以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は実施例に係る基板処理装置の平面図、図2はその正面図、図3は熱処理部の正面図である。
ここでは、半導体ウエハ(以下、単に「基板」という)に、反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、露光された基板に現像処理などの薬液処理を行う基板処理装置を例に採って説明する。もちろん、本発明に係る基板処理装置が取り扱い得る基板は、半導体ウエハに限らず、液晶表示器用のガラス基板など種々の基板を含む。また、薬液処理は、フォトレジスト膜などの塗布形成処理や現像処理に限らず、種々の薬液処理を含む。
図1を参照する。本実施例に係る基板処理装置は大きく分けて、インデクサブロック1と、基板に対して所要の薬液処理を行う3つの処理ブロック(具体的には反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、および現像処理ブロック4)と、インターフェイスブロック5とからなり、これらのブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には、本実施例に係る基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置(ステッパー)STPが並設される。これらのブロック1〜5は、本実施例に係る基板処理装置を機構的に分割した要素である。具体的には、各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置が構成されている(図8(a)参照)。
一方、本実施例に係る基板処理装置の特徴の1つとして、基板搬送に係る被制御ユニットの単位を機械的要素である各ブロックとは別に構成している。すなわち、基板に所要の処理を行う処理部と、前記処理部に対して基板の受け渡しをする単一の主搬送機構とを含んで単一の被制御ユニットを構成し、前記被制御ユニットを並設して基板処理装置を構成している。各被制御ユニットには、その被制御ユニットに基板を受け入れるために基板を載置する入口基板載置部と、その被制御ユニットから基板を払い出すために基板を載置する出口基板載置部とが区別して設けられている。そして、各被制御ユニットの主搬送機構は、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して、互いに基板の受け渡しを行い、かつ、各被制御ユニットの主搬送機構の基板受け渡し動作を少なくとも制御するユニット制御手段を各被制御ユニットごとに備え、各ユニット制御手段は、前記処理部に対する基板の受け渡しおよび前記基板載置部に対する基板の受け渡しを含む一連の基板搬送に係る制御を、各々独立して行うようになっている。
以下、本実施例装置における被制御ユニットの単位を「セル」という。実施例装置の制御系を構成する各セルの配置を図8(b)に示す。同図において、C1はインデクサセル、C2は反射防止膜用処理セル、C3はレジスト膜用処理セル、C4は現像処理セル、C5は露光後加熱用処理セル、C6はインターフェイスセルである。
以下では、説明の便宜上、まず実施例装置の構成を各ブロックごとに説明し、続いて各ブロック1〜5と各セルC1〜C6の対応関係を説明し、最後に実施例装置における基板搬送制御について説明する。
まず、インデクサブロック1について説明する。インデクサブロック1は、基板Wを多段に収納するカセットCからの基板の取り出しや、カセットCへの基板Wの収納を行う機構である。具体的には、複数個のカセットCを並べて載置するカセット載置台6と、各カセットCから未処理の基板Wを順に取り出すとともに、各カセットCへ処理済の基板Wを順に収納するインデクサ用搬送機構7とを備えている。インデクサ用搬送機構7は、カセット載置台6に沿って(Y方向に)水平移動可能な可動台7aを備えている。この可動台7aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム7bが搭載されている。保持アーム7bは、可動台7a上を昇降(Z方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
上述したインデクサブロック1に隣接して反射防止膜処理ブロック2が設けられている。図4に示すように、インデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にインデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1、PASS2が上下に近接して設けられている。
上側の基板載置部PASS1はインデクサブロック1から反射防止膜処理ブロック2へ基板Wを払い出すために、下側の基板載置部PASS2は反射防止膜処理ブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを戻すために、それぞれ設けられている。反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、基板載置部PASS1は、反射防止膜処理ブロック2に基板Wを受け入れるための入口基板載置部に相当する。特に、インデクサブロック1から露光装置STPに向かって流れる基板Wの搬送方向を順方向とした場合に、基板載置部PASS1は、基板Wを順方向に搬送するときに使われる送り用入口基板載置部に相当する。一方、基板載置部PASS2は、反射防止膜処理ブロック2から基板Wを払い出すための出口基板載置部であり、特に、基板Wを逆方向(本実施例では、露光装置STPからインデクサブロック1に向かって流れる基板Wの搬送方向)に搬送するときに使われる戻り用出口基板載置部に相当する。
基板載置部PASS1、PASS2は、隔壁13を部分的に貫通して設けられている。なお、基板載置部PASS1、PASS2は、固定設置された複数本の支持ピンから構成されており、この点は後述する他の基板載置部PASS3〜PASS10も同様である。また、基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの有無を検出する図示しない光学式のセンサが設けられており、各センサの検出信号に基づいてインデクサ用搬送機構7や、後述する反射防止膜用処理ブロック2の第1の主搬送機構10Aが、基板載置部PASS1、PASS2に対して基板を受け渡しできる状態であるかどうかを判断するようになっている。同様のセンサは他の基板載置部PASS3〜PASS10にも設けられている。
反射防止膜処理ブロック2について説明する。反射防止膜処理ブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下部に反射防止膜を塗布形成するための機構である。具体的には、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成する反射防止膜用塗布処理部8と、反射防止膜の塗布形成に関連して基板Wを熱処理する反射防止膜用熱処理部9と、反射防止膜用塗布処理部8および反射防止膜用熱処理部9に対して基板Wの受け渡しをする第1の主搬送機構10Aとを備える。
反射防止膜処理ブロック2は、第1の主搬送機構10Aを挟んで反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9とが対向して配置されている。具体的には、塗布処理部8が装置正面側に、熱処理部9が装置背面側に、それぞれ位置している。このように薬液処理部と熱処理部とを主搬送機構を挟んで対向配置する点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。このような配置にすれば、薬液処理部と熱処理部とが隔たるので、薬液処理部が熱処理部から受ける熱的影響を抑えることができる。また、本実施例では、熱処理部9の正面側に図示しない熱隔壁を設けて、反射防止膜用塗布処理部8への熱的影響を回避している。同様な熱隔壁は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4にも設けられている。
反射防止膜用塗布処理部8は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(以下、特に区別しない場合は符号「8」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部8は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック11や、このスピンチャック11上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を供給するノズル12などを備えている。
反射防止膜用熱処理部9は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する複数個の加熱プレートHP、加熱された基板Wを常温にまで冷却する複数個の冷却プレートCP、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する複数個のアドヒージョン処理部AHLなどの熱処理部を含む。これらの熱処理部9の下部には、ヒータコントローラ(CONT)が配設され、また熱処理部9の上部(図3中に「×」印で示した個所)には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
反射防止膜用熱処理部9は、各熱処理部(HP,CP,AHL)を上下に積層配置して構成されているとともに、積層配置された一群の熱処理部が複数例(本実施例では2列)にわたり並設されている。薬液処理部を上下に積層配置している点、および上下に積層配置した一群の熱処理部を複数列にわたり並設している点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。
上述したように各処理ブロック2〜4で薬液処理部や熱処理部を上下に積層配置することにより、基板処理装置の占有スペースを小さくすることができる。また、積層配置した一群の熱処理部を複数列にわたり並設することにより、熱処理部のメンテナンスが容易になるとともに、熱処理部に必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
第1の主搬送機構10Aについて説明する。なお、後述する他のレジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5にそれぞれ備えられた第2、第3、第4の各主搬送機構10B、10C、10Dも同様に構成されている。以下、第1〜第4の主搬送機構10A〜10Dを特に区別しない場合は、主搬送機構10として説明する。
