JP4241225B2 - 電子写真用転写紙及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、白紙部の光沢が高く、走行において優れた信頼性を有し、且つ定着時のブリスターの発生がなく、さらに水分変化による用紙の寸法安定性(特にカール)に優れる間接乾式電子写真方式のフルカラー複写機およびプリンターに用いられる塗被層を有する特に軽量の電子写真用転写用紙、並びにこれを用いたカラー画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オンデマンド出版物の分野では、より手軽に、また小部数への対応が可能なことから、これまで商業オフセット印刷で得ていた出版物をカラー複写機、カラープリンターにより得ようという動きが顕著になっている。そのため、カラー複写機、カラープリンターについては、高速化および高画質化が進んでいる。
【0003】
高画質化については、これまで通常に用いられてきたPPC用紙、プリンター用紙に変わり、これまで商業用印刷の分野に用いられてきた高い白紙光沢を有する塗被紙が、得られる画像の鮮やかさから、カラー複写機、カラープリンターに用いられるケースが増えてきている。 その中でも、特にオンデマンド性を要求されるカタログあるいは小冊子の本文用紙、チラシ、リーフレットには、軽くて嵩張らず、且つ、高白紙光沢を有する塗被紙を使用したいという要求が高まってきている。
【0004】
しかし、フルカラー複写機およびプリンターで軽量の商業印刷用塗被紙を用いると、転写部あるいは定着部での走行トラブルが発生する。すなわち、転写部では、用紙が帯電しトナーが用紙に転写された直後、帯電状態にある用紙が用紙搬送方向にある転写部材に静電吸着を起こし、走行トラブルを起こす。また、定着部では、トナーを溶融定着する際に、溶融しているトナーと定着部材との間に接着力が生じ、白紙光沢の高い塗被紙の場合は用紙が定着部材から速やかに剥離できず、剥離不良の痕が残る、あるいは、剥離できず定着部でジャムが発生することとなる。これらの現象は、用紙の坪量が低い塗被紙、いわゆる軽量塗被紙において顕著に発生する。
【0005】
また、通常、商業印刷用の高白紙光沢の塗被紙は、白紙光沢を付与させるために、塗被後にカレンダー掛けによる表面の平滑化を行うため、非塗被紙あるいは白紙光沢の低い用紙に比べ、嵩が低く、用紙の強度および腰が低下しており、上記の走行トラブルが発生しやすくなる。また、カレンダー時の加圧により用紙がつぶされ、透気性が低下することから、定着時にブリスターが発生しやすくなる。ブリスターとはトナー画像部の表面に発生する微細な空隙であり、用紙内部の水分は定着時の加熱により水蒸気となるが、用紙の透気性が低い場合には水蒸気が排出されないため用紙内の水蒸気圧が大きくなり、最終的には、トナー層を突き破って排出されることが原因である。
【0006】
従来、商業印刷用高白紙光沢用紙の強度あるいは腰を高める目的で、澱粉、変性澱粉、ポリビニールアルコール、ポリビニールアセテート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等の水性のバインダー作用を有するいわゆる製紙用紙力増強剤をパルプ繊維に対し、1〜2%程度添加することが行われてきた。
【0007】
しかしながら、このようにして製造された軽量印刷用塗被紙でも、十分な強度が得られず、前述の転写部あるいは定着部での走行トラブルが発生する。また、これらの印刷用塗被紙では、用紙中の水分変化が起こった場合に用紙寸法の変化が発生する。間接乾式電子写真方式のフルカラー複写機およびプリンターの場合、トナーを用紙へ熱定着する際に用紙の水分変化が生じる。そのため、出力後の用紙にカールが発生するという問題がある。そのため、走行性を確保するための用紙の強度不足、ブリスター現象を回避するための用紙の透気性の不足、カール等の用紙水分の変化が起こった際の寸法安定性の観点から、従来の製造方法による印刷用塗被紙は、間接乾式電子写真方式のフルカラー複写機、プリンターでの使用に耐えられるものはなかった。
【0008】
また、一方、用紙の厚みを上げる、いわゆる、嵩高化により、強度あるいは腰を高める方法が提唱されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような方法で製造された用紙は、転写部あるいは定着部での用紙の走行トラブルを回避するのに十分な用紙強度あるいは腰が得られるが、軽量塗被紙に重要なしなやかな触感が得られない、あるいは、小冊子の本文用紙として使用した場合には小冊子自体が嵩張ってしまい、軽量塗被紙を使用した冊子に本来求められている収納性等に大きな問題を有する。したがって、これまで白紙部の光沢が高く、走行において優れた信頼性を有し、且つ定着時のブリスターの発生がなく、さらに水分変化による用紙の寸法安定性(特にカール)に優れる間接乾式電子写真方式のフルカラー複写機およびプリンターに用いられる塗被層を有する特に軽量で嵩張らない電子写真用転写用紙の提供はなされてこなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−72796号公報
【特許文献2】
特開平11−100798公報
【特許文献3】
特開2000−170093号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、CD方向のクラークこわさが高く、白紙部の光沢が高く、走行において優れた信頼性を有し、且つ定着時のブリスターの発生がなく、さらに水分変化による用紙の寸法安定性(特にカール)に優れる間接乾式電子写真方式のフルカラー複写機およびプリンターに用いられる塗被層を有する特に軽量で嵩張らない電子写真用転写用紙を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状において、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、基材の両面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を有する坪量(JIS P−8124)が40g/m2以上100g/m2以下の塗被紙であって、該基材がろ水度(JIS P−8121)420ml以上のパルプで構成され、かつ該塗被層にガラス転移温度が20℃以上の合成接着剤を用いれば上記問題点が解決されることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、つぎのものを提供するものである。
【0012】
〈1〉基材の両面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を有する坪量(JIS P−8124)が40g/m2以上100g/m2以下の塗被紙であって、該基材がろ水度(JIS P−8121)420ml以上のパルプで構成され、かつ該塗被層にガラス転移温度が55℃以上の合成接着剤とガラス転移温度が12℃以下の合成接着剤とを含むことを特徴とする電子写真用転写用紙。
