JP4251058B2 - カチオン硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射又は加熱によりカチオン重合する硬化性樹脂において、その配合原料となるカチオン重合性ポリマー、及びこれを含む樹脂組成物に関する。また、可撓性に優れ、室温に於いて低弾性率で形状変化後の復元性にも優れた硬化物を作成する事が可能な、硬化性良好なカチオン硬化性樹脂に関する。
紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射又は加熱によりカチオン重合する硬化性樹脂のほとんどのものはエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は一般に耐熱性、接着性、及び耐薬品性等に優れているが、その多くは、アミンや酸無水物などの付加反応による二液型の熱硬化系であり、カチオン重合による硬化系はこれらほど広く使用されていない。しかし、カチオン硬化系ではアミンやエステル等の極性基を有さないため、硬化物の吸水率を小さくする上で有利である。また、光カチオン重合開始剤を配合したエポキシ系及びオキセタン系の光カチオン硬化性樹脂は、次のような理由で近年注目されている。すなわち、光硬化性樹脂の大部分を占める(メタ)アクリレート系に比べてエポキシ化合物及びオキセタン化合物は硬化収縮率が小さく、基材への密着性に優れ、吸水率が低く、また空気中の酸素により重合が阻害されない等の長所を有するためである。一方熱硬化系においても、潜在性の熱カチオン重合開始剤を使用すれば、一液型で低吸水率の硬化物を得る事ができる。このような理由から、カチオン硬化性樹脂、とりわけ光カチオン硬化性樹脂は注目されているが、エポキシとアミンによる硬化系などに比べると高価であるため、汎用の材料よりはむしろ電子材料や光学材料など、特異な物性を必要とする分野において注目されている。
電子材料や光学材料に求められる特異な物性の一つとして、例えば、室温(25℃付近)に於いて粘着剤と同程度もしくはそれ以上に軟らかいにも関わらず、形状変化後の復元性に優れるという物性がある。これは言い換えると、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が低く、かつtanδも低いという物性である(以後低弾性率・低tanδと略す)。ところが、従来のエポキシ系カチオン硬化性樹脂は、シリコーン系を除くと、このような物性の点で優れたものは見出せない。なお、シリコーン系樹脂の硬化物は、一般に他の材料と接着させる事が困難であるため、用途が限定される。
しかし、一般に可撓性樹脂と呼ばれるレベルの軟らかさを求める場合には、エポキシ化ポリブタジエンを使用したエポキシ系の組成物が知られている。例えば、現在上市されているエポキシ化ポリブタジエンよりも可撓性を向上させるためのエポキシ樹脂として、末端にカルボキシル基を有するポリブタジエンと、1分子中に2個のシクロヘキセンオキサイド構造を有するエポキシ化合物との付加反応物等がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この化合物が、低弾性率・低tanδの点で、硬化性も踏まえて、どのような組成によりどこまでの性能を発現できるかは明らかでない。
エポキシ化合物、オキセタン化合物及び光カチオン重合開始剤からなる光学的立体造形用光硬化性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これには、考えられる種々の化合物や組成物が幅広く列挙されているが、本発明が目的とする低弾性率樹脂とは異なるものである。
末端にオキセタン含有基を有するマクロモノマーの製造方法が開示されており(例えば、特許文献3参照)、化合物としては片末端にオキセタン環を含有するポリイソプレンが示されている。しかし、カチオン硬化性樹脂としての物性は明らかにされておらず、また末端の構造も、本発明における構造を示していない。また、この化合物は分子内に二重結合を数多く含んでいるため、酸化による劣化を受けやすい。しかも、当該特許の製造方法は、アニオン重合したポリマーの活性末端にオキセタン環を有する重合停止剤を付加させることで得られるが、この方法は、空気中の水分や反応溶液中の微量の水分によって阻害されるため厳密な脱水工程が必要であり、またこのような精密な反応に適した製造設備が必要である。また、ブチルリチウム等のアニオン重合の開始剤は、空気中の水分によって分解するため、取り扱いは容易でない。
特開2001−329045号(特許請求の範囲) 特開平10−168165号(特許請求の範囲) 特開平7−309856号(特許請求の範囲、実施例)
本発明が解決しようとする課題は、硬化前の粘度を数100mPa・s〜数10Pa・sの幅広い範囲に調整することができ、硬化性に優れ、可撓性に優れた柔軟な硬化物や、室温(25℃付近)において低弾性率でありながら形状変化後の復元性にも優れた硬化物を与えるカチオン硬化性樹脂組成物を提供する事である。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、以下のことにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明の組成物に用いる新規なオキセタン化合物は、重量平均分子量1,000〜10,000の片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体から製造された化合物であって、下記式(1)で表される片末端にオキセタニル基を有する化合物である。
Figure 0004251058
式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6個の分岐を有してもよいアルキル基を表し、R2はエチレン−ブチレン共重合体を表す。
