上記のように従来のものも対をなす施療子が近接・離間して肩を掴み揉みする構造のものは存在するが、いずれも一定の掴み揉みの動作しかしないものである。例として対の施療子の離間にエアバックによる発生力を利用するものは、近接時はエアの排気とバネによる力を利用しており、離間する方向に強弱可変の抵抗力を与えることはできず、一定の動作を行うのみである。
また偏心傾斜を有する回転軸を回転することでマッサージ機の揉み動作に加えて、対をなす施療子が近接・離間することを実現しているマッサージ機が存在しているが、施療子の動作は一定の軌跡上を動くのみであり、またその軌跡上でモータの回転数で速度を変化することはできるが、対をなす施療子が近接する力を変化させたり、また離間する方向に強弱可変の抵抗力を与えたりすることができず、一定の動作を行うのみである。また施療子間を離間した状態を保持した状態で施療できないので、人手での手を広げた状態でさするような施療等ができない。
その他、対をなす施療子が近接・離間して肩を掴み揉みする構造の従来例である特許文献2乃至特許文献4等も、上記の例と同じく離間する方向に強弱可変の抵抗力を与えることができず、一定の動作を行うのみである。
また上記のように施療子の近接・離間の動作が一定の動作になってしまうだけでなく、対の施療子が近接・離間する構造の弱点として、施療子を離間した状態での施療を行う場合(人手での手を広げた状態のさすり施療等)には、人体からの反力、或いはマッサージ機の表面に存在する生地との摩擦により、ねらいとは反して施療子間が近接してしまう可能性がある。これを解決する手段として、施療子間を離間した状態で保持するための力を大きく設定する(例えば、バネ力)ことは可能であるが、その場合には、施療子間を近接する時の発生力が弱くなり、人体への掴み動作(例えば肩掴み)での発生力は物足りないものとなってしまう。あるいは、それを防ぐために、さらに近接するために発生力を大きくすることはマッサージ機の複雑化、大型化を引き起こし、実現は困難である。このため、従来の施療子の近接・離間動作を持つ構造では、施療子間を広げた状態を維持して人体への施療を行うことができなかった。
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、人手のようなハンド型施療部を備えたマッサージ機において対をなした施療子が掴むように近接駆動する方向とは相反する方向に強弱可変の抵抗力を与えることができて変化のあるマッサージができるようにすることを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の請求項1のマッサージ機は、施療子アームブロックに取り付けた第1施療子と第2施療子を近接離間する方向に施療子駆動部にて駆動することにより、対となる第1施療子と第2施療子を揉み玉として揉みマッサージをするマッサージ機において、第1施療子を備えた第1アームと第2施療子を備えた第2アームとを、施療子支持部材に軸着させ、第1アームが有する受け部と第2アームが有する受け部との間に伸縮自在な上記施療子駆動部を介装し、第2アームが有する上記受け部と第1アームが有する支持部との間には伸縮自在な抵抗力強弱可変部材を介装し、上記施療子駆動部と上記抵抗力強弱可変部材で第2アームの上記受け部を挟むことを特徴とする。
上記構成によれば、施療子の位置を変えるときは抵抗力強弱可変部材の抵抗力を小さくすることで施療子駆動部にて小さい力で施療子を駆動することができ、また施療子の位置を変えたくないときは抵抗力強弱可変部材の抵抗力を大きくすることで施療子の位置が変わらないように大きな力で保持できる。これにより、対の施療子を施療子駆動部で駆動して肩を掴むようなマッサージをしたり施療子位置を変えないでさするようなマッサージができ、施療者にメリハリのついたマッサージができる。
また本発明の請求項2のマッサージ機は、請求項1において、施療子駆動部で第1施療子と第2施療子を近接させるように駆動する動作を往路動作としたとき、上記抵抗力強弱可変部材を第1施療子または第2施療子の復路動作の駆動に用いたことを特徴とする。この場合、抵抗力強弱可変部材を施療子を戻す復路動作の駆動に用いることにより、他の復路駆動機構が不要になり、安価に構成することができる。
また本発明の請求項3のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材の力を、施療者の体の負荷で第1施療子または第2施療子が動かない力に設定したことを特徴とする。この場合、さするようなマッサージをしたりするため、対の施療子を近接させる方向に施療子が人体やマッサージ機の生地から負荷を受けやすいときも対の施療子の離間を保ったままのマッサージができる。
