JP4261678B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間転写体を使用した複写機、プリント等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9に、中間転写ベルト(中間転写体)を使用した電子写真方式の4色フルカラーの画像形成装置を示す。中間転写ベルト20として中抵抗の弾性体を使用している。
【0003】
画像形成装置は、感光ドラム(第1の画像担持体)1を備えており、この感光ドラム1は矢印R1方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0004】
感光ドラム1はこの回転過程で、一次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで露光装置3により像露光を受ける。これにより、目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0005】
次いで、その静電潜像が現像位置において第1の現像器(イエロー現像器)41により現像され、イエロートナー像として可視化される。このとき第2〜第4の現像器、すなわちマゼンタ現像器42、シアン現像器43、ブラック現像器44は作動しておらず感光ドラム1には作用しないので、イエロートナー像は第2〜第4の現像器42〜44による作用を受けない。第1〜第4の現像器41〜44は回転自在なロータリ40に搭載されていて、このロータリ40の回転により、感光ドラム1と対向した現像位置に順次移動される。
【0006】
中間転写ベルト20は、ローラ61、64、25に掛け渡されており、感光ドラム1との間の一次転写ニップ部(当接部)において感光ドラム1表面と同方向、同周速度で回転駆動される。一次転写ニップ部における中間転写ベルト20の内側位置には一次転写ローラ25が配設されている。中間転写ベルト20は、一次転写ローラ25を介してバイアス電源29により一次転写バイアスが印加されるようになっている。一次転写バイアスは、トナーと逆極性で、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
【0007】
感光ドラム1上に形成されたイエロートナー像は、感光ドラム1と中間転写ベルト20との当接ニップ部を通過する過程で、一次転写ローラ25から中間転写ベルト20に印加した一次転写バイアスによって形成される一次転写電界により、中間転写ベルト20の外周面に順次に一次転写されていく。
【0008】
中間転写ベルト20への第1色のイエロートナー像の転写を終えた感光ドラム1は、表面に残留した一次転写残トナーをクリーニング装置13により清掃、除去された後、一次帯電から始まる次の画像形成プロセスに供せられる。
【0009】
以下、同様にして、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が形成され、中間転写ベルト20上に順次重ねて一次転写されて、目的のカラー画像に対応した合成カラー画像が得られる。
【0010】
中間転写ベルト20を支持するローラ64は二次転写対向ローラで、このローラ64が配設された部位の中間転写ベルト20の外周面位置に二次転写ローラ63が接離自在に配設されている。二次転写ローラ63にはバイアス電源28から二次帯電バイアスが印加されるようになっている。二次転写ローラ63は、第1色〜第3色のトナー像の一次転写工程時には、中間転写ベルト20から離間しておくことが可能である。
【0011】
中間転写ベルト20上に重畳転写された4色のトナー像が中間転写ベルト20の回動で二次転写ニップ部の直近に至るタイミングで、二次転写ローラ63にバイアス電源28から二次転写バイアスが印加され、同時に二次転写ローラ63が中間転写ベルト20に当接される。さらにその二次転写ニップ部に、転写材Pが給紙ローラ11により所定のタイミングで送り出され、ガイド10を経て給紙される。
【0012】
中間転写ベルト20上の4色のトナー像は、転写材Pが二次転写ニップ部を通過する際に、二次転写ローラ63から中間転写ベルト20に印加された二次転写バイアスによる二次転写電界によって、転写材Pの表面に一括で二次転写される。
【0013】
トナー像の二次転写後の転写材Pは、定着器15に導入され、ここで、加熱、加圧されて4色のトナーが溶融混色して転写材Pに固定され、フルカラー画像が形成される。
【0014】
一方、トナー像の二次転写後の中間転写ベルト20は、表面に残留した二次転写残トナーがベルトクリーナ8により感光ドラム1とは逆極性に帯電される。ベルトクリーナ8は中間転写ベルト20の外周面に接離自在に配設されたローラである。ベルトクリーナ8は、中間転写ベルト20の内側に配設され接地された導電ローラ7を対向極として、バイアス電源26により所定の極性のクリーニングバイアスが印加されることで、二次転写残トナーを所定の極性に帯電するものである。例えば、感光ドラム1が負極性帯電なので、二次転写残トナーは正極性に帯電される。ベルトクリーナ8は、第1色〜第3色のトナー像の一次転写工程時には、中間転写ベルト20から離間しておくことが可能である。
【0015】
中間転写ベルト20上の逆極性に帯電された二次転写残トナーは、中間転写ベルト20の一次転写ニップ部で、感光ドラム1に静電的に吸引されて転移し、中間転写ベルト20から除去される。
【0016】
