JP4253445B2 - 偏差補償装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏差補償装置、特に、振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線基地局に複数のアンテナ素子(マルチビームアンテナ、アダプティブアレーアンテナ等)を設けて、送受信する信号に対して、デジタル信号処理を施すセルラ移動通信システムが注目されている。
【0003】
セルラ移動通信システムの無線基地局にデジタル信号処理によるマルチビームアンテナ、アダプティブアレーアンテナシステム等を適用すると、等価的にビームパターンをシャープにすることによる利得向上と、その指向性によるエリア内の干渉を低減する働きによって、1つのセルに収容できるユーザの数を増大することができる。
【0004】
しかしながら、デジタル領域の信号処理で行うビーム成形システムを実現しようとする場合、受信においては、各アンテナで受信する無線周波数信号(RF信号)をベースバンドまで変換する過程において、低雑音増幅器(LNA)や周波数変換のためのミキサ等必要となる。また、送信においても、ベースバンド信号をRF信号に周波数変換する周波数変換器やRFの高出力増幅器(HPA)等の非線形素子が各アンテナブランチに必要となる。これらの非線形素子による振幅及び位相偏差が、各アンテナブランチで独立に生じる場合には効率の良いビーム成形ができず、特性の劣化を招くことになる。
【0005】
しかも、上りリンク(移動局から無線基地局への回線)においては、各アンテナブランチの位相には、そのアンテナが指向している通信エリア(セル又はセクタ)のユーザ信号の到来方向と基地局アンテナの配列によってきまる各アンテナブランチ間の位相差が含まれるため、この各アンテナ受信信号のアレー合成処理に必要な位相差情報を保存したまま、位相偏差のみを補償しなくてはならない。また、下りリンク(無線基地局から移動局への回線)においても、ビーム成形を行う場合には通常ベースバンドで各アンテナブランチに供給する信号に予めビーム成形のためのウエイトを与えており、各ブランチ間でこの状態が保たれてアンテナから放射される必要があるため、各アンテナ送信信号のウエイトを保存したまま、位相偏差のみを補償する必要がある。従って、これらの振幅及び偏差を補償することはマルチビームアンテナ、アダプティブアレーアンテナシステム導入においては極めて重要な問題である。
【0006】
図1はアダプティブアレーアンテナを適用したシステムの構成を示す概略図である。図は受信部の構成を示している。複数(図1では、4本であるが、これに限定されない。)のアンテナ101a〜101dが配置された伝送経路に対し、LNA(低雑音増幅器)102a〜102d、周波数変換器103、105、アンプ104a〜104d、A/D変換器106a〜106d、乗算器107a〜107d、合成部108がそれぞれ配置されている。周波数変換器103、105は、LO(局部発振器)とミキサで構成される。
【0007】
アンテナ101aで受信した信号は、LNA102aを通じて、低雑音かつ高利得で出力され、周波数変換器103でRF信号から中間周波数信号(IF信号)に変換される。そして、アンプ104aで増幅されたIF信号は、周波数変換器105でベースバンド信号に変換された後に、A/D変換器106aでデジタル信号に変換され、乗算器107aでウエイトWが重み付けされる。アンテナ101b〜101dに対しても同様である。そして、重み付けされた信号は、合成部108で合成される。なお、受信信号は、振幅a、位相θのパラメータを持つ複素関数で表される。送信信号も、同様に、振幅a、位相θのパラメータを持つ複素関数で表される。
【0008】
アンテナ101a〜101dに対して、図1に示す到来方向φから無線周波数信号を受信した場合、各アンテナで受信される信号には行路差に基づく位相差が生じている。図1では、アンテナ101aを基準にするとアンテナ101b〜101dに行路差A1〜A3が生じている。一例として、この行路差に基づく位相差キャンセルするように、ウエイト設定し、このウエイトを乗算器107a〜107dで乗算して、合成部108で合成する。その結果、アダプティブアレーアンテナのビームパターンとして、例えば、図2に示すような、ビームパターンB1を得ることができる。
【0009】
一般に、アダプティブアレーアンテナのビームの指向性を、希望信号方向に強い指向性を持ち、不特定の干渉方向にヌルを持つように設定可能である。このようなアダプティブアレーアンテナで受信した際のビームパターンB1と、1本のアンテナで受信した際のビームパターンB2とを、図2を用いて比較する。希望ユーザ信号の到来方向がφ、干渉ユーザ信号の到来方向がη、それぞれのビームで受信する希望ユーザ及び干渉ユーザの信号レベルをP1、P2及びP3、P4とすると、ビームパターンB2ではP3とP4でレベル差Laはあまりないが、ビームパターンB1ではP1とP2のレベル差Lbが大きいため、その分S/Iを向上させることができる。
【0010】
また、上述のようなシステムでビーム成形を実現しようとする場合、図1に示したように、受信に対しては、各アンテナ101a〜101dで受信するRF信号をベースバンドまで変換する過程で、LNA102a〜102dやミキサ等の非線形素子が必要になる。また、図示していないが、送信に際しても、ベースバンド信号をRF信号に周波数変換する周波数変換器やRF信号のHPA等の非線形素子が各アンテナブランチに必要となる。
【0011】
このため、従来では、定期的に(1日に1回など)各アンテナブランチ間のキャリブレーション(較正)を行う方法が一般的に行われていた。
【0012】
