JP4249477B2 - ガラスブランク及びその製造方法、情報記録媒体用基板の製造方法、情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極めて高い平滑性及び平坦性を有する円盤状ガラスブランク及びその製造方法、前記ガラスブランクを用いた情報記録媒体用基板の製造方法、並びに前記情報記録媒体用基板を用いた情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス、特に結晶化ガラスは、アルミニウムとともに磁気ディスク用基板として広く使用されている。ガラス製基板の製法の一例としては、溶融ガラスを金型で円盤状に成形して基板の中間成形体である基板ブランクを作り、このブランクに機械加工を施す方法(プレス成形法)が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
磁気ディスクなどの情報記録媒体用基板は極めて高い平坦性、平滑性、平行性が要求されるため、プレス成形後に機械加工を行う。しかし、生産性を向上し、さらに低コストの基板を製造するためには、ブランクの両主表面を平坦、平滑、平行にするためのラッピング加工、研磨加工を簡略化したり、一部省略することが有効である。そのためには、基板形状に近いブランクを成形しなければならないため、ブランクのさらなる肉薄化が求められている。
【0004】
一方、溶融ガラスをプレス成形型に供給し、このガラスが軟化状態にある間にプレス成形型でプレスしてガラス成形品を成形する方法は、ダイレクトプレス法と呼ばれている。ダイレクトプレス法で最終的に目的とするガラス物品に近似する形状の成形体を成形し、これに研削や研磨などの機械加工を施すことによって、磁気ディスク用基板などの情報記録媒体用基板やレンズなどの光学素子といった極めて高い精密さが要求されるガラス物品を作製することもできる。しかし、溶融ガラスをプレス成形するダイレクトプレスでは、ガラスと金型の融着を防止するために、ガラス転移点よりも低い温度の金型を使用する。そのため、プレスによりガラスが伸びて薄くなる過程でガラスの冷却が進み、粘度が上昇する。特に、ガラスが供給された部分の溶融ガラスは、成形型への熱伝導により、いち早く冷却され厚みが固定され、ガラスの広がりを阻害する。その結果、厚みが薄いプレス成形品の場合、ガラスが所望の形状に十分広がらないという問題がある。そのため、磁気ディスク基板のように、直径に比べて厚みが極めて薄いプレス成形品を溶融ガラスから成形することは極めて困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−328827号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、両主表面の平坦、平滑化加工における取り代の削減を可能にしつつ、良好な形状のガラス製基板ブランクを製造することによって、更には、プレス成形されたガラスブランクの中心軸を精度よく決定してスムーズな加工を可能にすることによって、情報記録媒体用基板の生産性を向上することが可能なガラスブランク及びその製造方法、前記ガラスブランクを用いた情報記録媒体用基板の製造方法、ならびに前記基板を用いた情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段は以下の通りである。
(1) 周辺肉薄部分と中心肉厚部分を有する円盤状ガラスブランクであって、
前記肉厚部分の一方の面は、前記肉薄部分に対して凸状(以下、「凸状面」という)であり、
前記肉厚部分の他方の面は、前記肉薄部分に対して凹状(以下、「凹状面」という)であり、
前記凹状面外周と前記肉薄部分内周とを結ぶ面(以下、「段差面」という)は、前記肉薄部分の表面に対して垂直又は略垂直であり、かつ、
前記凹状面の直径Φ1と前記凸状面の直径Φ2は、Φ1≦Φ2の関係を満たすことを特徴とするガラスブランク。
(2) 前記肉厚部分の厚みが前記肉薄部分の厚みより0.2〜1.0mm厚いことを特徴とする(1)に記載のガラスブランク。
(3) 前記肉厚部分の体積がガラスブランクの総体積の6.0〜13%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のガラスブランク。
(4) 自由表面からなる外周面を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のガラスブランク。
(5) 中心穴付き情報記録媒体用基板に加工される(1)〜(4)のいずれかに記載のガラスブランク。
(6) 前記肉厚部分が前記中心穴が開けられる領域内にあることを特徴とする(5)に記載のガラスブランク。
(7) 前記凹状面の中心軸が、前記中心穴の中心軸に一致することを特徴とする(5)又は(6)に記載のガラスブランク。
(8) 前記肉薄部分の厚みが、前記基板の厚みより0.05〜0.4mm厚いことを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載のガラスブランク。
(9) 溶融ガラスを下型と前記下型と対向する上型を用いてプレス成形して円盤状ガラスブランクを作製する(1)〜(8)のいずれかに記載のガラスブランクの製造方法であって、
前記下型及び上型は、一方の中央部に凹部を有し、他方の中央部に凸部を有し、