厳密な脱水工程や取り扱いの難しい化合物を必要としない式(1)の製造方法は、例えば片末端が水酸基であるエチレン−ブチレン共重合体をトシル化又はメシル化した後、下記式(2)の化合物と反応させるものである
Figure 0004251058
式(2)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6個の分岐を有してもよいアルキル基を表す。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、式(1)で表される化合物と、活性エネルギー線又は熱によって活性化するカチオン重合開始剤とを配合したものである。本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、更にエポキシ基を含有する化合物および/または1分子中にオキセタニル基を2個以上有する化合物を含むこともあるカチオン硬化性樹脂組成物である。または、これらに式(1)以外の1分子中にオキセタニル基を1個有する化合物を含むこともあるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
○式(1)で表される化合物
本発明の組成物で使用する式(1)で表される化合物を合成するための片末端が水酸基であるエチレン−ブチレン共重合体としては、片末端に水酸基を有するものであれば重合方法を特に限定するものではない。例えば配位重合によるエチレン−ブチレン共重合体が挙げられる。
片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体の分子量は特に限定するものではないが、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で500〜50,000であることが好ましく、さらに好ましくは1,000〜10,000である。分子量が500未満であると、高粘度のカチオン硬化性樹脂を得るという点で好ましくなく、また50,000より大きい場合はその他のモノマーや重合開始剤との相溶性が悪くなるので好ましくない。
本発明の式(1)で表される化合物は、上述の原料ポリマーの水酸基をトシル化又はメシル化したもの(トシル化物又はメシル化物と称する)から得られるが、これに限定されるものではない。例えば、原料ポリマーと三級アミン又はピリジン(以後単に三級アミンと略す)を溶媒に溶かし、トシルクロライド又はメシルクロライドを加えて加熱する方法である。ここで用いる三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、及び4−(N,N−ジメチル)−アミノピリジン等が挙げられるが、有害性の低さや入手の容易さから、トリエチルアミンが特に好適に使用できる。溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジエトキシエタン、及びジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、並びにクロロホルム等の塩素系溶媒などが挙げられるが、特に好適なのはエーテル系溶媒である。トシルクロライドとメシルクロライドの選択については、取り扱い易さを考慮すると、トシルクロライドの方が好ましい。
トシルクロライド又はメシルクロライドの仕込み量は、片末端が水酸基であるポリマーを使用する場合、水酸基と等モル以上にする事が好ましく、さらに好ましくは1.2〜6倍モルである。
三級アミンの仕込み量は、トシルクロライドより過剰量とすることが好ましい。三級アミンの仕込み量の上限については、特に限定するものではないが、経済的な面からモル換算で100倍量以下とするのが好ましい。
反応温度は、副反応や分解等を伴わず、かつ十分な反応速度が得られれば特に限定するものではないが、50℃〜150℃の範囲とすることが好ましい。反応系の雰囲気は、アニオン重合ほどの厳密な脱水は必要なく、また窒素ガス等の不活性ガスを通じておくことが好ましい。
両末端が水酸基を有するような水酸基を複数結合しているポリマーを使用する場合、当該ポリマー中にはオキセタニル基が2個未満結合していてもよく、好ましくは1個である。
本発明では、上述のトシル化又はメシル化の後、直接式(2)で表される化合物を投入する事もできるが、この方法では式(2)で表される化合物のトシル化した物又はメシル化した物及び式(2)で表される化合物同士のエーテル化合物(例えばジ(1−エチル(3−オキセタニル))メチルエーテル)が生成することから好ましくない。即ち、これらは高沸点であり目的とする式(1)で表される化合物と分離することが困難であるため、式(1)で表される化合物の純度を高めるためには、トシル化物又はメシル化物を精製してから用いる方が好ましい。
トシル化物又はメシル化物の精製は、次のようなものが例示できる。まず反応物の溶液をトシル化物又はメシル化物が不溶でかつトシルクロライドやメシルクロライドが可溶な溶媒、例えば炭素数1〜3のアルコールやアセトン等のケトン系溶媒に投入し、目的物質を沈殿させて回収する方法である。さらに純度を高める方法としては、この沈殿物を、ヘキサン及びヘプタン等の炭化水素系溶媒や、THF、1,2−ジエトキシエタン、及びジブチルエーテル等のエーテル系溶媒に溶かし、再沈精製を繰り返す方法が挙げられる。精製において、更に好ましい方法は、式(1)で表される化合物の炭化水素系溶媒の溶液を、炭素数1〜3のアルコールと混ぜた後、これを二層分離させ、洗浄する方法である。この方法では、使用する溶媒を少なくできる。ここで、常法に従い水で洗浄する方法も挙げられるが、この方法では乳化することがあるため、炭素数1〜3のアルコール、とりわけメタノールで洗浄する事が特に好ましい。ここで、水とメタノールの混合溶媒を使用することも可能である。
