JP4240703B2 - 液体収納容器およびそれに用いられる繊維体、該繊維体の親液化方法、前記繊維体の製造方法、前記繊維体の表面改質方法、前記繊維の接液表面構造 - Google Patents

液体収納容器およびそれに用いられる繊維体、該繊維体の親液化方法、前記繊維体の製造方法、前記繊維体の表面改質方法、前記繊維の接液表面構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドへ供給すべき液体を収納する容器に用いられる繊維体、および該繊維体を収納する液体収納容器に関する。
【0002】
更に、本発明は液体収納容器内の負圧発生部材として用いられる繊維自体の表面またはこの表面に何らかの処理がされた表面のいずれかに対して、特性や性質などを変えて接液性を改質する物品表面改質方法に関し、該表面改質された負圧発生部材に関する。
【0003】
特に本発明は、表面処理が施し難いが環境にやさしいオレフィン系樹脂から構成されている繊維に対して表面改質を確実に行える表面改質方法、改質表面を有する繊維および繊維の製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
インクジェット記録装置用のインクタンクは、タンク内に吸収体を収納し、その吸収体の内部負圧によってインクを保持することで、記録ヘッドのインク吐出部で安定したメニスカスを維持させている。
【0005】
このようなインクタンク内にて負圧を発生させる吸収体の一つに、絡み合った繊維間の毛管力でインクを保持する繊維体がある。この繊維体としては、ポリプロピレン(PP)の表層にポリエチレン(PE)を形成したポリオレフィン系樹脂からなる繊維を用いたものが、リサイクル性や耐インク接液性の向上の観点で実用されている。
【0006】
従来、物品自体(element)が有する特性や性質は、構成材料の特性によって支配的であるが、その特性を表面において改質することで、所望の特性を与えることが行なわれている。この所望特性には、撥水性や親水性などの反応性をもつ反応基あるいは、付加物に対して反応可能な反応基を表面に有するものが挙げられる。
【0007】
また、従来のこの種の表面改質は、物品表面をオゾン又はUVあるいはUVとオゾンの併用などによってラジカル化し、処理剤の主成分を化学的結合のみによって形成するものが一般的である。
【0008】
これに対して、物品表面をラジカル化せずに、所望特性自体を有する処理剤を物品表面に付着させて、瞬間的に所望特性を得るものがあるが、持続性が無いものであった。
【0009】
特に、環境にやさしいオレフィン系樹脂に対する親水化においては、従来では界面滑性剤を混在させることで不完全な親水状態を液体の存在下で一時的に得るものが知られているだけである。
【0010】
従来、物品に対して付加層を形成するのに接着剤やプライマーが用いられている。そのうち、シランカップリング剤のような反応結合のみを物品表面に対して行うプライマーは、物品自体が反応可能なように処理される必要がある。
【0011】
プライマーとしては、物品との同一材料系を用いた親和力を用いた方式もある。このプライマーとしては、ポロプロピレンに対してポリウレタン樹脂の上塗り塗料層を設ける際に用いられる酸変性塩素化ポリプロピレンが知られている。しかし、この物品表面と同一材料系を用いなければならない場合、結果的に物品体積が増加してしまう他、均一な塗布を薄く行うための技術が必要となる。また、微細な物体や多孔質体に対して内部まで均一に行うこともできない。特に酸変性塩素化ポリプロピレンは、水に対して不溶なため、水溶化して使うことができず、その用途が限定されている。
【0012】
したがって、物品表面とは別の材料であっても、水溶液化でき、薄く均一な表面改質を物品の形状にとらわれずに行えるものは従来には無いと言える。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、繊維を構成するPE及びPPはインクによっては濡れ性が悪い(水に対する接触角80°以上)ため、この場合の繊維体へのインクの注入には、インクタンク容器内を減圧する工程を採用しなければならなかった。そのため、注入装置を用意する必要が生じ、製造工程の複雑化を招くという問題があった。
【0014】
さらに近年のインクジェットプリンタは、高画質化、インクの多種多様化が進んでおり、使用インクには紙面への定着性を高める溶媒が添加されたり顔料が使用される傾向にある。したがって、使用するインクの粘度も上昇し、繊維体内のインク流抵抗が高くなる。その結果、印字速度が高速化する傾向のプリンターに対しインク供給が難しくなってしまうという課題が生じる。
【0015】
また、記録ヘッドへの液供給口の中に、繊維方向を液供給方向に揃えた繊維束からなる圧接体が配置されたインクタンクがあるが、上述した観点と同様、圧接体のインク流抵抗が高いと、高速印字に伴い、高流量のインク供給が求められた場合、ヘッドに安定的にインクを送れなくなるという課題が生じる。
【0016】
本発明は、従来の技術水準に対して検討を加える中で、新たな知見に基づいてなされた画期的な発明である。
【0017】
従来のラジカル化による化学的結合のみによる表面改質は、複雑な形状の表面に均一な表面改質を行うことはできない。しかもインクジェット分野で用いられ負圧を発生するためのスポンジや繊維複合体のように内部に複雑な多孔質部分を有する負圧発生部材内部には特に表面改質を行うことはできない。
【0018】
加えて、液体中に界面滑性剤等を入れたものは、多孔質体自体を表面改質することにはならず、界面滑性剤がなくなると全く特性がなくなり、表面自体の特性に即座にもどってしまう。
【0019】
ましてや、オレフィン系樹脂は、水に対する接触角が80度以上という撥水性に優れたものではあるが、親液性を、長期的に所望特性に得られるような表面改質する方法が無い。
【0020】
従って、本発明者達は、まずオレフィン系樹脂の表面改質を合理的に行い、且つその改質特性を維持する方法を解明することで、あらゆる物品の表面改質を行える方法を提供すべく研究した結果、液状の処理液を用いることに注目し、複雑な形状の負圧発生部材に対しても処理可能な前提を置くことにした。
【0021】
また、本発明者達の新たな知見として、負圧発生部材の改質されるべき表面と反応基を有する高分子との関係において、表面エネルギーを利用することで、反応基とのバランスを所望の状態にコントロールできる点及び高分子自体の解析によって更なる耐久性向上、品質の安定性を達成できる点を見い出した。
【0022】
また、別の観点から、本発明者達は、多孔質体の如き負圧発生部材の負圧特性に注目したところ、以下の課題を新たに認識した。
【0023】
すなわち、従来の負圧発生部材は、初期充填された液状インクなどの液体に常に曝されている場合が多く、又、負圧室と液体収納室とが一体になっている場合でも、液体に曝されている一部分が液体消費されて再充填されることはあるが、全体的に消費状態の負圧発生部材に通常の装置内での液体補充を受けることが想定されていない。そのため、初期負圧や初期液体保有量へ液体の補充によって復帰するか否かについては、当業者の中でも認識されてはいない。
【0024】
本発明は、負圧発生部材収納室に対して、その含有液体を任意のレベルで消費せしめた後に、補充液体収納室(容器またはタンク)を取付けることによって、その程度の復帰がなされるかを検討したところ、初期に負圧発生部材に充填される液体は何らかの強制注入を用いるためかかなりの量を得られるが、このように単純に再充填した場合は、負圧発生部材中のエアーの除去が難しいためか、半分程度の復帰しか得られず、これを繰り返すと再保持可能な液体量はどんどん少なくなってしまい、負圧も増大するという傾向が見られた。
【0025】
以上のような課題を踏まえて本発明者らは鋭意検討した結果、PE及びPPからなる繊維の表面を親水化処理すればインクの濡れ性が向上し、インク移動時の流抵抗が低減することを見い出すとともに、どのような親水化処理を施すと長期的な親水性が得られるかを見い出した。そして、このような親水化処理を液体収納容器の形態に合わせて、負圧発生部材としての繊維体の所望の領域に用いることで、親水化処理をより合理的に展開することができるという知見に至った。
【0026】
すなわち本発明の1つの着眼点は、上述した従来技術の課題に鑑み、インクの多種多様化や印字の高速化に対応したインク供給性を発揮でき、インク注入も簡便になる繊維体、これを有する液体収納容器、および該繊維体の親水化処理方法を提供することにある。
【0027】
【課題を達成するための手段】
本発明は、前述したような負圧発生部材の特性をオゾンや紫外光などによるラジカル化のような手法によって加工をするのではなく、また、シランカップリング剤のようなプライマー塗布による塗布むらが発生するような手法でもない、新規なメカニズムによる所望の新液表面改質を行える画期的な新液表面改質方法およびこれに用いられる処理液、これによって得られる負圧発生部材、そして、新液表面への改質によって得られる表面構造そのもの、特には液体の再供給で初期負圧への復帰能力に優れ、液体供給性に優れた繊維負圧発生部材を提供することを主たる目的とする。
【0028】
本発明の第1目的としては、多孔質体や微細加工物品などの複雑な形状を有する負圧発生部材の内部全体表面に対して、所望の親液性処理が行える液状処理液およびこれを用いた親液表面改質方法の提供を挙げることができる。
【0029】
本発明の第2目的としては、表面改質が困難とされているオレフィン系樹脂に対して、従来よりも長期的に親液性を維持できる新規な親液表面改質方法および表面構造自体を提供することにある。
【0030】
