JP4255891B2 - タンパク質の結晶化方法 - Google Patents

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Description

本発明は微量液体秤取構造を用いるタンパク質の結晶化方法に関する。さらに詳細には、本発明は各種サンプルを用いた分析や化学反応を行う際などに用いるのに好適な微量液体秤取構造及び該構造を基板内に有するマイクロチップを用いるタンパク質の結晶化方法に関する。
従来、電気泳動やクロマトグラフィーなどにより分析を行うための各種装置が知られており、こうした装置においては、使用するサンプルなどの液体を定量的に秤取することにより、正確な分析結果を得ることができるものである。
このため、こうした電気泳動やクロマトグラフィーなどに用いられる各種装置において、サンプルなどの液体を定量的に秤取するための手法が各種提案されている。例えば、特許文献1には、マイクロチップ電気泳動装置が記載されており、また、特許文献2には流体物質混合物の電気泳動分離のための装置及び方法が記載されている。しかし、これら従来技術のいずれの方法においても実際に分析に必要な量以上のサンプルが必要になってしまい、サンプルのデッドボリュームを減らすことができないという問題があった。
さらに、微量なサンプルなどの液体を用いた化学反応や分析においては、微小なチップにより構成されるマイクロチップが用いられることがある。こうしたマイクロチップを用いる場合にも、使用するサンプルなどの液体を定量的に秤取することにより、正確な結果が得られるものであるが、マイクロチップを用いた分析においては、取り扱うサンプルなどの液体の体積が極めて小さいために、液体を定量的に秤取することが難しく、そのための各種複雑な構成が必要となり、その構成を扱うための操作が煩雑になるという問題点があった。
一方,従来,タンパク質の結晶化の方法として,バッチ法,透析法,蒸気拡散法,ゲル法などが知られていた。しかし,これらの方法は,いずれも大量のタンパク質を必要とするという問題を有し,特に結晶化条件が未知のタンパク質の結晶化条件を探索する際には,膨大なタンパク質を必要とするという問題を有していた。
また,使用するタンパク質の量を減らすために,インクジェット(例えば、非特許文献1参照)あるいはエレクトロスプレー(例えば、特許文献3参照)などでタンパク質溶液を分注し,タンパク質の結晶化条件を探索する試みが知られていた。しかし,この方法では,液滴が空気中に露出しているため,液滴が蒸発し,乾固あるいは濃縮が起こるという問題を有していた。
さらに,マイクロチャネルデバイスを用いて,層流中で結晶を生成させる試み(例えば、特許文献4参照)あるいは温度制御を厳密に行って結晶を得る試み(例えば、非特許文献2参照)が知られていた。しかし,この方法では,反応場は微小で反応制御にも優れているが,タンパク質溶液の結晶化部位までの導入方法が,従来の手段と同様であり,デッドボリュームの割合が極めて大きいという問題を有していた。
特開平10−148628号公報(図1及び図2参照) 特開平7−198680号公報(図1及び図2参照) 国際公開第WO01/92293号パンフレット 米国特許第6409832号明細書 「ジャーナル・オブ・アップライド・クリスタログラフィー」(Journal of Applied Crystallography )(2002),35,p.278−281 「アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)」(2002),74,p.3505−3510
従って、本発明の目的は、単純な構成により、簡単な操作のみで微量な液体を定量的に秤取することができるようにした微量液体秤取構造を用いるタンパク質の結晶化方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、定量的な液体の扱いが必要とされる各種装置において、サンプルのデッドボリュームを減らすことができるとともに、装置全体の省スペース化と低コスト化とを実現することができるようにした微量液体秤取構造を用いるタンパク質の結晶化方法を提供することである。
前記課題は本発明で用いる微量液体秤取構造により解決される。本発明で用いる微量液体秤取構造は、液体の表面張力に着目し、液体が流路に対して起こす毛細管現象(毛管斥力)を利用してなされたものである。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第1の実施態様によれば、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路ならびに第2の流路と、前記第1の流路の流路壁に開口する第3の流路と、前記第2の流路の流路壁に開口して前記第3の流路の一端と前記第2の流路を連結し、濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有し他の3本の流路より細い第4の流路を有し、前記第1の流路に導入された液体が、前記第1の流路の流路壁において開口する前記第3の流路の開口部を介して前記第3の流路内に引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記液体を取り除き、前記第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取することを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第2の実施態様によれば、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路ならびに第2の流路と、前記第1の流路の流路壁に開口する第3の流路と、前記第2の流路の流路壁に開口して前記第3の流路の一端と前記第2の流路を連結し、濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有し他の3本の流路より細い第4の流路とを有し、前記第1の流路に導入された液体が、前記第1の流路の流路壁において開口する前記第3の流路の開口部を介して前記第3の流路内に引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記液体を取り除き、前記第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取する系を少なくとも2つ有し、前記第1の流路または前記第2の流路を共有することを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第3の実施態様によれば、前記第3の流路に前記第4の流路が2つ以上接続している、あるいは、前記第4の流路が2つ以上に分岐していることを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第4の実施態様によれば、前記第3およびこれに接続する第4の流路が複数組形成されていることを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第5の実施態様によれば、前記第4の流路の流路壁に開口し、前記第4の流路より細いか同じ太さで、濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有する流路壁からなる第5の流路を更に有することを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第6の実施態様によれば、前記第2の流路は、該流路の一部に、該流路の通常の流路幅よりも狭い流路幅を有する狭隘流路部分を有し、該狭隘流路部分は通常の流路幅部分よりも濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有することを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第7の実施態様によれば、前記第3の流路の容積に応じた体積で秤取された液体を、前記第4の流路を介して前記第2の流路に流出させる流出手段を更に有することを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第8の実施態様によれば、前記第4の流路の開口部近傍の前記第2の流路が液体で満たされている場合に、前記第3の流路の容積に応じた体積で秤取された液体を、前記第4の流路を介して前記第2の流路に流出させる流出手段を更に有することを特徴とする。
本発明で用いる微量液体秤取構造の第9の実施態様によれば、前記第1の流路、前記第2の流路、前記第3の流路、前記第4の流路及び前記第5の流路はそれぞれ、基板上に形成されたチャネルであることを特徴とする。
本発明は、上記特徴を有する微量液体秤取構造又は該構造が形成されているチップを用いるタンパク質の結晶化方法である。
以上説明したように、本発明で用いる微量液体秤取構造は、単純な構成により、簡単な操作のみで微量な液体を定量的に秤取することができるようにした微量液体秤取構造である。更に、本発明で用いる微量液体秤取構造は、定量的な液体の扱いが必要とされる各種装置において、サンプルのデッドボリュームを減らすことができるとともに、装置全体の省スペース化と低コスト化とを実現することができるようにした微量液体秤取構造である。
