JP4245884B2 - 電波吸収体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の周波数の電波を吸収するよう意図された電波吸収体は、例えば、高速道路などの料金所の天井などに設けられている。これは、最近、導入され始めている料金自動収受システムにおいて、不要電波(例えば、中心周波数5.8GHz)による機器の誤動作を低減するためである。そのためには、不要電波の吸収特性、例えば斜入射特性(高角度から入射する電波の吸収)が良好であることが求められ、その基準の一つとしてJH(日本道路公団)が発行している「ETC対策工法書」に記載されている電波吸収体に関するスペック(以後、「JHスペック」とよぶ)がある。
【0003】
典型的な電波吸収体としては、図2に示すような、「λ/4型電波吸収体」が公知である。これは、金属板9で裏打ちした誘電体8の表面に所定の表面抵抗率の抵抗被膜10を設けた構造であって、前記誘電体8の厚さを、吸収すべき電波の波長λg(該誘電体内での電波の波長)の1/4とすることを特徴とする(例えば特許文献1)。λ/4型電波吸収体は、吸収を意図する電波が入射する方向に上記抵抗被膜10を向けるように配置される(逆向きではJHスペックを満足する電波吸収特性を得ることができない)。λ/4型電波吸収体を用いる場合、電波吸収特性の改良は、電波吸収体、特に誘電体8の材料を最適化することによりなされるのが一般的であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−307088号公報
【0005】
しかし、このようにλ/4型電波吸収体の改良に際し、誘電体8の材料を最適化することのみに注力するのでは、所望の特性を有する電波吸収体を得ることができる製造条件の幅が狭くなり、製品歩留まりが悪くなるのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
また、電波吸収体の実使用時においては、吸収すべき不要電波は一方向からではなく、入射を意図する方向と正反対の方向を含む様々な方向から電波吸収体に入射する。すなわち、自動料金収受システム等といった実際の使用系では、不要電波は様々な方向に反射しており、一面からのみの入射を意図した電波吸収体では不要電波の吸収が不十分である。したがって、電波吸収体としては、一面に入射する電波の吸収特性のみならず、当該面と対向する面に入射する電波の吸収特性も良好であることが望ましい。
【0007】
このように、対向する2つの面双方へ入射する電波を吸収することを意図した電波吸収体を、以下、「双方向電波吸収体」とも表記する。双方向電波吸収体としては、2枚のλ/4型電波吸収体を背中合わせに設けてもよい。しかし、上述のようにλ/4型電波吸収体は歩留まりが悪い。さらに、λ/4型電波吸収体においては誘電体8の厚さを自由に変えることができない(該厚さが電波吸収特性に影響するため)、すなわち、耐衝撃性向上のために厚くすることができないので、不所望の力によって壊れやすいという問題もある。
【0008】
本発明は、電波吸収体の対向する2つの面双方へ入射する電波の吸収特性が良好で、かつ外力に対して壊れ難い電波吸収体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の2枚のλ/4型電波吸収体を背中合わせに設けることとは全く異なる概念に基く、後述する構成の電波吸収体が、優れた双方向電波吸収体になり得ることを見出し、以下の特徴を有する本発明を完成した。
(1)一方の側の最外層としての第1の誘電体層(厚さd1、誘電率ε1)と、第1の抵抗膜(表面抵抗率r1)と、第2の誘電体層(厚さd2、誘電率ε2)と、第2の抵抗膜(表面抵抗率r2)と、第3の誘電体層(厚さd3、誘電率ε3)と、第3の抵抗膜(表面抵抗率r3)と、前記一方の側の最外層とは反対の側にある他方の側の最外層としての第4の誘電体層(厚さd4、誘電率ε4)とをこの順に有していて、
d1、d2、d3、d4が2〜11mmであり、ε1、ε2、ε3、ε4が2.0〜5.0であり、r1、r3が105〜620Ω/□であり、r2が0.01〜40Ω/□である電波吸収体。
(2)上記第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層、第4の誘電体層が、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂および塩化ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、
