JP4263447B2 - 媒体攪拌型粉砕装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、攪拌部材が取り付けられた攪拌軸を備えるベッセル内に粉砕用固形媒体を充填し、被処理物である固形粒子を含むスラリーを該ベッセル内に導入して攪拌軸を回転させながら固形粒子の粉砕を行う媒体攪拌型粉砕装置に関する。特に本発明は、限定する意味ではないが、鉱物、顔料、染料、化成品、フェライト、セラミック、金属などを微細に粉砕し、或いは、これら材料の微粒子を分散して、塗料、印刷インク、顔料、磁性塗料、ゴム、接着剤、化粧品、塗り薬のような医薬品などを調整する目的に使用される媒体攪拌型粉砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の媒体攪拌型粉砕装置は、図6(a)(b)に示すように、両端が蓋板101、102により閉じられたシリンダー状のベッセル103に同軸に、ピン又は円板104等の攪拌部材を有する攪拌軸107を設け、ベッセル103内にジルコニアビーズ、ガラスビーズ等の粉砕用固形媒体105を充填し、該ベッセル103内に、一方の蓋板102に設けたスラリー導入口106から被処理物である固形粒子を含むスラリーを導入し、攪拌軸107を回転駆動することによって、粉砕用固形媒体に運動を与え、媒体間を通過するスラリーに媒体間の摩擦によるせん断力を作用させて、固形粒子の粉砕を行うように構成されている。ベッセル103の他方の蓋板101の近傍には、粉砕用媒体分離機構112、113により出口スリットが形成され、ベッセル103を通過したスラリーは、このスリットを通り、蓋板101に設けたスラリー出口108から排出される。この装置は、通常は、スラリー導入口106から連続的に未処理スラリーを導入し、スラリー出口108から連続的に処理済みスラリーを排出するという連続処理に使用される。この連続処理では、スラリーは、必要に応じて何回でも、ベッセル103内に循環させることが可能である。この媒体攪拌型粉砕装置は、スラリーに含まれる固形粒子を非常に微細な粒子サイズまで粉砕することができる。ベッセル103の外側には冷却剤循環用ジャケット109が形成され、冷却剤入口110から冷却水等の冷却剤を導入し、冷却剤出口111から排出することにより、冷却剤の循環流を生じさせて、ベッセル103内部のスラリーの冷却を行うことができる。
【0003】
ところで、近年では、固形粒子の微細粒子化に対する要求は極めて高くなっており、ナノメーターサイズまでの微細化が求められるようになっている。このような要求に対処するためには、粉砕用固形媒体の大きさを一層小径化することが必要になる。しかし、媒体の径を小さくすると、媒体から被処理物である固形粒子に作用させる粉砕力は、媒体径に逆比例して高めなければならなくなる。そのため、要求される運転動力はその分だけ大きくなり、同時に運転速度も高めなければならなくなる。また、要求される粉砕粒子径を達成するためには、処理時間すなわちベッセル内におけるスラリーの滞留時間も長くなる。これらの条件が重なって、粉砕用固形媒体や攪拌部材が磨耗し易くなり、スラリーのコンタミネーションが増加し、スラリーの温度上昇の問題も生じてくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、固形粒子の微細化に対する要求に伴って生じるコンタミネーションの増加、運転動力の増大、及び、スラリー温度の上昇という問題を軽減ないしは解消して、近年特に著しい、一層の固形粒子微細化に対する要求に応え得る媒体攪拌型粉砕装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、媒体攪拌型2軸粉砕装置を提供する。