JP4262426B2 - 核酸断片固定電極及びその利用 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウイルス、細菌等による感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺伝的疾患の検査等に有効である、特定の塩基配列を有するターゲット核酸断片を検出するのに有用な検出用具に関し、特に、ターゲット核酸断片の電気化学的検出方法に有利に利用される核酸断片固定電極に関する。本発明は特に、ターゲット核酸断片の検出に有用な、該ターゲット核酸に相補性を有するプローブ核酸断片を固定した電極を、基板表面に整列させたアレイ型検出用具、その製造方法、並びに該アレイ型検出用具を用いた電気化学的検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多彩な生物の遺伝子機能を効率的に解析するための技術開発が進んでおり、それらの遺伝子の発現、または塩基配列の解析のために、DNAチップとよばれる、多数の核酸断片を固相担体の表面に固定した検出用具が用いられている。このような固相担体の表面に結合固定された核酸断片は、プローブ核酸断片とも呼ばれる。代表的なDNAチップは、スライドガラス等の固相担体に多数のプローブ核酸断片を整列固定させたマイクロアレイである。このDNAチップの製造、そしてその使用に関するDNAチップ関連技術は、DNA以外の生体分子の検出にも利用可能であると考えられ、従って、創薬研究、疾病の診断や予防法の開発等に新しい手段を提供するものとして期待されている。
【0003】
DNAチップ関連技術が具体化してきたのは、核酸断片の塩基配列をオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって決定する方法が考案されたことに始まる。この方法は、ゲル電気泳動を用いる塩基配列決定法の限界を克服できる方法ではあったが、当初は実用化には至らなかった。
【0004】
その後、上記の構成のDNAチップと、その作製技術が開発され、遺伝子の発現、変異、多型等を短時間で効率よく調べることが可能となった。すなわち、作製されたDNAチップ上のプローブ核酸断片に相補性を示すターゲット核酸断片は、一般的には、DNAチップ上のプローブ核酸断片と、ターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションを利用して検出される。
【0005】
DNAチップ上のプローブ核酸断片と、ターゲット核酸断片とのハイブリダ−ゼションを検出する方法のひとつが、予めターゲット核酸断片を、検出可能な分子で標識しておく方法である。特に、蛍光色素を、標識分子として、予めターゲット核酸に標識しておく方法が、最も一般的である。
【0006】
ハイブリダイゼーションの操作に引き続いて、DNAチップの表面を蛍光測定することで、DNAチップ上で、プローブ核酸断片とターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションの起こった個所(スポット)のみを蛍光検出することができる。また、測定される蛍光強度の強弱として、ターゲット核酸断片の存在量を知ることも可能である。しかしながら、この方法は、予めターゲット核酸を蛍光色素で標識しておく手間が必要である。また、DNAチップの表面を蛍光測定するには、大型の装置が必要であり、測定にも時間がかかるという点で、必ずしも簡便な方法ではないという欠点がある。
【0007】
一方、DNAチップ上のプローブ核酸断片と、ターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションを検出する方法として、2本鎖核酸断片に特異的に結合し、かつ電気化学的に活性な2本鎖核酸断片認識体を用い、電気化学的測定により検出する方法が、特許公報第2573443号に記載されている。この方法は、予めターゲット核酸断片を標識しておく必要がない点、また電気化学的測定が、小型の装置で短時間に行える点で、簡便性に優れた方法であり、臨床検査の現場での利用等を可能にする、新しい手段を提供するものとして期待されている。
【0008】
上記のように、DNAチップ上のプローブ核酸断片と、ターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションを利用する検出方法においては、プローブ核酸断片が固相担体表面に、安定に固定されているか否かが、ターゲット核酸の検出の再現性を大きく左右する。また、固相担体表面における、プローブ核酸断片の固定密度(同一種のプローブ核酸断片が、単位面積あたりに、固定されている量)は、ターゲット核酸の検出感度、検出限界を左右する。つまり、DNAチップによるターゲット核酸の検出方法を、実用化するためには、多数のプローブ核酸断片を固相担体表面に、安定に、かつ密度をコントロールして、固定するための技術が必要とされる。
【0009】
DNAチップの作製方法としては、固相担体表面で直接オリゴヌクレオチドを合成する方法(「オン・チップ法」という。)と、予め調製用意したプローブ核酸断片を固相担体表面に結合固定する方法とが知られている。オン・チップ法としては、光照射で選択的に除去される保護基の使用と、半導体製造に利用されるフォトリソグラフィー技術および固相合成技術とを組み合わせ、所定の微少なマトリックス領域でのオリゴヌクレオチドの選択的な合成を行う方法が代表的である。
【0010】
予め調製用意したプローブ核酸断片を固相担体表面に結合固定する方法としては、プローブ核酸断片の種類や固相担体の種類に応じて下記の方法が知られている。
【0011】
(1)固定するプローブ核酸断片がcDNA(mRNAを鋳型にして合成した相補的DNA)やPCR産物(cDNAをPCR法によって増幅させたDNA断片)である場合には、cDNAあるいはPCR産物を、ポリ陽イオン化合物(ポリリシン、ポリエチレンイミン等)で表面処理した固相担体の表面に点着し、プローブ核酸断片の持つ電荷を利用して固相担体に静電結合させる。なお、固相担体表面の処理方法としては、アミノ基、アルデヒド基、あるいはエポキシ基等を有するシランカップリング剤を用いる方法も利用されている。このシランカップリング剤を用いた表面処理では、アミノ基、アルデヒド基等は、共有結合により固相担体表面に固定されるため、ポリ陽イオン化合物による表面処理の場合と比較して、安定に固相担体表面に固定される。
【0012】
上記のプローブ核酸断片の電荷を利用する方法の変法として、アミノ基で修飾したPCR産物をSSC(標準食塩−クエン酸緩衝液)に懸濁させ、これをシリル化したスライドガラス表面に点着し、インキュベートした後、水素化ホウ素ナトリウムによる処理および加熱処理を順に行う方法が報告されている。しかし、この固定方法では必ずしも十分に安定に、プローブ核酸断片を固定できないという問題がある。
【0013】
(2)固定するプローブ核酸断片が合成オリゴヌクレオチドである場合には、まず反応性基を導入したオリゴヌクレオチドを合成し、予め反応性基を形成させるように表面処理した固相担体に該オリゴヌクレオチドを点着して、該オリゴヌクレオチドを固相担体表面に共有結合により結合固定させる方法も知られている。例えば、表面にアミノ基を導入したスライドガラスに、PDC(p−フェニレンジイソチオシアネ−ト)の存在下、アミノ基導入オリゴヌクレオチドを反応させる方法、および該スライドガラスに、アルデヒド基導入オリゴヌクレオチドを反応させる方法が知られている。これらの二つの方法は、前記(1)のDNA断片の電荷を利用した静電結合による固定方法と比べると、オリゴヌクレオチドが固相担体表面に安定に結合固定されるという利点がある。しかし、PDCを存在させる方法は、PDCとアミノ基導入オリゴヌクレオチドとの反応が遅く、またアルデヒド基導入オリゴヌクレオチドを用いる方法では、反応生成物であるシッフ塩基の安定性が低い(従って、加水分解が起こり易い)という問題点がある。
【0014】
なお、近年、DNAチップのプローブ核酸断片として、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド(合成されたオリゴヌクレオチドもしくはDNA断片、そしてRNA断片をも包含する)の代りに、PNA(ペプチド核酸)と呼ばれるオリゴヌクレオチド類縁体を用いる技術も提唱されている。このPNAを固相担体に共有結合により固定する方法として、アビジンとビオチンとを組み合わせて用いる方法が、特開平11−332595号公報に記載されている。この公開公報には、固相担体として、表面プラズモン共鳴(SPR)センサを利用することが記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電極上にプローブ核酸断片が安定にかつ量をコントロールして固定されている核酸断片固定電極、該核酸断片固定電極の製造法、並びに該核酸断片固定電極を用いるターゲット核酸の電気化学的検出方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、電極上に形成された、2種類以上の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して核酸断片を共有結合により固定されている、核酸断片固定電極を用いることにより、ターゲット核酸断片を効率よく検出できることを見出した。また、多成分自己組織化単分子膜表面を形成する際に、使用する分子のモル比を変化させることにより、電極上に形成された多成分自己組織化単分子膜表面に二官能性の連結分子を介して結合する核酸断片の量をコントロールできることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0017】
即ち、本発明によれば、電極上に形成された、2種類以上の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して核酸断片が共有結合により固定されている、核酸断片固定電極が提供される。
具体的には、
電極(A)、
下記式(4)及び、下記式(5)で表される少なくとも2種の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜(B)、および、
下記式(3)で表される核酸断片(C)、
を含む核酸断片固定電極であって、
該多成分自己組織化単分子膜(B)が該電極(A)上に形成され、かつ、核酸断片(C)が下記式(2)で表される二官能性の連結分子を介し、多成分自己組織化単分子膜(B)の表面に結合していることを特徴とする、核酸断片固定電極が提供される。
1−R1−J1 (4)
[上記式(4)において、q1は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R1は、連結基を表し、J1は、下記式(2)の反応性基X1と共有結合を形成するアミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、カルバモイル基またはヒドラジノカルボニル基を表す。]
2−R2−J2 (5)
[上記式(5)において、q2は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R2は、連結基を表し、J2はヒドロキシル基、カルボキシル基、メチル基、またはフェニル基を表す。]