しかしながら、この方法ではダイナミックに振幅および位相偏差が生じる場合は不確定な位相条件でビームホーミングを行っていることになり、システムの信頼性が低い。それを解決した方式として、文献“最大比合成ウエイトを用いたDBF受信アレーアンテナ較正法の検討”(信学技報AP97−96)には、上りリンクのアレーアンテナシステムに適用する方式が、また、文献“同期直交符号を用いたDBF送信アレーアンテナの遠隔較正法”(通ソ大会、SB−1−17.1998)には、下りリンクのアレーアンテナシステムに適用する方式がそれぞれ提案されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、これらの方式には、上りリンクの場合、各ブランチ間の振幅及び位相偏差を抽出するためにセルあるいはセクタ内に既知の方向からその目的の信号を送信しなければならず、また下りリンクの場合は送受で既知の信号が必要であり、送信には直交マルチビームを用い、更に、偏差信号を送信元に知らせなくてはならないなどの制約がある。
【0014】
また、従来例では、ハードウェアのレイアウト、スペース等の制約があり、機能ブロックごとに偏差の補償処理が必要な場合、各ブランチの処理ブロック間を行き来する信号線路が多数必要となるケースがあり、結果として信号バスラインの引き回しが煩雑となりコストや信頼性の面で不利となることがある。
【0015】
また、信号線を減らす目的で、又は異なるキャリア周波数における偏差を処理するときは、従来例では、各ハードウェアの機能ブロックごとに偏差の補償処理を行うため、回路構成が複雑となるという問題がある。
【0016】
例えば、図3では、振幅及び位相偏差補償ブロック4a、4bは、非線形素子3〜3の振幅及び位相偏差補償を行うブロックであるが、補償する伝送経路ごとに、分岐手段1a、1b、合成手段2a、2b及び回路5a、5bを設けており、回路構成が複雑となる。
【0017】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、既知の情報を必要しない偏差補償装置であって、各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合であっても、ハードウエアの制約に柔軟に対応できる偏差補償装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0019】
請求項1に記載された発明は、並列に設けられたN(Nは、2以上の自然数)個の伝送経路に、信号を伝送した際に発生する振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置において、前記N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、偏差を受ける前の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差前信号合成手段と、前記補償手段は、前記偏差前信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする。
【0020】
請求項1記載の発明によれば、N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、偏差を受ける前の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差前信号合成手段と、補償手段は、偏差前信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することにより、既知の情報を必要しない偏差補償装置であって、各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合であっても、ハードウエアの制約に柔軟に対応できる偏差補償装置を提供することができる。
【0021】
請求項2に記載された発明は、無線装置内に並列に設けられたN(Nは、2以上の自然数)個の伝送経路に、信号を伝送した際に発生する振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置において、前記N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、偏差を受けた後の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差後信号合成手段と、前記補償手段は、前記偏差後信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、無線装置内のN個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、偏差を受けた後のN個の伝送経路の信号を合成する偏差後信号合成手段と、補償手段は、偏差後信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することにより、既知の情報を必要しない偏差補償装置であって、各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合であっても、ハードウエアの制約に柔軟に対応できる偏差補償装置を提供することができる。
【0023】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2記載の偏差補償装置において、前記補償手段は、各伝送経路毎及び第1の所定期間毎に、算出する補償値算出手段を有し、該補償値算出手段は、前記N個の伝送経路の信号を合成する前記偏差後信号合成手段又は前記偏差前信号合成手段の出力と当該補償手段が補償する伝送経路の信号の合成信号の差である誤差信号と、前記補償手段が補償する各伝送経路の信号との積の値を、第2の所定期間に亘り平均値を算出する処理を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、各伝送経路毎及び第1の所定期間毎に、算出する補償値算出手段を有し、該補償値算出手段は、N個の伝送経路の信号を合成する偏差後信号合成手段又は偏差前信号合成手段の出力と当該補償手段が補償する伝送経路の信号の合成信号の差である誤差信号と、補償手段が補償する各伝送経路の信号との積の値を、第2の所定期間に亘り平均値を算出する処理を含むことにより、参照信号に含まれる希望信号以外の成分を実質的に除去し、希望信号以外の成分を含む参照信号を用いて偏差を補償することができる。
