JP4264293B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行用エンジンの出力で圧縮機を運転する車両用空調装置に係り、特に、冷媒の漏出による冷媒不足の状態を検出するのに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、快適な車室内環境を提供する車両用空調装置が知られている。このような車両用空調装置は、車両走行用エンジンの出力の一部を利用して運転される圧縮機と、外気と熱交換を行ってガス冷媒を凝縮させる凝縮器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、導入した空気と熱交換を行って液冷媒を気化させる蒸発器とが冷媒配管で連結されてなる閉回路の冷凍サイクルを備えている。なお、上述した蒸発器は、通常HVAC(Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)ユニット内にヒータコアと共に設置され、導入した空気(内気または外気)の冷却及び除湿を行うものである。
【0003】
図4は、従来の一例として車両用空調装置の冷凍サイクルを示す系統図であり、図中の符号1は圧縮機、2は凝縮器、3は膨張弁、4は蒸発器、5は冷媒配管である。この場合の圧縮機1は、車両走行用のエンジンEを駆動源とし、電磁クラッチ6及びベルト7を介したベルト駆動により、エンジン出力の一部を使用して運転される。
このような車両用空調装置では、冷媒の循環系統(冷凍サイクル)から冷媒が漏出して冷媒不足(以下、「ガスロー」と呼ぶ)になると、冷房感不足に加えて、冷媒と共に循環する潤滑油の循環量も減少して圧縮機1の潤滑油不足になったり、あるいは、圧縮機1の内部温度を上昇させるるという問題が生じる。
【0004】
上述した圧縮機1の潤滑油不足や内部温度の上昇は、これを放置しておくことにより圧縮機1の破損につながるおそれがある。
そこで、従来の車両用空調装置には、圧縮機1の吐出口付近に設けた温度センサ8が所定値以上の高温を検出したとき、電磁クラッチ6へ通電する電源系統の電源ハーネスP1を遮断する保護装置が設けられている。従って、電源11からの通電を遮断することにより電磁クラッチ6が切断(OFF)されるので、ガスロー状態では圧縮機1の運転が停止することとなる。
なお、この場合の温度センサ8はバイメタル式のスイッチであり、第1の所定温度以下で電源系統を通電状態(ON)とし、第2の所定温度以上で通電を遮断(OFF)するようになっている。
【0005】
また、上述した従来の車両用空調装置は、十分な冷媒量が循環する通常の運転状態において、冷えすぎで蒸発器4に霜付きが生じるのを防止するため、フロストサーモ9と呼ばれている温度センサを備えている。このフロストサーモ9は、蒸発器4を通過した導入空気の温度を検出して制御部10に入力するものであり、検出温度が所定値以下の低温となった場合に電磁クラッチ6を切断し、圧縮機1の運転を停止している。
なお、十分な冷媒量がある通常の運転状態で霜付きを生じると、蒸発器4を通過して流れる空気量が減少するので霜付きはさらに促進され、冷媒が液相のまま圧縮機に吸引されることになって好ましくない。
【0006】
この他にも、車両用空調装置において圧縮機を保護する従来技術としては、圧縮機の冷媒吐出口近傍に設けた温度センサと、蒸発器の出口に設けられた凍結防止用の温度センサ(フロストサーモ)とを利用し、両温度センサの検出温度があらかじめ設定された条件になったとき、圧縮機の駆動軸をエンジンの出力軸から切り離すように制御するものがある。(たとえば、特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】
特開平11−139153号公報(第2−3頁、図1−図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、車両用空調装置においてガスロー状態になると、最悪の場合圧縮機の破損に至ることが懸念されるため、ガスロー状態を確実に検出することが重要である。一方、商品力を向上させるためには、ガスロー状態を安価に検出することも必要である。従って、車両用空調装置の冷凍サイクルがガスロー状態にあることを容易かつ確実に検出でき、しかも、コストを抑制して安価にすることが望まれる。