上述の中間転写ベルト20を用いたカラーの画像形成装置は、例えば特開昭63−301960号公報記載のカラーの画像形成装置、すなわち、転写ドラム上に転写材を巻き付けるようにて担持し、その転写材に感光ドラムから各色のトナー像を直接転写してカラー画像を得る画像形成装置と比較すると、転写材に何らの制御(例えば、転写ドラムのグリッパに転写材を把持する制御。転写ドラムの表面に転写材を吸着させる制御。)を行ったり、転写ドラムの表面に沿うように転写材に曲率を持たせたりすることなく、中間転写ベルト20から転写材Pにトナー像を転写できる。したがって、封筒、葉書、ラベル紙など、40g/m2程度の薄い紙から200g/m2程度の厚い紙まで、その厚さや幅の広狭や長さの長短によらず、トナー像を転写してカラー画像を得ることができるという利点、すなわち種々の性状の転写材を使用することができるという利点を有している。
【0017】
ところが、図9に示す上述の画像形成装置によると、1個の感光ドラムに順次に4色のトナー像を形成しなければならないため、画像形成の高速化が困難であるという欠点がある。
【0018】
この欠点を解消すべく、複数の画像形成部(4色フルカラーの場合は、第1〜第4の画像形成部)を、中間転写ベルトに沿って並べ、第1〜第4の画像形成部のそれぞれの感光ドラムで形成した第1色目〜第4色目のトナー像を順次に中間転写ベルトに転写していく方式(以下「インライン方式」という。)の画像形成装置が提案されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上述のインライン方式の画像形成装置によると、種々の性状の転写材を使用できることはもちろん、さらに、高速化対応も可能であるという利点がある。
【0020】
しかしながら、このインライン方式の画像形成装置は、感光ドラムをはじめとして、現像装置、転写装置、クリーニング装置等のプロセス機器をそれぞれ有する第1〜第4の画像形成部を必要とするため、構成が複雑になりがちであるという欠点がある。
【0021】
このような欠点を解消するために、感光ドラム表面に残った転写残トナーを除去するためのクリーニング装置をなくすようにした、いわゆるクリーナレスの画像形成装置が提案されている。このクリーナレスの画像形成装置によると、回収した転写残トナーを再利用することができる。したがって、ランニングコストを低下させることができ、また廃トナーが発生しないため、環境問題に対しても効果的である。
【0022】
ところが、上述のクリーナレスの画像形成装置によると、第1〜第4の画像形成部のそれぞれの感光ドラム上に形成した第1色目〜第4色目のトナー像を、順次に中間転写ベルト上に重ねるように転写していくため、感光ドラム上から中間転写ベルト上にトナー像を転写する際に、すでに中間転写ベルト上に転写されているトナー像が逆に中間転写ベルトから感光ドラム上に移転(逆転写)することがある。例えば、第2の画像形成部の感光ドラム上に形成した第2色目のトナー像を中間転写ベルトに転写する際には、中間転写ベルト上にはすでに第1色目のトナー像が転写されているため、この第1色目のトナーが第2の画像形成部の感光ドラム上に逆転転写される。同様に、第3の画像形成部の感光ドラムには、第1色目及び第2色目のトナーが逆転写され、第4の画像形成部の感光ドラムには、第1色目〜第3色目のトナー像が逆転写される。このような逆転写が発生すると、第1の画像形成部を除く他の画像形成部においては、感光ドラム上の転写残トナーを回収する現像装置に、逆転写された他の色のトナー像が混入してトナーの色味を変化させてしまうという問題が発生する。
【0023】
本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであり、
▲1▼種々の性状の転写材の使用が可能であり、
▲2▼画像形成を高速で行うことができ、る画像形成装置でありながら、しかも、
▲3▼専用のクリーニング装置が不要で構成が簡単であり、
▲4▼転写残トナーの再利用が可能で、ランニングコストを抑えることができ、
▲5▼トナーの混色による色味の変化がない、
画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明は、トナー像を担持する複数の像担持体と、回転可能な中間転写体と、前記中間転写体を介して前記像担持体とともに複数の一次転写ニップ部を形成する複数の電圧印加部材と、を有し、前記一次転写ニップ部で前記像担持体から前記中間転写体にトナー像を転写する画像形成装置において、前記像担持体と前記中間転写体との接触部分を表面側接触部、前記中間転写体と前記電圧印加部材との接触部分を裏面側接触部とし、前記中間転写体の回転方向の前記表面側接触部の幅が、前記中間転写体の回転方向の前記裏面側接触部の幅よりも小さくなるように前記表面側接触部と前記裏面側接触部とを形成し、前記裏面側接触部の前記中間転写体回転方向上流側の境界線が、前記中間転写体の回転方向と直交する方向全域に亘って、前記表面側接触部よりも前記中間転写体の回転方向上流側に形成されていることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
〈実施の形態1〉
図1に、本発明に係る画像形成装置に一例を示す。同図に示す画像形成装置は、電子写真プロセスを利用した4色フルカラーのレーザプリンタであり、同図はその概略構成を示す縦断面図である。
【0030】
まず、同図を参照して、画像形成装置の概略について説明する。
【0031】