【0013】
〈2〉受像面の白紙光沢度(JIS P−8142、75度白紙光沢度)が35%以上であることを特徴とする〈1〉記載の電子写真用転写用紙。
〈3〉密度(JIS P−8118)が1.05g/cm3以上であることを特徴とする〈1〉又は〈2〉記載の電子写真用転写用紙。
〈4〉用紙のCD方向のクラークこわさ(JIS P−8143)が30.0以上であることを特徴とする〈1〉、〈2〉又は〈3〉記載の電子写真用転写紙。
〈5〉透気度(J Tappi No.5、王研式透気度)が7000秒以下であることを特徴とする〈1〉〜〈4〉の何れか1項記載の電子写真用転写用紙。
〈6〉潜像担体上に潜像を形成する工程、該潜像を電子写真用現像剤を用いて現像する工程、現像されたトナー像を被転写体に転写する工程、及び該被転写体上のトナー像を加熱圧着する定着工程を含む画像形成方法において、該被転写体が、〈1〉〜〈5〉の何れか一項記載の電子写真用転写紙であることを特徴とする画像形成方法。
〈7〉トナーが、下記式(1)で表されるトナーの形状係数(SF1)が100〜140の範囲にあるものである〈6〉記載の画像形成方法。
SF1=(ML2×π/4A)×100 式(1)
(式中、MLはトナーの最大長さを表し、Aはトナーの投影面積を表す。)
〈8〉トナーが、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させた着色トナー粒子である〈6〉又は〈7〉記載の画像形成方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の塗被紙は、基材の両面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を有する坪量(JIS P−8124)が40g/m2以上100g/m2以下の塗被紙であって、該基材がろ水度(JIS P−8121)420ml以上のパルプで構成され、かつ該塗被層にガラス転移温度が20℃以上の合成接着剤を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明においては、基材の繊維はろ水度が420ml以上のものを用いることが重要である。通常の商業印刷用塗被紙においては、ろ水度が400ml以下の木材パルプ繊維で基材が構成される。この理由としては、印刷工程で断紙を防ぐために用紙の引張強度を要求されることが挙げられる。しかしながら、このようなパルプ繊維を使用すると用紙内の繊維間結合(水素結合)数が多くなるため用紙の引張強度の向上は認められるが、同時に、繊維間で水分が容易に浸入し新たな水素結合を形成するあるいは用紙の乾燥により水分が容易に脱離することにより寸法安定性が悪化する。通常のオフセット印刷に比べ、電子写真方式による画像形成方法では、トナーを熱溶融させて画像形成を行うため、定着時の用紙の脱湿およびその後の吸湿における水分変化が大きすぎて従来の印刷用塗被紙では寸法変化が大きくなりすぎて、カール、波打ち等の発生が激しい。本発明に用いられる繊維のろ水度は420ml以上が好ましいが、450ml以上がより好ましく、さらに470ml以上が好ましい。ろ水度を調整するには、叩解時間、叩解機の負荷等を加減する等の方法がある。
【0016】
さらに本発明は、用紙に強度を付与するためにガラス転移温度が20℃以上の合成接着剤を塗被層に含有させることが必要である。本発明者らは、検討の結果、ガラス転移温度が20℃以上の合成接着剤を塗被層に配合することにより、従来の塗被紙に比して、高い強度を得られることを見出した。ガラス転移温度を上げることにより、塗被層のヤング率が向上し、ガラス転移温度が上がるに従い塗被層のヤング率も向上していくと考えられるが、接着剤の成膜性および塗被層の強度を考慮すると、ガラス転移温度は、20℃以上100℃以下が好ましく、より好ましい範囲は30℃以上90℃以下であり、更に好ましい範囲は40℃以上80℃以下である。ただし本発明は、ガラス転移温度が55℃以上の合成接着剤とガラス転移温度が12℃以下の合成接着剤とを併用するものである。
【0017】
さらに、本発明は、用紙坪量が40g/m2以上100g/m2以下であるいわゆる軽量塗被紙に対して効果を奏する。坪量が40g/m2満たない場合は、画像がプリント面の裏側から透けて見える裏写り現象が顕著であり、商品上使用に耐えられなくなる。また、坪量が100g/m2を超えると用紙の強度、特に腰が強くなってくるために、本発明手段に頼らずとも走行時の信頼性が優れてくる。本発明効果がさらに顕著になる用紙坪量は坪量50g/m2以上90g/m2以下、であり、さらに坪量60g/m2以上85g/m2以下である。
【0018】
また、本発明では、塗被紙の受像面の白紙光沢度を35%以上に調整することが好ましい。受像層の白紙光沢度が35%未満の場合、白紙部と画像部とのコントラストが大きくなりすぎて均一な画像が得られない。より好ましい白紙光沢度は50%以上であり、更に好ましい白紙光沢度は60%以上である。
【0019】
また、本発明は、用紙密度が1.05g/cm3以上である紙、すなわち、紙の厚みが低く、嵩張らない塗被紙に対して有用である。用紙密度が1.05g/cm3に満たない場合は、製本時等多数枚重ね合わせた時に用紙が嵩張り、軽量塗被紙の意味合いをなさない。より好ましい用紙密度は、1.10g/cm3以上であり、さらに好ましい用紙密度は1.15g/cm3以上であるが、本発明はこれらの高密度用紙に対しても有効に作用する。
【0020】
本発明の電子写真転写用紙のCD方向のクラークこわさは30.0以上であることが好ましい。ここで、用紙において、CD方向とは製造時の抄紙方向と垂直な方向を意味する。CD方向のクラークこわさが30.0に満たない場合、転写部あるいは定着部で用紙の腰がないために走行トラブルを起こすことがある。より好ましいCD方向のクラークこわさは33.5以上であり、さらに好ましいCD方向のクラークこわさは37.0以上である。
【0021】
さらに、本発明では、用紙の透気度(J Tappi No.5、王研式透気度)を7000秒以下に調整することが望ましい。用紙の透気度が7000秒を超えると、定着時に用紙内の水分が蒸気化することで発生する水蒸気圧によるブリスター現象の発生が顕著に見られるようになる。より好ましい透気度は5000秒以下であり、更に好ましい透気度は3000秒以下である。
【0022】