本発明の第3目的としては、負圧発生部材構造や重量増加がほとんど無く、改質表面自体が分子レベル、好ましくは単分子レベルの薄層として形成できる新規な親液表面改質方法および表面構造自体を提供することにある。
【0031】
本発明の第4目的は、親液表面改質方法自体に新たなメカニズムを導入することによって、所望の改質を自由に行える処理方法を提供することにある。
【0032】
本発明の第5目的は、簡単で且つ量産性に優れた負圧発生部材表面親液処理製造方法を提供することにある。
【0033】
本発明の第6目的は、高分子が備える基(又は基群)の界面エネルギーの観点を利用しつつ、高分子の開裂による略同等エネルギー準位による界面的物理吸着を利用する画期的な負圧発生部材表面の親液処理方法を提供することにある。
【0034】
本発明の第7目的は、負圧発生部材の周囲を均一に改質できる新規な親液表面改質方法を提供すると共に、表面構造自体も周囲全体の観点から従来では得られなかったレベルの表面構造を提供することにある。
【0035】
本発明の他の目的は、以下の説明から理解されるものであり、上記個々の目的の任意の組合わせによる複合的な目的をも本発明は達成できるものである。
【0036】
上記目的を達成するために本発明は、液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドに供給する液体を供給可能に収納する容器に用いられる負圧発生用繊維体であって、オレフィン系樹脂を少なくとも繊維表面に有し、前記オレフィン系樹脂がその表面に相対的に長鎖の親液性基と相対的に短鎖の疎液性基とを有する接液表面構造を配向して持つことを特徴とする。
【0037】
また本発明は、水系液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドに供給する水系液体を供給可能に収納する容器に用いられ、少なくとも部分表面に高分子化合物が付与されている繊維からなる繊維体であって、
前記高分子化合物は、相対的に長鎖の親水性基を有する第1の部分と、前記親水性基の界面エネルギーより低く且つ前記部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備え、
前記第2の部分は前記部分表面に向かって配向し、前記第1の部分は前記部分表面とは異なる方向に配向していることを特徴とする。
【0038】
前記繊維の表面がオレフィン系の樹脂である場合、前記高分子化合物が親水性基を備えた例えばポリアルキルシロキサンであることが好ましく、前記親水性基が例えばポリアルキレンオキサイド鎖を有することが好ましい。
【0039】
前記オレフィン系の樹脂はポリプロピレンあるいはポリエチレンであり、前記ポリアルキルシロキサンが、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
【0040】
また本発明は、上記の繊維体を負圧発生部材として収納している液体収納容器である。
【0041】
また本発明は、上記の繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部へ液体を供給する液体収納部とを備え、該液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器である。
【0042】
前記液体収納部は、液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な内袋と、該内袋を覆う筐体と、該筐体と前記内袋との間に大気を導入可能な外気連通口とを備えているものであってもよい。
【0043】
上記の収納された負圧発生部材としての繊維体の全体において、繊維表面にポリオレフィン系樹脂を有し、前記ポリオレフィン系樹脂が親水基を該樹脂表面に配向して持つことで、繊維表面の濡れ性が高いので、使用する液体が高表面張力インクであってもその注入工程を簡素化することができる。また記録用液体の移動時の流抵抗が低下するので、高速印字に伴う液体吐出ヘッドへの高流量の供給に対応することも可能である。
【0044】
また本発明は、液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給口と、内部を大気に連通させる大気連通口とを有し、負圧発生部材を収納した液体収納容器において、前記供給口内部分に、上記のような繊維体が配されていることを特徴とする。このように親水化処理が施された繊維体を供給口部分に配することで、所望の毛管力を得つつ、インク流抵抗を低減し、インクの流動性を高めることができるので、高流量のインク供給が可能になる。さらには、繊維体を圧接体とした場合の気泡の滞留を防ぐことができるため、この面でも流抵抗の上昇を抑制できる。
【0045】
また本発明は、液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給口と、内部を大気に連通させる大気連通口とを有し、繊維体を負圧発生部材として収納している液体収納容器において、前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分のみが部分的に親液化処理されていることを特徴とする。このような部分を親水化処理することは、繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器においても同様に適用される。
【0046】
上記の収納された負圧発生部材としての繊維体の供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分のみを部分的に親液化処理したことで、供給口及びその周辺に記録用液体が常に存在しようとするため、ヘッドへの液体供給が途切れにくく、加えて、記録ヘッドへの気泡の流入を起こしにくい。
【0047】
また本発明は、繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、
前記供給口を重力方向下向きにした姿勢で、前記繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部より重力方向に関して上方に在って重力方向に対して交差する平面層がその周囲に対し部分的に親液化処理されていることを特徴とする。
【0048】
上記の収納された負圧発生部材としての繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部より上方に在って重力方向に対して交差する平面層を親水化処理したことで、環境変化による液体収納部内の液体及び気体の膨張しても、繊維間を流れる液体を前記親水化処理部で拡散させることができる。そのため、負圧発生部材収納室の容積を増加させずに急激な圧力上昇を上下方向に対する断面方向に充分に緩和させることができる。
【0049】
また本発明は、繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、前記繊維体の、少なくとも前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部から前記供給口までの液体供給域が繊維体全体に対して部分的に親液化処理されていることを特徴とする。
【0050】
上記の収納された負圧発生部材としての繊維体の、少なくとも前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部から前記供給口までの液体供給域を繊維体全体に対して部分的に親液化処理したことで、繊維体の持つミクロな疎密差により気液交換時の液面が乱れて低下しても、親液化処理域おいて、突出した低下液面が止められる。これにより、液体収納部から負圧発生部材収納部への液体の移動をエアーで途切らせることがないので、安定した気液交換動作が行われる。また、供給口付近が親液化処理されていることで、その周囲に常に存在しようとするため、供給口において記録用液体が途切れにくい。さらには、新しい液体収納部に交換した際に、繊維体の親液化処理域が積極的に液体を呼ぶ込むため、ヘッド回復を速やかにできる。また、ヘッド回復に必要な液量を、親液化処理域の大きさでコントロールできる。
【0051】
また本発明は、繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、前記繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部が繊維体全体に対して部分的に親液化処理されていることを特徴とする。
【0052】
また本発明は、繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を供給する液体収納部と、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との液体の連通部近傍に設けられ、前記液体収納部内に気体を導入するに応じて前記負圧発生部材収納部へ液体を導出させる気液交換を生じるための大気導入溝とを備え、該液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、前記繊維体の、前記大気導入溝部に対応する領域が繊維体全体に対して部分的に親液化処理されていることを特徴とする。
【0053】
上記の収納された負圧発生部材としての繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部もしくは前記大気導入溝部に対応する領域を繊維体全体に対して部分的に親液化処理したことで、この親液化部分が安定的に液体を保持するため、気液交換状態に達する前に、不用意なエアパスにより気液交換動作が行なわれるのを防ぐことができる。また、気液交換状態において記録用液体の消費が停止したとき、前記繊維体の大気導入溝部に対応する部分を液体で満たし速やかに大気連通溝もしくは連通部を塞ぐことができる。以上の機能により安定した気液交換動作が可能となる。また、前記液体収納容器を交換するために取り外した際、前記負圧発生部材収納部側の連通部より液体がたれにくい。
