JP4244840B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの始動装置に関し、エンジンのアイドル運転状態等において予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させるとともに、自動停止状態にあるエンジンを再始動条件が成立したときに再始動させるように構成されたエンジンの始動装置に関するものである。
近年、燃費低減およびCO2排出量の抑制等を図るため、アイドル運転時等にエンジンを自動的に一旦停止させ、その後に運転者により車両の発進操作が行われる等の再始動条件が成立した時点で、エンジンを自動的に再始動させるようにしたエンジンの自動停止制御(いわゆるアイドルストップ制御)の技術が開発されている。このアイドルストップ制御時における再始動は、車両の発進操作等に応じてエンジンを即座に始動させる迅速性が要求されるが、従来から一般的に行われているように、スタータモータによりエンジンの出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを再始動させる方法によると、始動が完了するまでにかなりの時間を要するという問題がある。
そこで、膨張行程で停止状態にある気筒内に燃料を噴射して点火、燃焼させることにより、その燃焼エネルギーでエンジンを即時的に始動させることが望ましい。しかし、上記のように膨張行程で停止状態にある気筒のピストン停止位置が不適切である場合、例えば上死点あるいは下死点に極めて近い位置にピストンが停止している場合には、気筒内の空気量が著しく少なくなって燃焼エネルギーが充分に得られなくなり、あるいは燃焼エネルギーがピストンに作用する行程が短すぎる等により、エンジンを正常に始動させることができない可能性がある。
このような問題の対策として、例えば下記特許文献1に示されるように、エンジンのクランク軸に対して制動装置を設け、膨張行程で停止状態となる気筒のピストンが行程途中の適正位置で停止するように上記制動装置を制御し、あるいは下記特許文献2に示すように、エンジンの自動停止条件が成立したと判定されると、希薄空燃比で燃料を噴射する希薄空燃比噴射モードを選択する等により吸気圧力を増大させて圧縮圧力を上昇させた後にエンジンを停止させ、これによって膨張行程で停止状態となる気筒のピストンを所定位置で停止させることが行われている。
実開昭60−128975号公報 特開2001−173473号公報
上記特許文献1に開示されたエンジンの始動装置によると、車両の制動装置とは別にエンジンのクランク軸を制動するための装置を設ける必要があり、しかも膨張行程で停止状態となる気筒のピストンを適正位置に停止させるには上記制動装置を精度良くコントロールしなければならず、このコントロールが困難であるという問題がある。
一方、上記特許文献2に開示されているように、エンジンの自動停止条件が成立した時点で、吸気圧力を増大させて圧縮圧力を上昇させるように構成した場合においても、エンジン回転速度の低下度合が変化すると、ピストンの停止位置が変動してエンジンの再始動に適した位置にピストンを適正に停止させることが困難であるとともに、エンジンの自動停止時における掃気性を充分に向上させることが困難であるという問題がある。
本発明は上記の事情に鑑み、エンジンの自動停止時における掃気性を効果的に向上させる、ピストンを適正位置に停止させてエンジンを確実に再始動させることができるエンジンの始動装置を提供するものである。
請求項1に係る発明は、予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに、エンジンの運転を継続させるための燃料噴射を停止してエンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止状態にあるエンジンの再始動条件が成立したときに、少なくとも膨張行程で停止状態にある気筒に燃料を噴射して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置であって、エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、エンジンの気筒に吸入される吸気流量を調節する吸気流量調節手段を吸気流量の増大側に操作するとともに、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態とした後に燃料噴射を停止し、エンジン回転速度が低下し始めた時点で上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少側に操作するものである。
請求項2に係る本発明は、上記請求項1に記載のエンジンの始動装置において、燃料噴射の停止時点におけるエンジンの回転速度がアイドル回転速度よりも高い値に設定された基準速度を維持するように、成層リーン燃焼時における吸気流量と燃料噴射量とを設定したものである。
請求項3に係る本発明は、上記請求項2に記載のエンジンの始動装置において、エンジンを自動停止させる際に、エンジン回転速度が低下し始めた時点で吸気流量調節手段を操作して吸気流量を減少させる制御を、アイドル回転速度よりも高い回転速度で実行するものである。
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの始動装置において、エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、エンジンが成層リーンの燃焼状態にあるか否かを判別し、吸気行程で燃料を噴射して点火する均一燃焼状態にあると判別された場合に、吸気流量調節手段を吸気流量の増大側に操作した後に成層リーンの燃焼状態に移行するものである。
請求項5に係る発明は、予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止状態にあるエンジンの再始動条件が成立したときに、少なくとも膨張行程で停止状態にある気筒に燃料を噴射して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置であって、エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、エンジンが成層リーンの燃焼状態にあるか否かを判別し、成層リーンの燃焼状態にあると判別された場合には、現時点における吸気流量調節手段の操作量を維持しつつ圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態を継続した後に燃料噴射を停止し、均一燃焼状態にあると判別された場合には、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態に切り換えた後に、燃料噴射を停止し、それぞれエンジン回転速度が低下し始めた時点で上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少側に操作するものである。
請求項6に係る本発明は、上記請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジンの始動装置において、エンジンが温間運転状態にあることをエンジンの自動停止条件として設定したものである。
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6何れか1項に記載のエンジンの始動装置において、減速時に燃料噴射を停止する減速燃料カット制御を実行するとともに、エンジンの回転速度が、エンジンを自動停止させないときのアイドル回転速度よりも高い復帰速度となった時点で燃料噴射を復帰させた後に、成層リーンの燃焼状態とした後に燃料の噴射を停止する上記エンジンの自動停止制御を実行するものである。
請求項8に係る本発明は、上記請求項1〜7の何れか1項に記載のエンジンの始動装置において、減速時に燃料噴射を停止する減速燃料カット制御を実行するとともに、この減速燃料カットの制御状態から燃料噴射を復帰する際に、少なくとも吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼とする制御を実行した後、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態に切り換えるものである。
請求項1に係る発明によれば、エンジンの自動停止条件が成立して自動停止制御を実行する際に、エンジンの気筒に吸入される吸気流量を増大させるとともに、圧縮行程の後半で燃料を噴射、点火した成層リーンの燃焼状態とすることにより、エンジンの自動停止時におけるエンジンの回転速度を適正に調節して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させることができる。そして、燃料噴射が停止されることによりエンジンの回転速度が低下し始めた時点で、上記吸気流量を減少させることにより、エンジンの停止時点で膨張行程となる気筒等のピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させることができる。