前記下型の成形面中央に溶融ガラスを供給してプレス成形を行い、かつ前記段差面を、上型又は下型の成形面を転写することによって形成することを特徴とするガラスブランクの製造方法。
(10) (1)〜(8)のいずれかに記載のガラスブランクに、中心穴を開ける加工、並びに前記ガラスブランクが有する肉薄部分の表面を平坦及び/又は平滑化する加工を施して、中心穴付き情報記録媒体用基板を作製する情報記録媒体用基板の製造方法。
(11) 前記ガラスブランクの段差面を残すように中心穴を開ける加工を行い、次いで前記段差面を基準面として前記ガラスブランクの中心穴の内径加工を行う(10)に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(12) 前記段差面を基準面としてガラスブランクの中心軸を決めてガラスブランクの中心穴の内径加工を行う(11)に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(13) 前記段差面を基準面としてガラスブランクの中心軸を決めてガラスブランクの外径加工を行う(12)に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
(14) (10)〜(13)のいずれかに記載の方法により作製された情報記録媒体用基板に情報記録層を形成する情報記録媒体の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明において「ガラスブランク」とは、機械加工などによる取り代分を考慮して、目的とする基板よりも大きめに作製されるガラス成形品であり、機械加工などを施すことによってディスク状の中心穴付き情報記録媒体用基板を得るためのガラス母材のことである。結晶化ガラス製の情報記録媒体用基板を提供する場合は、上記ガラスブランクから前記基板を作製する過程に、ガラスに熱処理を施して結晶化する工程を加えることになる。ガラスブランクは、上記基板と同様、円盤形状である。ただし、ガラスブランクには、上記基板のような中心穴は形成されていない。
【0009】
本発明のガラスブランクは、周辺肉薄部分と中心肉厚部分を有する円盤状ガラスブランクである。本発明のガラスブランクは、前記肉厚部分の一方の面は、前記肉薄部分に対して凸状(凸状面)であり、 前記肉厚部分の他方の面は、前記肉薄部分に対して凹状(凹状面)であり、前記凹状面外周と前記肉薄部分内周とを結ぶ面(段差面)は、前記肉薄部分の表面に対して垂直又は略垂直であり、かつ、前記凹状面の直径Φ1と前記凸状面の直径Φ2は、Φ1≦Φ2の関係を満たすことを特徴とする。
【0010】
以下、本発明のガラスブランクが、上記形状を有する利点について説明する。
本発明では、所定量の溶融ガラスをプレス成形型に供給し、ガラスがプレス成形可能な粘度にある間にプレス成形する方法(「ダイレクトプレス」という)によってガラスブランクを成形することができる。ガラスブランクの互いに対向する表裏面は互いに対向する下型と上型により成形される。プレス成形では上下型によりガラスを加圧することによりガラスを下型成形面と上型成形面の間に形成される空間(「キャビティ」という)に均等に広げるため、溶融ガラスを下型成形面の中央部に供給(「キャスト」という)する。上記機械加工により基板主表面(ディスク状基板の表裏面)を平坦、平滑化する加工、例えばラッピング加工やポリッシング加工による取り代を削減するためには、ガラスブランクの平坦度、表裏面の平行度、肉厚の均一性(偏肉度)を良好に保ちつつ、ガラスブランクの肉厚を基板の肉厚の近づける必要がある。従って、ダイレクトプレスでは、上記キャビティ内にガラスを均一に行き渡らせること、及びより薄いガラスブランクを成形することの2点を両立しなければならない。
【0011】
ダイレクトプレスでは、溶融ガラスがプレス成形型の成形面に焼きつかないようにするため、下型および上型の成形面の温度はガラスの転移点近傍又は転移点未満とする。したがって、ガラスは大気中への放熱に加え、キャスト以降、大気中への放熱よりも圧倒的に大きな熱量が熱伝導によってプレス成形型に奪われ、粘度が急激に上昇する。ガラスブランクの肉厚減少に伴い、ガラスの体積に対するガラスの成形型と接触する面積の割合(ガラスと型の接触面積/ガラスの体積)は増加する。熱伝導による放熱スピードは前記接触面積が大きくなると増加し、ガラスのもつ熱量はガラスの体積が大きいほうが大きい。したがって、(ガラスと型の接触面積/ガラスの体積)が大きくなると、プレスによりガラスがキャビティ内に均一に広がる前にガラスが粘性流動しない温度にまで冷却し、所望の形状にガラスブランクが得られなくなってしまう。これを、伸び不良という。
【0012】
本発明者らは、ガラスをキャビティ内に均一に広がるまで粘性流動可能な状態にしつつ、肉厚を薄くして基板両主表面の平坦、平滑化加工による取り代を削減するために、次の点を考慮した。
(a)キャストされる溶融ガラスの量を極端に減らすと、上記理由により伸び不良が発生してしまうので、プレスされるガラスの量を伸び不良が発生しないよう確保する必要がある。
(b)情報記録媒体用基板になる部分には上記平坦、平滑化加工を施すことは避けられないので、この部分に大きなガラス体積を割り当てるのは取り代削減という目的に反する。
