JP4260549B2 - シート状部材のアクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents

シート状部材のアクチュエータおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状部材を変形させるシート状部材のアクチュエータおよびその製造方法に係り、例えば、紙製の食品容器、玩具等に利用できる。
【0002】
【背景技術】
近年、新しい原理に基づく多くの種類のアクチュエータが開発されている。例えば、マイクロアクチュエータ、フレキシブルマイクロアクチュエータ、圧電素子を利用したアクチュエータ、超磁歪アクチュエータ、熱アクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータ、超音波アクチュエータ、高分子アクチュエータ、光アクチュエータ、レーザ光によるアクチュエータ、イオンドラグアクチュエータ等が挙げられる。
【0003】
このうち、高分子アクチュエータとしては、イオン伝導アクチュエータおよび導電性高分子アクチュエータという2種類の技術が開発されている(非特許文献1参照)。イオン伝導アクチュエータは、高分子と金属材料からなる柔軟なアクチュエータ素子であり、2ボルト程度の低電圧により素早く動くことができるため、生物模倣運動やロボットハンド等を実現できる。導電性高分子アクチュエータは、導電性高分子に通電すると伸縮する特性を利用したものであり、発生力が大きく、かつ、軽量であるため、従来の電動モータに代わるアクチュエータとしての応用が期待されている。
【0004】
【非特許文献1】
イーメックス株式会社、「高分子アクチュエータ」、[online]、イーメックス株式会社ホームページ、[平成15年3月25日検索]、インターネット<URL:http://www.eamex.co.jp/tech.html>
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した各種のアクチュエータは、例えば、玩具、アート、ロボットの指や腕等の動力源、医療用デバイス等の様々な用途への応用が図られている。この際、アクチュエータで動かされる対象物が製品や商品である以上、いずれのアクチュエータを用いるにせよ、目的である所望の動きを達成することと併せ、製造コストの削減、構造の簡易化、軽量化等が問題となってくる。換言すれば、動く製品や商品を作る場合には、それらの製品や商品の目的に見合った製造コスト、構造、重量等を達成できるアクチュエータを選択する必要がある。例えば、玩具の場合には、通常、親が子供に対して気軽に拠出できる程度の商品価格に収まるように製造コストを抑えるとともに、子供が容易かつ安全に取り扱うことができるような構造や重量の商品に仕上げる必要がある。
【0006】
しかし、前述した各種のアクチュエータでは、より簡易な構造で、より軽量な製品や商品を、より安価に提供するという観点からは、必ずしも十分であるとはいえない。例えば、前述した高分子アクチュエータを用いれば、生物の動きを模倣する商品等を提供することはできるが、動きを電気的にコントロールするため、電源確保が必要となり、構造が複雑化し、また、コスト的に見て、必ずしも手軽に入手できる簡単な玩具やアート等の商品に用いるのに適しているとはいえないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、軽量かつ簡易な構造で、しかも安価にシート状部材の変形を実現できるシート状部材のアクチュエータおよびその製造方法を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のシート状部材のアクチュエータは、シート状部材の表裏面のうちの少なくとも一方の面に、折り位置に沿って溝が形成され、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して膨張する膨張材料または収縮する収縮材料が、溝の内部に挿入されたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「シート状部材」には、例えば、紙、樹脂、木材、ゴム材、ガラス等の各種の材質のものが含まれ、要するに、ある程度の硬さを有し、一定の形状(面状)を保持できる材質のものであればよい。また、必ずしも平面状である必要はなく、曲面状であってもよい。以下の発明においても同様である。
【0010】
また、「折り位置」とは、これから折られて折り目が形成される予定位置であってもよく、既に折られて折り目が入っている折り目位置であってもよい。従って、本発明のシート状部材のアクチュエータは、折られていない平坦な状態(但し、ここでいう「平坦な状態」とは、角部ではないという意味であり、曲面同士が滑らかに連続する状態も含む。)のシート状部材を折る方向に変形するもの、既に折られている状態のシート状部材を平坦な状態に戻す方向に変形するもの、既に折られている状態のシート状部材を別の角度(角度を大きくする場合および小さくする場合を含む。)に折られた状態に変形するもののいずれも含まれる。以下の発明においても同様である。
【0011】
さらに、「外部環境の変化」には、例えば、温度、湿度、気圧、水温、水圧、気中や液中の各種物質濃度等の変化が含まれる。「外部から受ける物理的刺激」には、例えば、電気、磁気、光、熱、音、放射線、圧力等による刺激が含まれる。「外部から受ける化学的刺激」に反応することには、例えば、化学物質と反応して化学変化を起こすこと等が含まれる。以下の発明においても同様である。
【0012】
そして、「溝の内部に挿入」することには、例えば、印刷、塗布、貼り付け、焼き付け、吹き付け、溶着、融着、接着等を行なうことが含まれる。
【0013】
このような本発明のシート状部材のアクチュエータにおいては、シート状部材の周囲の環境、すなわち膨張材料または収縮材料の周囲の環境が変化したり、あるいは膨張材料または収縮材料に対して外部から物理的刺激または化学的刺激が加えられると、溝の内部に挿入された膨張材料が膨張し、または収縮材料が収縮するので、溝が拡げられ、または狭められて溝の断面形状が変化する。そして、これに伴って、シート状部材も溝の形成位置を折り目として変形する。