本発明の一態様によれば、2軸粉砕装置は、2つのシリンダーが組み合わされて断面形状が8字形に形成されたダブルシリンダー形状のベッセルと、前記ベッセルの長さ方向両端部にそれぞれ設けられた蓋板と、該ベッセルの8字形を形成する2つのシリンダーのそれぞれの軸心に各1本ずつ配置された2本の攪拌軸と、攪拌軸の各々に軸方向に相互に間隔をもって取り付けられた複数個の攪拌部材と、2本の攪拌軸を互いに反対方向に同一の回転速度で回転するように駆動する駆動手段と、ベッセル内に対し被処理物であるスラリーを導入及び排出するために前記蓋板の少なくとも一方に設けられたスラリー導入口及び排出口と、を備える。ベッセル内には粉砕用固形媒体を充填して攪拌軸を回転駆動しながらスラリーに含まれる固形粒子の粉砕を行う。2本の攪拌軸に取り付けられる複数の攪拌部材は、該攪拌軸の軸方向投影において互いに重なる長さを有し、隣り合った攪拌軸に取り付けられる攪拌部材は回転中に互いに干渉を生じないように配置される。さらに、攪拌軸の各々には、軸方向に離れた複数の位置の各々において、該攪拌軸として2個のほぼ同一形状の上記板状部材が対をなして軸線方向に互いに密接した関係で、かつ、角度方向に60度から80度の範囲内の角度で互いにずらされて取り付けられ、2個の前記部材の各対は、他の対に対して軸線方向に間隔をもって配置される。この粉砕装置においては、攪拌部材は、2本の攪拌軸が互いに反対方向に回転駆動されたとき、隣り合った攪拌軸上の攪拌部材が重なり合う領域においてベッセル内の粉砕用固形媒体が密な状態となり、攪拌軸の軸方向にほぼ沿って一方向に動くように強制され、攪拌部材が重なり合う領域とは反対側の領域において疎な状態となり、上記の一方向とは反対方向に動く循環運動を生じさせる形状に構成される。
【0006】
本発明の別の態様では、攪拌部材の各々は、中心が攪拌軸と同軸で該攪拌軸から放射状に延びるように該攪拌軸に固定された板状部材であり、該板状部材は回転方向前縁部に傾斜面が形成される。この傾斜面により、ベッセル内の粉砕用固形媒体に、上述した一方向の動きが誘起される。本発明のさらに別の態様では、攪拌部材の各々は、中心が攪拌軸と同軸で該攪拌軸から放射状に延びるように該攪拌軸に固定されたほぼ矩形形状の板状部材であり、該矩形形状の板状部材は回転方向前縁部が先端に向かって斜めに切り欠かれた形状であり、この斜めに切り欠かれた部分の縁部には傾斜面が形成される。本発明のこれらの態様において、攪拌部材を構成する板状部材は、各々の攪拌軸の軸方向に離れた複数の位置の各々において、2つのほぼ同一形状の板状部材が、対をなして、かつ、角度方向にずらされて配置される。この場合、対をなす板状部材の角度方向のずれは、60度から80度の範囲とする。
【0007】
さらに、本発明の粉砕装置においては、ベッセルの外周部に熱媒体のためのジャケットを形成することができる。また、攪拌軸の各々には、上述の一方向とは反対側の端部付近に、円板の外周に放射状に突出する複数個のピンを配置したピン型攪拌部材が取り付けることもできる。
【0008】
本発明の媒体攪拌型粉砕装置を使用してスラリー内の固形粒子の粉砕を行う場合には、2本の攪拌軸を互いに反対方向に同一回転速度で回転駆動し、2本の攪拌軸に取り付けられた攪拌部材が互いに重なり合う領域において粉砕用固形媒体が蜜になる状態を生成させ、該粉砕用固形媒体が攪拌軸の軸方向に沿った一方向に動き、該攪拌部材が互いに重なり合う領域とは反対側の領域において該粉砕用固形媒体が疎になる状態を生成させ、該粉砕用固形媒体が上記一方向とは反対方向に動くようにして、粉砕用固形媒体の循環運動を該粉砕用固形媒体に生じさせる。
【0009】
このように、本発明による媒体攪拌型粉砕装置においては、攪拌部材を有する2本の攪拌軸が並置され、2本の攪拌軸に取り付けられた攪拌部材が軸方向にみて互いに重なり合う状態で互いに反対方向に回転駆動される。したがって、粉砕用固形媒体は、攪拌部材が軸方向にみて互いに重なり合う領域に密集する傾向を生じる。そして、2本の隣り合う攪拌軸上の攪拌部材は、粉砕用固形媒体を同じ軸方向に推進する作用を生じるように構成されているので、攪拌部材が軸方向にみて互いに重なり合う領域においては、2本の攪拌軸上に設けられた攪拌部材の推進作用が重畳され、この領域では、媒体が攪拌部材の推進作用方向に動かされる。その結果として、この領域以外の領域では、粉砕用固形媒体は疎になり、攪拌部材の推進方向とは反対方向に動かされ、全体としてベッセル内において、媒体の活発な循環運動を生じる。この粉砕用固形媒体の活発な循環運動により、スラリーに含まれる固形粒子に対する粉砕作用が活発になり、媒体の粒径を小さくしなくても、満足な粉砕効果を得ることができる。この媒体の循環運動は、攪拌部材として板状の部材を使用し、該板状の部材を対にして、角度方向にずらして配置することにより、高めることができる。特に、角度方向のすれを60度から80度の範囲としたとき、媒体の循環運動は顕著に活発化される。最も好ましいすれ角は69度±1度である。
