JP4251932B2 - 動力舵取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に使用される油圧式の動力舵取装置であって、操舵補助力を発生する油圧アクチュエータから油圧ポンプ側への作動油の逆流を規制する逆止弁を備える動力舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の動力舵取装置として、特許文献1に開示されたものがある。この動力舵取装置では、油圧アクチュエータに供給された圧油が油圧ポンプ側に逆流することを阻止する逆止弁が、油圧コントロールバルブの入力ポートに内蔵される。逆止弁は、筒体と、筒体の内部に移動可能に挿入された可動栓と、可動栓を筒体に設けられた弁座側に付勢する弁バネとを備え、可動栓の周面部の外周と筒体の内周との間には、圧油の流通を許容する空間が形成されている。そして、車両が縁石に乗り上げたりした際に転舵輪に加わる外力で、油圧アクチュエータに供給された作動油が油圧ポンプ側に逆流してハンドルを取られる、いわゆるキックバック現象が、この逆止弁により防止される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−115782号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
キックバック現象を防止するにあたっては、圧油の逆流を発生させる事態が生じたとき、逆止弁が速やかに閉弁することが好ましい。そして、そのための一手法として、可動栓を付勢する弁バネのバネ力を大きく設定することが行われている。
【0005】
一方、可動栓の周面部の外周と筒体の内周との間には、前記従来技術のように開弁時に作動油を流通させる必要性から、または熱膨張や公差を考慮して、径方向での隙間が形成されている。
【0006】
このように、可動栓の周面部の外周と筒体の内周との間に径方向での隙間が形成されていると、弁バネのバネ力を大きくした場合に、開弁時に弁バネのみで支持される浮動状態になる可動栓が、逆止弁を通る圧油の流量の変動により揺動して筒体に衝突し、異音が発生する。そこで、この異音の発生を防止するためには、開弁可動栓が浮動状態にならないように、弁バネのバネ力を小さくして、可動栓をストッパに当接させることが考えられる。ところが、バネ力を小さくすると、圧油の逆流が生じるときの閉弁応答性が低下して、逆止弁が速やかに閉弁せず、キックバック現象の防止効果が低下する問題がある。
【0007】
さらに、前記隙間は、温度変化による筒体および可動栓の膨張または収縮により拡大することがあり、その場合には、可動栓が大きく揺動して筒体に衝突するため、さらに大きな異音が発生する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜5記載の発明は、動力舵取装置において、開弁状態にある逆止弁の弁体が弁ボディに衝突することに起因する異音の発生を防止すること、および、可撓部およびスリットが形成された弁体の製造の容易化を図り、しかもキックバック現象の防止効果の向上および操舵感の向上を図ることを目的とする。そして、請求項3〜5記載の発明は、キックバック現象の防止効果を向上および操舵感の向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給された作動油により操舵補助力を発生する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータに対する作動油の給排を制御する油圧制御弁と、前記油圧ポンプから前記油圧制御弁への作動油の供給油路を形成する油路形成部材に設けられて前記油圧アクチュエータから前記油圧ポンプへの作動油の逆流を規制する逆止弁とを備える動力舵取装置において、前記逆止弁は、弁座が設けられた弁ボディと、前記弁ボディ内にその内周面に対して摺動可能な状態で収容されて前記弁座に着座可能な弁体と、前記弁体が前記弁座に着座するように前記弁体を付勢する弁バネとを有し、前記弁体には、前記内周面に接触して前記弁体を摺動可能に支持する複数の支持片が周方向に間隔をおいて径方向外方に突出すると共に前記弁体の開閉方向に延びて設けられ、前記弁ボディ内で作動油が流通する弁内油路が、周方向で隣接する前記支持片を両側壁として形成され、前記支持片のうちの少なくとも1つには、径方向に撓むことが可能な可撓部と、前記可撓部に対して径方向内方に位置して前記可撓部が弾性変形により径方向内方に撓むことを許容するスリットとが形成され、前記可撓部が前記弾性変形による弾性力で前記内周面を常時押圧することにより、前記逆止弁の開弁状態時に前記弁体が前記内周面に常時接触する状態に保たれる動力舵取装置である。
【0010】
これによれば、キックバック現象の防止効果を高めるために弁バネのバネ力が大きく設定されて、逆止弁の開弁状態時に弁座から離れた弁体が浮動状態にある場合にも、可撓部の弾性力により、弁体は内周面に常時接触した状態に保たれる。そして、温度変化により弁体および弁ボディが膨張・収縮して、弁体と内周面との間の径方向での隙間が増加したとしても、可撓部は、前記隙間の大きさに対して弾性変形により撓んで、内周面との接触状態を維持することができることから、弁体が作動油の流量変動により揺動することが防止または抑制されて、弁体が弁ボディに衝突することが防止される。
【0011】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、動力舵取装置の逆止弁の弁体には、可撓部と該可撓部が弾性変形により撓むことを許容するスリットとが形成され、可撓部が弾性変形による弾性力で内周面を常時押圧することにより、温度変化で弁体および弁ボディが膨張・収縮したとしても、開弁状態時に弁体が弁ボディに衝突することが防止されるので、弁体が弁ボディに衝突することに起因する異音の発生が防止される。
【0013】