本発明の塗被紙の基材はろ水度420ml以上の繊維で構成されるが、該繊維として種々の繊維が用いられる。使用される繊維は、特に限定されるものではないが、通常の一般塗被紙の基紙に用いられるパルプ繊維、例えば、クラフトパルプ繊維、サルファイトパルプ繊維、セミケミカルパルプ繊維、ケミグラウンドパルプ繊維、砕木パルプ繊維、リファイナーグラウンドパルプ繊維、サーモメカニカルパルプ繊維等を使用することが価格を考慮した場合に好ましい。また、これらの繊維中のセルロースあるいはヘミセルロースを化学的に修飾した繊維も必要に応じて使用することができる。さらに、綿パルプ繊維、麻パルプ繊維、ケナフパルプ繊維、ビスコースレーヨン繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、セルロースアセテート繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール共重合体、フルオロカーボン系繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維、シリコンカーバイド繊維等を単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
また、必要に応じては、パルプ繊維にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の合成樹脂を含浸あるいは熱融着させて得られた繊維を使用することもできる。
さらに、近年の環境問題を考えると、上質系および中質系の古紙パルプを添加することが望ましく、配合量は用途に応じて決定されるが、全繊維中10%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上である。
【0023】
また、本発明に係わる基紙には、塗被適性を良くするため、並びに、塗被後の不透明度および白色度の調整のため、填料を使用することが好ましい。ここで使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成クレー、パイオロフェライト、セリサイト、タルク等の珪酸類や二酸化チタン等の無機填料、および、尿素樹脂、スチレン等の有機顔料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの填料の配合量は、特に限定されるものではないが、1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%程度の範囲である。
【0024】
また、本発明の基材に使用するサイズ剤等の各種薬品は、内添または外添により使用することができる。サイズ剤の種類は、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等のサイズ剤を挙げることができ、硫酸バンド、カチオン化澱粉等、適当なサイズ剤と繊維との定着剤を組み合わせても使用できる。電子写真方式の複写機、プリンター等におけるコピー後の用紙保存性の観点から、中性サイズ剤、例えば、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニルケテンダイマー、中性ロジン、石油サイズ、オレフィン系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂等が好ましい。
【0025】
さらに、用紙の電気抵抗値を調整する目的で塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機物や、アルキルリン酸エステル酸、アルキル硫酸エステル酸、スルホン酸ナトリウム塩、第4級アンモニウム塩等の有機系の材料を単独あるいは混合して使用することができる。
【0026】
また、本基材には、必要に応じて紙力増強剤を内添あるいは外添することができる。紙力増強剤としては、でんぷん、変性でんぷん、植物ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒドでんぷん、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド、ポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂、メチロール化ポリアミド、キトサン誘導体等が挙げられ、これらの材料を単独あるいは混合して使用することができる。
この他に、染料、pH調整剤等、通常の塗被紙用基紙に配合される各種助剤が適宜使用される。
【0027】
また、本発明の塗被紙は、従来塗被紙と同様な風合いを持たせ、且つ、製造コストを下げるという観点から、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を有する。
【0028】
本発明の塗被紙の塗被層に用いられる顔料としては、通常の一般塗被紙に用いられる顔料、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネーテッドクレー、アルミノ珪酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルムアルデヒド樹脂微粒子、微小中空粒子およびその他の有機系顔料等が挙げられ、これらはを単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明の塗被層に用いられる合成接着剤は、ガラス転移温度が20℃以上である。かかる合成接着剤としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合及びポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等が挙げられる。これらの合成接着剤の中で1種類以上を使用することができる。また、本発明では、ガラス転移温度の異なる合成接着剤を2種以上使用するものである。これらの接着剤は顔料100重量%当たり5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%程度の範囲で使用され、上記20℃以上のガラス転移温度を有する合成接着剤は、全合成接着剤中の50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上を占めることが好ましい。
また、塗被層に用いられる接着剤として、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン、カゼイン、大豆たんぱく等の天然系接着剤等の一般に知られた接着剤が挙げられる。これらの接着剤も顔料100重量%当たり0.1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%程度の範囲で使用される。
また必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗被紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
【0030】
調製された塗被組成物は一般の塗被紙製造に使用される塗被装置、例えばブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ等を用いオンマシンあるいはオフマシンによって基紙上に一層あるいは多層に分けて乾燥重量で片面に2〜15g/m2程度塗被することが望ましい。