請求項2に係る発明によれば、エンジンを自動停止させる際に、成層リーン燃焼を行わせてエンジンの回転速度を、エンジンを自動停止させないときの通常のアイドル回転速度よりも高い基準速度に維持しつつ、燃料噴射を停止した後に吸気流量を減少させることにより、エンジンの停止時点で膨張行程となる気筒等のピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させるようにエンジンの回転速度を低下させる制御を適正に実行することができる。
請求項3に係る発明によれば、エンジンを自動停止させる際に、燃料噴射が停止されてエンジンの回転速度が、上記通常のアイドル回転速度よりも高い値に設定された値に低下したことが確認された時点で、上記吸気流量を減少させる制御が実行されることにより、上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少方向に閉止操作した時点から、エンジンが停止状態となるまでの期間が充分に確保されるため、この間にエンジン回転速度を順次低下させて上記ピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させることができる。
請求項4に係る発明によれば、エンジンを自動停止させる際に、均一燃焼が行われている状態で、吸気流量を増大させて成層リーンの燃焼状態に移行させることにより、エンジンの自動停止時におけるエンジンの回転速度を適正に調節して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させつつ、エンジンの自動停止制御を適正に実行できるという利点がある。
請求項5に係る発明によれば、エンジンの自動停止動作の初期に吸気流量が比較的多い成層リーンの燃焼状態にある場合には、現時点における吸入空気量を維持して成層リーンの燃焼状態を維持することにより、エンジンの自動停止時におけるエンジンの回転速度を適正に調節して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させることができる。また、エンジンの自動停止動作の初期に、吸気流量が比較的少ない均一燃焼状態にある場合には、エンジンの気筒に吸入される吸気流量を増大させて成層リーンの燃焼状態に切り換えることにより、エンジンの自動停止時におけるエンジンの回転速度を適正に調節して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させることができる。そして、燃料噴射が停止されることによりエンジンの回転速度が低下し始めた時点で、上記吸気流量を減少させることにより、エンジンの停止時点で膨張行程となる気筒等のピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させることができる。
請求項6に係る発明によれば、エンジンの温間運転状態で、エンジンの自動停止動作の初期に成層リーンの燃焼制御を実行することにより、失火等を生じることなくエンジンの自動停止制御を適正に実行してエンジンの回転速度を適正に調節するとともに、燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させることができる。
請求項7に係る発明によれば、エンジンの減速状態で燃料噴射を停止する減速燃料カットの制御が実行された後、エンジンの回転速度が上記通常のアイドル回転速度よりも高い復帰速度に低下した時点で、燃料噴射が再開されることにより、エンジンの回転速度が急低下することに起因してエンジンが停止状態となるのを効果的に防止しつつ、エンジンの自動停止時に膨張行程となる気筒等のピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させるエンジンの自動停止制御を適正に実行できるという利点がある。
請求項8に係る発明によれば、エンジンの減速状態で燃料噴射を停止する減速燃料カットの制御が実行された後、燃料噴射を再開する際に均一燃焼状態とすることにより、エンジンの回転速度が急低下することに起因してエンジンが停止状態となるのを、さらに効果的に防止しつつ、エンジンの自動停止時に膨張行程となる気筒等のピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させるエンジンの自動停止制御を、より適正に実行できるという利点がある。
図1および図2は本発明に係るエンジンの始動装置を有する4サイクル火花点火式エンジンの概略構成を示している。このエンジンには、シリンダヘッド10およびシリンダブロック11を有するエンジン本体1と、エンジン制御用のECU2とを備えている。上記エンジン本体1には、四つの気筒12A〜12Dが設けられるとともに、各気筒12A〜12Dの内部には、クランク軸3に連結されたピストン13が嵌挿されることにより、その上方に燃焼室14が形成されている。
上記各気筒12A〜12Dの燃焼室14の頂部には、プラグ先端が燃焼室14内に臨むように点火プラグ15が設置されている。また、上記燃焼室14の側方には、燃焼室14内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。この燃料噴射弁16は、図外のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、上記ECU2から入力されたパルス信号のパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を上記点火プラグ15の電極付近に向けて噴射するように構成されている。
また、上記各気筒12A〜12Dの燃焼室14の上部には、燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17および排気ポート18が設けられるとともに、これらのポート17,18に、吸気弁19および排気弁20がそれぞれ装備されている。上記吸気弁19および排気弁20は、図示を省略したカムシャフト等を有する動弁機構によって駆動されることにより、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように各気筒2の吸・排気弁19,20の開閉タイミングが設定されている。
上記吸気ポート17および排気ポート18には、吸気通路21および排気通路22が接続されている。上記吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は、図2に示すように、各気筒12A〜12Dに対応して独立した分岐吸気通路21aとされ、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流側には共通吸気通路21cが設けられるとともに、この共通吸気通路21cには、アクチュエータ24により駆動されるスロットル弁23が配設されている。このスロットル弁23の上流側および下流側には、それぞれ吸気流量を検出するエアフローセンサ25と、吸気圧力(負圧)を検出する吸気圧センサ26とが配設されている。
また、上記エンジン本体1には、タイミングベルト等によりクランク軸3に連結されたオルタネータ(発電機)28が付設されている。このオルタネータ28は、図示を省略したフィールドコイルの電流を制御して出力電圧を調節することにより発電量を調整するレギュレータ回路28aを内蔵し、このレギュレータ回路28aに入力される上記ECU2からの制御信号に基づき、車両の電気負荷および車載バッテリーの電圧等に対応した発電量の制御が実行されるように構成されている。
さらに、上記エンジンには、クランク軸3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30,31が設けられ、一方のクランク角センサ30から出力される検出信号に基づいてエンジンの回転速度が検出されるとともに、後述するように上記両クランク角センサ30,31から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランク軸3の回転方向および回転角度が検出されるようになっている。
上記ECU2には、カムシャフトに設けられた気筒識別用の特定回転位置を検出するカム角センサ32と、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ33と、運転者のアクセル操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセルセンサ34からそれぞれ出力される各検出信号が入力されるようになっている。