【0025】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし3いずれか一項記載の偏差補償装置において、各伝送経路毎に、振幅及び位相回転を乗じる回路と、その回路の逆変換を行う回路とを備えたことを特徴とする。
【0026】
請求4項記載の発明によれば、伝送経路毎に、振幅及び位相回転を乗じる回路と、その回路の逆変換を行う回路とを備えたことにより、合成手段において同相、等振幅の合成以外の任意合成方法に柔軟に対応することができる。
【0027】
請求項5に記載された発明は、キャリア周波数を複数用いる無線通信における請求項1ないし4いずれか一項記載の偏差補償装置において、前記補償手段は、前記無線通信で使用する前記複数のキャリア周波数をカバーする周波数帯域を共通増幅する増幅器と、前記増幅器の出力から、それぞれのキャリア周波数を選択する回路と、選択したキャリア周波数をベースバンドに周波数変換する周波数変換回路とを有することを特徴とする。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、補償手段は、無線通信で使用する複数のキャリア周波数をカバーする周波数帯域を共通増幅する増幅器と、増幅器の出力から、それぞれのキャリア周波数を選択する回路と、選択したキャリア周波数をベースバンドに周波数変換する周波数変換回路とを有することにより、キャリア周波数を用いる無線通信においても簡単な構成で振幅及び位相偏差補償系を構成できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0030】
先ず、既知の情報を必要としない偏差補償装置について、図4を用いて説明する。
偏差補償装置100は、並列に複数の信号を複数の伝送経路(ブランチ)に伝送したとき、伝送経路に生じた振幅偏差及び位相偏差を含む偏差を各伝送経路毎に補償する。分岐手段114aは、偏差を受ける前の各伝送経路を通る信号を分岐して、信号Xn(t)(nはブランチ番号、tは時間)を偏差前信号合成手段111aへ出力する。偏差前信号合成手段111aは、信号Xn(t)を合成して、第1の合成信号(基準信号)r(t)を生成する。分岐手段114cは、偏差を受けた後の各伝送経路を通る信号を分岐して、信号Zn(t)を偏差後信号合成手段111bへ出力する。偏差後信号合成手段111bは、信号Zn(t)を合成して、第2の合成信号Y(t)を生成する。なお、偏差後信号合成手段111bの合成方法は、偏差前信号合成手段111aの合成方法と同じ合成方法である。分岐手段114bは、各伝送経路を通る信号を分岐して、信号Un(t)を出力する。補正値算出手段112は、第1の合成信号r(t)と、第2の合成信号Y(t)と、信号Un(t)とに基づいて、偏差を補償するための補正値Wn(t)を各伝送経路毎に算出する。なお、信号Un(t)は、偏差を受けていても、いなくてもどちらでもよい。補償手段113は、各伝送経路の補正値Wn(t)に基づいて、各伝送経路に対応する偏差を動的に補償する。また、図中の領域R1〜R3の少なくとも1つは、偏差を受ける領域を示しており、この領域が図に示すどの位置にあっても本発明では偏差を補償できる。
【0031】
次に、図4の動作について説明する。分岐手段114aで分岐され、偏差前信号合成手段111aへ入力する信号Xn(t)は、この時点では、各伝送経路において偏差を受けていない。偏差前信号合成手段111aは、信号Xn(t)をVnのウエイトで合成して信号(基準信号)r(t)を生成する。信号r(t)は式(1)のようになる。
【0032】
【数1】
Figure 0004253445
ただし、Nはブランチ数、nはブランチ番号である。一方、分岐手段114cで分岐され、偏差後信号合成手段111bへ入力する信号Zn(t)は、各伝送経路においてそれぞれ異なる偏差及び補正ウェイトの演算を受けている。
【0033】
偏差後信号合成手段111bは、信号Zn(t)を、偏差前信号合成手段111aと同様のVnのウエイトで合成して、式(2)の信号Y(t)を得る。
【0034】
【数2】
Figure 0004253445
補正値算出手段112は、上記の入力信号r(t)、Y(t)、Un(t)を用いて、式(3)、式(4)のような演算を逐次的に行って、各伝送経路に対応する偏差の補正ウエイトを求め、補償手段113へ出力する。ただし、μはステップサイズ、△tは補正間隔であり、AはAの共役複素数である。
【0035】
Wn(t+Δt)=Wn(t)+μ・Un(t)・e(t) ・・・(3)
e(t)=r(t)−Y(t) ・・・(4)
式(4)のe(t)は、誤差信号であり、この誤差信号が「零」となるように、補償手段113を制御する。補償手段への補正ウエイトは、△t毎に出力される。補正ウエイトは、前回の補正ウエイトに対して、μ・Un(t)・e(t)だけ付加された値となる。
【0036】
補償手段113は、逐次計算された補正値Wn(t)を用いて、式(5)のような補正を行う。ただし、xn(t)は偏差補正後のn番目経路を伝送される信号である。また、Pn(t)は、補償手段113に入力される各伝送経路の信号であり、システム中の補償手段113の位置により偏差を受ける前の信号、偏差を受けた後の信号の場合がある。
【0037】
xn(t)=Wn(t)・Pn(t) ・・・(5)
このように、図4における偏差補償装置100は、偏差を受けていない信号の第1の合成信号r(t)と、偏差を受けた後の信号の第2の合成信号Y(t)との誤差e(t)を最小にするアルゴリズムで補正ウェイトを更新していく。すなわち、本発明が用いるアルゴリズムとして、LMS(Least Mean Squares)等のMMSE(Minimum Mean square error)法の適用が可能である。
【0038】
また、通常、伝送経路上に設けられた、周波数変換や増幅等を行う回路などの非線形素子は、製造誤差を含む個体差、経年変化及び温度特性等により、それぞれの伝送経路に対して独立した偏差を生じるが、ダイナミックに変動するこれらの偏差を、既知の情報を必要としないでリアルタイムに効率よく補償することが可能になる。