同図に示す画像形成装置は、それぞれ正規の帯電極性がマイナスであるイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーによるトナー像を形成する4個の画像形成部Y、M、C、Bkを備えており、これら4個の画像形成部Y、M、C、Bkは、第2の像担持体としての中間転写ベルト6の移動方向(矢印R6方向)の上流側から順に並べるようにして配設されている。すなわち、同図に示す画像形成装置は、第1(イエロー)、第2(マゼンタ)、第3(シアン)、第4(ブラック)の画像形成部Y、M、C、Bkの像担持体上にそれぞれ形成したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を、中間転写ベルト6に順次に一次転写して重ね合わせた後、これらのトナー像を第3の像担持体としての転写材P上に一括で転写してカラー画像を得る4連ドラム方式(インライン方式)のプリンタである。
【0032】
図1において、無端状に構成された中間転写ベルト6は、駆動ローラ6a、テンションローラ6b、及び二次転写対向ローラ6cに懸架され、駆動ローラ6aの矢印方向の回転に伴って、矢印R6方向に回転駆動される。
【0033】
第1〜第4の画像形成部Y、M、C、Bkは、第1の像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1を備えている。これら感光ドラム1は、中間転写ベルト6の表面側にその移動方向に沿って並べるように配置されている。各感光ドラム1は、中間転写ベルト6の表面に接触して表面側接触部S1を形成している。
【0034】
第1の画像形成部Yの感光ドラム1は、回転過程で、一次帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで、露光装置3(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャンによる走査露光系等)による画像露光を受けることにより目的のカラー画像の第1の色成分像(イエロー成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0035】
次いで、その静電潜像がイエローの現像器4により第1色であるイエロートナーにより現像される。
【0036】
感光ドラム1上に形成されたイエローのトナー像は、感光ドラム1と中間転写ベルト6との間に形成される一次転写ニップ部へ進入する。一次転写ニップ部では中間転写ベルト6の裏面側に電圧印加部材7を接触当接させている。すなわち、中間転写ベルト6の表面側に配置された感光ドラム1と、中間転写ベルト6の裏面側に配置された電圧印加部材7とによって中間転写ベルト6を挟み込むようにして一次転写ニップ部を形成している。このときの一次転写ニップ部における、感光ドラム1と中間転写ベルト6表面との接触部分が前述の表面側接触部S1であり、また中間転写ベルト6と電圧印加部材7との接触部分が裏面側接触部S2である。各電圧印加部材7は、それぞれ一次転写バイアス電源7a、7b、7c、7dに接続されている。
【0037】
中間転写ベルト6は、第1の画像形成部Yとの間の一次転写ニップ部において、まず感光ドラム上のイエローのトナー像が一次転写され、次いで上述と同様の工程を経た、各色に対応する感光ドラム1より各一次転写ニップ部を介して順次にマゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が重なるようにして一次転写される。このとき感光ドラム1上に残った転写残トナーは、一次帯電ローラ2によりトナーの正規の帯電極性に再帯電され、そして、再帯電された転写残トナーは、その上から画像情報に基づいて露光が行われ、現像部において、次画像の現像と同時に現像器4に静電的に回収され、トナーリサイクルが可能となる。この外、感光ドラム1上に残った転写残トナーは、一次転写ローラ2により、一旦、回収され、その後、紙間(転写材Pと転写材Pとの間)や予備走行時に感光ドラム1上へ積極的に吐き出され、その後、現像部を通過させ、再度、中間転写ベルト6上の非画像領域に戻し、中間転写ベルト6周辺に配置されているクリーナ装置9に回収するようにしてもよい。
【0038】
これに対し、従来は、再転写トナーの量が多いと、多数の画像形成(プリント)を行った場合、現像部における現像剤の色味変化が発生した。すなわち、従来は、再転写トナーは、現像部を通過させる際に、現像部の現像剤が感光ドラム1に接触しているため、電界条件によらずこの現像部の現像剤に物理的に接触して現像部に混入されてしまう。その結果、再転写トナーの量が多いと、多数のプリントを行った場合、現像部における現像剤の色味変化が発生するのである。
【0039】
中間転写ベルト6上に一次転写された4色のトナー像は、次いで二次転写ローラ8により、第3の像担持体としての転写材Pに一括で転写され、定着装置(不図示)によって溶融定着される。これにより、4色フルカラー画像が形成される。
【0040】
以上で、画像形成装置のついての概略説明を終える。
【0041】
次に、上述構成の画像形成装置の各部材について詳述する。
【0042】
感光ドラム1は、外径30mmのドラム状のOPC(有機光半導体)感光体である。
【0043】
中間転写ベルト6は、周長1115mmの無端状のベルトであり、幅(回転方向に向かって左右方向の幅)は331mmである。
【0044】
以下簡単に作像条件を記す。
第1の実験では、電圧印加部材7は、外径8mmのステンレス製の軸をEPDM発泡フォームを覆った外径16mmの導電性ローラである。電圧印加部材7の抵抗値は、図2に示すような方法で電圧Vを測定した。直径30mmのアルミシリンダ30を回転区同様として使用し、これに電圧印加部材7を押圧する。このとき電圧印加部材7の軸方向の両端部を、それぞれ500gで加圧する。この状態で、アルミシリンダ30を回転駆動させて、電圧印加部材7を回転させながら、50Vの電圧を印加する。このときアルミシリンダ30の電圧xを測定用テスタ31で測定し、次式
