JP4253199B2 - 永久磁石形回転電機およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータに設けられた永久磁石の外周表面を保持環で覆った高速回転用の永久磁石形回転電機およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の永久磁石形回転電機は例えば下記特許文献1に記載されており、図7のようになっている。図7において、符号101および105は、それぞれ永久磁石形回転電機のステータおよびロータを示しており、ステータ101は電機子鉄心に電機子巻線(図示していない)を巻回した構造となっている。
【0003】
ロータ105は軸受107によりステータ101の軸心部に回転可能に支持されると共に、シャフト109の周面に配置された複数の界磁用の永久磁石111と、この永久磁石111を取囲む保持環113a,113bとで構成されている。シャフト109は、両サイドに円板状のフランジ部109aを有すると共に、中央部位で所定の隙間eを有して2つに分割されている。
【0004】
保持環は、端部と中央部の3つの部分からなり、端部の保持環113aには、前記シャフト109のフランジ部109aと対向し合うほぼ同一径のエンドリング部115が形成されている。エンドリング部115は永久磁石111の軸方向の動きを規制すると共に、中心部位には、中心軸心孔117が貫通して形成されている。中心軸心孔117はシャフト109の軸径より若干径大に形成され、シャフト109に対して軸心線上に位置決めされた状態で嵌挿している。
【0005】
中央に位置する保持環113bの中央部位にはエンドリング部119が形成され、その中心部位には中心軸心孔121が貫通して形成されている。中心軸心孔121は、シャフト109の軸径より若干径大に形成され、シャフト109に対して軸心線上に位置決めされた状態で嵌挿している。シャフト109は中央に位置する保持環113bのエンドリング部119の厚み内において前記した如く左右2つの部分が突き合わせられた形状となっている。
【0006】
図8は、図7の“VIII”部拡大図である。図8に示すように、中央に位置する保持環113bと左右に位置する保持環113aの各突合せ面、および、端部の保持環113aとシャフト109のフランジ部109aの突合せ面は、電子ビーム溶接によって溶接部Wを形成して一体に結合されている。これにより、溶接部Wの幅は数ミリで済むようになっている。
【0007】
永久磁石111は、保持環113a,113bの軸心方向の長さより短く設定された断面円弧状に形成されると共に、外周面は保持環113a,113bの内周面に接着剤122等の手段によって固定支持されている。永久磁石111は、内周側がS極、外周側がN極に磁化されたものと内周側がN極、外周側がS極に磁化されたものとが極数に応じてシャフト109に沿って交互に配置され、界磁を発生する。
【0008】
永久磁石111と永久磁石111の対向面は、中間に位置する保持環113bと端部に位置する保持環113aとの溶接部Wに近接しており、端面外縁111aは、リング状に削り落された形状となっている。これにより、保持環溶接時の熱の影響を直接受けるのが回避され、永久磁石111の特性の劣化を防ぐことができる。
【0009】
このように構成された永久磁石形回転電機においては、ステータ101によって発生せられた回転磁界とロータ105が発生する界磁とにより回転トルクを発生し、ロータ5が回転する。この回転時において保持環113a,113bは、ロータ105が回転することによって作用する遠心力で永久磁石111が飛散するのを防ぐため、高速回転が可能となる。
【0010】