1−L1−X2 (2)
[上記式(2)において、X1は、上記式(4)の官能基J1の少なくとも1種と共有結合を形成する反応性基を表し、X2は下記式(3)の官能基Zと共有結合を形成する反応性基を表し、L1は連結基を表す。]
Z−L2−Nc (3)
[上記式(3)において、Zは、上記式(2)の反応性基X2と共有結合を形成する反応性基を表し、Ncは核酸断片を表し、L2は連結基を表す。]
【0020】
好ましくは、電極は金から形成されている。
好ましくは、電極上に形成された、多成分自己組織化単分子膜は、アミノ基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)と、ヒドロキシル基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)との、2種の異なる成分からなる、多成分自己組織化単分子膜である。
【0021】
好ましくは、二官能性の連結分子は下記式(6):
1−SO2−L3−SO2−X2 (6)
[上記式(6)において、X1およびX2は互いに独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR23Yを表わし;R1、R2及びR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;そして、L3は連結基を表す。]
で表わされるジスルホン化合物である。
【0022】
好ましくは、核酸断片は下記式(7):
NH2−L4−DNA (7)
[上記式(7)において、L4は連結基を表す。]
で表される、末端をアミノ基で修飾されたDNA断片、または下記式(8):
Lys−PNA (8)
[上記式(8)において、Lysはリジン残基を表す。]
で表される、末端にリジン残基を有するPNA断片である。
【0023】
本発明の別の側面によれば、
下記工程(a)〜(c)を少なくとも含む、電極上に形成された2種類以上の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して核酸断片が共有結合により固定されている、核酸断片固定電極の製造方法。
(a)電極上に、下記式(4)及び、下記式(5)で表される少なくとも2種の異なる成分を含む混合液を接触させ、次いで、電極と化学結合または化学吸着をしなかった成分を除去することで、電極上に多成分自己組織化単分子膜を形成し、さらに、下記式(2)の二官能性の連結分子を接触させ、次いで、多成分自己組織化単分子膜上の反応性基J1と共有結合を形成しなかった成分を除去することにより、反応性基X2を、多成分自己組織化単分子膜の表面に、部分的に導入し、電極上に多成分自己組織化単分子膜を形成する工程;
1−R1−J1 (4)
[上記式(4)において、q1は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R1は、連結基を表し、J1は、下記式(2)の反応性基X1と共有結合を形成するアミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、カルバモイル基またはヒドラジノカルボニル基を表す。]
2−R2−J2 (5)
[上記式(5)において、q2は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R2は、連結基を表し、J2はヒドロキシル基、カルボキシル基、メチル基、またはフェニル基を表す。]
(b)工程(a)で得た多成分自己組織化単分子膜が形成された電極に、下記式(2):
1−L1−X2 (2)
[上記式(2)において、X1は、上記式(4)の官能基J1の少なくとも1種と共有結合を形成する反応性基を表し、X2は下記式(3)の官能基Zと共有結合を形成する反応性基を表し、L1は連結基を表す。]で表される二官能性の連結分子を接触させ、次いで、多成分自己組織化単分子膜上の反応性基J1と共有結合を形成しなかった成分を除去することにより、多成分自己組織化単分子膜の表面に反応性基X2を導入する工程;及び、(c)工程(2)で得た反応性基X2が導入された多成分自己組織化単分子膜が形成された電極に、下記式(3):
Z−L2−Nc (3)
[上記式(3)において、Zは、上記式(2)の反応性基X2と共有結合を形成する反応性基を表し、Ncは核酸断片を表し、L2は連結基を表す。]で表される核酸断片を接触させ、次いで、多成分自己組織化単分子膜上に導入された反応性基X2と共有結合を形成しなかった余分な成分を除去することにより、多成分自己組織化単分子膜の表面に部分的に核酸断片を結合する工程;を少なくとも含む、電極上に形成された2種類以上の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して核酸断片が共有結合により固定されている、核酸断片固定電極の製造方法が提供される。
【0025】
好ましくは、電極に接触させる上記式(4)で表される分子(q1−R1−J1)と上記式(5)で表される分子(q2−R2−J2)との混合液において当該分子のモル比を変化させることで、電極上に形成された多成分自己組織化単分子膜表面に二官能性の連結分子を介して結合する核酸断片の量をコントロールする。
【0026】
好ましくは、電極に接触させる混合液における上記式(4)で表される分子(q1−R1−J1)と上記式(5)で表される分子(q2−R2−J2)とのモル比は、1:1乃至1:1000の範囲にある。
【0027】
好ましくは、電極は金から形成されている。
好ましくは、上記式(4)で表される分子(q1−R1−J1)はアミノ基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)であり、上記式(5)で表される分子(q2−R2−J2)はヒドロキシル基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)である。
【0028】
好ましくは、二官能性の連結分子は下記式(6):
1−SO2−L3−SO2−X2 (6)
[上記式(6)において、X1およびX2は互いに独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR23Yを表わし;R1、R2及びR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;そして、L3は連結基を表す。]
で表わされるジスルホン化合物である。
【0029】
好ましくは、核酸断片は下記式(7):
NH2−L4−DNA (7)
[上記式(7)において、L4は連結基を表す。]
で表される、末端をアミノ基で修飾されたDNA断片、または下記式(8):
Lys−PNA (8)
[上記式(8)において、Lysはリジン残基を表す。]
で表される、末端にリジン残基を有するPNA断片である。
【0030】
本発明のさらに別の側面によれば、(a)上記した本発明の核酸断片固定電極または上記した本発明の方法で製造された核酸断片固定電極に、ターゲット核酸断片を含む試料液を接触させ、上記核酸断片固定電極上に固定されたプローブ核酸断片とターゲット核酸断片をハイブリダイズさせる工程;
(b)ターゲット核酸断片をハイブリダイズさせた核酸断片固定電極に、電気化学活性を有し、かつハイブリダイズにより形成された2本鎖核酸に特異的に結合する分子を接触させる工程;及び、
(c)核酸断片固定電極を介して電気化学的な測定を行う工程;
を含む、ターゲット核酸断片の電気化学的検出方法が提供される。
【0031】
好ましくは、電気化学活性を有し、かつハイブリダイズにより形成された2本鎖核酸に特異的に結合する分子は、インターカレータである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、電極上に形成された多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して、プローブ核酸断片が、共有結合により固定された核酸断片固定電極、その製造方法、並びにそれを用いたターゲット核酸の電気化学的検出方法に関するものである。
本発明は具体的には特許請求の範囲に記載された構成を有するものであるが、以下、その他の態様についても参考のために記載している。
【0033】
本発明の核酸断片固定電極における多成分自己組織化単分子膜は、該多成分自己組織化単分子膜表面へ核酸断片を連結する二官能性の連結分子の少なくとも一方の反応性基と反応し、共有結合を形成する、反応性基を末端に有する自己組織化単分子膜成分と、二官能性の連結分子のどちらの反応性基とも反応しないか、または反応性が低い、反応性基を末端に有する自己組織化単分子膜成分との、少なくとも2種類の成分から形成されていることが望ましい。また、固定される核酸断片は、二官能性の連結分子の、少なくとも一方の反応性基と反応し、共有結合を形成する反応性基で末端が修飾されていることが望ましい。
【0034】
さらに、本発明の核酸断片固定電極においては、電極は金で成形されていることが望ましい。また、二官能性の連結分子が、ジスルホン化合物であることが望ましく、多成分自己組織化単分子膜は、アミノ基を末端に有するアルカンチオール(炭素原子数が3乃至16)と、ヒドロキシル基を末端に有するアルカンチオール(炭素原子数が3乃至16)との、少なくとも2種類の成分から形成されていることが望ましく、固定される核酸断片は、連結基を介して末端にアミノ基が修飾されているDNA断片、または末端にリジン残基を有するPNA断片であることが望ましい。
【0035】
本発明の核酸断片固定電極の製造における、電極上に多成分自己組織化単分子膜を形成する工程において、該多成分自己組織化単分子膜を形成する成分、すなわち、二官能性の連結分子の少なくとも一方の反応性基と反応し、共有結合を形成する、反応性基を末端に有する自己組織化単分子膜成分と、二官能性の連結分子のどちらの反応性基とも反応しないか、または反応性が低い、反応性基を末端に有する自己組織化単分子膜成分の、少なくとも2種類の成分のモル比をコントロールして、二官能性の連結分子の導入量をコントロールすることで、電極上に形成された多成分自己組織化単分子膜表面に、固定される核酸断片の密度をコントロールすることが望ましい。
【0036】
本発明はまた、プローブ核酸が固定されている核酸断片固定電極に、ターゲット核酸断片を含む試料液を接触させ、プローブ核酸断片とターゲット核酸断片をハイブリダイズさせた後、電気化学活性を有し、ハイブリダイズにより形成された2本鎖核酸に特異的に結合する分子を接触させ、次いで、核酸断片固定化電極を介して、電気化学的な測定を行う、ターゲット核酸断片の電気化学的検出方法に関するものである。
【0037】
電気化学活性を有し、2本鎖核酸に特異的に結合する分子が、インターカレータであるこがを望ましい。特にインターカレータが、縫い込み型インターカレータであることが望ましい。
【0038】
[電極]
本発明の核酸断片固定電極の作製に用いる電極としては、従来より電気化学的検出方法に利用されるターゲット核酸断片検出用電極の作製に一般的に用いられている金電極、あるいはターゲット核酸検出用電極の作製用として提案されている各種の電極が好ましく利用することができる。
【0039】
