ 上チョッパ折装置
１０ 下チョッパ折装置
１１ａ〜１１ｄ くわえ爪軸
１２ａ〜１２ｄ くわえ爪（装置）
１３ａ〜１３ｄ くわえ爪軸
１４ａ〜１４ｄ くわえ爪（装置）
１５ 羽根車
１６ コンベア１６
２０ カム機構
２１ 印刷機フレーム
２２ 軸受
２３ ボルト
２４ メインカム
２４ａ くわえ板開き用カム曲線
２４ｂ くわえ板閉じ用カム曲線
２５ａ，２５ｂ 歯車
２６ サブカム
２６ａ くわえ板開き用カム曲線
２６ｂ くわえ板閉じ用カム曲線
２７ カムフォロア
２８ カムフォロア
２９ ハンドル
３０ クランプ
３１ カム機構
３２ メインカム
３２Ａ メインカムレバー
３２ａ くわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線
３２ｂ くわえ爪閉じ用（折丁くわえ用）カム曲線
３３ サブカム
３３Ａ サブカムレバー
３３ａ くわえ爪中開き用（折丁放し用）カム曲線
３３ｂ くわえ爪大開き用（折丁退避用）カム曲線
３４ カムフォロア
３４Ａ ピン
３５ カムフォロア
３５Ａ ピン
４０ メインカム
４０ａ くわえ板開き用カム曲線
４０ｂ くわえ板閉じ用カム曲線
４１ 軸受
４２ ボルト
４３ａ，４３ｂ 歯車
４４ ハンドル
４５ クランプ
５０ エアシリンダ
Claims (4)
- シート状物を保持するシート保持手段を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第１の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を円周方向に複数箇所備え、回動自在に支持された第２の胴と、前記第１の胴と対接し、シート状物を保持するくわえ爪装置を備え、回動自在に支持された第３の胴と、前記シート状物を前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置にのみ渡す搬送経路と、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置及び前記第３の胴のくわえ爪装置とに渡す搬送経路に切り替える切替機構を備えたシート状物の搬送経路切替装置において、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を、前記シート状物をくわえるくわえ位置と、前記くわえ位置から開いて前記第１の胴に保持されたシート状物から退避した退避位置とを採ることを可能とするくわえ爪動作切替手段を備えたことを特徴とするシート状物の搬送経路切替装置。
- 前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に移動可能に支持された第２の作動部材を備え、前記第２の作動部材により、前記第２の胴の前記くわえ爪装置を前記退避位置へ移動させることを特徴とする請求項１記載のシート状物の搬送経路切替装置。
- 前記爪動作切替手段は、装置フレーム側に固定され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪をくわえ位置に動作させるカム曲線を有するメインカムと、装置フレーム側に移動可能に支持され前記くわえ爪装置の爪軸上のカムフォロアが従動してくわえ爪を退避位置に動作させるカム曲線を有するサブカムとを備えたカム機構であることを特徴とする請求項１記載のシート状物の搬送経路切替装置。
- 前記くわえ位置と前記退避位置との間に、前記第１の胴のシート保持手段から前記第２の胴のくわえ爪装置へシート状物を受け取る開き位置を備えたことを特徴とする請求項１，２又は３記載のシート状物の搬送経路切替装置。
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