【0010】
また、攪拌軸の各々一端部付近に、円板の外周に放射状に突出する複数個のピンを配置したピン型攪拌部材が取り付けた構成では、板状攪拌部材により生じる粉砕用固形媒体の循環運動により、ピン型攪拌部材の領域における媒体の充填量を制御でき、この部分での粉砕作用を向上させることができる。この構成は、ピン型攪拌部材の領域を粉砕ゾーンと考え、板状攪拌部材の領域を媒体流動領域と考えることもできる。
【0011】
媒体攪拌型粉砕装置において、多軸構成を採用することは、例えば、特開平8−318145号公報、特開平9−103665号公報、実公平6−18577号公報、特公平4−43692号公報、特開平3−38904号公報などにより公知である。しかし、これら公知の2軸又は3軸の粉砕装置は、いずれも、多軸の採用により粉砕用固形媒体の軸方向の流動性を高めようとするものではない。本発明は、これら公知の多軸装置において、攪拌部材の構成を工夫することによって粉砕用固形媒体の軸方向の流動性を高め、媒体に軸方向の循環運動を生じさせて、粉砕効果を著しく高めることができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図について説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態による2軸媒体攪拌型粉砕装置1を示す縦方向断面図及び横断面図である。ベッセル2は、2つのシリンダーが組み合わされて横断面形状が8字形に形成されたダブルシリンダー形状であり、該ベッセル内には、その8字形を形成する2つのシリンダーのそれぞれの軸心に各1本の攪拌軸5a、5bがベッセルに対して回転自在に配置されている。
【0013】
ベッセル2の外周には冷却用又は加熱用の熱媒体を通すジャケット3が形成されている。ベッセルの軸方向一端は蓋部材4により、また他端は蓋部材9により閉じられている。攪拌軸5aには、軸方向に間隔をもった複数個所、本実施形態では3箇所に攪拌部材6aが取り付けられている。同様に、攪拌軸5bには、軸方向に間隔をもった複数個所、本実施形態では3箇所に攪拌部材6bが取り付けられている。撹拌軸5a、5bは、後述する駆動機構により、図2に矢印A、Bで示すように、互いに反対方向に回転駆動される。
【0014】
図2に示すように、撹拌軸5a上の攪拌部材6aの各々は、上下に密接して配置された対の板状部材7aから構成されている。板状部材7aは、中心が撹拌軸5aと同軸に該撹拌軸5aに取り付けられた部材であり、矩形形状から回転方向前縁8aが斜めに切り欠かれた形状である。板状部材7aの切り欠かれた前縁8aには、回転方向に傾斜する傾斜面が形成されている。同様に、撹拌軸5b上の撹拌部材6bの各々は、上下に密接して配置された対の板状部材7bから構成されている。板状部材7bは、回転方向前縁8bに傾斜面を有する。対をなす板状部材7a又は7bは、それらの長さ方向中心線が互いに角度αをなすように組み合わされる。この角度αは、60度から80度の範囲であることが好ましく、最も良い結果が得られる角度αは、69度である。
【0015】
図2に示すように、撹拌軸5a、5b上の撹拌部材6a、6bは、撹拌軸の軸方向にみて互いに重なり合う長さを有する。図1から分かるように、2本の撹拌軸5a、5bにおいて、対の板状部材7aからなる撹拌部材6aと、対の板状部材7bからなる撹拌部材6bとは、軸方向に互い違いに配置されており、撹拌軸5a上の撹拌部材6aと撹拌軸5b上の撹拌部材6bとが互いに干渉することはない。