トシル化物又はメシル化物は、式(2)で表される化合物と反応させることによりオキセタニル基を結合させることができるが、この反応時にアルカリ触媒を入れておくことが好ましい。また、本反応は、無溶媒でも可能であるが溶媒に溶かしておくことが好ましい。本反応に用いるアルカリ触媒としては、アルカリ金属の水酸化物又は三級アミン等が挙げられるが、好ましいのは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムであり、特に好ましいのは水酸化カリウムである。ここで、水素化ナトリウム等により式(2)で表される化合物をアルコキサイドとしておく方法も挙げられるが、工業的には取り扱いが容易ではないため、アルカリ金属の水酸化物を用いる方が好ましい。本反応における溶媒としては、ヘキサン及びヘプタン等の炭化水素系溶媒や、THF、1,2−ジエトキシエタン、及びジブチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられるが、好適なものはエーテル系溶媒であり、その中でも沸点の高いもの、例えば1,2−ジエトキシエタンやジブチルエーテルは特に好適に使用できる。
式(2)で表される化合物の仕込み量は、モル換算でポリマーのトシル基又はメシル基と等モル以上であれば特に限定するものではないが、1.2倍以上である事が好ましい。上限については特に限定するものではないが、反応器の容積に対する収量の点から100倍以下とすることが好ましい。式(2)で表される化合物を過剰に使用する場合は、目的とするポリマーと式(2)で表される化合物を含有する溶液とが二層分離することがあり、式(2)で表される化合物を含有する層を回収して蒸留し、再使用することもできる。
本反応温度は、好ましくは60℃〜150℃、特に好ましくは90℃〜130℃である。
本反応系の雰囲気は、過酸化物の生成を抑制する点から、窒素雰囲気とする事が好ましい。
本反応後の精製については、常法に従い、大量のメタノール等に投入して沈殿させる方法(再沈精製)を実施する事もできるが、使用する溶媒を少なくできる点で次の方法が特に好ましい。すなわち、トシル酸塩の沈殿や二層分離してくる過剰の式(2)で表される化合物を除いた後、ヘキサン等の炭化水素系溶媒とメタノールとの二層系にて洗浄する方法である。ここで、水による洗浄は乳化を引き起こすことがあるため、あまり好適ではない。精製された片末端にオキセタニル基を有するポリマーは、炭化水素系溶媒層に含まれるため、この層を脱溶媒することで得られる。
○本発明のカチオン硬化性樹脂組成物
本発明による片末端にオキセタニル基を有する化合物は、カチオン重合性に優れるため、活性エネルギー線又は熱によって活性化するカチオン重合開始剤を配合することで、カチオン硬化性樹脂組成物の成分として好適に使用することができる。
活性エネルギー線の照射により本発明のカチオン硬化性樹脂組成物のカチオン重合を開始させるカチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、フォスフォニウム塩、及びチヲピリニウム塩等が挙げられるが、好ましくは芳香族ヨードニウム塩及び芳香族スルフォニウム塩、さらに好ましくはジアリールヨードニウム塩及びジアルキルフェナシルスルホニウム塩、特に好ましくはジアリールヨードニウム塩が特に好適に使用できる。
芳香族ヨードニウム塩及び芳香族スルフォニウム塩等のオニウム塩光カチオン重合開始剤を本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に使用する場合、アニオンとしてはBF4 -、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、及びB(C654 -などが挙げられるが、好ましくはSbF6 -、PF6 -、及びB(C654 -であり、特にに好ましくはSbF6 -又はB(C654 -である。
カチオン重合開始剤の具体例を挙げると、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(GE東芝シリコーン社製、UV−9380Cの主成分)、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローディア社製、PHOTOINITIATOR2074)、ビス(アルキル(C=10〜14)フェニルヨードニウム)ヘキサフルオロアンチモネート(和光純薬製光カチオン重合開始剤WPI−016)等が挙げられる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物を硬化させるときの活性エネルギー線としては、X線、電子線等を使用することもできるが、好ましくは紫外線又は可視光であり、特に好ましくは紫外線である。紫外線を使用する場合、その波長範囲は特に限定されないが、好ましくは150〜400nm、さらに好ましくは200〜380nmである。紫外線を用いる場合、カチオン重合を効率よく開始できる。
また、本発明のカチオン硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらにカチオン重合開始剤の活性を高めるため、増感剤を併用することもできる。本発明で用いることができる増感剤として、クリベロがアドバンスド イン ポリマーサイエンス(Adv. in Plymer Sci.,62,1(1984))で開示している化合物を用いることが可能である。具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン及びペンゾフラビン等がある。また、光ラジカル重合開始剤として広く使用されている化合物も使用する事ができ、具体的には、ベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、カンファーキノン等のα−ジカルボニル化合物等が挙げられる。本発明においては、チオキサントン類やα−ヒドロキシアルキルフェノン類が特に好適に使用できる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物へのカチオン重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線の種類や照射量に応じて適宜に調整できる。