また本発明の請求項4のマッサージ機は、請求項1において、施療子駆動部で第1施療子と第2施療子を近接させるように駆動する動作を往路動作としたとき、施療子駆動部で往路動作するように力を加える際に抵抗力強弱可変部材にも力を入れるようにしたことを特徴とする。この場合、施療子駆動部の力と抵抗力強弱可変部材との力のバランスの採れた位置で施療子を止めることができ、近接した位置や離間した2つの位置以外でも施療子の位置を保持でき、マッサージ感覚を変化させることができる。
また本発明の請求項5のマッサージ機は、請求項1において、施療子駆動部で第1施療子と第2施療子を近接させるように駆動する動作を往路動作としたとき、往路駆動の力より抵抗力強弱可変部材の力を大きく設定できるようにしたことを特徴とする。この場合、抵抗力強弱可変部材で抵抗を加えた状態で施療子駆動部を駆動して力を加えた状態では施療子は移動しないが、この状態で抵抗力強弱可変部材の抵抗力を解除すると、施療子は一気に近接する方向に移動し、早い掴みを可能にすることができる。例えば、抵抗力強弱可変部材や施療子駆動部をエアバックとした場合、抵抗力強弱可変部材としてのエアバックの内圧を高めた後、施療子駆動部としてのエアバックの内圧を高めると、抵抗力強弱可変部材としてのエアバックの力を施療子駆動部としてのエアバックの力より強くしたため施療子は離間した位置に位置する。そこで、抵抗力強弱可変部材としてのエアバックのエアを一気に抜くと、施療子駆動部としてのエアバックが勢いよく伸びるため、通常のポンプの動作で施療子駆動部としてエアバックの内圧をゼロから上げるよりも施療子は近接する方向に早く駆動され、早く掴みに行くことができる。
また本発明の請求項6のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材にエアバックを用いたことを特徴とする。この場合、力の強弱が付けやすく安価で軽い部材にできる。
また本発明の請求項7のマッサージ機は、請求項1または請求項6において、 施療子駆動部で第1施療子と第2施療子を近接させるように駆動する動作を往路動作としたとき、この往路動作を行わせるように駆動する施療子駆動部にエアバックを用いたことを特徴とする。施療子の移動方向への伸び縮みが比較的容易で、且つ安価で軽い機構部にできる。
また本発明の請求項8のマッサージ機は、請求項1において、施療子の移動を円運動としたとき、抵抗力強弱可変部材の位置と施療子駆動部の位置とが、円運動の支点を中心とする同一半径上に位置するようにしたことを特徴とする。この場合、抵抗力強弱可変部材と施療子駆動部とを略同じ力関係の位置に配置することで梃子の原理による腕の長さが略同じとなり、エアバックを含めたアクチュエータの伸びのストロークを大きくとらなくて済み、スペースが小さくて済む。
また本発明の請求項9のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材に形状記憶合金のばね部材を用いたことを特徴とする。この場合、抵抗力強弱可変部材の駆動音を小さくできる。
また本発明の請求項10のマッサージ機は、請求項1または請求項9において、第1施療子と第2施療子とを近接させるように往路駆動する施療子駆動部に形状記憶合金のばね部材を用いたことを特徴とする。この場合、施療子駆動部の駆動音を小さくできる。
また本発明の請求項11のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材の抵抗力のみの制御で施療子の移動速度を制御したことを特徴とする。例えば、抵抗力強弱可変部材や施療子駆動部をエアバックとした場合、施療子駆動部としてのエアバックの内圧を所定の状態に維持した状態でも抵抗力強弱可変部材としてのエアバックの内圧を変えることで施療子の移動速度を変えることができて施療子の移動速度を早くすることができ、流量の少ない比較的小型で安価のポンプを用いても、流量の多い比較的大型で高価なポンプと同じ効果が得られて速い掴みができる。
また本発明の請求項12のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材の抵抗力及び施療子駆動部の往路駆動力の制御で施療子の移動速度を制御したことを特徴とする。例えば、抵抗力強弱可変部材や施療子駆動部をエアバックとした場合、抵抗力強弱可変部材としてのエアバック及び施療子駆動部としてのエアバックの内圧を変えることで施療子の移動速度を変えることができて請求項11のものより施療子の移動速度をさらに早くすることができ、流量の少ない比較的小型のポンプを用いても、流量の多い比較的大型で高価なポンプと同じ効果が得られて速い掴みができる。