即ち、本発明で用いる微量液体秤取構造は、マイクロチャネル内で、液体を微量かつ定量的に秤取できるため、観察や測定、混合、相変化、反応などを微量化できる。また、サンプルのデッドボリュームが小さく、特に第1の流路に第3の流路が複数接続している場合に、デッドボリュームが飛躍的に小さくできる。また、秤取された液体が外気と接触している面積が小さく、蒸発による乾固あるいは濃縮などが起こりにくいという利点もある。さらに、単純な構成により簡単な操作のみで液体を秤取し、かつその後も容易に液体操作が可能であるため、装置全体の省スペース化と低コストとを実現することができる。
上記した特長を有する微量液体秤取構造及びそれを備えたマイクロチップは、タンパク質の結晶化に特に好適に用いることができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明で用いる微量液体秤取構造の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)、図1(b)及び図1(c)には、本発明で用いる微量液体秤取構造の原理を説明するための概念説明図が示されている。4本の流路A(第1の流路)、流路B(第2の流路)、流路C(第3の流路)及び流路D(第4の流路)は、流路A、流路Bの間に流路Aの側から流路Bに向かって流路C、続いて流路Dが直列に橋渡しをするような構造を有する。流路Aを介して流路Cに液体を導入する。濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)流路壁を有する流路Dは他の流路より細いために、導入するためにより大きな力を必要とするため、適当な圧力を液体に付与すれば、流路Cと流路Dの境界面c2において、液体を停止させることができる(図1(a)および図1(b)参照)。
本明細書において、「濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質」とは、液体が流路Cに引き込まれた時に、そのままの圧力では流路Dを通過する事が出来ず、液体が停止する流路の性質を意味する。
より詳細には、流路Aに液体100(図1における網掛け領域参照)を導入した場合、流路Aの流路壁aaにおいて開口する細い流路Cの開口部c1を介して、液体100を流路Cに導入することができる。流路Aおよび流路Cが濡れやすい(又は毛管引力の働きやすい)性質の流路壁を有する場合は、流路Aより流路Cを細くしておけば、液体100はより強い毛管引力により流路Aの流路壁aaに開口する流路Cの開口部c1を介して流路Cに自発的に引き込まれる。流路Aおよび流路Cが濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質の流路壁を有する場合は、流路Aの端面より液体100に適当な圧力を付与することにより流路Cに液体100を導入することができる(図1(b)参照)。
この際、流路D(c2とd1の間の流路区間)の流路C側の端面c2まで到達した液体100は、濡れにくい流路壁を有する流路Dの毛管斥力によってせき止められ、流路Dに入り込むことはない。流路Cが濡れにくい流路壁の場合にも、流路Cの毛管斥力よりも流路Dの毛管斥力の方が強いため、流路Dに液体100が入り込むことはない(図1(b)参照)。
続いて、流路A内に残留する液体100を、例えば、流路Aの両端部に適当な圧力差を生起させてより低圧側に移動させるなどし、流路A内の流路Cの開口部c1と接触しない位置に移動させるか又は流路A内から取り除く(図1(c)参照)。この際、流路C内の液体100は、通常、流路A内に戻って入り込むようなことはない(図1(c)参照)。その結果、流路C内の液体100の両端面たる端面100aと端面100bとが、流路Cの開口部c1ならびに流路Aに繋がる側の端面c2に位置するようになり、流路Cのc1とc2の区間の容積に応じた体積の液体の秤取が可能となる(図1(c)参照)。但し、液体の端面は、表面張力や接触角等の影響により開口部c1又はc2の端面にほぼ一致する程度で形成され、開口部c1又はc2の端面と正確に一致しないこともある。従って、流路Cのc1とc2の区間の容積に応じて秤取された液体の体積は、流路Cのc1とc2の区間の体積と正確に一致しないこともあり得る。
さらに、流路C内に秤取された液体は、流路Aの圧力が流路Bの圧力より僅かに大きくなるように、両流路間に適当な圧力差を生起させるなどして、流路Dおよびその開口部d1を介して、流路B内に導入することは容易である。その結果、この液体を空気圧によって移送するなどして、反応あるいは分析の目的で利用することも可能である。
本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第1の実施態様は、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路(流路A)ならびに第2の流路(流路B)と、上記第1の流路(流路A)の流路壁に開口する第3の流路(流路C)と、上記第2の流路(流路B)の流路壁に開口して上記第3の流路(流路C)の一端と上記第2の流路(流路B)を連結し、濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有し、他の3本の流路より細い第4の流路(流路D)とを有し、上記第1の流路に導入された液体が、上記第1の流路の流路壁において開口する上記第3の流路の開口部を介して上記第3の流路内に引き込まれた後、上記第1の流路に残存する上記液体を取り除き、上記第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取するようにしたものである。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第1の実施態様によれば、第1の流路から第3の流路内に液体を導入することにより、第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取することができるので、単純な構成により、簡単な操作のみで液体を定量的に秤取することができるとともに、サンプルのデッドボリュームの低減と装置全体の省スペース化と低コストとを実現することができる。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第2の実施態様は、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路(流路A)ならびに第2の流路(流路B)と、前記第1の流路(流路A)の流路壁に開口する第3の流路(流路C)と、前記第2の流路(流路B)の流路壁に開口して前記第3の流路(流路C)の一端と前記第2の流路(流路B)を連結し濡れにくい(毛管引力が働かない)性質を有し他の3本の流路より細い第4の流路(流路D)とを有し、前記第1の流路に導入された液体が、前記第1の流路の流路壁において開口する前記第3の流路の開口部を介して前記第3の流路内に引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記液体を取り除き、前記第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取する系を少なくとも2つ有し、上記の少なくとも2つの系は互いに、上記第1の流路または上記第2の流路を共有するようにしたものである(図2(a)および図2(b)参照)。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第2の実施態様によれば、2つの系が互いに第1の流路または第2の流路を共有するので、例えば、第1の流路を共有する2つの系のそれぞれにおいて同一の種類の液体を複数定量的に秤取すると、当該2つの系でそれぞれ秤取した異なる種類の液体とそれぞれの系の第2流路で合一、合一による希釈、合一による反応、合一後の反応による分析等を行うことができる(図2(a)参照)。また、反対に、例えば、第2の流路を共有する2つの系のそれぞれにおいて異なる種類の液体を定量的に秤取すると、当該2つの系で共有する第2の流路において、作成した複数の種類の液体の合一、合一による希釈、合一による反応、合一後の反応による分析等を行うことができる(図2(b)参照)。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第3の実施態様のように、第1の実施態様または第2の実施態様のいずれか1つの微量液体秤取構造において、上記第4の流路(流路D)が2つ以上の流路に別れている、あるいは、2つ以上に分岐していても良い(図3(a)参照)。こうすると、上記流路D内の流体の流速を、毛管斥力とは独立に調節することが可能になる。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第4の実施態様は、第1の実施態様、第2の実施態様または第3の実施態様のいずれか1つの微量液体秤取構造において、上記第3の流路(流路C)および上記第4の流路(流路D)が2組以上形成されているようにしたものである(図3(b)参照)。こうすると、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第4の実施態様によれば、複数組の上記第3の流路および第4の流路(例えば、図3(b)の流路Cと流路D、流路C’と流路D’および流路C”と流路D”)によって、複数の異なる体積の液体を定量的かつ並列的に秤取することができる。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第5の実施態様は、第1の実施態様、第2の実施態様、第3の実施態様または第4の実施態様のいずれか1つの微量液体秤取構造において、上記第4の流路(流路D)の流路壁に開口し上記第4の流路より細いか同じ太さで濡れにくい(毛管引力が働かない)性質を有する流路壁からなる第5の流路(流路E)を更に有するようにしたものである(図4参照)。