(c)ガラスブランクの中央部は、中心穴開け加工によって除去される部分なので、この部分に大きなガラス体積を割り当てても上記取り代削減という目的には反さない。
(d)溶融ガラスは下型成形面の中央部にキャストされ、プレスされて押し広げられる。プレスでは中央部のガラスが周辺へと広げられるので中央部の体積割り当てを多くすれば、粘性流動性を有するガラスをプレスによって周辺へ供給することができる。
【0013】
本発明者らは、上記(a)〜(d)を勘案し、ガラスブランクの形状は中心に肉厚部分を有し、その周辺に肉薄部分を有するものが望ましいとの知見を得た。そこで、本発明のガラスブランクは、周辺肉薄部分と中心肉厚部分を有する形状とする。具体的には、中心肉厚部分の厚みが、周辺肉薄部分の厚みより、0.2〜1.0mm厚いことが好ましく、0.5〜0.7mm厚いことがより好ましい。また、本発明のガラスブランクにおいて、前記肉厚部分の体積は、ガラスブランクの総体積の6.0〜13%であることが好ましく、9.0〜11.0%であることがより好ましい。中心肉厚部分の厚み、及びガラスの総体積に対する中心肉厚部分が占める体積の割合が上記範囲よりも小さいと、伸び不良が発生しやすくなる。また、上記範囲よりも大きくても既に伸び不良抑制効果は十分得られているので、中心穴開け加工によって除去されるガラスの量が多くなるという問題があり、更に、中心肉厚部分の冷却の遅れが顕著になるという問題もある。ガラスブランクのプレス成形型の取りだし(テイクアウトという)はガラスブランクが変形しない温度にまで冷却してから行う必要があることから、上記冷却の顕著な遅れはテイクアウトまでの時間を不必要に長くしなければならないという事態を招き、生産性の低下につながる。従って、本発明では、中心肉厚部分の厚み、及びガラスの総体積に対する中心肉厚部分が占める体積の割合を上記範囲とすることが好ましい。
【0014】
本発明のガラスブランクは、肉厚部分の一方の面は凸状面であり、他方の面は凹状面であり、前記凹状面外周と前記肉薄部分内周とを結ぶ面である段差面は、前記肉薄部分の表面に対して垂直又は略垂直である。この段差面は、上型または下型の成形面が転写されたたものである。本発明では、この段差面が、肉薄部分の表面に対して垂直又は略垂直であることにより、プレス後のガラスの抜き取りが可能である。更に、この段差面が肉薄部分の表面に対して垂直又は略垂直であれば、この段差面をガラスブランクの中心出しの基準面として用いることができる。この点については更に後述する。ここで、「略垂直」とは、段差面を基準面として中心出しを行う場合に支障がない程度に垂直から角度がわずかにずれていることをいう。図1に示すような略垂直な形状であれば、プレス後にガラスを容易に抜き取ることができるので好ましい。また、図1に示す同軸度が0.15mm以下であることが好ましい。
【0015】
本発明のガラスブランクは、前記凹状面の直径をΦ1、前記凸状面の直径をΦ2とすると、Φ1≦Φ2の関係を満たす。凸状面の直径(Φ2)が、凹状面の直径(Φ1)より小さいと、中心肉厚部分と周辺肉薄部分との間に、周辺肉薄部分より肉厚が薄い部分が形成されることになる。しかし、ダイレクトプレス時には、この部分でガラスが過剰に冷却されて、ガラスをキャビティ内に押し広げる際の妨げになり、伸び不良の原因となってしまう。そこで、本発明のガラスブランクでは、Φ1≦Φ2とすることにより、上記問題を回避し、肉薄部分の厚みをより薄くすることができる。更に、本発明では、ガラスブランクがΦ1≦Φ2の関係を満たすことにより、中心穴開けを簡便に行うことができる。この点を含め、本発明のガラスブランクから中心穴付き情報記録媒体用基板を得るための、中心出しを行う方法、中心穴開け加工、内径加工、及び外径加工について、図1を参照しながら説明する。
【0016】
図2は、中心出し(「芯だし」ともいう)、中心穴あけ加工、内外径加工の様子をガラスブランクの中心軸に垂直な方向から見た概略図である。まず、ガラスブランクの外周部を固定し中心穴の中心に略一致する位置を中心として中心穴に仕上げられることになる下穴をドリルを用いてあける。形成される下穴の内径は中心穴内径から内径加工時の取り代分(取し代の2倍)を差し引いた値とすることが好ましい。本発明では、前記段差面を中心出しのための基準面として用いるため、下穴加工は、前記段差面を残すように行うことが好ましい。なお、下穴加工はドリルなどを使用せず、プレス成形後にガラスブランク全体を急冷することによりガラスを収縮させ、前記段差面の基部全周から肉厚部分凸部の基部全周にかけて亀裂を発生させ、力を加えて肉厚部分を抜取るあるいは押し出すことによって行うこともできる。このとき、ガラスブランクがΦ1≦Φ2の関係を満たすことにより、前記段差面を肉薄部分を含むガラスブランク本体側に残しつつ、肉厚部分を除去することができる。
【0017】
本発明のガラスブランクにおいて、一方の凸状面における中心肉厚部分と周辺肉薄部分の段差をd1、凹状面における中心肉厚部分と周辺肉薄部分の段差をd2とすると、d2は、中心出しに使用可能な寸法を有する必要がある。一方、d1は、Φ1≦Φ2を満足し、好ましくは肉厚部分の体積がガラスブランクの総体積の6〜13%の範囲内となる範囲で適宜設定することができる。
【0018】