また、可撓部およびスリットは支持片を利用して形成されるので、周方向で隣接する支持片を両側壁として形成される弁内油路が確保されたうえで、可撓部およびスリットを形成するために弁体の構造が複雑化することがない。さらに、可撓部およびスリットが全ての支持片に形成される場合には、温度変化により弁体と内周面との間の径方向での隙間が増加したときに、可撓部と内周面との接触状態を保つための個々の可撓部の撓みの変化は小さくてよいので、各可撓部の弾性力を小さく設定できることで、摺動抵抗が低減されて、弁体の開閉移動が円滑になると共に、弁体の作動油の流量変動時の揺動が一層効果的に防止または抑制される。
【0014】
この結果、弁体には、内周面に接触する複数の支持片が周方向に間隔をおいて径方向外方に突出すると共に弁体の開閉方向に延びて設けられ、可撓部およびスリットは、支持片のうちの少なくとも1つに形成されていることにより、周方向で隣接する支持片を両側壁として形成される弁内油路が確保されたうえで、可撓部およびスリットを形成するために弁体の構造が複雑化することがないので、弁体の製造が容易になる。さらに、全ての支持片に可撓部およびスリットが形成されることにより、引用された請求項記載の発明の効果が高められた効果が奏されるうえ、弁体の開閉移動が円滑になるので、弁体の閉弁応答性が高められて、キックバック現象の防止効果が向上し、開弁応答性が高められて、補助操舵力の発生応答性が高められ、操舵感が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の動力舵取装置において、前記可撓部および前記スリットは、全ての前記支持片に形成されているものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の動力舵取装置において、前記各支持片において、前記可撓部以外の部分には、径方向外方に突出すると共に前記内周面に接触する粒状の突起が形成され、前記可撓部および前記突起により、前記開弁状態時に前記弁体が前記可撓部および前記突起以外の部分で前記内周面に接触することが防止されるものである。
【0016】
これによれば、開弁状態時の弁体は、可撓部以外には、粒状の突起のみにより内周面に常時接触する状態に保たれ、しかも、粒状の突起は、支持片において周方向および開閉方向で局部的に形成された部分であるので、可撓部および突起以外の部分で、支持部を径方向に小型化することができて、弁体が軽量化される。
【0017】
この結果、請求項3記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、各支持片において、可撓部以外の部分には、内周面に接触する粒状の突起が形成され、可撓部および突起により、開弁状態時に弁体が可撓部および突起以外の部分で内周面に接触することが防止されることにより、弁体が軽量化されるので、弁体の閉弁応答性が高められて、キックバック現象の防止効果が向上し、開弁応答性が高められて、補助操舵力の発生応答性が高められ、操舵感が向上する。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の動力舵取装置において、前記可撓部が形成された前記支持片には、前記開閉方向で間隔を置いた1対の前記可撓部と、それら1対の前記可撓部に対応する1対の前記スリットとが形成されているものである。
【0019】
これによれば、弁体は、開閉方向に間隔を置いた位置で、弾性変形により撓んでいる1対の可撓部が内周面との接触状態を保つようにできることから、温度変化により弁体と内周面との間の径方向での隙間が増加したとしても、弁体の揺動が効果的に抑制されて、弁体が内周面に衝突することが防止され、そのうえ開閉方向に対する弁体の傾斜も一層小さくなって、弁体の開閉移動が円滑になる。また、全ての支持片に1対の可撓部が設けられるとにより、さらに、これら作用がさらに効果的になされる。
【0020】
この結果、請求項4記載の発明によれば、可撓部が形成された支持片には、開閉方向で間隔を置いた1対の可撓部と1対のスリットとが形成されていることにより、弁体が内周面に衝突することが防止され、しかも弁体の開閉移動が円滑になるので、引用された請求項記載の発明の効果が高められた効果が奏される。そして、すべての支持片に可撓部およびスリットが形成されることにより、これらの効果がさらに高められる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項3または請求項4記載の動力舵取装置において、前記可撓部は、径方向外方に突出した粒状の突出部を有し、前記突出部にて内周面を押圧するものである。
【0022】
これによれば、粒状の突出部は、可撓部において周方向および開閉方向で局所的に形成された部分であるので、突出部以外の可撓部を径方向に小型化することができて、弁体が軽量化される。
【0023】
この結果、請求項5記載の発明によれば、可撓部は、粒状の突出部にて内周面を押圧することにより、弁体が軽量化されるので、引用された請求項記載の発明の効果の効果が高められた効果が奏される。
【0024】
なお、この明細書において、軸線方向は、弁体の開閉方向に平行な弁体の中心軸線が延びる方向を意味し、径方向および周方向は、前記中心軸線を中心とした「径方向」および「周方向」をそれぞれ意味する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図9を参照して説明する。
図1〜図6は、本発明の第1実施例を説明するためのものであり、図1は、本発明が適用された車両用の油圧式動力舵取装置1の一部を断面図で示した全体概略図である。ラック・ピニオン型の動力舵取装置1は、作動油を貯留するリザーバ2と、油圧ポンプ3と、ギヤボックス10と、リザーバ2と油圧ポンプ3とを接続する吸入管4と、油圧ポンプ3とギヤボックス10とを接続する導管から構成される供給管5と、ギヤボックス10とリザーバ2とを接続する還流管6とを備える。
【0026】