図4に第5の実施態様の微量液体秤取構造の原理を説明するための概念説明図が示されている。図4(a)に示したように、5本の流路A、流路B、流路C、流路Dおよび流路Eが、流路A、流路Bの間に流路Cと流路Dが直列に連結して橋渡しをするような構造を有している。流路Aから流路Cに液体を導入すると流路Dは濡れにくい(又は毛管引力の働かない)性質の流路壁を有するので、流路Cと流路Dの界面c2で液体は停止し、流路Dに液体を導入するには、さらに大きな力が必要となる。
太い流路Aに液体100(図4における網掛け領域参照)を導入した場合、流路Aの流路壁aaにおいて開口する細い流路Cの開口部c1を介して、液体100は流路C内に引き込まれる(図4(b)参照)。この現象は、上記流路B内の流路Dの開口部d1近傍に液体が充填されていない場合には、第1の実施態様、第2の実施態様、第3の実施態様および第4の実施態様のいずれか1つの微量液体秤取構造と同様の構造であるが、予め、流路Bに液体200(図4における灰色の領域)が導入されていた場合には、第1の実施態様、第2の実施態様、第3の実施態様および第4の実施態様のいずれか1つの微量液体秤取構造では、上記の液体100の流路Cへの導入は不完全な形で生起し完結しない。これは、流路C内に残存する気体の逃げ道がないためである。
第5の実施態様によれば、流路Bに液体200(図4における灰色の領域)が導入されていた場合には、流路Cへの液体100の導入に伴い、それまで流路内部にあった気体は、流路Dの流路壁に開口部e1を有する流路Eにパージされる(流路Eのe1とは反対側の端面は大気に開放されている)。(図4(b)参照)。この場合にも、流路Cと流路Dの間の端面c2まで到達した液体100は、濡れにくい(又は毛管引力の働かない)流路壁を有する流路D(c2とd1の間の流路区間)の毛管斥力によってせき止められ、流路Dに入り込むことはない(図4(b)参照)。
続いて、流路A内に残留する液体100を、例えば、流路Aの両端部に適当な圧力差を生起させてより低圧側に移動させるなどし、流路A内から取り除く。その結果、流路C(c1とc2の区間)の容積に応じた体積の液体の秤取が可能となる(図4(c)参照)。
さらに、流路C内に形成された液体は、流路Aの圧力が流路Bの圧力より僅かに大きくなるように両流路間に適当な圧力差を生起させるなどして、流路Dを介して、流路B内の液体200の中に導入することが可能となる。この際、流路Eの端面e1とは反対側の端面は閉じておく必要がある(図4(d)参照)。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第5の実施態様を用いれば、タンパク質の結晶化装置において、微量のサンプルや試薬の導入を定量的に行うための実際的な手法を提供することができる。
図5(a)及び(b)は、第6の実施態様の微量液体秤取構造を示す平面図であり、(c)は(b)におけるc−c線に沿った断面図である。図5(a)に示されるように、第2の流路(流路B)は、該流路の一部に、該流路の通常の流路幅よりも狭い流路幅を有する狭隘流路部分(流路b1及び流路b2)を有する。該狭隘流路部分は通常の流路幅部分よりも濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有する。第2の流路(流路B)自体及び狭隘流路部分(流路b)はその一端が大気中に開放されているか、又は適当な圧力に調整されている。従って、第2の流路の一部を2つの狭隘流路部分で挟むことにより、第2の流路の一部に容積限定区画を形成することができる。この第2の流路の容積限定区画に、第4の流路(流路D)を介して第3の流路(流路C)を連通させることができる。例えば、一方の第3の流路(流路C)で秤取された第1の液体を第4の流路(流路D)を介して第2の流路の容積限定区画内に押し出すと、容積限定区画内の空気は狭隘流路部分を介して大気中に放出され、押し出された第1の液体は容積限定区画内に留まる。更に、他方の第3の流路(流路C’)で秤取された第2の液体を他方の第4の流路(流路D’)を介して第2の流路の容積限定区画内に押し出すと、容積限定区画内の残りの空気も狭隘流路部分を介して大気中に放出され、第1の液体及び第2の液体を容積限定区画内に充満させることができる。従って、2つの狭隘流路部分で挟まれた容積限定区画を反応チャンバとして利用することができ、使用する反応液の量を最小にすることができる。このため、第2の流路の容積限定区画の容積は、この限定区画内に供給される液体の総量を考慮して決定することができる。例えば、この限定区画内に連結される一つ以上の第3の流路の容積の和と大体同一であるか又はこれよりも若干大きい値に設定することが好ましい。
図5(b)は、第2の流路の容積限定区画に一つの第3の流路が接続されている実施態様を示すものであり、第2の流路はその一部に2つの狭隘流路部分(流路b1及び流路b2)を有しその他の部分は通常の流路幅である。例えば、通常の流路幅の第2の流路から第1の液体を第1の狭隘流路部分(流路b1)を介して容積限定区画に供給し、次いで、第3の流路(流路C)で秤取された第2の液体を第4の流路(流路D)を介して容積限定区画内に供給する。
従って、第2の流路は、必ずしも液体が移動する(流れる)流路のみを意味するものでなく、空気を移動させるための流路としても利用される。特に、第3の流路で秤取された液体を流出させうる、2つの狭隘流路部分で挟まれた容積限定区画が形成されていればよく、第2の流路の形状、なかんずく、容積限定区画の平面形状は図示された矩形状に限定されず、円形、楕円形、三角形など様々な形状をとることができる。
図5(c1)に示されるように、第2の流路の狭隘流路部分(流路b1及び流路b2)を下側の基板1に形成し、第2の流路の通常幅部分を上側の基板3に形成することもできるし、或いは図5(c2)に示されるように、第2の流路の狭隘流路部分(流路b1及び流路b2)及び第2の流路の通常幅部分の全てを上側の基板3に形成することもできる。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第7の実施態様は、第1の実施態様、第2の実施態様、第3の実施態様、第4の実施態様、第5の実施態様又は第6の実施態様のいずれか1つの微量液体秤取構造において、さらに、上記第3の流路(流路C)内に定量的に秤取された液体を、上記第4の流路(流路D)を介して上記第2の流路(流路B)の流路壁において開口する上記第4の流路(流路D)の開口部から上記第2の流路(流路B)に流出させる流出手段を有するようにしたものである。
具体的には、定量的に形成された第3の流路内の液体を、第2の流路に流出させるには、第1の流路の圧力が第2の流路の圧力より僅かに大きくなるように、両流路間に適当な圧力差を生起させるあるいは流出方向に遠心力を付与するなどすれば良い。圧力差を生起させる手段としては例えば、公知慣用の加圧機構又は減圧機構などが好適に使用される。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第7の実施態様によれば、定量的に秤取された第3の流路内の液体を、第2の流路に流出させることができるため、タンパク質の結晶化装置において、微量のサンプルや試薬の導入を定量的に行うことが可能である。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第8の実施態様は、第7の実施態様の微量液体秤取構造において、さらに、上記第2の流路(流路B)が液体で満たされている場合に、上記第3の流路(流路C)内に定量的に秤取された液体を、上記第4の流路(流路D)を介して前記第2の流路の流路壁において開口する上記第3の流路の開口部から上記第2の流路に流出させる流出手段を有するようにしたものである。
具体的には、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第8の実施態様により、第5の実施態様の微量液体秤取構造を用いて定量的に形成された第3の流路内の液体は、図4の流路Eのe1とは反対側の端面を閉じた状態で、第1の流路の圧力が第2の流路の圧力より僅かに大きくなるように、両流路間に適当な圧力差を生起させるあるいは流出方向に遠心力を付与するなどの操作を行うことにより、第2の流路に流出させることが可能である。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第5の実施態様によれば、定量的に秤取された第3の流路内の液体を、第2の流路に流出させることができるため、タンパク質の結晶化装置において、微量のサンプルや試薬の導入を定量的に行うことが可能である。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第9の実施態様は、第1の実施態様、第2の実施態様、第3の実施態様、第4の実施態様、第5の実施態様、第6の実施態様、第7の実施態様又は第8の実施態様のいずれか1つにおいて、上記第1の流路(流路A)、上記第2の流路(流路B)、上記第3の流路(流路C)、上記第4の流路(流路D)及び上記第5の流路(流路E)はそれぞれ、基板内に形成されたチャネルであるようにしたものである。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第9の実施態様によれば、単純な構成により、簡単な操作のみで、微小体積の液体を定量的に秤取することができるとともに、より一層のサンプルのデッドボリュームの低減と装置全体の省スペース化と低コスト化とを実現することができる。