同時に、保持環113a,113b及びシャフト109は一体構造であるため、ロータ105は高い強度剛性を有する。また、シャフト109が熱の影響で伸びても、分割部の隙間eによって、その伸び代を吸収し、振動の突然の変化、熱曲がり等を未然に防ぎ、安定した高速回転が得られる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−278898号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な電子ビーム溶接では、溶接対象物を真空チャンバ内に設置し、チャンバ内を真空状態にして溶接を行なっている。上記のように、従来の永久磁石形回転電機では、ロータ105の界磁発生手段として永久磁石111を用い、中央に位置する保持環113bと端部に位置する保持環113aの各突合せ面と、端部の保持環113aとシャフト109のフランジ部109aの突合せ面が、電子ビーム溶接によって一体に結合されるが、溶接する際、保持環113a,113bとシャフト109で囲まれた空間が密封された状態となっているため、保持環113a,113bとシャフト109で囲まれた空間内は、十分な真空状態にすることが出来ず、且つ溶接により発生する金属蒸気により、内部の圧力が上昇し、金属蒸気が溶接部Wより噴出するため、溶接不良が生じやすい。
【0013】
また、中央に位置する保持環113bと左右に位置する保持環113aの各突合せ面を溶接する場合、保持環の外周側に電子ビームを照射し、保持環の突合せ溶接を行なうが、溶接時に電子ビーム照射面と反対側(保持環の内周面)から高温金属粒子P(スパッタ)が放射状に発生する。
【0014】
従来構造では永久磁石111と溶接部Wの位置が近接しているので、溶接によって発生する高温金属粒子Pが、永久磁石111を保持環113a,113bに固定している接着剤122に付着する。そのため、高温金属粒子Pの熱により接着剤122が気化し、溶接チャンバ内の真空度が低下して溶接不良が生じる。
【0015】
従って、従来の永久磁石形回転電機では、保持環113a,113bの突合せ溶接、及び保持環113a,113bとシャフト109の溶接部が不完全な溶接結合となってしまい、高速回転に耐え得る溶接強度を得ることが出来ない状況となりやすい。
【0016】
同様に、従来構造では永久磁石111と溶接部Wの位置が近接しているため、溶接により発生する高温金属粒子P(スパッタ)が永久磁石111に付着し、高温金属粒子Pの熱により、永久磁石111に局部的な熱減磁が生じる。従って、永久磁石111の熱減磁を生じた部分から磁束が発生されず、十分な界磁を得ることが出来ないため、永久磁石形回転電機の所定の出力(トルク)が得られない。
【0017】
このように、従来の永久磁石形回転電機においては、溶接時の金属蒸気によるロータ105の内部圧力上昇、及び永久磁石固定用接着剤122の気化による溶接チャンバ内真空度低下により、保持環113a,113bおよびシャフト109の溶接部Wの溶接不良が生じやすく、また、永久磁石111の熱減磁による回転電機出力の低下が生じがちである。
【0018】
そこで本発明は、ロータ製作時の溶接不良および永久磁石の熱減磁がなく、高出力で安定した高速回転の得られる永久磁石形回転電機およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、電機子鉄心に電機子巻線を巻回して構成したステータと、このステータの軸心部に回転可能に内装されたロータとを有し、前記ロータは、軸受に支承されたシャフトと、前記シャフトの周面を覆い前記シャフトの軸方向に沿って複数設けられ相互に溶接結合されるとともに端部のものは前記シャフトに溶接結合された複数の保持環と、前記保持環の内周面に固着された界磁用の複数の永久磁石とを備え、前記保持環同士の溶接結合部と前記シャフト外周部に形成した環状空間および前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部、前記永久磁石、前記シャフト外周部とで形成した環状空間を、前記シャフトの中心に設けられ機外に連通する中心孔とこの中心孔および前記環状空間とを連通する半径方向の気抜き孔を設けた永久磁石形回転電機において、前記保持環に前記永久磁石の軸方向位置を決め、且つ前記シャフトと前記保持環との溶接により発生する高温金属粒子が前記永久磁石に吹き付けられることを防止する突起を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項2の発明は、電機子鉄心に電機子巻線を巻回して構成したステータと、このステータの軸心部に回転可能に内装されたロータとを有し、前記ロータは、軸受に支承されたシャフトと、前記シャフトの周面を覆い前記シャフトの軸方向に沿って複数設けられ相互に溶接結合されるとともに端部のものは前記シャフトに溶接結合された複数の保持環と、前記保持環の内