【0016】
蓋部材9には被処理物である固形粒子を含むスラリーをベッセル2内に導入するスラリー給排口10が形成されており、このスラリー給排口10は、粉砕装置1の作動中は閉じられる。ベッセル2内には、ガラスビーズ又は鉄球などのような粉砕用固形媒体11が充填される。
【0017】
図3は、撹拌軸5a、5bの支持及び駆動機構の一例を具体的に示すものである。撹拌軸5a、5bの各々は、両端部が軸受け12により蓋部材4及び蓋部材9に支持されており、撹拌軸5a、5bの一端は、蓋部材4からベッセル2の外側に突出し、その突出端に傘歯車13a、13bが取り付けられている。ベッセル2の蓋部材4にほぼ平行に駆動軸14が配置され、該駆動軸14に設けられた傘歯車15a、15bが傘歯車13a、13bに噛み合っている。この駆動軸14は、ベルト・プーリー機構16のような適当な動力伝達機構を介して、図示しない動力源により駆動される。
【0018】
図1及び図2に示す粉砕装置1の作動においては、ベッセル2内に粉砕用固形媒体11が充填され、スラリー給排口10からスラリーが導入されて、給排口10が閉じられる。次いで、攪拌軸5a、5bが図2に矢印A、Bで示す方向に回転駆動される。この攪拌軸5a、5bの回転により該攪拌軸5a、5b上の攪拌部材6a、6bも回転し、ベッセル2内の媒体11を攪拌する。媒体11は、攪拌部材6a、6bから与えられる回転運動により、各攪拌軸5a、5bに関して放射方向外向きに遠心力を生じ、この遠心力の作用により、放射方向外向きに押される。攪拌部材6a、6bが軸方向に重なる領域、すなわち、ベッセル2内において2つのシリンダーがつながる領域では、2つの攪拌軸5a、5b上の攪拌部材6a、6bから媒体11に加わる遠心力の作用が重畳されるため、媒体11はこの領域において密の状態になり、逆に、この領域に対して直径方向反対側の領域では、媒体11は疎になる。さらに、攪拌部材6a、6bの板状部材7a、7bは、回転方向前縁8a、8bに傾斜面を有するため、媒体11には、図1において上向きの上昇力が作用する。この上昇力は、攪拌部材6a、6bが軸方向に重なる領域において2つの攪拌部材6a、6bの作用が重畳されるため、この領域において媒体11には上昇運動が与えられる。その結果、他の領域では、媒体11は下降運動を生じ、ベッセル2内では、全体として、攪拌軸5a、5bの間の領域で媒体11が上昇し、ベッセル2の長軸方向両端部及びその付近の領域では媒体11が下降する、という媒体の縦方向循環運動を生じる。
【0019】
このような媒体11の縦方向循環運動により、媒体11の動きが活発化され、その間を通るスラリーは、媒体11の間で激しい摩擦作用を受け、スラリーに含まれる固形粒子が細かく粉砕ないしは分散される。このように、この実施形態による媒体攪拌型粉砕装置は、媒体11に、回転による円周方向運動だけでなく、縦方向の循環運動も生じさせるので、媒体11の運動が活発化され、スラリー内の固形粒子の粉砕ないしは分散が促進される。したがって、粉砕用固形媒体11の粒径を極端に小さくすることなく、スラリー内の固形粒子をナノメーターサイズまで粉砕ないしは分散させることが可能になる。この粉砕ないしは分散作用の結果、スラリーの温度上昇が懸念される場合には、ベッセル2の外周に設けたジャケット3に冷却媒体を通す。また、何らかの理由でベッセル2内を加熱する必要がある場合には、このジャケット3に加熱用媒体を通す。本発明を実施した上述の粉砕装置1によれば、比較的短い時間で所期の粉砕効果を達成でき、粉砕用固形媒体11及び攪拌部材6a、6bの摩耗が大幅に軽減される。その結果、スラリーに対するコンタミネーションが著しく減少されることになる。
【0020】
図1及び図2についての上述の作動説明は、ベッセル2内に給排口10からスラリーを導入し、該給排口10を閉じて装置1を運転する、いわゆるバッチ式の作動に関するものである。図3は、基本的な構成は図1及び図2に示すものと同一であるが、粉砕装置1を連続運転できる構成を備える。すなわち、図3に示す粉砕装置1においては、ベッセル2の長軸側両端部近傍において、攪拌軸駆動機構が設けられる側の蓋部材4に、スラリー排出口17a、17bが設けられる。図1において給排口として説明された口10は、スラリー導入口として使用される。スラリーは、このスラリー導入口から連続的にベッセル2内に圧送され、スラリー排出口17a、17bから排出される。その他の点では、図3の粉砕装置1の作動は、図1及び図2に示すものと同じである。