また、本発明で用いる微量液体秤取構造のうち第10の実施態様は、第1の実施態様、第2の実施態様、第3の実施態様、第4の実施態様、第5の実施態様、第6の実施態様、第7の実施態様、第8の実施態様又は第9の実施態様のいずれか1つにおいて、上記第3の流路の容積はピコリットルからマイクロリットルオーダーの大きさに形成されているものである。
従って、本発明で用いる微量液体秤取構造によれば、単純な構成により、簡単な操作のみで、ピコリットルからマイクロリットルオーダーの様々な大きさの微小体積の液体を定量的に秤取することができる。
本発明で用いる微量液体秤取構造はチップ内に形成することができる。本発明で用いる微量液体秤取構造は同一のチップに同じ構造もしくは異なる構造の組合せで複数組形成されていてもよい。本発明で用いるチップにおいて、形成される各流路はマイクロチャネルであるものが好ましい。ここでマイクロチャネルとは、チャネル(流路)に液体を導入した時に、マイクロ効果が現れる、即ち液体に何らかの挙動変化が現れる断面形状を持つチャネルを意味する。マイクロ効果の発現は,液体の物性によっても異なるが、断面形状,即ちチャネルの主流方向に垂直な面の形状のうち、最も短い間隔(長方形なら短辺,楕円なら短径に相当する)の長さが通常5mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下が適当である。この長さの下限は特に限定されず、マイクロチャネルとしての機能を有する長さであればよい。
本発明において、チップとは、微量液体秤取構造を含む部分の部材を意味する。またマイクロチップとは、上記マイクロチャネルよりなる微量液体秤取構造を備えるチップを意味する。チップの大きさ、形状は特に限定されず、用途に応じて任意に設定することができる。
本発明において、チップは、タンパク質結晶化に用いるものである。本発明におけるチップは、用途上、使い捨てあるいは制限された回数のみの使用で交換されることが望ましいが、恒久的に使用しても構わない。この場合、分注機あるいは測定器などの機器と一体の場合も考えられるが、その場合も流路構造を含む部分の部材をチップという。
本発明におけるチップの材料は、上記流路構造を実現できる限り、その種類を問わない。材料としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、シリコン、光反応性樹脂やその他の樹脂、金属、セラミックおよびそれらの組み合わせなどが挙げられる。
本発明で用いる微量液体秤取構造の作成法は、上記微量液体秤取構造を実現できる限り如何なる方法であってもよい。例えば機械加工、射出成型や圧縮成型に代表される転写技術、ドライエッチング(RIE、IE、IBE、プラズマエッチング、レーザーエッチング、レーザーアブレーション、ブラスト加工、放電加工、LIGA、電子ビームエッチング、FAB)、ウエットエッチング(化学浸食)、光造形やセラミックス敷詰等の一体成型、各種物質を層状にコート、蒸着、スパッタリング、堆積し、部分的に除去することにより微細構造物を形成するSurface Micro-machining、1枚以上のシート状物質(フィルム、テープ等)により開口部分を形成して溝を形成する方法、インクジェットやディスペンサーにより流路構成材料を滴下、注入して形成させる方法を含む。
本発明で用いるチップを作成するために、上記方法においてマスクを利用してもよい。マスクは、本発明のチップを最終的に作成できる限りにおいてどのようなデザインでもよいし、複数でも構わない。マスクは、通常は流路を平面に射影した形状で設計されるが、貼り合わせる流路構成材の両側に加工を行う場合や、複数の部材を用いて流路を形成する場合などは、複数のマスクを用いたり、一部はマスクを用いずに直接加工することができるため、マスクは必ずしも最終的な流路の形状の射影であるとは限らない。光硬化性樹脂などに用いる電磁波遮蔽用のマスクとしては、水晶あるいはガラスにクロムをコートしたもの、あるいは樹脂のフィルムにレーザーの焼き付けを行ったものなどが挙げられる。
上記マスクは、例えば、コンピュータを用い、適当なソフトウエアにより、上記流路構造の少なくとも一部を描画し、透明な樹脂フィルムに印刷することにより作成することもできる。上記ソフトウエアにより描画された、上記流路構造の少なくとも一部の電子情報が格納された上記マスクまたはマスターチップを作成するために用いるコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明に含まれる。ここで適当な記録媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気媒体;CD−ROM、MO、CD−R、CD−RW、DVD等の光ディスク、半導体メモリ等を挙げることができる。
本発明で用いるチップを作成するにあたり、上記方法によって直接チップを製作しても構わないし、これを型としてチップ整形しても構わない。当然、さらにこれを型にしてチップを整形することも可能である。本発明においては、初めに作成された型から、実際に操作に用いるチップの手前までの各段階の型を「マスターチップ」と呼ぶことがある。マスターチップは、通常は実際のチップと同じ凹凸パターンを持つもの(ポジ)を作成し、これを2回転写するか、実際のチップと逆の凹凸パターンを持つもの(ネガ)を作成し、1回転写して用いられるが、本発明におけるマスターチップは、必ずしもこれに限定されるものではない。
本発明で用いるチップは、2つ以上の材料の貼り合わせによって加工できる。貼り合わせ法としては、接着剤による接着、プライマーによる樹脂接合、拡散接合、陽極接合、共晶接合、熱融着、超音波接合、レーザー溶融、溶剤・溶解溶媒による貼り合わせ、粘着テープ、接着テープ、圧着、自己吸着剤による結合、物理的な保持、凹凸による組み合わせが挙げられる。
また、貼り合わせを必要とせず、上記流体分岐部分と独立流路を一体に形成させる方法も可能である。具体的には、光造形法などの一体成型により閉空間を含む構造を形成することが可能である。
かくして作成されるチップの一辺の長さ、形状、厚みに制限はなく、例えば一辺5mm〜100mmの任意の値に設定することができる。
なお、マスクおよびマスターチップを用い、基板を貼り合わせて、マイクロチップを作製する場合、チップ内のマイクロチャネルの深さは、例えば2枚の基板で作成する場合には、チャネルが上側の基板の下面と、下側の基板の上面のどちらに存在するかによって、部分的に任意の2種類の値のどちらかに設定することができ、その深さは特に限定されないが、好ましくは1〜200μm程度の任意の値に設定することができる。ここで「チャネルの深さ」とは、チャネルの鋳型となる凸構造の流路を有するチップ、即ちマスターチップの凸部の高さに相当する。また、基板は2枚に限定されるものでなく、必要に応じて任意の複数枚を積層してチップを作成することもできる。
本発明のタンパク質の結晶化方法は、上記微量液体秤取構造又は該構造が形成されているチップを用いることを特徴とする方法である。
本発明のうち、請求項1に記載の発明は、
(a)上記流路構造の上記第1の流路にタンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液を導入し、前記第1の流路に開口する第3の流路の開口部を介して前記第3の流路に前記タンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液が引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記タンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液を、前記第3の流路の開口部と接触しない位置まで移動させ、前記第3の流路の容積に応じた体積で作成されたタンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液を第4の流路を介して前記第2の流路に流出させる工程と、
(b)第1の流路に沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液を導入し、前記第1の流路に開口する第3の流路の開口部を介して前記第3の流路に前記沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液が引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液を、前記第3の流路の開口部と接触しない位置まで移動させ、前記第3の流路の容積に応じた体積で作成された沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液を第4の流路を介して前記第2の流路に流出させ、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを第2の流路中で接触・合一させる工程と、
(c)第2の流路中で合一させたタンパク質および沈殿剤溶液中からのタンパク質結晶を析出させる工程を含むことを特徴とするタンパク質の結晶化方法である。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、合一させたタンパク質および沈殿剤溶液中からのタンパク質結晶の析出が、該溶液と離れた流路構造中に沈殿剤溶液が配置されている状態で行われることを特徴とする方法である。この発明において、沈殿剤溶液の配置は、例えば、予め適当な流路、例えば第2の流路に導入して配置しておいてもよいし、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを接触・合一させた後に、沈殿剤溶液を第1の流路に導入し、第3の流路に引き込まれた状態で配置してもよい。