そして、ECU2は、上記各センサ25,26,30〜34からの検出信号を受け、燃料噴射弁16に対して燃料の噴射量および噴射時期を制御するための制御信号を出力するとともに、点火プラグ15に付設された点火装置27に対して点火時期を制御するため制御信号を出力し、かつ上記スロットル弁23のアクチュエータ24に対してスロットル開度を制御するための制御信号を出力するように構成されている。また、後述するように、予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに各気筒12A〜12Dへの燃料噴射を所定のタイミングで停止(燃料カット)して自動的にエンジンを停止させるとともに、その後に運転者によるアクセル操作が行われる等により再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる制御が実行されるようになっている。
具体的には、エンジンの自動停止時に圧縮行程の途中でピストン13が停止した圧縮行程気筒で初回の燃焼を行わせることにより、そのピストン13を押し下げてクランク軸3を少しだけ逆転させる。これによってエンジンの自動停止時に膨張行程の途中でピストン13が停止した膨張行程気筒のピストン13を一旦上昇させ、その気筒内の混合気を圧縮した状態で、この混合気に点火して燃焼させることにより、クランク軸3に正転方向の駆動トルクを与えてエンジンを再始動させるように構成されている。
上記のようにして再始動モータ等を使用することなく、特定の気筒に噴射された燃料に点火するだけでエンジンを適正に再始動させるためには、上記膨張行程気筒の混合気を燃焼させることにより得られる燃焼エネルギーを充分に確保することにより、これに続いて圧縮上死点を迎える気筒がその圧縮反力に打ち勝って圧縮上死点を超えるようにしなければならない。したがって、エンジンの自動停止時にピストン13が膨張行程の途中にある上記膨張行程気筒内に充分な空気量を確保しておく必要がある。
すなわち、図3(a),(b)に示すように、エンジンの停止時点で膨張行程および圧縮行程になる気筒では、それぞれ位相が180°CAずれているため、各ピストン13が互いに逆方向に作動し、膨張行程気筒のピストン13が行程中央よりも下死点側に位置していれば、その気筒の空気量が多くなって充分な燃焼エネルギーが得られる。しかし、上記膨張行程気筒のピストン13が極端に下死点側に位置した状態となると、圧縮行程気筒内の空気量が少なくなり過ぎてクランク軸3を逆転させるための燃焼エネルギーが充分に得られなくなる。
これに対して上記膨張行程気筒の行程中央、つまり圧縮上死点後のクランク角が90°CAとなる位置よりもやや下死点側の所定範囲R、例えば圧縮上死点後のクランク角が100°〜120°CAとなる適正範囲内にピストン13を停止させることができれば、圧縮行程気筒内に所定量の空気が確保されて上記初回の燃焼によりクランク軸3を少しだけ逆転させ得る程度の燃焼エネルギーが得られることになる。しかも、膨張行程気筒内に多くの空気量を確保することにより、クランク軸3を正転させるための燃焼エネルギーを充分に発生させてエンジンを確実に再始動させることが可能となる。
そこで、上記ECU2に設けられた自動停止制御手段により、図4に示すように、エンジンの自動停止条件が成立した時点t0で、エンジンの目標速度を、エンジンを自動停止させないときの通常のアイドル回転速度よりも高い値、例えば通常のアイドル回転速度が650rpm(自動変速機はドライブレンジ)に設定されたエンジンでは、上記目標速度(自動停止条件成立時のアイドル回転速度)を、850rpm程度(自動変速機はニュートラルレンジ)に設定することにより、エンジンの回転速度Neを上昇させる制御を実行するようにしている。そして、エンジンの回転速度Neが上記目標速度で安定した時点t1で、スロットル弁23を開放操作して吸気流量を増大させるとともに、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態とする制御を所定期間Tに亘って実行した後に、燃料噴射を停止させてエンジンの回転速度Neを低下させるとともに、オルタネータ28の発電を停止することにより、クランク軸3の回転抵抗を低減するように構成されている。
また、燃焼噴射を停止することによりエンジンの回転速度Neが低下して予め設定された基準速度、例えば760rpm以下になったことが確認された時点t3で、上記するスロットル弁23を閉止してエンジンの気筒12A〜12Dに吸入される吸気流量を減少させた後、後述するようにエンジン回転速度Neの低下度合に対応させてオルタネータ28の発電量Geを調節するとともに、上記スロットル弁23の開度Kを調節することにより、予め行った実験結果等に基づいて設定された基準ラインに沿ってエンジンの回転速度Neを低下させる制御を実行するように構成されている。
上記のようにエンジンを自動停止させる際に、燃料噴射の停止時点t2から、クランク軸3やフライホイール等が有する運動エネルギーが摩擦による機械的な損失や、各気筒12A〜12Dのポンプ仕事によって消費されることにより、エンジンのクランク軸3は惰性で数回転し、4気筒4サイクルエンジンでは10回前後の圧縮上死点を迎えた後に停止する。具体的には、図4に示すように、上記気筒12A〜12Dが圧縮上死点を迎える度にエンジンの回転速度Neが一時的に落ち込んだ後に、圧縮上死点を超えた時点で再び上昇するというアップダウンを繰り返しながらエンジン回転速度Neが次第に低下する。
そして、最後の圧縮上死点を超えた時点t5の後に圧縮上死点を迎える気筒では、慣性力によるピストン13の上昇に伴って空気圧が高まり、その圧縮反力によりピストン13が押し返されてクランク軸3が逆転する。このクランク軸3の逆転によって膨張行程気筒の空気圧が上昇するため、その圧縮反力に応じて膨張行程気筒のピストン13が下死点側に押し返されてクランク軸3が再び正転し始め、このクランク軸3の逆転と正転とが数回繰り返されてピストン13が往復作動した後に停止することになる。このピストン13の停止位置は、上記圧縮行程気筒および膨張行程気筒における圧縮反力のバランスにより略決定されるとともに、エンジンの摩擦等の影響を受け、上記最後の圧縮上死点を超えた時点t5のエンジンの回転慣性、つまりエンジン回転速度Neの行程によっても変化することになる。
したがって、エンジンが自動停止する際に膨張行程にある膨張行程気筒のピストン13を再始動に適した上記適正範囲R内に停止させるためには、まず上記膨張行程気筒および圧縮行程にある圧縮行程気筒の圧縮反力がそれぞれ充分に大きくなり、かつ膨張行程気筒の圧縮反力が圧縮行程気筒の圧縮反力よりも所定値以上大きくなるように、両気筒に対する吸気流量を調節する必要がある。このために、本発明では、エンジンの自動停止動作の初期に、上記スロットル弁23を開放して吸気流量を増大させるとともに、圧縮行程の後半で燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態とする制御を所定期間Tに亘り実行した後、所定時間が経過した時点t3でスロットル弁23の開度Kを低減することにより上記吸入空気量を調節するようにしている。
また、エンジンの自動停止期間中においてエンジンの回転速度が低下する過程で、図5に一例を示すように、各気筒12A〜12Dが圧縮上死点を通過する際のエンジン回転速度、つまり上死点回転速度neと、エンジンの停止時点で膨張行程にある気筒のピストン停止位置との間に明確な相関関係がある。このため、図4に示すように、燃料噴射を停止した時点t2の後にエンジンの回転速度Neが低下する過程で、各気筒のピストン13が圧縮上死点を通過する際のエンジン回転速度(上死点回転速度)neをそれぞれ検出し、この上死点回転速度neの検出値に応じてオルタネータ28の発電量を制御するとともに、スロットル弁23の開度Kを調節することにより、エンジン回転速度Neの落ち込み度合を調節することが可能である。
すなわち、図5は、上記のようにエンジンの回転速度Neが所定速度となった時点となった時点で燃料噴射を停止するとともに、その後の所定期間に亘りスロットル弁23を開弁状態に維持するようにして、惰性により回転するエンジンの各気筒12A〜12Dに設けられたピストン13が圧縮上死点を通過する際の上死点回転速度neを計測するとともに、エンジンの停止時点における膨張行程気筒のピストン位置を調べ、このピストン位置を縦軸に取るとともに、上記エンジンの上死点回転速度neを横軸に取って、両者の関係をグラフ化したものである。この作業を繰り返してエンジンの停止動作期間中における上記上死点回転速度neと、膨張行程気筒におけるピストン停止位置との相関関係を示す分布図が得られることになる。
上記の分布図から、エンジンの停止動作期間中における上死点回転速度neと膨張行程気筒におけるピストン停止位置と間に所定の相関関係が見られ、図5に示す例では、エンジンが停止状態となる前の6番目〜2番目における上死点回転速度neがハッチングで示す範囲内にあれば、ピストン13の停止位置がエンジンの再始動に適した範囲R(圧縮上死点後の100°〜120°CA)に入ることが分かる。特に、エンジンが停止状態となる前の2番目の上死点回転速度neについてみれば、図6に示すように、上記上死点回転速度neが略280rpm〜380rpmの範囲内にあるとともに、約320rpmを境にしてそれ以下の低回転側では、上記上死点回転速度neが低下するのに伴ってピストン停止位置が徐々に上死点寄りに変化している。一方、上記上死点回転速度neが320rpm以上の高回転側では、この上死点回転速度neの高低に拘わらず、ピストン13の停止位置が概ね一定になり、略適正範囲R内に入ることが分かる。