【0014】
このため、シート状部材に溝を形成し、膨張材料または収縮材料を挿入するだけの簡易な構造で、シート状部材を変形させるシート状部材のアクチュエータが実現される。
【0015】
また、前述した高分子アクチュエータのように、動きをコントロールするための電源を確保する必要もないので、この点でも構造の簡易化が図られるうえ、変形するシート状部材を安価に作ることが可能となる。
【0016】
さらに、シート状部材に形成された溝と、膨張材料または収縮材料との組合せなので、アクチュエータ自体が軽量であるとともに、動かす対象物であるシート状部材も、例えば紙等を用いることができるので、軽量な製品や商品を実現することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0017】
なお、一つの溝の形成箇所におけるシート状部材の変形量(折れ曲がりの角度)は、溝の大きさ、あるいは膨張材料や収縮材料の挿入量で調整可能である。
【0018】
また、前述したシート状部材のアクチュエータにおいて、シート状部材の表裏面のうちの一方の面に形成された溝の内部には、膨張材料が挿入され、他方の面に形成された溝の内部には、収縮材料が挿入され、これらの膨張材料および収縮材料がそれぞれ挿入された溝同士は、互いに近傍に配置されていることが望ましい。
【0019】
このように膨張材料と収縮材料とを互いにシート状部材の表裏面の反対側に設けておけば、シート状部材の変形量を大きくすることが可能となる。
【0020】
さらに、前述したシート状部材のアクチュエータにおいて、溝の断面形状は、略V字状部分を含む形状であることが望ましい。
【0021】
ここで、「略V字状部分を含む形状」とは、略V字状部分のみを有する形状だけではなく、例えば、略V字状部分に加えて溝の開口部分の少なくとも一部を塞ぐ蓋部分(例えば、後述する図14の場合等)が設けられていてもよく、あるいは略V字状部分を組み合わせて略W字状の形状としてもよく、要するに、略V字状部分が少なくとも一つ含まれていればよい趣旨である。なお、「略」V字状であるから、例えば、溝の底部(V字の交差部分)が平坦面や丸みを帯びた面となっていてもよく、あるいは、溝の両側の側面部分(V字の斜面部分)が階段状になっていてもよい。
【0022】
このように溝の断面形状を略V字状部分を含む形状にした場合には、膨張材料の膨張または収縮材料の収縮により生じる力が、溝の両側の側面部分(V字の斜面部分)に伝わり、V字の角度を拡げる方向または狭める方向に作用するので、シート状部材の円滑な変形が実現される。
【0023】
そして、前述したシート状部材のアクチュエータにおいて、溝が形成された面の反対側の面には、マイクロ波加熱により発熱する発熱シートが付着されていることが望ましい。
【0024】
ここで、「マイクロ波加熱により発熱する発熱シート」とは、例えば、電気抵抗の大きい金属箔、あるいは水分を含んだシート等である。
【0025】
このように溝が形成された面の反対側の面に、マイクロ波加熱により発熱する発熱シートを設けた場合には、例えば電子レンジ等で加熱された発熱シートの熱が、溝の内部に挿入された膨張材料または収縮材料に伝わるので、膨張材料の膨張作用または収縮材料の収縮作用が助長され、シート状部材の変形が促進される。
【0026】
また、本発明のシート状部材のアクチュエータは、シート状部材の表面に、折り位置に沿って外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して収縮する収縮材料が付着され、シート状部材の収縮材料を付着した部位には、空洞部が形成され、この空洞部は、シート厚さ方向についての収縮材料の付着面寄りの位置に配置されたことを特徴とするものである。
【0027】
ここで、「付着」には、例えば、印刷、塗布、貼り付け、焼き付け、吹き付け、溶着、融着、接着等が含まれる。
【0028】
また、「空洞部」には、例えば、後述するように切れ目を入れておき収縮材料が固まらないうちにシート状部材を引っ張ることにより形成されたもの(例えば、後述する図6、図13の場合等)、溝を形成したシート状部材を折り曲げた状態で収縮材料を付着した後に収縮材料が固まらないうちにシート状部材を平坦な状態に戻して形成されたもの(例えば、後述する図8の場合等)、レーザ照射により形成されたもの(例えば、後述する図11の場合等)、乾燥すると体積が減少する物質をシート状部材に埋め込んでおくことにより形成されたもの等が含まれ、形成方法は任意である。
【0029】
このような本発明のシート状部材のアクチュエータにおいては、シート状部材の周囲の環境、すなわち収縮材料の周囲の環境が変化したり、あるいは収縮材料に対して外部から物理的刺激または化学的刺激が加えられると、シート状部材の表面に付着された収縮材料が収縮し、シート状部材のうち空洞部の両側に位置する部分同士が引き寄せられて空洞部の容積が減少し、空洞部の断面形状が変化する。そして、これに伴って、シート状部材も空洞部の形成位置を折り目として変形する。
【0030】
このため、前述した溝の内部に収縮材料を挿入した場合と同様に、簡易な構造で、シート状部材を変形させるシート状部材のアクチュエータが実現され、変形するシート状部材を用いた軽量な製品や商品を安価に作ることが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0031】
そして、以上に述べたシート状部材のアクチュエータにおいて、シート状部材の材質、膨張材料、および収縮材料は、任意であるが、取扱いの容易性、軽量化、製造の容易化、コスト低減等の観点からは、シート状部材を紙とし、かつ、膨張材料を発泡インクとすることが好適であり、また、シート状部材を紙とし、かつ、収縮材料を熱収縮インクとすることが好適である。
【0032】