上記第1の抵抗膜、第2の抵抗膜、第3の抵抗膜が、金属メッシュ膜、酸化インジウムスズ膜および酸化スズ膜からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の電波吸収体。
(3)上記電波吸収体が可視光を透過するものである上記(1)または(2)に記載の電波吸収体。
(4)自動料金収受システムにおける不要電波の吸収のために用いられるものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電波吸収体。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の電波吸収体の模式図である。本発明の電波吸収体は、後述する厚さ、誘電率あるいは表面抵抗率を有する、第1の誘電体層1と、第1の抵抗膜2と、第2の誘電体層3と、第2の抵抗膜4と、第3の誘電体層5と、第3の抵抗膜6と、第4の誘電体層7とをこの順に有することを特徴とする。
【0011】
本発明の電波吸収体は、単に2枚のλ/4型電波吸収体の裏面同士を貼り合わせた電波吸収体(図3参照)ではなく、対向する両最外層に誘電体層1、7をさらに設けたものである。この誘電体層1、7を設けることにより、誘電体層1から入射する電波も、誘電体層7から入射する電波も良好に吸収し得るのである。
【0012】
このように、誘電体層1、7を設けることにより、各誘電体層1、3、5、7の厚さを自由に制御することができ、かつ、良好な双方向電波吸収体となり得る理由は詳細には把握されていないが、概ね以下のような作用によるものと推察される。
【0013】
単層型電波吸収体の場合、吸収体前面から背面を見込んだ入力インピーダンスZinは次式で与えられる。
【0014】
【数1】
【0015】
であり、伝播定数および各層の特性インピーダンスはTE波、TM波の両偏波に対して、それぞれ、
【0016】
【数2】
【0017】
で与えられる。
また、得られた入力インピーダンスを用いて、反射係数および電波吸収量は、(3)、(4)式より計算することができる。
【0018】
【数3】
【0019】
吸収層が2層以上の多層型吸収体の場合、2層目の入力インピーダンスは1層目前面から背面を見込んだ入力インピーダンスを終端負荷((1)式におけるZLに相当)として与えることにより算出できる。同様の計算を順次繰返し、吸収体の表面から見込んだ入力インピーダンスを算出することで、多層型電波吸収体の吸収量を求めることができる。本発明は、このような伝送線路理論を応用したものである。
【0020】
第1、第2および第3の抵抗膜2、4、6とは、表面抵抗率(それぞれ、r1、r2、r3とする)が、以下の範囲の膜である。すなわち、r1、r3は105〜620Ω/□であり、r2は0.01〜40Ω/□である。表面抵抗率(単位Ω/□)は、JIS K 7194に規定される単位面積あたりの抵抗である。r1、r3が前記範囲であるのは、JHスペックを満足する電波吸収特性(斜入射特性)を実現するためである(後述の実施例等参照)。図4は、r2と電波の透過減衰量との関係を示すグラフである。r2が大きいほど電波が電波吸収体を通り抜け易い(透過減衰量が小さい)ことが分かる。十分な透過減衰(例えば、15dB以上)を得る点から、r2は40Ω/□以下であることが必要である。実用可能な材料を得易いという観点から、r2の下限は0.01Ω/□である。上記範囲内であればr1〜r3は個々に独立に設定することができる。さらに、r1〜r3は次の範囲内であることが好ましい。
r1は、150〜405Ω/□、
r2は、0.1〜20Ω/□、
r3は、150〜405Ω/□。
【0021】
上記抵抗膜2、4、6は上述の条件を満たせば、材料等に特に制限はないが、電波吸収体全体の透明性(可視光に対する透明性)を確保する点から、金属酸化物膜または金属メッシュ膜等が好ましく用いられる。金属酸化物膜としては酸化インジウムスズ(ITO)膜、酸化スズ膜等が例示される。金属酸化物膜は例えば、スパッタリング法、蒸着法などで例示される公知の方法で製造することができる。スパッタリングや蒸着等の条件(雰囲気、電圧、時間、温度等)は、使用する金属酸化物膜によって適宜変更すればよい。
【0022】