次に複数のチャックとガラスブランクの肉薄部分表面に当接する部分を備えた芯だし治具を用いてガラスブランクの芯だしを行う。まず、チャックをガラスブランクの下穴に挿入しつつ、前記当接部分を肉薄部分表面に当接する。その状態で複数、好ましくは3個のチャックを広げて段差面に複数のチャックを同時に当接し、ガラスブランクを治具に固定する。このとき、前記凹状面の中心軸が、中心穴の中心軸に一致すれば、この状態で、複数のチャックの中心軸(治具の中心軸)とガラスブランクの当接面の中心軸は精密に一致する。
次いで、治具の中心軸が内外径加工機のワーク中心軸と一致するようにガラスブランクを内外径加工機に取り付ける。取り付けは、ガラスブランクの肉薄部分を両側から挟持するようにして固定して行う。加工機への固定後、芯だし治具を取り外す。この状態でガラスブランクの中心軸は加工機の中心軸に精密に一致している。
次いで、砥石を用いて内径加工及び外径加工を行えば、内外径中心がガラスブランクの中心軸、すなわち中心穴の中心軸として想定した軸と精密に一致する。このようにして、内外径の中心が精密に一致した所要の内外径を形成する加工を行うことができる。
【0019】
上記の中心穴開け加工後に両主表面の平坦、平滑化加工を行えば、肉厚部分が除去されたガラスブランクを平坦、平滑化すればよいので、平坦、平滑化加工の時間を短縮化することもできる。
一方、中心穴開け加工の前に両主表面の平坦化加工、例えばラッピング加工を行う場合は、肉厚部分が研削板からの圧力を受けとめ、ラッピング開始時より肉薄部分のみに圧力が加わるのを防ぐことができる。ガラスブランクに反りがあると、肉薄部分を弾性変形させた状態で平坦化加工しても、圧力を取り除くと上記変形が戻ってしまい、反りを低減できないという問題がある。それに対し、本出願人は先に、特開平10−194760号公報において、上記のような圧力を受けとめる部位を有するガラスブランクを提案している。本発明では、上記のように中心穴開け加工前に両主表面の平坦化加工を行えば、上記公報に記載の圧力を受けとめる部位として、肉厚部分を利用することもできる。
なお、結晶化ガラス基板を得る際には、結晶化の熱処理工程を両主表面の平坦、平滑化加工前に行うことが望ましい。結晶化しない場合は、イオン交換法などによりガラスに化学強化を施して基板としてもよい。上記各工程の間には適宜、洗浄工程を設けてもよい。
【0020】
本発明のガラスブランクは、両主表面の平坦、平滑化加工における取り代削減を可能にしつつ、良好な形状を得ることができるガラスブランクである。平坦、平滑化加工における取り代削減という観点から、本発明のガラスブランクにおいて、前記肉薄部分の厚みは、基板の厚みより0.05〜0.4mm厚いことが好ましく、0.05〜0.1mm厚いことがより好ましい。一般に、プレス成型後の平坦、平滑化加工は、#400ラップ、#100ラップ、プレポリッシュ、ポリッシュの4工程からなる(ここで、#は研磨剤の番手を表す)。肉薄部分の厚みが、基板の厚みより0.4mmを超えて厚くなると、基板主表面の平坦、平滑化加工におけるラッピング工程が1工程以上余計に必要となる。このような工程増加は生産性向上やコスト低減による情報記録媒体用基板の普及にとって障害となる傾向がある。一方、肉薄部分の厚みが、基板の厚みより0.05mm未満の範囲で厚い場合は、平滑化加工時に最低限必要な取り代が足りず、平坦、平滑化にとって支障となる傾向がある。具体的には、例えば、本発明のガラスブランクにおいて、肉薄部分の厚みが最終的に製造される基板の厚みより0.05mm厚ければ、ラップ工程を省略することができ、0.1mm厚ければ、#1000ラップで基板の厚み+0.05mmの厚さに加工することができる。
【0021】
本発明によれば、肉薄部分の肉厚が薄いガラスブランクを得ることができるので、プレス成形後のガラスブランクの反りを低減することもできる。ガラスブランクの反りは、ブランク全体が均一に肉薄部分と同じ厚さをもつと仮定したとき、凹形状になっている一方の主表面の外周で形成される仮想の平面と前記主表面の距離の最大値を意味する。本発明のガラスブランクでは、ガラスブランクの反りを、例えば50μm以下に抑えることができる。従って、肉厚部分において前記凹形状の主表面側を凸状に成形する場合、肉厚部分が前記仮想平面より凸に出っ張った形状を得ることができる。
【0022】
本発明のガラスブランクにおいて、中心肉厚部分の直径は、以下の点を考慮しつつ大きいほうが伸び不良を抑制する上から好ましい。中心肉厚部分は基板両主表面の平坦、平滑化加工前に除去されることが望ましいから、中心肉厚部分は中心穴が開けられる領域内にあることが好ましく、中心肉厚部分の直径は中心穴内径以下とすることが好ましい。
【0023】
さらにガラスブランクの形状を決めるには、次の点をも考慮する必要がある。ガラスブランクを情報記録媒体用基板に加工する場合、ガラスブランクの中心に中心穴を形成した後、内径加工と呼ばれる中心穴内径の仕上げ加工を施す。また、ガラスブランクの外周部についても一定半径のディスク形状になるよう外径加工と呼ばれる仕上げ加工を施す。その際、中心穴の中心(内径の中心)と外周部の中心(外径の中心)を高精度に一致させる必要がある。2つの中心が僅かでもずれた基板を用いて情報記録媒体を作ると、安定した回転が得られないなどの問題が発生してしまう。そのため、内径の中心と外径の中心を如何にして一致させるかという点に注意を払わなければならない。
【0024】