【0054】
上記のように部分的に繊維体を親液化した液体収納容器は、前記液体収納部が、液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な内袋と、該内袋を覆う筐体と、該筐体と前記内袋との間に大気を導入可能な外気連通口とを備えているものであってもよい。
【0055】
また本発明は、液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給口と、内部を大気に連通させる大気連通口と、繊維体を負圧発生部材として収納された繊維体とを有する液体収納容器において、前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域を親液化する方法であって、親液化処理液を入れた注射器を用い、該注射器の針を前記大気連通口より前記繊維体に差し込み、前記繊維体の中央部付近に前記親液体化処理液を注入する工程と、前記供給口より前記親液化処理液を吸引し、前記親液化処理液が前記液体収納容器の内側面に到達しない前に前記親液化処理液を排出する工程とを有することを特徴とする。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。またここでは、液体収納容器を、インクジェット記録ヘッドに用いる記録液もしくは記録液の定着液等を保持するものに代表して説明する。また、タンクに収納されるインクは水系のもので説明するが、油性でも本発明は適用可能である。
【0057】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による液体収納容器の概略断面図である。
【0058】
図1に示す形態のインクタンク1は、液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対する負圧発生部材としてPP繊維体(ポリプロピレン繊維の交絡体(以下、PP繊維体といい、図中に網線で示す。))2を内部にほぼくまなく配置し、インクジェットヘッドへ供給する液体をPP繊維体2に保持させて収納するものである。タンク筐体の上端には大気連通口3が設けられている。また、PP繊維体2としては絡み合ったPP繊維の表面が親水化処理されているものを用い、この親水化処理は本例のようなPP繊維体2の全部に限らず、ヘッドへのインク供給口4の周囲部分のみであってもよい。
【0059】
本形態のインクタンクにおいて、以下の物性を持つインクを用い、インクの浸透具合及び流抵抗について測定した。
【0060】
〈測定に使用したインク〉
・C.I. FB(フードブラック)II 5.0部
・グリセリン 5.0部
・エチレングリコール 5.0部
・尿素 5.0部
・IPA(イソプロピルアルコール) 5.0部
・イオン交換水 75.0部
以上の物性からなるインクは、表面張力44(dyn/cm)、粘度2.2(cP)のものを用いた。なお、インクの成分については上記に挙げた物性からなる成分に限ったものではない。
【0061】
インクの浸透具合及び流抵抗について、親水化処理あり(本発明)の場合と親水化処理なし(従来例)の場合とを測定する。インク浸透具合は、繊維体の表面にインクを滴下し、自然に浸透するかしないかを判断した。流抵抗測定は、3.0(g/min)の吸引量で液体収納容器の下端からインクを吸引し、吸引部に接続したマノメータにより測定した。
【0062】
表1は上記の測定結果を示したものである。
【0063】
【表1】
Figure 0004240703
以上の測定結果から判るように、親水化処理により高表面張力インクに対する濡れ性が高まるため、インクタンク内の吸収体にインク注入する工程や設備を簡素化することができる。さらに、インクの濡れ状態を均一にできる。また、インクジェットヘッドへのインク供給時におけるインク流抵抗を下げることができるため、高速印字に伴い高流量供給が必要となるプリンターへの展開が容易になる。
【0064】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態による液体収納容器の概略断面図である。この図においてインク自体及び繊維体に保持されたインクは横向きの点線で、インクの無い繊維体自体をドットで表してある。
【0065】
図2に示す形態のインクタンク11は、負圧発生部材収納室12とインク収納室13とにより構成されている。
【0066】
負圧発生部材収納室12は、液体を吐出口から吐出して記録を行なうインクジェットヘッド等の外部へインク(処理液などの液体を含む)を供給するインク供給口14を有する筐体と、筐体内部に収納される負圧発生部材としてのPP繊維体15とを備えている。筐体はさらに、内部に収納したPP繊維体15と外気とを連通させるための大気連通口16を備えている。インク供給口14は予め開口されているものや、始めはシール20で塞さがれていて使用時にシール20を取り外して開口するものであってもよい。
【0067】
一方、インク収納室13は、内部にインクを収納するとともに、底面近傍に液体を負圧発生部材収納室12へ導出するためのインク導出口17を備えている。インク導出口17が設けられた両室12,13間の仕切り壁18の負圧発生部材収納室12側の面には、後述する気液交換を促進するための大気導入溝19が仕切り壁18の所定の高さからインク導出口17へと延びている。
【0068】
ここで、大気導入溝19の機能について説明する。図2においてインク供給口14からインクが消費されると、負圧発生部材収納室12のPP繊維体15内の液面Hが低下する。さらにインク供給口14からのインク消費が進むと、インク収納室13に気体が導入されるようになる。このとき、PP繊維体15内の液面レベルは大気導入溝19の上端部の高さでほぼ一定であり、大気連通口16から大気連通溝19及びインク導出口17を経由した空気がインク収納室13に入ることで、インク収納室13からインクが負圧発生部材収納室12のPP繊維体15へと移動する。したがって、インクジェットヘッドよりインクが消費されてもその消費量に応じてインクがPP繊維体15に充填され、PP繊維体15は液面レベルを維持して負圧をほぼ一定に保つので、インクジェットヘッドへのインク供給が安定する。
【0069】
以上のような構成からなるインクタンクでは、PP繊維体15としては絡み合ったPP繊維の表面が親水化処理されているものを用い、この親水化処理はPP繊維体の全部または、大気導入溝19及びこの周辺に対するPP繊維体15の当接部分(図3中に網線で示す親水化領域20)もしくはこの当接部分よりインク供給口14までの領域(図4中に網線で示す親水化領域21)に施されている。
【0070】
図3に示す形態例によれば、PP繊維体15の大気導入溝19及びこの周辺に対応する部分が安定的にインクを保持するため、気液交換状態に達する前に、不用意なエアパスにより気液交換動作が行なわれるのを防ぐことができる。また、気液交換状態においてインク消費が停止したとき、PP繊維体15の大気導入溝19及びこの周辺に対応する部分をインクで満たし速やかに大気連通溝19を塞ぐことができる。
【0071】
さらに図4に示す形態例によれば、PP繊維体15の大気導入溝19及びこの周辺に対応する部分からインク供給口14に対応する部分までを親水化処理したことで、図3の形態の効果に加え、負圧発生部材収納室12内のインクをインクジェットヘッドへのインク供給口14に対して途切ることなく安定的に送ることができ、インク供給性能が向上する。また、インクジェットヘッドへのインク供給時におけるインク流抵抗が下がるため、高速印字に伴い高流量供給が必要となるプリンターへの展開が容易になる。
【0072】
なお、図3及び図4に示した形態例において、大気導入溝19に接した親水化処理域の高さは図示した位置に限られず、安定した気液交換動作を行える最適な高さに設定すればよい。特に吸収体への積極的なインク引き込みを考えた場合は、気液交換時のエアパスを妨げない程度に親水化処理域が大気導入溝の上端近傍に存在することが望ましい。
【0073】
(第3の実施形態)
図5は本発明の第3の実施形態による液体収容容器であるインクジェットヘッドカートリッジの概略断面図である。
【0074】
本実施形態のインクジェットヘッドカートリッジは、図5に示すように、インクジェットヘッドユニット160、ホルダ150、負圧制御室ユニット100及びインクタンクユニット200などから構成されている。ホルダ150内に負圧制御室ユニット100が固定され、負圧制御室ユニット100の下方にはホルダを介してインクジェットヘッドユニット160が固定されている。負圧制御室ユニット100は、上面に開口部が形成された負圧制御室容器110と、負圧制御室容器110の上面に取り付けられた負圧制御室蓋120と、負圧制御室容器110内に装填された、インクを含浸保持するための2つの吸収体130、140とから構成されている。吸収体130、140は、このインクジェットヘッドカートリッジ70の使用状態において上下2段に積み重ねられて互いに密着して負圧制御室容器110内に充填されており、下段の吸収体140が発生する毛管力は、上段の吸収体130が発生する毛管力よりも高いため、下段の吸収体140のほうがインク保持力が高いものである。インクジェットヘッドユニット160へは、インク供給管165を通して負圧制御室ユニット100内のインクが供給される。