抵抗膜2、4、6としては、上述の金属酸化物膜よりも小さい表面抵抗率で安定して制御することができる金属メッシュ膜を用いることもできる。金属メッシュ膜における金属は特に限定はなく、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Feまたはそれらの合金等を挙げることができ、高い電気伝導性の点からAl、Cu、Ag等が好ましい。金属メッシュ膜とは、前記した金属(Cu、Al、Ag、Au、Feまたはそれらの合金等)の極細線を編んだものや、樹脂繊維の外周に前記金属をメッキしたものを編んだもの、樹脂繊維の外周に前記金属をメッキしてさらに該メッキ表面を無電解メッキやスパッタリング等でコーティングしたものを編んだもの、樹脂繊維を編んだものに前記金属をメッキしたもの、樹脂繊維を編んだものに前記金属をメッキしてさらに該メッキ表面を無電解メッキやスパッタリング等でコーティングしたもの、前記金属の薄膜をパンチングによってメッシュ状に打抜加工したものなどである。金属メッシュ膜の透明性は、コーティングの種類や編み込み目のピッチやメッシュ間隔によって調整することができる。また、金属メッシュ膜としては、セーレン社製4Xシリーズ、4Fシリーズなどとして市販されているものを用いることもできる。
【0023】
上記抵抗膜2、4、6の具体的な形成方法としては特に限定はなく、例えば、後述する誘電体層に直接スパッタリングで金属酸化物膜を形成し、各面をそれぞれ第1の抵抗膜2、第2の抵抗膜4、第3の抵抗膜6としてもよいし、PETフィルム上にスパッタリングで金属酸化物の薄膜を形成して該PETフィルムを接着剤や粘着剤等で誘電体層へ貼り付けてもよい。抵抗膜2、4、6が金属メッシュ膜である場合は、例えば、該金属メッシュ膜を直接誘電体層に接着剤や粘着剤等で貼り付けたり、金属メッシュを貼り付けたPETフィルムを誘電体層へ貼り付けること等により電波吸収体を製造することができる。PETフィルム等を接着剤または粘着剤で貼り付ける場合には、該フィルム、接着剤や粘着剤も各誘電体層の一部(その際は、誘電体層の誘電率は合成実効誘電率として考える必要がある)となる。
【0024】
上述の抵抗膜2、4、6の表面抵抗率r1〜r3は、従来公知の方法によって容易に制御することができる。例えば、スパッタリングによって形成する場合には、スパッタリングの時間、雰囲気等で膜厚を調整することで当業者であれば容易に所望のr1〜r3を有する抵抗膜2、4、6を得るができる。抵抗膜2、4、6が金属メッシュである場合には、樹脂繊維へ金属メッキをする場合の電流密度、時間等でメッキ厚を調整することで、当業者であれば容易に所望のr1〜r3を有する抵抗膜2、4、6を得ることができる。さらに、金網、ステンレス、黄銅の極細線を織って抵抗膜2、4、6を形成する場合は、当該織りの密度、極細線の材料等によっても、r1〜r3を制御することができる。
【0025】
次に、第1、第2、第3および第4の誘電体層1、3、5、7について説明する。第1の誘電体層1および第4の誘電体層7を設けることにより、良好な双方向電波吸収体を形成し得ることは上述したとおりである。ここで、誘電体層とは、以下の2要件を具備する層、すなわち、誘電率(ε1〜ε4)が2.0〜5.0であり、かつ、厚さ(d1〜d4)が2〜11mmである層である。
【0026】
ε1〜ε4の下限が2.0であるのは、ε1〜ε4が大きい方が各誘電体層の厚さを小さくすることができ電波吸収体を小型化できるという理由によるものであり、さらに低コストで透明な(可視光が透過する)材料を得易いという理由から当該下限は2.7(具体例;ポリカーボネート、アクリル)であるのが好ましい。ε1〜ε4の上限が5.0であるのは、5.0より大きくなると、各誘電体層の厚さが小さくなりすぎて電波吸収体の強度が弱くなるという理由によるものである。特に、本発明の電波吸収体を自動料金収受システムに使用する場合には、風圧や不所望の外力を受け易いため、電波吸収体を適切な厚さ(後述)にして、強度を確保することが重要である。さらに低コストで透明な材料を得易いという理由から当該上限は3.2(具体例;ポリエチレンテレフタレート)であるのがより好ましい。前述した樹脂の他、例えばアクリル樹脂(誘電率;2.85)もまた各誘電体層として好適に使用することができる。
【0027】