【0021】
図4は、本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態においては、攪拌軸5a、5bに板状部材7a、7bからなる板状の攪拌部材6a、6bが設けられる点は、先に述べた実施形態におけると同様である。図4の実施形態では、さらに、攪拌軸5a、5bの蓋部材9に近接した方の端部近傍に、ピン型攪拌部材18a、18bが取り付けられる。このピン型攪拌部材18a、18bは、攪拌軸5a、5bに固定された円盤部材19a、19bと、この円盤部材19a、19bから周方向外向きに延びる複数本のピン部材20a、20bとから構成される。
【0022】
図4に示す実施形態では、板状の攪拌部材6a、6bにより、媒体11に、周方向の運動に加えて、縦方向の循環運動が与えられることは、先に述べた実施形態におけると同様である。この媒体11に与えられる縦方向の循環運動の結果、ピン型攪拌部材18a、18bの領域における媒体11の充填量が適切に制御できる。ピン型攪拌部材18a、18bは、その近傍にある媒体11に攪拌作用を与え、この領域でスラリーに粉砕作用を与える。すなわち、このピン型攪拌部材18a、18bが位置する領域は、スラリーに含まれる固形粒子に対する粉砕ゾーンとなる。これに対して、板状攪拌部材6a、6bのまわりの領域は、既に述べたように媒体の運動を活発化して粉砕作用を高めるものであるが、図4の実施形態では、さらに、この板状攪拌部材6a、6bのまわりの領域は、ピン型攪拌部材18a、18bのまわりの領域における媒体の充填量を制御するように働く流動ゾーンと考えることができる。
【0023】
【実施例】
図4に示す構造の粉砕装置1を使用し、粉砕用固形媒体11として、直径3mmのアルミナビーズをベッセル2の容積の70%となるまで充填した。スラリーとして、水に炭酸カルシウムを20%濃度になるように調整したものを用い、バッチ式で攪拌部材の先端速度2.9m/secで運転した。ベッセル外周のジャケット3には冷却剤として冷却水を循環させて冷却を行った。
【0024】
【比較例】
図6に示す形式の円盤型攪拌部材を有する従来の1軸粉砕装置に直径1mmのジルコニアビーズをベッセルの容積の80%となるまで充填した。スラリーとして、実施例で使用したものと同じ組成のものを使用し、連続処理方式で、円盤型攪拌部材の周速度が12m/secとなる条件で運転した。ベッセル外周のジャケット109には冷却剤として冷却水を循環させて冷却を行った。
【0025】
【結果】
実験の結果を図5に示す。図5に示すように、実施例では、作動時間すなわち滞留時間20分の後、スラリー内の固形粒子の平均粒径が0.18μmとなり、スラリー1kgあたりの運転動力は0.27kWh/kgであった。これに対して比較例では、滞留時間20分では、固形粒子の平均粒径は0.52μmで、運転動力は0.61kWh/kgであった。このように、本発明の実施例では、粉砕用固形媒体の粒径を比較例よりも大きくしたにも拘わらず、比較例よりも優れた粉砕効果が達成されることが確認された。また、実施例では、20分間の滞留時間におけるスラリーの温度上昇が約3℃であったのに対し、比較例では、装置の出口と入口との温度差が約15℃であった。このように、本発明の実施例では、温度上昇が比較例より低いことが確認できた。また、コンタミネーションに関し、20分間処理後におけるスラリーのCr(クロム)の混入量を測定した。Crは、ベッセル内壁や撹拌部材の材料であり、この量を測定することにより、ベッセル内壁や撹拌部材の磨耗量を知ることができる。測定の結果、実施例ではCrの混入量は2.07mg/lであり、比較例では6.20mg/lであった。この測定により、本発明は、粉砕装置の構成材料の磨耗を減少させるのに有効であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による媒体攪拌型粉砕装置の概要を示す縦断面図である。