車両に搭載された内燃機関により駆動される油圧ポンプ3は、リザーバ2から吸入管4を通って吸入されて高圧となった作動油を、供給管5およびギヤボックス10の後述する油圧制御弁V(図2参照)を経てパワーシリンダ機構16に供給する。リザーバ2には、パワーシリンダ機構16から排出された作動油が、油圧制御弁Vおよび還流管6を経て流入する。
【0027】
ギヤボックス10は、ラック軸13を前記車両の左右方向に移動自在に収容する筒状のハウジング11と、ハウジング11の端部寄りに設けられて油圧制御弁Vを収容する弁ハウジング12とを備える。ラック軸13の両端部には、1対のボールジョイント14を介して1対のタイロッド15の一端部がそれぞれ連結され、さらに各タイロッド15の他端部は、連動機構(図示されず)を介して転舵輪に連結される。ここで、1対のタイロッド15および前記連動機構は、左右の前記転舵輪の転舵を行う転舵機構を構成する。
なお、以下の第1実施例の説明においては、特に断らない限り、「左右」は、前記車両における左右を意味するものとする。
【0028】
ハウジング11の中間部には、油圧アクチュエータとしてのパワーシリンダ機構16が設けられる。パワーシリンダ機構16は、ハウジング11の一部分から構成されるパワーシリンダ17と、ラック軸13に固定されてパワーシリンダ17内にラック軸13の軸方向に摺動自在に嵌合されるパワーピストン18と、パワーピストン18の両側にそれぞれ形成された第1油室19および第2油室20とを備える。
【0029】
図2を併せて参照すると、弁ハウジング12には、舵取操作部材であるステアリングホイール(図示されず)に連結機構を介して連結される入力軸21と、入力軸21に一体に結合されるトーションバー22を介して入力軸21に対して相対回転可能に連結される出力軸(図示されず)とが、それぞれ回転自在に収容される。前記出力軸の下端部には、ハウジング11内で、ラック軸13に形成されたラックと噛合するピニオンが形成されている。
【0030】
油圧ポンプ3およびリザーバ2とパワーシリンダ機構16との間の作動油の給排を制御するロータリ弁からなる油圧制御弁Vは、入力軸21と一体に回転する弁軸23と、弁軸23を収容すると共に前記出力軸と一体に回転する弁スリーブ24とを備え、複数のランド23aを有する弁軸23と複数の制御溝24aを有する弁スリーブ24の相対移動である相対回転に応じて第1,第2油室19,20に対する作動油の給排を制御する。そして、弁ハウジング12には、油圧ポンプ3の吐出ポート部3aに接続される供給管5が接続されて油圧ポンプ3からの作動油が流入する入口ポート25が形成される入口ポート部12aと、第1,第2油室19,20にそれぞれ連通する第1,第2油管7,8がそれぞれ接続される出力ポート部12b,12cと、還流管6が接続される出口ポート部12dとが設けられる。
【0031】
そして、前記ステアリングホイールが操作されると、前記ラックと噛合する前記ピニオンによりラック軸13が左右方向に移動して、1対のタイロッド15を介して左右の前記転舵輪の転舵が行われる。このとき、路面抵抗などによる路面からの反力に基づいて生じる入力軸21と前記出力軸との回転差によるトーションバー22の捩れ量、すなわち操舵トルクに対応して油圧制御弁Vが作動し、前記ステアリングホイールの操作方向に応じて、油圧ポンプ3からの作動油が供給管5、油圧制御弁Vおよび油管7(または油管8)を経て第1油室19(または第2油室20)に供給される一方、第2油室20(または第1油室19)の作動油が油管8(または油管7)、油圧制御弁Vおよび還流管6を経てリザーバ2に排出されて、操舵トルクに応じた油圧がパワーシリンダ機構16の第1,第2油室19,20に生じ、両油室19,20の差圧に基づいて発生した操舵補助力がラック軸13に付加されて、運転者の操舵力が軽減される。
【0032】
このように、ギヤボックス10は、入力軸21、トーションバー22、前記出力軸、前記ピニオン、ラック軸13、油圧制御弁Vおよびパワーシリンダ機構16を備える。そして、前記連結機構、入力軸21、トーションバー22、前記出力軸および前記ピニオンから構成される操舵トルク伝達機構が、運転者により前記ステアリングホイールに加えられる操舵トルクをラック軸13に伝達する。
【0033】
また、第1実施例における吐出ポート部3a、入口ポート部12a、供給管5および後述するフレアシート26は、油圧ポンプ3から吐出された作動油を油圧制御弁Vを介してパワーシリンダ機構16へ供給するための、作動油の供給油路を構成する油路形成部材である。
【0034】
図2,図3を参照すると、油圧制御弁Vを収容する弁ハウジング12の入口ポート部12aの入口ポート25にフレアシート26が挿入され、さらに供給管5の拡開された先端部がフレアシート26と入口ポート部12aにねじ込まれるフレアナット27に挟み付けられることにより、フレアシート26が入口ポート部12aに結合されると共に、供給管5がフレアシート26に接続される。
【0035】
入口ポート部12aには、油圧ポンプ3から吐出されて供給管5を経て入口ポート25に供給される作動油が所定値を超える油圧を有するときに開弁して、作動油が油圧制御弁Vを介してパワーシリンダ機構16の第1,第2油室19,20に供給されることを許容する一方で、前記車両が縁石に乗り上げた際などに前記転舵輪に加わる外力がラック軸13を通じてパワーピストン18に作用して、第1,第2油室19,20の作動油が油圧ポンプ3側へ逆流することを規制する逆止弁、この第1実施例では逆流を阻止する逆止弁30が内蔵されて設けられる。この逆止弁30により、第1,第2油室19,20の作動油が油圧ポンプ3側に逆流して、前記操舵トルク伝達機構に悪影響を与える現象、例えば前記ステアリングホイールを取られたりする現象であるキックバック現象が防止される。
【0036】
以下、図3〜図6を主に参照して、逆止弁30を中心にさらに説明する。