誘電体層1、3、5、7の厚さが2〜11mmであるのは、上述した誘電率との関係から、実用上重要な周波数の電波を良好に吸収させるためである。また、下限が2mmであることは、上述したように電波吸収体の強度を確保する点からも必要である。ここで、実用上重要な周波数とは、例えば、自動料金収受システムに使用される5.8GHz帯域等が挙げられる。また、良好に吸収させるとは、例えば前記自動料金収受システムに使用される場合には、上述したJHスペックを満足することをいう。
【0028】
誘電体層1、3、5、7の材料、製法等は特に限定はなく、該誘電体層1、3、5、7は従来公知の材料を用いて従来公知の製法によって得てもよい。具体的には、ポリカーボネイト樹脂(以下、PCともいう)、アクリル樹脂(以下、ACともいう)、ポリエステル樹脂(以下、PETともいう)、塩化ビニル樹脂(以下、PVCともいう)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(以下、PMMAともいう)からなる層が例示される。これらの樹脂を各誘電体層にどのように組み合わせて用いてもよいが、熱膨張係数の差から生じる熱歪を緩和する点や、材料管理の容易さの点から同種の材料で全ての誘電体層を構成することが好ましい。
【0029】
本発明の電波吸収体を屋外で使用する場合には、該電波吸収体の最外層となる第1および第4の誘電体層1、7は、耐候性(耐紫外線性)を有するものであることが好ましい。このように耐候性を有する誘電体層は公知の樹脂を用いることで容易に得ることができ、例えば、市販のポリカーボネート樹脂(例;旭硝子社製、ニューSG、ニューSGW等)等をそのまま使用してもよい。
【0030】
本発明の電波吸収体は、不要電波を吸収するあらゆる用途に適用することが可能であり、上述したような自動料金収受システムにおける使用や電波反射を制御しなければならない照明への使用等が例示されるがそれらに限られない。自動料金収受システムとは、自動車等の交通機関における通行料金情報等を無線通信を利用して交換することにより、料金所における直接の手渡しなしに決済ができるシステムであり、該システムにおける不要電波の吸収を目的とする本発明の電波吸収体の具体的な使用態様としては、例えば、料金所間を仕切って隣の料金所の電波(情報)による誤動作を防ぐことや、料金所の天井に設けられている照明下での電波の反射を防ぐこと等が挙げられる。
【0031】
本発明の電波吸収体で、自動料金収受システムにおける料金所全体を囲む際には、該電波吸収体は可視光を透過する(透明である)ものであることが、ドライバーに視認性を確保させる点で好ましい。透明な電波吸収体を得るためには、上述した各抵抗膜、誘電体層に透明な材料を用いることで容易に実現できる。従来は、誘電体層の誘電率を所定の値にすることが電波吸収特性の制御にとって必須であったために、該誘電体層の材料の選定において、透明性という観点は最優先できなかったが、本発明では、各抵抗膜2、4、6の表面抵抗率(r1〜r3)および誘電体層1、3、5、7の厚さ(d1〜d4)等によって電波吸収特性を制御できるので、誘電体層の材料の選定に際して、透明性を優先できる。
【0032】
本発明の電波吸収体は、第1の誘電体層1から入射する電波も、第4の誘電体層7から入射する電波も吸収し得るので、吸収を意図する電波が主に一方向から入射する場合は、当該入射する方向に前記誘電体層1または7のどちらかを向けるように配置すればよい。また、本発明の電波吸収体が吸収を意図する電波は、上記自動料金収受システムの通信用の電波のように、周波数分布が比較的シャープなものも想定されるが、そのような電波に限定されるわけではない。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を示すことにより本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例の記載により何ら限定されるものではない。各実施例、比較例にて得られた電波吸収体はいずれも可視光を透過するものであった。
【0034】
[実施例1]
第3の誘電体層であるポリカーボネイトの両面にスパッタリングにより第2および第3の抵抗膜としての酸化インジウムスズ薄膜(ITO膜)を形成した。また、第2の誘電体層であるポリカーボネイトの片面にスパッタリングにより第1の抵抗膜としての酸化インジウムスズ薄膜(ITO膜)を形成した。各抵抗膜の表面抵抗率は、ロレスタEP(ダイアインスツルメンツ社製)を用いて、室温で測定した。第2の抵抗膜と、第2の誘電体層(第1の抵抗膜が形成されていない面)とを貼り合わせ、さらに、第1の抵抗膜側に、第2の誘電体層と同様のポリカーボネイトを貼り付けて第1の誘電体層とし、第3の抵抗膜側に、第3の誘電体層と同様のポリカーボネイトを貼り付けて第4の誘電体層とした。すなわち、