図6を参照する。同図(a)は主搬送機構10の平面図、(b)はその正面図である。主搬送機構10は、基板Wを水平姿勢で保持する2個の保持アーム10a、10bを上下に近接して備えている。保持アーム10a、10bは、先端部が平面視で「C]の字状になっており、この「C」の字状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン10cで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。主搬送機構10の基台10dは装置基台に対して固定設置されている。この基台10d上に螺軸10eが回転可能に立設支持されている。基台10dに螺軸10eを回転駆動するモータ10fが設けられている。螺軸10eに昇降台10gが螺合されており、モータ10fが螺軸10eを回転駆動することにより、昇降台10gがガイド軸10jに案内されて昇降移動するようになっている。昇降台10g上にアーム基台10hが縦軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10gにはアーム基台10hを旋回駆動するモータ10iが設けられている。アーム基台10h上に上述した2つの保持アーム10a、10bが上下に配設されている。各保持アーム10a、10bは、アーム基台10h内に装備された駆動機構(図示せず)によって、各々が独立してアーム基台10hの旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
上述した反射防止膜処理ブロック2に隣接してレジスト膜処理ブロック3が設けられている。図4に示すように、反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13に反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS3、PASS4が上下に近接して設けられている。
上述した基板載置部PASS1、PASS2の場合と同様に、上側の基板載置部PASS3が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS4が基板Wの戻し用になっているとともに、これらの基板載置部PASS3、PASS4は隔壁13を部分的に貫通している。ここで、基板載置部PASS3は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS4は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。これらの基板載置部PASS3、PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが隔壁13を貫通して上下に設けられている。
レジスト膜用処理ブロック3について説明する。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジスト膜を塗布形成する機構である。なお、本実施例では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するレジスト膜用塗布処理部15と、フォトレジスト膜の塗布形成に関連して基板を熱処理するレジスト膜用熱処理部16と、レジスト膜用塗布処理部15およびレジスト膜用熱処理部16に対して基板Wの受け渡しをする第2の主搬送機構10Bとを備える。
レジスト膜用塗布処理部15は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つのレジスト膜用塗布処理部15a〜15c(以下、特に区別しない場合は符号「15」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部15は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック17や、このスピンチャック17上に保持された基板W上にレジスト膜用の塗布液を供給するノズル18などを備えている。
レジスト膜用熱処理部16は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する基板仮置部付きの複数個の加熱部PHP、基板Wを常温にまで高い精度で冷却する複数個の冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、反射防止膜用処理ブロック2の場合と同様である。
基板仮置部付きの加熱部PHPについて説明する。図7を参照する。同図(a)は加熱部PHPの破断側面図、(b)は破断平面図である。加熱部PHPは、基板Wを載置して加熱処理をする加熱プレートHPと、この加熱プレートHPから離れた上方位置または下方位置(本実施例では上方位置)に基板Wを載置しておく基板仮置部19と、加熱プレートHPと基板仮置部19との間で基板Wを搬送する熱処理部用のローカル搬送機構20とを備えている。加熱プレートHPには、プレート表面に出没する複数本の可動支持ピン21が設けられている。加熱プレートHPの上方には加熱処理時に基板Wを覆う昇降自在の上蓋22が設けられている。基板仮置部19には基板Wを支持する複数本の固定支持ピン23が設けられている。
ローカル搬送機構20は、基板Wを水平姿勢で保持する保持プレート24を備え、この保持プレート24がネジ送り駆動機構25によって昇降移動されるとともに、ベルト駆動機構26によって進退移動されるようになっている。保持プレート24は、これが加熱プレートHPや基板仮置部19の上方に進出したときに、可動支持ピン21や固定支持ピン23と干渉しなように複数本のスリット24aが形成されている。また、ローカル搬送機構20は、加熱プレートHPから基板仮置部19へ基板Wを搬送する過程で基板を冷却する手段を備えている。この冷却手段は、例えば保持プレート24の内部に冷却水流路24bを設け、この冷却水流路24bに冷却水を流通させることによって構成されている。
上述したローカル搬送機構20は、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を挟んで第2の主搬送機構10Bとは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を覆う筐体27の上部、すなわち基板仮置部19を覆う部位には、その正面側に第2の主搬送機構10Bの進入を許容する開口部19aが、その背面側にはローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19bが、それぞれ設けられている。また、筐体27の下部、すなわち加熱プレートHPを覆う部位は、その正面側が閉塞し、その背面側にローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19cが設けられている。
上述した加熱部PHPに対する基板Wの出し入れは以下のようにして行われる。まず、主搬送機構10(レジスト膜用処理ブロック3の場合は、第2の主搬送機構10B)が基板Wを保持して、基板仮置部19の固定支持ピン23の上に基板Wを載置する。続いてローカル搬送機構20の保持プレート24が基板Wの下側に進入してから少し上昇することにより、固定支持ピン23から基板Wを受け取る。基板Wを保持した保持プレート24は筐体27から退出して、加熱プレートHPに対向する位置にまで下降する。このとき加熱プレートHPの可動支持ピン21は下降しているとともに、上蓋22は上昇している。基板Wを保持した保持プレート24は加熱プレートHPの上方に進出する。可動支持ピン21が上昇して基板Wを受け取った後に保持プレート24が退出する。続いて可動支持ピン21が下降して基板Wを加熱プレートHP上に載せるとともに、上蓋22が下降して基板Wを覆う。この状態で基板Wが加熱処理される。加熱処理が終わると上蓋22が上昇するとともに、可動支持ピン21が上昇して基板Wを持ち上げる。続いて保持プレート24が基板Wの下に進出した後、可動支持ピン23が下降することにより、基板Wが保持プレート24に受け渡される。基板Wを保持した保持プレート24が退出して、さらに上昇して基板Wを基板仮置部19に搬送する。基板仮置部19内で保持プレート24に支持された基板Wが、保持プレート24が有する冷却機能によって冷却される。保持プレート24は、冷却した(常温に戻した)基板Wを基板仮置部19の固定支持ピン23上に移載する。この基板Wを主搬送機構10が取り出して搬送する。
以上のように、主搬送機構10は、基板仮置部19に対して基板Wの受け渡しをするだけで、加熱プレートHPに対して基板の受け渡しをしないので、主搬送機構10が温度上昇するのを回避することができる。また、加熱プレートHPに基板Wを出し入れするための開口部19cが、主搬送機構10が配置された側とは反対側に位置しているので、開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で主搬送機構10が温度上昇することがなく、またレジスト膜用塗布処理部15が開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で悪影響を受けることもない。
上述したレジスト膜処理ブロック3に隣接して現像処理ブロック4が設けられている。図4に示すように、レジスト膜処理ブロック3と現像処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられており、この隔壁13に両処理ブロック3、4間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS5,6と、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが上下に積層して設けられている。ここで、基板載置部PASS5は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS6は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
現像処理ブロック4について説明する。現像処理ブロック4は、露光された基板Wに対して現像処理をする機構である。具体的には、露光された基板Wに現像処理をする現像処理部30と、現像処理に関連して基板を熱処理する現像用熱処理部31と、現像処理部30および現像用熱処理部31に対して基板Wの受け渡しをする第3の主搬送機構10Cとを備える。
現像処理部30は、図2に示すように、同様の構成を備えた5つの現像処理部30a〜30e(以下、特に区別しない場合は符号「30」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各現像処理部30は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック32や、このスピンチャック32上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル33などを備えている。