図3を参照すると、逆止弁30は、フレアシート26により構成されて弁座41が設けられた弁ボディ40と、弁ボディ40内に摺動可能に収容されて弁座41に着座可能な弁体50と、弁体50が弁座41に着座するように弁体50をそのバネ力で付勢する圧縮コイルバネからなる弁バネ60と、弁バネ60の一端部60aを保持するバネ受け70とを有する。そして、弁バネ60およびバネ受け70は、それらの中心軸線が、後述する開閉方向に平行な弁体50の中心軸線Lと同軸となるように配置される。
【0037】
弁ボディ40には、油圧ポンプ3からパワーシリンダ機構16(図2参照)へ向かって順方向に流れる作動油が流入する入口42と、順方向に流れる作動油が油圧制御弁V(図2参照)に向けて流出する出口43と、弁体50が収容されると共に作動油が流通する収容孔44と、バネ受け保持部45とが形成されている。ここで、収容孔44は、弁体50がその開閉方向D(中心軸線Lが延びる方向、すなわち軸線方向でもある。)に移動可能に収容されている部分であり、弁ボディ40の内周面46により規定される。そして、該内周面46は、弁体50が内周面46に対して摺動可能であるように、少なくとも、弁体50の後述する可撓部80が接触する開閉方向Dでの範囲内で、例えば円柱面(図5参照)から構成される。
【0038】
図4を併せて参照すると、全体が、合成樹脂により形成される弁体50は、弁座41に接離することにより入口42を開閉する制御部51と、制御部51よりも下流側に位置すると共に、収容孔44内で弁体50を内周面46に対して開閉方向Dにほぼ平行に摺動可能に支持する支持部52と、弁バネ60の他端部60bを保持するバネ受け部56とを有する。ここで、上流側および下流側は、作動油の順方向での流れに関するものである。
【0039】
さらに、図5を併せて参照すると、支持部52は、円柱状の基体部53と、内周面46に接触して弁体50を摺動可能に支持すべく、支持部52の外周面に周方向に間隔を置いて基体部53から径方向外方に突出すると共に開閉方向Dにほぼ平行に延びて形成された複数、例えば5つの羽根状の支持片54とから構成される。そして、基体部53の外周面53aと内周面46との径方向での間には、基体部53を底壁とすると共に周方向で隣接する支持片54を両側壁として形成される複数、ここでは5つの溝57が、周方向に等間隔に配置された支持片54を挟んで形成される。ここで、5つの支持片54は同一形状であり、5つの溝57も同一形状である。また、開閉方向Dにほぼ平行に延びる各溝57は、弁ボディ40内で作動油が流通する弁内油路58を形成する。さらに、基体部53の中心軸線が弁体50の中心軸線Lである。
【0040】
内周面46に径方向で対向する対向面54aを有する各支持片54には、対向面54aの一部分54a1を有すると共に、各支持片54において径方向外方寄り(内周面寄り)に位置すると共に径方向に撓むことが可能な可撓部80と、可撓部80に対して径方向内方に位置すると共に可撓部80が弾性変形により径方向内方に撓むことを許容するスリット81とが形成されている。
【0041】
スリット81は、開閉方向Dで開方向側(この第1実施例では下流側)での支持片54の端面54dに開口すると共に支持片54の周方向での幅全体に渡って、かつ開閉方向Dに延びて形成されている。また、開閉方向Dに延びて形成されて、一端部である下流側の端部80aと、他端部である閉方向側(この第1実施例では上流側)の端部80bとを有する可撓部80は、弁体50が弁ボディ40に収容されている状態である収容状態で、逆止弁30の閉弁状態時および開弁状態時に、内周面46に常時接触する接触部C(図6も参照)を有し、該接触部Cにて可撓部80が弾性変形による弾性力で内周面46を常時押圧する。
【0042】
図6を併せて参照すると、開閉方向Dで各支持片54の下流側の端部54bに相当する位置に形成された接触部Cは、第1実施例では、弁体50が弁ボディ40に収容されていない状態である自然状態(図6に、二点鎖線で示されている。)で、弁体50が弁ボディ40に収容されたと仮定したときの内周面46の位置に対応する仮想内周面46′に対して径方向外方に位置する部分からなる拡開部80cから構成される。拡開部80cの開閉方向Dでの形成範囲および仮想内周面46′からの径方向での突出量は、開弁状態時の弁体50が、拡開部80c以外の部分で内周面46に接触することを防止することができるように、かつ前記収容状態にある弁体50の摺動抵抗が極力小さくなるように設定される。
【0043】
ここでは、拡開部80cは、各可撓部80の下流側の端部80aに形成されて、端面80a1を有して形成されているが、可撓部80において、任意の位置に形成されていればよく、例えば端面80a1から開閉方向Dで離れた位置に設けられていてもよい。そして、各可撓部80は、前記収容状態で、拡開部80cの付近で弾性変形により径方向内方に撓んで、拡開部80cが、内周面46に常時接触すると共に、可撓部80の弾性変形による弾性力で内周面46を常時押圧する。同時に、弁体50は、可撓部80の弾性力で内周面46に押圧されている。
【0044】
図3を参照すると、基体部53には、弁バネ60の中心軸線を中心軸線とする円筒状の溝53b(図5も参照)が形成され、弁バネ60の他端部60bが溝53b内に収容された状態で基体部53に当接して保持される。この溝53bを形成する部分により、弁バネ60の他端部60bを保持するバネ受け部56が形成される。
【0045】
また、円板状のバネ受け70は、弁ボディ40の出口43を形成する端部47での内周面46に形成されて周方向に延びる段部47aに配置された後、端部47の一部である円環状の薄肉部47bが全周に渡ってかしめられることにより形成されるバネ受け保持部45によりボディ40に固定される。
【0046】
図5を併せて参照すると、バネ受け70は、弁ボディ40に固定される外周部71と、中央部に位置して弁バネ60の一端部60aが当接する中心部72とを有する。そして、バネ受け70には、径方向に延びて外周部71と中心部72とを連結する複数、この第1実施例では3つの連結部73により仕切られて、外周部71と中心部72との間に、周方向に間隔を置いて複数、この第1実施例では3つの弧状の長孔からなる開口74が、収容孔44内に位置するように形成される。