第1の誘電体層(ポリカーボネイト、ε1は2.73、d1は2.1mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は430Ω/□)、
第2の誘電体層(ポリカーボネイト、ε2は2.73、d2は6.9mm)、
第2の抵抗膜(ITO膜、r2は10Ω/□)
第3の誘電体層(ポリカーボネイト、ε3は2.73、d3は10.9mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は220Ω/□)、
第4の誘電体層(ポリカーボネイト、ε4は2.73、d4は10.9mm)
からなる電波吸収体を製造した。
【0035】
[実施例2]
実施例1と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、各誘電体層、抵抗膜は以下のとおりにした。すなわち、
第1の誘電体層(ポリカーボネイト、ε1は2.73、d1は2.0mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は620Ω/□)、
第2の誘電体層(ポリカーボネイト、ε2は2.73、d2は6.9mm)、
第2の抵抗膜(ITO膜、r2は40Ω/□)
第3の誘電体層(ポリカーボネイト、ε3は2.73、d3は6.9mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は270Ω/□)、
第4の誘電体層(ポリカーボネイト、ε4は2.73、d4は5.4mm)とした。
【0036】
[実施例3]
実施例1と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、第2の抵抗膜として金属メッシュ膜(セーレン社製、Su−4X13530)を用い、各誘電体層、抵抗膜は以下のとおりにした。すなわち、
第1の誘電体層(ポリカーボネイト、ε1は2.73、d1は10.0mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は150Ω/□)、
第2の誘電体層(ポリカーボネイト、ε2は2.73、d2は10.7mm)、
第2の抵抗膜(金属メッシュ、r2は0.14Ω/□)
第3の誘電体層(ポリカーボネイト、ε3は2.73、d3は7.8mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は110Ω/□)、
第4の誘電体層(ポリカーボネイト、ε4は2.73、d4は8.3mm)とした。
【0037】
[実施例4]
実施例3と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、各誘電体層としてアクリル樹脂を用い、各誘電体層、抵抗膜は以下のとおりにした。すなわち、
第1の誘電体層(アクリル、ε1は2.85、d1は8.1mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は105Ω/□)、
第2の誘電体層(アクリル、ε2は2.85、d2は7.6mm)、
第2の抵抗膜(金属メッシュ、r2は0.14Ω/□)
第3の誘電体層(アクリル、ε3は2.85、d3は6.0mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は125Ω/□)、
第4の誘電体層(アクリル、ε4は2.85、d4は7.0mm)とした。
【0038】
[比較例1]
実施例1と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、各誘電体層、抵抗膜は以下のとおりにした。すなわち、
第1の誘電体層(ポリカーボネイト、ε1は2.73、d1は1.7mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は430Ω/□)、
第2の誘電体層(ポリカーボネイト、ε2は2.73、d2は6.9mm)、
第2の抵抗膜(ITO膜、r2は10Ω/□)
第3の誘電体層(ポリカーボネイト、ε3は2.73、d3は11.2mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は220Ω/□)、