【図2】図1のI−I線における横断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による媒体攪拌型粉砕装置の概要を示す縦断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態による媒体攪拌型粉砕装置の概要を示す縦断面図である。
【図5】本発明の具体的実施例と従来の装置による比較例による実験結果を示す図表である。
【図6】従来の1軸型粉砕装置の一例を示すものであって、(a)は水平断面図、(b)は垂直断面図である。
【符号の説明】
1・・・粉砕装置、2・・・ベッセル、3・・・ジャケット、
4、9・・・蓋部材、5a、5b・・・攪拌軸、6a、6b・・・攪拌部材、
7a、7b・・・板状部材、11・・・粉砕用固形媒体、
18a、18b・・・ピン型攪拌部材
Claims (5)
- 2つのシリンダーが組み合わされて断面形状が8字形に形成されたダブルシリンダー形状のベッセルと、
前記ベッセルの長さ方向両端部にそれぞれ設けられた蓋板と、
前記ベッセルの8字形を形成する2つのシリンダーのそれぞれの軸心に各1本ずつ配置された2本の攪拌軸と、
前記攪拌軸の各々に軸方向に相互に間隔をもって取り付けられた複数個の攪拌部材と、
前記2本の攪拌軸を互いに反対方向に同一の回転速度で回転するように駆動する駆動手段と、
前記ベッセル内に対し被処理物であるスラリーを導入及び排出するために前記蓋板の少なくとも一方に設けられたスラリー導入口及び排出口と、
を備え、
前記ベッセル内には粉砕用固形媒体を充填して前記攪拌軸を回転駆動しながらスラリーに含まれる固形粒子の粉砕を行うようになっており、
前記攪拌部材の各々は、中心が攪拌軸と同軸で該攪拌軸から放射状に延びるように該攪拌軸に固定されたほぼ矩形形状の板状部材であり、該矩形形状の板状部材は回転方向前縁部が先端に向かって斜めに切り欠かれた形状であり、この斜めに切り欠かれた部分の縁部には傾斜面が形成され、
前記2本の攪拌軸に取り付けられる前記複数の攪拌部材の前記傾斜面は、該攪拌軸が前記駆動手段により駆動されたとき、前記スラリー及び前記粉砕用固形媒体に対し、各攪拌部材が同じ軸線方向に向いた推進力を与えるように、すべての攪拌部材において同じ軸方向の面に形成されており、
2本の前記攪拌軸に取り付けられる複数の攪拌部材は、該攪拌軸の軸方向投影において互いに重なる長さを有し、隣り合った攪拌軸に取り付けられる攪拌部材は回転中に互いに干渉を生じないように配置され、
前記攪拌軸の各々には、軸方向に離れた複数の位置の各々において、前記攪拌部材として2個のほぼ同一形状の前記板状部材が対をなして軸線方向に互いに密接した関係で、かつ、角度方向に60度から80度の範囲内の角度で互いにずらされて取り付けられ、2個の前記板状部材の各対は、他の対に対して軸線方向に間隔をもって配置され、
2本の攪拌軸が互いに反対方向に回転駆動されたとき、前記ベッセル内の粉砕用固形媒体は、隣り合った攪拌軸上の攪拌部材が重なり合う領域において密な状態となり、前記攪拌部材の形状により攪拌軸の軸方向にほぼ沿って一方向に動くように強制され、前記攪拌部材が重なり合う領域とは反対側の領域において疎な状態となり、前記一方向とは反対方向に動く循環運動を生じるようになった、
ことを特徴とする粉砕装置。 - 2つのシリンダーが組み合わされて断面形状が8字形に形成されたダブルシリンダー形状のベッセルと、
前記ベッセルの長さ方向両端部にそれぞれ設けられた蓋板と、
前記ベッセルの8字形を形成する2つのシリンダーのそれぞれの軸心に各1本ずつ配置された2本の攪拌軸と、
前記攪拌軸の各々に軸方向に相互に間隔をもって取り付けられた複数個の攪拌部材と、
前記2本の攪拌軸を互いに反対方向に同一の回転速度で回転するように駆動する駆動手段と、