抵抗値R=50×100/x
で抵抗値Rを算出する。そして、電圧印加部材7として、その結果が1×105 Ω以下となるようなローラを使用した。電圧印加部材7の硬度は、AskerCで50度である。また、電圧印加部材7の押圧については、図1に示すように、この電圧印加部材7を中間転写ベルト6の内側に配置し、500gfのばねを電圧印加部材7の両端に配置して、中間転写ベルト6を表面側の感光ドラム1に押圧した。
【0045】
中間転写ベルト6としては、ポリイミドの単層ベルトを使用した。中間転写ベルト7の厚みは75μm、体積抵抗値は、1010Ω・cmである。なお、体積抵抗値は、三菱油化株式会社製のHIRESTA (登録商標)を用いて測定し、500V印加での測定結果である。この中間転写ベルト6は、カーボンを分散させることにより抵抗調整を行っている。
【0046】
このような条件の下、感光ドラム1と中間転写ベルト6との接触部分である表面側接触部S1、また、中間転写ベルト6と電圧印加部材7との接触部分を裏面側接触部S2とし、これら表面側接触部S1と裏面側接触部S2についての中間転写ベルト6の回転方向(矢印R6方向)についての幅をそれぞれ表面接触幅W1、裏面接触幅W2とする。そして、これら表面接触幅W1と裏面接触幅W2の測定を行った。まず、染料を電圧印加部材7と感光ドラム1の表面に塗り、電圧印加部材7により、裏面側から中間転写ベルト6を感光ドラム1に押圧させた後、電圧印加部材7を離間させる。この動作により、中間転写ベルト6上に付着した染料の幅を測定し、これを表面側接触幅W1、裏面側接触幅W2とした。
【0047】
測定結果は、
感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1:1mm
中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面接触幅W2:1mm
であった。
【0048】
本出願人らは、このような装置構成条件のもと、以下のような方法で逆転写現象を計測した。
【0049】
図1を用いて説明すると、まず、第1の画像形成部Yにおいて、第1の色成分であるイエローのトナー像を形成し、感光ドラム1上のマイナス極性のイエローのトナー像を、電圧印加部材7に一次転写バイアス電源7aにてプラス極性のバイアスを印加することで中間転写ベルト6上へ一次転写するプロセスにおいて、一次転写バイアス電源7aの電圧を変化させることにより、もっとも転写性が良好となるバイアス値を求めた。そのバイアス値は約600Vであった。
【0050】
同様に、第2の画像形成図Mにおいて、第2の色成分であるマゼンタのトナー像についても同様な実験を行い、最適値を求めた。
【0051】
次に、第1の画像形成図Yの感光ドラム1上にイエローのトナー像を形成し、一次転写ニップ部で先に求めた最適バイアス値にて中間転写ベルト6に一次転写し、第2の画像形成部Mでは、マゼンタのトナー像は形成せず、一次転写ニップ部では、一次転写バイアス電源7bにてバイアスを変化させ、中間転写ベルト6上のイエローのトナーがどの程度、第2の画像形成部Mの感光ドラム1上にに逆転写するかを調査した。
【0052】
以上の結果を図3に示す。一次転写性とは、この場合、第2の画像形成部Mで、RED(レッド)のべた画像(Y+M)を形成する場合のマゼンタトナーの一次転写性の良否を示したものである。また、逆転写性とは、同じく第2の画像形成部Mにおいて、中間転写ベルト6上に転写されているイエローのベた画像が、第2の画像形成部Mの感光ドラム1のマゼンタトナー像のない部分にどの程度、逆転写したかについて示したものである。さらに詳述する。
【0053】
図3の横軸は、一次転写バイアスである。また、縦軸は、感光ドラム1上の一次転写残トナーや感光ドラム1に逆転写されたトナーをテープで採取し、紙上に貼り付け、光学濃度計で測定した値から、テープだけを紙上に貼り付けた場合の光学濃度計の測定値を差し引いたものである。この方法における光学濃度値は、一次転写残トナー重量や逆転写トナー重量とほぼ比例関係を示し、この方法は、直接、一次転写残トナー重量や逆転写トナー重量を化学天秤などで計測する方法と比較すると簡易に微量のトナーを計測できるという利点を持っている。光学濃度値が小さいほど、良好に一次転写されている、あるいは、逆転写が防止されていることを示す。例えば、光学濃度値0.1は、一次転写残トナー、又は逆転写トナーの重量約0.01mg/cm2 に対応している。本出願人らの実験によれば、図3の縦軸の光学濃度が約0.10以下であれば、Y、M、C、Bkの各色5%の印字率で、現像器4の耐久枚数である40000枚の通紙テスト(以下「耐久テスト」という。)を実施したが、現像器4の汚染は問題とはならなかった。
【0054】
図3の結果をみると、最適な一次転写を達成するバイアス条件と逆転写を防止するバイアス条件とが一致せず、両立条件がないことがわかる。最適な一次転写を優先させてバイアス条件を決めた場合には、多数の画像形成を行った場合、逆転写量が多いため、帯電ローラ2の汚れやイエロートナーが第2のマゼンタ画像形成部Mのマゼンタの現像器4内へ混入してしまい、色変化が発生してしまった。また、逆転写の防止を優先してバイアス条件を決めた場合は、耐久テストにおいて、帯電ローラ2の汚れによる帯電性能の低下が発生した。
【0055】
第2の実験では、電圧印加部材7として、より軟らかい導電性ローラで同様の実験を実施した。
【0056】
使用した導電性ローラは、外径8mmのステンレス製の軸をエーテル系の発泡フォームで覆って外径16mmのローラとした。抵抗値は、図2に示すような方法で電圧xを測定し、次式
抵抗値R=50×100/x