なお、上述した従来技術によれば、いずれの場合も圧縮機出口付近に設けた温度センサが必要となる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、圧縮機を保護するため、ガスロー状態を容易かつ比較的安価に検出することができる車両用空調装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の車両用空調装置は、車両走行用エンジンにより駆動される圧縮機と、冷媒を圧縮して冷凍サイクルを循環させる当該圧縮機をON/OFFするON/OFF手段と、当該ON/OFF手段を制御する制御部と、を備える車両用空調装置において、前記制御部は、取得した外気温度に応じて前記ON/OFF手段の作動回数または前記冷媒の高圧圧力のいずれを検出情報として取得するかを選択し、取得した検出情報に応じた基準値であって取得した前記外気温度に対応した基準値と前記検出情報とを比較し、当該検出情報が前記基準値以下の場合に異常状態にあると判定することを特徴とするものである。
【0011】
このような車両用空調装置によれば、取得した外気温度に応じて、ON/OFF手段の作動回数または高圧圧力のいずれを検出情報とするかを選択し、冷媒量が減少することにより変化する状態量として、ON/OFF手段の作動回数または高圧圧力の一方を検出情報として用いて異常状態を判断するので、外気温が変化しても確実に冷媒量の異常を判断し、容易かつ安価に圧縮機の保護制御を行うことが可能になる。
【0013】
また、請求項1に記載の車両用空調装置においては、前記制御部は、前記基準値として所定の低冷媒量時における前記作動回数を記憶することが好ましく、これにより、外気温度が低くても確実に冷媒量の異常を判断できる。すなわち、実用上問題のない冷媒量がある場合と比較して、ガスローにより冷媒量が不足している場合には蒸発器の冷却能力が低下するため、ON/OFF手段の作動回数が大幅に減少することから冷媒不足と判断し、圧縮機の運転を停止することができる。
【0014】
また、請求項1に記載の車両用空調装置においては、前記制御部は、前記基準値として所定の低冷媒量時における冷媒の高圧圧力を記憶することが好ましく、外気温度が高くても確実に冷媒量の異常を判断できる。
【0015】
加えて、請求項1乃至請求項3に記載の車両用空調装置においては、前記制御部は、異常状態にあると判定した場合に、前記ON/OFF手段をOFFにすることが好ましく、これにより圧縮機の破損を防止できる。
また、請求項1乃至請求項4に記載の車両用空調装置においては、ユーザに異常を報知する異常状態報知部をさらに有するものであって、前記制御部は、異常状態にあると判定した場合に、前記異常状態報知部に異常を報知させることが好ましく、これにより、車両用空調装置の異常を的確に呈示できる。
【0016】
請求項1乃至記載の車両用空調装置においては、前記制御部は、前記車両走行用エンジンの回転数に応じて前記基準値を補正し、補正後の基準値と前記検出情報とを比較することが好ましく、これにより、エンジン回転数と連動する圧縮機の回転数に応じて冷媒循環量が変動し、この影響を受ける冷却能力に基づいた補正が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空調装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す冷凍サイクルの系統図において、図中の符号1は圧縮機、2は凝縮器、3は膨張弁、4は蒸発器、5は冷媒配管である。
圧縮機1は、車両走行用のエンジンEを駆動源として運転され、ガス冷媒を圧縮して冷凍サイクルに送出する機能を有するものである。この圧縮機1は、電磁クラッチ(ON/OFF手段)6及びベルト7を介してエンジンEの出力軸に連結され、エンジン出力の一部を使用してベルト駆動により運転される。