また本発明の請求項13のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材の抵抗力のみの制御で施療子の移動する力を制御したことを特徴とする。この場合、肩等を掴んだ後、強く掴み過ぎないように抵抗力を増して力を制御したりできる。
また本発明の請求項14のマッサージ機は、請求項1において、抵抗力強弱可変部材の抵抗力及び施療子駆動部の往路駆動力の制御で施療子の移動する力を制御したことを特徴とする。この場合、請求項13のものより、更に施療子の力の調整範囲に幅を持たせることができる。
本発明は叙述の如く対の施療子を施療子駆動部で駆動して肩を掴むようなマッサージをしたり施療子位置を変えないでさするようなマッサージができ、施療者にメリハリのついたマッサージができるという効果がある。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図2に示すものは本発明マッサージ機における機構ユニット、この機構ユニットは例えば図7に示すように椅子9の背もたれ90内に配されて背もたれ90内を上下に自走するものであり、フレームを構成する左右の側板91,91間には上下駆動軸51と強弱駆動軸61が架設されており、図3に示すところの可動ユニットが両側板91、91間に配設されている。
上記の上下駆動軸51は図4にも示すように一方の側板91に固定された上下駆動用モータ50の出力がギアボックス52内のギア群を介して伝達されることで回転駆動されるものであり、その両端にはピニオン53ところ54がそれぞれ取り付けられている。ころ54は図2に示すころ55と共に上記背もたれ90に配されたレール内を転動し、ピニオン53はレールに付設されたラック(図示せず)と噛合する。
上記の強弱駆動軸61は図5にも示すように他方の側板91に固定された強弱駆動用モータ60の出力がギアボックス62内のギア群を介して伝達されることで回転駆動されるものであり、その両端部には夫々上記可動ユニットを回転させるためのギア63,63が取り付けられている。
可動ユニットは、左右一対のギアプレート30,30間に幅駆動軸31と2本のスライドガイド軸32,32及びたたき駆動軸41を架設すると共に、左右一対の施療子アームブロック1,1(図2及び図3では一方の施療子アームブロック1のみを示している)を取り付けたものである。両ギアプレート30,30に対して軸回りの回転が自在となっている幅駆動軸31の両端が上記一対の側板91,91で支持されることで上記両側板91,91間に配設され、ギアプレート30,30の外周面の歯部300,300を上記のギア63,63に噛合させてある。なお、幅駆動軸31の一端は、一方の側板91に取り付けた幅駆動用のモータ35の出力がプーリ36及びベルト37を介して伝達されるプーリ38に連結されるものであり、このため幅駆動軸31は幅駆動用モータ35の出力で軸回りの回転を行うようになっている。
また可動ユニットにおける一方のギアプレート30上にはたたき駆動用のモータ40が取り付けられている。このモータ40の出力はプーリとベルト43によって上記たたき駆動軸41に伝達されるようになっている。なお、たたき駆動軸41は左右で偏心方向が異なるクランク軸として形成されている。
施療子アームブロック1は図6に示すように施療子支持部材としてのアームベースプレート10、第1アーム13、第2アーム14、ローラ型の第1施療子1a及び第2施療子1b等からなるもので、アームベースプレート10は上記幅駆動軸31のねじ部に螺合する送りナット33と、上記スライドガイド軸32にスライド自在に嵌合するスライダー34,34を備えており、幅駆動軸31の回転によって幅駆動軸31及びスライドガイド軸32の軸方向の位置を変化させるものであり、また幅駆動軸31に形成されたねじ部は、片側が逆ねじで形成されていることから、左右一対の施療子アームブロック1におけるアームベースプレート10,10は、幅駆動軸31の回転によって互いに近接したり、離れたりするものである。
また第1施療子1aを備えた第1アーム13と第2施療子1bを備えた第2アーム14は同じ軸100にて直接アームベースプレート10に軸着してある。またたたき駆動軸41の一端を連結したリンク45はその他端は第1アーム13に連結しているのであるが、他端の軸は第1アーム13に設けた長孔48に係合させることで上記揺動を妨げることがないようにしてある。