周面に固着された界磁用の複数の永久磁石とを備え、前記保持環同士の溶接結合部と前記シャフト外周部に形成した環状空間および前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部、前記永久磁石、前記シャフト外周部とで形成した環状空間を、前記シャフトの中心に設けられ機外に連通する中心孔とこの中心孔および前記環状空間とを連通する半径方向の気抜き孔を設けた永久磁石形回転電機において、前記シャフトに、前記シャフトと前記保持環との溶接により発生する高温金属粒子が前記永久磁石に吹き付けられることを防止する突起を設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部の半径方向位置は、前記永久磁石の位置より内径側である構成とする。
【0021】
請求項4の発明は、前記シャフトに、前記シャフトと前記保持環との溶接により発生する高温金属粒子が前記永久磁石に吹き付けられることを防止する突起を設けた構成とする。
【0022】
請求項5の発明は、前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部は、前記保持環および前記シャフトとは材質の異なる中間部材が介在されて溶接結合されている構成とする。
請求項6の発明は、前記中間部材は、リング形状または薄肉のシート形状である構成とする。
請求項7の発明は、前記中間部材は、溶接結合前に前記保持環または前記シャフトに肉盛り形成される構成とする。
【0023】
請求項8の発明は、前記保持環および前記シャフトの材料は各々SUS630、SCM435であり、前記中間部材はSUS309である構成とする。
請求項9の発明は製造方法であり、軸方向に沿って複数設けられた前記保持環同士の溶接結合は、実際のシャフトを使用せず、気抜き孔を有する模擬シャフトによって前記保持環を支持して行う構成とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1、図2および図3を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1はこの実施の形態の永久磁石形回転電機の概要断面図である。図2はこの実施の形態の永久磁石形回転電機に備えられる保持環の断面図である。図3は図1のIII部分の拡大断面図である。
【0025】
図1において、符号1は、永久磁石形回転電機のステータ、5はロータをそれぞれ示しており、ステータ1は電機子鉄心に電機子巻線(図示していない)を巻回した構造となっている。ロータ5は軸受7に支持されたシャフト9を備えてステータ1の軸心部に回転可能に設けられており、シャフト9の周面を取囲む保持環13と、保持環13の内周面に配置された複数の界磁用の永久磁石11とで構成されている。
【0026】
保持環13は軸方向左右の2つが備えられ、左右の保持環13,13は保持環突合せ結合部31で電子ビーム溶接により溶接部23を形成し結合されている。また、保持環片側軸端側に、シャフト9の軸径より若干径大に形成された嵌合部32を有し、シャフト9に対し軸心線上に位置決めされた状態で嵌挿され、シャフト9と保持環13は嵌合部32で電子ビーム溶接により溶接部24を形成し結合されている。尚、電子ビーム溶接は、真空チャンバ内にロータ5を設置し、真空チャンバ内を真空状態に保って行なう。
【0027】
シャフト9は、半径方向中心に中心孔25を設け、シャフト9の軸方向中央部、及び軸方向両端部に、中心から半径方向外周側に向かってに貫通する気抜き孔26を複数個設けている。また、気抜き孔26のシャフト外周側端にはシャフト9を一周する円周方向溝26aを形成してあり、円周方向溝26aの外径側には保持環13の内周面との間に環状空間30が形成されている。
【0028】
このような構成により、保持環突合せ溶接部23、及びシャフト9と保持環13の溶接部24を電子ビーム溶接にて溶接する際に、保持環13とシャフト9で閉じられる空間とロータ5の外部とが、環状空間30、シャフト9に設けられた円周方向溝26a、気抜き孔26、及び中心孔25により連通する。
【0029】