電極は通常、外部に出力する端子を備えているものを用いる。電極の材料としては、金以外にも、銀、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛等の酸化物電極、Si、Ge、ZnO、CdS等の半導体電極、チタンなどの電子伝導体を挙げることができるが、金を用いることが特に好ましい。
【0040】
本発明で用いられる電極は、導電性を持たない基体上に複数の電極が配置されたものであることが好ましい。その場合、電極は、導電性を持たない基体上に、互いに接しないように、かつ規則的に配置されていることが好ましい。例えば、板上の基体上に電極が規則的に配置された電極を好ましく使用できる。また底面に電極を備えたウエル(穴)が基体に規則的に配置された電極、および先端に電極を備えている棒状の基体を規則的に配置したものも好ましく使用できる。
【0041】
導電性を持たない基体としては、電気絶縁性の疎水性担体、あるいは電気絶縁性の低親水性の担体であることが好ましい。また、その表面が凹凸を有する平面性の低いものであっても好ましく用いることができる。基板の材質としては、ガラス、セメント、陶磁器等のセラミックスもしくはニューセラミックス、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリマー、シリコン、活性炭、多孔質ガラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、多孔質活性炭、織編物、不織布、濾紙、短繊維、メンブレンフィルター等の多孔質物質などを挙げることができるが、各種ポリマー、ガラスもしくはシリコンであることが特に好ましい。これは、表面処理の容易さや電気化学的方法による解析の容易さによるものである。基体の厚さは、特に限定されないが、板状である場合には、100乃至10000μmの範囲にあることが好ましい。
【0042】
導電性を持たない基体上に複数の電極が配置されたものとしては、導電性を持たない基体の表面を上記の電子伝導体で処理したものを用いることが好ましく、金を蒸着したものを用いることが特に好ましい。基体は、電子伝導体で表面処理をする前に、基体上に電荷を有する親水性の高分子物質からなる層や架橋剤からなる層を設けてもよい。このような層を設けることによって基体の凹凸を軽減することができる。また、基体によっては、その基体中に電荷を有する親水性の高分子物質を含ませることも可能であり、このような処理を施した基体も好ましく用いることができる。
【0043】
導電性を持たない基体上に複数の電極が配置されたものとしては、文献(Sosnowski,R.G. et al.,Proc.Natl.Acid.Sci.USA,94,1119−1123,1997)に記載の、シリコンチップも好ましく用いることができる。また、プリント配線基板のように、が基体上に印刷されてなるものであってもよい。
【0044】
[多成分自己組織化単分子膜]
本発明の核酸断片固定電極における多成分自己組織化単分子膜は、異なる反応性基をもつ、少なくとも2種類の成分からなる、自己組織化単分子膜(SAMs;Self−Assembled Monolayers)である。自己組織化単分子膜とは、代表的には、アルカンチオール化合物を金表面に接触、放置した際に、アルカンチオ−ル化合物と金表面が反応して、Au−S結合を形成すると共に、アルキル長鎖同士の相互作用によって、金表面に形成される、高い配行性をもつ単分子膜として知られているもので、表面プラズモン共鳴(SPR;Sueface Plasmon Resonance)や、水晶発振子マイクロバランス(QCM;Quartz Crystal Microbalance)等で、利用されているものである。
【0045】
また、本発明の核酸断固定化電極における多成分自己組織化単分子膜は、チオール基(−SH)をもつ成分だけでなく、電極への結合基として、ジスルフィド基(−S−S−)、スルフィド基(−S−)をもつ成分により、形成された自己組織化単分子膜も好ましく用いることができる。また電極としては、金だけでなく、銀、白金や銅などの金属、種々の半導体、酸化物などの電極も、好ましく用いることができる。
【0046】
このように電極上に、自己組織化単分子膜を形成することで、電極表面の状態の影響を直接受けることなく、安定に二官能性の連結分子を導入することができる。電極上に形成された、自己組織化単分子膜表面に、安定に二官能性の連結分子が導入されることで、該二官能性の連結分子を介して、核酸断片が安定に固定することが可能になる。
【0047】
本発明の核酸断片固定電極における自己組織化単分子膜において、重要な点は、それが多成分からなる自己組織化単分子膜である点である。すなわち、自己組織化単分子膜を形成する成分が、二官能性の連結分子の、少なくとも一方の反応性基と反応し、共有結合を形成する反応性基を、末端(電極への結合基と反対側の末端)に有する成分1と、二官能性の連結分子の、どちらの反応性基とも反応しないか、または反応性が低い、反応性基を末端(電極への結合基と反対側の末端)に有する成分2との、少なくとも2種類の成分から形成されている点である。
【0048】
このように、二官能性の連結分子の反応性基との反応性が異なる、多成分で自己組織化単分子膜を形成することで、多成分自己組織化単分子膜表面に導入される二官能性の連結分子の量(密度)をコントロールできる。すなわち、多成分自己組織化単分子膜を形成する、上記の成分1と成分2のモル比をコントロールすることで、多成分自己組織化単分子膜表面における、二官能性の連結分子の反応性基と反応し、共有結合を形成し得る反応性基の存在量(密度)をコントロールすることで、導入される二官能性の連結分子の量(密度)をコントロールできる。具体的に、多成分自己組織化単分子膜を形成する成分1と成分2のモル比をコントロールするには、多成分自己組織化単分子膜を形成する際に、電極表面に接触させる溶液中の、成分1と成分2のモル比をコントロールすることで達成できる。
【0049】
多成分自己組織化単分子膜を形成する際に、電極表面に接触させる溶液中の、上記の成分1と成分2のモル比は、1:1乃至1:1000の範囲にあることが望ましく、特に1:2乃至1:500の範囲に有ることが望ましい。
【0050】
多成分自己組織化単分子膜表面に導入される二官能性の連結分子の量(密度)をコントロールすることで、該二官能性の連結分子を介して、多成分自己組織化単分子膜表面に固定される核酸断片の量(密度)をコントロールすることが可能になる。電極上に固定されている核酸断片の量(密度)は、ターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションのし易さに影響し、検出感度や検出限界を左右するため、それをコントロールすることは、実用上、非常に重要である。
【0051】
従来の技術においては、電極上の固定核酸断片の固定量(密度)をコントロールするために、電極表面に、直接接触させる固定核酸断片の溶液中の、核酸断片の濃度をコントロールしており、特に、電極上の固定核酸断片の固定量(密度)を低くする(固定核酸断片の溶液中の、核酸断片の濃度を下げる)場合には、十分な再現性が得られないという問題があった。しかしながら、本発名による方法によれば、多成分自己組織化単分子膜の成分(上記の成分1と成分2)のモル比をコントロールするだけで、再現性良く、核酸断片の固定量を、自由にコントロールすることが可能になる。
【0052】
図1に、多成分自己組織化単分子膜表面に導入される二官能性の連結分子の量(密度)をコントロールすることで、二官能性の連結分子を介して、多成分自己組織化単分子膜表面に固定される核酸断片の量(密度)をコントロールする、本発名の概念を模式的に示す。
【0053】
本発明の核酸断片固定電極における多成分自己組織化単分子膜としては、Jnの種類が異なる少なくとも2種類以上の下記式(1):
n−Rn−Jn (1)
[上記式(1)において、qnは、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、Rnは、連結基を表し、Jnは、n種類の異なる官能基を表し、nは2以上の整数を示す。また、n種類の式(1)の成分において、qn及びRnは互いに同一でも異なっていてもよいが、Jnは互いに異なる。]
で表される成分からなる多成分自己組織化単分子膜が挙げられる。
nは、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、具体的には、チオール基(−SH)、ジスルフィド基(−S−S−)、スルフィド基(−S−)などが挙げられる。
nは、連結基を表し、好ましくは炭化水素基からなる連結基であり、例えば、炭素数3から16の炭化水素基が挙げられる。
nは、n種類の異なる官能基を表し、そのうちの少なくとも1種類は式(2)のX1と共有結合を形成する反応性基を表す。
【0054】
本発明の好ましい態様によれば、多成分自己組織化単分子膜は、下記式(4):
1−R1−J1 (4)
[上記式(4)において、q1は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R1は、連結基を表し、J1は、上記式(2)の反応性基X1と共有結合を形成する反応性基を表す。]
及び、下記式(5):
2−R2−J2 (5)
[上記式(5)において、q2は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R2は、連結基を表し、J2は、上記式(2)の反応性基X1及びX2と反応しないかまたは反応性が低い官能基を表す。]
で表される少なくとも2種の異なる成分からなる。
【0055】
1及びq2は、qnについて上述した通りであり、R1及びR2はRnについて上述した通りである。
1が示す式(2)の反応性基X1と共有結合を形成する反応性基としては、具体的には、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(−NHNH2)、カルバモイル基(−OCNH2)、ヒドラジノカルボニル基(−CONHNH2)などが挙げられる。
2が上記式(2)の反応性基X1及びX2と反応しないかまたは反応性が低い官能基としては、具体的には、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メチル基(−CH3)、フェニル基(−C65)などが挙げられる。
【0056】
本発明の核酸断片固定電極における多成分自己組織化単分子膜の具体的な例として、電極は金で成形されており、二官能性の連結分子が、後述のジスルホン化合物である場合には、多成分自己組織化単分子膜を形成する成分として、アミノ基を末端に有するアルカンチオール(炭素原子数が3乃至16)と、ヒドロキシル基を末端に有するアルカンチオール(炭素原子数が3乃至16)の、少なくとも2種類を用いることが望ましい。
【0057】
さらに、本発明の核酸断片固定電極における多成分自己組織化単分子膜を形成する際に、電極表面に静止電圧を印加しておくことを、好ましく実施することができる。電極表面に静止電圧を印加しておくことにより、電極上に、より密にパッキングされた多成分自己組織化単分子膜を形成することが可能になる。 この場合、電極表面に印加しておく静止電圧は、−10〜−500(mV)の範囲にあることが望ましい。
【0058】
[二官能性の連結分子]
本発明の核酸断片固定電極の作製に用いる二官能性の連結分子としては、下記式(2)