上記のような特徴的な分布傾向が見られるのは、エンジンの上死点回転速度neが320rpm以上の高回転側にあると、エンジン停止時の膨張行程気筒および圧縮行程気筒にそれぞれ充分な量の空気が充填され、この空気の圧縮反力によってピストン停止位置が行程の中央寄りに集中するためであると考えられる。なお、上記320rpm以下の低回転側でピストン停止位置が左下がりの分布状態となるのは、各気筒内で往復動するピストン13が圧縮上死点側で反転した後、摩擦等により減速されて行程中央まで戻ることができずに停止するためであると考えられる。
一方、燃料噴射を停止する前にスロットル弁23を開放操作することなく、これを閉止状態に維持した場合には、図6に破線で示すように、一様な右肩上がりの分布状態となり、エンジンの上死点回転速度neの高低に応じてピストン13の停止位置が変化することになる。これは、スロットル弁23を閉じたままに維持すると、吸気負圧が大きい(吸気の圧力が低い)状態に維持され、エンジンの停止後に膨張行程気筒および圧縮行程気筒になる気筒の圧縮反力が小さくなるために、エンジンの回転速度(回転慣性)と摩擦との影響が相対的に大きくなるからである。
したがって、図4に示すように、燃料噴射の停止条件が成立した時点t2から所定時間が経過するまで、つまりエンジン回転速度Neが基準速度(例えば760rpm程度)に低下する時点t3までは、各気筒の掃気性を確保するためにスロットル弁23の開度Kを比較的大きな値(例えば30%)に設定するとともに、上記ピストン13を適正位置に停止させる制御が可能な速度にエンジンの回転速度Neを維持するために、オルタネータ2の発電量Geを例えば0に設定する。
そして、上記の時点t2から所定時間が経過した時点t3で、上記スロットル弁23の開度Kを低減するとともに、その後にエンジンの回転速度Neに対応させてオルタネータ28の発電量Geを制御してクランク軸3の回転抵抗を調節することにより、予め行った実験等に基づいて設定された基準ラインに沿ってエンジン回転速度を低下させるようにしている。このようにして最後の圧縮上死点を通過した時点t5でクランク軸3、フライホイール、ピストンおよびコネクティングロッド等が有する運動エネルギーや圧縮行程気筒で圧縮された空気が有する位置エネルギー等が、その後に作用する摩擦損失等と見合うものとなって、エンジンの停止状態で膨張行程となる気筒のピストン13がエンジンの再始動に適した上記範囲R内に停止することになる。
上記ECU2の自動停止制御手段によりエンジンを自動停止させる際の制御動作を図7および図8に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御動作がスタートすると、まず各種センサ類から出力された検出信号に基づいてエンジンの自動停止条件が成立したか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、ブレーキスイッチのON状態が所定時間に亘り継続し、かつバッテリー残量が予め設定された基準値以上であり、車速が所定値(例えば10km/h)以下の状態であること等が確認された場合には、エンジンの自動停止条件が成立したと判定され、上記要件の一つでも満たされていない場合には、エンジンの自動停止条件が成立していないと判定される。
上記ステップS1でYESと判定されてエンジンの自動停止条件が成立したことが確認された場合には、自動変速機のシフトレンジをニュートラルに設定して無負荷状態とするとともに(ステップS2)、EGR通路(図示せず)に設けられたEGR弁(図示せず)を閉弁して、排気還流を停止させ(ステップS30)、エンジン回転速度Neの目標値(目標速度)を、エンジンを自動停止させないときの通常のアイドル回転速度よりも高い値N1、例えば850rpm程度に設定する(ステップS3)。また、ブースト圧Btが例えば−400mmHg程度に設定された目標圧P1となるようにスロットル弁23の開度Kを調節(スロットル弁23を開弁方向に操作)するとともに(ステップS4)、吸気行程で噴射された燃料を均一燃焼させてエンジンの回転速度Neを目標速度N1とするための点火時期のリタード量を算出する(ステップS5)。これにより、上記ブースト圧Btを目標圧P1とするためにスロットル開度Kがフィードバック制御されるとともに、エンジンの回転速度Neを目標速度N1とするために点火時期のリタード量がフィートバック制御されることになる。
なお、上記ステップS1において、エンジンの自動停止条件の判定を、車速が10km/h以下に低下した時点で実行するようにしているので、エンジンの自動停止条件成立時のアイドル回転速度を、エンジンを自動停止させないときの通常のアイドル回転速度(例えば、自動変速機のドライブレンジ状態において650rpm)よりも高い値(850rpm)に設定でき、エンジン回転速度が通常のアイドル回転速度(650rpm)に低下する前に、上記ステップS2およびステップS3が実行できる。よって、一旦、通常のアイドル回転速度まで低下したエンジン回転速度を目標速度N1(850rpm)まで上昇させる必要がなく、運転者に対して、エンジン回転速度の上昇に伴う不快感を与えることがない。
また、エンジンの自動停止条件が成立した時点t0で、上記ステップS2の自動変速機のシフトレンジがドライブ状態(Dレンジ)からニュートラル状態(Nレンジ)にシフトされて自動変速機の負荷が軽減されるようになり、かつ上記ステップS3によってエンジンの目標速度がN1に設定されるため、図4に示されるように、エンジン回転速度Neが、時点t0から少し上昇して安定するようになる。
次いで、燃料噴射の停止条件(燃料カット条件)が成立したか否か、具体的にはエンジン回転速度Neが目標速度N1となるとともに、ブースト圧Btが上記目標圧P1となったか否かを判定し(ステップS6)、NOと判定された場合には、ステップS4に戻って上記制御動作を繰り返す。上記ステップS6でYESと判定された時点t1で、オルタネータ28の発電量Geを0に設定して発電を停止させるとともに(ステップS7)、スロットル弁23を開放状態(例えば全開の30%程度の開度)とした後(ステップS8)、エンジンを一定期間Tに亘り成層リーンの燃焼状態とする制御を実行する(ステップS9)。具体的には、各気筒12A〜12Dの空気過剰率λを3以上のリーンに設定するとともに、上記目標速度N1を維持するように吸気流量および燃料噴射量を制御しつつ、圧縮行程の後半に燃料を噴射して圧縮上死点付近で点火することにより、成層リーンの燃焼制御を実行する。
そして、全気筒12A〜12Dで1回の成層リーン燃焼が行われたか否かを判定し(ステップS10)、このステップS10でYESと判定されて全気筒12A〜12Dで1回の成層リーン燃焼が行われたことが確認された時点t2で、燃料噴射を停止する(ステップS11)。なお、上記ステップS7でスロットル弁23を開放操作する際の開度Kは、エンジンの回転速度が850rpm程度のときにおいて、吸入空気量が増大しなくなる(スロットル弁23の前後における圧力差がなくなって吸入空気量が飽和状態となる)最小開度付近に設定されており、成層燃焼が実行できる可燃空燃比と、気筒内の掃気性とを確保しつつ、スロットル弁23の全閉までの動作量(開度)を少なくできて、時点t3でのスロットル弁23の閉弁応答性が早くなる開度(例えば全閉開度の30%程度)に設定されている。
その後、ピストン13が圧縮上死点を通過するときのエンジン回転速度(エンジンの上死点回転速度)neが、予め760rpm程度に設定された基準速度N2以下となったか否かを判定することにより(ステップS12)、図4に示す燃料噴射の停止時点t2の後に、エンジンの回転速度Neが低下し始めたか否かを判定し、YESと判定された時点t3でスロットル弁23を閉止状態とする(ステップS13)。この結果、上記ステップS7でスロットル弁23が開放操作されて大気圧に近付くように上昇したブースト圧Btが、上記スロットル弁23の閉止操作に応じて所定の時間差をもって低下し始めることになる。なお、上記ステップS12でエンジンの上死点回転速度neが基準速度N2以下となったと判定された時点t3でスロットル弁23を閉止状態とするように構成された上記実施形態に代え、エンジン回転速度Neが基準速度N2以下になったと判定された時点で、スロットル弁23を閉止状態とするように構成してもよい。
次いで、エンジンの上死点回転速度neが、予め設定された第1範囲α内にあるか否かを判定する(ステップS14)。この第1範囲αは、予め設定された基準ラインに沿ってエンジンの回転速度Neが低下している過程で、例えばエンジンが停止状態となる前の4番目の圧縮上死点を通過する時点t4におけるエンジン回転速度に基づいて設定された値であり、この実施形態では480rpm〜540rpmに設定されている。上記ステップS14でYESと判定され、上記上死点回転速度neが第1範囲α(480rpm〜540rpm)内にあることが確認された場合には、その時点t4の上死点回転速度neに対応したオルタネータ28の発電量Geの制御を実行する(ステップS15)。すなわち、図9に示すように、エンジンの上死点回転速度neが高い程、発電量Geが大きな値に設定されたマップから上死点回転速度neに対応した発電量Geを読み出し、この発電量Geを目標値に設定して所定期間、例えば約300ms程度の期間に亘りオルタネータ28を作動させることにより、オルタネータ28の発電量Geを制御する。