【0018】
電磁クラッチ6は、制御部10内で生成される制御信号により電源ハーネスP1を介して電源11から通電されている場合に接続(ON)状態となり、エンジンEの出力が圧縮機1へ伝達される。すなわち、電磁クラッチ6をONにすれば圧縮機1は運転状態となる。また、制御部10内で生成される制御信号が電源11からの通電を遮断した場合に切断(OFF)状態となり、圧縮機1の運転は停止される。
【0019】
凝縮器2は、冷媒配管5を通って圧縮機1から送られてきたガス冷媒と外気との間で熱交換を行う熱交換器である。凝縮器2では、ガス冷媒から外気へ放熱することにより、ガス冷媒が凝縮して液冷媒となる。この液冷媒は、膨張弁3を通過して減圧された後、冷媒配管5を通って蒸発器4へ導かれる。
【0020】
蒸発器4は、HVACユニット内に設置され、膨張弁3で減圧された液冷媒と空調する導入空気(内気または外気)との間で熱交換を行う熱交換器である。蒸発器4では、液冷媒が気化する際に導入空気から気化熱を奪って冷却及び除湿する。この結果、液冷媒は低温低圧のガス冷媒となって圧縮機1に吸引され、以下同様の経路で冷媒配管5を循環して冷凍サイクルを形成する。
【0021】
一方、蒸発器4で冷却及び除湿された導入空気は、車両用空調装置に設定された吹出温度や吹出モード等の諸条件に応じて、図示しないHVACユニット内のヒータコアを通過して加熱される空気量が調整される。この結果、導入空気は所望の温度に調整され、吹出口より車室内へ吹き出される。
【0022】
さて、上述した車両用空調装置では、冷凍サイクルを循環する冷媒量が漏出して減少したガスロー状態を検出するため、以下に説明するような制御を行う。
通常の車両用空調装置は、蒸発器4を通過した導入空気の出口温度Teを検出するフロストサーモ(凝縮器出口温度センサ)9、外気温を検出して制御部10へ入力する外気温度センサ12、車両用空調装置の各種設定操作を行うための空調操作部13等を備えている。
また、エンジンEには回転数検出センサ14が設けられており、検出したエンジン回転数は車両の各種運転制御に使用されている。そして、車両用空調装置の制御部10にも、回転数検出センサ15の検出値(エンジン回転数)が入力されるようになっている。
【0023】
このような車両用空調装置では、冷媒の循環系統(冷凍サイクル)から冷媒が漏出した異常状態、いわゆるガスロー状態(たとえば規定量の20〜30%程度)になると、凝縮器4における導入空気の冷却能力が低下するので、通常の冷媒量が循環する場合と比較して圧縮機1のON/OFF回数が極端に減少する。すなわち、十分な冷媒量が冷凍サイクルを循環している場合には、冷えすぎにより蒸発器4に霜が付着するのを防止するため、フロストサーモ9で検出した導入空気の温度が所定値以下の低温になると電磁クラッチ6をOFFにして圧縮機1の運転を停止する圧縮機保護制御がある程度周期的に行われているのに対し、ガスロー状態では霜が付着する度合いが低くなり、電磁クラッチ6のON/OFF指示が頻繁に行なわれなくなる現象がおきることになる。
【0024】
そこで、本発明では、電磁クラッチ6がON/OFFする作動回数を、冷媒量が減少することにより変化する状態量として検出情報に定め、この作動回数からガスロー状態を判断し、圧縮機1の保護制御を行う。
これを具体的に説明すると、外気温度センサ12で検出される外気温度Toに基づく電磁クラッチ6の通常の作動回数、すなわち、圧縮機1の実使用面から見て十分な冷媒量がある場合において、電磁クラッチ6がON/OFFする単位時間当たりの作動回数を基準値Nsとして予め定めておく。この基準値は、外気温度Toに対応して制御部10のメモリ部(記憶装置)に記憶されている。
なお、多少の冷媒漏出があっても実使用面からは問題が生じないので、ここでいう十分な冷媒量とは冷風感を失うことのないレベルの冷媒量であれば足りるものである。具体的には、本実施形態では、たとえば規定量の40%前後の低冷媒量時の作動回数を基準値Nsとして用いる。
【0025】