【0031】
塗被後の平滑化処理は、通常用いられる平滑化装置、例えば、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー等が用いられ、白紙光沢が45%以上になるように仕上げることが望ましい。
【0032】
また、開封直後の製品水分率は、3〜6.5%、好ましくは、4.5〜5.5%になるように抄紙機、コータのドライヤーおよびカレンダー工程等で調整することが好ましい。また、保管時に吸脱湿が発生しないように、ポリエチレンラミネート紙等の防湿包装紙やポリプロピレン等で包装する。
【0033】
画像形成方法
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真用転写紙を用いることを特徴とする。本発明の画像形成方法のプロセスとしては、公知の画像形成工程、例えば、潜像担体上に潜像を形成する工程、前記潜像を電子写真用現像剤を用いて現像する工程、現像されたトナー像を被転写体上に転写する工程、及び被転写体上のトナー像を定着する工程などを含むものや、また、別の方法として、感光体と転写体の間に中間的にベルト等を用いてカラートナー像を重ね合わせてから転写体にカラートナー像を一括転写し加熱溶融して定着する方法等を採用すればよい。
【0034】
図1は、本発明の画像形成方法に好適に用いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、感光体11を備え、感光体11の周りには、ローラ型帯電器12、露光装置13、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像剤を搭載した現像器14a、14b、14c、14dを内蔵した現像装置14、ベルト状の中間転写体15、クリーナー16、及び光除電器17を、この順序で配置されている。中間転写体15は、支軸ローラー18a、18b、18cとで張架されている。支軸ローラー18aは、中間転写体15を介して、感光体11と圧接している。支軸ローラー18cは、中間転写体15を介して、転写用ローラー19で圧接されている。また、転写用ローラ19により被転写体7に転写されたトナー像を定着させる加熱ローラ1と加圧ローラ2からなる熱ローラ定着装置を備える。
【0035】
図1に示す画像形成装置を用いて以下のように画像が形成される。帯電器12により帯電させた感光体11を露光装置13により、シアン、マゼンタ、イエローの各画像情報に基づいて露光して感光体11上に潜像を形成させる。この感光体11上の潜像は、現像装置14に内蔵された現像器14a、14b、14c、14dにてそれぞれ現像されトナー像が形成される。現像されたトナー像は、ベルト状の中間転写体15上に転写される。中間転写体15上のトナー像は、中間転写体15の矢印P方向への進行に伴い、支軸ローラー18cと中間転写体15を介して圧接されている転写用ローラ19との間まで移動する。中間転写体15上のトナー像が、支軸ローラー18cと中間転写体15を介して圧接されている転写用ローラ19との間(ニップ部)を通過する際、該ニップ部に挿通された被転写体20上に転写される。被転写体20上に転写されたトナー像は、被転写体20を加熱ローラ1と加圧ローラ2との間を通過させることにより被転写体20上に定着され、画像が形成される。なお、感光体11上のトナー像を被転写体20に転写した後、感光体11上に残存したトナー像はクリーナー16よって除去され、感光体11上に残存した残留電荷は光除電器17によって除電され、次の画像形成に備える。
【0036】
本発明の画像形成方法に用いる定着装置としては、接触型熱定着装置が使用でき、例えば芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加熱ローラと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ローラとからなる熱ローラ定着装置や、そのローラとローラとの組み合わせ、ローラとベルトとの組み合わせ、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置が使用できる。
【0037】
定着部材の基材(コア)には、耐熱性に優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の良い材質が選択され、ローラ型の定着装置の場合には、例えばアルミ、鉄、銅等が選択され、ベルト型の定着装置の場合には、例えばポリイミドフィルム、ステンレス製ベルト等が選択される。ローラ型基材の表面には、通常シリコーンゴム、フッ素ゴム等からなる弾性ゴム層を表面に設けている。
【0038】
前記定着部材は、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiC などのセラミックス粒子等を含有してもよい。
【0039】
図2を用いて本発明の被転写体を用いた定着工程について詳記する。図2に示す加熱圧着装置は、定着部材がローラ形状を有する装置であり、熱ローラ1と、これに対向配置された圧着ローラ2と、熱ローラ1を加熱するための加熱源3と、熱ローラ1の表面の定着部材表面層4とを有してなる。熱ローラ1の表面には弾性層5が形成されている。トナー像6が形成された被転写体7が圧着ローラ2と熱ローラ1との間を通過する際に、加熱、加圧されて画像の定着が行われる。
【0040】
図2に示す加熱圧着装置は、必要に応じてさらに、熱ローラ1の表面に付着したトナーを除去するためのクリーニング部材、圧着ローラ2を加熱するための加熱源3、記録材を熱ローラ1から剥離させる爪(フィンガー)などを有していてもよい。なお、図2に示す加熱圧着装置における加熱源3は、温度制御装置(図示せず)により制御されている。
【0041】
熱ローラ1及び/又は圧着ローラ2には、単層又は積層構造の弾性層5を備えていることが好ましく、弾性層の厚みとしては、0.1〜3mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましい。弾性層5には、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムが用いられ、そのゴム硬度は、60以下が好ましい。定着部材が弾性層5を有すると、被転写体7上のトナー画像6の凹凸に追従して前記定着部材が変形し、定着後における画像表面の平滑性を向上させることができる点で有利である。なお、弾性層の厚みが3mmを超えて厚すぎると、定着部材の熱容量が大きくなり、定着部材を所望の温度まで加熱するのに長い時間を要する上、消費エネルギーも増大してしまう点で好ましくない。また、弾性層の厚みが0.1mm 未満で薄すぎると、定着部材の変形がトナー画像の凹凸に追従できなくなり、溶融ムラが発生し、また、剥離に有効な弾性層の歪みが得られない点で好ましくない。