これらの発明において、タンパク質溶液と沈殿剤溶液の第2の流路への導入は、どちらを先に行ってもよいし、別に形成された2組の流路構造を用いて同時に第2の流路へ導入してもよい。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、
(a)上記微量液体秤取構造の上記第1の流路にタンパク質溶液を導入し、前記第1の流路に開口する第3の流路の開口部を介して前記第3の流路に前記タンパク質溶液が引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記タンパク質溶液を、前記第3の流路の開口部と接触しない位置まで移動させ、前記第3の流路の容積に応じた体積でタンパク質溶液を作成する工程と、
(b)第1の流路に沈殿剤溶液を導入し、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを第3の流路の開口部において接触させ、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを合一させる工程と、
(c)合一させたタンパク質および沈殿剤溶液中からのタンパク質結晶を析出させる工程を含むことを特徴とするタンパク質の結晶化方法である。
この方法においては、第1および/または第3の流路内でタンパク質結晶の析出が起こるので、必要に応じて合一させた溶液を適当な時間静置後、結晶析出の有無を確認する。
結晶析出の確認手段は、それ自体既知の適当な検出手段、例えば目視、顕微鏡観察などにより行えばよい。また、析出したタンパク質結晶は、それ自体既知の適当な方法、例えば適当な液体を導入して流出させる等して、採取することもできる。
ここで、本発明のタンパク質結晶化方法に用いるタンパク質溶液の物性は、本発明の微量液体秤取構造で用いることができるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば溶媒としては水、塩の溶液、バッファ溶液、アルコールあるいはグリセロールとその溶液、合成あるいは天然高分子溶液などが挙げられる。
用いられる沈殿剤溶液とは、タンパク質の結晶形成を促す溶液を意味するこの溶液の物性は、上記と同様に本発明の微量液体秤取構造で用いることができるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば水、塩の溶液、バッファ溶液、アルコールあるいはグリセロールとその溶液、合成あるいは天然高分子溶液などである。また、結晶形成を促す物質として、タンパク質や高分子のゲル、多孔質シリコン(Chayenら、Journal of Molecular Biology, (2001) 312, 591-595参照)などが知られているが、それらを含んでもよい。
また、本発明の方法において、封止や蒸気圧の調整が必要な時は、溶液と接する気相の体積が小さい方が好ましい。この場合、例えば第2の流路が2つの狭隘流路部分により挟まれることにより形成された容積限定区画を有する微量液体秤取構造(図5参照)を有するマイクロチップを用いることが好ましい。
タンパク質の結晶化を行うための方法として、例えば、バッチ法、蒸気拡散法、界面接触法、ゲル法などが知られている。ここで、本発明の流路構造を有するマイクロチップ内でバッチ法により結晶化を行うためには、例えば、上記請求項1〜3のいずれかに記載の方法の通り、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを接触・合一させ、必要に応じ上記方法で流路を封止すればよい。
蒸気拡散法を行うためには、例えば、上記請求項1または2に記載の方法の通り、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを第2の流路内で接触・合一させた後、上記の通り、必要に応じて蒸気圧を調整する液体を第1の流路に導入し、接触・合一させた液体と第3および/または第4の流路を隔てて蒸気拡散を調節すればよい。ただし、蒸気拡散法においては、接触・合一させた液体と蒸気圧を調整する液体(沈殿剤)が、気相を隔てて配置されていればよく、液体の配置は必ずしも前述の形である必要はない。第1の流路の途中まであるいは端部に蒸気圧を調整する液体を導入して、第1、第3および第4の流路を隔てて蒸気圧を調整してもよいし、第2の流路の途中まで、あるいは端部に蒸気圧を調整する液体を導入して、第2の流路を隔てて蒸気圧を調整してもよい。
以下、参考例及び実施例により本発明の微量液体秤取構造、該構造を有するマイクロチップを使用したタンパク質の結晶化について具体的に例証する。
参考例1 イオン交換クロマトグラフィーによるタンパク質の分離
図6(a)には、本発明で用いる微量液体秤取構造を備えたマイクロチップ10が示されている。図6(a)に示したマイクロチップ10は、タンパク質の分析に用いるキャピラリーイオン交換クロマトグラフィーのためのマイクロチップであり、サンプルのインジェクション部分に本発明で用いる微量液体秤取構造が備えられている。
図6(a)において、ポート11とポート12はタンパク質の溶離バッファーを導入するためのポートであり、イオン強度の異なるバッファーを導入し、流量をそれぞれ変化させ、ミキサー13においてイオン強度の異なるバッファーを混合することにより、イオン強度の勾配を形成することができる。従って、ポート11とポート12の上面は大気に対して開口しており、下部はチャネルに連通している。
また、マイクロチャネル14は、クロマトグラフィーのためのカラムであり、イオン交換ビーズ(イオン交換ビーズとしては、例えばファルマシア社製アニオン交換ビーズ:粒径30μmなどを用いることができる)の堰き止め部15から、微量液体秤取構造部(b)方向に向かって3mmの区間に、イオン交換ビーズが充填されている。堰き止め部15の反対方向にはポート18が存在する。
微量液体秤取構造部(b)を拡大したものが図6(b)である。ここで示したマイクロチップ10は、高分子(ポリマー)材料、例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)により形成された2枚の平板状の基板(上側:基板16、下側:基板17)を重ね、結合させることによって構成されており、一辺が20mmの正方形で、厚みは5mmであるが、マイクロチップの一辺の長さ、形状、厚みに制限はなく、例えば一辺5mm〜100mmの任意の値に設定することができる。
また、上側の基板16の下面と下側の基板17の上面には、それぞれ深さの違うマイクロチャネルが形成されている。基板16の下面に存在するマイクロチャネルは深さ100μm、基板17の上面に存在するマイクロチャネルは深さ10μmである。更に、PDMSの特徴として、硬化した表面は疎水性を示す。また、この表面をOプラズマや、エキシマUVレーザなどで照射処理することにより、容易にPDMSとPDMS、PDMSとガラスなどを接着することが可能である。上記二点から、この微量液体秤取構造の製作にPDMSが適している。
なお、マイクロチップ10内のマイクロチャネルの深さは、上側の基板16の下面と、下側の基板17の上面のどちらに存在するかによって、部分的に任意の2種類の値のどちらかに設定することができ、その深さは1〜200μmの任意の値に設定することができる。
図6(b)及び図6(c1)に示されるように、微量液体秤取構造部(b)におけるマイクロチャネルの構造は、上側の基板16の下面において、互いに並行して左右方向に延長される第1の流路19および第2の流路20と、第1の流路19から第2の流路方向に垂直に向かう第3の流路21、及びに下側の基板17の上面において第2の流路20と第3の流路21を連結する第4の流路22、第4の流路22の途中から派生し第4の流路22と直行する第5の流路23によって形成されている。浅く、幅の狭い流路を下側の基板17の上面に配設する場合、上側の基板16の下面に配設される深く、幅の広い流路と部分的に重複させることにより、各流路を相互に連通させることができる。別法として、図6(c2)に示されるように、全ての流路を上側の基板16(又は下側の基板17)に配設する場合、各流路に重複部を設ける必要は無い。基板として使用される合成樹脂材料を適宜選択することにより及び/又は基板内に配設される特定の流路の表面や必要な箇所の一部又は全部を濡れ易くしたりあるいは濡れ難くしたりすることにより、図6(c2)のように、全ての流路を一方の基板にだけ設けることもできる。
第1の流路19及び第2の流路20の幅は200μm、第3の流路21の幅は100μm、第4の流路22の幅及び、第5の流路23において第4の流路22と接する部分の幅は20μmである。なお、第4の流路22内に液体が入りにくくするために、第4の流路22は第1の流路19、第2の流路20、第3の流路21よりも細くなる必要があり、また第5の流路23内にも液体が入りにくくするために、第5の流路23の幅は第4の流路22の幅と同等またはそれ以下になる必要がある。
次に、上記したマイクロチップ10は以下に示す製造プロセスによって作製するものであるが、その製造プロセスに先だって、まずマイクロチップ10における上側の基板16と下側の基板17が有するマイクロの流路のレイアウトのパターンをそれぞれ別々に、フォトリソグラフィーのマスクとして利用するために、高解像度(例えば4064dpi)で透明フィルムに印刷しておくものである。
はじめに、シリコン(Si)ウエハを、作製するマイクロチップの大きさに合わせてダイヤモンドカッターでカットし、超音波洗浄後、乾燥させ、プラズマリアクターを用いてOプラズマ処理を200W、30秒間行う。