続いて、制御部10におけるガスロー状態の判断を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
スタートしてから最初のステップ1(S1)では、外気温度センサ12から制御部10へ入力される外気温度Toを読み込む。
続くステップ2(S2)では、フロストサーモ9の検出値から導き出される圧縮機吸込温度Tsを読み込む。この圧縮機吸込温度Tsは、フロストサーモ9が検出して制御部10に入力される導入空気の出口温度Teから導き出されるものである。なお、圧縮機1に吸入される冷媒温度を検出する温度センサを設けて、直接圧縮機吸込温度Tsを検出してもよい。
【0026】
次のステップ3(S3)では、制御部10に入力された外気温度Toと圧縮機吸込温度Tsとを比較する。
この結果、外気温度Toが圧縮機吸込温度Tsよりも小さい(To<Ts)ために「YES」と判断された場合には、次のステップ4(S4)へ進み、外気温度Toが圧縮機吸込温度Ts以上(To≧Ts)のために「NO」と判断された場合にはスタートへ戻る。ここで、外気温度Toが圧縮機吸込温度Ts以上の場合に「NO」と判断してスタートへ戻すのは、凝縮器4へ霜が付着する環境にあって圧縮機1が停止されているためである。
【0027】
次のステップ4(S4)では、圧縮機稼働率Nを計算する。この圧縮機稼働率Nは、単位時間当たりにおける電磁クラッチ6のON/OFF回数のことであり、運転中に発生した実際のON/OFF作動回数を検出情報として制御部10でカウントすることにより得られる。
ステップ4で得られた圧縮機稼働率Nは、次のステップ5(S5)において、予め記憶された基準値Nsと比較される。ここで使用する基準値Nsは、ステップ1で読み込んだ外気温度Toに対応する値が使用される。具体的には、制御部10は、メモリ部に基準値として所定の低冷媒量時における作動回数と外気温度と対応付けて記憶する。そして、制御部10は、外気温度をインデックスとして基準値Nsを取得し、検出情報として検出した圧縮気稼働率N(作動回数)とこの基準値Nsとを比較判断する。この結果、圧縮機稼働率Nが基準値Ns以上(N≧Ns)のために、すなわち電磁クラッチ6のON/OFF回数が基準値Ns以上であるため「NO」と判断された場合には、冷凍サイクルを循環する冷媒量は正常と判断してスタートに戻る。
【0028】
しかし、圧縮機稼働率Nが基準値より小さい(N<Ns)ために、すなわち電磁クラッチ6のON/OFF回数が基準値Nsより少ないために「YES」と判断された場合には、冷凍サイクルを循環する冷媒量が少ないガスロー状態と判断される。
これは、ガスロー状態では冷媒量の循環量が少ないため、凝縮器4で気化する液冷媒量も少なくなり、結果的に導入空気から奪う気化熱量が減少して冷却能力を低下させるためである。従って、凝縮器4の下流側でサーモセンサ9が検出する導入空気の温度は、冷却能力の低下により規定の冷媒量が循環する通常運転時よりも高くなり、霜付き防止のために予め設定された低い温度(たとえば2〜3℃程度)まで低下しにくくなる。
【0029】
すなわち、ガスロー時における電磁クラッチ6のON/OFF回数は、正常な状態と比較して極端に少なくなる。ちなみに、通常の冷媒循環量を保有し、春先や秋口のように比較的外気温度Toが低い場合には、圧縮機1を運転すると短時間(たとえば5秒程度)で霜付き防止の保護制御が作動して電磁クラッチ6はOFFとなってON/OFF回数は増加するが、ガスロー状態では冷却能力が低いため、霜付き防止の保護制御を作動させるほどの低温となるにはかなり長い時間が必要となってON/OFF回数は減少する。
【0030】
このようにして、ステップ5でガスロー状態と判断された場合には、次のステップ6(S6)で電磁クラッチ6がOFFとされる。従って、エンジンEの出力軸から切断され、圧縮機1の運転は停止される。すなわち、従来使用していた出口温度検出用の温度センサ8を廃止しても、通常の車両用空調装置が備えている他のセンサ類(フロストサーモ9及び外気温度12)の検出値を有効に利用し、ガスロー状態を検出して圧縮機1の運転を停止する圧縮機保護が可能になり、潤滑油不足等により圧縮機1が破損に至るのを防止することができる。