【0047】
中心部72は、一端部60aが嵌るように弁バネ60の内側空間内で開閉方向Dに突出する半球状の突出部72aを有する。この突出部72aは、弁バネ60の径方向での移動を阻止すると共に、逆止弁30の開弁時に基体部53の中心部53bが突出部72aに当接することにより、弁体50の開弁方向での最大移動量を規定するストッパ75として機能する。なお、この明細書において、ストッパ75は、弁ボディ40を構成しないものとする。
【0048】
また、開口74は、図5に示されるように、開閉方向Dから見て、溝57と重なる部分を有するように形成される。それゆえ、逆止弁30の開弁状態時に、入口42から流入した作動油の大部分を占める主流が、弁バネ60を径方向に通り抜けることなく、弁内油路58、収容孔44の一部および開口74を開閉方向Dに流通して出口43に達する。
【0049】
図3を参照すると、弁体50が弁座41に着座するように弁体50を付勢する弁バネ60のバネ力は、パワーシリンダ機構16(図2参照)の第1,第2油室19,20から油圧制御弁Vを経て油圧ポンプ3に向かう作動油の逆流を速やかに規制するように逆止弁30の閉弁応答性を高めて、すなわち閉弁動作時の弁体50の移動速度を高め、もってキックバック現象の防止効果を向上させるために、逆止弁30の通常の作動域では、開弁状態時に、弁体50が浮動状態を維持するように、かつ所要の開弁応答性、すなわち開弁動作時の弁体50の移動速度が確保される範囲で極力大きな値に設定されている。なお、この明細書において、浮動状態とは、逆止弁30の開弁状態時に、弁体50が開閉方向Dにおいて弁バネ60のみにより支持されて、ストッパ75に当接して該ストッパ75により開閉方向Dでの移動が規制されていない状態を意味する。
【0050】
弁バネ60のバネ力がこのように設定され、しかも可撓部80の拡開部80c(図6参照)が可撓部80の弾性変形に基づく弾性力で内周面46と接触することにより、逆止弁30の開弁状態時に、油圧ポンプ30から吐出されて供給管5から流入する作動油の流量が、圧力制御弁V(図2参照)の弁軸23と弁スリーブ24との回転方向での相対移動量に対応して変動するときにも、弁体50が収容孔44内で揺動することが殆どない状態、もしくは揺動が抑制された状態で安定して支持されて、弁体50は、拡開部80c以外の部分で内周面46、すなわち弁ボディ40に接触することが防止される。
【0051】
次に、前述のように構成された第1実施例の作用および効果について説明する。
前記ステアリングホイールが操作されると、油圧ポンプ3から吐出された作動油が、その油圧により開弁する逆止弁30を通り、さらに該ステアリングホイールの操作方向および操舵トルクの大きさに対応して作動する油圧制御弁Vを経て、第1油室19(または第2油室20)に供給される一方、第2油室20(または第1油室19)の作動油が、油圧制御弁Vを経て還流管6を通ってリザーバ2に排出され、操舵補助力がラック軸13に付加される。
【0052】
そして、前記車両が縁石に乗り上げたときなどに、前記転舵輪に加わる外力がラック軸13に伝達され、パワーピストン18が第1油室19または第2油室20の作動油を油圧ポンプ3側に逆流させようとするときは、逆止弁30が閉弁することによりその逆流が阻止されて、キックバック現象の発生が防止される。
【0053】
このとき、動力舵取装置1において、パワーシリンダ機構16から油圧ポンプ3への作動油の逆流を阻止する逆止弁30の弁体50には、弁内油路58を形成している5つの支持片54が周方向に間隔を置いて径方向に突出すると共に開閉方向Dにほぼ平行に延びて設けられる。そして、各支持片54には、可撓部80と、可撓部80に対して径方向内方に位置して可撓部80が弾性変形により径方向内方に撓むことを許容するスリット81とが形成され、可撓部80が弾性変形による弾性力で内周面46を常時押圧することにより、キックバック現象の防止効果を高めるために弁バネ60のバネ力が大きく設定されて、開弁状態時に弁座41から離れた弁体50が浮動状態にある場合にも、可撓部80の弾性力により、弁体50は内周面46に常時接触した状態に保たれる。また、温度変化により弁体50および弁ボディ40が膨張・収縮して、弁体50と内周面46との間の径方向での隙間が増加したとしても、可撓部80は、前記隙間の大きさに対して弾性変形により撓んで、内周面46との接触状態を維持することができることから、浮動状態の弁体50が作動油の流量変動により揺動することが防止または抑制されて、開弁状態時に弁体50が内周面46もしくは弁ボディ40に衝突することが防止されるので、弁体50が弁ボディ40に衝突することに起因する異音の発生が防止される。
【0054】
可撓部80およびスリット81は支持片54を利用して形成されるので、基体部53の外周面53aと内周面46との径方向での間に、周方向で隣接する支持片54を両側壁として形成される弁内油路58が確保されたうえで、可撓部80およびスリット81を形成するために弁体50の構造が複雑化することがないので、弁体50の製造が容易になる。
【0055】
弁体50の全ての支持片54に可撓部80およびスリット81が形成されることにより、温度変化により弁体50と内周面46との間の前記隙間が増加したときに、可撓部80と内周面46との接触状態を保つための個々の可撓部80の撓みの変化は小さくてよいことから、各可撓部80の弾性力を小さく設定できることで、摺動抵抗が低減されて、弁体50の開閉移動が円滑になるので、弁体50の閉弁応答性が高められて、キックバック現象の防止効果が向上し、開弁応答性が高められて、補助操舵力の発生応答性が高められ、操舵感が向上する。また、全ての支持片54に可撓部80およびスリット81が形成されることにより、作動油の流量変動時に、浮動状態にある弁体50の揺動が一層効果的に防止または抑制されるので、開弁状態時に弁体50が弁ボディ40に衝突することが確実に防止されるので、前記異音の発生が確実に防止される。