まず、本発明のガラスブランクを得るためには、上述のように中心肉厚部分の直径は中心穴内径以下となるように、中心穴の位置にあわせて肉厚部分を成形することが好ましい。更に、形成しようとする中心穴の中心軸が、凹状面の中心と一致するように肉厚部分を成形することが好ましい。このような成形は、肉厚部分を転写成形する上下型成形面の中心軸が少なくともプレス時には一致するように設定し、下型成形面の中央に溶融ガラスをキャストすることによって達成することができる。より好ましくは、キャストされた溶融ガラスゴブが下型成形面の中心軸に対し対称形状になるようにする。
【0025】
中心穴の中心と凹状面の中心とは、好ましくは上記のような関係にある。その場合、ガラスブランクの中心出しにはガラスブランクの外周部を利用するよりも、凹状面と肉薄部分との間の段差面を利用するほうが、中心出しを正確に行う上で有利である。また、前記外周部を胴型などで規制しない(プレス成形過程において前記外周部が成形型に接触しない)ような成形法を用いて、外周部を自由表面とすることにより、熱伝導による外周部からの熱放出量が低減され、プレス中のガラスの面内(プレス方向に対して垂直な面)の温度分布を低減することができる。これにより、肉薄部分に生じるうねりを低減することができる。ただし、その場合には、プレス条件の微小な変化によっても外周部の形状、外径は微妙に変動するため、中心出しの基準面として、前記段差面を用いることが好ましい。
【0026】
[ガラスブランクの製造方法]
本発明において、ガラスブランクの下型成形面によって成形される主表面を主表面1、上型成形面によって成形される主表面を主表面2とすると、下型成形面の中央部に凹部を、上型成形面の中央部に凸部を設けてプレス成形することにより、図3(A)に示すような、主表面1において周辺肉薄部分に対して中心肉厚部分が凸、主表面2において周辺肉薄部分に対して中心肉厚部分が凹である形状(以下、「形状(A)」という)を有するガラスブランクを得ることができる。一方、上型成形面の中央部に凹部を、下型成形面の中央部に凸部を設けてプレス成形することにより、図3(B)に示すような、主表面2において周辺肉薄部分に対して中心肉厚部分が凸、主表面1において周辺肉薄部分に対して中心肉厚部分が凹である形状(以下、「形状(B)」という)を有するガラスブランクを得ることができる。
【0027】
周辺肉薄部分に対して中心肉厚部分が凹状となる側の主表面を成形するプレス成形型は、中心型部材と周辺型部材からなる型であることが好ましい。上下型をそれぞれ中心型部材と周辺型部材の2つの型部材に分割することにより、プレス時に反りの原因となる熱膨張による型内の応力を緩和することができる。その場合、上記形状(A)を有するガラスブランクを得るためには、図4(a)に示すように、下型成形面の中央肉厚部分を成形する成形面を、周辺肉薄部分を成形する成形面よりも凹状になるようにするとともに、上型成形面の中央肉厚部分を成形する成形面を、周辺肉薄部分を成形する成形面よりも凸状になるようにして、ガラスブランクを成形することが望ましい。一方、上記形状(B)を有するガラスブランクを得るためには、周辺肉薄部分を成形する成形面よりも凸状になるようにするとともに、上型成形面の中央肉厚部分を成形する成形面を、周辺肉薄部分を成形する成形面よりも凹状になるようにして、ガラスブランクを成形することが望ましい。下型成形面が凹状であれば、下型成形面に熔融ガラス塊を供給したとき、ガラスの座りがよくなる。また、中心型部材と周辺型部材とに分割された成形型を用いると、プレス時に周辺型部材と周辺型部材との間の隙間からガスが抜けるので、エア溜まりが生じることによるガラスブランクの平坦度の低下という問題を回避することができる。
【0028】
キャスト後、下型成形面に接したガラスの粘性は急激に上昇する。一方、キャストされたガラスの上面はプレス開始まで上型には接しないので、下型接触部分よりも粘性上昇のスピードは緩やかである。このようにプレス開始の時点では、キャストされたガラスの下部の粘性は高く、上部の粘性は低い。この状態でプレスが始まると、中心型部材と周辺型部材からなる型を用いる場合、下型成形面の隙間(中心型部材と周辺型部材の間の隙間)にはガラスが進入しにくいが、上型成形面の隙間(中心肉厚部分を成形する型部材と周辺肉薄部分を成形する型部材の間の隙間)にはガラスが進入しやすい。このようにガラスが進入しやすい隙間を有する型において、中心肉厚部部分を成形する型成形面を、周辺肉薄部分を成形する型成形面よりも凸状にすることによって、ガラスが上記隙間の開口部に達するのを遅らせることができ、その結果、上記隙間へのガラスの進入を防止することができる。
【0029】
上記の点に十分配慮した上で、ダイレクトプレスにより本発明のガラスブランクを成形することができる。ガラスブランクの成形に使用される成形型は公知の金型でよく、キャスト、プレス成形型の搬送、ガラスブランクのテイクアウト、テイクアウトされたガラスブランクのアニールも、公知の方法を適用することができる。
また使用するガラスとしては、情報記録媒体用基板のガラス材料として、又は熱処理による結晶化によって結晶化ガラス基板が得られるガラス材料として、それぞれ公知のガラス材料であって、プレス成形可能なものを用いることができる。このようなガラス材料としては、アルカリ金属酸化物含有のアルミノシリケートガラス、さらに上記ガラスにアルカリ土類金属酸化物や酸化チタンを導入したガラス、希土類酸化物含有ガラスなどを例示することができる。