例えば紫外線の場合、樹脂組成物の合計100質量部に対し、0.1〜5質量部とすることが好ましく、さらに好ましくは1〜3部である。0.1部よりも少ない場合は硬化性に劣ることがあり、逆に5質量部より多い場合は硬化物に真に必要な成分を減少させて硬化物の物性が低下する場合や、硬化物の着色が激しくなる場合がある。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に増感剤を添加する場合の配合量は、活性エネルギー線の種類や照射量に応じて適宜に調整できる。例えば紫外線の場合、樹脂組成物の合計100質量部に対し、5質量部以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜2部である。5質量部より多い場合は硬化物に真に必要な成分を減少させて硬化物の物性が低下する場合や、硬化物の着色が激しくなる場合がある。
活性エネルギー線が紫外線や可視光である場合、樹脂が空気にさらされるが、このとき雰囲気の湿度を限定する必要はないが低い事が好ましく、好ましくは湿度80%R.H.以下であり、70%R.H.以下である事がさらに好ましい。ここで、紫外線や可視光を生産ラインの中に設置する場合、ラインの手前に乾燥空気を送る方法や、加熱装置を取り付けて湿度を下げる方法も採用できる。
熱により活性化してカチオン重合を開始する化合物、すなわち熱カチオン重合開始剤を本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に用いることもできる。このものとしては、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩などの各種オニウム塩類や、アルコキシシランとアルミニウム錯体の組み合わせなどが例示できる。入手可能な製品としては、アデカオプトンCP−66及びアデカオプトンCP−77(いずれも商品名、旭電化工業(株)製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L及びサンエイドSI−100L(いずれも商品名、三新化学工業(株)製)、及びCIシリーズ(日本曹達(株)製)などが挙げられる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物への熱カチオン重合開始剤の配合割合は、樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜5質量部の範囲とすることが好ましい。この配合割合が0.01質量部未満の場合には、熱の作用によりこれが活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことが有る。また、これを5質量部超えて配合したとしても、重合を進行させる作用はそれ以上高まらず、逆に硬化性能が低下することがある。
光カチオン硬化性樹脂組成物では、式(1)で表される化合物、エポキシ基を含有する化合物、及び光カチオン重合開始剤を含む樹脂組成物が硬化性の点で好ましい。
光カチオン重合において、オキセタンはエポキシよりも重合性が良好であるが、重合の開始段階での反応が遅いため、オキセタン化合物によるカチオン硬化性樹脂組成物に少量のエポキシ化合物を配合する事で、全体としての硬化性が向上する。
全体としての硬化性向上の点では、エポキシ化合物としては種々のものが利用可能であり、単官能であっても多官能であっても良い。また、エポキシ基としては、分子内の二重結合を酸化させたものであっても、グリシジルエーテルであっても良い。分子内の二重結合を酸化させたものとしては、脂環式エポキシだけでなく、オレフィンやポリブタジエンなどの鎖状分子を酸化させたものであってもよい。
室温(25℃付近)において可撓性の硬化物や、低弾性率でありながら形状変化後の復元性にも優れた硬化物を得るためには、すなわち軟らかくとも固体状の硬化物とするためには、上述のエポキシ化合物として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を配合することが好適な手段の一つである。別の手段として、1分子中に2個以上のオキセニル基を有する化合物を配合することも好適である。この場合、硬化性の点ではエポキシ化合物を配合することが好ましいが、1分子中に1個のエポキシ基を有する化合物であっても好適である。また、1分子中にエポキシ基とオキセタニル基を両方含む化合物を配合する事も可能である。また、本発明の組成物では、式(1)以外の1分子中にオキセタニル基を1個有する化合物を配合する事で、硬化性を損なうことなく樹脂の粘度を調整することができる。もちろん、これらの化合物を組み合わせて使用することも可能である。安全性の点からは、オキセタン化合物はエポキシ化合物よりも好ましい。即ち、分子量の小さいエポキシ化合物の多くは変異原性の疑いが持たれているが、オキセタン化合物では、例えば分子量の小さい3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞合成製アロンオキセタンOXT−212)は変異原性が陰性であるからである。なお、高分子は粘弾性体であるため固体と液体の区分けは一概に言い難いが、ここでは、動的粘弾性測定におけるtanδが1以下のものを固体と呼ぶことにする。tanδが小さい硬化物は、弾性率が低くとも形状変化後の復元性に優れている。更に本発明の組成物から得られる硬化物は、本発明の化合物の含有量や配合するものを調製することにより、25℃での動的粘弾性率(G’)が1×108Pa以下であるものを得ることができ、107Pa以下のもの得ることができ、又は106Pa以下ものもの得ることができる。
式(1)で表される化合物に着目すると、貯蔵安定性や硬化物の耐酸化性の点で、式(1)のR2 エチレン−ブチレン共重合体であるものを使用する