【0039】
しかしながら、図4のものでは、アレーアンテナごとに閉じて処理を行う方式となっている。そのため、ハードウェアのレイアウト、スペース等の制約があり、機能ブロックごとに偏差の補償処理をする必要がある場合、回路構成が複雑となるという問題等を有している。
【0040】
次に、各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合であっても、ハードウエアの制約に柔軟に対応できる偏差補償装置を説明する。
【0041】
図5(A)は、その原理説明図であり、各経路の信号は図の左から右に伝送されるとする。図では4つの伝送経路が示されているが、本発明は、4つの伝送経路に限定されない。
【0042】
図中1は、振幅及び位相偏差を受ける前の各経路を通る信号Xn(t)の分岐手段、2は、それらの信号を任意の方法で合成する合成手段、3〜3は、周波数変換器等の非線形素子であって、各ブランチ間で独立に偏差を発生する非線形素子である。また、4a、4bは、振幅及び位相偏差を受けた後の各組合せ部分の経路を通る信号の振幅及び位相偏差補償ブロックであり、合成手段2からの参照信号r(t)とそれぞれの組合せ部分に入力する各伝送線路の信号を入力して、MMSEなどの適応アルゴリズムで振幅及び位相偏差を補償する。図では、ブランチ番号1、2の組合せの経路を通る信号を振幅及び位相偏差補償ブロック4aで補償し、ブランチ番号3、4の組合せの経路を通る信号を振幅及び位相偏差補償ブロック4bで補償したものが示されているが、本発明では、任意の組合わせで実施され、任意の数の振幅及び位相偏差補償ブロックが用いられる。
【0043】
図5(B)は、振幅及び位相偏差補償ブロック4a、4bの、詳細図である。
【0044】
図中4−1は、補償する伝送経路における信号Xm(t)の分岐手段、補正部4−2は、補償する伝送経路に設けられた補償手段、4−3は、補償された伝送経路からの偏差及び補償された信号Zm(t)の分岐手段、4−4は、分岐手段4−3からの信号を受けてそれらの信号を任意の方法で合成する合成手段、4−5は、合成手段2、合成手段4−4及び分岐手段4−1からのに基づいて、偏差を補償するための補正値Wn(t)を各伝送経路毎に算出する補正値算出手段である。補正値算出手段4−5で、各伝送経路毎に算出された補正値Wn(t)を、各伝送経路に対して補正処理することにより、非線形素子3により発生した偏差を補償する。
【0045】
原理を詳細に説明すると、分岐手段1で分岐される信号Xn(t)は、各経路とも偏差を受けていない。従って、合成手段2でVnのウエイトで合成した信号r(t)は、図4の偏差前信号合成手段111aによる合成信号と同じく、(1)式において、N=4として、
r(t)=V1X1(t)+V2X2(t)+V3X3(t)+V4X4(t)
と表わされる。なお、以下の説明において、N=4でなく、Nとして、一般的に説明する。
【0046】
非線形素子3を通過した信号Xn(t)は各経路においてそれぞれ異なる偏差を受け、振幅及び位相偏差補償ブロック4a、4bに入力される。ここでは図5(B)に詳細を示すように合成手段2からの参照信号r(t)と分岐手段4−1からの各ブランチ信号Xm(t)及び分岐手段4−3の各ブランチ信号の合成信号Zm(t)を合成手段4−4で生成し、これより補正値算出手段4−5で逐次処理により補正ウエイトWを更新していく。
【0047】
ここで、合成手段4−4の合成ウエイトは、2の合成手段において4−4の合成部分で用いるブランチに対応した組合せ部分の合成ウエイトと同じウエイトVmを用いるため合成した信号Y(t)は(6)式のようになる。
【0048】
【数3】
Figure 0004253445
M:組合せ部分のブランチ数(伝送経路の偏差を補償するブランチ数、図では、2である。)
m:組合せ部分のブランチ番号(伝送経路の偏差を補償するブランチの番号)
なお、補正値算出手段4−5においては、上記入力信号を用いて(7)式のような演算を逐次的に行い、各経路に対応する偏差の補正ウェイトを補正部4−2に出力する。
【0049】
【数4】
Figure 0004253445
e(t)=r(t)−Y(t) ・・・(8)
(k):m番目のブランチの信号
μ:ステップ定数
p:平均処理区間(所定のサンプル数の平均を求めることに相当する。)
補正部4−2においては、上記のように逐次計算される補正値W(L)を用いて(9)式のような補正が行われる。
【0050】
なお、Lは、L回目の算出を示し、Wm(L)は、そのときの補正値である。Wm(L+1)は、L回目の次の回の補正値を示す。
【0051】
xm(t)=Wm(t)・Pm(t) ・・・(9)
xm(t):偏差補正後のm番目経路を伝送される信号
Pm(t):補正部4−2に入力される補償される経路の信号
本発明の構成の場合では、従来例の問題点を解決するために参照信号に組合せ部分の信号とは関係のない信号が混入している。つまり、構成を簡単にするために、参照信号r(t)を(1)式に基づいて算出している。(1)式で合成された参照符合r(t)には、補償する伝送経路(1〜mの伝送経路)に関係しない信号も含まれている。この補償する伝送経路に関係しない信号は、(8)式から明らかなように、誤差信号e(t)に含まれることになる。
【0052】
しかしながら、(7)式において、誤差信号e(t)は、補償する伝送経路に係る信号と乗算され、且つ、所定期間の平均が取られる。このとき、補償する伝送経路に関係しない信号と、補償する伝送経路に係る信号とは、無相関であるので、上記所定期間を大きく設定することにより、それらの乗算の平均値は、ほぼ零となる。その結果、(7)式において、補償する伝送経路に関係しない信号は、実用上無視できる値となる。
【0053】
なお、説明の(7)式においてはNLMS(Normalized Least Mean Square)法としているが、本発明においてはこれに限定するものではなく、同様の方式であれば、どのアルゴリズムでも良い。
【0054】
また、図6(A)は信号の流れが、図5(A)とは逆になった場合の原理図であり、図5(A)と異なるのは偏差を受ける前の位置で補正を行う構成としているところである。図6は、図5に準じて、考えられるので、説明を省略する。
