JP4251061B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Description

本発明は、中空ゴルフクラブヘッドに係り、特にウッド型又はそれに近似した形状のゴルフクラブヘッド（以下、単にヘッドということがある。）に関するものである。

［１］ ドライバーやフェアウェーウッドなどのウッド型ゴルフクラブヘッドとして、中空の金属製のものが広く用いられている。一般に、図４に示されるように、中空のウッド型のゴルフクラブヘッド１は、ボールをヒットするためのフェース部２と、ゴルフクラブヘッドの上面部を構成するクラウン部３と、ゴルフクラブヘッドの底面部を構成するソール部４と、ゴルフクラブヘッドのトウ側、バック側及びヒール側の側面部を構成するサイド部５と、ホゼル部６とを有している。このゴルフクラブヘッド１のホゼル部６にシャフト７が挿入され、接着剤等によって固定される。なお、最近では、ユーティリティクラブと称されるゴルフクラブヘッドも多く市販されており、このユーティリティゴルフクラブヘッドの１種として、上記ウッド型ゴルフクラブヘッドに類似した（即ち、フェース部、ソール部、サイド部及びクラウン部並びにホゼル部を有した）ゴルフクラブヘッドも各種市販されている。

この中空ゴルフクラブヘッドを構成する金属としては、アルミニウム合金、ステンレスやチタン合金が用いられているが、近年は特にチタン合金が広く用いられている。

なお、最近では、中空ゴルフクラブヘッドの一部を繊維強化合成樹脂製としたものも市販されている。

［２］ 近年、ドライバーヘッドが大型化しており、３５０ｃｃ超級あるいは４００ｃｃ超級のものも市販されるようになってきている。

このようにヘッドが大型化すると、ヘッドの重心とホゼル部との間の距離が大きくなり、ヘッドの慣性モーメントが大きいものとなる。このように慣性モーメントの大きなヘッドは、スイング時にヘッドが返りにくいため、特に初級レベルのプレーヤーにはスライスが出易い。

［３］ 特開平７−６７９９１号公報の図９には、ホゼル部のヒール側の外面に高比重材を取り付けたウッド型ゴルフクラブヘッドが記載されている。
特開平７−６７９９１号公報

上記特開平７−６７９９１号公報のゴルフクラブヘッドにあっては、ホゼル部の外面からヒール側（プレーヤー側）に高比重材を突出させているので、美観に劣るだけでなく、ゴルフクラブをキャディーバッグに出し入れする際に該高比重材がキャディーバッグや他のクラブに引掛かり易い。また、ラフにあるボールをヒットするとき等にホゼル部の高比重材に草が絡まってミスショットを引き起こすおそれもある。

本発明は、このような問題点を解決し、慣性モーメントが小さいと共に、美観に優れ、キャディーバッグに対しスムーズに出し入れすることができ、しかもラフ等においてもスムーズにショットすることができるゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。

本発明（請求項１）のゴルフクラブヘッドは、中空のゴルフクラブヘッド本体（１０）と、該ゴルフクラブヘッド本体（１０）のヒール側の上面ないし側面上部を貫通し、該ゴルフクラブヘッド本体と一体となっているホゼル部（６）と、を有するゴルフクラブヘッド（１Ｂ）において、該ゴルフクラブヘッド（１Ｂ）は、金属製の中空殻体形状の本体パーツ（１０Ａ）と、金属製のホゼルパーツ（２０Ｂ）とを溶接により一体化したものであり、該ホゼルパーツ（２０Ｂ）は、スカート部（２１）と、該スカート部（２１）から上方に突出するカラムアッパー（２２）と、スカート部（２１）から下方に延出するカラムロワー（２３）と、カラムロワー（２３）からヒール側に向って突設され、先端がスカート部（２１）に連なった筒部（２６）と、筒部（２６）内に挿入されたウェイト材（２４）と、ウェイト材（２４）を塞ぐように配置され、スカート部（２１）に溶接された蓋（２７）とを備えてなることを特徴とするものである。

本発明（請求項２）のゴルフクラブヘッドは、 中空のゴルフクラブヘッド本体（１０）と、該ゴルフクラブヘッド本体（１０）のヒール側の上面ないし側面上部を貫通し、該ゴルフクラブヘッド本体と一体となっているホゼル部（６）と、を有するゴルフクラブヘッド（１Ｃ）において、該ゴルフクラブヘッド（１Ｃ）は、金属製の中空殻体形状の本体パーツ（１０Ａ）と、金属製のホゼルパーツ（２０Ｃ）とを溶接により一体化したものであり、該ホゼルパーツ（２０Ｃ）は、スカート部（２１）と、該スカート部（２１）から上方に突出するカラムアッパー（２２）と、スカート部（２１）から下方に延出するカラムロワー（２３）と、カラムロワー（２３）とヒール側のスカート部（２１）とに連続一体に連なった張出部（２８）と、該張出部（２８）の下向き面に設けられた凹穴と、該凹穴内に固定されたウェイト材（２４）とを備えてなることを特徴とするものである。