その後、エンジンの上死点回転速度neが所定値N3以下であるか否かを判定する(ステップS16)。この所定値N3は、予め設定された基準ラインに沿ってエンジンの回転速度Neが低下している過程で最後の圧縮上死点を超える際のエンジン回転速度に対応した値であり、例えば260rpm程度に設定されている。また、各気筒が順次圧縮上死点を通過する各時点のブースト圧Btが検知され、その値が記憶される。
上記ステップS16でNOと判定された場合には、ステップS14に戻って上記制御動作を繰り返す。上記ステップS16でYESと判定されてエンジンの上死点回転速度neが上記所定値N3以下になったことが確認された時点(t5)で、エンジンが最後の圧縮上死点を通過したと判断され、この時点t5で、その1回前の圧縮上死点を通過する際のブースト圧Btを読み出し、この値をエンジン停止前から2番目の圧縮上死点におけるブースト圧であると決定する(ステップS17)。
そして、エンジンが最後の圧縮上死点を迎える時点t5における上死点回転速度ne(以下、最終上死点回転速度ne1という)と、停止前から2番目の圧縮上死点におけるブースト圧Bt(以下、ブースト圧Bt2という)とに基づき、ピストン13が行程の後期寄りの位置(膨張行程気筒では下死点寄りの位置)で停止する傾向があるか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、最終上死点回転速度ne1が所定回転速度N4(例えばN4=200rpm)以上であり、かつ上記ブースト圧Bt2が所定圧力P2(例えばP2=−200mmHg)以下であるとき(真空側であるとき)に、行程の後期寄りの位置で停止する傾向が大である(ステップS18でYES)と判定、つまり膨張行程気筒におけるピストン停止位置が、圧縮上死点後100°〜120°CAとなる適正範囲Rに対して120°CAに近い位置で停止する傾向が大であると判定される。
上記ステップS18でNOと判定された場合には、エンジンが上記のように行程の後期寄りの位置で停止する傾向が顕著ではなく、比較的に行程の前期寄りの位置、つまり膨張行程気筒におけるピストン停止位置が、圧縮上死点後100°〜120°CAとなる適正範囲Rに対して100°CAに近い位置または100°CA以下で停止する傾向がある。そこで、ピストン13を上記適正範囲R内により確実に停止させることができるように、スロットル弁23を開放操作する。例えばスロットル弁23の開度Kが、全開の40%程度に設定された第1開度K1となるようにスロットル弁23を開弁することにより(ステップS19)、吸気流量を増加させる。これにより、吸気行程気筒の吸気抵抗が減少し、エンジンが行程の後期寄りの位置で停止し易くなり、結果的に膨張行程気筒におけるピストン13の停止位置が適正範囲R内の下限(100°CA)を超えることが防止され、上記適正範囲R内で停止する確率を効果的に向上させることができる。
一方、上記ステップS18でYESと判定された場合には、エンジンの回転慣性が大きく、また圧縮行程気筒への最終吸気行程における吸気流量が少なく、圧縮反力が小さい状態にあって、ピストン13が行程の後期寄りの位置で停止し易い条件が既に揃っている。そこで、スロットル弁23の開度Kが、第2開度K2(上記ステップS7で閉弁したときのスロットル弁開度に近い開度、例えばK2=5%程度)となるようにスロットル弁23を操作する(ステップS20)。上記第2開度K2は、エンジンの特性等に応じ、さらに小開度、あるいは閉止状態としてもよい。このようにして吸気行程気筒に適度の吸気抵抗が生じ、ピストン13の停止位置が上記適正範囲Rを超えてさらに後期側となるという事態の発生を抑制することができる。
次いで、エンジンが停止状態になったか否かを判定し(ステップS21)、YESと判定された時点で、後述するように上記クランク角センサ30,31の検出信号に基づいてピストン13の停止位置の検出する制御を実行した後に(ステップS22)、制御動作を終了する。
図10は、上記フローチャートのステップS22において実行されるピストン停止位置の検出制御動作を示している。この検出制御がスタートすると、第1クランク角信号CA1(クランク角センサ30からの信号)および第2クランク角信号CA2(クランク角センサ31からの信号)に基づき、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowであるか否か、または第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かする(ステップS31)。これにより、エンジンの停止動作時における上記信号CA1,CA2の位相の関係が、図11(a)のようになるか、それとも図11(b)のようになるかを判定してエンジンが正転状態にあるか逆転状態にあるかを判別する。
すなわち、エンジンの正転時には、図11(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図11(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。
そこで、ステップS31の判定がYESであれば、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS32)、ステップS31の判定がNOの場合は、上記CAカウンタをダウンする(ステップS33)。そして、エンジン停止後に上記CAカウンタの計測値を調べることでピストン停止位置を求める(ステップS34)。
上記のようにして自動停止状態となったエンジンを再始動させる際の制御動作を図12に示すフローチャートおよび図13および図14に示すタイムチャートに基づいて説明する。図13および図14では、エンジンの停止時に第1気筒12Aが膨張行程気筒となるとともに、第3気筒12Cが圧縮行程気筒となり、第4気筒2Dが吸気行程気筒となり、第2気筒12Bが排気行程気筒となった例を示している。
まず、予め設定されたエンジンの再始動条件が成立したか否かを判定し(ステップS101)、NOと判定されてエンジンの再始動条件が成立していないことが確認された場合には、そのままの状態で待機する。そして、上記ステップS101でYESと判定され、停車状態から発進のためのアクセル操作等が行われ、あるいはバッテリー電圧が低下する等により、エンジンの再始動条件が成立したことが確認された場合には、ピストン13の停止位置に基づいて圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒内12Aの空気量を算出する(ステップS102)。つまり、上記ピストン13の停止位置から圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12Aの燃焼室容積が求められ、またエンジン停止の際には燃料噴射の停止後にエンジンが数回転してから停止するので膨張行程気筒12Aも新気で満たされた状態にあり、かつエンジン停止中に圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12Aの内部は略大気圧となっているので、上記燃焼室容積から新気量が求められることとなる。
続いて、上記ステップS102で算出された圧縮行程気筒12Cの空気量に対して所定の1回目用空燃比となるように燃料を噴射させ(ステップS103)、その後、上記ステップS102で算出された膨張行程気筒12A内の空気量に対して所定の空燃比となるように燃料を噴射する(ステップS104)。この場合、圧縮行程気筒12Cの1回目用空燃比および膨張行程気筒12A用の空燃比はピストンの停止位置に応じてマップM1,M2から求められる。圧縮行程気筒12Cの1回目用空燃比は理論空燃比よりもリッチな空燃比(空燃比11〜14の範囲)となり、膨張行程気筒12Aの空燃比は略理論空燃比もしくはそれより多少リッチな空燃比となるように、予め上記各マップM1,M2が設定されている。
次に圧縮行程気筒12Cの燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定した時間の経過後に、当該気筒12Cに対して点火を行う(ステップS105)。そして、点火してから一定時間内にクランク角センサのエッジ(クランク角信号の立ち上がり又は立ち下がり)が検出されたか否かにより、ピストン13が動いたか否かを判定し(ステップS106)、NOと判定されて失火によりピストン13が動かなかったことが確認された場合には、上記圧縮行程気筒12Cに対して再点火を繰り返し行う(ステップS107)。