【0056】
また、弁体50の全体が合成樹脂から形成されることにより、逆止弁30が閉弁する際、弁体50が弁座41に衝突することで発生する衝突音が、制御部51が金属である場合に比べて低減するので、該衝突音に起因する騒音が低減し、しかも弁体50が軽量化されるので、この点でもキックバック防止効果および操舵感の向上に寄与できる。
【0057】
次に、図7および図9を参照して、本発明の第2〜4実施例を説明する。第2〜4実施例は、第1実施例とは支持片の構造が主に相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、必要に応じて同一の用語および符号を使用した。
【0058】
図7を参照すると、第2実施例において、弁体50の各支持片54には、図7(a)に示されるように、可撓部82と、可撓部82に対して径方向内方に位置すると共に可撓部82が弾性変形により径方向内方に撓むことを許容する第1実施例のスリット81と同様のスリット83とが形成されている。
【0059】
可撓部82は、接触部Cを除いて第1実施例の可撓部80と同様である。可撓部82の下流側の端部82aに形成された接触部Cは、可撓部82に属する対向面84aの部分54a1において、周方向および開閉方向Dで局部的に該部分54a1から径方向外方に突出した1つの粒状の突出部82cからなる。図7(b),(e)を併せて参照すると、突出部82cは、前記自然状態で、ほぼ半球形状に形成されて、突出部82cの一部は仮想内周面46′よりも径方向外方に位置する。
【0060】
各可撓部82は、前記収容状態で、突出部82cの付近で弾性変形により径方向内方に撓んで、突出部82cにおいて逆止弁30(図3参照)の開弁状態時および閉弁状態時に内周面46に常時接触する。
【0061】
図7(a),(c),(d)を参照すると、各支持片54の可撓部82以外の部分には、周方向および開閉方向Dで局所的に径方向外方に突出した部分であって、内周面46に接触する1つの粒状の突起95が形成されている。この突起95は、支持片54の上流側の端部54c付近の対向面54aの部分に設けられる。そして、各支持片54において、突出部82cと突起95とは、開閉方向Dと平行な直線上で、対向面54a上で開閉方向Dに比較的大きな間隔を置いて位置する。図7(a),(d)に示されるように、突起95は、弁ボディ40に収容される前の自然状態で、ほぼ半球形状に形成されて、球面の一部からなる表面を有する。
【0062】
突出部82cおよび突起95の大きさは、作動油の流量変動により、開弁状態時に弁体50が突出部82cおよび突起95以外の部分で内周面46もしくは弁ボディ40に接触しない範囲で、かつ開閉方向Dへの移動時の摺動抵抗が極力小さくなるように設定される。そして、各支持片54の突出部82cおよび突起95により、逆止弁30の閉弁状態時および開弁状態時時に、弁体50が突出部82cおよび突起95以外の部分で弁ボディ40に接触することが防止される。
【0063】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。すなわち、各支持片54において、可撓部82以外の部分には、内周面46に接触する粒状の突起95が形成され、可撓部82の突出部82cおよび突起95により、開弁状態時に弁体50が突出部82cおよび突起95以外の部分で内周面46に接触することが防止されることにより、開弁状態時の弁体50は、突出部82c以外には、粒状の突起95のみにより内周面46に常時接触する状態に保たれ、しかも、突起95は、支持片54において周方向および開閉方向で局部的に形成された部分であることから、突起95以外の部分で支持部54を径方向に小型化することができて、弁体50が軽量化されるので、弁体50の閉弁および開弁応答性が高められて、キックバック現象の防止効果および操舵感が向上する。
【0064】
突出部82cおよび突起95は、各支持片54の、開閉方向Dでの両端部54b,54c付近に1つずつ設けられることにより、開閉方向Dに比較的大きな間隔を置いて位置することになるので、浮動状態にある弁体50が開閉方向Dに対して傾くことが抑制されて、弁体50の開閉移動が円滑になるので、この点でも、閉弁応答性および開弁応答性が高められて、キックバック防止効果および操舵感が向上する。
【0065】
可撓部82は、径方向外方に突出した粒状の突出部82cを有し、突出部82cにて内周面46を押圧することにより、突出部82cは、可撓部82において周方向および開閉方向Dで局所的に形成された部分であるので、突出部82cおよび突起95以外の部分で可撓部82および支持部54を径方向に小型化することができて、弁体50が軽量化されるので、この点でも、閉弁応答性および開弁応答性が高められて、キックバック防止効果および操舵感が向上に寄与できる。
【0066】
図8を参照すると、第3実施例において、弁体50の各支持片54には、1対の可撓部84,86が開閉方向Dで間隔を置いて形成され、それら可撓部84,86に対応する1対のスリット85,87が開閉方向Dで間隔を置いて形成されている。
【0067】
図8(a),(b)を参照すると、下流側のスリット85は、支持片54の端面54dに開口すると共に支持片54の周方向での幅全体に渡って、かつ開閉方向Dに延びて形成されている。開閉方向Dに延びて形成された下流側の可撓部84は、開閉方向Dで支持片54の下流側の端部54bに相当する位置に形成された接触部Cとしての拡開部84cを有する。拡開部84cは、前記収容状態で、逆止弁30の閉弁状態時および開弁状態時に、内周面46に常時接触する。
【0068】
図8(a),(c)を参照すると、上流側のスリット87は、支持片54の上流側の端面54eに開口すると共に、支持片54の周方向での幅全体に渡って、かつ開閉方向Dに延びて形成されている。開閉方向Dに延びて形成された上流側の可撓部86は、開閉方向Dで支持片54の上流側の端部54eに相当する位置に形成された接触部Cとしての拡開部86cを有する。拡開部86cは、前記収容状態で、逆止弁30の閉弁状態時および開弁状態時に、内周面46に常時接触する。