【0030】
アニールされたガラスブランクには、例えば、中心穴開け加工、内外径を仕上げる加工(面取り加工を含む)、両主表面の平坦、平滑化加工(ラッピング加工、粗研磨加工、仕上げ研磨加工)が施される。本発明では、ダイレクトプレス法を用いることにより、平坦、平滑化加工時の取り代を削減することができるので、上記ラッピング加工は番手#1000の研磨剤によるラッピング加工のみで十分となり、従来必要とされていた番手#400の研磨剤によるラッピング加工を省略することができる。
【0031】
[情報記録媒体用基板の製造方法]
次に、本発明のガラスブランクを、中心穴付き情報記録媒体用基板に加工する方法について説明する。まず、基板に加工した際に中心穴となるべき部分に貫通穴を開け、次いで、内径加工及び外径加工を行い、所望の内径及び外径に仕上げることができる。本発明では、中心肉厚部分が、中心穴が開けられる領域内にあることが好ましく、また、上記内径仕上げ加工の取り代を中心穴の内径から差し引いた径を、中心肉厚部分の直径の上限とすることが望ましい。さらに、本発明の円盤状ガラスブランクは、周辺肉薄部分の厚みは均一であることが望ましく、更に、円盤の中心軸のまわりに回転対称形状となっていることが好ましい。中心出し及び内外径加工の詳細については、上述の通りである。
【0032】
本発明のガラスブランクの具体的形状の一例は次のとおりである。
(形状1)
肉厚部分の一方の面が肉薄部分に対して凸状であり、他方の面が肉薄部分に対して凹状であり、かつ、周辺の肉薄部分の厚みが情報記録媒体用基板の厚みより0.05〜0.4mm厚く、前記肉厚部分の厚みが0.8〜2.1mmであるガラスブランク。
(形状2)
肉厚部分の一方の面が肉薄部分に対して凸状であり、他方の面が肉薄部分に対して凹状であり、かつ、周辺の肉薄部分の厚みが情報記録媒体用基板の厚みより0.05〜0.4mm厚く、前記肉厚部分の占める体積の割合がガラスブランクの総体積の6.0〜10.6%であるガラスブランク。
【0033】
情報記録媒体用基板として主に使用されているディスクの直径は、一般に、25〜97mmの範囲にある。従って、それに合わせて外径φ026〜98mmのガラスブランクとして、本発明のガラスブランクは好適である。以下、特に好適なものを例示する。
▲1▼外径φ0が27.4〜30mmのガラスブランク(直径1インチの情報記録媒体基板用)の場合、周辺肉薄部分の厚みtbが0.8mm以下、好ましくは0.44〜0.8mm;中心肉厚部分の厚みtaが0.8〜1.0mm;両主表面の平坦、平滑化加工における取り代が0.05〜0.4mm;中心肉厚部分の直径が4〜6mm;ガラスの総体積に対する中心肉厚部分が占めるガラス体積の割合が5.0〜8.0%であることが好ましい。このガラスブランクからは、例えば、外径27.4mm、厚み0.381mm、中心穴内径7.0mmの基板を得ることができる。
【0034】
▲2▼外径φ0が65〜68mmのガラスブランク(直径2.5インチの情報記録媒体基板用)の場合、周辺肉薄部分の厚みtbが1.0mm以下、好ましくは0.7〜1.0mm;中心肉厚部分の厚みtaが1.1〜1.5mm;両主表面の平坦、平滑化加工における取り代が0.05〜0.4mm;中心肉厚部分の直径が16〜19mm;ガラスの総体積に対する中心肉厚部分が占めるガラス体積の割合が8.0〜12.0%であることが好ましい。このガラスブランクからは、例えば、外径65.0mm、厚み0.635mm、中心穴内径20.0mmの基板を得ることができる。
【0035】
▲3▼外径φ0が95〜98mmのガラスブランク(直径3.5インチの情報記録媒体基板用)の場合、周辺肉薄部分の厚みtbが1.4mm以下、好ましくは1.05〜1.4mm;中心肉厚部分の厚みtaが1.5〜2.1mm;両主表面の平坦、平滑化加工における取り代が0.05〜0.4mm;中心肉厚部分の直径が21〜24mm;ガラスの総体積に対する中心肉厚部分が占めるガラス体積の割合が6.0〜10.0%であることが好ましい。このガラスブランクからは、例えば、外径95.0mm、厚み1.0mm、中心穴内径25.0mmの基板を得ることができる。
【0036】
本発明では、このようにして、取り代が必要最小限の範囲にあり、伸び不良のないガラスブランクを提供できるとともに、このガラスブランクを使用することにより、比較的短時間かつ低労力で両主表面の平坦、平滑化加工を行い、生産性よく磁気記録媒体用基板、光磁気記録媒体用基板、光記録媒体用基板などの情報記録媒体用基板を提供することができる。
上記記録方式に応じて、磁気記録層、光磁気記録層、光記録層などを基板主表面上に設けることにより磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体などの情報記録媒体を提供することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を示しつつ、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜3)