【0031】
ところで、上述した実施形態では電磁クラッチ6の作動回数をカウントし、基準値Nsと比較してガスロー状態を判断しているが、上述した基準値Nsは、エンジンEの回転数による補正を加えることが望ましい。すなわち、エンジンEを駆動源とする車両用空調装置の場合、圧縮機1の運転は車両走行状態で変動するエンジンEの回転数による影響は避けられない。
具体的に説明すると、冷媒量が同じガスロー状態の場合であっても、エンジン回転数が低いアイドリング状態と、エンジン回転数が高い中速及び高速の走行状態とでは、圧縮機1が運転される回転数も異なるため、冷媒循環量にも差が生じてくる。
【0032】
このため、エンジン回転数に応じた補正を行わない場合には、基準値Nsが同じであれば、エンジン回転数が高いほど見かけの冷媒量が多くなり、冷却能力は高くなる。そこで、このような差を補正するため、エンジンEに通常設けられている回転数検出センサ14の検出値を制御部10にもらい受け、この値に基づいて基準値Nsを次のように補正する。
すなわち、エンジン回転数が大きいほど見かけの冷媒循環量は多くなるため、冷却能力が増加して電磁クラッチ6がON/OFFする作動回数も多くなる。従って、エンジン回転数が大きくなるにつれて、基準値Nsも大きな値となるように設定(補正)すればよい。なお、このようなエンジン回転数による補正は、特に外気温度Toが高い領域において有効となる。
【0033】
以上説明したように、冷媒を圧縮して冷凍サイクルを循環させる圧縮機1がON/OFF手段としての電磁クラッチ6を介して車両走行用エンジンEの出力軸に連結される構成を採用し、また、外気温度に基づくON/OFF手段の通常の作動回数を作動回数基準値としてあらかじめ定めておき、この作動回数基準値を制御部10が有するメモリ部に正常状態の値として記憶する。そして、運転時における実際の作動回数を所定時間毎にカウントして、カウント数と作動回数基準値とを比較し、このカウント数が作動回数基準値以下となった時、冷凍サイクルを循環する冷媒量が所定値以下の異常状態にあると判断する。
【0034】
より詳細には、制御部10は、所定の低冷媒量時におけるON/OFF手段の作動回数を外気温度に対応させて定めたON/OFF手段の作動回数基準値をあらかじめ設定し、運転時における実際の外気温度、ON/OFF手段の作動回数を検出し、実際の外気温度における前記ON/OFF手段の作動回数が前記基準値以下(ゼロを含む)となった時、冷凍サイクルを循環する冷媒量が所定値以下の異常状態にあると判断する。
このような処理を制御部10が行うので、容易かつ安価に圧縮機1の保護制御を行うことが可能になる。すなわち、十分な冷媒量がある場合と比較して、ガスローにより冷媒量が不足している場合には蒸発器4の冷却能力が低下するため、ON/OFF手段の作動回数が大幅に減少することから冷媒不足と判断し、圧縮機の運転を停止することができる。
【0035】
また、ガスロー状態の判断には、外気温度Toと圧縮機1の高圧圧力Hpとの実測値を利用してもよい。
ここで、外気温度Toとしては外気温度センサ12の検出値を使用し、高圧圧力Hpとしては圧力センサ15の検出値を使用する。圧力センサ15は、圧縮機1の出口(吐出)圧力を検出する高圧圧力検出手段として通常備えているものであり、その検出値は、高圧圧力Hpとして制御部10へ入力される。
【0036】
ここで、外気温度Toと圧縮機1の高圧圧力Hpとの実測値を使用したガスローの判断について具体的に説明する。
この判断を行うため、たとえば図3に示すように、所定の低冷媒量時における冷媒の高圧圧力を外気温度に対応させて定めた冷媒高圧基準値Hsを設定する。図示したアイドリング時の例では、所定(規定)の冷媒量に対して40%及び20%の低冷媒量時における高圧圧力Hp(Mp)を求め、横軸とした外気温度(To℃)に対応させて示してある。そして、40%及び20%の低冷媒量時における高圧圧力Hpの中間値を、低冷媒量時における冷媒高圧基準値Hsとして定める。
この冷媒高圧基準値Hsは、外気温度Toと対応させて制御部10のメモリ部に記憶されている。