【0075】
吸収体130は大気連通口115と連通し、吸収体140は、その上面で吸収体130と密着するとともに、その下面でフィルタ161と密着している。吸収体130と140との境界面113cは、連通部としてのジョイントパイプ180の上端より使用時姿勢において上方となっている。
【0076】
吸収体130、140は、ポリオレフィン系樹脂繊維(例えば、PPの表層にPEを形成した2軸の繊維)を絡み合わせたものからなる。吸収体140は、ジョイントパイプ180の開口の半分付近から供給口131までの部分(図5中網線部分)の繊維を親水化処理したものを用いている。
【0077】
吸収体130、140の境界面113cを使用時姿勢におけるジョイントパイプ180の上部、望ましくは、本実施形態のようにジョイントパイプ180の近傍に設けることで、後述する気液交換動作において、気液交換動作中の吸収体130、140中でのインクと気体との界面を、境界面113cとすることができ、結果としてインク供給動作中のヘッド部における静負圧を安定化させることができる。さらに、吸収体130の毛管力より吸収体140の毛管力の強さを相対的に高くすることで、吸収体130、140の双方にインクが存在する場合では、上方の吸収体130内のインクを消費した後、下方の吸収体140内のインクを消費することが可能となる。また、環境変化により気液界面が変動する場合、はじめに吸収体140、及び吸収体130と140との境界面113c近傍が充填された後、吸収体130にインクが進入する。
【0078】
インクタンクユニット200は、ホルダ150に対して着脱自在な構成となっている。負圧制御室容器110のインクタンクユニット200側の面に設けられた被接合部であるジョイントパイプ180は、インクタンクユニット200のジョイント口230の内部に挿入されて接続されている。そのジョイントパイプ180とジョイント口230との接続部を介して、インクタンクユニット200内のインクが負圧制御室ユニット100内へと供給されるように負圧制御室ユニット100及びインクタンクユニット200が構成されている。負圧制御室容器110のインクタンクユニット200側の面におけるジョイントパイプ180よりも上方の部分には、その面から突出した、インクタンクユニット200の誤装着防止のためのID部材170が一体的に設けられている。
【0079】
負圧制御室蓋120には、負圧制御室容器110の内部と外気、ここでは負圧制御室容器110内に収納された吸収体130と外気とを連通させるための大気連通口115が形成されており、負圧制御室容器110内における大気連通口115の近傍には、負圧制御室蓋120の吸収体130側の面から突出したリブにより形成された空間、及び吸収体中のインク(液体)の存在しない領域からなる、バッファ空間116が設けられている。
【0080】
ジョイント口230内には弁機構が設けられており、その弁機構は第1弁枠260a、第2弁枠260b、弁体261、弁蓋262及び付勢部材263から構成されている。弁体261は、第2弁体260b内で摺動可能に支持されると共に付勢部材263によって第1弁枠260a側に付勢されている。ジョイント口230内にジョイントパイプ180が挿入されていない状態では、付勢部材263の付勢力により弁体261の第1弁枠260a側の部分の縁部が第1弁枠260aに押圧されることより、インクタンクユニット200内の気密性が維持される。
【0081】
ジョイント口230の内部へジョイントパイプ180が挿入され、ジョイントパイプ180によって弁体261が押圧されて第1弁枠260aから離れる方向に移動することにより、第2弁枠260bの側面に形成された開口を介してジョイントパイプ180内がインクタンクユニット200の内部と連通する。これによりインクタンクユニット200内の気密が開放され、インクタンクユニット200内のインクがジョイント口230及びジョイントパイプ180を通って負圧制御室ユニット100内へと供給される。つまり、ジョイント口230内の弁が開くことによって、密閉状態であったインクタンクユニット200のインク収容部内が前記開口を介してのみ連通状態となるものである。
【0082】
インクタンクユニット200はインク収納容器201とID部材250とから構成されている。ID部材250は、インクタンクユニット200と負圧制御室ユニット100との装着の際に誤装着を防止するためのものである。また、このID部材250には、上述した第1弁枠260aが形成されており、この第1弁体260aを用いて、ジョイント口230内でインクの流れを制御する弁機構が構成されている。この弁機構は、負圧制御室ユニット100のジョイントパイプ180と係合されることにより開閉動作を行う。また、ID部材250の、負圧制御室ユニット100側となる前面には、インクタンクユニット200の誤挿入防止のためのID用凹部252が形成されている。
【0083】
インク収納容器201は、負圧発生機能を有する、ほぼ多角柱形状の中空容器である。インク収納容器201は筐体210と内袋220とから構成され、筐体210と内袋220とがそれぞれ剥離可能になっている。内袋220は可撓性を有しており、この内袋220は、内部に収納されたインクの導出に伴い変形可能である。また、内袋220はピンチオフ部(溶着部)221を有し、このピンチオフ部221で内袋220が筐体210に係合する形で支持されている。また、筐体210の、ピンチオフ部221の近傍の部分には外気連通口222が設けられており、外気連通口222を通して内袋220と筐体210との間に大気を導入可能となっている。
【0084】
ID部材250はインク収納容器201の筐体210及び内袋220のそれぞれに接合されている。ID部材250は、内袋220に対してインク収納容器201のインク導出部にあたる内袋220のシール面102と、ID部材250におけるジョイント口230の部分の対応する面との溶着により接合される。これによりインク収納容器201の供給口部が完全にシールされ、インクタンクユニット200の着脱時におけるID部材250とインク収納容器201とのシール部分からのインク漏れ等が防止される。
【0085】
また、筐体210とID部材250との接合では、筐体210の上面に形成された係合部210aと、ID部材250の上部に形成されたクリック部250aとが少なくとも係合されることにより、インク収納容器201にID部材250がほぼ固定されている。
【0086】
インクジェットヘッドユニット160に関しては、そのインク吐出口をキャップで塞さがれてインク吐出口から強制的にインクを吐出したり、インク吐出口をキャップ5020で塞いだ状態で吸引手段5010により吸引したりすることで正常状態への回復を図ることが可能となっている。
【0087】
図5で説明してきた第3の実施形態の変形例として、図6に示すように、負圧制御室容器110の一側面におけるジョイントパイプ180の開口半分付近から、供給口131が形成された負圧制御室容器110の底面の角隅まで斜めに親水化処理を設けてもよい。
【0088】
次に、図6の形態を例にとって、インクタンクユニット200と負圧制御室ユニット100との間でのインクの移動について説明する。
【0089】
図9(a)に示すようにインクタンクユニット200と負圧制御室ユニット100とを接続させたとき、図9(b)に示すように、負圧制御室ユニット100内とインク収納容器201内との圧力が等しくなるまでインク収納容器201内のインクが負圧制御室ユニット100内へ移動する(この状態を、使用開始状態、と称する。)
インクジェットヘッドユニット160によりインクの消費が開始されると、内袋220内と吸収体140の双方の発生する静負圧の値が増大する方向にバランスを取りつつ、内袋220内と吸収体140の双方に保持されたインクが消費される。ここで、吸収体130にインクが保持されている場合には、吸収体130のインクも消費される。
【0090】
図9(c)の状態より負圧制御室ユニット100内のインク量が低下してジョイントパイプが大気と連通すると、直ちに内袋220内に気体が導入され、これに代わって内袋220内のインクが負圧制御室ユニット100内に移動する。これにより、吸収体130、140が気液界面を保ちながらインクの導出に対してほぼ一定の負圧を保持する。このような気液交換状態を経て、内袋220内のインクの全てが負圧制御室ユニット100内へ移動したら、負圧制御室ユニット100内に残存するインクが消費される。
【0091】
以上説明したような構成では、負圧発生部材としてのインク吸収体であるポリオレフィン系繊維体において、少なくともジョイントパイプ180からインク供給口131までのインク供給域が親水化処理されている。この親水化処理域は図5中に網線で示したように、ジョイントパイプ180の開口半分付近の高さから、供給口131が形成された負圧制御室容器110の底面まで一様に存在させることに限らず、例えば図6に網線で示すように、負圧制御室容器110の一側面におけるジョイントパイプ180の開口半分付近から、供給口131が形成された負圧制御室容器110の底面の角隅まで斜めに親水化処理域を存在させてもよい。あるいは図7に網線で示すように、負圧制御室容器110の一側面におけるジョイントパイプ180の開口半分付近から供給口131まで弧を描くようにできる限り最短距離で親水化処理域を存在させてもよい。また、図8に網線で示すように、吸収体130、140の間の境界線113cをジョイントパイプ180の開口半分付近の高さに合わせ、吸収体140の全体を親水化したものでもよい。なお、図5〜図7に示す親水化処理域の例は、図2〜図4に示した第2の実施形態の液体収容容器内の吸収体に対しても適用することができる。
【0092】