本発明（請求項１，２）のゴルフクラブヘッドにあっては、ウェイト材（２４）をホゼル部のヒール側に設けており、ヘッドの慣性モーメントが小さい。また、このウェイト材（２４）はヘッド本体内に配置されているので、美観に優れる。ウェイト材（２４）をゴルフクラブヘッドから非突出状とした場合には、ゴルフクラブをキャディーバッグにスムーズに出し入れすることができる。さらに、ラフからショットする場合であっても、ヘッドのヒール側がラフの草に引掛かることがない。

本発明（請求項１，２）によると、ショット時における高比重材の振動が防止ないし抑制され、打感が良好となる。

本発明（請求項１，２）によると、ゴルフクラブヘッドの本体パーツは他の機種のゴルフクラブヘッドの本体パーツと共通化し、ホゼルパーツのみを上記構成のものとすることにより、ゴルフクラブヘッドの製造原価を低くすることができる。

本発明は、特に２５０ｃｃ特に３００ｃｃとりわけ３５０ｃｃを超える体積を有した大型のゴルフクラブヘッドに適用するのに好適である。このゴルフクラブヘッドとしてはドライバーが例示される。ただし、本発明は、フェアウェーウッドや、ウッド型に類似したユーティリティゴルフクラブヘッド等にも適用可能である。

以下、図面を参照して実施の形態及び参考例について説明する。第１図（ａ），（ｂ）は参考例に係るゴルフクラブヘッドの斜視図と断面図、第２図はこのゴルフクラブヘッドの分解斜視図、第３図はホゼルパーツの斜視図である。

このゴルフクラブヘッド１Ａも、フェース部２と、クラウン部３と、ソール部４と、サイド部５と、ホゼル部６とを有する。５ｔは、サイド部５のうちトウ側を示し、５ｈはヒール側を示す。このゴルフクラブヘッド１Ａは、それぞれ金属製の中空殻体形状の本体パーツ１０Ａと、ホゼルパーツ２０とをアーク溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接又はプラズマ溶接などの溶接により一体化したものである。

本体パーツ１０Ａのヒール側の上面には、このホゼルパーツ２０の取付部１７が設けられている。この取付部１７は、上方に向って開放する開口よりなる。

ホゼルパーツ２０は、略鐘形状のスカート部２１と、該スカート部２１から上方に突出するカラムアッパー２２と、スカート部２１から下方に延出するカラムロワー２３と、該カラムロワー２３とスカート部２１との間に橋架け状に配置された高比重材としてのウェイト材２４とを有する。

なお、このスカート部２１は、下縁近傍における一部（周方向の一部）が外方に向って膨出した形状の突部Ｅとなっており、ウェイト材２４はこの突部Ｅに結合されている。

カラムアッパー２２とカラムロワー２３とは一連一体の同軸の筒状のものであり、スカート部２１に溶接により固着されている。カラムロワー２３の内周面のうち下端近傍には、下側が小径となる段部２３ａが設けられている。シャフトはこの段部２３ａに突き当るまでホゼル部６内に差し込まれる。

ウェイト材２４は、タングステン、タングステン合金など高比重金属材料よりなる。この実施の形態では、ウェイト材２４は短い円柱状であり、一端がカラムロワー２３に溶接により固着され、他端がスカート部２１に溶接により固着されている。

スカート部２１の下端縁は前記ホゼルパーツ取付部１７に合致する形状となっている。このスカート部２１を該ホゼルパーツ取付部１７に係合し、溶接することにより本体パーツ１０Ａと一体化される。

なお、本体パーツ１０Ａの材料はチタン合金が好適である。ホゼルパーツ２０のウェイト材以外の部分はチタン合金又は純チタンが好適であるが、部分的に銅や銅合金などが用いられてもよい。

この参考例では、カラムロワー２３はソール部には達しない短いものとなっているが、これに限定されない。

この参考例では、本体パーツ１０Ａと、ホゼルパーツ２０のスカート部２１とによってゴルフクラブヘッド本体１０が構成されている。また、ホゼルパーツ２０のカラムアッパー２２及びカラムロワー２３とによってホゼル部６が構成されている。

このように構成されたゴルフクラブヘッド１Ａにおいては、ウェイト材２４をヒール側５ｈに配置しており、重心がヒール側５ｈに近く、慣性モーメントが小さい。そのため、初級プレーヤーが使用してもスイング時にヘッドが返り易く、スライスしにくい。