現像用熱処理部31は、図3に示すように、各々複数個の加熱プレートHP、基板仮置部付きの加熱部PHP、冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、他の処理ブロック2、3の場合と同様である。現像用熱処理部31の右側(インターフェイスブロック5に隣接している側)の熱処理部の列には、現像処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7、PASS8が上下に近接して設けられている。上側の基板載置部PASS7が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS8が基板Wの戻し用になっている。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、本基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをする機構である。本実施例装置におけるインターフェイスブロック5には、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しをするためのインターフェイス用搬送機構35の他に、フォトレジストが塗布された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光部EEWと、現像処理ブロック4内に配設された基板仮置部付きの熱処理部PHPおよびエッジ露光部EEWに対して基板Wを受け渡しする第4の主搬送機構10Dを備えている。
エッジ露光部EEWは、図2に示すように、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック36や、このスピンチャック36上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器37などを備えている。2つのエッジ露光部EEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像処理ブロック4の熱処理部とに隣接して配置されている第4の主搬送機構10Dは、図6で説明した主搬送機構10と同様の構成を備えている。
図2および図5を参照する。図5はインターフェイスブロック5の側面図である。2つのエッジ露光部EEWの下側に、基板戻し用のバッファRBFがあり、さらにその下側に2つの基板載置部PASS9、PASS10が積層配置されている。基板戻し用のバッファRBFは、故障などのために現像処理ブロック4が基板Wの現像処理をすることができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHPで露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。基板載置部PASS9、PASS10は、第4の主搬送機構10Dとインターフェイス用搬送機構35との間で基板Wの受け渡しを行うためのもので、上側が基板払出し用、下側が基板戻し用になっている。
インターフェイス用搬送機構35は、図1および図5に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台35aを備え、この可動台35a上に基板Wを保持する保持アーム35bを搭載している。保持アーム35bは、昇降・旋回および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。インターフェイス用搬送機構35の搬送経路の一端(図5中に示す位置P1)は、積層された基板載置部PASS9、PASS10の下方にまで延びており、この位置P1で露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行う。また、搬送経路の他端位置P2では、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、送り用バッファSBFに対する基板Wの収納と取り出しとを行う。送り用バッファSBFは、露光装置STPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。
以上のように構成された基板処理装置は、インデクサブロック1、各処理ブロック2、3、4、およびインターフェイスブロック5内に清浄空気がダウンフローの状態で供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれて、外部環境からのパーティクルや汚染物質の侵入などを防いでいる。特に、反射防止膜用処理ブロック2内の気圧はインデクサブロック1内の気圧よりも高くなるように設定されている。これにより、インデクサブロック1内の雰囲気が反射防止膜用処理ブロック2に流入しないので、外部の雰囲気の影響を受けずに各処理ブロック2、3、4で処理を行うことができる。
次に、本実施例に係る基板処理装置を機構的に分割した要素である上述の各ブロック1〜5と、本実施例装置における制御の単位である各被制御ユニット(セル)C1〜C6との関係について説明する。
インデクサセルC1は、カセット載置台6とインデクサ用搬送機構7とを含む。このセルC1は、結果として機械的に分割した要素であるインデクサブロック1と同じ構成になっている。反射防止膜用処理セルC2は、反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9と第1の主搬送機構10Aとを含む。このセルC2も、結果として機械的に分割した要素である反射防止膜用処理ブロック2と同じ構成になっている。レジスト膜用処理セルC3は、レジスト膜用塗布処理部15とレジスト膜用熱処理部16と第2の主搬送機構10Bとを含む。このセルC3も、結果として機械的に分割した要素であるレジスト膜用処理ブロック3と同じ構成になっている。
一方、現像処理セルC4は、現像処理部30と、露光後加熱に使われる熱処理部(実施例では、加熱部PHP)を除いた現像用熱処理部31と、第3の主搬送機構10Cとを含む。このセルC4は、露光後加熱に使われる加熱部PHPを含んでいない点で、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とは異なる構成になっている。
露光後加熱用処理セルC5は、露光された基板Wを現像前に加熱処理する露光後加熱用の熱処理部(実施例では、現像処理ブロック4に設けられた加熱部PHP)と、エッジ露光部EEWと、第4の主搬送機構10Dとを含む。このセルC5は、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるもので、本実施例装置の特徴的なセルである。このように露光後加熱用の熱処理部(加熱部PHP)と第4の主搬送機構10Dとを含んで1つのセルを構成しているので、露光された基板を速やかに加熱部PHPに搬入して熱処理を行うことができる。これは露光後の加熱を速やかに行う必要がある化学増幅型フォトレジストを用いた場合に好適である。
なお、上述した基板載置部PASS7、PASS8は、現像処理セルC4の第3の主搬送機構10Cと、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dとの間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理セルC4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理セルC4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
インターフェイスセルC6は、外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをするインターフェイス用搬送機構35を含む。このセルC6は、第4の主搬送機構10Dやエッジ露光部EEWを含まない点で、機械的に分割した要素であるインターフェイスブロック5とは異なる構成になっている。なお、上述した基板載置部PASS9、PASS10は、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dと、インターフェイス用搬送機構35との間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS9は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS10は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
本実施例装置は、上述した6つのセルC1〜C6を並設して構成されており、各セルC1〜C6間の基板の受け渡しは、基板載置部PASS1〜PASS10を介して行われる。換言すれば、本発明における単一の被制御ユニット(セル)は、単一の主搬送機構を含み、その主搬送機構が、特定の入口基板載置部から受け取った基板を特定の出口基板載置部に置くまでに、基板の受け渡しを行う処理部を含んで構成される。
図9(a)に示すように、セルC1〜C6は、各々のセルの主搬送機構(インデクサ用搬送機構7およびインターフェイス用搬送機構35を含む)の基板受け渡し動作を少なくとも制御するセルコントローラ(ユニット制御手段)CT1〜CT6を個別に備えている。各セルコントローラCT1〜CT6は、所定の入口基板載置部に置かれた基板の受け取りから始まって、所定の出口基板載置部に基板を置くことによって完結する一連の制御を、各々独立して行うようになっている。具体的には、各セルC1〜C6のセルコントローラCT1〜CT6は、所定の基板載置部に基板を置いたという情報を、隣のセルのセルコントローラに送り、その基板を受け取ったセルのセルコントローラは、所定の基板載置部から基板を受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラに返すという情報のやり取りを行う。このような情報のやり取りは、各セルコントローラCT1〜CT6に接続されて、これらを統括的に管理するメインコントローラ(主制御手段)MCを介して行われる。メインコントローラMCは、本実施例に係る基板処理装置が設置される半導体製造行程の全体を管理するホストコンピュータHCとの間で通信可能に構成されている。各セルC1〜C6内の基板処理状況は各セルコントローラCT1〜CT6を介してメインコントローラMCに集められてホストコンピュータHCに伝達される。これにより、各セルC1〜C6の状態をホストコンピュータHCで容易に把握できるようになっている。
各セルコントローラCT1〜CT6は、隣接するセル内での主搬送機構の動きを考慮することなく、各セル内の基板の受け渡しだけを対象にして制御を進めている。したがって、各セルコントローラCT1〜CT6の制御の負担が少なくなる。これに対して、従来の基板処理装置の制御手法によると、図9(b)に示すように、各ブロック1〜5が基板処理のスケジュール管理用のコントローラCT0に基板搬送に係る情報を与えて、コントローラCT0が統括的に基板搬送を管理しているので、コントローラCT0の負担が多くなる。
以上のように本実施例によれば各セルのコントローラCT1〜CT6の制御負担が少なくなるので、それだけ基板処理装置のスループットを向上させることができる。また、図9(b)に示した従来の制御手法によると、新たに処理部を追加すると、コントローラCT0のスケジュール管理用のプログラムを大幅に修正する必要が生じるが、本発明に係る制御手法によれば、新たにセルを追加しても、隣接するセルに影響を与えないので、セルの追加を容易に行うことができる。追加するセルの種類は特に限定されないが、例えば、レジスト膜用処理セルC3と現像処理セルC4との間に、基板Wに塗布されたレジスト膜の厚みを検査したり、あるいは現像後のレジスト膜の線幅を検査する検査用セルを追加してもよい。この場合、検査用セルは、本実施例装置の他のセルと同様に、基板を検査する基板検査部と、この検査部に対して基板を搬送する基板検査用の主搬送機構とを含んで構成される。また、検査用セルと隣接セルとの間の基板の受け渡しは、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して行われる。