1−L1−X2 (2)
[上記式(2)において、X1は、上記式(1)の官能基Jnの少なくとも1種と共有結合を形成する反応性基を表し、X2は下記式(3)の官能基Zと共有結合を形成する反応性基を表し、L1は連結基を表す。]
で表される二官能性の連結分子が挙げられる。
【0059】
特に好ましい二官能性の連結分子としては、下記式(6)で表わされるジスルホン化合物が有利に利用できる。
1−SO2−L2−SO2−X2 (6)
【0060】
[上記の式(6)において、X1およびX2は互いに独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR23Y(反応性前駆体基)を表わし;R1、R2及びR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;そして、L2は連結基を表わす]。
【0061】
本発明で好ましく用いるジスルホン化合物の代表例を下記に示す。なお、ジスルホン化合物は、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0062】
【化1】
Figure 0004262426
【0063】
【化2】
Figure 0004262426
【0064】
上記の式(6)で表わされるジスルホン化合物の代表的な例としては、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン[上記のS1に相当する]を挙げることができる。
【0065】
本発明で用いるジスルホン化合物の合成法については、たとえば、特公昭47−2429号、同50−35807号、特開昭49−24435号、同53−41551号、同59−18944号等の各種公報に詳細が記載されている。
【0066】
[固定する核酸断片]
本名発明の核酸断片固定電極において、多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して、結合固定される核酸断片は、二官能性の連結分子の反応性基の少なくともどちらか一方と反応し、共有結合を形成する反応性基で、末端が修飾されている核酸断片であることが望ましい。
【0067】
特に、二官能性の連結分子が、上記の式(6)で表される、ジスルホン化合物である場合には、末端がアミノ基(−NH2)で修飾されている核酸断片を、有利に使用することができる。核酸断片がDNA断片である場合には、連結基を介して、アミノ基を末端に修飾されたDNA断片を用いることができる。 また核酸断片がPNAである場合には、末端にリジン(Lys)残基を導入したPNA断片を用いることができる。
【0068】
従来の技術では、電極表面に核酸断片を固定する場合に、チオール基(−SH)で末端が修飾された、核酸断片を用いていた。しかしながら溶液中で、核酸断片の末端に修飾されたチオール基同士が反応し、ジスルフィド(−S−S−)を形成し、核酸断片が2量体になってしまい、固定化反応の再現性が悪いという問題があった。本発明の電極上への核酸断片の固定化法においては、末端がアミノ機(−NH2)で修飾されている核酸断片を使用できることで、安定に固定化反応を行うことができるという利点もある。
【0069】
[電気化学活性を有するインターカレータ]
DNAチップ上のプローブ核酸断片と、ターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションを電気化学測定により検出する方法に用いられる、電気化学活性を有するインターカレータとしては、電気化学活性を有し、2本鎖核酸に特異的に結合するインターカレータであれば、如何なるものも用いることができるが、特に、特開平9−288080号公報および文献(J.Chem.Soc.Commun.,1111(1998))に記載の、縫いこみ型インターカレータを用いることが特に好ましい。
【0070】
さらに、該インターカレータとしては、下記式(18)で表されるものも好ましく用いることができる。下記の式(18)で表されるインターカレータは、印加電圧が400乃至600mVの範囲にピーク電流値を有する特徴を持つ。
【0071】
【化3】
Figure 0004262426
【0072】
上記の式(18)において、N−置換−イミノ基は、縫い込み型インターカレータに可溶性を付与する基であり、RおよびR1は、互いに独立に、水素原子、そして、置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4のアシル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基および炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至23のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表す。炭素原子数が1乃至3のアルキル基としては、メチル基もしくはエチル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が2乃至4のアシル基としては、アセチル基であることが好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基としては、フェニル基もしくはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至23のアラルキル基としては、ベンジル基であることが好ましい。RおよびR1は、同一の原子もしくは基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0073】
置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br等)、カルボキシル基、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6乃至12のアリ−ル基、および炭素原子数が1乃至6のアルコキシ基からなる群より選ばれる原子もしくは基を挙げることができる。置換基の数は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基、あるいは炭素原子数が1乃至6のアルコキシ基については、1乃至12個であることが好ましく、1乃至3個であることさらに好ましく、1個であることが特に好ましい。炭素原子数が6乃至12のアリール基については、その数は1乃至7個であることが好ましく、1乃至3個であることがさらに好ましく、1個であることが特に好ましい。
【0074】
YおよびY1は、互いに独立に、−NH−CO−基もしくは−CO−NH−基を表し、−NH−CO−基であることが好ましい。これらの基のカルボニル基もしくはイミノ基が、それぞれ、EおよびE1と結合する。
【0075】
EおよびE1は、互いに独立に、一つの結合手を有するフェロセンを表す。当該フェロセンは、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合には、同一であることが好ましい。以下に、置換基を有するフェロセンの具体例を示す。置換基の位置は、シクロペンタジエニル基の何れの位置であってもよい。
【0076】
【化4】
Figure 0004262426
【0077】
XおよびZは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキル基を表すが、水素原子であることが好ましい。炭素原子数1乃至6のアルキル基の好ましい例としては、前記記載のR(もしくはR1)と同様である。
【0078】
m、n、kおよびpは、縫い込み型インターカレータのリンカ−部分の長さを決定するものであり、各々、1乃至6の整数を表す。但し、mとnとの和、およびkとpとの和は、各々、4乃至8である。mとk、およびnとpとは、それぞれ、同一の数であることが好ましく、m、n、kおよびpは、何れも3であることが特に好ましい。
【0079】
上述の電気化学化成を有する縫い込み型インターカレータは、例えば、特開平9−288080号公報に記載の方法によって簡便に収率良く製造することができる。
【0080】
本発明の核酸断片固定化電極を用いるターゲット核酸断片の検出に際しては、下記の式(19)で表わされる電気化学活性を有する縫い込み型インターカレータを用いることが特に好ましい。下記の式(19)で表されるインターカレータは、印加電圧100乃至400mVの範囲にピーク電流値を有する性質を持つ。
【0081】
a−La−X−Lb−Eb (19)
[式(19)において、EaおよびEbは、互いに独立に、酸化還元活性を示し、かつ共役系を含む基を表わし、Xは二価の環状基を表わし、そしてLaおよびLbは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長される共役系を形成することのない連結基であって、少なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し得る部位を有する連結基である。]
【0082】
上記式(19)において、EaとEb、そしてLaとLbとが、それぞれ、互いに同一の基であることが好ましい。また、La−X−Lbで表わされる連結部の主鎖の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100の間、なかでも15乃至70の間、特に20乃至50の間にあることが好ましい。なお、この連結部の主鎖の最短の結合路を構成する原子の数の計算を、前記のフェロセンカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルに適用すると、その原子の数は32となる。
【0083】
また、EaおよびEbは、互いに独立に、それぞれ置換基を有していてもよい、一もしくは二以上の結合手を持つメタロセン、2,2’−ビピリジン錯体、シクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,10−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、カテコ−ルアミンおよびビオローゲンからなる群より選ばれる酸化還元活性基であることが好ましい。
【0084】
上記式(19)の化合物は、特に下記式(20)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0085】
a−L1a−L2a−X−L2b−L1b−Eb (20)
[但し、EaおよびEbは、互いに独立に、酸化還元活性を有し、かつ共役系を含む基を表わし、L1aおよびL1bは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長される共役系を形成しない基を表わし、L2aおよびL2bは、互いに独立に、水溶性を付与する部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し得る部位を有する連結基を表わし、そしてXは二価の環状基を表わす。]
【0086】
1aおよびL1bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、特に、置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルケニレン基であることが好ましい。