ここで、室温とは25℃付近を指し、実際には室内で使用する電子機器の内部に使用されることが多いため、概ね0℃〜40℃の範囲である。この温度範囲にて、硬化物を低弾性率でありながら形状変化後の復元性に優れたものとするためには、ガラス転移温度は−10℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは−25℃以下、特に好ましくは−40℃以下である。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に用いるエポキシ基を1個含有する化合物としては種々の化合物が使用できる。この商品化されている化合物の例を挙げると、1,2−エポキシヘキサデカンなどのα−オレフィンエポキサイド、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に用いるエポキシ基を2個以上含有する化合物としては種々の化合物が使用できる。但し、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリイソプレン、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有水素添加ポリブタジエン及び水酸基含有水素添加ポリイソプレンからなる群から選ばれる重合体と、1個のオキセタニル基及び1個の水酸基を有する化合物から製造されたオキセタニル基を2個以上有するポリマーを除く。
この化合物で商品化されているものの例を挙げると、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、o−、m−、p−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ポリブタジエンの内部エポキシ化物、ポリブタジエンの両末端がグリシジルエーテル化された化合物、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエンの二重結合が一部エポキシ化された化合物、エチレン−ブチレン共重合体とポリイソプレンのブロックコポリマーのポリイソプレンの一部がエポキシ化された化合物(KRATON社製L−207)、4−ビニルシクロヘキセンオキサイドの開環重合体のビニル基をエポキシ化した化合物、エポキシ化植物油などが例示できる。ここで、1分子当りのエポキシ基の数は特に限定するものではないが、50以下である事が好ましく、特に好ましくは20以下である。エポキシ基が50より多い場合は少量の配合で弾性率が向上するので好ましくない。
本発明の組成物では、式(1)以外の1分子中にオキセタニル基を1個有する化合物を配合する事で、良好な硬化性と低弾性率という特徴を維持しながら粘度等の物性を調整することができる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に用いる1分子中に1個のオキセタニル基を有する化合物としては(カッコ内は商品名又は開発品名、東亞合成製)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(アロンオキセタンOXT−212(EHOX))、3−エチル−3−(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン(CHOX)、3−エチル−3−(ドデシロキシメチル)オキセタン(OXR−12)、3−エチル−3−(オクタデカシロキシメチル)オキセタン(OXR−18)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(アロンオキセタンOXT−211(POX))、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXA)等が挙げられる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に用いるオキセタニル基を2個以上含有する化合物としては種々のものが使用できる。この化合物の例を挙げると、(カッコ内は商品名又は開発品名、東亞合成製)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(アロンオキセタンOXT−121(XDO))、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(アロンオキセタンOXT−221(DOX))、オキセタニルシルセスキオキサン(OX−SQ)、フェノールノボラックオキセタン(PNOX−1009)、ノルボルナンジメタノールと3−エチル−3−クロロメチルオキセタン(以後OXCと略す)のエーテル化物(NDMOX)、トリメチロールプロパンとOXCのエーテル化物(TMPOX)、ハイドロキノンとOXCのエーテル化物(HQOX)、レゾルシノールとOXCのエーテル化物(RSOX)、2,2’−ビフェノールとOXCのエーテル化物(2,2’−BPOX)、4,4’−ビフェノールとOXCのエーテル化物(4,4’−BPOX)、ビスフェノールFとOXCのエーテル化物(BisFOX)、トリシクロデカンジメタノールとOXCのエーテル化物、OXAとシリコンによるアルコキサイド(OX−SC)などが挙げられる。
ここで、1分子当りのオキセタニル基の数は特に限定するものではないが、20以下である事が好ましく、さらに好ましくは5以下であり、特に好ましくは3以下である。
これらを配合した組成物は、最終的に均一透明に溶解することが好ましいが、相溶性の点で特に好適なものを例示すると、KRATON社製L−207、1,2−エポキシヘキサデカン、ノルボルナンジメタノールジオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(EHOX)、3−エチル−3−(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン(CHOX)、3−エチル−3−(ドデシロキシメチル)オキセタン(OXR−12)等が例示できる。