そのため、保持環13とシャフト9で閉じられた空間の真空度を溶接に必要な真空状態とすることができ、且つ溶接により発生する金属蒸気を十分に排出することが可能となり、内部の圧力上昇を回避し、溶接不良による溶接強度低下を防止することできる。更に気抜き孔26を複数個設けているため、大量の金属蒸気が発生した場合においても、十分に排出することができ、同様に溶接不良による溶接強度低下を防止することできる。
【0030】
永久磁石11の外周面は保持環13の内周面に接着剤等の手段により固定支持されている。永久磁石11は、内周側がS極、外周側がN極に磁化されたものと、内周側がN極、外周側がS極に磁化されたものとが極数に応じて前記保持環13内周面に交互に配置され、界磁を発生する。
【0031】
保持環13とシャフト9とを溶接結合する溶接部24の半径方向位置は、永久磁石11の半径方向位置に対し、より内径側に配置されている。これにより、保持環13とシャフト9とを溶接結合する際に発生する高温金属粒子(スパッタ)が永久磁石11及び永久磁石11を固定支持している接着剤に付着することを防ぐことができる。その結果、接着剤が気化することなく、真空チャンバの真空度を保持することができ、溶接不良を回避することができる。また、永久磁石11の熱減磁も回避することができるため、回転電機出力の低下をきたすことなく、ロータ5を製作することが出来る。
【0032】
永久磁石11の軸方向位置は、保持環内周面に設けられている永久磁石位置決め用突起27により固定支持されており、保持環13の内周面に永久磁石11を貼り付ける際、正確な軸方向位置に永久磁石11を配置することができ、且つ容易に位置決め調整を行なうことが可能となり、永久磁石貼り付け作業時間を短縮することができる。
【0033】
また、永久磁石位置決め用突起27により、溶接時に保持環13とシャフト9との溶接部24から発生する高温金属粒子が永久磁石11及び永久磁石11を固定している接着剤に付着することを防ぐことができる。その結果、接着剤が気化することなく、真空チャンバの真空度を保持でき、溶接不良を回避することができる。また、永久磁石11の熱減磁も回避することができるため、回転電機出力の低下をきたすことなく、ロータ5を製作することが出来る。
【0034】
また、シャフト9の保持環13と溶接結合する溶接部24に第3の金属を溶接により予め肉盛りし、その後シャフトと同軸心で、高精度の機械仕上げ加工を行い、保持環13との嵌合を同一軸線上に、高精度な同芯度で組み立てることが可能となる。これにより、バランスの保たれたロータ5を構成できるため、安定した高速回転を得ることができる。
【0035】
さらに、材質が異なる保持環13とシャフト9の間に第3の金属を介在させて溶接することにより、異種材料間の結合を弱くする金属組織の生成が防止され、溶接部の強度が向上する中間層が生成され、高強度の溶接部24が得られる。従って、高遠心力が発生する高速回転においても、安定した運転が可能となる。
【0036】
具体的には、保持環13とシャフト9の材料が各々Cr−Ni系ステンレス鋼SUS630(JIS記号)、Cr−M鋼SCM435(JIS記号)とした場合、溶接部に挟み込む第3の金属をCr−Ni系ステンレス鋼SUS309(JIS記号)とすることにより、保持環13とシャフト9との結合はより強固なものとなり、溶接部24の溶接強度を格段に向上させることができる。
【0037】
次に本発明の第2の実施の形態について図4と図5を参照して説明する。図4はこの実施の形態における模擬シャフトを用いた保持環突合せ溶接時の配置を示す軸断面図である。図5はこの実施の形態における永久磁石形回転電機の概要断面図である。
【0038】
この実施の形態においては図4に示すように、保持環突合せ溶接時には模擬シャフト41を用い、保持環13を軸方向両端の嵌合部42で支持した状態で溶接を行う。模擬シャフト41は、半径方向中心に中心孔25を設け、また、保持環突合せ溶接部23に対応する軸方向中央部中心から半径方向外周側に向かってに貫通する気抜き孔26を複数個設けている。
【0039】
これにより、保持環突合せ溶接部23を電子ビーム溶接にて溶接する際に、保持環13と模擬シャフト41で閉じられる空間と外気とが、模擬シャフト41に設けられた気抜き孔26及び中心孔25により通じているため、保持環13と模擬シャフト41で閉じられた空間の真空度を溶接に必要な真空状態とすることができ、且つ溶接により発生する金属蒸気を十分に排出することが可能となる。その結果、内部の圧力上昇を回避し、溶接不良による溶接強度低下を防止することできる。更に気抜き孔26を複数個設けているため、大量の金属蒸気が発生した場合においても、十分に排出することができ、効果的に溶接不良による溶接強度低下を防止することできる。