本実施例に係る基板処理装置の他の特徴は、被制御ユニットである反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、および現像処理セルC4が、主搬送機構を使って基板Wを特定の位置から別の位置に搬送する工程を1工程とした場合に、各セルC2、C3、C4の第1、第2、第3の主搬送機構10A、10B、10Cは、略同数の搬送工程を負担している点にある。詳しくは、後述する本実施例装置の動作説明で明らかにするが、図10に示したように、上記主搬送機構10A、10B、10Cは、略6つの搬送工程を負担している。
本実施例装置において、主搬送機構10が1搬送工程に要する時間は約4秒である。したがって、各セルC2〜C3において、主搬送機構10は6搬送工程を負担するので、各セルC2〜C3は24秒に1回の割合(24秒の処理周期)で基板Wを隣接するセルに排出することになる。つまり、本実施例装置は、1時間あたり150枚の基板Wを処理することができる。仮に、1つの主搬送機構が負担する搬送工程の数が、他の主搬送機構に比べて多くなると、その主搬送機構が属するセルの処理周期(サイクル時間)によって、基板処理装置のスループットが決定される。例えば、セルC2、C4の各主搬送機構10A、10Cが各々5つの搬送工程を負担し、セルC3の主搬送機構10Bが8つの搬送工程を負担する場合、セルC2〜C4間では、セルC3の処理周期(この場合、32秒)でしか基板Wが流れないので、セルC2、C4の主搬送機構10A、10Cに余裕があったとしても、その基板処理装置は1時間あたり112.5枚しか基板Wを処理することができない。
これに対して本実施例装置では、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、および現像処理セルC4の各主搬送機構10A、10B、10Cが略同数の搬送工程を負担するので、いずれか1つの主搬送機構が早く搬送処理の限界に陥ることが回避でき、結果として、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
一方、現像処理セルC4に隣接する露光後加熱用処理セルC5に関しては、そのセルC5に属する第4の主搬送機構10Dの負担する搬送工程が5つに設定されている。露光後加熱用処理セルC5は、基板Wが露光されてから加熱処理を行うまでの時間を厳密に管理する必要があるので、第4の主搬送機構10Dの搬送負担に余裕をもたせる意味で、その搬送負担を他のセルに比べて低く設定してある。第4の主搬送機構10Dに特に余裕をもたせる必要がなければ、本処理セルC5は、1搬送工程分だけの空きをもっていることになる。この空き搬送工程を利用して、露光後加熱用処理セルC5に新たな処理部、例えば基板Wの検査部を追加することも可能である。基板検査部を追加してもセルC5の主搬送機構10Dは、他のセルの主搬送機構と同様に6つの搬送工程を負担することになる。つまり、搬送工程に余裕のあるセルC5に基板検査部を追加しても、セルC5の処理周期は他のセルと同じ24秒になるだけであるので、基板処理装置のスループットが低下することはない。
次に、本実施例に係る基板処理装置の動作を説明する。特に、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、現像処理セルC4、および露光後加熱用処理セルC5の各主搬送機構10A〜10Dによる各搬送工程については図10を参照されたい。なお、以下の説明では理解の容易のために、まず各セルC1〜C6内における一連の基板の流れを説明し、その後で各セルC1〜C6内で基板搬送を開始するための搬送可能条件の判定処理について説明する。
まず、インデクサセルC1(インデクサブロック1)のインデクサ用搬送機構7が、所定のカセットCに対向する位置にまで水平移動する。続いて、保持アーム7bが昇降および進退移動することにより、そのカセットCに収納されている未処理の基板Wを取り出す。保持アーム7bに基板Wを保持した状態で、インデクサ用搬送機構7が、基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで水平移動する。そして、保持アーム7b上の基板Wを基板払出し用の上側の基板載置部PASS1に載置する。基板戻し用の下側の基板載置部PASS2に処理済みの基板Wが載置されている場合、インデクサ用搬送機構7は、その処理済みの基板Wを保持アーム7b上に受け取って、所定のカセットCに処理済みの基板Wを収納する。以下、同様にカセットCから未処理基板Wを取り出して基板載置部PASS1に搬送するとともに、処理済み基板Wを基板載置部PASS2から受け取ってカセットCに収納するという動作を繰り返し行う。
反射防止膜用処理セルC2(反射防止膜用処理ブロック2)の動作を説明する。反射防止膜用処理セルC2のセルコントローラCT2は、後述する判定処理開始事象が発生したときに、そのセルC2内で後述する搬送可能条件が成立しているか否かを判定する。そして、順方向送りの搬送可能条件が成立していれば、次のように順方向の基板搬送を実行する。
基板載置部PASS1(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれた未処理基板Wを受け取るために、図10に示すように、セルC2の第1の主搬送機構10Aは、保持アーム10a、10bを基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで一体に昇降および旋回移動させる。そして、一方の保持アーム10bに保持している処理済みの基板Wを下側の戻し用の基板載置部PASS2(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)に置き、その後、上側の送り用入口基板載置部PASS1に置かれている未処理基板Wを、空の状態になった一方の保持アーム10bを再び駆動して、その保持アーム10b上に受け取るという、保持アーム10bだけを使った処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を行う。
具体的には、保持アーム10bを前進移動させて戻り用出口基板載置部PASS2上に処理済みの基板Wを置く。処理済みの基板Wを渡した保持アーム10bは元の位置にまで後退する。続いて、保持アーム10a、10bを一体に少し上昇させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて送り用入口基板載置部PASS1上の未処理基板Wを保持アーム10b上に受け取る。基板Wを受け取った保持アーム10bは元の位置にまで後退する。
上述したように、本実施例では、基板載置部PASS1、PASS2に対する処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を保持アーム10bだけを使って行っている。一方の保持アーム10aに保持した基板Wを基板載置部PASS2に渡した後は、両方の保持アーム10a、10bは空の状態になっているので、いずれの保持アーム10a、10bを使っても基板載置部PASS1の基板Wを受け取ることができる。しかし、本実施例では、加熱プレートHPで処理されて加熱された基板Wを、上側に配置された保持アーム10aで受け取るために、元々空の状態にあった保持アーム10aを使わずに、保持アーム10bを再駆動して基板載置部PASS1の基板Wを受け取るように構成してある。このような2つの基板載置部に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板Wの受け渡しをする手法は、後述する他の処理セルC2〜C4(ただし、露光後加熱用処理セルC5を除く)においても同様である。
以上の基板載置部PASS1、PASS2に対する未処理基板Wおよび処理済み基板Wの受け渡しは、図10中に第1の主搬送機構10Aの搬送工程(1+α)で示されている。ここで、「α」は、未処理基板Wを基板載置部PASS1から受け取るために、保持アーム10a、10bを基板載置部PASS2に対向する位置から基板載置部PASS1に対向する位置にまで少し上昇移動させた搬送工程を示している。上述したように、基板載置部PASS1、PASS2は上下に近接して配置されているので、基板載置部PASS1、PASS2間の移動に要する時間は僅かであり無視することができる。したがって、搬送工程(1+α)は、1搬送工程(本実施例では、主搬送機構を使って所定時間(例えば、4秒)以内に行われる基板の受け渡し動作)であるとして取り扱うことができる。
基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しが終わると、第1の主搬送機構10Aは、基板Wを保持していない空の状態の保持アーム10aと、未処理基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、反射防止膜用熱処理部9の所定の冷却プレートCPに対向させる。通常、この冷却プレートCPには、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて未処理基板Wを保持した保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。冷却プレートCPに載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、常温にまで精度よく冷却される。なお、2つの保持アーム10a、10bを使った冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しは、保持アーム10a、10bの昇降動作を伴わずに行われるので、この冷却プレートCPに対する基板の受け渡しは、第1の主搬送機構10Aの1搬送工程内に行われる(図10中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(2)参照)。
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の反射防止膜用塗布処理部8に対向させる。通常、この反射防止膜用塗布処理部8には、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その反射防止膜用塗布処理部8にあるスピンチャック11上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、基板Wをそのスピンチャック11上に置く。スピンチャック11上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、反射防止膜が塗布形成される。スピンチャック11に対する基板の受け渡しは、図10中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(3)に相当する。なお、図10中の「BARC」は反射防止膜用塗布処理部8を意味する。