ここで、「発泡インク」とは、熱を与えると発泡して立体的に膨張するインクである。また、「熱収縮インク」とは、熱を与えると収縮するインクである。
【0033】
また、本発明は、前述したシート状部材のアクチュエータ(収縮材料の付着部位近傍のシート状部材に空洞部を設ける場合)の製造方法であって、折り位置に沿ってシート状部材の表面からシート状部材に、シート状部材を貫通しない深さの切れ目を入れた後、この切れ目の上側に収縮材料を付着させ、その後、付着させた収縮材料が固まらないうちにシート状部材をシート面に沿う方向に引っ張ることにより切れ目を拡げて空洞部を形成することを特徴とするものである。
【0034】
このような本発明のシート状部材のアクチュエータの製造方法においては、切れ目を入れておき、収縮材料を付着してからシート状部材を引っ張るだけで、空洞部を容易に形成することが可能となる。このため、例えば、レーザ照射により空洞部を形成する場合等に比べ、シート状部材のアクチュエータを低コストで実現することができるようになる。
【0035】
さらに、本発明は、前述したシート状部材のアクチュエータ(収縮材料の付着部位近傍のシート状部材に空洞部を設ける場合)の製造方法であって、折り位置に沿ってシート状部材の表面に溝を形成した後、シート状部材を溝の形成箇所で折り曲げて溝を狭めた状態としてから、この狭められた状態の溝の開口位置近傍に溝を塞ぐ状態で収縮材料を付着させ、その後、付着させた収縮材料が固まらないうちにシート状部材を平坦な状態に戻して溝を拡げることにより溝の内部に空洞部を形成することを特徴とするものである。
【0036】
ここで、「折り曲げて溝を狭めた状態としてから」には、溝を完全に塞いでしまう状態まで折り曲げること、および溝を隙間が残る状態まで折り曲げることのいずれも含まれる。
【0037】
このような本発明のシート状部材のアクチュエータの製造方法においては、溝を形成しておき、シート状部材を折り曲げて溝を狭めてから収縮材料を付着し、再び、シート状部材を平坦な状態に戻すだけで、空洞部を容易に形成することが可能となる。このため、例えば、レーザ照射により空洞部を形成する場合等に比べ、シート状部材のアクチュエータを低コストで実現することができるようになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のシート状部材のアクチュエータ10の構成を示す断面図である。
【0040】
図1において、シート状部材11には、シート表面12に開口する一つまたは複数の溝20が形成されている。また、各溝20の内部には、膨張材料30が挿入されている。シート状部材11は、例えば紙等であり、膨張材料30は、例えば発泡インク等である。なお、図1には、比較的狭い間隔を置いて3つの溝20が配置された状態が示されているが、溝20の個数や配置間隔は、任意であり、例えばシート状部材11を変形させたい量や変形後に得たい形状等の目的に応じて適宜定めればよい。
【0041】
膨張材料30は、例えば発泡インクである場合には、シート状部材11の溝20の内部や溝20の近傍に、印刷または塗布されてシート状部材11に付着される。なお、図1では、膨張材料30は、溝20の内部のみならず、溝20から外へ、はみ出すような状態で溝20の周辺のシート表面12の位置にまで付着されているが、溝20の内部のみに付着するようにしてもよい。
【0042】
溝20の断面形状は、本実施形態では、図示の如く略V字状であり、溝20の両側の側面部分21は斜面となり、溝20の底面部分22は平坦面となっている。なお、溝20の底面部分は、平坦面ではなく、例えば、曲面としたり、両側の側面部分の斜面同士が交差するようにしてもよい。
【0043】
また、シート状部材11の裏面13(溝20が開口する面とは反対側の面)には、溝20の形成箇所に溝20に対応して略台形断面状の凸部14が設けられている。なお、シート状部材11の裏面13は、このような凸部14を設けずに、平坦面としてもよい。
【0044】
図2には、シート状部材11の変形後の状態が示されている。シート状部材11は、通常の状態(例えば常温下に置かれた状態)では、図1に示すように平面状であるが、外部環境が変化したり、あるいは外部から物理的刺激若しくは化学的刺激を受けると(例えば加熱すると)、図2に示すように変形する。
【0045】
図2において、各溝20の形成箇所では、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して膨張材料30が膨張する。例えば、膨張材料30が発泡インクである場合には、加熱すると発泡して立体的に膨張する。そして、この膨張材料30の膨張作用により、各溝20の両側の側面部分21同士が押し拡げられてV字の角度が拡がり、シート状部材11は、各溝20の形成箇所で、各溝20の形成面側が外側になる状態で折れ曲がるようになっている。従って、シート状部材11に形成された溝20と、この溝20の内部に挿入された膨張材料30とにより、シート状部材11を変形させるアクチュエータ10が構成されている。
【0046】
なお、図2の例では、比較的狭い間隔を置いて3つの溝20が配置され、これらの各溝20での折れ曲がりの結果、変形後のシート状部材11は、全体的に見ると湾曲した形状となっている。従って、一つの溝20およびその内部に挿入された膨張材料30で構成されるアクチュエータ10により、シート状部材11を各折り位置で変化させることができる角度は、図2の例では、90度未満である。しかし、一つ一つの溝20での折れ曲がり角度(最大変形角度)は、これに限定されるものではなく、90度、あるいは90度を超える角度であってもよく、溝20の大きさ、あるいは膨張材料30の挿入量によって調整することができる。
【0047】
また、膨張材料30として、例えば発泡インク等のように一旦膨張すると元に戻らない材料を用いた場合には、図1の状態から図2の状態に変形した後、再び、図1の状態に戻ることはないが、膨張材料30として、元の体積に戻るような材料を用いて、図2の状態から図1の状態に戻るようにしてもよい。
【0048】