【0040】
上記のように、この実施の形態は保持環突合せ溶接時に模擬シャフト41を用い、保持環13を軸方向両端の嵌合部42で支持して溶接を行うため、実際使用するシャフト9の軸中央部に気抜き孔(図1の26)、及び保持環13とシャフト9内で閉じられた空間と気抜き孔との連通を促進するための円周方向溝(図1の26a)が不要となり、シャフト剛性を低下させることなく、ロータ5を製作することができる。従って、ロータ5の固有振動数を低下させることなく、高速回転においても、安定した運転が可能となる。
【0041】
次に本発明の第3の実施の形態について図6を参照して説明する。この実施の形態においては、シャフト9の軸端側に溶接により発生する高温金属粒子が永久磁石11のほうへ飛散するのを防止する突起28を設けている。これにより、溶接時に保持環13とシャフト9との溶接部24から発生する高温金属粒子が永久磁石11及び永久磁石11を固定している接着剤に付着することを防ぐことができる。その結果、接着剤が気化することなく、真空チャンバの真空度を保持でき、溶接不良を回避することができる。また、永久磁石11の熱減磁も回避することができるため、回転電機出力の低下をきたすことなく、ロータ5を製作することが出来る。
【0042】
また、この実施の形態においては、保持環13とシャフト9は、溶接部24にリング状の中間部材29を挟み込み、溶接により結合されている。リング状中間部材29は、シャフト9、若しくは保持環13の溶接部24に容易に嵌め込むことが可能であり、作業効率が向上し、製作時間を短縮することができる。また、リング状の中間部材29は、組立前に機械加工により同芯度を出すことができるため、シャフト9若しくは保持環13との嵌合を同一軸線上に、高精度な同芯度で組み立てることができる。したがって、バランスの保たれたロータ5を構成できるため、安定した高速回転を得ることができる。
【0043】
また、この中間部材29の形状は、薄肉のシート状としてもよい。これにより、シート状の金属は安価で入手が容易であるため、製造コストを低減することができる。また、作業時の取扱いが容易であるため、製作時間を短縮することができる。なお、中間部材29は前記第1の実施の形態における第3の金属と同じ組成によって同じ効果を生じる。
【0044】
さらに、保持環13、及びシャフト9の溶接は、レーザー溶接で溶接するのが良い。レーザ溶接で保持環13及びシャフト9の溶接を行なうことにより、大気中で溶接することが可能となり、真空に引くための溶接専用容器、若しくは真空引きの作業が不要となり、製造に要する工程、及び時間を短縮することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ロータ製作時の溶接不良および永久磁石の熱減磁がなく、高出力で安定した高速回転の得られる永久磁石形回転電機およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の永久磁石形回転電機の概要断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の永久磁石形回転電機に備えられる保持環の断面図。
【図3】図1のIIIの部分の拡大図。
【図4】本発明の第2の実施の形態の永久磁石形回転電機の製造方法を示す概要断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の永久磁石形回転電機の概要断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態の永久磁石形回転電機の要部を示す断面図。
【図7】従来の永久磁石形回転電機の概要断面図。
【図8】図7のVIIIの部分の拡大図。
【符号の説明】