スピンチャック11への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、反射防止膜が塗布された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の加熱プレートHPに対向させる。通常、この加熱プレートHPにも先行処理されている基板Wが入っているので、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上の処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、基板Wを加熱プレートHP上に置く。加熱プレートHP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に熱処理されて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が除去される。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(4)に相当する。
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。上述したと同様に、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて、保持アーム10aを前進移動させて、基板Wを冷却プレートWCP上に置く。冷却プレートWCP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に大まかに冷却処理される。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(5)に相当する。
冷却プレートWCPへの基板Wの載せ換えが終わると、空の状態の保持アーム10aと、大まかに冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に上昇させて、冷却プレートWCPの上方に配設されている基板載置部PASS3、PASS4に対向させる。そして、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板載置部PASS3(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)上に基板Wを置く。通常、下側の基板載置部PASS4(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)に、レジスト膜用処理セルC3を介して現像処理セルC4から送られてきた現像処理済みの基板Wが置かれている。そこで、逆方向の搬送可能条件が成立していれば、保持アーム10a、10bを一体に少し下降させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて基板載置部PASS4上の現像処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。
基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(6+α)に相当する。「α」は上述したと同様に、保持アーム10a、10bが僅かに昇降する短時間の搬送工程である。したがって、搬送工程(6+α)は1搬送工程であるとして取り扱うことができる。
反射防止膜用処理セルC2に備えられた第1の主搬送機構10Aは、搬送可能条件の成立に応じて、上述した搬送工程(1+α)から搬送工程(6+α)の各基板搬送を繰り返し行う。ここで、搬送工程(1+α)から搬送工程(6+α)を合計すると、第1の主搬送機構10Aは、略6つの搬送工程を負担することになる。1搬送工程に要する搬送時間を4秒とすると、第1の主搬送機構10Aは略24秒で基板搬送の1周期を完了する。換言すれば、24秒に1回(150枚/時間)の割合で基板Wが隣のレジスト膜用処理セルC3に払い出される。なお、通常の連続処理状態では上述した順方向の基板搬送と逆方向の基板搬送とが並行して進められるが、例えば、一群の基板Wの投入開始時などでは、順方向の搬送可能条件だけが成立するので、順方向の基板搬送のみが実行される。逆に、一群の基板Wの処理が終了する間近などでは、逆方向の搬送可能条件だけが成立するので、逆方向の基板搬送のみが実行される。この点は他のセルC2〜C6においても同様である。
レジスト膜用処理セルC3(レジスト膜用処理ブロック3)の動作を説明する。レジスト膜用処理セルC3のセルコントローラCT3は、そのセルC3について予め決められた判定処理開始事象が発生したときに、そのセルC3について予め設定された搬送可能条件が成立しているか否かを判定する。そして、順方向送りの搬送可能条件が成立していれば、次のように順方向の基板搬送を実行する。基板載置部PASS3(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれた、反射防止膜の塗付形成された基板Wを受け取るために、図10に示すように、セルC3の第2の主搬送機構10Bは、上述した第1の主搬送機構10Aの場合と同様に、一方の保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS4(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)上に置く。そして、基板載置部PASS3上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図10中に第2の主搬送機構10Bの搬送工程(1+α)で示されている。上述したように、「α」は時間には無視することができるので、搬送工程(1+α)は1搬送工程として取り扱うことができる。
基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しが終わると、第2の主搬送機構10Bは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板の受け渡しは、図10中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(2)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの載せ換えが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定のレジスト膜用塗布処理部15に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、そのレジスト膜用塗布処理部15にあるスピンチャック17上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック17上に置く。スピンチャック17上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、レジスト膜が塗布形成される。スピンチャック17に対する基板の受け渡しは、図10中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(3)に相当する。なお、図10中の「PR」はレジスト膜用塗布処理部15を意味する。
スピンチャック17への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、レジスト膜が塗布形成された基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱部PHP上の基板仮置部19に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを基板仮置部19上に置く。基板仮置部19上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、その加熱部PHPのローカル搬送機構20によって、その加熱部PHPの加熱プレートHP上に移されて熱処理される。この加熱プレートHP上で熱処理された基板Wは、同じローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻される。その基板Wは、ローカル搬送機構20の保持プレート24に保持されて基板仮置部19に戻され、基板載置部20内で保持プレート24の冷却機構によって冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(4)に相当する。
加熱部PHPへの基板Wの受け渡しが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の冷却プレートCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(5)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS5、PASS6に対向させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS5(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)上に基板Wを置く。そして、逆方向の搬送可能条件が成立していれば、下側の基板戻し用の基板載置部PASS6(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)に載置されている現像処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。
基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(6+α)に相当する。搬送工程(6+α)は1搬送工程であるとして取り扱われる。
レジスト膜用処理セルC3に備えられた第2の主搬送機構10Bは、搬送可能条件の成立に応じて、上述した搬送工程(1+α)から搬送工程(6+α)の各基板搬送を繰り返し行う。ここで、第2の主搬送機構10Bの搬送工程(1+α)から搬送工程(6+α)を合計すると、第2の主搬送機構10Bは、第1の主搬送機構10Aと同様に略6つの搬送工程を負担することになる。したがって、第2の主搬送機構10Bは、第1の主搬送機構10Aと同じ周期(この実施例では、略24秒)で基板搬送の1周期を完了する。換言すれば、24秒に1回(150枚/時間)の割合で基板Wが隣の現像処理セルC4に払い出される。