次にネガティブフォトレジストSU−8をスピン塗布し(100μmの流路を作製する場合にはSU−8 50を用い2000rpmで10秒、10μmの流路を作製する場合にはSU−8を用い2000rpmで10秒)、その後オーブンで90℃で30分間保持する。
次に、マスクアライナーを用いて、フィルム上に印刷したマイクロチップ10における上側の基板16と下側の基板17でのマイクロチャネルのレイアウトのパターンを、SU−8を塗布した別々のシリコンウエハにフォトリソグラフィーの手法を用いて転写し、さらにオーブンで90℃で30分間保持した後、Developer(Developerとしては、例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテートなどを用いることができる。)の中に浸して現像し、イソプロピルアルコール、続いて蒸留水で洗浄し、乾燥させる。
こうして作製されたマスターは、上側の基板16及び下側の基板17のマイクロチャネルの鋳型となる凸型構造を有するものである。
次に、型取り後のPDMSレプリカの取り外しがスムーズになるように、PDMSのプレポリマーを注ぎ入れる前に、3%ジメチルオクタデシルクロロシラン/トルエン溶液中で2時間保持し、表面処理を行う。
次に、PDMSのプレポリマーとキュアリング試薬(キュアリング試薬としては、例えば「Sylgard 184:Dow Corning Co.、MI」を用いることができる。)を10:1の割合で混合し、充分に撹拌した後、マスターを設置するためにアクリルを用いて作製した枠の中に注ぎ、90℃で30分間保持してキュアリングを行う。
上記キュアリングの後に、PDMSレプリカをマスターから引き剥がすことにより、マイクロチップ10の上側の基板16と下側の基板17がそれぞれ得られる。さらに、上側の基板16の下面と下側の基板17の上面をOプラズマで処理し、結合させることにより、マイクロチップ10を得る。
上記の方法を用いて得られたマイクロチップ10を用いて、以下に実際に行うサンプルインジェクションの為の微量液体秤取操作について説明する。
まず、第1の流路19の片側から圧力流によってサンプルを流すことにより、サンプルを第1の流路19及び第3の流路21に満たす。この時、第4の流路22は、濡れ難い又は相対的に毛管引力が働きにくい性質を有し、かつ第1の流路19、第2の流路20、第3の流路21よりも細いため親水性の液体では濡れにくいので、サンプルは第4の流路22には入らない。
第2の流路20に液体が充填されている状態では、第5の流路23が存在しないと、第3の流路21内へのサンプルの導入の際に第3の流路21内の空気が第2の流路20内へリークしてしまう。
しかしながら、第5の流路23が存在することにより、第2の流路20に液体が充填されている場合でも、第3の流路21内の空気が第5の流路23へと抜けて行くため、第2の流路20に空気がリークすることなく、第3の流路21にサンプルを導入することができる。
次に、引き続いて第1の流路19に空気を圧力流によって導入することにより、第1の流路内のサンプルは押し出され、第3の流路21内にのみサンプルが残り、第3の流路21内に残ったサンプルは再び第1の流路19内に逆流することはない。ここに示したチップの例では、第3の流路21内に残るサンプル量は5nlになるよう設計されている。
引き続いて第1の流路19内の圧力を増大させることにより、第3の流路21内のサンプルは第4の流路22にリークし、サンプルが第2の流路20に到達することにより第2の流路20へサンプルが導入される。この時、第5の流路23の出口側は閉じられているため、サンプルが第5の流路23にリークすることはない。
サンプルが第5の流路23にリークする可能性を低くするためには、第5の流路23の流路幅は第4の流路22の流路幅以下であることが望ましく、ここでは両者とも20μmに設定してある。
なお、クロマトグラフィーで分離するためのサンプル(タンパク質など)のPDMSへの吸着を防ぐために、HClを用いて、第1の流路19、第2の流路20、第3の流路21のみを親水化する処理を行っている。ただし、親水化処理はHClに限らず、Oプラズマを用いる方法や、アルブミンを用いる方法などでも可能である。PDMS自体は疎水性の物質である。
実際に、上記の微量液体制御操作によるサンプルインジェクションを用いたクロマトグラフィーにおいて、FITCラベルしたアルブミンとIgGの混合液を導入し、Tris/HCl Buffer (pH8.0)を流速1.0μl/minで流し、陰イオン交換ビーズ(ファルマシア製:粒子径30μm)を用い、吸着後、塩化ナトリウムによる0〜1Mのグラジエントバッファーを使用して、両者を1分以内で分離することに成功した。
上記参考例1では、この微量液体秤取構造をシリコンポリマーのPDMSで作製したが、流路内表面及び/又は端面の一部又は全部を濡れ易くしたりあるいは濡れ難くしたりすることにより、流路内の濡れ具合が調節でき、構造が製作できれば、あらゆる材質(例えば、シリコン、ポリマー、ガラス、セラミックス、金属など)に適応できる構造である。また、これらの異なる材質同士の複合的な使用や、温度、pH応答性物質PIPAAm(N−イソプロピルアクリルアミド)などを混合させた材料によってもこの微量液体秤取構造は利用可能である。
参考例2 酵素反応によるグルコースの定量
図7(a)は、本発明で用いる微量液体秤取構造の別の参考例によるマイクロチップ24の平面図である。図7(a)に示されるマイクロチップ24は、定量的に秤取した2液の混合により最大50種類の反応又は分析を個別的に行うことのできるマイクロチップであり、液体の秤取部分には本発明で用いる微量液体秤取構造が採用されている。図7(a)に示されたマイクロチップ24は最大50種類の反応又は分析を処理するが、これよりも多数の反応又は分析を処理するマイクロチップも当然作製することができる。
図7(a)に示されるようなマイクロチップ24を用いることにより、極めて簡便な操作により、例えば、50種類のサンプルに対して、1種類の試薬の混合による反応又は分析を個別的に、かつ、同時に行うことができる。あるいは、1種類のサンプルに対して、例えば、50種類の試薬の混合による反応又は分析を個別的に、かつ、同時に行うことも出来る。
図7(a)に示されるようなマイクロチップ24は、図5に示されるマイクロチップ10と同様に、高分子(ポリマー)材料、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)により形成された2枚の平板状の基板を重ね合わせ、結合させることにより構成されており、直径が90mmの円盤状であり、厚さは3mmである。これ以外の直径及び厚みも当然使用できる。マイクロチップ24の形状は図示された円盤状に限定されない。矩形又は多角形状の基板を用いて形成することもできる。
図7(a)に示されるマイクロチップ24において、上側の基板25の下面と、下側の基板26の上面には、それぞれ深さの異なるマイクロチャネルが形成されており、基板25の下面に存在するマイクロチャネルの深さは例えば、100μmであり、基板26の上面に存在するマイクロチャネルの深さは例えば、10μmである。これら以外の深さも当然使用できる。
図7(a)におけるマイクロチップ24の部分(b)を拡大したものが図7(b)であり、図7(b)の部分(c)を拡大したものが図7(c)である。
図7(b)において、中央の略環状をした第1液体供給チャネル33はその途中の一箇所で切断されており、一方の切断端は半径方向外方に向かって延びるチャネル27を介してポート28に接続かつ連通されており、他方の切断端は半径方向外方に向かって延びるチャネル29介してポート30に接続かつ連通されている。ポート28は混合する第1の液体の入口であり、ポート30はその液体の出口である。ポート28から導入された液体はチャネル27を介して第1液体供給チャネル33に入り、この第1液体供給チャネル33内を流れ、チャネル29を介してポート30から流出する。別法として、ポート28を出口とし、ポート30を入口とすることもできる。
また、図7(b)におけるポート31aは混合する第2の液体の入口であり、第2液体供給チャネル35を介して出口ポート31bに連通している。入口ポート31aと出口ポート31bが第2液体供給チャネル35を介して連通していることにより、入口ポート31aから注入された液体を空気圧などの適宜の手段により第2液体供給チャネル35内に容易に満たすことができる。ポート31a及びポート31bに隣接して、混合チャネル34を介してポート32a及びポート32bがそれぞれ配設されている。混合チャネル34は混合された両液体の反応チャンバとしての機能も果たす。ポート32a及びポート32bは混合チャネル34を介して相互に連通しているので、ポート32a及び/又はポート32bを介して混合チャネル34に空気圧を印加してチャネル内の液体の混合を促進させたり、あるいは混合チャネル34内の反応生成物を外部に取り出すために使用したりすることができる。
第1液体供給チャネル33を挟んで、半径方向外側にはポート31a、31bと第2液体供給チャネル35及びポート32a、32bと混合チャネル34からなる微量液体秤取及び混合のための構造が30個配置されている。一方、半径方向内側には同様な微量液体秤取及び混合のための構造が20個配置されている。配置個数は図示された実施態様に限定されない。