【0087】
2aおよびL2bは、互いに独立に、炭素元素以外の元素(例、N、O、もしくはS)を含む連結基であることが好ましく、特に、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エステル結合基、エ−テル結合基、チオエ−テル結合基、ジイミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合基、イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル結合基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選ばれる基を含む連結基であることが好ましい。最も好ましいのは、−NHCO−基、もしくは−CONH−基である。なお、EaとEb、L1aとL1b、そしてL2aとL2bとが、それぞれ、互いに同一の基であることが有利である。
【0088】
上記式(19)および(20)の縫い込み型インターカレータを用いると、核酸断片の検出操作において電極基板付与する電位として、100乃至400mVの範囲内の相対的に低い電位が利用できる。
【0089】
式(19)および式(20)において、Xは、置換基を有していてもよい二価の環状基を表す。二価の環状基としては、平面性を有する環状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジイミド基、2位と6位、もしくは1位と5位(好ましくは2位と6位)とに結合手を有するアントラセン基、アントラセン基と同じ位置に結合手を有するアントラキノン基、2位と6位とに結合手を有するフルオレン基、2位と6位とに結合手を有するビフェニレン基、2位と7位とに結合手を有するフェナントレン基、および2位と7位とに結合手を有するピレン基からなる群より選ばれる環状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジイミド基であることが特に好ましい。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(F、Cl、Br等)、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキル基であることが好ましいが、水素原子であることが好ましい。炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、もしくはn−プロピル基であることが好ましい。
【0090】
前記式(19)において、LaおよびLbは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長される共役系を形成することのない連結基であって、少なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し得る部位を有する連結基である。ここで、「水溶性を付与する部位に変換し得る部位」とは、たとえば、メチル基を置換基として有するイミノ基のように、硫酸などの酸と接触した場合に、硫酸塩部位に変換され、水溶性を示すように変化する部位を有する。勿論、「本化合物に水溶性を付与する部位」に塩部分のような荷電部分を持っていてもよい。
【0091】
aおよびLbは、互いに独立に、EaおよびEbに隣接する側に、置換基を有していてもよい炭化水素基(前記式(20)のL1aとL1bに相当する基)を有し、一方、Xに隣接する側に炭素元素以外の元素を含む連結基(前記式(20)のL2aとL2bに相当する基)とからなる連結基であることが好ましい。従って、LaおよびLbは、それぞれ、前記式(20)の−L1a−L2a−、そして−L2b−L1b−に該当する連結基であることが望ましい。ここで、L1aとL1bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が2乃至6のアルケニレン基であることが好ましく、一方、L2aとL2bとは、互いに独立に、N、O、もしくはSを含む連結基であることが望ましい。
【0092】
1aおよびL1bの置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ホルミルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が5乃至7のシクロアルキルアミノ基、炭素原子数が2乃至12のジアルキルアミノ基、炭素原子数が6乃至12のアリ−ル基、炭素原子数が1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至18のアラルキル基、1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至18のアラルキルアミノ基、炭素原子数が2乃至7のアルカノイル基、炭素原子数が2乃至7のアルカノイルアミノ基、炭素原子数が3乃至10のN−アルカノイル−N−アルキルアミノ基、アミノカルボニル基、炭素原子数が2乃至7のアルコキシカルボニル基、S、NおよびOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含む炭素原子数2乃至10の複素環基、並びに置換基として炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、もしくはハロゲン原子を1乃至5個有していてもよい環構成炭素原子数の数が6乃至12のアリ−ル基からなる群より選ばれる原子もしくは基である。置換基の数は、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基では、1乃至12個であることが好ましく、1乃至3個であることが特に好ましい。炭素原子数が1乃至6のアルケニレン基については、その数は1乃至10個であることが好ましく、1乃至3個であることが特に好ましい。
【0093】
2aとL2bとは、互いに独立に、それぞれ、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エステル結合基、エ−テル結合基、チオエ−テル結合基、ジイミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合基、イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル結合基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選ばれる基を一個もしくは複数個含む連結基であることが好ましく、特に好ましいのはアミド基(−NHCO−基、もしくは−CONH−基)である。
【0094】
2aとL2bの置換基の例としては、炭素原子数が1乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4のアシル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至23のアラルキル基からなる群より選ばれる基で置換されていてもよい。炭素原子数が1乃至3のアルキル基としては、メチル基もしくはエチル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が2乃至4のアシル基としては、アセチル基であることが好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール基としては、フェニル基もしくはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至23のアラルキル基としては、ベンジル基であることが好ましい。
【0095】
2aとL2bがイミノ結合基である場合、その置換基としては、メチル基であることが特に好ましい。従って、L2aとL2bは、それぞれ独立に、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基、1,4−ジ(n−プロピレニル)−ピペラジニル基であることがさらに好ましく、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基であることが特に好ましい。
【0096】
aおよびEbは、酸化還元活性を有し、これによって導電性を付与する基であり、互いに独立に、置換基を有していてもよい、一つ以上の結合手を持つメタロセン、2,2'−ビピリジン錯体、シクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,10−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、カテコールアミン、あるいはビオロ−ゲンなどであることが好ましい。置換基を有していてもよい一つの結合手を持つフェロセンであることが特に好ましい。EaおよびEbは互いに同一の基であることが好ましい。次に、置換基を有するフェロセンの具体例を示す。置換基の位置は、シクロペンタジエニル基の何れの位置であってもよい。
【0097】
【化5】
Figure 0004262426
【0098】
上記の式(19)および(20)の縫い込み型インターカレータとして有利に用いることのできる化合物は、例えば、公知のジアミン化合物を原料として、公知の方法(特開平9−288080号公報)に準じる製造方法によって簡便に製造することができる。
【0099】
また式(19)および(20)の化合物は、公知のジアミン化合物を出発物質とする下記の式で代表される合成ル−トによっても安価に、かつ収率良く製造することができる。
【0100】
【化6】
Figure 0004262426
【0101】
[電気化学的測定]
電気化学的測定は、本発明の核酸断片固定化電極を介して、電流量が測定できる方法であれば如何なる方法であってもよい。サイクリックボルタモグラフィ−(CV)、デファレンシャルパルスボルタモグラフィ−(DPV)、リニアスィ−プボルタモグラフィ−、ポテンショスタット等を用いることが好ましい。
【0102】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
[実施例1]本発明のDNA断片固定電極の作製と、それを用いた試料DNA断片の電気化学的検出
(1)DNA断片(プローブ)固定電極の作製
面積が1.0mm2の金電極を、6−アミノ−1ヘキサンチオール(0.014mM)と 6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオール(1mM)を混合したエタノール溶液に浸漬し、45℃で8時間放置した後、電極表面を40℃のエタノールで10分間洗浄することを5回、続いて40℃の超純水−エタノール混合(1:1)溶液で10分間洗浄すること5回、さらに40℃の超純水で10分間洗浄することを3回行い、金電極表面に結合しなかった成分を十分に除去し、表面に6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの2成分からなる自己組織化単分子膜が形成された電極を作製した。次いで、この自己組織化単分子膜が形成された電極を、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.5)溶液に浸漬し、室温で2時間放置した後、電極表面を25℃蒸留水で10分間洗浄し、自己組織化単分子膜上で自由端部にビニルスルホニル基を持つ反応性金電極を作製した。 次いで、この反応性金電極表面に、以下の塩基配列(ALDH−2遺伝子の一部の塩基配列)で、5'末端がアミノヘキシル基で修飾されているDNA断片の水溶液(0.1pM)の2μLを滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、本発明のDNA断片固定電極を作製した。