で抵抗値を算出し、その結果が1×105 Ω以下となるような導電性ローラを使用した。ローラ硬度は、軟らかいため、下記のような方法で測定した(常温、常湿時)。
【0057】
ローラ表面に、長方形の板材(50mm×10mm×1mm)をその長手方向をローラの長手方向と一致させるようにして押し当て、3秒間で1mmローラがつぶれるように侵入させる。そして、60秒後、板材にかかるローラのフォーム材の反発力を協和株式会社製のひずみゲージで測定した。測定値は、300gf前後であった。実装時のローラの押圧に関しては、500gfのばねをローラの両端に配置させ、中間転写ベルト6を介してその裏面側からローラを感光ドラム1に押圧した。
【0058】
使用した中間転写ベルト6は、前述の第1の実験と同様の単層のポリイミドのベルトであり、厚み75μm、体積抵抗値1010Ω・cmである。なお、体積抵抗値は、三菱油化株式会社製のHIRESTA を用いて測定し、500V印加での結果である(常温常湿時)。
【0059】
このような条件の下、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1と、中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面接触幅W2の測定を行った。まず、染料を電圧印加部材7と感光ドラム1の表面に塗り、電圧印加部材7を中間転写ベルト6を介して感光ドラム1に押圧させ、その後、離間させる。この動作により、中間転写ベルト6上に付着した染料の幅を測定し、表面接触幅W1、裏面接触幅W2とした。
【0060】
測定結果は、
感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1:1mm
中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面接触幅W2:4mm
であった。
【0061】
本出願人らは、このような装置構成条件のもと、再度、以下のような方法で逆転写現象を計測した。
【0062】
まず、第1の画像形成部Yにおいて、イエローのトナー像を感光ドラム1上に形成し、このマイナス極性のイエロートナー像を、一次転写バイアス電源7aにて電圧印加部材7にプラス極性のバイアスを印加することで、中間転写ベルト6上に一次転写するプロセスにおいて、一次転写バイアス電源7aの電圧を変化させることにより、最も一次転写性が良好となるバイアス値を求めた。そのバイアス値は約600Vであった。同様に、第2の画像形成部Mにおいて、マゼンタのトナー像についても同様な実験を行い、最適値を求めた。
【0063】
次に、第1の画像形成部Yにおいて、感光ドラム1上にイエローのトナー像を形成し、一次転写ニップ部において、先に求めた最適バイアス値を電圧印加部材7に印加して感光ドラム1上のイエローのトナー像を中間転写ベルト6上に一次転写する。第2の画像形成部Mにおいては、マゼンタのトナー像は形成せず、一次転写ニップ部におけるバイアスを変化させ、中間転写ベルト6上のイエロートナーがどの程度、第2の画像形成部Mの感光ドラム1上に逆転写するかを調査した。以上の結果を図4に示す。
【0064】
図4の結果を見ると、逆転写性が著しく変化し、この条件では、最適な一次転写条件を達成するバイアス条件と、逆転写を防止するバイアス条件とが両立する領域があることがわかる。この結果から、本出願人らは、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1と、中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面接触幅W2との関係が重要な要因であることを確認した。この条件下で耐久テストを実施したが、イエロートナーが、第2の画像形成部Mのマゼンタの現像器4内に混入する現象は問題となるほどは発生せず、色変化も問題とならなかった。また、帯電ローラ2の帯電性能の低下も発生しなかった。
【0065】
すなわち、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅をW1、中間転写ベルト6とっ電圧印加部材7との裏面接触幅W2との間に、
W1<W2
の関係がある場合に、逆転写を抑制できることがわかった。
【0066】
また、電圧印加部材7としては、図5(a)に示すように上述の本実験で用いたスポンジ性の導電性ローラ7A以外にも、図5(b)に示すような導電性シート7Bやゴム製の導電性ブレードでも同様な効果が得られた。また、図5(c)に示すような導電性化学繊維や金属をブラシ状に形成した導電性ブラシ7Cを使用しても同様の効果が得られた。
【0067】
上述のような効果が得られた理由について、本出願人らは、以下のように考察している。
【0068】
逆転写のメカニズムは、例えば、第2の画像形成部Mで説明すると、感光ドラム1上に形成されたマゼンタトナーを中間転写ベルト6上へ一次転写するプロセスにおいて、感光ドラム1と中間転写ベルト6との分離部近傍の空隙では、感光ドラム1や中間転写ベルト6が移動することにより、静電容量の急激な低下が発生し、剥離放電が発生する。この放電によって発生した電荷は、この空隙にかけられた電界の方向に沿って移動する。本実施の形態の場合は、トナー極性はマイナスであり、電圧印加部材7には、プラスの電圧を印加しているため、放電によって発生したプラス電荷は感光ドラム1表面に移動し、放電によって発生したマイナス電荷は、中間転写ベルト6表面へと移動する。しかし、中間転写ベルト6上に、第1の画像形成部Yで転写されたイエロートナーがある場合は、そのトナーはマイナス極性であるため、トナー表面へもわずかに放電によって生じたプラス電荷の移動が生じてしまう。その結果、イエロートナーの極性が一部反転し、第2の画像形成部Mの感光ドラム1へと転移してしまう。このように本出願人らは逆転写のメカニズムを考えている。