まず、周知のガラス溶解方法により溶融ガラスを用意し、鋳鉄からなる金型を上型、下型、胴型に用いてダイレクトプレス成形によってガラスブランクを成形した。ガラスブランクを構成するガラス材料として、転移温度(Tg)485℃、100〜300℃における平均線膨張係数が95×10-7/K、300℃〜Tgの範囲内でガラスの伸び率が温度変化に対して比例する範囲における線膨張係数が98×10-7/K、Tg〜530℃の範囲内でガラスの伸び率が温度変化に対して比例する範囲における線膨張係数が37×10-6/KであるSiO2、Al2O3、Li2O、Na2O、ZrO2よりなるガラスを用いた。成形の条件は、溶融ガラス塊を受ける下型の温度を500℃、下型上に投入される溶融ガラスの粘度を400ポアズ、プレス時間(ガラスに圧力を加える時間)を1秒以内とした。上型を上方へ退避して成形されたガラスブランクの上面から上型を離し、下型成形面上にてガラスブランクの温度がガラス転移温度付近まで下がるのを待つ。この間に、下型上でガラスブランクが反るのを修正するため、ガラスが塑性変形可能な状態にある間、適宜、押圧体により上面から圧力を加えて反りを直すとともに、押圧体によりガラスブランクから熱を奪って冷却を早めてもよい。ガラスブランクの温度がガラス転移温度付近まで下がってから、下型上の薄板ガラスを大気中へ取り出す。ダイレクトプレス成形は大気中で行われるが、ガラスブランクは高温の下型に接している間は急冷されないが、その下型からテイクアウトされた瞬間にガラス転移温度付近から全面が室温雰囲気に晒されることになり、急冷される。
【0038】
ダイレクトプレス成形に使用する成形型成形面の形状はガラスブランクに転写(反転)されるので、成形された薄板ガラスの形状、各部寸法をもとに、型成形面の形状、寸法は定めることができる。ダイレクトプレス成形された円盤状のガラスブランクの回転対称軸cを含む断面の概略を図5に示す。ここで、φ0は円盤状の薄板ガラスの外径、φ1は、図5の中心肉厚部分の主表面1(下面)の凸部の直径、φ2は、中心肉厚部分の主表面2(上面)の凹部の直径、taは中央肉厚部分の厚さ、tbは周辺肉薄部分の厚さ、d1は主表面1(下面)における中心肉厚部分と周辺肉薄部分の段差、d2は主表面2(上面)における中心肉厚部分と周辺肉薄部分の段差に相当する。なお、図5の主表面2の中心肉厚部分と周辺肉薄部分の段差が段差面に相当し、この段差面は主表面1、2ならびに主表面1側の中心肉厚部分と周辺肉薄部分の段差とともに型成形面を転写して形成した面である。なお、ガラスブランクの外周部は型成形面に接触させず、自由表面とした。実施例1〜3として表1に示す形状、寸法のガラスブランをダイレクトプレス成形により成形した。
【0039】
テイクアウトされたガラスブランクを、アニール炉へ入れてアニールし、歪を取り除いた。その後、中央肉厚部分を前述のようにして機械加工により除去(中心穴の下穴加工)し、周辺肉薄部分からなるガラスに内外径加工を施した。ただし、下穴加工ではガラスブランクの段差面が残るような加工を行うものとする。ガラスブランクの芯だしには、先に説明したような芯だし治具を用いた。なお、下穴加工は、プレス成形後のガラスブランク全体を急冷して上記のような亀裂を発生させ、亀裂に沿って中央肉厚部分を抜取るあるいは押し出すようにしてもよい。番手#1000の研磨剤によるラッピング加工、粗研磨加工、精密研磨加工を両主表面に施し、磁気記録媒体用ガラス基板を得た。これらの工程中、適宜、洗浄工程を入れることもできる。
【0040】
ガラスブランク、ガラス基板の平坦度、平面度、偏肉度、平行度を表1に示す。また、ガラス基板の中心線平均粗さRaを表1に示す。このように、本実施例によれば、基板両主表面の平坦、平滑化加工における取り代を削減しつつ、良好な形状のガラスブランクならびにガラス基板を作製することができた。
得られたガラス基板には必要に応じて、アルカリ金属溶融塩に浸漬してイオン交換による化学強化を施してもよい。
また、ガラスの種類を加熱処理によって結晶化ガラスが得られるもの、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、Na2O、MgO、CaO、Y2O3などの各成分を含むガラスが得られる溶融ガラスをダイレクトプレス成形し、実施例1〜3と同様にしてガラスブランクを作り、このガラスブランクに結晶化のための熱処理工程、研削、研磨工程を適宜施して、結晶化ガラスよりなる中央穴付きディスク状基板を得ることもできる。
このようにして得られた各基板は磁気記録媒体用基板としてだけではなく、光磁気記録媒体用基板、光ディスクなどの情報記録媒体用基板としても好適である。
【0041】
(比較例)
全面にわたり均一な肉厚を有するガラスブランクが得られるように、上下型成形面とも平坦なプレス成形型を用い、肉厚0.7mm、外径66mmのガラスブランクのダイレクトプレス成形を試みた。成形条件は上記実施例に準じる。その結果、伸び不良が発生し、ガラスを円盤形状に成形することができなかった。
【0042】
(実施例4)
実施例1〜3で得られたガラス基板および結晶化ガラス基板の表面に磁性層(情報記録層)を含む多層膜を形成して磁気記録媒体(磁気ディスク)を作製した。作製された媒体はいずれも良好に機能することが確認された。
なお、情報記録層を含む多層膜の種類を周知の方法により適宜選択することにより光磁気記録媒体や光ディスクなどの他の情報記録媒体を作製することもできる。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板両主表面の平坦、平滑化加工における取り代を削減可能にしつつ、良好な形状のガラス製基板ブランクを製造することができるので、平坦、平滑化加工における生産性を向上することができる。