後述する施療子駆動部Aの一例としてのエアバック21は第1アーム13の受け板20aと第2アーム14の受け板20bとの間に介装されており、第1施療子1aと第2施療子1bとを近接させる方向に駆動できるようになっている。また後述する抵抗力強弱可変部材Bの一例としてのエアバック22は第2アーム14の受け板20bと第1アーム13の支持部20cとの間に介装されており、第1施療子1aと第2施療子1bが離間するように付勢するようになっている。またフロート手段Cとしてのエアバック23はリンク45と第1アーム14との間に介装してあり、このエアバック23にて第1,第2施療子1a,1bが体に接触するようにばね付勢してある。なお、図中95は上記エアバック21,22,23を作動させるためのエアポンプや電磁弁を納めたエア駆動ユニットである。
以上のように構成されたマッサージ機の動作について説明すると、まず、上下駆動用モータ50で上下駆動軸51を駆動する時、可動ユニットは前述の椅子の背もたれ内を上下に自走して施療子1a,1bの位置を上下に変更する。また強弱駆動用モータ60で強弱駆動軸61を駆動すれば、強弱駆動軸61が備えるギア63がギアプレート30を幅駆動軸31の軸回りに回転させるために、ギアプレート30と一体にアームベースプレート10が回転するものであり、施療子1aの背もたれ前方への突出量が小さい状態と、施療子1aの前方突出量が大きい状態とを得ることができる。つまり、施療子1aの前方突出量を変化させることによる強弱調整を行うことができる。また幅駆動用モータ35によって幅駆動軸31を回転させる時、前述のように左右一対の施療子アームブロック1,1は幅方向(左右方向)において近接・離間し、左右の施療子1a,1b、1a,1bの間隔を変更する。
ちなみにこのマッサージ機は、上記3つのモータ50,60,35による各動作を組み合わせることで、いわゆる揉みマッサージを実現している。なお、このような揉みマッサージを行う駆動制御を可能にするために、上下位置センサーS2や幅位置センサーS1などのほか、図8に示すように、強弱位置、各モータの回転速度(回転角度)等を検出するセンサを設けてフィードバック制御を行っている。図8中の8はマイクロコンピュータからなる制御回路である。
また施療子駆動部Aを駆動すると、軸100を中心として第1アーム13に対して第2アーム14が回動して施療子1a,1bが近接したり離間したりて移動して施療子1a,1b間に肩等を掴む揉みマッサージができる。
ところで、図1に示す本発明の実施の形態の一例では施療子駆動部Aとしてエアバック21を用いており、エアバック21は第1アーム13の受け板20aと第2アーム14の受け板20bとの間に介装されており、第1施療子1aと第2施療子1bとを近接させる方向に駆動できるようになっている。また本発明では施療子駆動部Aで駆動する方向と反対方向に強弱可変に抵抗力を加える抵抗力強弱可変部材Bを設けてある。本例の場合抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を用いており、エアバック22は第2アーム14の受け板20bと第1アーム13の支持部20cとの間に介装されており、第1施療子1aと第2施療子1bが離間するように付勢するようになっている。このエアバック22はエアを供給して伸張させることにより大きな抵抗力を加えることができ、エアを抜いて収縮させることにより抵抗力を加えるようになっている。
抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22にエアを供給してエアバック22を伸張させたときは抵抗力が大きくなり、第2施療子1bに外力が加わっても位置が変わらないように大きな力で保持され、図1(a)のような離間状態が維持される。エアバック22のエアを抜いて収縮させたときは抵抗値が小さくなり、施療子駆動部Aとのエアバック21にエア供給して伸張させることにより第2施療子1bと一緒に第2アーム14を移動させて図1(b)に示すように第1施療子1aと第2施療子1bとを殆ど抵抗なしに近接させて肩等を掴むことができる。従って施療子1bの位置を変えたくないときは抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の抵抗力を大きくすることで施療子1bの位置が変わらないように大きな力で保持でき、施療子1bの位置を変えるときは抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の抵抗力を小さくすることで施療子駆動部Aとしてのエアバック21にて小さい力で施療子1bを駆動することができ、これにより、施療子1bを施療子駆動部Aとしてのエアバック21で駆動して肩を掴むようなマッサージをしたり施療子1bの位置を変えないでさするようなマッサージができ、施療者にメリハリのついたマッサージができる。