第4の誘電体層(ポリカーボネイト、ε4は2.73、d4は11.2mm)
とした。
【0039】
[比較例2]
実施例4と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、各誘電体層、抵抗膜は以下のとおりにした。すなわち、
第1の誘電体層(アクリル、ε1は2.85、d1は8.1mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は80Ω/□)、
第2の誘電体層(アクリル、ε2は2.85、d2は7.6mm)、
第2の抵抗膜(金属メッシュ、r2は0.14Ω/□)
第3の誘電体層(アクリル、ε3は2.85、d3は6.0mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は125Ω/□)、
第4の誘電体層(アクリル、ε4は2.85、d4は7.0mm)とした。
【0040】
[比較例3]
比較例2と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、第1および第2の誘電体層としてポリカーボネイト樹脂を用いて、第3および第4の誘電体層としてアクリル樹脂を用いた。すなわち、
第1の誘電体層(ポリカーボネイト、ε1は2.73、d1は8.1mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は110Ω/□)、
第2の誘電体層(ポリカーボネイト、ε2は2.73、d2は7.6mm)、
第2の抵抗膜(金属メッシュ、r2は0.14Ω/□)
第3の誘電体層(アクリル、ε3は2.85、d3は7.6mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は100Ω/□)、
第4の誘電体層(アクリル、ε4は2.85、d4は8.1mm)とした。
【0041】
[比較例4]
実施例1と同様にして電波吸収体を製造した。ただし、各誘電体層、抵抗膜は以下のとおりにした。すなわち、
第1の誘電体層(ポリカーボネイト、ε1は2.73、d1は2.0mm)、
第1の抵抗膜(ITO膜、r1は635Ω/□)、
第2の誘電体層(ポリカーボネイト、ε2は2.73、d2は6.9mm)、
第2の抵抗膜(ITO膜、r2は40Ω/□)
第3の誘電体層(ポリカーボネイト、ε3は2.73、d3は5.4mm)、
第3の抵抗膜(ITO膜、r3は270Ω/□)、
第4の誘電体層(ポリカーボネイト、ε4は2.73、d4は5.0mm)とした。
【0042】
[評価]
上記各実施例、比較例にて製造した電波吸収体に対し、5.8GHz帯(中心波長λ;50〜52mm)の円偏波アンテナ(キーコム社製CPA−5.8A)を用いて、アーチ法により、斜入射角度が0°より大きく60°以下の範囲で反射減衰量を測定した。図5は該測定を模式的に示す図であり、同図(a)は測定系全体の模式図であり、同図(b)は電波吸収体への電波の入射方向を示す図である。まず、(A)の向き、すなわち電波吸収体11の第1の誘電体層1へ円偏波アンテナ12から電波を入射して測定を行い、次いで、(B)の向き、すなわち第4の誘電体層7へ電波を入射して測定を行った。図6〜図13はそれぞれ、実施例1〜比較例4の電波吸収体についての結果である。図中、(A)、(B)は図5における電波の入射方向に対応する結果を示し、「JHスペック」とは上述の日本道路公団が定めるETCシステムにおける基準である。
【0043】
ここで、JHスペック(タイプB)は以下のとおりである。
電波の入射角度をθとしたとき、
0°<θ≦47.5°の場合、反射減衰量が20dB以上、
47.5°<θ≦50°の場合、反射減衰量が15dB以上、
50°<θ≦55°の場合、反射減衰量が10dB以上。
【0044】
また、各実施例、比較例について、以下のようにして透過減衰量を測定した。すなわち、標準利得ホーンアンテナ(EMCO社製、Model 3160−06)2個を、地上1.6mの位置で3m隔てて対向させ、一方のアンテナに標準信号発生器から周波数5.8GHzの電波を供給し、他方のアンテナの受信レベルV0を測定した。次に各実施例、比較例の透明電波吸収体(500mm×1000mm)を対向するアンテナの中間に、アンテナ軸と直角に設置したときの受信レベルV1を測定した。このときの透明電波吸収体の透過減衰量を、V0−V1として求めた。