【実施例】
図7(A)は、本発明の一実施例構成図であり、振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ上りリンク(受信系)アレーアンテナシステムを示す。
【0055】
図中、図5(A)と同一のものは同一の記号で示してある。各アンテナ101〜101で受信された信号は、非線形素子3〜3で増幅、周波数変換、復調、AD変換等を受けて、ベースバンドのデジタル信号に変換される。この過程において非線形素子3〜3により各アンテナブランチの信号は独立に偏差を受けることになり、このような偏差は信号の入力レベルや時間の経過とともにダイナミックに変化し、リアルタイムでこの偏差を補償することが必要である。
【0056】
分岐手段1で分岐された信号は、合成手段2(偏差前信号合成手段)において合成されるが、この合成信号は非線形素子3〜3で偏差を受ける前の信号の合成信号であるため、信号の振幅及び位相偏差補償ブロック4a、4b(任意のブロックに分割されてもよい)で行う適応処理の参照信号となり得る。この場合この合成信号はRF信号であるため非線形素子3〜3と同一の機能をもつ回路5によって増幅、周波数変換、復調、AD変換等を受けて、ベースバンドのデジタル信号に変換される。信号の振幅及び位相偏差補償ブロック4a、4bは、ハードウエアの制約等により複数の振幅及び位相偏差補償ブロックとなっている。
【0057】
信号の振幅及び位相偏差補償ブロック4においては、図7(B)の詳細図に示すように分岐手段4−1で分岐された各ブランチ信号と分岐手段4−3で分岐された信号を合成手段4−4で合成した信号と回路5の出力信号(参照信号)を用い、誤差信号発生回路4−51、演算手段4−52で上記(7)に示すような式で補正ウエイトを更新していく。ここで計算された補正ウエイトは補正部4−2に入力され、各ブランチに設けられた乗算機で(9)式のような補正が行われる。
【0058】
図8は本発明の一実施例構成図であり、振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ下りリンク(送信系)アレーアンテナシステムを示す。図中第6図と同一のものは同一の記号で示してある。
【0059】
51は、ビームフォーミングネットワークであり、1ユーザに1枚のビームフォーミングネットワーク51を使用する。従って、ビームフォーミングネットワーク51は、少なくとも回線の数具備する。52は、多重化装置(例えば、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重アクセス)を用いる。)である。
【0060】
各ユーザ信号は、アンテナブランチ(伝送経路)数に分割され、ビームフォーミングネットワーク51でビームフォーミングのためのウェイトが乗算される。そのようにして生成された各ユーザの各アンテナブランチ信号は、各アンテナブランチごとに多重化装置52で合成され、多重化される。その多重化信号が伝送され送信部3でDA変換、周波数変換、増幅を受けて各アンテナブランチの、アンテナ101から送信される。
【0061】
この場合、送信部3は、非線形素子であり、各アンテナブランチごとに独立の偏差を受ける。このような偏差は信号の入力レベルや時間の経過とともにダイナミックに変化しており、リアルタイムでこの偏差を補償する必要があることは上述した通りである。
【0062】
この実施例においては、各アンテナブランチの多重信号は送信部3に入力するまで偏差を受けておらず、また、ここまではデジタル信号である。従って、図8(B)において、分岐手段8−1において各アンテナブランチの信号を分岐して、合成手段8−4で、例えば同相、等振幅の合成方法で全アンテナブランチの信号を合成した信号は振幅及び位相偏差が無いレファレンス信号r(t)[(1)式]とすることができる。
【0063】
一方、分岐手段6〜6のディレクショナルカップラで分岐した各アンテナブランチの信号を、合成手段7でそれぞれ対応するブランチの各組合せ部分の合成手段8−4と同様の方法で合成した信号Y(t)[(2)式]は、各アンテナブランチで偏差を受けた信号を用いた合成信号である。この例の場合は送信部3で周波数変換を行う構成を想定しているため、合成手段8−4の合成出力と比較するために回路5において、ベースバンドのデジタル信号に変換する必要がある。振幅及び位相偏差補償ブロック8a、8bは、ハードウエアの制約等により複数の振幅及び位相偏差補償ブロックとなっている。
【0064】
振幅及び位相偏差補償ブロック8a、8bの詳細図を図8(B)に示す。 図に示されているように、分岐手段8−2で分岐された各ブランチ信号と8−1で分岐された信号を合成手段8−4で合成した信号(参照信号r(t))と回路5の出力信号を用い、誤差信号発生回路8−51、演算手段8−52で上記(7)に示すような式で補正ウエイトを更新していく。ここで計算された補正ウエイトは補正部8−3に入力され、各ブランチに設けられた乗算機で(9)のような補正が行われる。
【0065】
図9は、図5の補正値算出手段4−5又は図6の補正値算出手段8−5に当たる部分の詳細を示す。誤差信号発生回路201では、参照信号r(t)と偏差を受けた信号又は偏差を受けた信号に更に補正ウエイトを乗算した各ブランチ信号の合成信号Y(t)との差e(t)を(8)式のように求め演算部202に出力する。演算部202においては(7)式の右辺第2項のΣ[・]を計算し、平均値算出手段203で、その平均値を求め、更にステップ定数μを乗算する。そして、加算器204において、前回の補正ウエイトに加算され、加算された補正ウエイトを図5の補正部4−2又は図6の補正部8−3に出力する。
【0066】
このようにすることで本発明の構成とした場合に参照信号に含まれる希望信号以外の成分を除去することができるため、振幅及び位相補償が正しく行われる。
【0067】