特に、この参考例では突部Ｅを形成してウェイト材２４の位置をヒール側に寄せているため、上記の効果が顕著である。

この参考例では、ウェイト材２４をカラムロワー２３とスカート部２１との双方に溶接しており、その取付剛性が高いものとなっている。このため、ショット時の衝撃が加えられてもウェイト材２４が振動せず、打感が良好である。

この参考例では、ウェイト材２４がヘッド本体１０から突出せず、また凸部Ｅも図示の通り外方に向って滑らかに膨出する凸曲面にて構成されているので、ゴルフクラブをキャディーバッグに対しスムーズに出し入れすることができる。また、ラフで使用するときにもスムーズに振り抜くことができる。

第５，６図を参照して第１及び第２の実施の形態について説明する。

第５図の第１の実施の形態に係るゴルフクラブヘッド１Ｂにおいては、ホゼルパーツ２０Ｂのカラムロワー２３からヒール側に向って筒部２６が枝分れ状に突設されており、この筒部２６内にウェイト材２４が挿入されている。この筒部２６のヒール側の先端は、スカート部２１に連なっている。ウェイト材２４を塞ぐように蓋２７が配置され、スカート部２１に溶接されている。

蓋２７は純チタン又はチタン合金製であることが好ましいが、これに限定されない。

第６図の第２の実施の形態に係るゴルフクラブヘッド１Ｃにおいては、ホゼルパーツ２０Ｃに、カラムロワー２３とヒール側のスカート部２１とが連続一体となった張出部２８が設けられており、この張出部２８にウェイト材２４が保持されている。この実施の形態では、該張出部２８の下向き面に凹穴が設けられ、この凹穴内にウェイト材２４が圧入又はカシメにより固定されている。なお、第６図では凹穴は張出部２８の下向き面に設けられている。

第５，６図のその他の構成は第１〜３図のゴルフクラブヘッドと同じであり、同一符号は同一部分を示している。

上記実施の形態では、ホゼル部がゴルフクラブヘッドの上面を貫通するように設けられているが、側面の上部を貫通するように設けられてもよい。

（ａ）図は参考例に係るゴルフクラブヘッドの斜視図、（ｂ）図は（ａ）図のＢ−Ｂ線断面図である。 参考例に係るゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。 参考例のホゼルパーツの斜視図である。 従来のゴルフクラブヘッドの斜視図である。 第１の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの断面図である。 第２の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの断面図である。

符号の説明

１，１Ａ，１Ｂ，１Ｃ ゴルフクラブヘッド
２ フェース部
３ クラウン部
４ ソール部
５ サイド部
６ ホゼル部
１０ ヘッド本体
１０Ａ 本体パーツ
２０，２０Ｂ，２０Ｃ ホゼルパーツ

Claims (2)

1. 中空のゴルフクラブヘッド本体（１０）と、
   該ゴルフクラブヘッド本体（１０）のヒール側の上面ないし側面上部を貫通し、該ゴルフクラブヘッド本体と一体となっているホゼル部（６）と、
   を有するゴルフクラブヘッド（１Ｂ）において、
   該ゴルフクラブヘッド（１Ｂ）は、金属製の中空殻体形状の本体パーツ（１０Ａ）と、金属製のホゼルパーツ（２０Ｂ）とを溶接により一体化したものであり、
   該ホゼルパーツ（２０Ｂ）は、スカート部（２１）と、該スカート部（２１）から上方に突出するカラムアッパー（２２）と、スカート部（２１）から下方に延出するカラムロワー（２３）と、カラムロワー（２３）からヒール側に向って突設され、先端がスカート部（２１）に連なった筒部（２６）と、筒部（２６）内に挿入されたウェイト材（２４）と、ウェイト材（２４）を塞ぐように配置され、スカート部（２１）に溶接された蓋（２７）とを備えてなることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 中空のゴルフクラブヘッド本体（１０）と、
   該ゴルフクラブヘッド本体（１０）のヒール側の上面ないし側面上部を貫通し、該ゴルフクラブヘッド本体と一体となっているホゼル部（６）と、
   を有するゴルフクラブヘッド（１Ｃ）において、
   該ゴルフクラブヘッド（１Ｃ）は、金属製の中空殻体形状の本体パーツ（１０Ａ）と、金属製のホゼルパーツ（２０Ｃ）とを溶接により一体化したものであり、
   該ホゼルパーツ（２０Ｃ）は、スカート部（２１）と、該スカート部（２１）から上方に突出するカラムアッパー（２２）と、スカート部（２１）から下方に延出するカラムロワー（２３）と、カラムロワー（２３）とヒール側のスカート部（２１）とに連続一体に連なった張出部（２８）と、該張出部（２８）の下向き面に設けられた凹穴と、該凹穴内に固定されたウェイト材（２４）とを備えてなることを特徴とするゴルフクラブヘッド。

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