このようにして求めた透過減衰量は、下記表1のとおりであった。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明の電波吸収体は一面から入射する電波のみならず、対向する面から入射する電波をも良好に吸収し得る。したがって、ETCシステムにおける料金所などのように、反射等の影響で様々な方向から入射し得る不要電波をも効率よく吸収することができる。また、本発明の電波吸収体は、2つの従来のλ/4型電波吸収体を単に背中合わせにしたものとは全く異なり、誘電体層の誘電率のみならず、抵抗膜の表面抵抗率や誘電体層の厚さ等によっても電波吸収特性を制御できる。そのため、所望の電波吸収特性を発現し得る誘電体層の材料の選択の幅が大きく広がる。その結果、例えば、斜入射特性が良好であり、外力に対して壊れ難く、かつ、透明である電波吸収体といった、電波吸収特性とそれ以外の特性とを両立した電波吸収体を製造するのが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電波吸収体の模式図である。
【図2】従来技術である、λ/4型電波吸収体の模式図である。
【図3】λ/4型電波吸収体の背面同士を貼り合わせた電波吸収体の模式図である。
【図4】表面抵抗率r2と電波の透過減衰量との関係を示す図である。
【図5】反射減衰量の測定を模式的に示す図である。
【図6】実施例1の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図7】実施例2の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図8】実施例3の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図9】実施例4の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図10】比較例1の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図11】比較例2の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図12】比較例3の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【図13】比較例4の電波吸収体の入射角度に対する反射減衰量をプロットした図である。
【符号の説明】
1 第1の誘電体層
2 第1の抵抗膜
3 第2の誘電体層
4 第2の抵抗膜
5 第3の誘電体層
6 第3の抵抗膜
7 第4の誘電体層
8 誘電体
9 金属板
10 抵抗被膜
11 電波吸収体
12 円偏波アンテナ
Claims (4)
- 一方の側の最外層としての第1の誘電体層(厚さd1、誘電率ε1)と、第1の抵抗膜(表面抵抗率r1)と、第2の誘電体層(厚さd2、誘電率ε2)と、第2の抵抗膜(表面抵抗率r2)と、第3の誘電体層(厚さd3、誘電率ε3)と、第3の抵抗膜(表面抵抗率r3)と、前記一方の側の最外層とは反対の側にある他方の側の最外層としての第4の誘電体層(厚さd4、誘電率ε4)とをこの順に有していて、
d1、d2、d3、d4が2〜11mmであり、ε1、ε2、ε3、ε4が2.0〜5.0であり、r1、r3が105〜620Ω/□であり、r2が0.01〜40Ω/□である電波吸収体。 - 上記第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層、第4の誘電体層が、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂および塩化ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、
上記第1の抵抗膜、第2の抵抗膜、第3の抵抗膜が、金属メッシュ膜、酸化インジウムスズ膜および酸化スズ膜からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の電波吸収体。 - 可視光を透過するものである請求項1または2に記載の電波吸収体。
- 自動料金収受システムにおける不要電波の吸収のために用いられるものである請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
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