【0069】
そして、実施の形態の効果を本出願人らは、以下のように考察している。
【0070】
本出願人らの解析によれば、中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面接触幅W2を、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1より大きくした場合は、中間転写ベルト6と感光ドラム1との空隙に対し、中間転写ベルト6を介して、裏面側に電圧印加部材7である導電性ローラがあるため、感光ドラム1と中間転写ベルト6で形成される表面側接触部S1の上流側の空隙で放電が発生した場合、中間転写ベルト6上のトナーは、放電によって発生したマイナス電荷により、マイナス電荷量が増大する。一方、感光ドラム1側は、放電により発生したプラス電荷の影響で帯電電位は低下する。この作用により、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面側接触部S1や、この表面側接触部S1の下流側の空隙での放電が抑制され、あるいは、仮に放電が発生しても、中間転写ベルト6上のトナーは、高いマイナスの電荷量を保持していることから、前述したような逆転写が起こりにくいと考えられる。
【0071】
以上、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1と、中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面接触幅W2との関係において、W1<W2の関係になるように図5(a)〜(c)に示した電圧印加部材7(導電性ローラ7A、導電性ブレード7B、導電性ブラシ7C)を、図1に示す画像形成装置に組み込み、4色フルカラーモードで耐久テストを実施した結果、現像器4の色味変化や帯電ローラ2の帯電性能の低下は発生せず、良好な画像を得ることができた。
【0072】
〈実施の形態2〉
図6に、本実施の形態を示す。本実施の形態においては、裏面接触幅W2を、表面接触幅W1の中央Aを基準として、その上流側の裏面接触幅W3と下流側の裏面接触幅W4とに分けて、それぞれの作用について以下の方法で解析した。
【0073】
電圧印加部材7としては、樹脂板(幅20mm×長さ300mm×厚み2mm)の上に、導電性レーヨンのブラシ(幅20mm×長手300mm)を配置させた導電性ブラシ7Cを使用した。ブラシの毛長は5mm、全体の抵抗値は、105 以下とした。
【0074】
使用した中間転写ベルト6は、前述の実施の形態1と同じベルトであり、厚み75μm、体積抵抗率1010Ω・cmのポリイミドの無端状のベルトである。なお体積抵抗値は、三菱油化株式会社製のHIRESTA (登録商標)用いて測定し、500V印加での結果である。
【0075】
上述の導電性ブラシ7Cの幅方向(中間転写ベルト6の回転方向)の配置については、感光ドラム1の中心を通る鉛直線に対し、左右対称となるようにした。この導電性ブラシ7Cによって中間転写ベルト6をその裏面側から押圧して、中間転写ベルト6の表面側を感光ドラム1に押し付けるようにした。この状態で、導電性ブラシ7Cのブラシが厚み方向に2mmつぶれるようにした。
【0076】
この条件で、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1を測定した。測定方法は、前述の実施の形態1で示した方法と同じである。W3+W4は、裏面接触幅W2、つまり導電性ブラシ7Cの幅に対応している。結果は、W1:2mm、W3、W4:10mmであった。
【0077】
次に、図7に示すように、この導電性ブラシ7Cを長手方向の中央を中心とし、10度回転させて配置させた。傾けた目的は、簡易な方法でW3、W4の影響を確認するためである。
【0078】
本出願人らは、このような装置構成条件のもと、再度、以下のような方法で逆転写現象を計測した。
【0079】
同様に図1を用いて説明すると、
まず、第1の画像形成部Yの感光ドラム1上にイエローのトナー像を形成し、この感光ドラム1上のマイナス極性のイエロートナー像を、導電性ブラシ7cに一次転写バイアス電源7aにてプラス極性のバイアスを印加することで、中間転写ベルト6上に一次転写するプロセスにおいて、一次転写バイアス電源7aの電圧を変化させることにより、最も転写性が良好となるバイアス値を求めた。そのバイアス値は約500Vであった。前述の実施の形態1では、約600Vで合ったのに対して本実施の形態ではこれよりも100V低い500Vである理由は、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1、及び中間転写ベルト6と導電性ブラシ7Cとの裏面接触幅W2(=W3+W4)の双方ともが、実施の形態1よりも大きいことに起因していると考えられる。
【0080】
同様に、第2の画像形成部Mにおいてマゼンタのトナー像についても同様な実験を行い、最適値を求めた。
【0081】
次に、第1の画像形成部Yにおいて、感光ドラム1上にイエローのトナー像を形成し、一次転写ニップ部において、先に求めた最適バイアス値にて中間転写ベルト6にイエロートナー像を一次転写し、第2の画像形成部Mでは、マゼンタのトナー像は形成せず、一次転写ニップ部ではバイアスを印加し、中間転写ベルト6上のイエロートナーがどのようにして第2の画像形成部Mの感光ドラム1に逆転写するかを調査した。
【0082】