図7(c)に示された構造は、図2(b)に示された構造と類似の目的で形成されたものであり、微量の液体を秤取するためのマイクロチャネル構造と、2種類の液体を混合するためのチャネルから構成されている。反応チャンバとして機能する混合チャネル34(図2(b)における流路Bに相当する)を間に挟んで、一方の液体を供給する第1液体供給チャネル33(図2(b)における流路Aに相当する)と他方の液体を供給する第2液体供給チャネル35(図2(b)における流路A’に相当する)が設けられている。第1液体供給チャネル33から供給される一方の液体は、第1秤取チャネル36(図2(b)における流路Cに相当する)により一定量だけ秤取される。同様に、第2液体供給チャネル35から供給される他方の液体は第2秤取チャネル37(図2(b)における流路C’に相当する)により一定量だけ秤取される。第1秤取チャネル36及び第2秤取チャネル37内の液体は、これらのチャネルよりも細い第1狭隘チャネル38及び第2狭隘チャネル39をそれぞれ介して、圧力差などの常用の手段を用いて混合チャネル34内に取り入れ、該チャネル内で混合することができる。
図7において、一方の液体を供給する第1液体供給チャネル33、他方の液体を供給する第2液体供給チャネル35及び混合チャネル34のチャネル幅は例えば、200μmであり、第1秤取チャネル36及び第2秤取チャネル37のチャネル幅はそれぞれ例えば、100μmで、長さは例えば、600μmであり、第1狭隘チャネル38及び第2狭隘チャネル39のチャネル幅はそれぞれ例えば、20μmである。これら以外のチャネル幅及びチャネル長さも当然使用できる。例えば、図7(c)において、混合する2液の体積はそれぞれ6nlであるが、この体積は第1秤取チャネル36及び第2秤取チャネル37の体積と等しい。従って、これら各秤取チャネルの体積を変更することにより、1plから1μlの範囲内で任意に調節可能である。
図7のマイクロチップ24は、図6に示されたマイクロチップ10と同様な製造プロセスにより作製することができる。
図7に示されたマイクロチップ24は例えば、グルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ法によるグルコースの定量分析のための微量液体秤取及び混合操作に使用できる。
このグルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ法によるグルコースの定量分析のための微量液体秤取及び混合操作について以下説明する。グルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ法では、試薬として、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ムタロターゼ、4−アミノアンチピリン及びフェノールを適量混合したリン酸緩衝液を用い、サンプルとしてはグルコース水溶液を使用する。
先ず、図7(a)におけるポート28からポート30に向けて、試薬約1μlを圧力流によって導入し、続いて余分な試薬を流すために、空気を導入する。導入された試薬及び空気は第1液体供給チャネル33内を時計方向に流れていく。図7(c)において、試薬を第1秤取チャネル36に導入する際、第1狭隘チャネル38は疎水性であり、液体に対して濡れ難くなっており、かつ、第1液体供給チャネル33及び第1秤取チャネル36よりもチャネル幅が細いため、試薬は第1秤取チャネル36内に留まり、第1狭隘チャネル38内には進入しない。
この操作により第1秤取チャネル36内に、第1秤取チャネル36の体積と等しい体積の試薬液体を秤取することができる。また、ポート28からポート30に向けた試薬導入と、これに引き続く空気導入という操作を1回行うだけで、50個の第1秤取チャネル36内に所定量の試薬液体を一度に秤取することが可能である。このような極めて簡便な操作により、微量の液体を更に細かく分配し、極めて微量の多数の液体を同時に形成することが可能になる。また、このような操作においては、操作後に分配されない残液の量も極めて微量になることが期待される。
続いて、試薬の導入と同様に、ポート31aからポート31bに向けてサンプルを導入し、第2液体供給チャネル35を介して第2秤取チャネル37内に所定量のサンプル液体を秤取することができる。
次に、引き続いて、第1液体供給チャネル33及び第2液体供給チャネル35内の空気の圧力を高めることにより、第1秤取チャネル36内の試薬及び第2秤取チャネル37内のサンプルはそれぞれ混合チャネル34内に押し出され、該チャネル内で混合される。混合された二つの溶液は化学反応により赤色を呈するため、この赤色値を評価することによりグルコースの定量的な分析を行うことができる。言うまでもなく、図7に示されたマイクロチップ24は前記以外の定性及び/又は定量分析に使用することもできる。
実施例1 グルコースイソメラーゼの結晶化(液体同士の合一)
図8(a)に示されたマイクロチップ41を用いてタンパク質(グルコースイソメラーゼ)の結晶化を行った。用いたマイクロチップ41の微量液体秤取構造構造部分(b)を拡大したものが図8(b)である。このマイクロチップ41は図7(a)に示されたマイクロチップ24と、形状及び微量液体秤取構造の配設個数を除けば、基本的に概ね同一である。
図8(a)に示したマイクロチップ41は、タンパク質の結晶化のためのマイクロチップであり、溶液(タンパク質溶液および沈殿剤溶液)のインジェクション部分に本発明で用いる微量液体秤取構造が備えられている。材料としてPDMSを用い、参考例1に準じた方法で作成した。チップの大きさは24x46mm、厚みは60μmである。第1液体供給チャネル33及び第2液体供給チャネル35の幅はそれぞれ200μmであり、混合チャネル34の幅は300μmである。第1秤取チャネル36及び第2秤取チャネル37の幅はそれぞれ100μmであり、長さは各1000μmである。第1狭隘チャネル38及び第2狭隘チャネル39の幅はそれぞれ20μmであり、長さは各400μmである。
図8(a)において、ポート28及び30はタンパク質溶液を導入するためのポートであり、ポート31a及び31bは沈殿剤溶液を導入するためのポートである。
このマイクロチップに形成されている微量液体秤取構造において、第1液体供給チャネル(第1の流路)33には第1の液体(タンパク質溶液)を秤取するための第1秤取チャネル(第3の流路)36が7つ接続され、その7箇所それぞれに、第1狭隘チャネル(第4の流路)38が接続され、該第1狭隘チャネル38は混合チャネル(第2の流路)34に開口している。7箇所それぞれに形成されている混合チャネル(第2の流路)34には、第2の液体(沈殿剤溶液)を秤取するための、第2液体供給チャネル35、第2秤取チャネル37及び第2狭隘チャネル39よりなる流路構造が接続されている。
まず、第1の液体(タンパク質溶液)を秤取するため、ポート28から第1液体供給チャネル33に、陽圧を用いて、水中に20mg/mLの濃度となるように調整したグルコースイソメラーゼ(Hampton Research社 HR7-102)の溶液を充填した。さらに空気を陽圧下で流通させることにより、ポート30を介して第1液体供給チャネル33より過剰のグルコースイソメラーゼ溶液を除去し、第1の液体(タンパク質溶液)を秤取するための第1秤取チャネル36の全7箇所にグルコースイソメラーゼ溶液を秤取した。
次に、上記した過剰のグルコースイソメラーゼ溶液を除去する際の圧力よりもさらに高い陽圧を用いて空気をポート28より第1液体供給チャネル33内に流通させ、秤取されたグルコースイソメラーゼ溶液を混合チャネル34に流出させた。
次に、100mMのMES(Hampton Research社 HR2-587) のバッファ(pH6.5)中に、PEG8000 (Hampton Research社 HR2-535) が10%、MgCl(Hampton Research社 HR2-559) が200mMになるように調整した沈殿剤溶液を第2の液体を秤取するための第2液体供給チャネル35及び第2秤取チャネル37に、ポート31aより陽圧を用いて充填し、さらに空気を陽圧下で流通させることにより、ポート31bを介して第2液体供給チャネル35内の過剰の沈殿剤溶液を除去し、第2の液体を秤取するための第2秤取チャネル37に沈殿剤溶液を秤取した。次に、過剰の沈殿剤溶液を除去する際の圧力よりもさらに高い陽圧を用いて、ポート31aより空気を第2液体供給チャネル35に流通させ、秤取された沈殿剤溶液を混合チャネル34に流出させた。この結果、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液は混合チャネル34内で接触・合一した。この操作を5箇所で行い、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液の合一した液体を5個作成した。
このチップを、実体顕微鏡で観察したところ、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液の合一した液体5個すべてにおいて、液体内に結晶が観察された。
実施例2 グルコースイソメラーゼの結晶化(液体と連続液体との接触)
実施例1と同様のチップを用い、また試薬はすべて実施例1と同一のものを用いて実験を行った。
まず、第1の液体(タンパク質溶液)を秤取するため、ポート28から第1液体供給チャネル33に、陽圧を用いて、水中に20mg/mLの濃度となるように調整したグルコースイソメラーゼ(Hampton Research社 HR7-102)の溶液を充填した。さらに空気を陽圧下で流通させることにより、ポート30を介して第1液体供給チャネル33より過剰のグルコースイソメラーゼ溶液を除去し、第1の液体(タンパク質溶液)を秤取するための第1秤取チャネル36の全7箇所にグルコースイソメラーゼ溶液を秤取した。