現像処理セルC4の動作を説明する。現像処理セルC4のセルコントローラCT4は、そのセルC4について予め決められた判定処理開始事象が発生したときに、そのセルC4について予め設定された搬送可能条件が成立しているか否かを判定する。そして、順方向送りの搬送可能条件が成立していれば、次のように順方向の基板搬送を実行する。基板載置部PASS5(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれた、レジスト膜の塗付形成された基板Wを受け取るために、図10に示すように、セルC4の第3の主搬送機構10Cは、先ず保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS6(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)上に置き、その後、基板載置部PASS5上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図10中に第3の主搬送機構10Cの搬送工程(1+α)で示されている。
基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の積層構造の中に配設された基板載置部PASS7、PASS8に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS7(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)上に、レジスト膜が塗付形成された基板Wを置く。そして、逆方向の搬送可能条件が成立していれば、下側の基板戻し用の基板載置部PASS8(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)に載置されている露光後の加熱処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図10中に第3の主搬送機構10Cの搬送工程(2+α)で示されている。なお、現像処理セルC4において、順方向の基板搬送は、基板載置部PASS5に置かれた基板Wを受け取って、この基板Wを基板載置部PASS7に置くまでの基板搬送(セルC4を素通りさせるための基板搬送)を意味し、逆方向の基板搬送は、基板載置部PASS8に置かれた基板Wを受け取って、この基板Wを後述する各処理部(CP、SD、HP、WCP)を経て基板載置部PASS6に置くまでの一連の基板搬送であることに留意されたい。
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと、露光後の加熱処理済みの基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板の受け渡しは、図10中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(3)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定の現像処理部30に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その現像処理部30にあるスピンチャック32上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック32上に置く。スピンチャック32上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Cが他の搬送動作を行っている間に、現像処理される。スピンチャック32に対する基板の受け渡しは、図10中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(4)に相当する。なお、図10中の「SD」は現像処理部30を意味する。
スピンチャック32への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、現像処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の加熱プレートHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを加熱プレートHP上に置く。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(5)に相当する。
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、加熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用処理セルC3の側にある隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートWCP上に置く。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(6)に相当する。
現像処理セルC4に備えられた第3の主搬送機構10Cは、搬送可能条件の成立に応じて、上述した搬送工程(1+α)から搬送工程(6)の各基板搬送を繰り返し行う。ここで、第3の主搬送機構10Cの搬送工程(1+α)から搬送工程(6)を合計すると、第3の主搬送機構10Cは、第1、第2の主搬送機構10A、10Bと同様に略6つの搬送工程を負担することになる。したがって、第3の主搬送機構10Cは、第1、第2の主搬送機構10A、10Bと同じ周期(この実施例では、略24秒)で基板搬送の1周期を完了する。換言すれば、24秒に1回(150枚/時間)の割合で基板Wが隣の露光後加熱用処理セルC5に払い出される。
露光後加熱用処理セルC5の動作を説明する。露光後加熱用処理セルC5のセルコントローラCT5は、そのセルC5について予め決められた判定処理開始事象が発生したときに、そのセルC5について予め設定された搬送可能条件が成立しているか否かを判定する。そして、順方向送りの搬送可能条件が成立していれば、次のように順方向の基板搬送を実行する。基板載置部PASS7(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれた、レジスト膜の塗付形成された基板Wを受け取るために、図10に示すように、セルC5の第4の主搬送機構10Dは、保持アーム10bに保持した露光後加熱処理済みの基板Wを基板載置部PASS8(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)上に置き、その後で基板載置部PASS7上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(1+α)に相当する。
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定のエッジ露光部EEWに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、そのエッジ露光部EEWのスピンチャック36上にある周辺露光済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをそのスピンチャック36上に置く。スピンチャック36上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、その周縁部が露光される。このスピンチャック36に対する基板の受け渡しは、図10中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(2)に相当する。
スピンチャック36に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、周辺露光された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、周辺露光された基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(3)に相当する。
冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS9、PASS10に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS9(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)上に基板Wを置く。そして、逆方向の搬送可能条件が成立していると、下側の基板戻し用の基板載置部PASS10(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)に載置されている、露光装置STPで露光された基板Wを保持アーム10aで受け取る。基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しは、図10中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(4+α)に相当する。
なお、本実施例では、基板載置部PASS9、PASS10に対してだけ、2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っている。これは、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS7、PASS8との間に、後述する加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しを(1回:奇数回)行う関係で、基板載置部PASS9、PASS10に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板の受け渡しを行うと、基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しに使う保持アームが、搬送行程の1サイクルごとに入れ代わるので、これを避けるためである。
基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、露光済みの基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)にある露光後の加熱処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10aを前進移動させて、露光済みの基板Wを加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)に置く。基板仮置部19に置かれた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、ローカル搬送機構20によって加熱プレートHPに移されて加熱処理された後に、同じくローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻され、基板仮置部19内で冷却される。この加熱部PHPに対する基板の受け渡しは、図10中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(5)に相当する。なお、露光後加熱用処理セルC5において、基板載置部PASS10に置かれた基板Wを受け取って、この基板Wを加熱部PHPを経て基板載置部PASS8に置くまでの基板搬送は、逆方向の基板搬送に相当することに留意されたい。