このような第1実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、シート状部材11に溝20を形成し、膨張材料30を挿入するだけの簡易な構造で、シート状部材11を変形させるアクチュエータ10を実現することができる。
【0049】
また、前述した高分子アクチュエータのように、動きをコントロールするための電源を確保する必要もないので、この点でも構造の簡易化を図ることができるうえ、変形するシート状部材11を安価に作ることができる。
【0050】
さらに、シート状部材11に形成された溝20と、膨張材料30との組合せなので、アクチュエータ10自体が軽量であるとともに、動かす対象物であるシート状部材11も、例えば紙等を用いることができるので、軽量な製品や商品を実現することができる。
【0051】
そして、溝20の断面形状は、略V字状とされているので、膨張材料30の膨張作用により生じる力を、溝20の両側の側面部分21に効率よく伝達し、V字の角度を拡げることができる。このため、シート状部材11の円滑な変形を実現できる。
【0052】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態のシート状部材のアクチュエータ210の構成を示す断面図である。
【0053】
図3において、シート状部材211には、前記第1実施形態の場合と同様に、シート表面212に開口する一つまたは複数の溝220が形成されている。一方、各溝220の内部には、前記第1実施形態の場合とは異なり、収縮材料230が挿入されている。シート状部材211は、例えば紙等であり、収縮材料230は、例えば熱収縮インク等である。なお、図3には、前述した図1の場合と同様に、比較的狭い間隔を置いて3つの溝220が配置された状態が示されているが、溝220の個数や配置間隔は、前記第1実施形態の場合と同様に任意であり、例えばシート状部材211を変形させたい量や変形後に得たい形状等の目的に応じて適宜定めればよい。
【0054】
収縮材料230は、例えば熱収縮インクである場合には、シート状部材211の溝220の内部や溝220の近傍に、印刷または塗布されてシート状部材211に付着される。なお、図3では、前述した図1の場合と同様に、収縮材料230は、溝220の内部のみならず、溝220から外へ、はみ出すような状態で溝220の周辺のシート表面212の位置にまで付着されているが、溝220の内部のみに付着するようにしてもよい。
【0055】
溝220の断面形状は、本実施形態では、前述した図1の場合と同様に、図3に示す如く略V字状であり、溝220の両側の側面部分221は斜面となり、溝220の底面部分222は平坦面となっている。なお、溝220の底面部分は、平坦面ではなく、例えば、曲面としたり、両側の側面部分の斜面同士が交差するようにしてもよい。
【0056】
また、前記第1実施形態の場合と同様に、シート状部材211の裏面213(溝220が開口する面とは反対側の面)には、溝220の形成箇所に溝220に対応して略台形断面状の凸部214が設けられている。なお、シート状部材211の裏面213は、このような凸部214を設けずに、平坦面としてもよい。
【0057】
図4には、シート状部材211の変形後の状態が示されている。シート状部材211は、通常の状態(例えば常温下に置かれた状態)では、図3に示すように平面状であるが、外部環境が変化したり、あるいは外部から物理的刺激若しくは化学的刺激を受けると(例えば加熱すると)、図4に示すように変形する。
【0058】
図4において、各溝220の形成箇所では、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して収縮材料230が収縮する。例えば、収縮材料230が熱収縮インクである場合には、加熱すると収縮する。そして、この収縮材料230の収縮作用により、各溝220の両側の側面部分221同士が引き寄せられてV字の角度が狭まり、シート状部材211は、各溝220の形成箇所で、各溝220の形成面側が内側になる状態で折れ曲がるようになっている。従って、シート状部材211に形成された溝220と、この溝220の内部に挿入された収縮材料230とにより、シート状部材211を変形させるアクチュエータ210が構成されている。
【0059】
なお、図4の例では、前述した図2の場合と同様に、比較的狭い間隔を置いて3つの溝220が配置され、これらの各溝220での折れ曲がりの結果、変形後のシート状部材211は、全体的に見ると湾曲した形状となっている。従って、一つの溝220およびその内部に挿入された収縮材料230で構成されるアクチュエータ210により、シート状部材211を各折り位置で変化させることができる角度は、図4の例では、90度未満である。しかし、一つ一つの溝220での折れ曲がり角度(最大変形角度)は、これに限定されるものではなく、90度、あるいは90度を超える角度であってもよく、溝220の大きさ、あるいは収縮材料230の挿入量によって調整することができる。
【0060】
また、収縮材料230として、例えば熱収縮インク等のように一旦収縮すると元に戻らない材料を用いた場合には、図3の状態から図4の状態に変形した後、再び、図3の状態に戻ることはないが、収縮材料230として、元の体積に戻るような材料を用いて、図4の状態から図3の状態に戻るようにしてもよい。
【0061】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態の場合と同様に、簡易な構造でアクチュエータ210を実現できるという効果、変形するシート状部材211を安価に作ることができるという効果、軽量なアクチュエータ210を実現でき、変形するシート状部材211を用いた軽量な製品や商品を実現できるという効果、溝220の断面形状を略V字状としたことによりシート状部材211の円滑な変形を実現できるという効果がある。
【0062】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態のシート状部材のアクチュエータ310A,310Bの構成を示す断面図である。