次に、100mMの濃度のMESバッファ(PH6.5)中に、PEG8000が10%、MgClが200mMになるように調整した沈殿剤溶液を、ポート28から第1液体供給チャネル33に陽圧を用いて充填した。この結果、第1液体供給チャネル33の第1秤取チャネル36の開口部において、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液は接触した。
このチップを、実体顕微鏡で観察したところ、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液の界面が存在したところ(第1液体供給チャネル33と第1秤取チャネル36との開口部)のグルコースイソメラーゼ溶液側(第1秤取チャネル36)および沈殿剤溶液側(第1液体供給チャネル33側)の液体中に結晶が観察された。特に、沈殿剤側の液体中に結晶が多く観察された。
以上、本発明の微量液体秤取構造又は該構造を有するマイクロチップを用いたタンパク質の結晶化について具体的に説明してきたが、本発明は具体的に例示された実施態様及び実施例に限定されるものではない。例えば、第3の流路(流路C)の第2の流路(流路B)寄り部分だけを選択的に濡れにくい(又は相対的に毛管引力が働きにくい)性質を有するように改質できれば、幅の狭い第4の流路(流路D)を配設することなく、広い幅の第3の流路を同じ幅の第2の流路(流路B)に直接接続させることもできる。また、液体を秤取するための第3の流路の形状は矩形状の他、円形、楕円形、三角形など任意の形状をとることもできる。
本発明で用いる微量液体秤取構造の原理を説明するための概念説明図であり、(a)はその構造を示し、(b)及び(c)は液体の秤取方法を説明している。 第2の実施態様の2つの液体作成系を有する微量液体秤取構造の説明図であり、(a)は、流路Aを共有する場合、(b)は流路Bを共有する場合である。 第3の実施態様および第4の実施態様の微量液体秤取構造の説明図であり、(a)は、流路Dが3本の流路に別れている場合、(b)は、太さの異なる流路Cおよび流路Dが3組ある場合の説明図である。 第5の実施態様の微量液体秤取構造の説明図であり、(a)はその構造を示し、(b)、(c)及び(d)は、流路Bに液体が充填されている場合の液体導入方法の説明図である。 (a)及び(b)は、第6の実施態様の微量液体秤取構造を示す平面図であり、(c)は(b)におけるc−c線に沿った断面図である。 参考例1のイオン交換クロマトグラフィーによるタンパク質の分離に使用される、本発明で用いる微量液体秤取構造を備えたマイクロチップ10の説明図であり、(a)はチップ全体のレイアウト、(b)は微量サンプルの定量と導入部の拡大説明図であり、(c1)及び(c2)は図(b)におけるc−c線に沿った断面図である。 (a)は参考例2の酵素反応によるグルコースの定量に使用される、本発明で用いる微量液体秤取構造の別の実施態様によるマイクロチップ24の平面図であり、(b)は(a)図におけるb部の部分拡大平面図であり、(c)は(b)図におけるc部の部分拡大平面図である。 実施例1及び2のグルコースイソメラーゼの結晶化で使用されるマイクロチップ41の平面図であり、(b)は(a)図におけるb部の部分拡大平面図である。
符号の説明
10 キャピラリークロマトグラフィー用マイクロチップ
11 溶離バッファー導入用ポート
12 溶離バッファー導入用ポート
13 ミキサー
14 マイクロチャネル
15 堰き止め部
16 PDMS 平板(上部)
17 PDMS 平板(下部)
18 ポート
19 第1の流路
20 第2の流路
21 第3の流路
22 第4の流路
23 第5の流路
24 50種類の微量2液混合反応用のマイクロチップ
25 上部基板
26 下部基板
27 チャネル
28 第1の液体の入口ポート
29 チャネル
30 第1の液体の出口ポート
31a 第2の液体の入口ポート
31b 第2の液体の出口ポート
32a ポート
32b ポート
33 第1液体供給チャネル
34 混合チャネル
35 第2液体供給チャネル
36 第1秤取チャネル
37 第2秤取チャネル
38 第1狭隘チャネル
39 第2狭隘チャネル
41 タンパク質の結晶化用マイクロチップ
100 液体(サンプル等)
100a 流路C内の液体の下端(流路Aの側)
100b 流路C内の液体の上端(流路Dの側)
200 液体(液クロの移動相等)
aa、aa’ 流路Aの流路壁
bb、bb’ 流路Bの流路壁
c1 流路Cの開口部(流路Aの側)
c2 流路Cの開口部(流路Dの側)
d1 流路Dの開口部(流路Bの側)
e1 流路Eの開口部(流路Dの側)

Claims (3)

  1. 微量液体秤取構造を用いるタンパク質の結晶化方法であって、
    該微量液体秤取構造は、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路(流路A)ならびに第2の流路(流路B)と、前記第1の流路(流路A)の流路壁に開口する第3の流路(流路C)と、前記第2の流路(流路B)の流路壁に開口して前記第3の流路(流路C)の一端と前記第2の流路を連結し、前記第3の流路(流路C)よりも相対的に毛管引力が働きにくい性質を有し他の3本の流路より細い第4の流路(流路D)を有し、前記第1の流路に導入された液体が、前記第1の流路の流路壁において開口する前記第3の流路の開口部を介して前記第3の流路内に引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記液体を取り除き、前記第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取することを特徴とし、且つ、
    該方法は、
    (a)第1の流路にタンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液を導入し、前記第1の流路に開口する第3の流路の開口部を介して前記第3の流路に前記タンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液が引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記タンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液を、前記第3の流路の開口部と接触しない位置まで移動させ、前記第3の流路の容積に応じた体積で作成されたタンパク質溶液もしくは沈殿剤溶液を第4の流路を介して前記第2の流路に流出させる工程と、
    (b)第1の流路に沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液を導入し、前記第1の流路に開口する第3の流路の開口部を介して前記第3の流路に前記沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液が引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液を、前記第3の流路の開口部と接触しない位置まで移動させ、前記
    第3の流路の容積に応じた体積で作成された沈殿剤溶液もしくはタンパク質溶液を第4の流路を介して前記第2の流路に流出させ、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを第2の流路中で接触・合一させる工程と、
    (c)第2の流路中で合一させたタンパク質および沈殿剤溶液中からのタンパク質結晶を析出させる工程を含むことを特徴とする。
  2. 合一させたタンパク質および沈殿剤溶液中からのタンパク質結晶の析出が、該溶液と離れた流路構造中に沈殿剤溶液が配置されている状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 微量液体秤取構造を用いるタンパク質の結晶化方法であって、
    該微量液体秤取構造は、それぞれ所定の方向に延長される第1の流路(流路A)ならびに第2の流路(流路B)と、前記第1の流路(流路A)の流路壁に開口する第3の流路(流路C)と、前記第2の流路(流路B)の流路壁に開口して前記第3の流路(流路C)の一端と前記第2の流路を連結し、前記第3の流路(流路C)よりも相対的に毛管引力が働きにくい性質を有し他の3本の流路より細い第4の流路(流路D)を有し、前記第1の流路に導入された液体が、前記第1の流路の流路壁において開口する前記第3の流路の開口部を介して前記第3の流路内に引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記液体を取り除き、前記第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取することを特徴とし、且つ、
    該方法は、
    (a)第1の流路にタンパク質溶液を導入し、前記第1の流路に開口する第3の流路の開口部を介して前記第3の流路に前記タンパク質溶液が引き込まれた後、前記第1の流路に残存する前記タンパク質溶液を、前記第3の流路の開口部と接触しない位置まで移動させ、前記第3の流路の容積に応じた体積でタンパク質溶液を作成する工程と、
    (b)第1の流路に沈殿剤溶液を導入し、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを第3の流路の開口部において接触させ、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを合一させる工程と、
    (c)合一させたタンパク質および沈殿剤溶液中からのタンパク質結晶を析出させる工程を含むことを特徴とする。
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