図10は本発明の一実施例構成図であり、振幅及び位相補償回路を組み込んだ上りリンク(受信系)アレーアンテナシステムを示す。図中図7と同一のものは同一の記号で示してある。図7と異なるのは、各ブランチに11−1の乗算器を設け、合成手段2において用いた該当ブランチの合成方法の振幅及び位相ウェイトを各ブランチの多重信号に乗算する回路が加わったことである。
【0068】
ウエイト設定手段13、14は、合成手段2から合成ウエイトに係る情報を得て、合成手段2における設定された振幅及び位相のウェイトを、該当ブランチに対して同じように設定する。
【0069】
更に、これとは逆の演算を行う乗算器12−1が対応して設けられており、合成手段2からはどのような合成方法(合成ウェイト)としたかの情報が乗算器11−2、乗算器12−2に伝えられる。
【0070】
このように構成としたことにより、合成手段2において同相、等振幅の合成以外の任意合成方法に柔軟に対応できる。
【0071】
図11は、振幅及び位相補償回路を組み込んだ下りリンク(送信系)アレーアンテナシステムを示す。図8と同一のものは同一の記号で示してある。このような構成とすることにより、下りリンクにおいても各組合せ部分において任意合成方法に柔軟に対応できる。図10と基本は、同じなので、説明を省略する。
【0072】
図12は、合成手段2の例を示す。図12の合成手段2は、ウエイト計算手段301、ウエイト乗算手段302及び加算手段303から構成されている。
【0073】
ウエイト計算手段301は、加算手段303からの合成出力が任意レベル以上とするようなウエイトを計算する回路であり、外部からの情報(基準値など)と加算手段303からの合成出力からそのウエイトを計算する。例えば、ウエイト計算手段301において信号X1(t)〜XN(t)を、
X1(t)=A1(t)・exp[jα(t)]
X2(t)=A2(t)・exp[jα(t)]
・ ・・・(10)

XN(t)=AN(t)・exp[jα(t)]
A1(t)〜AN(t):各経路の振幅
α1(t)〜α(t):各経路の位相
N:アンテナブランチ数
とすると、X1(t)を基準にして
Y1n(t)=Xn(t)・X1(t)=An(t)・A1(t)・exp[jα(t)−jα(t)] …(11)
n:n番目のブランチ数
を計算し、そのn番目ブランチに対応する位相項を(12)式のように抽出する。
【0074】
Φ(t)=arg(Y1n(t))=α(t)−α(t)・・・(12)
ウエイト計算手段201では、これを用いて(13)式のように、各経路に対応する位相量に変換して出力する。
【0075】
β(t)=exp[−jΦ(t)]・・・(13)
そして、各ブランチに、この位相回転を与えて(14)式のように、各経路の信号をウエイト付けして合成する。
【0076】
【数5】
Figure 0004253445
ウエイト計算手段301ではこの値[G(t)]と基準値を比較して満足していれば、これを合成ウエイトとする。
【0077】
この合成ウエイトの情報は、図10、図11に示した経路により、ウエイト設定手段13、14、15、16に伝えられウエイトが設定される。また、13、15と14、16とでは、それぞれ逆の演算が行われる。
【0078】
図13は、到来方向情報が与えられた場合の合成手段2の例を示す。図13の合成手段2は、ウエイト計算手段304、ウエイト乗算手段302及び加算手段303から構成されている。
【0079】
ウエイト計算手段304において、隣り合うブランチ信号の位相が揃うように合成ウェイトが決定され、ウエイト乗算手段302に送られる。ウエイト乗算手段302においては、そのウエイトで各ブランチ信号を乗算し、加算手段303で合成して、補正値算出手段4−5又は補正値算出手段8−5に伝送する。
【0080】
また、ウエイト計算手段304は、そこで用いた合成ウエイトを、ウエイト設定手段13、14、15、16に伝えられウエイトが設定される。
【0081】
この実施例の場合は、任意ユーザ信号の到来方向が既知の場合を想定している。このようなケースは主に下りリンクのビームフォーミングにおいては容易に実現される。下りリンクビームフォーミングを行うには上りリンクのユーザ信号から到来方向を推定し、この方向にビームを向けるように下りリンクビームフォーミングのウェイトを決めることが一般的であり、下りにおいてはこの方向付けが基地局において既知である。ウエイト計算手段304では到来方向の情報から(15)式のようなウエイトを計算する。
【0082】
W(t)=[1、exp(−jkdsinθ(t))、exp(−jk2dsinθ(t))、…exp(−jk(N−1)dsinθ(t))] ・・・(15)
k:2π/λ(λは下り周波数自由空間波長)
d:アンテナ間隔
θ(t):任意ユーザ信号到来方向
N:アンテナ数
この合成ウエイトの情報は、上述のようにウエイト乗算手段302に送られ各ブランチ信号にこれを乗算して合成し、それを参照信号として出力する。これらのような構成(図12、図13)とすることで、合成手段2及び合成手段8−4の合成出力は常に高レベルに保たれ、その信号を用いて誤差信号が計算されるため、合成方法を固定する場合に比べて信頼性の高い振幅及び位相偏差の補償を行うことができる。
【0083】
図14は、本発明の一実施例構成図であり、振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ上りリンク(受信系)アレーアンテナシステムを示す。図中図7と同一のものは同一の記号で示してある。この図において3と3’は異なるキャリア周波数に対応した受信装置であり、共通のアンテナ101で受信した信号を用いている。通常の構成では各キャリア周波数ごとに振幅及び位相偏差補償系を独立にするが、RF部分がキャリアの数だけ必要であり回路が複雑になる。
【0084】
本発明の構成においてはこれらを共通化して回路を簡略化し複数のキャリア周波数をカバーするように5’の広帯域増幅器で共通増幅し、振幅及び位相偏差補償系では、図14(B)に示すように4−6の帯域フィルタで、希望のキャリア周波数信号を選択し、4−7でデジタル信号まで変換する。このようにして異なるキャリア周波数を用いる無線通信においても簡単な構成で振幅及び位相偏差補償系を構成できる。
【0085】