【0063】
図5において、シート状部材311は、前記第1,第2実施形態の場合と同様に、例えば紙等である。このシート状部材311の表裏面のうちの一方の面(図示の例では上面)312には、この面312に開口する一つまたは複数の溝320Aが形成され、この溝320Aの内部には、膨張材料330Aが挿入されている。膨張材料330Aは、前記第1実施形態の場合と同様に、例えば発泡インク等である。そして、これらの溝320Aおよび膨張材料330Aにより、アクチュエータ310Aが構成されている。これらの溝320Aおよび膨張材料330Aは、前記第1実施形態の溝20および膨張材料30と同様であり(図1参照)、アクチュエータ310Aの機能や作用は、前記第1実施形態のアクチュエータ10と同様であるので(図2参照)、詳しい説明は省略する。
【0064】
また、シート状部材311の表裏面のうちの他方の面(図示の例では下面)313には、この面313に開口する一つまたは複数の溝320Bが形成され、この溝320Bの内部には、収縮材料330Bが挿入されている。収縮材料330Bは、前記第2実施形態の場合と同様に、例えば熱収縮インク等である。そして、これらの溝320Bおよび収縮材料330Bにより、アクチュエータ310Bが構成されている。これらの溝320Bおよび収縮材料330Bは、前記第2実施形態の溝220および収縮材料230と同様であり(図3参照)、アクチュエータ310Bの機能や作用は、前記第2実施形態のアクチュエータ210と同様であるので(図4参照)、詳しい説明は省略する。
【0065】
さらに、図5の例では、一方の面312に形成された溝320Aと、他方の面313に形成された溝320Bとは、交互に3つずつ配置されている。また、これらの3つの溝320Aと3つの溝320Bとは、互いに近傍に配置されている。
【0066】
このような第3実施形態においては、シート状部材311は、図5中の2点鎖線に示すように変形する。すなわち、一方の面312側のアクチュエータ310Aは、膨張材料330Aの膨張作用により、溝320Aの形成面側が外側になる状態でシート状部材311を折り曲げる。また、他方の面313側のアクチュエータ310Bは、収縮材料330Bの収縮作用により、溝320Bの形成面側が内側になる状態でシート状部材311を折り曲げる。従って、シート状部材311は、全体的に見て、図5中の2点鎖線に示すように湾曲する。なお、図5中の2点鎖線は、全体的な変形状態を示すための線であり、シート状部材311の表裏面の凹凸の図示は省略されている。
【0067】
このような第3実施形態によれば、個々のアクチュエータ310A,310Bについて見た場合には、前記第1,第2実施形態と同様な効果が得られるうえ、次のような効果が得られる。
【0068】
すなわち、一方の面312側には、膨張材料330Aの膨張作用によるアクチュエータ310Aが設けられ、他方の面313側には、収縮材料330Bの収縮作用によるアクチュエータ310Bが設けられ、これらが互いに近傍に配置されているので、各アクチュエータ310A,310Bによる変形効果が重なり、シート状部材311の変形量を大きくすることができる。
【0069】
また、異なる種類のアクチュエータであるアクチュエータ310Aとアクチュエータ310Bとを反対側の面に隣接配置しているので、同じ種類のアクチュエータ同士を同じ側の面に隣接配置する場合(膨張材料の膨張作用によるアクチュエータ同士を同じ側の面に隣接配置する場合、収縮材料の収縮作用によるアクチュエータ同士を同じ側の面に隣接配置する場合)に比べ、アクチュエータ同士を、より近傍に配置することができる。つまり、溝を反対側の面に形成するので、より近傍に配置することができる。このため、変形量を大きくするために複数のアクチュエータを隣接配置し、複数のアクチュエータを集合させて一つのアクチュエータとして機能させる場合に、必要数(確保したい変形量に応じた個数)のアクチュエータを、より一層狭い間隔で配置することができ、より一層狭いスペースで、目的となる変形量を実現することができる。
【0070】
従って、狭いスペースで同じ変形効果(変形量)を得るという観点からは、図5に示すように、例えば6つのアクチュエータを集合させる場合には、収縮材料、膨張材料、収縮材料、膨張材料、収縮材料、膨張材料という具合に、異なる種類のアクチュエータを交互に配置することが望ましい。なお、交互に配置せずに、例えば、収縮材料、収縮材料、収縮材料、膨張材料、膨張材料、膨張材料という順で配置してもよいが、このような配置とした場合には、交互に配置する場合に比べて配置間隔が拡がるので、シート状部材は、緩やかに曲がる状態で変形する。
【0071】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態のシート状部材のアクチュエータ410の構成を示す断面図である。
【0072】
図6において、シート状部材411の表面412には、略V字状の溝420が形成され、この溝420の開口位置近傍には、溝420を塞ぐように溝420の両側部分に掛け渡された状態で収縮材料430が付着されている。シート状部材411は、例えば紙等であり、収縮材料430は、例えば熱収縮インク等である。また、溝420の内部は、空洞部440となっている。
【0073】
収縮材料430は、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して収縮する。例えば、収縮材料430が熱収縮インクである場合には、加熱すると収縮する。そして、この収縮材料430の収縮作用により、溝420のV字の角度が小さくなって空洞部440の容積が減少し、シート状部材411は、空洞部440の形成箇所で、図6中の2点鎖線で示すように、収縮材料430の付着面側が内側になる状態で折れ曲がるようになっている。従って、シート状部材411の表面412に付着された収縮材料430と、シート状部材411に形成された空洞部440とにより、シート状部材411を変形させるアクチュエータ410が構成されている。