【0103】
<固定DNA断片の配列>
(5'末端→3'末端): CAGGCATACACTGAAGTGAAAACTG(配列番号1)
【0104】
(2)試料DNA断片(ターゲット)の調製
以下に示す反応液の組成でPCRを行い、試料核酸酸断片を調製した。 PCRは、[変性:94℃で30秒;アニ−リング:65℃で30秒;ポリメラ−ゼ伸長反応:72℃で1分]を30サイクル繰り返することで実施した。
<反応液の組成>
精製水 36.5μL
10×PCRバッファー 5μL
2.5mM dNTP 4μL
TaqFP(ニッポンジーン社製)0.5μL
20μMプライマー 2μL
30ng/μLターゲット核酸断片試料液 2μL
【0105】
プライマーは、電極に固定したDNA断片の塩基配列を含み、ALDH−2遺伝子の一部分を、280塩基対の核酸として増幅するように設計した、プライマー1(Forward Primer)、プライマー2(Reverse Primer)を用いた。
【0106】
<プライマーの配列>
プライマー1
(5'末端→3'末端): ATTACAGGGTCAACTGCTATG(配列番号2)
プライマー2
(5'末端→3'末端): AGGTCCTGAACTTCCAGCAG(配列番号3)
【0107】
(3)本発明のDNA断片固定電極を用いた試料DNA断片の電気化学的検出
[バックグラウンドの測定]
下記式(21)で表されるフェロセン修飾電気化学活性縫込み型インターカレータ(50μMを含む0.1M塩化カリウム/0.1M酢酸緩衝液(pH5.6)溶液に、20℃にて、前記(1)で作製した、本発明のDNA断片固定電極を浸漬し、印加電圧100乃至700mVの範囲で、デファレンシャル・パルス・ボルタンメトリ−(DPV)測定を行った。次いで、印加電圧260mVでの応答電流値(バックグラウンド値)を求めたところ、−0.6μAであった。DPV測定は、パルス振幅50mV、パルス幅50mSおよびスキャン速度100mV/秒にて行った。
【0108】
【化7】
Figure 0004262426
【0109】
[ハイブリダイゼーション]
前記(2)で得た試料DNA断片(10-8M)を含む液(0.5%SDS、5×SSC)を、95℃2分間加熱後、氷冷したものをハイブリダイゼーション液として、前記(1)で作製した、本発明のDNA固定電極の上に接触させ、ハイブリダイゼーション液が乾燥しないように、60℃にて2時間インキュベートした。次いで、インキュベート後のDNA修飾電極の表面を、25℃の5×SSCで洗浄し、未反応の試料DNA断片を除去した。そして、上記のバックグラウンド値の測定と同様の操作を行って、電極上に固定されたDNA断片(プローブ)と試料DNA断片(ターゲット)のハイブリダイゼーション後の応答電流値を測定したところ、−3.2μAであった。また、バックグラウンド値に対するハイブリダイゼーション後の応答電流値の変化率は、433%であった。
【0110】
(4)測定再現性の評価
10個の個別の金電極に対して、上記の操作(1)のDNA断片固定電極の作製、操作(3)のDNA断片固定電極を用いた試料核酸断片の電気化学的検出をそれぞれ行い、10個のDNA断片固定電極における測定の再現性(N=10)を、バックグラウンドの測定値に対するハイブリダイゼーション後の変化率の変動係数CV(%)として、求めたところ、CV=8.6%であった。
【0111】
[比較例1]従来のDNA断片固定電極を用いた試料DNA断片の電気化学的検出
(1)従来のDNA断片固定電極の作製
面積が1.0mm2の金電極に、実施例1で電極表面に固定したDNA断片と同じ塩基配列をもち、5'末端にメルカプトヘキシル基を有するDNA断片の水溶液(0.1pM)の2μLを滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、従来の金電極表面に直接DNA断片が固定されたDNA断片固定電極を作製した。
【0112】
(2)従来のDNA断片固定電極を用いた試料DNA断片の電気化学的検出
前記(1)で作製したDNA断片固定電極を用いる以外は、実施例1に記載と同様の方法で、バックグラウンドの測定、ハイブリダイゼーション液の調製、ハイブリダイゼーション操作、およびハイブリダイゼーション後の測定を行い、バックグラウンドの測定値、ハイブリダイゼーション後の測定値、およびその変化率を求めたところ、それぞれ、−1.6μA、−3.0μA、88%であった。
【0113】
(3)再現性の評価
10個の個別の金電極に対して、前記の操作(1)を行って作製した、従来の金電極表面に直接DNA断片が固定されたDNA固定金電極を用いる以外は、実施例1に記載の方法に従って、測定の再現性(N=10)を求めたところ、CV=18.6%であった。
【0114】
実施例1と比較例1の結果より、本発明のDNA断片固定電極を用いることにより、従来の方法によるDNA断片固定化電極を用いる場合と比べて、高いS/N(シグナル/ノイズ)比で、かつ再現性良く試料DNA断片(ターゲット)を検出できることがわかる。
【0115】
[実施例2]本発明のPNA断片固定電極の作製と、それを用いた試料DNA断片の電気化学的検出
(1)PNA断片(プローブ)固定電極の作製
面積が1.0mm2の金電極を、6−アミノ−1ヘキサンチオール(0.014mM)と6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオール(1mM)とを混合したエタノール溶液に浸漬し、45℃で8時間放置した後、電極表面を40℃のエタノールで10分間洗浄することを5回、続いて40℃の超純水−エタノール混合(1:1)溶液で10分間洗浄すること5回、さらに40℃の超純水で10分間洗浄することを3回行い、金電極表面に結合しなかった成分を十分に除去し、表面に6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの2成分からなる自己組織化単分子膜が形成された電極を作製した。次いで、この自己組織化単分子膜が形成された電極を、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.5)溶液に浸漬し、室温で2時間放置した後、電極表面を25℃蒸留水で10分間洗浄し、自己組織化単分子膜上で自由端部にビニルスルホニル基を持つ反応性金電極を作製した。次いで、この反応性金電極表面に、以下の塩基配列で、N末端にリジン(Lys)残基を有するPNA断片の水溶液(0.1pM)の2μLを滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、本発明のDNA断片固定電極を作製した。
【0116】
<固定PNA断片の配列>
(N末端→C末端):Lys-GATTAGCAGTCTACG(配列番号4)
【0117】
(2)試料DNA断片(ターゲット)の調製
前記(1)でプローブとして電極上に固定したPNA断片の塩基配列と、相補的な塩基配列を有するDNA断片(10-8M)を含む液(5×SSC)をハイブリダイゼーション液として調製した。
<試料DNA断片の配列>
(5'末端→3'末端): CGTAGACTCCTAAGC(配列番号5)
【0118】
(3)本発明のPNA固定電極を用いた試料DNA断片の電気化学的検出
前記(1)で作製したPNA固定金電極を用いることと、前記(2)で調製したハイブリダイゼーション液を用いる以外は、実施例1に記載と同様の方法で、バックグラウンドの測定、ハイブリダイゼーション操作、およびハイブリダイゼーション後の測定を行い、バックグラウンドの測定値、ハイブリダイゼーション後の測定値、およびその変化率を求めたところ、それぞれ、−0.5μA、−2.0μA、300%であった。
【0119】
(3)再現性の評価
10個の個別の金電極に対して、前記の操作(1)を行って作製した、本発明のPNA断片固定金電極を用いる以外は、実施例1に記載の方法に従って、測定の再現性(N=10)を求めたところ、CV=9.6%であった。
【0120】
実施例2の結果より、本発明のPNA断片固定電極を用いることにより、高いS/N(シグナル/ノイズ)比で、かつ再現性良く試料DNA断片(ターゲット)を検出できることがわかる。
【0121】
[実施例3]電極上に固定するDNA断片の量のコントロール [参考実験1]
(1)蛍光色素(Cy色素)標識DNA断片の固定(本発明の方法)
6−アミノ−1ヘキサンチオールと、6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールとの混合比を、1:7、1:70、1:700としたエタ−ノ−ル溶液のそれぞれに、面積が1.0mm2の金電極を10個ずつ、それぞれ浸漬し、45℃で8時間放置した後、全ての電極表面を40℃のエタノ−ルで10分間洗浄することを5回、続いて40℃の超純水-エタノ−ル混合(1:1)溶液で10分間洗浄すること5回、さらに40℃の超純水で10分間洗浄することを3回行い、金電極表面に結合しなかった成分を十分に除去し、6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比が異なる、自己組織化単分子膜が形成された電極を、それぞれ10個ずつ作製した。次いで、この自己組織化単分子膜が形成された電極を全て、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.5)溶液に浸漬し、室温で2時間放置した後、電極表面を25℃蒸留水で10分間洗浄し、自己組織化単分子膜上で自由端部にビニルスルホニル基を持つ反応性金電極を、異なる6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比の電極について、それぞれ10個ずつ作製した。 次いで、これらの反応性金電極表面に、以下の塩基配列で、5'末端がアミノヘキシル基で修飾され、3’末端が蛍光色素(Cy色素)で標識されているDNA断片の水溶液(0.1pM)の2μLを滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、蛍光色素(Cy色素)標識されたDNA断片が固定されている電極を、6−アミノ−1ヘキサンチの−ルと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比のことなるものについて、それぞれ10個作製した。
【0122】
<固定DNA断片の配列>
(5'末端→3'末端):CAGGCATACACTGAAGTGAAAACTG(配列番号6)
【0123】
(2)蛍光強度の測定