本発明の組成物には、必要に応じて、シリカ、アルミナ、その他金属酸化物などのフィラーを配合してもよい。これにより、チクソトロピー性の付与などができる。また、電気絶縁材料として使用するときは、イオン交換能を有する材料を配合することが好ましく、さらに好ましくは無機系であり、特に好ましくは陰イオン交換能を有するものである。好適な無機系陰イオン交換体の例としては、IXE−500、IXE−530、IXE−550、IXE−700、IXE−800など(いずれも東亞合成製)が例示できる。
さらに、本発明の樹脂組成物には、無機材料への密着性の向上を目的として、シランカップリング剤等のカップリング剤を配合することも可能である。好適なシランカップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学製、KBM−303)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、KBM−403)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学製、KBE−403)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学製、KBM−402)、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン(東亞合成製、OXT−610)などが挙げられる。
本発明の組成物には、耐酸化性を必要とされる場合、酸化防止剤を配合することができる。
本発明の組成物に含有させる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられるが、特に好ましいのはフェノール系酸化防止剤である。
フェノール系酸化防止剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3’−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)]プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティーケミカルズ社製Irganox 1010)、n−オクタデシル−3−[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル)フェノール、等が挙げられる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線硬化系又は熱硬化系のどちらを選択するかについては、用途に応じて使い分ける事が出来る。例えばレジストとして使用する場合やスタンパー(型)等により微細な形状を付与する用途では、紫外線硬化系などの活性エネルギー線による硬化系が好適である。また、コーティング、スクリーン印刷、透明材料の接着などでも、生産速度の速さや省エネルギーの点で活性エネルギー線による硬化系が好適である。しかし、不透明な材料同士の接着や、金属などを含む部品の封止など、活性エネルギー線が樹脂に到達できない用途では、熱硬化系が好適となる。ただし、不透明な材料同士の接着などの用途においても、カチオン硬化に特有な暗反応を利用して、例えば不透明な材料に塗布された光硬化性樹脂に光を照射した後、他の不透明な材料を貼り合せ、暗反応により硬化を完結させて接着することも可能である。また、活性エネルギー線による硬化後に加熱硬化を組合わせることもできる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、一般に可撓性樹脂と呼ばれる軟らかい硬化物から、粘着剤と同程度もしくはそれ以上に軟らかい硬化物を与える事ができ、また粘着剤と同程度の低弾性率でありながら形状変化後の復元性にも優れた材料とする事ができるため、電子材料や光学材料を中心に、接着剤、コーティング剤、シーリング剤、封止剤、及び絶縁材料などとして好適に使用できる。特に、活性エネルギー線硬化性樹脂では、従来のものでは達成困難な物性を実現できるため特に好適である。その中でも、活性エネルギー線として紫外線又は可視光を使用したものは、比較的安価で小さな製造ラインによる生産が可能なため、特に好ましい。
<実施例>
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
○化合物(1)の合成
<片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体のトシル化>
2Lセパラブルフラスコに、片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体(KRATON Polymers社製L−1203)240g(水酸基として約60mmol)、テトラヒドロフラン(THF)328g、トリエチルアミン36.4gを仕込み、4つ口のフタ、撹拌ペラ、温度計、及び冷却管を取り付け、窒素を通気させながらオイルバス中で撹拌溶解した。これにトシルクロライド51.5g(270mmol)を加え、62℃で27時間撹拌し反応させた。この反応粗生成物を、室温で撹拌したイソプロピルアルコール(IPA)2.5kgにゆっくりと投入し、その後、30分間撹拌させた後1時間放置した。そしてデカンテーションによりIPA層を除いた後、n−ヘキサン700gを加えて沈澱を溶解させた。これを2Lの分液漏斗に移し、メタノール120gを加えて撹拌した後、さらにn−ヘキサン300gを加えて軽く混ぜて二層分離させた。下層のメタノール層を除去した後、更にメタノール120gを加えて振り混ぜ15分間放置し、下層のメタノール層を除去した。以上のようなメタノールによる洗浄をさらに2回繰り返した後、生成物を含むn−ヘキサン層をセパラブルフラスコに移し、減圧しながらオイルバス中65℃以下で溶媒を留去して淡黄色透明の生成物222gを得た。生成物の1H−NMRスペクトルより、ポリマーの水酸基がトシル化された事を確認した。