【0074】
このような第4実施形態においては、以下のようにしてシート状部材411のアクチュエータ410が製造される。図7は、シート状部材411のアクチュエータ410の製造方法の説明図である。
【0075】
先ず、図7に示すように、折り位置に沿ってシート状部材411の表面412から、シート状部材411に切れ目450を入れる。また、反対側の面413からも、同じ位置に切れ目451を入れる。従って、切れ目450の深さは、シート状部材411を貫通しない深さである。
【0076】
次に、切れ目450の上側に収縮材料430を付着させる。例えば、収縮材料430が熱収縮インクの場合には、熱収縮インクを印刷または塗布する。
【0077】
その後、付着させた収縮材料430が固まらないうちに、図7中の矢印P1,P2の如く、シート状部材411をシート面に沿う方向に引っ張る。これにより切れ目450は拡がって、図6に示したような溝420の状態になり、空洞部440が形成される。この際、同時に反対側の切れ目451も拡がり、図6に示すように、反対側にも溝420が形成される。
【0078】
このような第4実施形態によれば、前記第1,第2実施形態と同様な効果を得ることができるうえ、切れ目450を入れておき、収縮材料430を付着してからシート状部材411を引っ張るだけで、空洞部440を容易に形成することができるので、例えば、レーザ照射により空洞部を形成する場合等に比べ、シート状部材411のアクチュエータ410を低コストで実現することができる。
【0079】
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態のシート状部材のアクチュエータ510の構成を示す断面図である。
【0080】
図8において、シート状部材511の表面512には、略V字状の溝520が形成され、この溝520の開口位置近傍には、溝520を塞ぐように溝520の両側部分に掛け渡された状態で収縮材料530が付着されている。シート状部材511は、例えば紙等であり、収縮材料530は、例えば熱収縮インク等である。また、溝520の内部は、空洞部540となっている。
【0081】
前記第4実施形態の場合(図6参照)と同様に、収縮材料530の収縮作用により、溝520のV字の角度が小さくなって空洞部540の容積が減少し、シート状部材511は、空洞部540の形成箇所で、図8中の2点鎖線で示すように、収縮材料530の付着面側が内側になる状態で折れ曲がるようになっている。従って、シート状部材511の表面512に付着された収縮材料530と、シート状部材511に形成された空洞部540とにより、シート状部材511を変形させるアクチュエータ510が構成されている。
【0082】
このような第5実施形態においては、以下のようにしてシート状部材511のアクチュエータ510が製造される。図9および図10は、シート状部材511のアクチュエータ510の製造方法の説明図である。
【0083】
先ず、図9に示すように、シート状部材511の表面512に溝520を形成する。続いて、図9中の矢印Q1,Q2に示す如く、シート状部材511を折り曲げて溝520を狭める。ここでは、溝520が略全部塞がれる状態になるまで折り曲げるものとする。
【0084】
次に、図10に示すように、狭められた状態の溝520の開口位置近傍に、溝520を塞ぐ状態で収縮材料530を付着させる。例えば、収縮材料530が熱収縮インクの場合には、熱収縮インクを印刷または塗布する。
【0085】
その後、付着させた収縮材料530が固まらないうちに、図10中の矢印R1,R2に示す如く、シート状部材511を平坦な状態に戻して溝520を拡げる。これにより、図8に示すように、溝520の内部に空洞部540が形成される。
【0086】
このような第5実施形態によれば、前記第1,第2実施形態と同様な効果を得ることができるうえ、溝520を形成しておき、シート状部材511を折り曲げて溝520を狭めてから収縮材料530を付着し、再び、シート状部材511を平坦な状態に戻すだけで、空洞部540を容易に形成することができるので、例えば、レーザ照射により空洞部を形成する場合等に比べ、シート状部材511のアクチュエータ510を低コストで実現することができる。
【0087】
[第6実施形態]
図11は、第6実施形態のシート状部材のアクチュエータ610の構成を示す断面図である。
【0088】
図11において、シート状部材611の表面612には、折り位置に沿って収縮材料630が付着されている。シート状部材611は、例えば紙等であり、収縮材料630は、例えば熱収縮インク等である。シート状部材611のうち収縮材料630を付着した部位には、空洞部640が形成されている。この空洞部640は、シート厚さ方向についての表面612寄りの位置に配置されている。なお、空洞部640の断面形状は、図示の例では、略楕円形状であるが、これに限定されず任意であり、例えば、逆三角形状、逆台形状等としてもよい。
【0089】
収縮材料630は、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して収縮する。例えば、収縮材料630が熱収縮インクである場合には、加熱すると収縮する。そして、この収縮材料630の収縮作用により、空洞部640の容積が減少し、シート状部材611は、空洞部640の形成箇所で、図11中の2点鎖線で示すように、収縮材料630の付着面側が内側になる状態で折れ曲がるようになっている。従って、シート状部材611の表面612に付着された収縮材料630と、シート状部材611に形成された空洞部640とにより、シート状部材611を変形させるアクチュエータ610が構成されている。
【0090】
このような第6実施形態においては、以下のようにしてシート状部材611のアクチュエータ610が製造される。図12は、シート状部材611のアクチュエータ610の製造方法の説明図である。
【0091】
先ず、図12に示すように、折り位置に沿ってシート状部材611の表面612に収縮材料630を付着させる。例えば、収縮材料630が熱収縮インクの場合には、熱収縮インクを印刷または塗布する。