前記(1)で作製した、多成分自己組織化単分子膜作製における、6−アミノ−1ヘキサンチオールと、6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールとの混合比が1:7、1:70、1:700で、蛍光色素(Cy色素)標識DNA断片が固定されている電極表面の蛍光強度を、レーザースキャニング装置を用いて測定した。この時、測定される蛍光強度は、電極表面に固定されているDNA断片の量に対応している。
【0124】
6−アミノ−1ヘキサンチオールと、6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールとの混合比が1:7、1:70、1:700のそれぞれの電極10個について、蛍光強度の平均値とその変動係数CV(%)を求めたところ、それぞれ、 28500、16000、2400(平均値)、2.3%、2.8%、3.2%(変動係数)であった。
【0125】
[比較例2]電極上に固定するDNA断片の量のコントロール [参考実験2]
(1)蛍光色素(Cy色素)標識DNA断片の固定(従来の方法)
実施例3で電極表面に固定した、蛍光色素(Cy色素)で標識されたDNA断片と同じ塩基配列をもち、5’末端にメルカプトヘキシル基を有し、3’末端が蛍光色素(Cy色素)で標識されたDNA断片の濃度を、1pM、0.1pM、0.01pMとした水溶液をそれぞれ、面積が1.0mm2の金電極の10個にそれぞれ2μLを滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、金電極表面に直接、蛍光色素(Cy色素)標識されたDNA断片が固定された電極を作製した。
【0126】
(2)蛍光強度の測定
前記(1)で、蛍光色素(Cy色素)で標識されたDNA断片の濃度を1pM、0.1pM、0.01pMとした水溶液を用いて作製した、蛍光色素(Cy色素)標識DNA断片が固定されている電極表面の蛍光強度を、実施例3と同様にして測定し、蛍光色素(Cy色素)で標識されたDNA断片の濃度を1pM、0.1pM、0.01pMとした水溶液を用いて作製した電極10個について、蛍光強度の平均値とその変動係数CV(%)を求めたところ、それぞれ、 8500、3400、800(平均値)、13.5%、18.6%、25.6%(変動係数)であった。
【0127】
実施例3と比較例2の結果より、本発明の方法を用いることで、従来の方法に比べて、電極へのDNA断片の固定量を、より再現性良くコントロールできることがわかる。
【0128】
[実施例4]試料DNA断片の濃度に合わせた、電極上に固定するDNA断片の量のコントロール
(1)DNA断片固定電極の作製
6−アミノ−1ヘキサンチオールと、6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールとの混合比を、1:7、1:70、1:700としたエタノール溶液のそれぞれに、面積が1.0mm2の金電極を、それぞれ浸漬し、45℃で8時間放置した後、全ての電極表面を40℃のエタノールで10分間洗浄することを5回、続いて40℃の超純水−エタノール混合(1:1)溶液で10分間洗浄すること5回、さらに40℃の超純水で10分間洗浄することを3回行い、金電極表面に結合しなかった成分を十分に除去し、6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比が異なる、自己組織化単分子膜が形成された電極を作製した。次いで、この自己組織化単分子膜が形成された電極を全て、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.5)溶液に浸漬し、室温で2時間放置した後、電極表面を25℃蒸留水で10分間洗浄し、自己組織化単分子膜上で自由端部にビニルスルホニル基を持つ反応性金電極を、異なる6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比の電極について作製した。次いで、これらの反応性金電極表面に、実施例1で用いたものと同様の、5’末端がアミノヘキシル基で修飾されているDNA断片の水溶液(0.1pM)の2μLを滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、DNA断片が固定されている電極を、6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比の異なるものについて、それぞれ作製した。
【0129】
(2)DNA断片固定電極を用いた試料DNA断片の電気化学的検出
前記(1)で作製した、6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比の異なるDNA断片固定電極のそれぞれに、実施例1の(2)で得た試料DNA断片の濃度を、10-11M、10-10M、10-9M、10-8M、10-7M、10-6Mとした液(0.5%SDS、5×SSC)を、それぞれ95℃2分間加熱後、氷冷したものをハイブリダイゼーション液として用いる以外は、実施例1に記載と同様の方法で、バックグラウンドの測定、ハイブリダイゼーション操作、およびハイブリダイゼーション後の測定を行い、バックグラウンドの測定値と、ハイブリダイゼーション後の測定値から求めた変化率(%)を、第1表に示した。
【0130】
第1表より、6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの成分量比によって、変化率(%)が試料DNA断片の濃度に良く依存する領域が異なることがわかる。即ち、変化率(%)が試料DNA断片の濃度に良く依存する領域は、6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオ−ルの成分量比が1:7のとき10-9M〜10-6M、1:70のとき10-10M〜10-7M、1:700のとき10-11M〜10-8Mとなっている。
【0131】
【表1】
Figure 0004262426
【0132】
第1表の結果は、多成分自己組織化単分子膜を形成する成分(6−アミノ−1ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオール)の比を変化させることで、多成分自己組織化単分子膜表面に導入される二官能性の連結分子の量(密度)が変化し、二官能性の連結分子を介して、多成分自己組織化単分子膜表面に固定されるDNA断片の量(密度)が変化した結果である。
【0133】
このことは、本発明の核酸断片固定化電極においては、試料核酸断片の濃度に応じて、検出濃度域を最適になるように設計することが可能であることを示している。
【0134】
[実施例5]本発明のDNA断片固定電極を用いた、アルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH−2遺伝子)の一塩基多型(SNPs)の検出
(1)DNA断片(プローブ)固定電極の作製
面積が1.0mm2の金属極を、6−アミノ−1ヘキサンチオール(0.014mM)と6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオール(1mM)を混合したエタノール溶液に浸漬し、45℃で8時間放置した後、電極表面を40℃のエタノールで10分間洗浄することを5回、続いて40℃の超純水−エタノール混合(1:1)溶液で10分間洗浄すること5回、さらに40℃の超純水で10分間洗浄することを3回行い、金電極表面に結合しなかった成分を十分に除去し、表面に6−アミノ1−ヘキサンチオールと6−ヒドロキシ−1ヘキサンチオールの2成分からなる自己組織化単分子膜が形成された電極を作製した。次いで、この自己組織化単分子膜が形成された電極を、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.5)溶液に浸漬し、室温で2時間放置した後、電極表面を25℃蒸留水で10分間洗浄し、自己組織化単分子膜上で自由端部にビニルスルホニル基を持つ反応性金電極を作製した。次いで、この反応性金電極表面に、以下の2つの塩基配列、即ち、ALDH−2遺伝子上のALDH−2の活性を決定する特定部分の塩基配列を変えた2つ塩基配列(▲1▼、▲2▼)で、5'末端がアミノヘキシル基で修飾されているDNA断片をそれぞれの水溶液(0.1pM)の2μLをそれぞれ滴下し、室温で1時間放置した後、電極表面を25℃超純水で10分間洗浄し、次いで乾燥することにより、試料DNA断片の塩基配列(一塩基多型:SNPs)を判定するための、本発明のDNA断片固定電極▲1▼、▲2▼を作製した。
【0135】
<固定DNA断片の配列>
▲1▼:(5'末端→3'末端):CAGGCATACACTGAAGTGAAAACTG(配列番号7)
▲2▼:(5'末端→3'末端):CAGGCATACACTAAAGTGAAAACTG(配列番号8)
(下線部の塩基配列について、試料DNA断片は、それがALDH−2活性型の場合は▲1▼と、ALDH−2不活性型の場合は▲2▼と相補的な塩基配列を持っている)
【0136】
(2)試料DNA断片(ターゲット)の調製
数人から採取した血液検体に対して、市販の核酸抽出、精製キット(QIAGEN社製、QIAamp DNA Blood Mini Kit)を用いて、抽出、精製したゲノミック核酸断片を1mLの精製蒸留水中に回収した。次いで、該ゲノミック核酸断片に対して、以下に示す反応液の組成でPCRを行った。PCRは、[変性:94℃で30秒;アニーリング:65℃で30秒;ポリメラーゼ伸長反応:72℃で1分]を30サイクル繰り返すことで実施した。
【0137】
<反応液の組成>
精製水 36.5μL
10×PCRバッファー 5μL
2.5mM dNTP 4μL
Taq FP(ニッポンジーン社製) 0.5μL
20μM プライマー 2μL
30ng/μL ターゲット核酸断片試料液 2μL
【0138】
プライマーは、電極に固定したDNA断片の塩基配列を含み、ALDH−2遺伝子の一部分を、280塩基対の核酸として増幅するように設計した、プライマー1(Forward Primer)、プライマー2(Reverse Primer)を用いた。
<プライマーの配列>
プライマー1:5'末端→3'末端):ATTACAGGGTCAACTGCTATG(配列番号9)
プライマー2:(5'末端→3'末端):AGGTCCTGAACTTCCAGCAG(配列番号10)
【0139】
次いで、ABI−3700シーケンサー(アプライドバイオシステム社)を用いて上記でPCRで増幅した部分の塩基配列を調べ、塩基配列よりALDH−2活性型、ALDH−2不活性型と判定されたものを各一つ、試料DNA断片とした。
【0140】
(3)DNA断片固定電極を用いた試料DNA断片の電気化学的検出
前記(1)で作製したDNA断片固定電極、及び前記(2)で調製した試料DNA断片を用いる以外は、実施例1に記載と同様の方法で、バックグラウンドの測定、ハイブリダイゼーション液の調製、ハイブリダイゼーション操作、およびハイブリダイゼーション後の測定を行い、バックグラウンドの測定値と、ハイブリダイゼーション後の測定値から変化率(%)を求めたところ、試料DNA断片がALDH−2活性型とALDH−2不活性型の場合のそれぞれについて、DNA断片固定電極▲1▼では、433(%)、86(%)[変化率の大きさが、活性型>不活性型]、DNA断片固定電極▲2▼では、74(%)、429(%)[変化率の大きさが、活性型<不活性型]であり、試料DNA断片の塩基配列の違いが、検出値の強弱として検出できた。
【0141】