また図1の実施の形態の例の場合、施療子駆動部Aとしてのエアバック21で第1施療子1aと第2施療子1bを近接させるように駆動する往路動作を行わせるようになっており、上記抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22は第1施療子1aと第2施療子1bを離間させる復路動作の駆動に用いることができるようになっている。つまり一対の施療子1a,1bを近接させる往路駆動するときはエアバック21にエアを供給して伸張させると共にエアバック22からエアを抜いて収縮させ、逆に一対の施療子1a,1bを離間させる復路駆動をするときはエアバック21からエアを抜いて収縮させると共にエアバック22にエアを供給して伸張させるようになっている。この場合、抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を施療子1bを戻す復路動作の駆動に用いることにより、他の復路駆動機構が不要になり、安価に構成することができる。
ところで、第1施療子1aと第2施療子1bを離間した状態で上記のような抵抗力強弱可変部材Bで抵抗力を加えないで第2施療子1bが近接方向に動くようにしていると、図9に示すように施療子アームブロック1を上から下に移動させるとき、人体や生地の負荷で第2施療子1bが第1施療子1aに近接する方向(上方向)に移動し、正常なさすりマッサージができない。そこで本発明では、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の力を、施療者の体の負荷で第2施療子1bが動かない力に設定してある。この場合、さするようなマッサージをしたりするため、対の施療子1a,1bを近接させる方向に施療子1bが人体やマッサージ機の生地から負荷を受けやすいときも対の施療子1a,1bの離間を保ったままのマッサージができる。
また抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の有効受圧面積(力=内圧×有効受圧面積)を、往路駆動側のエアバック21の有効受圧面積より大きくなるように設定することも好ましい。つまり、往路駆動の力より抵抗力強弱可変部材Bの力を大きく設定できるようにしてある。この場合、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の内圧を高めた後、施療子駆動部Aとしてのエアバック21の内圧を高めると、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の力を施療子駆動部Aとしてのエアバック21の力より強くしたため施療子1a,1bは離間した位置に位置する。そこで、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22のエアを一気に抜くと、施療子駆動部Aとしてのエアバック21が勢いよく伸びるため、通常のポンプの動作で施療子駆動部Aとしてエアバック21の内圧をゼロから上げるよりも施療子1bは近接する方向に早く駆動され、早く掴みに行くことができる。
また施療子駆動部Aとしてエアバック21を用いると共に抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を用い、エアバック21に力を入れた状態でエアバック22にも力を入れる制御を行うことで第2施療子1bの位置を途中で止めることも好ましい。つまり、エアバック21やエアバック22にエアを供給して加圧する力を制御することにより図10の想像線に示すような最も近接した位置と最も離間した位置との間の途中の任意の位置で止めることができる。この場合、一対の施療子1a,1bが近接した位置や離間した2つの位置以外でも施療子1a,1bの位置を保持でき、マッサージ感覚を変化させることができる。
また、抵抗力強弱可変部材Bにエアバック22を用いると、力の強弱が付けやすく安価で軽い部材にできる。またこのとき施療子駆動部Aにエアバック21を用いると、施療子1bの移動方向への伸び縮みが比較的容易で、且つ安価で軽い機構部にできる。