図15は、本発明の一実施例構成図であり、振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ下りリンク(送信系)アレーアンテナシステムを示す。同中図8と同一のものは同一の記号で示してある。3は複数のキャリア周波数を共通増幅する増幅器を示しており、5”はそれに対応した偏差補償受信系の共通増幅器である。振幅及び位相偏差補償ブロック8aと振幅及び位相偏差補償ブロック8bにおいては異なるキャリア周波数に対応した信号を処理しており、通常の振幅及び位相偏差補償ブロックの場合はそれぞれに対応した受信系が必要であるが、本発明の構成の場合は、図15(B)における8−6の帯域フィルタで希望キャリア周波数信号を選択し、8−7でデジタル信号まで変換する。このようにして異なるキャリア周波数を用いる無線通信においても簡単な構成で振幅及び位相偏差補償系を構成できる
本発明は、セルラ移動通信システムの無線基地局に複数のアンテナ素子を設け、受信した信号をデジタル信号に変換し、演算で任意の振幅及び位相回転を与えて合成することにより所望のビームパターンを形成するアレーアンテナ受信システム(例えば、マルチビームアンテナ、アダプティブアレーアンテナシステム等)に利用可能である。
【0086】
次に、発明の態様を付記として示す。
(付記1)並列に設けられたN(Nは、2以上の自然数)個の伝送経路に、信号を伝送した際に発生する振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置において、
前記N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、
偏差を受ける前の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差前信号合成手段と、
前記補償手段は、前記偏差前信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする偏差補償装置。
(付記2)付記1記載の偏差補償装置において、
前記補償手段は、前記偏差前信号合成手段の出力、当該補償手段が補償する伝送経路の信号の合成出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の偏差を受けた後の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする偏差補償装置。
(付記3)並列に設けられたN(Nは、2以上の自然数)個の伝送経路に、信号を伝送した際に発生する振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置において、
前記N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、
偏差を受けた後の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差後信号合成手段と、
前記補償手段は、前記偏差後信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする偏差補償装置。
(付記4)付記3記載の偏差補償装置において、
前記補償手段は、前記偏差後信号合成手段の出力、当該補償手段が補償する伝送経路の信号の合成出力及び及び当該補償手段が補償する伝送経路の偏差を受けた前の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする偏差補償装置。
(付記5)付記1ないし4いずれか一項記載の偏差補償装置において、
前記補償手段は、各伝送経路毎に、第1の所定期間毎に算出する補償値算出手段を有し、
該補償値算出手段は、前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差後信号合成手段又は偏差前信号合成手段の出力と当該補償手段が補償する伝送経路の信号の合成信号の差である誤差信号と、前記補償手段が補償する個々の伝送経路の信号との積の値を、第2の所定期間に亘る平均値を算出する処理を含むことを特徴とする偏差補償装置。
(付記6)付記1ないし5いずれか一項記載の偏差補償装置において、
少なくとも補償される各伝送経路毎に、振幅及び位相回転を乗じる回路と、その回路の逆変換を行う回路とを備えたことを特徴とする偏差補償装置。
(付記7)付記1ないし6いずれか一項記載の偏差補償装置において、
偏差前信号合成手段又は偏差後信号合成手段は、その合成出力が、所定レベル以上のレベルが維持できるようにウエイト付されて合成されることを特徴とする偏差補償装置。
(付記8)付記6記載の偏差補償装置において、
前記補償される各伝送経路毎に設けられた振幅及び位相回転を乗じる回路は、請求項7に記載されたウエイトと同じウエイトを乗じる回路であることを特徴とする偏差補償装置。
(付記9)付記1ないし8いずれか一項記載の偏差補償装置において、
偏差を受ける前の各経路の信号を合成する回路は、隣り合う伝送経路の位相差が同じになるようにウエイトを設定することを特徴とする偏差補償装置。
(付記10) キャリア周波数を複数用いる無線通信における請求項1ないし9いずれか一項記載の偏差補償装置において、
前記無線通信で使用する周波数帯域をカバーする増幅器と、それぞれのキャリア周波数を選択する回路とベースバンドに周波数変換する周波数変換回路とを有することを特徴とする偏差補償装置。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば上りリンクにおいてはRF部分を必要最小限とするため、偏差を受ける前の各経路の信号を合成して参照信号(レファレンス)とし、偏差を受けた後の信号はハードの制約がある場合に組合せを行い機能ブロック間の配線を減らし、また、下りリンクの場合はハードの制約に対処するため各組合せ部分の信号を合成して参照信号とし、偏差を受けた後の信号はRF部分を必要最小限とするため各経路の信号を合成して適応処理部に渡し、それらの信号と各ブランチ信号を用いてMMSEなどの逐次処理により偏差補正値を算出し振幅及び位相偏差を補償するように構成したため、ハードウエアやキャリア周波数処理の制約を回避して自由な構成を可能とし、基本性能もダイナミックな偏差にリアルタイムで対応でき、偏差補償後の信号によるアダプティブ処理の信頼性が高く、効率の良いビームフォーミングが上り/下りリンク双方で可能となり、デジタル領域におけるマルチビームアンテナ、アダプティブアレーアンテナを適用したセルラ移動通信無線基地局の実現に寄与するところが大きい。