<トシル化したエチレン−ブチレン共重合体のオキセタン化>
2Lセパラブルフラスコに、トシル化したエチレン−ブチレン共重合体204g、ジn−ブチルエーテル204g、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXA、東亞合成製)255g、95%水酸化カリウム6.5gを仕込み、4つ口のフタ、撹拌ペラ、温度計、及び冷却管を取り付け、窒素を通気させながらオイルバス中120℃で6時間撹拌して反応させた。沈澱が生成したためデカンテーションにより液体のみを2L分液漏斗に移し、この沈澱をn−ヘキサン200gで洗浄し、デカンテーションにより洗浄液を分液漏斗に加えた。この溶液は二層に分離していたことから、OXAを含有している下層を除去した。次いで、メタノール200g、n−ヘキサン500gを加えて撹拌した後、更にn−ヘキサン100gを加えて軽く混ぜて二層分離させた。この下層を除去し、更にメタノール200gによる洗浄を3回繰り返した。このとき、二層分離を迅速かつ明瞭にするためにn−ヘキサン100gを適宜追加した。生成物を含むn−ヘキサン層を2Lセパラブルフラスコに移し、窒素を通気させながら100〜110℃のオイルバス中で溶媒の大部分を留去した後、残存する少量の溶媒を除去するため150℃のオイルバス中で5時間減圧し、淡黄色透明の生成物183gを得た。L−1203及び生成物の1H−NMRスペクトルをそれぞれ図1及び図2に示す。このことからポリマー末端のトシル基がOXAにより置換された事を確認した。また、生成物のGPCを測定して分子量分布を確認したところ、ポリスチレン換算のMwが5630、Mw/Mnが1.04であった。一方、原料ポリマーではMwが5510で、Mw/Mnが1.03あった。
<合成例1>
○ウレタンアクリレート(PTGUA)の合成
500MLのセパラブルフラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)88.8g(0.40mol)、ジブチルチンジラウレート0.34g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)0.102gを仕込み、空気を吹き込みながら、分子量約1000のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業製PTG1000SN)203.8g(0.20mol)を滴下して反応させ、さらに60℃で1時間反応させた。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)46.4g(0.40mol)を滴下し、80℃で1時間反応させてウレタンアクリレートを得た。
○配合と物性評価
表1及び表2に示す成分を常法に従って混合し、カチオン硬化性組成物を調製した後、各種物性を評価した。表1における略号は、以下の化合物を示す。また、表1及び表2の数値は質量部である。
L1203:KRATON Polymers社製L−1203(片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体、1H−NMRの水酸基基準による分子量は約4000、Tg−63℃)
L1203OX:KRATON Polymers社製L−1203の水酸基をオキセタン化した実施例1の生成物
L207:KRATON Polymers社製L−207(L1203の水酸基を含まない方の末端がエポキシ化ポリイソプレンとなっているブロック共重合体、1H−NMRの水酸基基準による分子量は約6000、エポキシ当量は約670、Tg−53℃)
EHOX:3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞合成製アロンオキセタンOXT−212)
CHOX:3−エチル−3−(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン(東亞合成製CHOX)
POX:3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亞合成製アロンオキセタンOXT−211)
PGE:フェニルグリシジルエーテル(ナガセケムテクス製デナコールEX−141)
WPI016:ビス(アルキル(C=10〜14)フェニルヨードニウム)ヘキサフルオロアンチモネート(和光純薬製光カチオン重合開始剤WPI−016)
#2074:トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローディア社製PHOTOINITIATOR2074)
Irg184:チバ・スペシャルティーケミカルズ社製光ラジカル重合開始剤Irgacure184(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、本発明では光カチオン重合の増感剤として使用)
PTGUA:合成例1の生成物
BADMA:ビスフェノールAにエチレンオキサイドを4個付加させたアルコールのジメタクリレート(共栄社化学製ライトエステルBP−4EM)
M120:2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート(東亞合成製アロニックスM−120)
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
POA:フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学製ライトアクリレートPOA)
Figure 0004251058
Figure 0004251058
表1及び表2に記載の組成物についての粘度及び硬化過程及び硬化物の動的粘弾性を測定した。これらの評価結果を表3に示す。