以上の結果を図7で説明する。ここで、同図において、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面側接触部S1の上流側の境界線をa1 、下流側の境界線をb1 とし、また、中間転写ベルト6と導電性ブラシ7Cとの裏面側接触部S2の上流側の境界線をa2 、下流側の境界線をb2 とする。また、P1は境界線a1 と境界線b2 との交点、P2は境界線a1 と境界線a2 との交点、P3は境界線b1 と境界線a2 との交点をそれぞれ示す。
【0083】
上述のP1、P2、P3について、P1とP2との間の領域においては、逆転写が非常によく防止され、一方、P2とP3との間の領域においては、逆転写が発生する。
【0084】
すなわち、必ずしも表面側接触部S1の全体が裏面側接触部S2によって覆われている必要はなく、表面側接触部S1の上流側の境界線a1 が裏面側接触部S2の範囲内(裏面側接触部S2の上流側の境界線a2 と下流側の境界線b2 との間)に配置されてさえいれば、逆転写を抑制する効果があることがわかった。換言すると、裏面側接触部S2のうち、表面接触部S1の上流側の境界線a1 を横切る部分については、良好に逆転写を防止することができる。
【0085】
実際に、導電性ブラシ7Cを、図1に示す画像形成装置に組み込み、中間転写ベルト6と導電性ブラシ7Cとの裏面側接触部S2が、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面側接触部S1の上流側の境界線a1 を跨ぎ、かつ、下流側の境界線b1 を跨がないように配置した後に、実施の形態1に示した耐久テストを実施したところ、現像器4の色味変化や帯電ローラ2の帯電性能の低下は発生せず、良好な画像を得ることができた。
【0086】
なお、上述の導電性ブラシ7Cに変えて、図5に示すような導電性ローラ7Aや導電性シート、導電性ブレード7Bを使用し、裏面側接触部S2が、表面側接触部S1の上流側の境界線a1 のみを覆うように、これらの部材と感光ドラム1との相対位置を設定することにより、上述とほぼ同様の効果を得ることができた。
【0087】
〈実施の形態3〉
次に、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面側接触部S1の表面接触幅W1と、中間転写ベルト6と電圧印加部材7との裏面側接触部S2の裏面接触幅W2と、中間転写ベルト6の抵抗値との関係について調べた。
【0088】
中間転写ベルト6は、厚み75μmのポリイミドの単層ベルトを使用した。
【0089】
中間転写ベルト6の体積抵抗値については、それぞれ値の異なる以下の9種類の中間転写ベルト6を使用した。
【0090】
体積抵抗値としては、1×106 、1×107 、1×108 、1×109 、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014Ω・cmである。
【0091】
電圧印加部材7としては、導電性ローラ7Aを使用した。外径8mmのステンレス製の軸を、エーテル系の発泡フォームで覆って外径16mmのローラを形成した。この導電性ローラ7Aの体積抵抗値については、図2に示すような方法で電圧xを測定し、次式
抵抗値R=50×100/x
で抵抗値Rを算出し、その結果が1×105 Ω以下となるようなローラを使用した。ローラ硬度は、軟らかいため、下記のような方法で測定した。
【0092】
ローラ表面に、長方形の板材(20mm×10mm×1mm)をその長手方向をローラの長手方向と一致させるようにして押し当て、3秒間で1mmローラがつぶれるように侵入させる。そして、60秒後、板材にかかるローラのフォーム材の反発力を協和株式会社製のひずみゲージで測定した。測定値は、300gf前後であった。実装時のローラの押圧に関しては、500gfのばねをローラの両端に配置させ、中間転写ベルト6を介してその裏面側からローラを感光ドラム1に押圧した。
【0093】
感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1と、中間転写ベルト6と導電性ローラ7Cとの裏面接触幅W2とは、前述の実施の形態1と同様な方法で測定し、その結果は、
感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触幅W1:1mm
中間転写ベルト6と導電性ローラ7Cとの裏面接触幅W2:4mm
であった。
【0094】
各体積抵抗値の中間転写ベルト6で、本出願人らは、実施の形態1と同様な方法で逆転写現象を計測するとともに、実施の形態1で示したような耐久テストも実施し、逆転写性の良否について調べた。また、同時に画像品質の評価も行った。それらの結果を図8に示す。
【0095】
図8に示すように、実験に使用した各中間転写ベルト6で、逆転写性については、良好な結果が得られたが、画像品質については、1×1013Ω・cm以上の抵抗値の中間転写ベルト6では、適正な一次転写バイアス設定は1kV以上の高電圧になり、感光ドラム1と中間転写ベルト6との表面接触部S1の上流側や下流側の空隙で転写が開始され、画像にじみや画像の一部が抜けてしまう画像欠陥が発生した。また、1×106 Ω・cmの中間転写ベルト6では、抵抗値が低いために、図1の第1〜第4の画像形成部Y、M、C、Bkの各電圧印加部材7の間で電流の流入、流出が発生し、各色独立で異なる電圧設定ができないという問題が生じ、良好な画像品質を得ることができる電圧に設定できなかった。また、飛び散り(文字などの線画像の周辺にトナーが散る現象)に関しては、1×109 Ω・cm以上で特に良好であった。
【0096】