以上のような形態によれば、気液交換動作において図9(d)に示すように上部吸収体130の液面が吸収体の持つミクロな疎密差により乱れて低下しても、親水化処理域(図中の網線部分)おいて、突出した低下液面が止められる。つまり、図10に示すように気液交換におけるエアー(例えば図中矢印A)はインク収納容器からのインク(図中矢印B)を途切らせることなくジョイントパイプ180内の上部を流れるので、安定した気液交換動作が行われる。
【0093】
また、インク供給口131付近が親水化処理されていることで、その周囲に常に存在しようとするため、インク供給口131においてもインク切れを起こしにくい。
【0094】
さらには、新しいインク収納容器201に交換した際に、吸収体140の親水化処理域が積極的にインクを呼ぶ込むため、第7の実施形態の欄で後述説明するようなキャップ5020と吸引手段5010によるヘッド回復を速やかにできる。また、ヘッド回復に必要なインク量を、親水化処理域の範囲の変更や、単位面積あたりの親水基の数によりコントロールできる。
【0095】
また、本形態の変形例として、図11に示すように吸収体140のジョイントパイプ180の開口及びその周辺と対応する部分のみに親水化処理を施したものでもよい。図11の例によれば、第2の実施形態で説明した気液交換時のインク引き込みに加え、インクタンクユニット200を取り外したときのジョイントパイプ180内の残留インクを吸い込みやすいため、インクたれを防止することができる。
【0096】
また、図示しないが、別の変形例として、吸収体130と140を一体化した吸収体を配置して、吸収体140に相当する領域を親水化することで、吸収体140相当の毛管力を付与することと同様に本発明の親水化領域を設けてもよい。
【0097】
なお、図5〜図11に示した形態例において、ジョイントパイプ180の開口に接した親水化処理域の高さは図示した位置に限られず、安定した気液交換動作を行える最適なパイプ開口近傍の高さに設定すればよい。特に吸収体への積極的なインク引き込みを考えた場合は、気液交換時のエアパスを妨げない程度に親水化処理域がパイプ開口面に存在することが望ましい。
【0098】
(第4の実施形態)
図12は本発明の第4の実施形態による液体収納容器の概略断面図である。この図では、インク自体及び吸収体に保持されたインクを横向きの点線で、インクの無い吸収体をドットで表している。
【0099】
図12で示す形態の液体収納容器は、図2に示した第2の実施形態の液体収納容器において、インクを積極的に保持し、インクジェットヘッド側へのインク接続性を高めるために、負圧発生部材収納室12内のPP繊維の吸収体15よりも毛管力の高い部材としてPP繊維の圧接体31をインク供給口14内に設けたものである。
【0100】
そして本例においては、圧接体31に親水化処理を施した。このような親水化処理を施した圧接体は、第2の実施形態の液体収納容器に限らず、第1の実施形態や第3の実施形態の液体収納容器のインク供給口に設けることができる。
【0101】
インク供給口に圧接体を設ける形態は、インクを高流量でヘッド側へ供給する必要が生じた場合、圧接体部分で生じる流抵抗は非常に大きくなりインク供給性を著しく低下させるおそれがある。しかし本例のように圧接体に親水化処理を施すことで、インク流抵抗を低減し、インクの流動性を高めることができるので、高流量のインク供給が可能になる。
【0102】
さらには、圧接体内部に気泡が滞留した場合、インク流路が狭くなるので、流抵抗の更なる上昇が生じるおそれがあるが、親水化処理の効果により、気泡の滞留を防ぐことができるため、この面でも流抵抗の上昇を抑制できる。
【0103】
(第5の実施形態)
図13は本発明の第5の実施形態による液体収納容器を示す概略断面図である。
【0104】
図13で示す形態の液体収納容器は、第3の実施形態のインクジェットヘッドカートリッジにおいて、負圧制御室容器110内のPP繊維体からなる上部吸収体130に親水化処理域(図中の網線部分)を重力方向と交差する平面層として存在させたものである。
【0105】
図14は、本例のような親水化処理域が有る場合(図(a))と無い場合(図(b))との効果の違いを説明するための図である。
【0106】
インク収納容器201内のインク及び気体が環境変化により急激に膨張した際、インクが負圧制御室容器110内に流れ込み、液面Hが上昇する。このとき、図14(b)に矢印で示すようにインクは吸収体130,140のうちの流抵抗の低い繊維密度が疎である場所を求めて流れる。これにより、容器内の急激な圧力上昇が緩和されるが、このような圧力緩和機能(バッファ機能とも言う)を充分に発揮させるために従来の液体収納容器では負圧制御室容器の上部体積を必要以上に大きくしなければならなかった。しかし、本例のような親水化処理域を設けると、急激な圧力上昇に伴うインクの吸収体上方への流れを親水化処理域にて捕らえ、図14(a)に矢印で示すように重力方向と交差する方向へと散らすことができる。これにより、負圧制御室容器の上部体積を必要以上に大きくしなくても上記バッファ機能を充分に発揮させることができる。
【0107】
なお、このような親水化処理域は、重力方向に沿って多段に設けてもよい。また本例は、第3の実施形態の液体収納容器に限らず、第2の実施形態の液体収納容器にも施すことができる。
【0108】
(第6の実施形態)
図15は本発明の第6の実施形態による液体収納容器内の吸収体の親水化処理方法を説明するための図である。
【0109】
本実施形態では図15(d)に示すように、液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対する負圧発生部材としてPP繊維体(図中にドットで示す。)2を内部にほぼくまなく配置し、インクジェットヘッドへ供給する液体をPP繊維体2に保持させて収納するものである。タンク筐体の上端には大気連通口3が設けられている。また、PP繊維体2としては絡み合ったPP繊維の表面が親水化処理されているものを用い、この親水化処理域は図中に網線で示すように、容器内のインク供給口4の周辺面に密接し、これ以外とは容器の内側面よりある程度離れて存在している。このように親水化処理域を形成したのは、PP繊維体とタンク内側面との間に若干の隙間が有る場合にPP繊維体の全部に親水化処理が施されていると、タンク内側面に接する液面とPP繊維体との間でインクのやりとりが無くなり、タンク内側面に沿って空気が入り込みやすくなり、やがてはインク供給口より空気が侵入するので、これを防止するためである。
【0110】
次に、図15を参照して、上記の親水化処理域の形成方法を説明する。
【0111】
まず、図15(b)に示すように大気連通口3より注射器の針をPP繊維体2に差し込み、PP繊維体2の中央部に親水化処理液5を注入する。そして、図15(c)に示すようにインク供給口4より親水化処理液5を吸引し、親水化処理液5がタンク1の内側面に到達しない前に親水化処理液5を排出する。その後、PP繊維体2を乾燥させることで図15(d)に示す形態の液体収納容器が完成する。
【0112】
(第7の実施形態)
第3の実施形態を例にとって説明したインクジェットヘッドカートリッジにおいては、図38の(a)〜(c)に示す形態を用いることができる。
【0113】
図38(b)は、負圧発生部材としてのインク吸収体であるポリオレフィン系繊維体において、上方の吸収体130及び下方の吸収体140の全領域を親水化処理域とした形態、図38(a)は、下方の吸収体140のみの全領域を親水か処理とした形態であり、いずれの形態も吸収体130,140の境界面113cは使用時姿勢におけるジョイントパイプ180の上方近傍に設けてある。
【0114】
また、図38(c)は、負圧制御室容器110に、1つの吸収体130のみを収容し、ほぼ水平界面113cをもって下方全領域を親水化した形態であり、親水化の非処理域と処理域の界面113cは、使用時姿勢におけるジョイントパイプ180の上方近傍に設けてある。
【0115】
図38(a),(b),(c)は前述の実施形態における負圧発生部材収納室(部)に対して任意に置き換えることができるものである。図38(a)は、繊維からなる吸収体130,140を繊維体として見るとき、吸収体140がインク供給口側であり、吸収体130が大気連通口側である。そして、部分親水化処理が吸収体140の全体に対して行われていると見ることができる。
【0116】
図38の(a)〜(c)はいずれもポリオレフィン系繊維体の水に対する接触角が80度以上の作用に対して、親水化領域が供給口側にあるため、水系インクのインク保持性や負圧発生の液面レベルが、少なくとも吸収体140内では同一レベル化できるため、負圧の安定化が達成される。同時に、前述した処理液による親水化がされている場合は、親水性基による流抵抗の低下による優れた供給性を確保しつつ、インクジェット記録が中断又は停止中に、液面レベルが水平化し易く、インクの保持性・分布性が極めて均一化されるので安定した負圧を即時に確保できる。
【0117】
特に、図38(c)では、1部材として繊維体を構成できるため、2部材を用いる場合に対して安価であり、2部材間の界面による前記作用と同一の作用を得ることはできないまでも、親水と疎水との界面による効果は得ることができる。
【0118】
図38(b)は、吸収体130も親水化されているものであるが、吸収体130,140間の界面効果を利用しつつ、何らかの圧力変化に対しても充分な吸液効果があるため、インク漏れの原因自体を根本的に解決できるものである。
【0119】
図38(a)〜(c)のいずれも、ジョイントパイプ180から供給されるインク受け面が親水化されているので、供給されるインクだけでなく、パイプ180に着脱されるインク充填容器からのインクを確実に吸収できる。また、前述した気液交換や繊維方向に関するものすべてが、図38(a)〜(c)のいずれにも適用されることは言うまでもない。