【0092】
次に、図12中の矢印Sの如く、レーザの焦点を空洞部640を形成する位置に合わせてレーザ照射を行う。これにより、図11に示すように、シート状部材611に空洞部640が形成される。
【0093】
このような第6実施形態によれば、前記第1,第2実施形態と同様に、簡易な構造でアクチュエータ610を実現できるという効果、変形するシート状部材611を比較的安価に作ることができるという効果、軽量なアクチュエータ610を実現でき、変形するシート状部材611を用いた軽量な製品や商品を実現できるという効果がある。
【0094】
[他の実施形態]
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0095】
すなわち、前記第4実施形態では、図7に示すように、切れ目450と同じ位置に、反対側の切れ目451を入れたが、図13に示すように、収縮材料701の付着位置近傍の切れ目702とは異なる位置に、反対側の切れ目703,704を入れるようにしてもよい。このようにした場合には、深い切れ目702を入れることができ、大きな空洞部705を形成することができる。
【0096】
また、前記第1実施形態の溝20(図1参照)および前記第3実施形態の溝320A(図5参照)の各断面形状は、略V字状部分のみとなっていたが、例えば、図14に示すように、略V字状部分に加えてV字の開口部分の少なくとも一部を塞ぐ状態に形成された蓋部分712を設けてもよい。このようにした場合には、溝711の内部に挿入された膨張材料713が膨張したときに、膨張材料713が溝711の外部に出てしまう量を抑えることができ、膨張材料713の膨張量のうちシート状部材714の変形に寄与する量を多くすることができ、効率的なアクチュエータを実現することができる。
【0097】
さらに、図15に示すように、溝721が形成された面722とは反対側の面723に、マイクロ波加熱により発熱する発熱シート724を付着してもよい。発熱シート724としては、例えば、電気抵抗の大きい金属箔等を用いることができる。このようにした場合には、例えば電子レンジ等で加熱された発熱シート724の熱が、溝721の内部に挿入された膨張材料または収縮材料に伝わるので、膨張材料の膨張作用または収縮材料の収縮作用が助長され、シート状部材725の変形促進を図ることができる。また、シート状部材725の変形を容易にするために、発熱シート724を図中Cの位置で折り位置に沿って分割してもよい。この際、分割個所に隙間をあけてもよい。
【0098】
そして、本発明のアクチュエータを複数並べて配置する場合には、前記第3実施形態の場合(図5参照)のように、全てのアクチュエータをシート状部材が同じ方向に曲がるように配置する必要はなく、例えば、膨張材料を挿入した溝を、シート状部材の表裏面に断面上で見て千鳥状に配置することにより、シート状部材を蛇のような断面形状に変形させたり、鋸刃の刃先形状のようなギザギザの断面形状に変形させてもよい。
【0099】
また、前記第4実施形態の空洞部440(図6参照)は、図7に示すように、切れ目450を入れてシート状部材411を引っ張ることにより形成されていたが、図6に示すような断面形状の空洞部440を、前記第6実施形態の場合(図11参照)と同様に、レーザ照射により形成してもよい。
【0100】
さらに、前記各実施形態では、シート状部材の用途は、特に記載されていないが、本発明のアクチュエータにより実現される、変形するシート状部材の用途は任意である。例えば、弁当箱のような食品容器としてもよく、この場合には、常温では箱状になって食品を収容している容器を、電子レンジ等により食品ごと加熱すると、中に入っている食品が温まり、その熱が膨張材料や収縮材料に伝わって箱状になっているシート状部材が開き、皿状に変形する例等を挙げることができる。
【0101】
また、図16に示すように、本の付録等として用いられる紙製玩具としてもよい。図16の例では、シート状部材である紙で作られた紙製玩具730は、複数本(ここでは、一例として4本とする。)の足731および1本の尾732を備えた生き物を模倣した玩具である。4本の足731の各々には、溝およびこの溝に挿入された発泡インク等の膨張材料からなる複数(図示の例では、3つ)の線状のアクチュエータ733が設けられている。また、尾732には、溝およびこの溝に挿入された熱収縮インク等の収縮材料からなる複数(図示の例では、4つ)の線状のアクチュエータ734が設けられている。
【0102】
紙製玩具730を、例えばドライヤ等を用いて加熱すると、図17に示すように、アクチュエータ733により4本の足731がそれぞれ全体的に丸まり、アクチュエータ734により尾732も全体的に丸まる。そして、4本の足731と尾732の丸まる方向は、膨張材料と収縮材料の相違により逆方向となる。
【0103】
なお、4本の足731において、膨張材料によるアクチュエータ733を設けた面とは反対側の面に、収縮材料によるアクチュエータを設けた場合にも、4本の足731は、同じ方向に丸まる。同様に、尾732において、収縮材料によるアクチュエータ734を設けた面とは反対側の面に、膨張材料によるアクチュエータを設けた場合にも、尾732は、同じ方向に丸まる。
【0104】
そして、このように本発明のアクチュエータにより変形させる部分は、足や尾に限らず、頭や首、腕や手、手や足の指、鼻、耳、口、髪の毛、角、羽、鰭、葉等のように生き物の様々な可動パーツに適用することができる。また、紙製玩具により模倣される対象となる生き物は、例えば、人間、動物、植物、鳥類、魚類、昆虫類、微生物、細菌等の実在のものの他、怪獣、宇宙人、お化け、アニメの主人公等の仮想的なものも含む。
【0105】
また、上記の図16の紙製玩具730において、溝が形成されていない紙表面にも発泡インク等の膨張材料を印刷または塗布等により付着しておき、膨張材料の膨張作用により、紙の表面にイボ状やウロコ状等の凸部が形成されるようにしてもよい。これにより、生き物を、よりリアルに表現することができる。