実施例5の結果より、本発明のDNA断片固定電極を用いて、アルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH−2遺伝子)の一塩基多型(SNPs)の検出が可能であることがわかる。即ち、本発明のDNA断片固定電極をもちいて、ゲノミック核酸上の一塩基多型(SNPs)を検出することが可能である。
【0142】
【発明の効果】
本発明によれば、電極上にプローブ核酸断片が、安定にかつ固定量(密度)をコントロールして固定されている、核酸断片固定電極と、その製造法が提供される。
【0143】
【配列表】
Figure 0004262426
【0144】
Figure 0004262426
【0145】
Figure 0004262426
【0146】
Figure 0004262426
【0147】
Figure 0004262426
【0148】
Figure 0004262426
【0149】
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【0150】
Figure 0004262426
【0151】
Figure 0004262426
【0152】
Figure 0004262426
【0153】
Figure 0004262426

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、多成分自己組織化単分子膜を形成する成分の比をコントロールすることで、多成分自己組織化単分子膜表面に導入される二官能性の連結分子の量(密度)をコントロールし、二官能性の連結分子を介して、多成分自己組織化単分子膜表面に固定される核酸断片の量(密度)をコントロールする本発明の方法の構成を模式的に示す図である。

Claims (14)

  1. 電極(A)、
    下記式(4)及び、下記式(5)で表される少なくとも2種の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜(B)、および、
    下記式(3)で表される核酸断片(C)、
    を含む核酸断片固定電極であって、
    該多成分自己組織化単分子膜(B)が該電極(A)上に形成され、かつ、核酸断片(C)が下記式(2)で表される二官能性の連結分子を介し、多成分自己組織化単分子膜(B)の表面に結合していることを特徴とする、核酸断片固定電極。
    1−R1−J1 (4)
    [上記式(4)において、q1は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R1は、連結基を表し、J1は、下記式(2)の反応性基X1と共有結合を形成するアミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、カルバモイル基またはヒドラジノカルボニル基を表す。]
    2−R2−J2 (5)
    [上記式(5)において、q2は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R2は、連結基を表し、J2はヒドロキシル基、カルボキシル基、メチル基、またはフェニル基を表す。]
    1−L1−X2 (2)
    [上記式(2)において、X1は、上記式(4)の官能基J1の少なくとも1種と共有結合を形成する反応性基を表し、X2は下記式(3)の官能基Zと共有結合を形成する反応性基を表し、L1は連結基を表す。]
    Z−L2−Nc (3)
    [上記式(3)において、Zは、上記式(2)の反応性基X2と共有結合を形成する反応性基を表し、Ncは核酸断片を表し、L2は連結基を表す。]
  2. 電極が金から形成されている、請求項1に記載の核酸断片固定電極。
  3. 電極上に形成された、多成分自己組織化単分子膜(B)が、アミノ基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)と、ヒドロキシル基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)との、2種の異なる成分からなる、多成分自己組織化単分子膜である、請求項1または2に記載の核酸断片固定電極。
  4. 式(2)で表される二官能性の連結分子が下記式(6):
    1−SO2−L3−SO2−X2 (6)
    [上記式(6)において、X1およびX2は互いに独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR23Yを表わし;R1、R2及びR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;そして、L3は連結基を表す。]で表わされるジスルホン化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の核酸断片固定電極。
  5. 核酸断片(C)が下記式(7):
    NH2−L4−DNA (7)
    [上記式(7)において、L4は連結基を表す。]で表される、末端をアミノ基で修飾されたDNA断片、または下記式(8):
    Lys−PNA (8)
    [上記式(8)において、Lysはリジン残基を表す。]で表される、末端にリジン残基を有するPNA断片である、請求項1〜4のいずれかに記載の核酸断片固定電極。
  6. 下記工程(a)〜(c)を少なくとも含む、電極上に形成された2種類以上の異なる成分からなる多成分自己組織化単分子膜表面に、二官能性の連結分子を介して核酸断片が共有結合により固定されている、核酸断片固定電極の製造方法。
    (a)電極上に、下記式(4)及び、下記式(5)で表される少なくとも2種の異なる成分を含む混合液を接触させ、次いで、電極と化学結合または化学吸着をしなかった成分を除去することで、電極上に多成分自己組織化単分子膜を形成し、さらに、下記式(2)の二官能性の連結分子を接触させ、次いで、多成分自己組織化単分子膜上の反応性基J1と共有結合を形成しなかった成分を除去することにより、反応性基X2を、多成分自己組織化単分子膜の表面に、部分的に導入し、電極上に多成分自己組織化単分子膜を形成する工程;
    1−R1−J1 (4)
    [上記式(4)において、q1は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R1は、連結基を表し、J1は、下記式(2)の反応性基X1と共有結合を形成するアミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、カルバモイル基またはヒドラジノカルボニル基を表す。]
    2−R2−J2 (5)
    [上記式(5)において、q2は、電極と化学結合または化学吸着する基を表し、R2は、連結基を表し、J2はヒドロキシル基、カルボキシル基、メチル基、またはフェニル基を表す。]
    (b)工程(a)で得た多成分自己組織化単分子膜が形成された電極に、下記式(2)で表される二官能性の連結分子を接触させ、次いで、多成分自己組織化単分子膜上の反応性基J1と共有結合を形成しなかった成分を除去することにより、多成分自己組織化単分子膜の表面に反応性基X2を導入する工程;及び
    1−L1−X2 (2)
    [上記式(2)において、X1は、上記式(4)の官能基J1の少なくとも1種と共有結合を形成する反応性基を表し、X2は下記式(3)の官能基Zと共有結合を形成する反応性基を表し、L1は連結基を表す。];
    (c)工程(2)で得た反応性基X2が導入された多成分自己組織化単分子膜が形成された電極に、下記式(3)で表される核酸断片を接触させ、次いで、多成分自己組織化単分子膜上に導入された反応性基X2と共有結合を形成しなかった余分な成分を除去することにより、多成分自己組織化単分子膜の表面に部分的に核酸断片を結合する工程;
    Z−L2−Nc (3)
    [上記式(3)において、Zは、上記式(2)の反応性基X2と共有結合を形成する反応性基を表し、Ncは核酸断片を表し、L2は連結基を表す。]
  7. 電極に接触させる上記式(4)で表される分子(q1−R1−J1)と上記式(5)で表される分子(q2−R2−J2)との混合液において当該分子のモル比を変化させることで、電極上に形成された多成分自己組織化単分子膜表面に二官能性の連結分子を介して結合する核酸断片の量をコントロールする、請求項6に記載の核酸断片固定電極の製造方法。
  8. 電極に接触させる混合液における上記式(4)で表される分子(q1−R1−J1)と上記式(5)で表される分子(q2−R2−J2)とのモル比が、1:1乃至1:1000の範囲にある、請求項6または7に記載の核酸断片固定電極の製造方法。
  9. 電極が金から形成されている、請求項6〜8のいずれかに記載の核酸断片固定電極の製造方法。
  10. 上記式(4)で表される分子(q1−R1−J1)がアミノ基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)であり、上記式(5)で表される分子(q2−R2−J2)がヒドロキシル基を末端に有するアルカンチオ−ル(炭素原子数が3乃至16)である、請求項6〜9のいずれかに記載の核酸断片固定電極の製造方法。
  11. 二官能性の連結分子が下記式(6)で表わされるジスルホン化合物である、請求項6〜10のいずれかに記載の核酸断片固定電極の製造方法。
    1−SO2−L3−SO2−X2 (6)
    [上記式(6)において、X1およびX2は互いに独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR23Yを表わし;R1、R2及びR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;そして、L3は連結基を表す。]
  12. 核酸断片が下記式(7):
    NH2−L4−DNA (7)
    [上記式(7)において、L4は連結基を表す。]で表される、末端をアミノ基で修飾されたDNA断片、または下記式(8):
    Lys−PNA (8)
    [上記式(8)において、Lysはリジン残基を表す。]で表される、末端にリジン残基を有するPNA断片である、請求項6〜11のいずれかに記載の核酸断片固定電極の製造方法。
  13. (a)請求項1〜5のいずれかに記載の核酸断片固定電極または請求項6〜12の何れかに記載の方法で製造された核酸断片固定電極に、ターゲット核酸断片を含む試料液を接触させ、上記核酸断片固定電極上に固定されたプローブ核酸断片とターゲット核酸断片をハイブリダイズさせる工程;
    (b)ターゲット核酸断片をハイブリダイズさせた核酸断片固定電極に、電気化学活性を有し、かつハイブリダイズにより形成された2本鎖核酸に特異的に結合する分子を接触させる工程;及び、
    (c)核酸断片固定電極を介して電気化学的な測定を行う工程;
    を含む、ターゲット核酸断片の電気化学的検出方法。
  14. 電気化学活性を有し、かつハイブリダイズにより形成された2本鎖核酸に特異的に結合する分子が、インターカレータである、請求項13に記載のターゲット核酸の電気化学的検出方法。
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