また、ガラスブランクの加工工程において、芯だしを容易に行うことができ、前記加工の生産性を向上することができる。
したがって、本発明によれば、情報記録媒体用基板への加工における生産性を向上可能なガラスブランクの製造方法を提供することができる。
また、本発明の情報記録媒体用基板の製造方法によれば、生産性よく前記基板を製造することができる。
さらに、上記ガラスブランクを使用することにより、生産性よく情報記録媒体用基板ならびに情報記録媒体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 肉薄部分の表面に対して略垂直な段差面を有するガラスブランクの一例である。
【図2】 本発明のガラスブランクから中心穴付き情報記録媒体用基板を得るための、中心出しを行う方法、中心穴開け加工、内径加工、及び外径加工の概略図である。
【図3】 本発明のガラスブランクの概略図である。
【図4】 本発明のガラスブランクを得るためのプレス成形の一例である。
【図5】 実施例1〜3において、ダイレクトプレス成形された円盤状のガラスブランクの回転対称軸cを含む断面の概略図である。
【符号の説明】
11…下型中心型部材
12…下型周辺型部材
21…上型中心型部材
22…下型周辺型部材
3…熔融ガラス塊
Claims (14)
- 周辺肉薄部分と中心肉厚部分を有する円盤状ガラスブランクであって、
前記肉厚部分の一方の面は、前記肉薄部分に対して凸状(以下、「凸状面」という)であり、
前記肉厚部分の他方の面は、前記肉薄部分に対して凹状(以下、「凹状面」という)であり、
前記凹状面外周と前記肉薄部分内周とを結ぶ面(以下、「段差面」という)は、前記肉薄部分の表面に対して垂直又は略垂直であり、かつ、
前記凹状面の直径Φ1と前記凸状面の直径Φ2は、Φ1≦Φ2の関係を満たすことを特徴とするガラスブランク。 - 前記肉厚部分の厚みが前記肉薄部分の厚みより0.2〜1.0mm厚いことを特徴とする請求項1に記載のガラスブランク。
- 前記肉厚部分の体積がガラスブランクの総体積の6.0〜13%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスブランク。
- 自由表面からなる外周面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスブランク。
- 中心穴付き情報記録媒体用基板に加工される請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスブランク。
- 前記肉厚部分が前記中心穴が開けられる領域内にあることを特徴とする請求項5に記載のガラスブランク。
- 前記凹状面の中心軸が、前記中心穴の中心軸に一致することを特徴とする請求項5又は6に記載のガラスブランク。
- 前記肉薄部分の厚みが、前記基板の厚みより0.05〜0.4mm厚いことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のガラスブランク。
- 溶融ガラスを下型と前記下型と対向する上型を用いてプレス成形して円盤状ガラスブランクを作製する請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラスブランクの製造方法であって、
前記下型及び上型は、一方の中央部に凹部を有し、他方の中央部に凸部を有し、
前記下型の成形面中央に溶融ガラスを供給してプレス成形を行い、かつ前記段差面を、上型又は下型の成形面を転写することによって形成することを特徴とするガラスブランクの製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラスブランクに、中心穴を開ける加工、並びに前記ガラスブランクが有する肉薄部分の表面を平坦及び/又は平滑化する加工を施して、中心穴付き情報記録媒体用基板を作製する情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記ガラスブランクの段差面を残すように中心穴を開ける加工を行い、次いで前記段差面を基準面として前記ガラスブランクの中心穴の内径加工を行う請求項10に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記段差面を基準面としてガラスブランクの中心軸を決めてガラスブランクの中心穴の内径加工を行う請求項11に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 前記段差面を基準面としてガラスブランクの中心軸を決めてガラスブランクの外径加工を行う請求項12に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
- 請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法により情報記録媒体用基板を作製し、作製された情報記録媒体用基板に情報記録層を形成する情報記録媒体の製造方法。
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