○粘度
東機産業製E型粘度計にて25℃における粘度(Pa・s)を測定し、結果を表3に記載した。
○硬化過程及び硬化物の動的粘弾性測定(25℃)
Reologia社(スウェーデン)製光硬化粘弾性測定装置にて、光照射による硬化過程及び硬化後の粘弾性を測定した。すなわち、石英プレート上に硬化前の液状樹脂を載せて上から直径10mmのローターで挟み(ギャップ0.2mm)、温度25℃にて、振動数1Hzでずり歪を与えながら、石英プレート下部より水銀キセノンランプ(浜松ホトニクス製L8222、50mW/cm2@365nmに調整)を照射し、粘弾性を測定した。表3は、樹脂が光硬化して最終的に到達した弾性率G’(Pa)及びtanδと、得られた硬化物の脆さを示す。ただし、比較例6は、光照射を硬化の途中で中止した場合のものを示しており、その時の弾性率G’(Pa)及びtanδと、得られた硬化物の脆さを示す。
脆さは、硬化物を石英プレートから取り外す際の様子により、次のように評価した。
○:大きく変形しても破れず、円盤状の硬化物として取り外せる。(脆くない)
△:大きく変形すると破れ、円盤状の硬化物として取り外すことが困難。(やや脆い)
×:僅かな変形で破れ、取り外すと粉々になる。(ひどく脆い)
−:柔らかすぎるか、又は固体と液体の中間的性状のため、脆さという言葉が不適当。
Figure 0004251058
○塗膜での硬化性
表1に記載の実施例3、4及び比較例3の組成物をPETフィルム上にバーコーターにて膜厚20ミクロンに塗工し、これを80W/cmの高圧水銀ランプ(1灯)、ランプ高さ10cmにて、コンベア速度50m/分又は80m/分にて、塗膜が固体に変化するまでのパス回数により硬化性を評価した。なお、このときの雰囲気は、温度26℃、相対湿度66%であった。この結果を表4に示す。
Figure 0004251058
○1mm厚硬化物の作成と動的粘弾性測定
ポリテトラフルオロエチレン製の板に厚さ1mmの枠を作成し、表1記載の実施例3、及び実施例4の組成物を流し込んだ後、高圧水銀ランプにより紫外線を照射した。365nmにおける強度150mW/cm2で2分間照射し、裏面まで硬化したことを確認した後、裏返して同一条件で照射した。得られた硬化物の動的粘弾性を、ティーエーインスツルメント社製RDS−IIにて、振動数1Hzで測定し、貯蔵弾性率(G’)及びtanδを評価した。この動的粘弾性スペクトルの温度依存性を図3に示す。
本発明の片末端にオキセタニル基を有するエチレン−ブチレン共重合体は、カチオン硬化性に優れた硬化性樹脂の配合原料として好適に使用でき、特に、可撓性に優れた硬化物や、室温に於いて低弾性率でありながら形状変化後の復元性にも優れた硬化物を必要とする際、好適に使用できる。得られる硬化物は、柔軟であり、脆くない。また、硬化前の粘度を幅広い範囲に調整することも可能である。さらに、光硬化性樹脂などの活性エネルギー線硬化性樹脂として好適に使用できる。したがって、以上のような物性を必要とする電子材料や光学材料として好適に使用できる。
一方、本発明の式(1)で表される化合物の製造方法は、容易に入手可能な材料を使用し、厳密な脱水のための設備や操作を必要としないため、特定の電子材料や光学材料等、比較的少量の生産に適した製造方法である。
実施例1の原料ポリマーである片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体(KRATON社製L−1203)の1H−NMRスペクトルを示す。 実施例1の生成物である、片末端にオキセタニル基を有するエチレン−ブチレン共重合体の1H−NMRスペクトルを示す。 実施例3及び実施例4の組成物を紫外線で硬化させた硬化物の、動的粘弾性スペクトル(温度依存性)を示す。
符号の説明
図3の横軸:温度 ℃
図3の右縦軸:tanδの値(対数目盛)
図3の左縦軸:貯蔵弾性率(G’)の値(Pa、対数目盛)
図3の太い実線:実施例3の組成物を紫外線で硬化させた硬化物の貯蔵弾性率(G’)を示す曲線
図3の細い実線:実施例4の組成物を紫外線で硬化させた硬化物の貯蔵弾性率(G’)を示す曲線
図3の太い破線:実施例3の組成物を紫外線で硬化させた硬化物のtanδを示す曲線
図3の細い破線:実施例4の組成物を紫外線で硬化させた硬化物のtanδを示す曲線

Claims (3)

  1. 重量平均分子量1,000〜10,000の片末端に水酸基を有するエチレン−ブチレン共重合体から製造された化合物であって、下記式(1)で表される片末端にオキセタニル基を有する化合物
    並びにエポキシ基を含有する化合物及び/又は1分子中にオキセタニル基を2個以上有する化合物(但し、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリイソプレン、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有水素添加ポリブタジエン及び水酸基含有水素添加ポリイソプレンからなる群から選ばれる重合体と、1個のオキセタニル基及び1個の水酸基を有する化合物から製造されたオキセタニル基を2個以上有するポリマーを除く)を含むカチオン硬化性樹脂組成物。
    Figure 0004251058
    (式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6個の分岐を有してもよいアルキル基を表し、R2はエチレン−ブチレン共重合体を表す。)
  2. 上記式(1)で表される化合物と活性エネルギー線又は熱によって活性化するカチオン重合開始剤とを含有するカチオン硬化性樹脂組成物。
  3. 式(1)以外の1分子中にオキセタニル基を1個有する化合物を含む請求項又は請求項2に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
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