【0042】
本発明の画像形成方法に用いるトナー、現像剤は、特に限定されないが、次の如きトナーが好適に使用できる。
トナーの樹脂成分としては、一般に、ポリエステル樹脂あるいはスチレン−アクリル樹脂が主に用いられる。
【0043】
トナーの生成方法については粉砕法、重合法等どのような生成方法を用いてもかまわないが、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させる方法が好ましい。
また、トナーは、下記式(1)で表されるトナーの形状係数(SF1)が100〜140の範囲にあるものが好ましい。
【0044】
SF1=(ML2×π/4A)×100 式(1)
【0045】
(式中、MLはトナーの最大長さを表し、Aはトナーの投影面積を表す。)
形状係数SF1が140を越えるとトナー流動性の悪化、初期からの転写性に影響を及ぼす。ここで、前記トナー形状係数SF1の平均値は、例えば、以下のようにして算出することができる。即ち、スライドガラス上に散布したトナーについて、その光学顕微鏡写真を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナーのトナー形状係数SF1を計算し、平均値を求めることにより得られる。
【0046】
本発明においては、トナーの体積平均粒子径としては、2〜8μmの範囲内であることが好ましく、3〜7μmの範囲内であることがより好ましい。トナーの体積平均粒子径が、2μm未満であると、帯電性が不十分になり易く、現像性が低下する場合があり、一方、7μmを越えると、画像の解像性が低下する場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0047】
ここでトナーの体積平均粒子径とは、小径側から累積体積が50%になる粒子径を意味し、例えばコールターカウンターTA−II(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)などの測定器を用いて測定することができる。
【0048】
また、トナーの粒度分布は、体積平均粒度分布GSDvが1.28以下であることが好ましく、1.25以下であることがより好ましく、特に後述の乳化凝集法で製造することにより、かかる粒度分布のシャープなトナーを得ることができる。GSDvが1.28を越えると、画像の鮮鋭性、解像性が低下するため好ましくない。
【0049】
ここでトナーの平均粒度分布指標GSDvとは、小径側から累積体積が84%になる粒子径D84vに対する、同累積体積が16%になる粒子径D16vの比(D84v/D16v)の平方根のことをいい、体積平均粒子径と同様の装置を用いて測定することができる。
【0050】
静電荷像現像剤は、トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。
静電荷像現像剤は、トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
【0051】
二成分系の静電荷像現像剤として用いられるキャリアとしては、特に制限はなく、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
前記静電荷像現像剤における、トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真用転写紙を用いているため走行において優れた信頼性を有する。
【0053】
【実施例】
下記に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが,勿論、本発明の範囲はそれらにより限定されるものでない。なお実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、夫々「重量部」及び「重量%」を示す。
【0054】
実施例1
LBKP80重量部とNBKP20重量部を混合したパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度500mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)15重量部、硫酸アルミニウム0.4重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.3重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08重量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、酸化デンプン(エースB、王子コンスターチ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が30秒になるように平滑化処理を施し、坪量が60g/m2の基材を得た。
この基材に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を20重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を80重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(LX430および2507H、配合比20:80、日本ゼオン(株)製)14重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.3重量%配合した上記塗被組成物を、片面12.5g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が55%になるように平滑化処理を行い、坪量85g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0055】
実施例2
LBKP100重量部のパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度500mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)15重量部、硫酸アルミニウム0.4重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.3重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08重量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、酸化デンプン(エースB、王子コンスターチ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が30秒になるように平滑化処理を施し、坪量が61.5g/m2の基紙を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を20重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を75重量%、有機顔料(Nipol MH5055、日本ゼオン(株)製)を5重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(0623Aおよび0640、配合比15:85、JSR(株)製)14重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.2重量%配合した上記塗被組成物を、片面11.5g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が66%になるように平滑化処理を行い、坪量84.5g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0056】