【0120】
図38の形態は、図8を用いて説明した形態に対し、この図8の形態の効果を含むだけでなく、本発明の部分親水による全ての効果も含むものである。
【0121】
尚、上述の実施形態では、負圧発生部材収納室にジョイントパイプが設けられた例で説明したが、負圧発生部材収納室にジョイントパイプがなく、液体収納室のインク導出口が負圧発生部材収納室内に押圧され、負圧発生部材を押圧するような構成であっても、それぞれ上述の効果を奏することができる。
【0122】
(第8の実施形態)
次に、図16を参照し、上記の各実施形態に係る液体収納容器を搭載して記録を行う液体吐出記録装置について説明する。図16に、本発明の第7の実施形態による液体吐出記録装置の概略図を示す。
【0123】
図16において、液体収納容器1000は、液体吐出記録装置IJRA本体にキャリッジHCの不図示の位置決め手段によって固定支持されるとともに、キャリッジHCに対してそれぞれ着脱可能な形で装着される。記録液滴を吐出する記録ヘッド(不図示)はキャリッジHCに予め設けられていてもよいし、液体収納容器1000のインク供給口に予め設けられていてもよい。
【0124】
駆動モータ5130の正逆回転は駆動伝達ギア5110、5100、5090を介してリードスクリュー5040に伝達され、これを回転させ、またキャリッジHCはリードスクリュー5040の螺旋溝5050に係合されていることでガイドシャフト5030に沿って往復移動可能となっている。
【0125】
符号5020は記録ヘッドの前面を塞ぐキャップを示し、キャップ5020は不図示の吸引手段によりキャップ内開口を介して記録ヘッドの吸引回復を行うために用いられる。キャップ5020はギア5080、5090等を介して伝達される駆動力により移動して各記録ヘッドの吐出口面を覆うことができる。キャップ5020の近傍には、不図示のクリーニングブレードが設けられ、このブレードは図の上下方向に移動可能に支持されている。ブレードは、この形態に限られず、周知のクリーニングブレードが本例に適用できることは言うまでもない。
【0126】
これらのキャッピング、クリーニング、吸引回復は、キャリッジHCがホームポジションに移動したときにリードスクリュー5040の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望の動作を行うようにすれば、本例にはいずれも適応できる。
【0127】
また、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式において、優れた効果をもたらすものである。
【0128】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0129】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0130】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0131】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0132】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0133】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0134】
また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0135】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0136】
以上説明した本発明の実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0137】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0138】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0139】
なお、記録ヘッドとしては、上述の方式のほか、ピエゾ素子を用いたものであってもよい。
【0140】
(その他の実施形態)
以上説明した液体収納容器の負圧発生部材として使用された繊維の吸収体を親水化させる方法について更に詳しく説明する。
【0141】
まず、吸収体を構成する繊維を親水化させるのに適用可能である物品の表面改質原理について、より具体的に説明する。
【0142】
以下に説明する表面改質方法は、物品が有する表面を構成する物質に含まれる分子が有する官能基などを利用して、高分子(あるいは高分子の細分化物)を特定の配向を採らせて表面上に付着させ、該高分子(あるいは高分子の細分化物)が有する基に付随する性質を表面に与えることで、目的とする表面改質を図ることを可能とする方法である。
【0143】
ここで、「物品」とは、種々の材料から形成され、一定の外形を保持するものを意味する。従って、この外形に付随して、外部に露出している外表面を有している。加えて、その内部に、外部と連通する部分を含む空隙部や空洞部、あるいは中空部が存在したものでもよく、これらの部分を区画する内表面(内壁面)も本発明における表面改質処理対象としての部分表面とすることができる。中空部には、これを画する内表面を有し、外部とは完全に隔絶された空間であるものも含まれるが、改質処理前においては中空部内への表面処理液の付与が可能であり、改質処理後に外部と隔離された中空部となるものであれば、本発明の処理対象となり得る。
【0144】
このように、本発明に適用される表面改質方法は、各種物品が有する全ての表面のうち、物品の形状を損なうことなく、外部から液状の表面処理用溶液を接触させることが可能な表面を対象とするものである。従って、物品の外表面と、それと連結される内部表面の夫々または両方を部分表面の対象とする。そして、その対象とする表面から選択される細分化された部分表面の性質を変更することも本発明に含まれる。選択によっては、物品の外表面とそれと連結される内部表面を選択する態様も、所望の部分表面領域の改質に含まれるものである。
【0145】
上記の表面改質においては、物品の有する表面の少なくとも一部を構成する改質すべき部分(部分表面)が処理される。すなわち、所望に応じて選択された物品の表面から一部あるいは物品の表面全体である。
【0146】
また、本明細書において「高分子の細分化」とは、高分子の一部が切れたものから、単量体までのいずれかでよく、実施例的には高分子が酸等の開裂触媒により開裂したものすべてを含むものとする。また、「高分子膜化」とは、実質的な膜が形成されるもの、あるいは2次元的な面に対して各部が異なる配向したものを含む。
【0147】
また、本明細書において「高分子」とは、機能性基を有する第1の部分と、この機能性基の界面エネルギーとは異なり、かつ、付着対象の物品の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する第2の部分とを備え、上記の物品表面の構成材料とは異なることが好ましい。よって、改質される物品の構成材料に応じて、適宜その物品表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する高分子の中から、所望の高分子を選択すればよい。「高分子」としてより好ましくは、該高分子が開裂できるものであること、さらには開裂後に縮合できるものであることが望ましい。また、上述の第1の部分および第2の部分以外にも機能性基を備えていてもよいが、その場合には、親水化処理を一例にすると、機能性基としての親水性基は、第1、第2の部分以外の機能性基(上記親水性基に対して相対的に疎水性基となる)に対して、相対的に長鎖であることが望ましい。
【0148】
「表面改質がなされる原理」
本発明に適用可能である物品の表面改質は、表面改質剤に用いる高分子として、物品の表面(基材表面)の表面(界面)エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する主骨格(主鎖または側鎖基或いは基群を総称して呼ぶ)と、物品表面の表面(界面)エネルギーと異なる界面エネルギーを有する基が結合してなる高分子を利用し、この表面改質剤中の物品表面の界面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する主骨格部を用いて物品表面上に高分子を付着させ、物品表面の界面エネルギーと異なる界面エネルギーを有する基が物品表面に対して外側に配向する高分子化膜(高分子被覆)を形成させることにより達成される。
【0149】
上述の表面改質剤に用いる高分子を異なる観点から換言すれば、表面改質前の物品の表面に露出している基と本質的に水との親和性が異なる第一の基と、この物品の表面に露出している基と実質的に類似する水との親和性を示し、その主骨格に含まれる繰り返し単位中に含まれる第二の基と、を備えたもの、と捉えることもできる。
【0150】
このような配向形態の代表例を模式的に示したのが図17である。図17(a)は主鎖に対して第1の基1−1と第2の基1−2が側鎖として結合している高分子を用いた場合を示し、図17(b)は第1の基1−1が主鎖1−3自体を構成し、第2の基1−2が側鎖を構成している場合を示すものである。
【0151】