上記ステップS106でYESと判定されてクランク角センサのエッジが検出された場合には、エッジ検出後に所定のディレイ時間が経過してから、つまりエンジンの逆転動作が終了する頃までの時間が経過してから、膨張行程気筒12Aに対して点火を行う(ステップS108)。上記ディレイ時間はピストン13の停止位置に応じてマップM3から求められる。さらに、所定クランク角(圧縮行程気筒12Cの2回目用噴射時期)となった時点で、圧縮行程気筒12Cに対して再度燃料を噴射する(ステップS109)。この場合、上記停止位置に応じてマップM4から圧縮行程気筒12Cの2回目用空燃比を求め、これらに基づいて燃料噴射量を演算するとともに、マップM5から、圧縮行程気筒12Cの適正な燃料噴射時期、すなわち、燃料噴射による気化潜熱の作用(燃料の気化によって気筒内のガス温度を下げる)が、圧縮圧力の低下に寄与する適正な噴射時期(例えば、圧縮行程の中期から後期前半の適正な時期)を設定する。
なお、圧縮行程気筒12Cの2回目用空燃比は、気化潜熱の効果が大きくなる適正なリッチ空燃比に設定されており、この圧縮行程気筒12Cの再度の燃料噴射によって、圧縮行程気筒12Cの圧縮上死点付近の圧縮反力を低下させ、膨張行程気筒12Aの燃焼(上記ステップS108の点火によってもたらされた燃焼)による圧縮上死点の乗り越えを充分に可能とする。このような始動時の制御が完了すれば、通常制御に移行する(ステップS110)。
上記の再始動制御が実行されることにより、図13および図14に示すように、先ず圧縮行程気筒12C(#3気筒)において燃焼空燃比が理論空燃比よりも多少リッチとされて燃焼(図13中の(1))が行われ、この燃焼(1)による燃焼圧(図14中のa部分)で、圧縮行程気筒12Cのピストン13が下死点側に押し下げられてエンジンが逆転方向に駆動され、それに伴って膨張行程気筒12A(#1気筒)のピストン13が上死点に近付くことにより、当該気筒内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇する(図14中のb部分)。そして、膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点に充分に近付いた時点で当該気筒に対する点火が行われて、予め当該気筒に噴射されている燃料が燃焼し(図13中の(2))、その燃焼圧(図14中のc部分)でエンジンが正転方向に駆動される。さらに、圧縮行程気筒12Cに対して適当なタイミングで燃料が噴射されることにより(図13中の(3))、この圧縮行程気筒12Cでは燃焼させないものの、燃料噴射による気化潜熱作用によって該圧縮行程気筒12Cの圧縮圧力を低下させる(図14中のd部分)。これにより、上記膨張行程気筒12Aでの燃焼によって始動開始から2番目の圧縮上死点を超えるまで、すなわち、吸気行程気筒12D(#4気筒)で燃焼が行われてエンジン駆動力を付与するまで、のエンジン駆動力が確保される。
この場合、圧縮行程気筒12Cの空燃比が多少リッチとされたことにより、エンジンの駆動力が高められて逆転動作が充分に行われ、膨張行程気筒12Aの気筒内の圧力が高められて、充分な燃焼トルク(エンジンの駆動力)が生成できるようになる。
また、圧縮行程気筒12Cにおいて圧縮圧力を低下させるための燃料噴射を行うことで、膨張行程気筒12Aの燃焼による始動を確実なものとする。
さらに、吸気行程気筒12Dにおける燃料噴射時期を、燃料の気化潜熱によって気筒内の温度、および圧縮圧力を低下させる適正なタイミング(例えば圧縮行程の中期以降)に設定しているため(図13中の(4))、該吸気行程気筒12Dの圧縮行程での(圧縮上死点前での)自着火が防止され、また、該吸気行程気筒12Dの点火時期が圧縮上死点以降に設定されているため、圧縮上死点前での燃焼が防止され、該吸気行程気筒12Dにおいて、圧縮反力を低下させつつ、正転方向へのエンジン駆動効率を高めることができる。
その後は、通常制御により各気筒で順次燃焼(図13中の(5)、(6))が行われてエンジンの再始動が完了する。
上記のように予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止状態にあるエンジンの再始動条件が成立したときに、膨張行程で停止状態にある気筒に燃料を噴射して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、スロットル弁23からなる吸気流量調節手段により、エンジンの気筒12A〜12Dに吸入される吸気流量を増大側に操作するとともに、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態とした後に燃料噴射を停止し、エンジンの回転速度がある程度低下したことが確認された時点t3で、上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少側に操作するようにしたため、エンジンの自動停止時における掃気性を効果的に向上させることができるとともに、ピストン13を適正位置に停止させてエンジンを確実に再始動させることができる。
すなわち、エンジンの自動停止条件が成立して自動停止制御を実行する際に、スロットル弁23の開度Kを所定期間に亘り増大させる方向にすることにより、エンジンの自動停止時に吸気流量を充分に維持して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させることができるとともに、上記スロットル弁23の開度Kを大きな値に設定した状態で成層リーンの燃焼制御を実行することにより、エンジンが停止状態となるまでの期間を充分に確保して自動停止制御を適正に実行することができる。
そして、エンジンの回転速度Neが、760rpm程度に予め設定された基準速度N2よりも低下した時点t3で、上記スロットル弁23の開度Kを低減して吸気流量を減少させるように構成したため、エンジンの停止時点で膨張行程となる気筒内に導入される空気量が圧縮行程となる気筒よりも多くなるように調節することにより、膨張行程気筒のピストン13をエンジンの再始動に適した範囲R内、つまり行程中央よりもやや下死点側に片寄った位置に停止させることができる。
また、上記実施形態では、燃料噴射の停止時点におけるエンジンの回転速度Neが、通常のアイドル回転速度よりも高い値に設定された目標速度N1を維持するように、上記成層リーン燃焼時における吸気流量と燃料噴射量とを設定したため、所定の速度領域でエンジンの回転速度Neを安定させた状態で、燃料噴射を停止してエンジンの再始動に適した位置にピストン13を停止させる自動停止制御を安定して実行できるという利点がある。
さらに、上記実施形態では、燃料噴射の停止後にスロットル弁23からなる吸気流量調節手段を操作して吸気流量を減少させる制御を、通常のアイドル回転速度よりも高いエンジンの回転速度(基準速度N2)で実行するように構成したため、上記スロットル弁23を閉止操作した時点t3から、エンジンが停止状態となるまでの期間を充分に確保することにより、この間に、エンジンの再始動に適した位置にピストン13を停止させる自動停止制御を、より適正に実行できるという利点がある。
エンジンの自動停止条件が成立した時点t0からエンジンの回転速度Neが上記目標速度N1で安定する時点t1までの間、均一燃焼を行わせるように構成された上記実施形態に代え、上記時点t0から時点t1までの間は、エンジンの運転状態に応じて成層リーンの燃焼状態と均一燃焼状態とを適宜に選択して実行するように構成してもよい。そして、エンジンの自動停止動作の初期に、エンジンが成層リーンの燃焼状態にあるか否かを判別し、成層リーンの燃焼状態にあると判別された場合には、現時点における吸気流量調節手段の操作量を維持しつつ、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態とした後に、燃料噴射を停止し、均一燃焼状態にあると判別された場合には、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火する成層リーンの燃焼状態に切り換えた後に、燃料噴射を停止してエンジン回転速度が低下し始めた時点t3で上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少側に操作するように構成してもよい。
具体的には、図7のステップS7でオルタネータ28の発電を停止した後、図15に示すように、現時点でエンジンが成層リーンの燃焼状態にあるか否かを判定し(ステップS41)、YESと判定された場合、つまり筒内空燃比が40〜50程度に設定されてスロットル開度Kを充分に大きな値にとするために開放状態にある現時点のスロットル開度Kを維持しつつ(ステップS42)、圧縮行程の後半で燃料噴射する(ステップS43)。なお、スロットル開度Kが比較的小さい値、例えば6%〜7%程度の状態で上記ステップS41でYESと判定され、成層リーンの燃焼状態にあることが確認された場合には、上記ステップS42でスロットル弁23を開放操作してスロットル開度Kを30%程度に設定することが好ましい。