【0069】
そして、図8に示されるように、閉弁状態時および開弁状態時に、弁体50は、これら拡開部84c,86cのみで内周面46に接触し、各支持片54において開閉方向Dでの両拡開部84c,86cの間は、内周面46に対して非接触状態にある。
【0070】
この第3実施例によれば、全ての支持片54には、開閉方向Dで間隔を置いた1対の可撓部84,86と1対のスリット85,87とが形成されていることにより、開閉方向Dで間隔を置いた位置で、より具体的には、各支持片54の両端部54b,54cに1つずつ設けられて、開閉方向Dに比較的大きな間隔を置いた位置で、両拡開部84c,86cにおいて、1対の可撓部84,86が内周面46との接触状態を保つようにできることから、温度変化により弁体50と内周面46との間の径方向での隙間が増加したとしても、浮動状態にある弁体50の揺動が効果的に抑制されて、弁体50が内周面46もしくは弁ボディ40に衝突することが防止され、そのうえ開閉方向Dに対する弁体50の傾斜も一層小さくなって、弁体50の開閉移動が円滑になるので、第1実施例の効果が高められた効果が奏される。
【0071】
図9を参照すると、第4実施例は、第3実施例と同様に、全ての支持片54に、それぞれ、1対の可撓部88,90が開閉方向Dで間隔を置いて形成され、それら可撓部88,90に対応する1対のスリット89,91が開閉方向Dで間隔を置いて形成されたものであり、各支持片84の下流側および上流側の可撓部88,90に形成される接触部Cが、第3実施例における拡開部84c,86cの代わりに第2実施例の突出部82cと同様の突出部88c,90cから構成されたものである。具体的には、各支持片54において、上流側および下流側のスリット89,91は、第3実施例のそれぞれスリットと同様に両端部54b,54cの端面54d,54eにそれぞれ開口し、第3実施例と同様の上流側および下流側の可撓部88,90には、それぞれの可撓部88,90に属する対向面54aの部分54a1,54a2において、周方向および開閉方向で局部的に該部分54a1,54a2から径方向外方に突出した1つずつの粒状の突出部88c,90cが形成される。
【0072】
図9(a)に示されるように、突出部88c,90cは、前記自然状態で、ほぼ半球形状に形成されて、突出部88c,90cの一部は仮想内周面46′よりも径方向外方に位置する。そして、図9(b),(c)に示されるように、各可撓部88,90は、前記収容状態で、突出部88c,90cの付近で弾性変形により径方向内方に撓んで、突出部88c,90cにおいて逆止弁30の開弁状態時および閉弁状態時に内周面46に常時接触する。
【0073】
そして、この第4実施例によれば、各支持片54に、開閉方向Dで間隔を置いた1対の可撓部88,90と1対のスリット89,91とが形成され、可撓部88,90が粒状の突出部88c,90cを有することにより、第2,第3実施例と同様の作用および効果が奏される。
【0074】
以下、前述した各実施例の一部の構成を変更した例について、変更した構成に関して説明する。
第1実施例における可撓部80およびスリット81は、支持片84の下流側の端部54b側ではなく、支持片54の上流側の端部54c(図4参照)側に形成されてもよい。第3実施例における両可撓部84,86の接触部Cの一方は、拡開部ではなく、第2実施例の突出部82cと同様の突出部から構成されてもよい。第2実施例における接触部Cは、突出部82cではなく、第1実施例の拡開部80cと同様の拡開部から構成されてもよい。また、第2実施例における可撓部82およびスリット83が支持片54の上流側の端部54c側に形成され、かつ第2実施例における突起95が支持片54の下流側の端部54b側に形成されてもよい。
【0075】
第2,第4実施例の各支持片54において、開閉方向Dでほぼ同じ位置を占めると共に周方向に間隔を置いた複数の突出部または複数の突起が設けられてもよい。また、突起および突出部は、半球形以外の形状であってもよい。さらに、前記各実施例において、複数の支持片54は同一形状でなくてもよく、スリットは、端面で開口していなくてもよい。
【0076】
接触部、すなわち拡開部または突出部は、全ての支持片に設けられる必要はなく、接触部および突起以外での弁体50の弁ボディ40との接触を防止することができる限り、支持片のみに可撓部およびスリットが形成された支持片(すなわち可撓部付き支持片)は、少なくとも1つであってよい。例えば弁体が、複数の支持片のうち1つの可撓部付き支持片を有する場合、弁体は、可撓部が内周面に作用させる弾性力により、その反作用で、可撓部が設けられていない別の支持片が内周面に押圧される。そして、弁体は、可撓部および該別の支持片で、開弁状態時に弁体が弁ボディに常時接触する状態に保たれて、弁体の弁ボディへの衝突が防止される。また、第2実施例において、全ての支持片に可撓部が設けられていない場合、可撓部がない支持片の下流側および上流側の両端部に、それぞれ突起が形成される。
【0077】
弁体の支持部は、支持片を有することなく、円柱状の基体部のみから構成されてもよく、その場合には可撓部およびスリットは、基体部自体に設けられ、弁内油路は該基体部の内部に形成された孔により形成される。
【0078】
逆止弁を構成する弁ボディは、前記実施例では、フレアシートから構成されたが、導管とポート部とを接続するまたは導管同士を接続する接続用部材である管継手などを含め、前記供給油路を形成する前記油路形成部材を構成する部材から構成されてもよい。また、前記油路形成部材とは別個の、単に逆止弁の部分としてのみ機能する部材から構成されてもよい。さらに、弁ボディは、複数の部材が一体に結合されて構成されてもよい。
【0079】