露光後加熱用処理セルC5に備えられた第4の主搬送機構10Dは、搬送可能条件の成立に応じて、上述した搬送工程(1+α)から搬送工程(5)の各基板搬送を繰り返し行う。ここで、第4の主搬送機構10Dの搬送工程(1+α)から搬送工程(5)を合計すると、第4の主搬送機構10Dは、第1〜第3の主搬送機構10A〜10Cよりも1つ少ない略5つの搬送工程を負担することになる。露光後加熱用処理セルC5だけをみれば、第4の主搬送機構10Dは、1搬送工程に要する時間を4秒とした場合に、20秒周期で動作可能であるが、他の第1〜第3の主搬送機構10A〜10Cが24秒周期で動くので、結局、露光後加熱用処理セルC5からは、他のセルと同様に、24秒に1回(150枚/時間)の割合で基板Wが隣のインターフェイスセルC6に払い出される。
インターフェイスセルC6の動作を説明する。インターフェイスセルC6のセルコントローラCT6は、そのセルC6について予め決められた判定処理開始事象が発生したときに、そのセルC6について予め設定された搬送可能条件が成立しているか否かを判定する。そして、順方向送りの搬送可能条件が成立していれば、次のように順方向の基板搬送を実行する。具体的には、周辺露光された基板Wが基板載置部PASS9(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれると、インターフェイスセルC6のインターフェイス用搬送機構35が基板載置部PASS9から基板Wを受け取って、隣接する露光装置STPに渡す。さらに、逆方向の搬送可能条件が成立していれば、インターフェイス用搬送機構35は、露光装置STPから露光済みの基板Wを受け取って、その基板を基板戻し用の基板載置部PASS10(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)に載せる。インターフェイス用搬送機構35は、このような基板搬送動作を繰り返し行う。
次に、図11のフローチャートを参照して、各セルC1〜C6のセルコントローラCT1〜CT6が行う、基板搬送を開始するための搬送可能条件の判定処理について説明する。
ステップS1:図9に示した各セルC1〜C6のセルコントローラCT1〜CT6には、搬送可能条件の判定処理を開始するための条件である判定処理開始事象が予め決められて設定されている。判定処理開始事象の具体的事項は特に限定されないが、この事象の発生に基づき搬送可能条件の判定を行うという性格上、基板搬送の区切りに関わる事象であることが好ましい。判定処理開始事象としては、例えば、(ア)送り用、または戻り用の入口基板載置部(PASS)に基板Wが置かれたこと、(イ)送り用、または戻り用の入口基板載置部(PASS)に基板Wが置かれることが予測されること、(ウ)搬送経路上の処理部が基板Wの入れ換え可能状態になっていること、(エ)送り用、または戻り用の出口基板載置部(PASS)の基板Wが払出されたこと、(オ)送り用、または戻り用の出口基板載置部(PASS)の基板Wが払出されたことが予測されること、(カ)停止していた処理部への基板搬送が可能になったことなどがある。これらの事象の中のいずれか1つの事象が発生したときに搬送可能条件の判定処理を行うようにすればよい。なお、本実施例のように順方向(送り)の搬送と、逆方向(戻り)の搬送とを並行して行う装置の場合、(キ)片側の搬送が終了したときにも、搬送可能条件の判定処理を行うようにしてもよい。
各セルコントローラCT1〜CT6は、上記のような判定処理開始事象の発生を監視し、所定の事象が発生すればステップS2以降の処理に移る。なお、ステップS2以降の処理に移った後に、連続して別の判定処理開始事象が発生した場合には、その事象に基づく判定処理を待機させるか、あるいは、不要と判断できる事象の場合は破棄する。
ステップS2:このステップS2では、ステップS1で検出した判定処理開始事象が順方向の基板搬送に係る事象か、あるいは逆方向の基板搬送に係る事象であるかを判断する。例えば、反射防止膜用処理セルC2において、基板載置部PASS1(送り用入口基板載置部)に基板Wが置かれた場合、その基板Wは順方向に搬送されてセルC2の各処理部で処理されるべきものであるので、順方向の基板搬送であると判断する。逆に、反射防止膜用処理セルC2において、基板載置部PASS4(戻り用入口基板載置部)に基板Wが置かれた場合、その基板Wは逆方向に搬送されてインデクサセルC1に戻されるべきものであるので、逆方向の基板搬送であると判断する。
ステップS1で説明した(ウ)、(カ)の判定処理開始事象の場合は、その処理部が基板Wの順方向の搬送過程で使われるものであるか、あるいは逆方向の搬送過程で使われるものであるかに応じて、順方向の搬送か、あるいは逆方向の搬送かを判断する。(エ)、(オ)の判定処理開始事象の場合、送り用の出口基板載置部(セルC2で言えば、PASS3)の基板Wが払出された(無くなった)ときは順方向の基板搬送と判断し、また戻り用の出口基板載置部(PASS)の基板Wが払出された(無くなった)ときは逆方向の基板搬送と判断する。(キ)の判定処理開始事象の場合、順方向の基板搬送が終了したときは、通常の連続動作状態では、順方向の基板搬送の次は逆方向の基板搬送が行われるべきであるので、逆方向の基板搬送と判断する。同様に逆方向の基板搬送が終了したときは、順方向の基板搬送と判断する。
ステップS3F、S3R:ステップS2で判定処理開始事象が順方向の基板搬送に係るものであると判断された場合には、順方向基板搬送用のタイマーをスタートさせる(ステップS3F)。一方、その判定処理開始事象が逆方向の基板搬送に係るものであると判断された場合には、逆方向基板搬送用のタイマーをスタートさせる(ステップS3R)。これらのタイマーには、入口基板載置部(順方向の基板搬送の場合は送り用入口基板載置部、逆方向の基板搬送の場合は戻り用入口基板載置部)に基板Wが置かれるのを待つために予め定められた待機時間が設定されている。「待機時間」を設定する意義については、ステップS4F、S4Rのところで説明する。
ステップS4F、S4R:これらのステップS4F、S4Rでは、順方向(または、逆方向)の搬送可能条件が成立したか否かを判定する。搬送可能条件は、そのセル内で基板Wを順方向(または、逆方向)に移動させることができるか否かを判断するために、セルごとに予め設定された条件である。搬送可能条件は特に限定されないが、本実施例では次のように設定してある。すなわち、(a)入口基板載置部(順方向の基板搬送の場合は送り用入口基板載置部、逆方向の基板搬送の場合は戻り用入口基板載置部)に基板Wが置かれていること、または、入口基板載置部に基板が置かれるのを待つために予め定められた待機時間が経過していること、(b)出口基板載置部(順方向の基板搬送の場合は送り用出口基板載置部、逆方向の基板搬送の場合は戻り用出口基板載置部)に基板Wがないこと、(c)搬送経路上の処理部が基板の入れ換え可能状態になっていること、の各条件が全て成立していることを条件としている。以下、各条件について説明する。
(a)の前半の「入口基板載置部に基板Wが置かれていること」という条件は、入口基板載置部に基板Wが置かれると、速やかにこの基板Wをセル内に取り込んで必要な処理を行うために設定された条件である。例えば、反射防止膜用処理セルC2の場合、順方向の基板搬送のときは基板載置部PASS1に基板Wが置かれていること、逆方向の基板搬送のときは基板載置部PASS4に基板Wが置かれていること、がこの条件に相当する。セルC2のセルコントローラCT2は、基板載置部PASS1、PASS4にそれぞれ設けられた光学式のセンサからの検出信号によって、基板Wが基板載置部PASS1、PASS4に置かれたことを知ることができる。
(a)の後半の「入口基板載置部に基板が置かれるのを待つために予め定められた待機時間が経過していること」という条件は、主搬送機構が入口基板載置部に基板Wが置かれるのを長時間に亘って待つのを回避するために設定された条件である。図11のフローチャートから明らかなように、ステップS4F、S4Rで搬送可能条件が成立しなければ、ステップS1に戻って次の判定処理開始事象を待ち、以下同様に搬送可能条件の成立を判定する。入口基板載置部に長時間に亘って基板Wが置かれないと、上記の処理手順をいつまでも繰り返すことになる。そうするとそのセル内で既に処理が終わっている基板Wがあっても、その基板Wは隣接するセルに払出されなくなり、結果として基板処理装置のスループットを低下させてしまう。一群の基板Wが連続して投入されている場合は、このような事態に陥らないが、例えば、一群の基板Wの処理が終了して、基板群を別のロットに切り換える(すなわち、図1に示したカセット載置台6へカセットCを載せ換える)場合に、基板Wの投入が途切れることがある。このような場合に、予め設定された待機時間の経過を条件に、そのセル内の基板を次の処理部(あるいは、隣接するセルへ)へ搬送するようにすれば、基板搬送の処理効率の低下を防止することができる。
待機時間をどの程度の時間に設定するかは任意であるが、次のように設定するのが好ましい。すなわち、あるセルに基板Wが受け入れられて、その基板Wに必要な処理が施され、その基板Wが次のセルに払出されるまでの時間を、そのセルのサイクル時間とした場合に、待機時間は、本基板処理装置を構成するセルC1〜C6の中で、最も長いサイクル時間をもつセルのサイクル時間である最大サイクル時間と同等以上の時間に設定されていることが好ましい。本実施例装置の場合、最大サイクル時間は「24秒」であるので、待機時間は「24秒以上」が好ましい。さらに好ましくは、待機時間は、最大サイクル時間と略同等の時間(本実施例装置の場合、「24秒」)に設定される。
待機時間を上記のように設定するのは次の理由による。一群の基板Wが連続的に投入されている通常状態において、基板処理装置全体のサイクル時間は、最大サイクル時間に収束してゆく。本実施例装置で言えば「24秒」である。通常状態でこのような動きをする装置において、待機時間を最大サイクル時間よりも短い時間(例えば、「22秒」)に設定すると、この待機時間「22秒」の経過により、主搬送機構はそのセル内の基板搬送を実行する。このとき例えば、待機開始(上記ステップS3F、S3Rのタイマースタート)から24秒経過後に基板Wが入口基板載置部に置かれたとすると、その基板Wが主搬送機構に受け取られるのは、主搬送機構が現在搬送している基板の処理が完了した後になる。そうすると入口基板載置部に置かれた基板は、その状態で不必要に待たされることなり、それだけ基板搬送の効率が低下する。待機時間を最大サイクル時間と同等以上の時間に設定することにより、このような不具合を回避することができる。
一方、待機時間を最大サイクル時間よりも相当に長い時間に設定すると、基板Wの投入が途切れた場合に、入口基板載置部に基板が置かれるのを主搬送機構が不必要に長く待つことになる。定常動作時における基板処理装置全体のサイクル時間が最大サイクル時間に収束することを考慮すれば、最大サイクル時間を経過しても基板Wが入口基板載置部に置かれない場合は、ロットの切り換えなどにより基板Wの投入が途切れたと考えられるので、その場合は、セル内の基板搬送に移行するのが良い。してみれば、基板搬送の効率の面から、待機時間としては、最大サイクル時間と略同等の時間に設置するのが好ましいと言える。