1…ステータ、5…ロータ、7…軸受、9…シャフト、11…永久磁石、13…保持環、23…溶接部、24…溶接部、25…中心孔、26…気抜き孔、26a…円周方向溝、27…永久磁石位置決め用突起、28…高温金属粒子防止用突起、29…リング状中間部材、30…環状空間、31…保持環突合せ結合部、32…保持環シャフト嵌合部、41…模擬シャフト、42…嵌合部、101…ステータ、105…ロータ、107…軸受、109…シャフト、109a…円板状フランジ部、111…永久磁石、111a…永久磁石端面外縁、113a,113b…保持環、115…エンドリング部、117…中心軸心孔、119…エンドリング部、121…中心軸心孔、122…接着剤、W…溶接部、P…高温金属粒子、e…隙間。
Claims (9)
- 電機子鉄心に電機子巻線を巻回して構成したステータと、このステータの軸心部に回転可能に内装されたロータとを有し、前記ロータは、軸受に支承されたシャフトと、前記シャフトの周面を覆い前記シャフトの軸方向に沿って複数設けられ相互に溶接結合されるとともに端部のものは前記シャフトに溶接結合された複数の保持環と、前記保持環の内周面に固着された界磁用の複数の永久磁石とを備え、前記保持環同士の溶接結合部と前記シャフト外周部に形成した環状空間および前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部、前記永久磁石、前記シャフト外周部とで形成した環状空間を、前記シャフトの中心に設けられ機外に連通する中心孔とこの中心孔および前記環状空間とを連通する半径方向の気抜き孔を設けた永久磁石形回転電機において、前記保持環に前記永久磁石の軸方向位置を決め、且つ前記シャフトと前記保持環との溶接により発生する高温金属粒子が前記永久磁石に吹き付けられることを防止する突起を設けたことを特徴とする永久磁石形回転電機。
- 電機子鉄心に電機子巻線を巻回して構成したステータと、このステータの軸心部に回転可能に内装されたロータとを有し、前記ロータは、軸受に支承されたシャフトと、前記シャフトの周面を覆い前記シャフトの軸方向に沿って複数設けられ相互に溶接結合されるとともに端部のものは前記シャフトに溶接結合された複数の保持環と、前記保持環の内周面に固着された界磁用の複数の永久磁石とを備え、前記保持環同士の溶接結合部と前記シャフト外周部に形成した環状空間および前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部、前記永久磁石、前記シャフト外周部とで形成した環状空間を、前記シャフトの中心に設けられ機外に連通する中心孔とこの中心孔および前記環状空間とを連通する半径方向の気抜き孔を設けた永久磁石形回転電機において、前記シャフトに、前記シャフトと前記保持環との溶接により発生する高温金属粒子が前記永久磁石に吹き付けられることを防止する突起を設けたことを特徴とする永久磁石形回転電機。
- 前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部の半径方向位置は、前記永久磁石の位置より内径側であることを特徴とする請求項1または2記載の永久磁石形回転電機。
- 前記シャフトに、前記シャフトと前記保持環との溶接により発生する高温金属粒子が前記永久磁石に吹き付けられることを防止する突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転電機。
- 前記保持環と前記シャフトとの溶接結合部は、前記保持環および前記シャフトとは材質の異なる中間部材が介在されて溶接結合されていることを特徴とする請求項1または2記載の永久磁石形回転電機。
- 前記中間部材は、リング形状または薄肉のシート形状であることを特徴とする請求項5記載の永久磁石形回転電機。
- 前記中間部材は、溶接結合前に前記保持環または前記シャフトに肉盛り形成されることを特徴とする請求項5記載の永久磁石形回転電機。
- 前記保持環および前記シャフトの材料は各々SUS630、SCM435であり、前記中間部材はSUS309であることを特徴とする請求項5記載の永久磁石形回転電機。
- 軸方向に沿って複数設けられた前記保持環同士の溶接結合は、実際のシャフトを使用せず、気抜き孔を有する模擬シャフトによって前記保持環を支持して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の永久磁石形回転電機の製造方法。
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