そして、圧縮上死点の近傍で点火を行った後(ステップS44)、全気筒12A〜12Dで1回の成層リーン燃焼が行われたか否かを判定し(ステップS45)、NOと判定された場合には、上記ステップS43に戻る。そして上記ステップS45でYESと判定され、全気筒12A〜12Dで1回の成層リーン燃焼が行われたことが確認された時点t3で、図8のステップS11に移行して燃料噴射を停止する。
また、上記ステップS41でNOと判定され、現時点でエンジンが均一燃焼状態にあること、つまり各気筒12A〜12Dの空気過剰率λを1程度の理論空燃比に設定するとともに、吸気行程で燃料噴射弁16から噴射された燃料を気筒内で均一に分散させた状態で点火する燃焼状態にあることが確認された場合には、スロットル弁23を開放操作してスロットル開度Kを30%程度に設定する(ステップS47)。そして、各気筒12A〜12Dの空気過剰率λを3以上のリーンに設定するとともに、圧縮行程の後半に燃料噴射弁16から噴射された燃料の一部を点火プラグ15の電極周りに偏在させた状態で点火する成層リーン燃焼を行わせるようにエンジンの運転状態を切り換えた後(ステップS48)、上記ステップS45に移行する。
上記構成によれば、エンジンの自動停止動作の初期に吸気流量が比較的多い成層リーンの燃焼状態にある場合には、現時点における吸入空気量を維持して成層リーンの燃焼状態を維持することにより、エンジンの自動停止時におけるエンジンの回転速度を適正に調節して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させることができる。また、エンジンの自動停止動作の初期に、吸気流量が比較的少ない均一燃焼状態にある場合には、エンジンの気筒に吸入される吸気流量を増大させて成層リーンの燃焼状態に切り換えることにより、エンジンの自動停止時におけるエンジンの回転速度を適正に調節して燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させる。そして、燃料噴射が停止されることによりエンジンの回転速度がある程度低下したことが確認された時点t3で、上記吸気流量を減少させることにより、エンジンの停止時点で膨張行程となる気筒等のピストンをエンジンの再始動に適した位置に停止させることができる。
また、上記エンジンの自動停止条件としてエンジンが温間運転状態にあることを設定することが好ましく、このように構成した場合には、エンジンの自動停止動作の初期に失火等を生じることなく成層リーンの燃焼状態とすることにより、エンジンの自動停止制御を適正に実行してエンジンの回転速度を適正に調節するとともに、燃焼ガスの掃気性を効果的に向上させる制御をエンジンの温間状態で適正に実行することができる。
また、減速時に燃料噴射を停止する減速燃料カット制御を実行するように構成されたエンジンにおいて、エンジンの回転速度がアイドル回転速度よりも高い復帰速度となった時点で燃料噴射を復帰させるように構成した場合には、上記減速燃料カット制御が実行されることによりエンジン回転速度が急低下してエンジン・ストップが発生するのを効果的に防止し、その後に自動停止条件が成立した時点で上記エンジンの自動停止制御を適正に実行できるという利点がある。
特に、上記減速燃料カットの制御状態から燃料噴射を復帰する際に、少なくとも吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼とする制御を実行した後、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態に切り換えるように構成した場合には、上記減速燃料カット制御が実行されることによりエンジン回転速度が急低下してエンジン・ストップが発生するのを、さらに効果的に防止することができる。
また、上記実施形態では、エンジンを自動停止させる際に、スロットル弁23が閉止状態とされ、燃料噴射が停止された後に、エンジンの回転速度Neが予め設定された基準速度N2となって所定時間が経過したことが確認された時点t4で、エンジンの上死点回転速度neを検出し、この上死点回転速度neに対応した発電量Geを図9に示すマップから読み出す等により、上記上死点回転速度neが大きい場合には、小さい場合に比べてオルタネータ28の発電量Geを大きな値に設定するように構成したため、予め設定された基準ラインに沿ってエンジン回転速度Neを低下させるようにオルタネータ28の発電量Geを適正に制御することができる。
具体的には、エンジンが停止状態となる前の2番目の上死点(最後の上死点より一つ前の上死点)を通過する時点の上死点回数速度ne等が図5のハッチングで示す範囲内に収まるように、エンジンが停止状態となる前の4番目の上死点回数速度neに基づいてオルタネータ28の発電量Geを調節し、エンジンの回転抵抗を変化させることにより、エンジンの停止時点で膨張行程となる気筒のピストン13をエンジンの再始動に適した位置に停止させることができる。なお、エンジンの回転速度Neが360rpmよりも低いと、上記オルタネータ28の発電が充分に行われず、その発電量Geの目標値を増大させてもクランク軸3の回転抵抗をそれ程、増大させることができず、エンジンの回転速度Neを効果的に調節することができないため、上記エンジンの自動停止制御時における初期段階で、オルタネータ28の発電量Geを増大させる必要がある。
また、上記実施形態に示すように、ピストン13が圧縮上死点を通過してエンジンの回転速度Neが一時的に安定した状態となる時期に検出されたエンジンの上死点回転速度neに基づき、オルタネータ28の発電量Geを制御するように構成した場合には、この発電量Geを適正に制御してエンジン回転速度Neの低下度合を正確に調節できるという利点がある。
なお、エンジンを自動停止させる際に、燃料噴射が停止されてエンジンの回転速度Neが予め設定された基準速度N2となった後、所定時間が経過した時点で検出されたエンジン回転速度Neの低下度合に基づき、エンジンの回転速度Neが顕著に低下していることが確認された場合に、何らかの原因で予め設定された基準ラインよりも早い時期にエンジンが停止状態となると判断してオルタネータ28の発電量Geを一時的に増大させるように構成してもよい。このように構成した場合には、燃料噴射の停止時点t2からエンジンが停止状態となるまでの間に迎える圧縮上死点の回数を1回程度だけ減少させてエンジンの停止時期を予定よりも早めることができる。これにより、エンジン回転速度Neの低下度合が大きすぎることに起因してピストン13が不適正位置に停止するという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
また、上記実施形態に示すように、例えばエンジンを自動停止させないときの通常のアイドル回転速度が650rpm(自動変速機はドライブレンジ)に設定されたエンジンにおいて、上記のようにエンジンの自動停止条件が成立した時点t0で、エンジンの目標速度(自動定常件成立時のアイドル回転速度)N1を、上記通常のアイドル回転速度よりも高い値、例えば850rpm(自動変速機はニュートラルレンジ)に設定してエンジン回転速度Neを安定させるとともに、吸気負圧Btが一定値となるように上記スロットル弁23からなる吸気流量調節手段を制御してエンジンの運転状態を安定させた状態で、燃料噴射を停止させるように構成した場合には、予め設定された基準ラインに沿ってエンジン回転速度Neを低下させるエンジンの自動停止制御を適正に実行することにより、エンジンの再始動に適した範囲R内にピストン13を停止させることができる。
さらに、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t0で、自動変速機をニュートラル状態とするように構成したため、自動変速機を介してエンジン本体1に入力される外乱によるエンジン回転速度Neの変動を抑制した状態で、燃料噴射を停止してエンジンの回転速度Neを所定の基準ラインに沿って低下させることにより、エンジンの再始動に適した範囲R内にピストン13を停止させる自動停止制御を適正に実行できるという利点がある。
また、上記実施形態では、ピストン13が最後の圧縮上死点を迎える時点t5における上死点回転速度ne1に基づき、ピストン13が行程の後半寄りの位置で停止する傾向があるか否かを判定し、その判定結果に応じてスロットル弁23の開度Kを調節するように構成したため、エンジンの停止直前におけるピストン13のストローク量を適正に調節してエンジンの再始動に適した範囲R内にピストン13を停止させる自動停止制御を適正に実行することができる。
例えば最終上死点回転速度ne1が200rpm以上であり、かつ上記ブースト圧Bt2がP2=−200mmHg以下である条件を満たすか否かによってピストン13が行程の後半寄りの位置で停止する傾向があるか否かを判定し、NOと判定された場合には、スロットル弁23の開度Kを40%程度に予め設定された第1開度に設定して、吸気行程気筒の吸気抵抗を減少させることにより、膨張行程気筒のピストン13の位置が適正範囲Rの下限を超えた状態となるのを効果的に防止することができる。一方、上記判定結果がYESの場合には、スロットル弁23の開度Kを5%程度の第2開度に設定して、吸気行程気筒に適度の吸気抵抗を生じさせることにより、ピストン13の停止位置が上記適正範囲Rを超えてさらに後期側となるのを防止できるという利点がある。