図17に示される配向をとると、物品の表面改質すべき表面を構成する基材56の最表面(外側)は基材56の表面(界面)エネルギーとは異なる界面エネルギーを有する基1−2が表面に配向した状態になるため、基材56の表面(界面)エネルギーと異なる界面エネルギーを有する基1−2に付随する性質が利用されて表面が改質される。ここで、基材56の表面(界面)エネルギーは、表面を構成している物質・分子が、表面上に露出している基55に由来して決定されている。すなわち、図17に示す例では、第2の基1−2が表面改質用の機能性基として作用し、基材56の表面が疎水性であって、第2の基1−2が親水性であれば、基材56の表面に親水性が付与される。なお、第2の基1−2が親水性であり、基材56側の基55が疎水性である場合には、例えば後述するポリシロキサンを利用した場合などには、図37に示すような状態が基材56の表面に存在していると考えられる。この状態において、改質後の基材56の表面における親水性基と疎水性基とのバランスを調整することで、改質処理後の基材表面に水や水を主体とする水性液体を通過させる場合の通過状態や通過時の流速を調整することも可能である。そして、このような表面状態を繊維外壁面に有する例えばポリオレフィン系樹脂からなる繊維体をインクジェット記録ヘッドに一体化された、あるいは別部品として設けられるインクタンク中に用いることで、インクタンク中へのインクの充填やインクタンクからのヘッドへのインクの供給を極めて効果的に行うとともに、インクタンク内での適度な負圧の確保によって、インク吐出直後の記録ヘッドの吐出口付近でのインク界面(メニスカス)位置の良好な確保が可能となる。これにより、動負圧より正負圧の方が大きいという、インクジェット記録ヘッドへのインク供給用インクを保持する負圧発生部材に最も適したものが提供可能となる。
【0152】
特に、図37の繊維表面構造の場合、親水性基1−2は、高分子基であるため、同じ側の側鎖のメチル基(疎水性基)よりも長い構造となっている。そのため、親水性基1−2は、インクが流れる際には、その流速に対して繊維表面にならうように傾斜する(同時に、上記メチル基を実質的に覆うようになる)。結果的に流抵抗は大幅に小さくなる。逆にインクが停止してメニスカスを繊維体間に形成する際には、親水基1−2は、インクに対して向かう方向、即ち、繊維表面から垂直方向になるため(上記メチル基が繊維表面に露出する)、分子内レベルでの親水(大)−疎水(小)のバランスを形成して充分な負圧を形成できる。この親水性基1−2を(-C-O-C-)結合の多数と端末基としてのOH基とで形成した前記実施形態のように、親水基を高分子に数多く(少なくとも複数)有していることで、上記親水性基1−2の作用を確実なものとできるので好ましいものとなる。また、上記メチル基の他の疎水性基を高分子内に有する場合は、疎水性基の存在範囲よりも親水性基の存在範囲が大きくなるように、親水性基の方がより高分子レベルであることが好ましく、上記の如く親水性>疎水性となるようにバランスしていれば良い。
【0153】
ところで、インク供給口部における静負圧は次式で表される。
【0154】
静負圧=(インク供給口部からのインク界面までの高さ)−(インク界面における繊維の毛管力)
この毛管力は、インクと繊維吸収体との濡れ接触角をθとしたときにCOSθに比例する。したがって本発明の親水化処理の有無によって、COSθの変化が大きいインクの場合にはその分静負圧を低めにし、絶対値で言えば高めに確保することが可能となる。
【0155】
具体的に言えば、接触角10°レベルであれば親水処理を施しても最大2%程度の毛管力アップであるが、インクと繊維が濡れにくい組み合わせ、例えば接触角50°の状態は親水処理によって10°以下となれば、50%の毛管力アップとなる。(COS0°/COS10°≒1.02 COS10°/COS50°≒1.5)
ここで、図17に示す改質表面を有する物品を製造するための具体的な方法として、表面改質に用いる高分子の良溶媒でかつ基材に対して処理剤の濡れ性を向上させる向上剤を用いる方法について以下に説明する。この方法は、表面改質剤の高分子が均一に溶解する処理液(表面改質溶液)を基材の表面上に塗布した後、処理液に含まれる溶媒を除去しつつ、この処理液中に含まれる表面改質剤の高分子を上述のように配向させるものである。
【0156】
より具体的には、高分子に対する良溶媒であり、かつ基材表面に対し十分に濡れる溶剤中に、所定量の高分子と開裂触媒とを混合した液体(表面処理液、好ましくは機能性基を親水性基とする場合は純水を含むことが望ましい。)を作製し、表面処理液を基材表面に塗布した後、表面処理液中の溶媒を除去するため、蒸発乾燥(例えば、60℃オーブン中)させる工程を持つことが挙げられる。
【0157】
ここで、基材の表面に対して十分に濡れ性を示し、また表面改質剤としての高分子を溶解する有機溶媒を溶媒に含むことは、表面改質に用いる高分子の均一な塗布を容易にするという観点から、より望ましいものである。さらに、表面改質剤としての高分子が溶媒の蒸発に伴い、濃度が高くなる際にも、塗布された液層中に均一に分散して、十分に溶解している状態を保持する作用を持つことも、その効果として挙げることができる。加えて、表面処理液が基材に対して、十分に濡れることにより表面改質剤の高分子を基材表面に対し均一に塗り広げることができる結果、複雑な形状を有する表面に対しても、高分子被覆を均一に行うことを可能とする。
【0158】
また、表面処理液には、基材表面に対して濡れ性があり、高分子に対して良溶媒である揮発性の第1の溶媒に加えて、高分子に対して良溶媒であるが、基材表面に対する濡れ性が第1の溶媒に比べて相対的に劣り、また、第1の溶媒に比べて相対的に揮発性の低い第2の溶媒を併用することもできる。このような例としては、例えば、基材表面がポリオレフィン系樹脂からなり、高分子としてポリオキシアルキレン・ポリジチルシロキサンを用いた場合における後述するイソプロピルアルコールと水の組み合わせを挙げることができる。
【0159】
ここで、表面処理液中に開裂触媒としての酸を加えることによる効果は、以下のようなものが考えられる。例えば、表面処理液の蒸発乾燥過程において用材の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇がなされる際に、加熱を伴う高濃度の酸により、表面改質に用いる高分子の部分的な分解(開裂)、高分子の細分化物の生成により、基材表面の、より微細な部分への配向が可能となり、また、蒸発乾燥の終末過程において高分子の開裂部同士の再結合による表面改質剤高分子のポリマー化を介して、高分子化膜(高分子被覆、好ましくは単分子膜)の形成を促進する効果が期待できる。
【0160】
また、表面処理液の蒸発乾燥過程において溶剤の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇がなされる際に、この高濃度の酸が基材表面及び表面近傍の不純物質を除去することにより、清浄な基材表面が形成される効果も期待される。こうした清浄な表面では、基材物質・分子と表面改質剤の高分子の物理的な付着力の向上なども期待される。
【0161】
この際一部では、加熱を伴う高濃度の酸により基材表面が分解され、基材表面に活性点が出現し、この活性点と、上述の高分子の開裂による細分化物とが結合する副次的な化学反応が起こる場合が想定される。場合によっては、このような副次的な表面改質剤と基材との化学吸着による、基材上での表面改質剤の付着安定化の向上も一部では存在すると考えられる。
【0162】
次に、表面改質剤(親水処理液含む)の基材の表面エネルギーと略同等の表面エネルギーを有する主骨格の開裂と基材表面上での開裂物としての細分化物の縮合による高分子膜化工程について、機能性基が親水性基であり、疎水性基材表面に親水性を付与する場合を例とし、図18〜図24参照して説明する。なお、親水性基とは、基全体として親水性を付与できる構造を有するもので、親水基そのものや、疎水性の鎖や疎水基を有するものでも親水基などを置換配置したことで親水性を付与できる基としての機能を有するものであれば親水性基として利用できる。
【0163】
図18に、親水処理液塗布後の拡大図を示す。この時点では、親水処理液58中の親水化剤である高分子51〜54と酸57とは、基材56表面上の親水処理液中で均一に溶解している。図19に、親水処理液塗布後乾燥工程の拡大図を示す。親水処理液塗布後乾燥工程における加熱を伴う乾燥において、溶剤の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇により基材56の表面及び表面近傍の不純物質の除去が行われるといった基材56の表面の洗浄作用により純粋な基材56の表面が形成されることによる基材56と表面改質剤としての高分子51〜54の物理吸着力が向上する。また、親水処理液塗布後乾燥工程における加熱を伴う乾燥において、溶剤の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇により親水化剤の高分子51〜54の一部が開裂される部分も存在する。
【0164】
濃酸による高分子51の分解の模式図を図20に示す。このようにして分解された親水化剤の基材に対する吸着の様子を図21に示す。さらに溶剤の蒸発が進むにつれて、溶解飽和に達した親水化剤を構成する高分子からの細分化物51a〜54bの基材の表面エネルギーと略同等の表面エネルギーを有する主骨格部が、洗浄により形成された純粋な基材56の表面に対し選択的に吸着する。その結果、表面改質剤中の基材56の表面エネルギーと異なる表面エネルギーを有する基1−2が基材56に対し外側に配向する。
【0165】