次に図11に示す実施の形態の例について述べる。本例の場合、第1施療子1aを有する第1アーム13と第2施療子1bと有する第2アーム13とがアームベースプレート10に別々の軸100′,100″にて回転自在に連結されており、第1施療子1aと第2施療子1bの両方が移動して近接離間するようになっている。そして各施療子1a,1bに施療子駆動部Aとしてのエアバック21と抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22とをそれぞれ設けてある。この場合、図11(a)に示すように対の施療子1a,1bの両方を離間する方向に移動させたり、片方を近接する方向に移動させたり、図11(b)に示すように両方を近接する方向に移動させたりすることで施療子1a,1bの間隔を大きく変化させることができ、且つ掴み動作についても、間隔が大きく変わることにより掴みストロークが長く取れ、肩の厚みの厚い人でも肩を掴むことができる。
また、施療子1a,1bの移動を円運動としたとき、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の位置と施療子駆動部Aとしてのエアバック21の位置とが、図12に示すように円運動の支点(軸100)を中心とする同一半径R上に位置するようにしたことも好ましい。この場合、抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22と施療子駆動部Aとしてのエアバック21とを略同じ力関係の位置に配置することで梃子の原理による腕の長さが略同じとなり、エアバック21,22を含めたアクチュエータの伸びのストロークを大きくとらなくて済み、スペースが小さくて済む。
次に図13に示す実施の形態の例について述べる。本例の場合、往路駆動する施療子駆動部Aとしてエアバック21を用いているが、抵抗力強弱可変部材Bとして形状記憶合金のばね部材22′を用いている。この形状記憶合金のばね部材22′は電流を流すと温度が変わりばね定数が変化する。抵抗力強弱可変部材Bとしての形状記憶合金のばね部材22′のばね力を強くして抵抗力を大きくすると、図13(a)のように第2施療子1bを離間状態に強く保持できる。また形状記憶合金のばね部材22′のばね力を弱くして抵抗力を小さくすると、エアバック21にて図13(b)に示すように駆動して一対の施療子1a,1bを近接させることができる。またこの形状記憶合金のばね部材22′は復路動作の駆動にも用いることができる。このように抵抗力強弱可変部材Bに形状記憶合金のばね部材22′を用いると、抵抗力強弱可変部材Bの駆動音を小さくできる。
次に図14に示す実施の形態の例について述べる。本例の場合、第1施療子1aと第2施療子1bとを近接させるように往路駆動する施療子駆動部Aに形状記憶合金のばね部材21′を用いている。この形状記憶合金のばね部材21′も電流を流すと温度が変わりばね定数が変化する。本例の場合、抵抗力強弱可変部材Bとしても形状記憶合金のばね部材22′を用いている。この場合も、形状記憶合金のばね部材21′と形状記憶合金のばね部材22′の動作にて図14(a)のように一対の施療子1a,1bを近接させたり、図14(b)のように一対の施療子1a,1bを離間させたりできる。このように施療子駆動部Aとして形状記憶合金のばね部材22′を用いると、施療子駆動部Aの駆動音を小さくできる。
次に図15に示す実施の形態の例について述べる。本例の場合、抵抗力強弱可変部材Bとして機械式ロック機構24を用いている。この機械式ロック機構24はソレノイド24aであり、通電のオンオフでピン24bが出入りするようになっており、ピン24bが出たときにピン24bの先端が第2アーム14の受け板20bに当たるようになっている。
そして、第1施療子1aと第2施療子1bとを離間した状態でピン24bを突出させてピン24bを受け板20bに当てると、図15(a)に示すように第2施療子1bが動かないように保持される。またピン24bを引っ込めて受け板20bから離し、施療子駆動部Aとしてエアバック21を作動させると、図15(b)に示すように一対の施療子1a,1bが近接するように駆動される。このように機械的に止める機械式ロック機構24を備えていると、抵抗力強弱可変部材Bとしての抵抗値を材料の破壊強度まで高めることが可能になり、機械式ロック機構24が金属ならば、小さいスペースで大きな抵抗力を与えることができる。
次に図16,図17に示す実施の形態の例について述べる。本例も図15に示す例と基本的に同じであるが、次の点が異なる。本例の場合も機械式ロック機構24はソレノイド24aであり、ピン24bが出入りするようになっているが、ピン24bをエアバック21の伸縮方向と直交する方向に透孔24cを介して抜き差しするようになっている。