参考例1
LBKP100重量部のパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度430mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)10重量部、硫酸アルミニウム0.4重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.5重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08重量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、ポリビニールアルコール(商品名PVA117、クラレ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.0g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が25秒になるように平滑化処理を施し、坪量が53g/m2の基紙を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を30重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を60重量%、有機顔料(Nipol MH5055、日本ゼオン(株)製)を10重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(LX433C 日本ゼオン(株)製)15重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.2重量%配合した上記塗被組成物を、片面8.5g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が64%になるように平滑化処理を行い、坪量70g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0057】
参考例2
LBKP70重量部とCTMP30重量部を混合したパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度450mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)12重量部、硫酸アルミニウム0.5重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.5重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.1重量部を添加し、、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、ポリビニールアルコール(PVA117H、クラレ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2になるように、ブレードコータで塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が40秒になるように平滑化処理を施し、坪量が57g/m2の基紙を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を20重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を60重量%、有機顔料(Nipol MH5055、日本ゼオン(株)製)を20重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(0602、JSR(株)製)15重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.2重量%配合した上記塗被組成物を、片面10.0g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が62%になるように平滑化処理を行い、坪量77g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0058】
参考例3
LBKP100重量部のパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度480mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)15重量部、硫酸アルミニウム0.4重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.3重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08重量部を添加し、、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、ポリビニルアルコール(PVA117H、クラレ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.0g/m2になるように、ブレードコータで塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が30秒になるように平滑化処理を施し、坪量が62g/m2の基紙を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を30重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を70重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(Nipol 1577、日本ゼオン(株)製)14重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.2重量%配合した上記塗被組成物を、片面10.0g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が61%になるように平滑化処理を行い、坪量82.0g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0059】