ストッパは、前記実施例では、バネ受け70から構成されたが、弁ボディの一部、または弁ボディに取り付けられる部材により形成されてもよい。そして、この場合にも、該ストッパは弁ボディを構成しないものとする。
【0080】
逆止弁は、前記実施例では、作動油の逆流を阻止することにより逆流を規制するものであったが、前記転舵輪に外力が作用するとき、前記転舵機構に過大な外力が作用しないように、逆止弁の閉弁時に作動油の僅かな漏れ量の逆流を許容するように、作動油の逆流を規制するものであってもよい。
【0081】
また、本発明は、弁体が、浮動状態にある場合はもちろん、ストッパ75に相当するストッパに当接した状態においても作動油の流量変動により揺動して、弁ボディに当たるような逆止弁に対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である車両用の油圧式動力舵取装置の一部を断面図で示した全体概略図である。
【図2】図1の動力舵取装置の油路および閉弁状態時の逆止弁を中心とした説明図である。
【図3】開弁状態時の図2の逆止弁を中心とした要部拡大図であり、図5のIII−III矢視での断面図である。
【図4】図2の逆止弁の弁体の側面図である。
【図5】図3のVa−Va矢視での弁ボディの断面図であり、弁体のAb矢視図である。
【図6】図3のVI部分の拡大図である。
【図7】本発明の第2実施例を示し、(a)は、図4に対応する要部拡大図であり、(b)は、(a)の突出部付近の拡大断面図であり、(c)は、(a)の突起付近の拡大断面図であり、(d)は、(a)のd矢視の拡大図であり、(e)は、(a)のe矢視の拡大図である。
【図8】本発明の第3実施例を示し、(a)は、図4に対応する要部拡大図であり、(b)は、(a)の下流側の拡開部付近の拡大断面図であり、(c)は、(a)の上流側の拡開部付近の拡大断面図である。
【図9】本発明の第4実施例を示し、(a)は、図4に対応する要部拡大図であり、(b)は、(a)の下流側の突出部付近の拡大断面図であり、(c)は、(a)の上流側の突出部付近の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…動力舵取装置、2…リザーバ、3…油圧ポンプ、3a…吐出ポート形成部、4…吸入管、5…供給管、6…還流管、7,8…油管、10…ギヤボックス、11…ハウジング、12…弁ハウジング、13…ラック軸、14…ボールジョイント、15…タイロッド、16…パワーシリンダ機構、17…パワーシリンダ、18…パワーピストン、19,20…油室、21…入力軸、22…トーションバー、23…弁軸、24…弁スリーブ、25…入口ポート、26…フレアシート、
30…逆止弁、40…弁ボディ、41…弁座、42…入口、43…出口、44…収容孔、45…バネ受け保持部、46…内周面、46′…仮想内周面、47…端部、50…弁体、51…制御部、52…支持部、53…基体部、54…支持片、54a…対向面、56…バネ受け部、57…溝、58…弁内油路、60…弁バネ、70…バネ受け、71…外周部、72…中心部、73…連結部、74…開口、75…ストッパ、80,82,84,86,88,90…可撓部、80c,84c,86c…拡開部、81,83,85,87,89,91…スリット、82c,88c,90c…突出部、95…突起、
V…油圧制御弁、L…中心軸線、D…開閉方向、C…接触部。

Claims (5)

  1. 油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給された作動油により操舵補助力を発生する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータに対する作動油の給排を制御する油圧制御弁と、前記油圧ポンプから前記油圧制御弁への作動油の供給油路を形成する油路形成部材に設けられて前記油圧アクチュエータから前記油圧ポンプへの作動油の逆流を規制する逆止弁とを備える動力舵取装置において、
    前記逆止弁は、弁座が設けられた弁ボディと、前記弁ボディ内にその内周面に対して摺動可能な状態で収容されて前記弁座に着座可能な弁体と、前記弁体が前記弁座に着座するように前記弁体を付勢する弁バネとを有し
    前記弁体には、前記内周面に接触して前記弁体を摺動可能に支持する複数の支持片が周方向に間隔をおいて径方向外方に突出すると共に前記弁体の開閉方向に延びて設けられ、
    前記弁ボディ内で作動油が流通する弁内油路が、周方向で隣接する前記支持片を両側壁として形成され、
    前記支持片のうちの少なくとも1つには、径方向に撓むことが可能な可撓部と、前記可撓部に対して径方向内方に位置して前記可撓部が弾性変形により径方向内方に撓むことを許容するスリットとが形成され、
    前記可撓部が前記弾性変形による弾性力で前記内周面を常時押圧することにより、前記逆止弁の開弁状態時に前記弁体が前記内周面に常時接触する状態に保たれることを特徴とする動力舵取装置。
  2. 記可撓部および前記スリットは、全ての前記支持片に形成されていることを特徴とする請求項1記載の動力舵取装置。
  3. 前記各支持片において、前記可撓部以外の部分には、径方向外方に突出すると共に前記内周面に接触する粒状の突起が形成され、
    前記可撓部および前記突起により、前記開弁状態時に前記弁体が前記可撓部および前記突起以外の部分で前記内周面に接触することが防止されることを特徴とする請求項1または2記載の動力舵取装置。
  4. 前記可撓部が形成された前記支持片には、前記開閉方向で間隔を置いた1対の前記可撓部と、それら1対の前記可撓部に対応する1対の前記スリットとが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の動力舵取装置。
  5. 前記可撓部は、径方向外方に突出した粒状の突出部を有し、前記突出部にて内周面を押圧することを特徴とする請求項3または請求項4記載の動力舵取装置。
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