したがって、良好な画像が得られ、かつ、装置構成上問題ない中間転写ベルト6の抵抗値は、1×107 〜1×1012Ω・cmの範囲であった。
【0097】
本発明において、中間転写ベルト6は、これに限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン、スチレン系樹脂(クロロポリスチレン、スチレンーブタジエン共重合体等)、メタクリル酸メチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリイミド樹脂、PES等が挙げられる。これらの1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0098】
被覆層の形成方法は、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、押出成形など、任意のものを使用することができる。
【0099】
中間転写ベルト6の抵抗値を所望値に調節するために、必要に応じ、弾性層や被覆層に導電剤を添加することができる。導電剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、四級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0100】
また、上記の中間転写ベルト6を用いた場合、逆転写を防止し、現像器4内の現像剤の色味変化を防止し、かつ良好な画像が得られることは言うまでもない。
【0101】
なお、上述の実施の形態1〜3では、表面接触幅W1及び裏面接触幅W2の測定を、感光ドラム1、中間転写ベルト6、一次帯電ローラ2が停止しているときに行っているが、画像形成のために上述の各部材が動作(回転)している場合においても、表面接触幅W1が裏面接触幅W2よりも小さい、という関係は変わらないものとする。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、第2の像担持体の移動方向に沿って複数の画像形成部を並べて構成した画像形成装置において、各画像形成部の第1の像担持体(例えば、感光ドラム)と第2の像担持体(例えば、中間転写ベルト)との接触部分を表面側接触部、また第2の像担持体と電圧印加部材との接触部分を裏面側接触部とし、これら表面側接触部と裏面側接触部についての第2の像担持体の移動方向の幅をそれぞれ表面接触幅、裏面接触幅としたときに、表面接触幅が裏面接触幅よりも小さくなるように表面側接触部と裏面側接触部とを形成することにより、第1の像担持体から第2の像担持体へのトナー像の転写工程において発生する、第2の像担持体から第1の像担持体へのトナーの逆転写を防止して、逆転写されたトナーが現像器内で混色されることによる色味の変化を長期にわたって防止することができる。これにより、さらにクリーナレスの簡単な構成を可能とし、また、回収したトナーを再利用して廃トナーをださない環境対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の画像形成装置の概略構成を示す縦断面図。
【図2】導電性ローラの抵抗測定方法を示す図。
【図3】実施の形態1における第1の実験の一次転写性と逆転写性とを示す図。
【図4】実施の形態1における第2の実験の一次転写性と逆転写性とを示す図。
【図5】(a)は、電圧印加部材として導電性ローラを使用した例を示す図。
(b)は、電圧印加部材として導電性ブレードを使用した例を示す図。
(c)は、電圧印加部材として導電性ブラシを使用した例を示す図。
【図6】実施の形態2の、表面接触幅、裏面接触幅を説明する図。
【図7】実施の形態2において、表面側接触部と裏面側接触部との位置関係を説明する図。
【図8】実施の形態3において、中間転写ベルトの抵抗値を変化させた場合の、逆転写性や画像品質の変化を示す図。
【図9】従来の画像形成装置の概略構成を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 第1の像担持体(感光ドラム)
6 第2の像担持体(中間転写ベルト)
7 電圧印加部材
7A 電圧印加部材(導電性ローラ)
7B 電圧印加部材(導電性ブレード)
7C 電圧印加部材(導電性ブラシ)
7a〜7d バイアス電源
P 第3の像担持体(転写材)
S1 第1の像担持体と第2の像担持体との表面側接触部
S2 第2の像担持体と電圧印加部材との裏面側接触部
W1 表面接触幅
W2 裏面接触幅
Y、M、C、Bk第1〜第4の画像形成部
a1 表面側接触部の上流側の境界線
Claims (1)
- トナー像を担持する複数の像担持体と、回転可能な中間転写体と、前記中間転写体を介して前記像担持体とともに複数の一次転写ニップ部を形成する複数の電圧印加部材と、を有し、前記一次転写ニップ部で前記像担持体から前記中間転写体にトナー像を転写する画像形成装置において、
前記像担持体と前記中間転写体との接触部分を表面側接触部、前記中間転写体と前記電圧印加部材との接触部分を裏面側接触部とし、前記中間転写体の回転方向の前記表面側接触部の幅が、前記中間転写体の回転方向の前記裏面側接触部の幅よりも小さくなるように前記表面側接触部と前記裏面側接触部とを形成し、
前記裏面側接触部の前記中間転写体回転方向上流側の境界線が、前記中間転写体の回転方向と直交する方向全域に亘って、前記表面側接触部よりも前記中間転写体の回転方向上流側に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
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