比較例1
LBKP100重量部のパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度350mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)15重量部、硫酸アルミニウム0.4重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.3重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08重量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、酸化デンプン(エースB、王子コンスターチ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が40秒になるように平滑化処理を施し、坪量が60g/m2の基材を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を35重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を65重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(0696、JSR(株)製)13重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.3重量%配合した上記塗被組成物を、片面12.5g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が58%になるように平滑化処理を行い、坪量85g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0060】
比較例2
LBKP100重量部のパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度420mlのパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)15重量部、硫酸アルミニウム0.5重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.6重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.1重量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、ポリビニールアルコール(商品名PVA624、クラレ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.0g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が40秒になるように平滑化処理を施し、坪量が58g/m2の基紙を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を15重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を85重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(0619、JSR(株)製)14重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.2重量%配合した上記塗被組成物を、片面12.5g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が61%になるように平滑化処理を行い、坪量83g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0061】
比較例3
LBKP100重量部のパルプスラリーをナイヤガラビータ(熊谷理機工業社製)で叩解して得られたろ水度330mlのパルプスラリーに、パルプ100重量部に対し、軽質炭酸カルシウム(タマパール TP−121、奥多摩工業(株)製)12重量部、硫酸アルミニウム0.5重量部、カチオン化デンプン(商品名:MS4600 日本食品化学工業(株)製)0.5重量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.1重量部を添加し、これらの混合物を白水で希釈し、固形分濃度0.3%の紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを2時間攪拌した後、オリエンテッドシートフォーマー(熊谷理機工業社製)を用いて抄紙し、次いで、この湿紙に、酸化デンプン(エースB、王子コンスターチ(株)製)を、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2になるように、サイズプレス装置で塗布し、乾燥後、マシンカレンダーにより王研式平滑度が30秒になるように平滑化処理を施し、坪量が61g/m2の基紙を得た。
この基紙に、塗被する塗被組成物の顔料成分100重量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール T−123、奥多摩工業(株)製)を25重量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を75重量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA 王子コーンスターチ(株)製)3重量%(顔料に対する固形比;以下同様)と合成接着剤(LX433C 日本ゼオン(株)製)13重量%、及び分散剤(アロンT−40 東亜合成(株)製)0.3重量%配合した上記塗被組成物を、片面12.0g/m2をブレードコータにより両面塗被し、乾燥後、ロール温度50℃のスーパーカレンダーで白紙の光沢が62%になるように平滑化処理を行い、坪量85g/m2の電子写真用転写紙を得た。
【0062】
比較例4
市販の印刷用コート紙であるOKトップコートN84.9g/m2(王子製紙(株)製)を用いた。
【0063】
比較例5
市販の印刷用コート紙のハイアルファ79.1g/m2(北越製紙(株)製)を用いた。
【0064】
<品質評価方法〉
(1)坪量: JIS P−8124の方法により測定した。
(2)白紙光沢度:JIS P−8142に従い入射角度75度で測定した。
(3)透気度:J Tappi No.5の方法により測定した。