(b)の「出口基板載置部に基板Wがないこと」という条件は、基板Wを隣接するセルに払出すことができるかを判定するための条件である。例えば、反射防止膜用処理セルC2の場合、順方向の基板搬送のときは基板載置部PASS3に基板Wがないこと、逆方向の基板搬送のときは基板載置部PASS2に基板Wがないこと、がこの条件に相当する。セルC2のセルコントローラCT2は、基板載置部PASS3、PASS2にそれぞれ設けられた光学式のセンサからの検出信号によって、基板Wが基板載置部PASS3、PASS2にないことを知ることができる。
(c)の「搬送経路上の処理部が基板の入れ換え可能状態になっていること」という条件は、セル内の各処理部にある基板Wが基板搬送できる状態になっているかを判定するための条件である。各セルのセルコントローラは、各処理部における処理時間をそれぞれ監視することにより、この条件が成立しているか否かを判定する。
ステップS4F、S4Rで搬送可能条件が成立していれば次のステップS5F、S5Rに進み、いずれの搬送可能条件も成立していなければ、ステップS1に戻って次の判定処理開示事象を待つ。なお、搬送可能条件としては、上述した(a)、(b)、(c)の3つの条件以外に、例えば「搬送経路上の処理部、または主搬送機構などが、アラーム発生などによって停止状態になっていないこと」を条件としてもよい。このような条件を付加すれば、異常のある処理部に基板Wが搬送されたり、あるいは異常のある主搬送機構によって基板Wが取り扱われるといった不具合を回避することができる。
ステップS5F、S5R:これらのステップS5F、S5Rでは、待機時間を設定したタイマーをリセットする。
ステップS6F、S6R:順方向の搬送可能条件が成立している場合には順方向の基板搬送を実行し(ステップS6F)、逆方向の搬送可能条件が成立している場合には逆方向の基板搬送を実行する(ステップS6R)。一群の基板Wが連続して投入されている通常動作状態では、順方向の基板搬送に係る判定処理開始事象と逆方向の基板搬送に係る判定処理開始事象とが交互に発生するのが普通であるので、順方向の基板搬送と逆方向の基板搬送とが交互に実行される。ただし、基板群の投入開始時には順方向の基板搬送が連続して実行され、また基板群の処理が終了する間近では、逆方向の基板搬送が連続して実行されることになる。
以上のように、本実施例に係る基板処理装置では、各セルC1〜C6の主搬送機構10(ただし、インデクサセルC1の場合はインデクサ用搬送機構7、インターフェイスセルC6の場合はインターフェイス用搬送機構35)が同時並行的に作動して複数枚の基板Wの処理を進めるので、基板処理装置のスループットが向上する。しかも、入口基板載置部と出口基板載置部とが区別して設けられているので、セル内に受け入れる基板Wとセルから払出す基板とが基板載置部で干渉することなく、各セル間の基板搬送を円滑に行うことができる。さらに、送り用の基板載置部と戻りの基板載置部も区別して設けられているので、順方向に搬送される基板と逆方向に搬送される基板とが基板載置部で干渉することがなく、双方向の基板搬送を円滑に行うことができる。
また、本実施例に係る基板処理装置は、各セルC1〜C6が個別に、判定処理開始事象が発生したときに、搬送可能条件の成立を判定して、その被制御ユニット内の基板搬送を実行するようにしているので、各セルC1〜C6の基板搬送制御は、隣接するセルの基板搬送の状況を考慮する必要がない。したがって、基板処理装置を構成するセルが多数あっても、基板搬送に係る制御を容易に行うことができる。また、あるセルにおける基板の処理時間が変更されたり、あるいは、新たなセルが増設されても、それに隣接するセルの基板搬送制御を変更する必要がないので、汎用性の高い基板処理装置を実現することができる。
さらに、本実施例に係る基板処理装置は、各セルC1〜C6が個別に、判定処理開始事象が発生したときに、搬送可能条件の成立を判定して、その被制御ユニット内の基板搬送を実行するようにしているので、タクト動作をする従来の基板処理装置に比べて基板処理装置のスループットを向上することができる。一群の基板が連続的に投入されている通常の動作状態でみれば、本実施例装置は、約24秒ごとに隣接セルへ基板Wが受け渡されるので、一見すればタクト動作の従来装置と同様の動作サイクルで基板搬送をしているように見える。しかし、本実施例装置は、従来装置のように24秒のサイクルで主搬送機構が規則正しく動くように制御されるものでないことに留意されたい。本実施例装置は、各セルが搬送可能条件の成立を判定して基板搬送を実行することにより、結果として、24秒のサイクル時間に収束してゆくに過ぎない。したがって、例えば、一群の基板Wの投入開始時や、終了の間近の場合には、順方向または逆方向の基板搬送しか生じないので、搬送可能条件は、前記通常の動作状態のときと比べて、時間的に早く成立する可能性がある。搬送可能条件が早く成立すれば、それだけ基板搬送の効率が上り、基板処理装置のスループットが向上する。同様の理由により、最大サイクル時間をもつセルが、処理時間の短縮などにより、そのサイクル時間が短くなれば、本実施例に係る基板処理装置によれば、短縮された最大サイクル時間で自動的に基板搬送が行われるようになる。仮に従来装置であれば、搬送機構の制御プログラムを変更しないかぎり、サイクル時間の短縮に対応できないが、本実施例装置によれば、このようなサイクル時間の短縮にともなう基板搬送制御プログラムの変更が基本的に不要であり、極めて汎用性が高いと言える。
本発明は、上述した実施例のものに限らず、例えば次のように変形実施することもできる。
(1)上記実施例では、搬送可能条件の一つとして、「入口基板載置部(順方向の基板搬送の場合は送り用入口基板載置部、逆方向の基板搬送の場合は戻り用入口基板載置部)に基板Wが置かれていること」を条件とした。この条件に代えて、「入口基板載置部に基板が置かれることが予測されること」を条件としてもよい。上記の実施例において、例えば、インデクサセルC1のインデクサ用搬送機構7が基板載置部PASS1に基板Wを払出すための動作に移行したときに、セルC1のセルコントローラCT1がメインコントローラMC(図9参照)を介して、隣接する反射防止膜用処理セルC2のセルコントローラCT2に基板Wの払出し予告情報を送ることにより、セルコントローラCT2は基板載置部PASS1に基板Wが置かれることを予測することができる。そして、このように基板載置部PASS1に基板Wが置かれることが予測される場合に、セルC2の主搬送機構10Aが基板載置部PASS1に向かって動き始めるようにすれば、基板載置部PASS1に基板Wが置かれると略同時に主搬送機構10AがPASS1に対面して、その置かれた基板Wを直ぐに受け取ることができる。つまり、基板載置部PASS1に基板Wが置かれてから、主搬送機構10が受け取るまでの時間が短縮されるので、基板搬送の効率を高めることができる。
(2)同様に、上記実施例の搬送可能条件(b)「出口基板載置部(順方向の基板搬送の場合は送り用出口基板載置部、逆方向の基板搬送の場合は戻り用出口基板載置部)に基板Wがないこと」に代えて、「出口基板載置部に基板がないことが予測されること」を条件としてもよい。上記の実施例において、例えば、レジスト膜用処理セルC3の主搬送機構10Bが基板載置部PASS3に置かれた基板Wを受け取るための動作に移行したときに、セルC3のセルコントローラCT3がメインコントローラMC(図9参照)を介して、隣接する反射防止膜処理セルC2のセルコントローラCT2に基板Wの受け取り予告情報を送ることにより、セルコントローラCT2は基板載置部PASS3に基板Wがないことを予測することができる。このような予測に基づいて基板搬送を開始することにより、基板搬送の効率を高めることができる。
(3)同様に、上記実施例の搬送可能条件(c)「搬送経路上の処理部が基板の入れ換え可能状態になっていること」に代えて、「主搬送機構が搬送経路上の処理部の前に基板を移送したときに、その処理部が基板の入れ換え可能状態になっていることが予測されること」を条件としてもよい。各セルのセルコントローラは、各セル内の処理部における処理を時間管理しているので、各処理部における処理の終了時刻を予測することができる。具体的には、上記の実施例において、各セルの主搬送機構10の1搬送工程に要する時間は約4秒であるので、例えば入口基板載置部に置かれた基板Wを次の処理部に搬送するのに最低でも4秒を要する。したがって、あるセルにおいて搬送可能条件の成立を判定するときに、その処理部における基板処理が終了していなくても、例えば4秒後に処理の終了が予測される場合に、入口基板載置部にある基板Wを受け取って次の処理部に向かうようにすれば、主搬送機構がその処理部に向き合うと略同時に基板処理が終了していることになる。その結果、基板Wの処理が終わると直ぐに基板Wを入れ換えることができ、基板搬送の効率を高めることができる。
(4)上記実施例では、各処理セルC2〜C5は、各々4つに基板載置部(すなわち、送り用入口基板載置部、戻り用入口基板載置部、送り用出口基板載置部、戻り用出口基板載置部)を備えていたが、少なくとも1つの処理セルが、さらに別の入口基板載置部と出口基板載置部とを備えていてもよい。例えば、図12に示した基板処理装置は、反射防止膜用処理セルC2が、送り用入口基板載置部PASS1、戻り用入口基板載置部PASS4、送り用出口基板載置部PASS3、戻り用出口基板載置部PASS2の他に、別の入口基板載置部PASS6と出口基板載置部PASS5とを備えている。この反射防止膜用処理セルC2に基板載置部PASS3、PASS4を共用するように現像処理セルC4が隣接するとともに、基板載置部PASS5、PASS6を共用するようにレジスト膜用処理セルC3が隣接している。この例によれば、反射防止膜用処理セルC2で処理された基板Wは、出口基板載置部PASS5を介してレジスト膜用処理セルC3に送られ、このセルC3で処理された基板Wが入口基板載置部PASS6を介して反射防止膜用処理セルC2に戻され、さらに基板載置部PASS3を介して現像処理セルC4に送られる。現像処理された基板Wは、基板載置部PASS4を介して反射防止膜用処理セルC2に戻された後、レジスト膜用処理セルC3を介さずに直接にインデクサセルC1に戻される。このように少なくとも1つの処理セルに、6つの、あるいはそれ以上の基板載置部を設けると、処理セルの配置の自由度を向上させることができる。
(5)第1〜第4の主搬送機構10A〜10Dは、それぞれ2つの保持アーム10a、10bを備えていたが、単一の保持アーム、あるいは3つ以上の保持アームを備えるものであってもよい。
(6)実施例では、露光後加熱用処理セルC5を、現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とに跨って配設したが、露光後加熱用処理セルC5を独立したブロック(個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられた要素)として構成してもよい。
(7)実施例では、反射防止膜用処理ブロック2とレジスト膜用処理ブロック3とを個別に設けたが、単一の処理ブロックで反射防止膜塗付処理とレジスト膜塗付処理を行うようにしてもよい。また、反射防止膜の塗布処理が不要である場合は、反射防止膜用処理ブロック2を備えなくてもよい。