そして第1施療子1aと第2施療子1bとを離間した状態でピン24bを突出させてピン24bを受け板20bに当てると、図16(a)図17(a)に示すように第2施療子1bが動かないように保持される。またピン24bを引っ込めて受け板20bから離し、施療子駆動部Aとしてエアバック21を作動させると、図16(b)、図17(b)に示すように一対の施療子1a,1bが近接するように駆動される。この場合、ピン24bを差したときロックされ、ピン24bを抜いたときロックが解除される構造となり、機械式ロック機構24を安価且つ単純な構造で実現することができる。
また上記実施の形態の例の場合、施療子1bの移動を円運動としたとき、ピン24bを抜き差しする位置が施療子駆動部Aとしてエアバック21の位置より円運動の支点から離れている。この場合、梃子の原理により、より離れた位置にピン24bを配置することで、ピン24b径を小さくできてより安価で小型化できる。
また図1に示すように施療子駆動部Aとしてエアバック21を用い、抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を用い、エアバック21とエアバック22とを直列に連結したもので揉み動作するときに、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の抵抗力のみの制御で施療子1bの移動速度を制御することも好ましい。つまり、図18に示すようにエアバック21へのエアの給排気を停止した状態で、エアバック22だけ給排気してエアバック22の内圧を制御することにより施療子1bの移動速度を制御して施療子1bに接近させたり施療子1bを離間させたりする動作させることができる。このようにエアバック22への給排気だけで内圧を変えることにより施療子1bの移動を制御した場合、施療子1bの移動速度を早くすることができ、流量の少ない比較的小型で安価のポンプを用いても、流量の多い比較的大型で高価なポンプと同じ効果が得られて速い掴みができる。
また図1に示すように施療子駆動部Aとしてエアバック21を用い、抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を用い、エアバック21とエアバック22とを直列に連結したもので揉み動作するときに、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の抵抗力及び施療子駆動部Aのエアバック21の往路駆動力の制御で施療子1bの移動速度を制御することも好ましい。つまり、図19に示すようにエアバック21に給排気して内圧を制御すると共にエアバック22にも給排気して内圧を制御することにより施療子1bを近接させたり離間させたりする動作をさせることができる。このときエアバック21から排気すると同時にエアバック22に給気すると急速離間することができ、またエアバック22から排気すると同時にエアバック21に給気すると急速接近させることができる。これにより施療子1bの移動速度をさらに早くすることができ、流量の少ない比較的小型のポンプを用いても、流量の多い比較的大型で高価なポンプと同じ効果が得られて速い掴みができる。
また図1に示すように施療子駆動部Aとしてのエアバック21を用い、抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を用い、エアバック21とエアバック22とを直列に連結したもので揉み動作するときに、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の抵抗力のみの制御で施療子1bの移動する力を制御したことを特徴とすることも好ましい。つまり、図20に示すようにエアバック21へのエアの給排気を停止した状態で、エアバック22だけ給排気してエアバック22の内圧を制御することにより施療子1bの移動する力を制御して掴み力を変えることができる。この場合、肩等を掴んだ後、強く掴み過ぎないように抵抗力を増して力を制御したりできる。
また図1に示すように施療子駆動部Aとしてエアバック21を用い、抵抗力強弱可変部材Bとしてエアバック22を用い、エアバック21とエアバック22とを直列に連結したもので揉み動作するときに、抵抗力強弱可変部材Bとしてのエアバック22の抵抗力及び施療子駆動部Aとしてのエアバック21の往路駆動力の制御で施療子1bの移動する力を制御することも好ましい。つまり、図21に示すようにエアバック21に給排気して内圧を制御すると共にエアバック22にも給排気して内圧を制御することにより掴む力を変えることができる。この場合、上記のものより更に掴むの力の調整範囲に幅を持たせることができる。