(4)用紙の厚み、密度:JIS P−8118の方法により測定した。
(5)用紙のCD方向のクラークこわさ:JIS P−8143の方法によ り、CD方向の臨界長さを測定し、臨界長さの3乗を100で除した値をク ラークこわさとして算出した。
(6)走行テスト:転写紙の走行テストは、富士ゼロックス製の乾式間接電子写真方式のデジタルカラー複写機DocuCentre Color 500CPを用いて実施した。なお、DocuCentre Color 500CP機は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、被転写体上のトナー像を加熱圧着する定着手段を含む画像形成装置である。用紙はA4サイズ縦目用紙とし、長辺を先端として走行させた。それぞれ100枚ずつ走行させ、転写部および定着部での走行トラブル枚数を確認した。転写部で走行トラブル発生した用紙は、定着部を通過しないため、定着部走行枚数は(100―転写部走行枚数)枚とした。
(7)ブリスター評価:転写紙のペーパーブリスター評価は、富士ゼロックス製の乾式間接電子写真方式のデジタルカラー複写機DocuCentreColor 500CPを用いて実施した。コピー原稿は、シアン色、マゼンタ色、イエロー色の3色の網点面積率100%のものを用い、片面プリント時と両面プリント時の画像が用紙の表裏の同じ位置になるようにし、記録テストを行った。給紙サンプルは、包装開封直後のものを用い、両面プリントを実施した。なお、トナーとして、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させて得たトナーであって、SF1は134、GSDvは1.22,体積平均粒径は6.0μmのものを使用した。
評価基準は、以下の4段階とした。
【0065】
◎:全くブリスターの発生していないもの
○:発生しているが、目視では確認できないもの
△:目視で確認でき、画像を乱すもの
×:触感で確認でき、画像光沢を低下させているもの
【0066】
(8)定着後カール:DocuCentre Color 500CPでISO/JIS−SCIDサンプル(日本規格協会発行)の画像識別番号N3(画像名称 果物かご)を出力し、23℃50%RH環境下に10分間放置した際の、カールについて、下記の評価基準で評価した。
◎:ほとんどカールしない
○:少しカールするが許容できる
△:かなりカールし、許容できない
×:カールが大きく場合によっては、円筒となる。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
表から明らかなように、本発明の電子写真用転写紙は、CD方向のクラークこわさが高く、転写部および定着性での走行トラブルがなく、且つ、ブリスターの発生がなく、カールが小さいものであった。それに対して、比較例1は、転写部および定着部では走行トラブルが発生しにくい傾向にあるが、ブリスターが発生し、また、定着後カールも非常に大きく、実用に耐えることができないレベルである。比較例2は、転写部および定着部で走行トラブルを起こし、ブリスターも発生し、実用に耐えることができないレベルである。また、比較例3は、転写部および定着部の走行トラブルは発生しにくい傾向にあるが、ブリスターおよび定着後カールが顕著に発生する。さらに、比較例4および5に示した印刷用塗被紙は、転写部および定着部で走行トラブルを起こし、且つ、ブリスターおよび定着後カールが顕著に発生する。したがって、本発明の塗被紙は、従来の塗被紙に比べ、電子写真方式の複写機およびプリンターでの走行性において優れた信頼性を有し、且つ、ブリスターの発生がなく、定着後カールも小さく、その製品価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法に用いる画像出力装置の例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の画像形成方法に用いる加熱定着装置の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 熱定着ローラ
2 圧着ローラ
3 加熱源
4 定着部材表面層
5 弾性層
6 トナー像
7 被転写体(記録材)
11 感光体
12 ローラ型帯電器
13 露光装置
14 四色現像器(14a、14b、14c、14d)
15 中間転写体
16 クリーナー
17 光除電器
18 支軸ローラ(18a、18b、18c)
19 転写用ローラ
20 被転写体
Claims (8)
- 基材の両面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を有する坪量(JIS P−8124)が40g/m2以上100g/m2以下の塗被紙であって、該基材がろ水度(JIS P−8121)420ml以上のパルプで構成され、かつ該塗被層にガラス転移温度が55℃以上の合成接着剤とガラス転移温度が12℃以下の合成接着剤とを含むことを特徴とする電子写真用転写用紙。
- 受像面の白紙光沢度(JIS P−8142、75度白紙光沢度)が35%以上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用転写用紙。
- 密度(JIS P−8118)が1.05g/cm3以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子写真用転写用紙。
- 用紙のCD方向のクラークこわさ(JIS P−8143)が30.0以上であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の電子写真用転写紙。
- 透気度(J Tappi No.5、王研式透気度)が7000秒以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電子写真用転写用紙。
- 潜像担体上に潜像を形成する工程、該潜像を電子写真用現像剤を用いて現像する工程、現像されたトナー像を被転写体に転写する工程、及び該被転写体上のトナー像を加熱圧着する定着工程を含む画像形成方法において、該被転写体が、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の電子写真用転写紙であることを特徴とする画像形成方法。
- トナーが、下記式(1)で表されるトナーの形状係数(SF1)が100〜140の範囲にあるものである請求項6記載の画像形成方法。
SF1=(ML2×π/4A)×100 式(1)
(式中、MLはトナーの最大長さを表し、Aはトナーの投影面積を表す。) - トナーが、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させた着色トナー粒子である請求項6又は請求項7記載の画像形成方法。
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