【0037】
実際のガスロー判定は、圧縮機1の運転時における高圧圧力Hp及び外気温度Toを測定して実測値を求め、外気温度Toの実測値に対応する冷媒高圧基準値Hsと、高圧圧力Hpの実測値とを比較する。この結果、冷媒高圧基準値Hsより高圧圧力Hpの実測値が低い時に、ガスロー状態と判断して電磁クラッチ6をOFFとする。すなわち、エンジンEと圧縮機1との接続を切断して、圧縮機1の運転を停止する。
なお、ここでの低冷媒量とは、冷風感を失う直前の冷媒量(たとえば規定量の40%前後)とすることが好ましい。
【0038】
しかし、このようなガスロー判断は、外気温度Toが低い場合には判断が困難となる。すなわち、図3に示すように、低外気温度の状態では冷媒量が異なっても高圧圧力Hpの差は小さく、高圧圧力Hpから冷媒量を正確に判断することは困難である。従って、このようなガスロー判断は、外気温度Toがある程度高い場合、具体的には10〜15℃以上の高温領域において有効である。
【0039】
このため、上述した電磁クラッチ6の作動回数からガスロー状態を判断する制御と組み合わせて採用することが好ましい。具体的には、制御部10が外気温度Toを検出し、作動回数を検出情報とするか、高圧圧力を検出情報とするかを切換える切換判定温度と比較し、その比較結果に基づきいずれを検出情報とするかを選択する選択シーケンスを設け、異常判断の手法を切換えるものである。
この場合、外気温度Toが低い領域では電磁クラッチ6の作動回数からガスロー状態を判断し、外気温度Toが高い領域では高圧圧力Hpからガスロー状態を判断する。あるいは、外気温度Toが高い領域では、高圧圧力Hpと電磁クラッチ6の作動回数との両方から、すなわち両方がガスロー状態と判断するアンド条件が満たされた時に、最終的なガスロー状態と認定して電磁クラッチ6をOFFにしてもよい。
【0040】
このように、上述した本発明によれば、圧縮機1の出口付近に設けられていた温度センサが不要となり、通常の車両用空調装置及び車両走行用のエンジンEが従来より備えているセンサ類の検出値を有効に利用し、容易かつ確実なガスロー検出を行って安価に圧縮機1を保護することが可能となる。
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0041】
たとえば、高圧圧力を検出情報として冷媒量の異常を判断する場合にも、アイドリング状態と走行状態とで圧縮機の回転数が異なるのは同じであるので、高圧圧力を検出情報とする場合にも、冷媒高圧基準値にエンジン回転数に基づく補正をかけることが望ましい。
【0042】
また、車両用空調装置の空調操作部13に、警告ランプなどのユーザに異常を報知する異常状態報知部をさらに設けてもよい。詳細には、制御部10は、前述したようなシーケンスにより異常状態にあると判定した場合に、異常状態を報知するべきとする報知指示信号を生成して異常状態報知部に送り、警告ランプを点灯させるなどの異常状態報知部に異常を報知させる処理を行なうようにしてもよい。このように報知する構成を採用することにより、車両用空調装置の異常を的確にユーザに呈示でき、圧縮機が破損する前に正常状態に復帰させることも可能となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の車両用空調装置によれば、冷媒量が減少することにより変化する状態量としてON/OFF手段の作動回数または高圧圧力のうち少なくとも一方を検出情報として用い、異常状態を判断するようにしたので、容易かつ比較的安価に圧縮機の保護制御を行うことが可能になる。この場合の制御部は、取得した外気温度に応じて作動回数または高圧圧力の何れか一方を検出情報として選択するので、外気温度が変化しても確実に冷媒量の異常を判断することができる。
【0044】
また、たとえば外気温度に基づくON/OFF手段の通常の作動回数を基準値としてあらかじめ定めておけば、運転時における実際の作動回数をカウントすることにより、このカウント数が基準値以下となった時、冷凍サイクルを循環する冷媒量が所定値以下の異常状態(ガスロー状態)にあると判断することができ、通常備えているセンサ類の検出値を有効利用し、制御部内の判断で容易かつ比較的安価に圧縮機の保護制御を行うことが可能になる。