なお、上記実施形態では、エンジン再始動時において、圧縮行程気筒12Cに対して、1回目用空燃比を理論空燃比以下のリッチ空燃比に設定した例を説明したが、これに限らず、1回目用空燃比を理論空燃比よりも所定量リーンに設定して余剰酸素を気筒内に残し、エンジンが正転方向に転じた後の本来の圧縮行程において、圧縮上死点直後に2回目の燃焼が行えるように燃料を噴射させ、圧縮上死点直後に点火するようにしてもよい。
特に、エンジン停止時の膨張行程気筒12Aのピストン位置が、始動適正範囲内の上死点側に寄っている場合は、このようにすることが好ましい。
すなわち、エンジン停止時の膨張行程気筒12Aのピストン位置が、始動適正範囲内の上死点側に寄っている場合は、膨張行程気筒12Aの空気容積が少ない側に振れているため、その空気量に対応する燃料噴射量が抑えられ、一方で、膨張行程気筒12Aと逆位相の関係にある圧縮行程気筒12Cにおいては、空気容積が多い側に振れているため、その空気量に対応する燃料噴射量が増大できる関係にあることから、圧縮行程気筒12Cにおいて、逆転動作(膨張行程気筒12Aの空気圧縮)と正転動作との双方で燃焼させるように、1回目用空燃比をリーンとし、2回目用空燃比が理論空燃比以下となるように設定して、正転動作時における膨張行程気筒12Aでの燃焼に続いて、圧縮行程気筒12Cで燃焼させてもよい。
また、上記実施形態では、サージタンク21bの上流側に配設されたスロットル弁23からなる吸気流量調節手段により各気筒12A〜12Dへの吸気流量を調節するように構成した例について説明したが、これに限らず、各気筒12A〜12Dに設けられた吸気弁19のリフト量を変更する周知の可変動弁機構を設けることにより、上記各気筒12A〜12Dへの吸気流量を調節するように構成してもよく、あるいは各気筒12A〜12Dに接続された分岐吸気通路21aに個別に弁体が配設された多連型スロットル弁を用いて上記各気筒12A〜12Dへの吸気流量を調節するように構成してもよい。
また、上記実施形態におけるエンジンの始動装置では、自動停止状態にあるエンジンを再始動させる際に、圧縮行程気筒に第1回の燃焼を行わせることにより、最初にクランク軸3を少しだけ逆回転させて膨張行程気筒内の混合気を圧縮した後に点火するようにしているが、本発明に係るエンジンの始動装置は、これに限るものではなく、膨張行程気筒に対して最初に点火を行うことによりエンジンを再始動させるように構成してもよい。
本発明に係る始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。 エンジンの吸気系および排気系の構成を示す説明図である。 エンジンの停止時に膨張行程および圧縮行程になる気筒のピストン停止位置と空気量との関係を示す説明図である。 エンジン停止時におけるエンジン回転速度の変化状態等を示すタイムチャートである。 エンジン停止時のエンジン回転速度とピストン停止位置との相関関係を示す分布図である。 エンジン停止前に2番目における上死点回転速度とピストン停止位置との相関関係を示す分布図である。 エンジンの自動停止制御動作の前半部を示すフローチャートである。 エンジンの自動停止制御動作の後半部を示すフローチャートである。 エンジンの回転速度に応じてオルタネータの発電量を設定するためのマップの一例を示す図表である。 ピストン停止位置の検出制御動作を示すフローチャートである。 クランク角信号に出力信号を示す説明図である。 エンジンの再始動時における制御動作を示すフローチャートである。 エンジンの再始動時における燃焼動作等を示すタイムチャートである。 エンジンの再始動時におけるエンジン回転速度の変化状態等を示すタイムチャートである。 エンジンの自動停止制御動作の別の例を示すフローチャートである。
符号の説明
2 ECU
3 クランク軸
13 ピストン
16 燃料噴射弁
23 スロットル弁

Claims (8)

  1. 予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに、エンジンの運転を継続させるための燃料噴射を停止してエンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止状態にあるエンジンの再始動条件が成立したときに、少なくとも膨張行程で停止状態にある気筒に燃料を噴射して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置であって、エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、エンジンの気筒に吸入される吸気流量を調節する吸気流量調節手段を吸気流量の増大側に操作するとともに、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態とした後に燃料噴射を停止し、エンジン回転速度が低下し始めた時点で上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少側に操作することを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 燃料噴射の停止時点におけるエンジンの回転速度が、エンジンを自動停止させないときのアイドル回転速度よりも高い値に設定された基準速度を維持するように、成層リーン燃焼時における吸気流量と燃料噴射量とを設定したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動装置。
  3. エンジンを自動停止させる際に、エンジンの回転速度が低下し始めた時点で吸気量調節手段を操作して吸気流量を減少させる制御を、上記アイドル回転速度よりも高い回転速度で実行することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの始動装置。
  4. エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、エンジンが成層リーンの燃焼状態にあるか否かを判別し、吸気行程で燃料を噴射して点火する均一燃焼状態にあると判別された場合に、吸気流量調節手段を吸気流量の増大側に操作した後に成層リーンの燃焼状態に移行することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  5. 予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止状態にあるエンジンの再始動条件が成立したときに、少なくとも膨張行程で停止状態にある気筒に燃料を噴射して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置であって、エンジンの上記自動停止条件が成立したときに、エンジンが成層リーンの燃焼状態にあるか否かを判別し、成層リーンの燃焼状態にあると判別された場合には、現時点における吸気流量調節手段の操作量を維持しつつ圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態を継続した後に燃料噴射を停止し、均一燃焼状態にあると判別された場合には、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態に切り換えた後に、燃料噴射を停止し、それぞれエンジン回転速度が低下し始めた時点で上記吸気流量調節手段を吸気流量の減少側に操作することを特徴とするエンジンの始動装置。
  6. エンジンが温間運転状態にあることをエンジンの自動停止条件として設定したことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  7. 減速時に燃料噴射を停止する減速燃料カット制御を実行するとともに、エンジンの回転速度が、エンジンを自動停止させないときのアイドル回転速度よりも高い復帰速度となった時点で燃料噴射を復帰させた後に、成層リーンの燃焼状態とした後に燃料の噴射を停止する上記エンジンの自動停止制御を実行することを特徴とする請求項1〜6何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  8. 減速時に燃料噴射を停止する減速燃料カット制御を実行するとともに、この減速燃料カットの制御状態から燃料噴射を復帰する際に、少なくとも吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼とする制御を実行した後、圧縮行程の後半に燃料を噴射して点火することにより成層リーンの燃焼状態に切り換えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
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