【0087】
【図面の簡単な説明】
【図1】アダプティブアレーアンテナを適用したシステム構成を説明するための図である。
【図2】アレーアンテナのビームパターンを説明するための図である。
【図3】各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合の従来の偏差補償を説明するための図である。
【図4】既知の情報を必要としない偏差補償装置を説明するための図である。
【図5】各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合であっても、ハードウエアの制約に柔軟に対応できる偏差補償装置を説明するための図(その1)である。
【図6】各ブランチの処理が複数のブロックに分割化された場合であっても、ハードウエアの制約に柔軟に対応できる偏差補償装置を説明するための図(その2)である。
【図7】振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ上りリンク(受信系)アレーアンテナシステム(その1)である。
【図8】 振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ下りリンク(送信系)アレーアンテナシステム(その1)である。
【図9】補正値算出手段の詳細を説明するための図である。
【図10】振幅及び位相補償回路を組み込んだ上りリンク(受信系)アレーアンテナシステム(その2)である。
【図11】振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ下りリンク(送信系)アレーアンテナシステム(その2)である。
【図12】合成手段の詳細を説明するための図(その1)である。
【図13】合成手段の詳細を説明するための図(その2)である。
【図14】振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ上りリンク(受信系)アレーアンテナシステム(その3)である。
【図15】振幅及び位相偏差補償回路を組み込んだ下りリンク(送信系)アレーアンテナシステム(その3)である。
【符号の説明】
1、6、4−1、4−3、6−1、8−1、8−2、114 分岐手段
2、7、4−4、8−4、111 合成手段
3 送信部、増幅器、周波数変換器、復調器、AD変換器等の非線形素子
4、8 振幅及び位相偏差補償ブロック
4−2 補正部
4−51、8−51、201 誤差信号発生回路
4−52、8−52 演算手段
5 非線形素子3に対応する回路
11−1、12−1 乗算器
13、14、15、16 ウエイト設定手段
51 ビームフォーミングネットワーク
52 多重化装置
100 偏差補償装置
113 補償手段
101 アンテナ
202 演算部
203 平均値算出手段
204 加算器
301、304 ウエイト計算手段
302 ウエイト乗算手段302
303 加算手段303

Claims (5)

  1. 並列に設けられたN(Nは、2以上の自然数)個の伝送経路に、信号を伝送した際に発生する振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置において、
    前記N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、
    偏差を受ける前の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差前信号合成手段と、
    前記補償手段は、前記偏差前信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする偏差補償装置。
  2. 無線装置内に並列に設けられたN(Nは、2以上の自然数)個の伝送経路に、信号を伝送した際に発生する振幅偏差及び位相偏差の少なくとも一方の偏差を補償する偏差補償装置において、
    前記N個の伝送経路内のM(Mは、M<Nの自然数)個の伝送経路の偏差を補償する補償手段と、
    偏差を受けた後の前記N個の伝送経路の信号を合成する偏差後信号合成手段と、
    前記補償手段は、前記偏差後信号合成手段の出力及び当該補償手段が補償する伝送経路の信号に基づいて、偏差を補償することを特徴とする偏差補償装置。
  3. 請求項1又は2記載の偏差補償装置において、
    前記補償手段は、各伝送経路毎及び第1の所定期間毎に、補償値を算出する補償値算出手段を有し、
    該補償値算出手段は、前記N個の伝送経路の信号を合成する前記偏差後信号合成手段又は前記偏差前信号合成手段の出力と当該補償手段が補償する伝送経路の信号の合成信号の差である誤差信号と、前記補償手段が補償する各伝送経路の信号との積の値を、第2の所定期間に亘り平均値を算出する処理を含むことを特徴とする偏差補償装置。
  4. 請求項1ないし3いずれか一項記載の偏差補償装置において、
    各伝送経路毎に、振幅及び位相回転を乗じる回路と、その回路の逆変換を行う回路とを備えたことを特徴とする偏差補償装置。
  5. キャリア周波数を複数用いる無線通信における請求項1ないし4いずれか一項記載の偏差補償装置において、
    前記補償手段は、前記無線通信で使用する前記複数のキャリア周波数をカバーする周波数帯域を共通増幅する増幅器と、前記増幅器の出力から、それぞれのキャリア周波数を選択する回路と、選択したキャリア周波数をベースバンドに周波数変換する周波数変換回路とを有することを特徴とする偏差補償装置。
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