【0045】
また、所定の低冷媒量時における冷媒の高圧圧力を外気温度に対応させて定めた冷媒高圧基準値を設定しておき、運転時における高圧圧力及び外気温度を測定した実測値を求め、外気温度の実測値に対応する冷媒高圧基準値と高圧圧力の実測値とを比較し、冷媒高圧基準値より高圧圧力の実測値が低い時に異常状態(ガスロー状態)と判断するようにすれば、特に外気温度が高い領域における確実な異常の判断が可能となる。この場合、ON/OFF手段の作動回数と併用してガスロー状態を判断すれば、広い温度領域で正確なガスロー状態の判断が可能である。
【0046】
また、エンジン回転数と連動する圧縮機の回転数に応じて冷媒循環量が変動するので、基準値をエンジン回転数に応じて適宜補正すれば、エンジン回転数による冷媒循環量の変動が反映されるようになり、より一層正確なガスロー状態の判断が可能になる。
そして、上述した異常状態の判定がなされた場合には、ON/OFF手段をOFFにして圧縮機を破損から確実に保護したり、あるいは、異常状態報知部に異常を報知させてユーザーに車両用空調装置の異常を的確に呈示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用空調装置の一実施形態として、冷凍サイクルの構成例を示す系統図である。
【図2】 図1における制御部内で行われるガスロー判断を示すフローチャートである。
【図3】 外気温度T0 と高圧圧力Hpとの実測値を使用したガスローの判断を説明するためのグラフである。
【図4】 車両用空調装置の従来例として、冷凍サイクルの構成例を示す系統図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 膨張弁(絞り手段)
4 蒸発器
5 冷媒配管
6 電磁クラッチ(ON/OFF手段)
9 フロストサーモ(凝縮器出口温度センサ)
10 制御部
11 電源
12 外気温度センサ
14 回転数検出センサ
15 圧力センサ(高圧圧力検出手段)

Claims (6)

  1. 車両走行用エンジンにより駆動される圧縮機と、冷媒を圧縮して冷凍サイクルを循環させる当該圧縮機をON/OFFするON/OFF手段と、当該ON/OFF手段を制御する制御部と、を備える車両用空調装置において、
    前記制御部は、取得した外気温度に応じて前記ON/OFF手段の作動回数または前記冷媒の高圧圧力のいずれを検出情報として取得するかを選択し、取得した検出情報に応じた基準値であって取得した前記外気温度に対応した基準値と前記検出情報とを比較し、当該検出情報が前記基準値以下の場合に異常状態にあると判定することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記制御部は、前記基準値として所定の低冷媒量時における前記作動回数を記憶することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記制御部は、前記基準値として所定の低冷媒量時における冷媒の高圧圧力を記憶することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記制御部は、異常状態にあると判定した場合に、前記ON/OFF手段をOFFにすることを特徴とする請求項1乃至に記載の車両用空調装置。
  5. 前記車両用空調装置はユーザに異常を報知する異常状態報知部をさらに有するものであって、前記制御部は、異常状態にあると判定した場合に、前記異常状態報知部に異常を報知させることを特徴とする請求項1乃至に記載の車両用空調装置。
  6. 前記制御部は、前記車両走行用エンジンの回転数に応じて前記基準値を補正し、補正後の基準値と前記検出情報とを比較することを特徴とする請求項1乃至に記載の車両用空調装置。
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