【0106】
さらに、上記の図16の紙製玩具730において、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して変色する変色材料を、紙の表面に付着することにより、例えば、加熱すると変色するインクを印刷または塗布すること等により、生き物の肌の色や目の色等を変化させてもよい。これにより、色彩の変化する楽しい紙製玩具730を提供することができる。
【0107】
そして、上記の図16の紙製玩具730等において、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して香りや臭いを発生する芳香材料(インク等)を、紙の表面に付着してもよい。これにより、形状変化や色彩変化に加え、香りや臭いを楽しむことができる紙製玩具を提供することができる。
【0108】
また、本発明のシート状部材のアクチュエータの平面的な配置(シート状部材に沿う面で見た場合の配置)は、直線的な配置(例えば、図16に示されている状態の配置等)に限定されるものではなく、曲線的な配置であってもよく、角部があってもよく、アクチュエータ同士が交差(交差角度は、直角に限らず、任意である。)していてもよく、あるいはこれらの組合せ等であってもよく、シート状部材を変形させたい形状に応じてアクチュエータの配置を定めればよい。
【0109】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、シート状部材に溝または空洞部を形成し、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して膨張する膨張材料または収縮する収縮材料を溝の内部に挿入するか、または空洞部の形成位置近傍のシート状部材の表面に収縮材料を付着するので、軽量かつ簡易な構造で、しかも安価にシート状部材の変形を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のシート状部材のアクチュエータの構成を示す断面図。
【図2】第1実施形態のシート状部材の変形後の状態を示す断面図。
【図3】本発明の第2実施形態のシート状部材のアクチュエータの構成を示す断面図。
【図4】第2実施形態のシート状部材の変形後の状態を示す断面図。
【図5】本発明の第3実施形態のシート状部材のアクチュエータの構成を示す断面図。
【図6】本発明の第4実施形態のシート状部材のアクチュエータの構成を示す断面図。
【図7】第4実施形態のシート状部材のアクチュエータの製造方法を示す説明図。
【図8】本発明の第5実施形態のシート状部材のアクチュエータの構成を示す断面図。
【図9】第5実施形態のシート状部材のアクチュエータの製造方法を示す説明図。
【図10】第5実施形態のシート状部材のアクチュエータの製造方法を示す別の説明図。
【図11】本発明の第6実施形態のシート状部材のアクチュエータの構成を示す断面図。
【図12】第6実施形態のシート状部材のアクチュエータの製造方法を示す説明図。
【図13】第4実施形態についての変形の形態を示す断面図。
【図14】本発明の変形の形態を示す断面図。
【図15】本発明の別の変形の形態を示す断面図。
【図16】本発明を利用した紙製玩具を示す構成図。
【図17】前記紙製玩具の変形後の状態を示す斜視図。
【符号の説明】
10,210,310A,310B,410,510,610,733,734 アクチュエータ
11,211,311,411,511,611,714,725 紙等のシート状部材
12,13,212,213,312,313,412,413,512,612,722,723 シート状部材の表裏面
20,220,320A,320B,420,520,711,721 溝
30,330A,713 発泡インク等の膨張材料
230,330B,430,530,630,701 熱収縮インク等の収縮材料
440,540,640,705 空洞部
450,702 切れ目
724 発熱シート

Claims (4)

  1. シート状部材の表裏面のうちの少なくとも一方の面に、折り位置に沿って溝が形成され、外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して収縮する収縮材料が、前記溝の内部に挿入され、前記シート状部材は、紙であり、前記収縮材料は、熱収縮インクであることを特徴とするシート状部材のアクチュエータ。
  2. シート状部材の表面に、折り位置に沿って外部環境の変化または外部から受ける物理的刺激若しくは化学的刺激に反応して収縮する収縮材料が付着され、前記シート状部材の前記収縮材料を付着した部位には、空洞部が形成され、この空洞部は、シート厚さ方向についての前記収縮材料の付着面寄りの位置に配置されたことを特徴とするシート状部材のアクチュエータ。
  3. 請求項に記載したシート状部材のアクチュエータの製造方法であって、
    前記折り位置に沿って前記シート状部材の表面から前記シート状部材に、前記シート状部材を貫通しない深さの切れ目を入れた後、この切れ目の上側に前記収縮材料を付着させ、その後、付着させた前記収縮材料が固まらないうちに前記シート状部材をシート面に沿う方向に引っ張ることにより前記切れ目を拡げて前記空洞部を形成する
    ことを特徴とするシート状部材のアクチュエータの製造方法。
  4. 請求項に記載したシート状部材のアクチュエータの製造方法であって、
    前記折り位置に沿って前記シート状部材の表面に溝を形成した後、前記シート状部材を前記溝の形成箇所で折り曲げて前記溝を狭めた状態としてから、この狭められた状態の前記溝の開口位置近傍に前記溝を塞ぐ状態で前記収縮材料を付着させ、その後、付着させた前記収縮材料が固まらないうちに前記シート状部材を平坦な状態に戻して前記溝を拡げることにより前記溝の内部に前記空洞部を形成する
    ことを特徴とするシート状部材のアクチュエータの製造方法。
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