前記ベッセル内に対し被処理物であるスラリーを導入及び排出するために前記蓋板の少なくとも一方に設けられたスラリー導入口及び排出口と、
を備え、
前記ベッセル内には粉砕用固形媒体を充填して前記攪拌軸を回転駆動しながらスラリーに含まれる固形粒子の粉砕を行うようになっており、
前記攪拌部材の各々は、中心が攪拌軸と同軸で該攪拌軸から放射状に延びるように該攪拌軸に固定された板状部材であり、該板状部材は回転方向前縁部に傾斜面が形成され、
前記2本の攪拌軸に取り付けられる前記複数の攪拌部材の前記傾斜面は、該攪拌軸が前記駆動手段により駆動されたとき、前記スラリー及び前記粉砕用固形媒体に対し、各攪拌部材が同じ軸線方向に向いた推進力を与えるように、すべての攪拌部材において同じ軸方向の面に形成されており、
2本の前記攪拌軸に取り付けられる複数の攪拌部材は、該攪拌軸の軸方向投影において互いに重なる長さを有し、隣り合った攪拌軸に取り付けられる攪拌部材は回転中に互いに干渉を生じないように配置され、
前記攪拌軸の各々には、軸方向に離れた複数の位置の各々において、前記攪拌部材として2個のほぼ同一形状の前記板状部材が対をなして軸線方向に互いに密接した関係で、かつ、角度方向に60度から80度の範囲内の角度で互いにずらされて取り付けられ、2個の板状攪拌部材の各対は、他の対に対して軸線方向に間隔をもって配置され、
2本の攪拌軸が互いに反対方向に回転駆動されたとき、前記ベッセル内の粉砕用固形媒体は、隣り合った攪拌軸上の攪拌部材が重なり合う領域において密な状態となり、前記攪拌部材の形状により攪拌軸の軸方向にほぼ沿って一方向に動くように強制され、前記攪拌部材が重なり合う領域とは反対側の領域において疎な状態となり、前記一方向とは反対方向に動く循環運動を生じるようになった、
ことを特徴とする粉砕装置。 - 2つのシリンダーが組み合わされて断面形状が8字形に形成されたダブルシリンダー形状のベッセルと、
前記ベッセルの長さ方向両端部にそれぞれ設けられた蓋板と、
前記ベッセルの8字形を形成する2つのシリンダーのそれぞれの軸心に各1本ずつ配置された2本の攪拌軸と、
前記攪拌軸の各々に軸方向に相互に間隔をもって取り付けられた複数個の攪拌部材と、
前記2本の攪拌軸を互いに反対方向に同一の回転速度で回転するように駆動する駆動手段と、
前記ベッセル内に対し被処理物であるスラリーを導入及び排出するために前記蓋板の少なくとも一方に設けられたスラリー導入口及び排出口と、
を備え、
前記ベッセル内には粉砕用固形媒体を充填して前記攪拌軸を回転駆動しながらスラリーに含まれる固形粒子の粉砕を行うようになっており、
2本の前記攪拌軸に取り付けられる複数の攪拌部材は、該攪拌軸の軸方向投影において互いに重なる長さを有し、隣り合った攪拌軸に取り付けられる攪拌部材は回転中に互いに干渉を生じないように配置され、
前記攪拌部材は、前記駆動手段により駆動されたとき、攪拌軸の軸方向に沿った一方向の推進力を前記スラリー及び前記粉砕用固形媒体に与えるように構成され、
前記攪拌部材は、2本の前記攪拌軸が互いに反対方向に回転駆動されたとき、隣り合った攪拌軸上の攪拌部材が重なり合う領域において前記ベッセル内の粉砕用固形媒体が密な状態となり、攪拌軸の軸方向にほぼ沿って前記一方向に動くように強制され、前記攪拌部材が重なり合う領域とは反対側の領域において疎な状態となり、前記一方向とは反対方向に動く循環運動を生じさせる形状に構成された、ことを特徴とする粉砕装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載した粉砕装置であって、前記ベッセルの外周部に熱媒体のためのジャケットが形成されたことを特徴とする粉砕装置。
- 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載した粉砕装置であって、前記攪拌軸の各々には、前記一方向とは反対側の端部付近に、円板の外周に放射状に突出する複数個のピンを配置したピン型攪拌部材が取り付けられたことを特徴とする粉砕装置。
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