従って、基材56の表面には、この表面の表面(界面)エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する主骨格部分が配向し、基材56の表面エネルギーと異なる表面エネルギーを有する基1−2が基材56の表面とは反対側の外側に配向した状態になるために、基1−2が親水性基である場合には、基材56の表面に親水性が付与されて、表面が改質される。親水処理液塗布乾燥後の親水化剤と基材表面の吸着状態の模式図を図22に示す。
【0166】
なお、高分子として、例えばポリシロキサンのように開裂によって生成した細分化物が縮合などによって細分化物の少なくとも一部で結合可能なものを用いることで、基材56表面に吸着した細分化物間に結合を生じさせて高分子化し、親水性化剤の皮膜をより強固なものとすることもできる。図23に、このような縮合反応による再結合の模式図を示す。なお、ポリシロキサンを用いた場合の開裂による細分化物の形成とその縮合による高分子化のメカニズムは以下のとおりである。
【0167】
すなわち、被処理表面における表面処理液の制御された乾燥に伴い、この表面処理液中に含まれる希酸の濃度が上昇して濃酸化し、その濃酸(例えばH2SO4)がポリシロキサンのシロキサン結合を開裂させ、その結果、ポリシロキサンの細分化物およびシリル硫酸が生成する(スキーム1)。そして被処理表面に存在する処理液がさらに乾燥していくにつれて、表面処理液中に存在する細分化物の濃度も高まっていき、細分化物同士の接触確率が向上する。その結果、スキーム2に示すように、細分化物同士が縮合し、シロキサン結合が再生される。また、副生成物としてのシリル硫酸も、被処理表面が疎水性である場合には、シリル硫酸のメチル基が被処理表面に向かって配向し、スルホン基が被処理表面とは異なる方向に配向し、被処理表面の親水化に何らかの寄与を果たすものと考えられる。
【0168】
【化1】
Figure 0004240703
【0169】
なお、表面処理液として溶媒中に水が存在する組成を有するものを利用した場合についての表面処置液の状態の一例を図24に模式的に示す。処理液の溶媒中に水が存在する場合は、加熱を伴う親水化のための処理液からの溶媒の蒸発において、水及び揮発性有機溶剤が蒸発する(水の気体分子を61、有機性有機溶剤の気体分子を60で示す)。その際、揮発性有機溶剤の蒸発速度が水よりも速いため処理液中の水の濃度が高まっていき、処理液の表面張力が上昇していく。その結果、基材56の被処理面と処理液との界面に表面エネルギーの差が生じ、基材56の被処理面と、蒸発により水の濃度が高まった処理液(含水層62)との界面において、親水化剤としての高分子からの細分化物51a〜54bにおける基材56の被処理面と略同等の表面エネルギーを有する部分が基材56の被処理面側に配向する。その一方で、親水化剤としての高分子からの細分化物の親水性基を有する部分は、有機溶媒の蒸発により水の濃度が高まった含水層62側へ配向する。その結果、高分子細分化物の所定の配向性がより向上すると考えられる。
【0170】
本発明は、負圧によってインクを保持するインクジェット用繊維吸収体に関し、その繊維吸収体を構成する繊維の表面に親水化処理を施すものであるが、本発明に適用される、前述した物品に対する表面改質によれば、表面改質の対象は繊維に限らず、高分子の有する機能性基の特性や種類に応じて種々の物品や用途が挙げられる。以下にその幾つかの例について説明する。
【0171】
(1)機能性基が親水基である場合
物品としては、インクジェット系で用いられるインク吸収体等の吸収性を必要とするもの(オレフィン系繊維を含む場合は上記実施形態により対応できる)で、瞬間的に液体(上述の各実施形態などで説明される水系のインクなど)を吸収できる親水性を本発明の表面改質によって与えることができる。また、液体保持性を必要とする場合にも有効である。
【0172】
(2)機能性基が親油基である場合
本発明に適用される表面改質によれば、親油性を必要とするものに対しても有効に機能を与えることができる。
【0173】
(3)表面改質の他への応用は、上記原理のメカニズムを用いて達成できるものすべてが可能であり、本原理に含まれるものである。
【0174】
特に、処理剤として、物品表面への濡れ性と高分子の媒液を達成できる濡れ性を向上できる濡れ性向上剤(例えば、イソプロピルアルコール:IPA)と高分子開裂を生じせしめる媒体と、前述のいずれかの機能性基とこの基とは異なる界面エネルギーであって、物品表面の部分表面エネルギーと略同等の基(または基群)を有する高分子を有するものを用いた場合における、開裂後の縮合による表面改質は、特に優れた効果を発揮し、従来からは得られない均一性や特性を確実に与えることができる。
【0175】
なお、本明細書では、こうした収容される液体に対する濡れ性に優れる性質を「親液性」と称することにする。
【0176】
また、本発明の補足概念として、繊維を成型または形成する際に用いられる中和剤(ステアソン酸カルシウムやハイドロタルサイト等)や他の添加物が繊維に含まれている場合があるが、上述した表面改質法の適用によって、これらのインクに対する溶出やインクにより析出されることのいずれも軽減でき、本発明の講分子膜が形成される場合は、これらの問題を解決できる。したがって、上述の表面改質法によれば、中和剤等の添加物の使用範囲を拡大できたり、またインク自在の特性変化も防止できる他、インクジェットヘッド自体の特性変化をも防止できる。
【0177】
これらの各種物品の製造における工程図の一例を図36に示す。製造開始時において物品と処理液が提供され、物品の改質すべき表面(被改質面)への処理液付与工程、被改質面からの余剰物除去工程、被改質面上での高分子の開裂及び細分化物の配向のための処理液濃縮蒸発工程、細分化物間の結合による高分子化のための高分子縮合工程などを経て、改質された表面を有する物品を得ることができる。
【0178】
処理液濃縮工程及び処理液蒸発工程は、好ましくは室温よりも高い温度で溶媒の沸点以下の温度(例えば60℃)での連続した加熱乾燥工程によって行うことができ、ポリオレフィン系樹脂からなる表面を改質するためにポリシロキサンを、水、酸及び有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)ともに用いた場合で、例えば、45分〜2時間程度とすることができ、40重量%のイソプロピルアルコール水溶液の使用においては例えば2時間前後である。なお、水分の含有量を少なくすることでこの乾燥処理時間を短くすることができる。なお、水分の含有量を少なくすることでこの乾燥処理時間を短くすることができる。
【0179】
なお、図36の例では、高分子の開裂による細分化物の形成が物品の被改質面上で行なわれているが、細分化物を既に含む処理液を物品の被改質面上に供給して、配向させてもよい。
【0180】
処理液の組成としては、先に述べたように、例えば、被改質面に対する処理液のぬれ性を向上させるための被改質面に対するぬれ性を有し、表面改質剤の有効成分である高分子の良溶媒であるぬれ性向上剤、溶媒、高分子開裂触媒、被改質面への改質効果を付与するための機能性基と被改質面への付着機能を得るための基を有する高分子とを含んで構成されるものが利用できる。
【0181】
「原理適用例1」
次に、ポリプロピレン・ポリエチレン繊維体に対して上述の表面親水化の原理を適用した例を説明する。実際のポリプロピレン・ポリエチレン繊維体は、例えば、インクなどの液体を染み込ませ、インクを保持する目的で利用されるインク吸収体に利用できる形状を採る繊維を複合させて塊形状としたものである。例えば、図25(a)に示すように、大気に対して開放された開口85を有する適当な形状の容器81内にインクなどの各種液体の吸収保持体として機能する繊維体83を所定の配向で収納して、液体保持容器として使用することができる。更に、このようなインク吸収体は、インクジェット記録装置に用いるインクタンク中に好適に利用できるものである。特に、後に図27及び図28を用いて説明するように、親水処理液を含浸させた繊維吸収体を押しつぶして繊維の隙間から余分な処理溶液をしぼり出した後、加熱乾燥させるという処理を行った繊維吸収体をタンク内に収容させる場合は、処理溶液のしぼり出し方向と、タンクへ挿入するときの繊維吸収体の圧縮方向とを一致させると望ましい。つまり、上記のように処理溶液のしぼり作業時に圧縮させた繊維吸収体が復元したとき、例えば繊維の分岐又に親水化剤が確実に付いていなくても、その不具合を繊維吸収体のタンク挿入時に相殺させることができる。
【0182】
また、繊維は具体的にはポリプロピレンとポリエチレンの二軸繊維体から構成されており、個々の繊維は、長さが大凡60mmである。この二軸繊維体は、その断面形状を図26(a)に例示するように、軸に対して垂直方向における断面の外形(外周形状)は略円形状(閉環状)であり、相対的に融点の高いポリプロピレン繊維を芯材とし、その周囲に相対的に融点の低いポリエチレンで覆い鞘材としたものである。このような断面構造の短繊維からなる繊維塊を梳綿機により、その繊維並び方向を揃えた後、加熱して、繊維間に融着を生じさせる。具体的には、鞘材のポリエチレンの融点よりは高く、芯材のポリプロピレンの融点よりは低い温度に加熱して、繊維が互いに接する部位の鞘材のポリエチレン相互が融着した構造体とする。
【0183】
上記の繊維構造体においては、図25(c)に示すように、梳綿機により繊維並び方向を揃えたため、繊維は、主に長手方向(F1)に連続的に配列されており、部分的に繊維は、相互に接触している。加熱により、この接触点(交点)において、相互の融着が生じて、網目構造を形成し、直交する方向(F2)についての機械的な弾力性を有するものとなっている。それに伴い、図25(b)に示す長手方向(F1)への引っ張り強度を増しているが、それに対して、直交する方向(F2)は、引っ張り強度は劣るものの、押しつぶし変形に対しては、復元力を有する弾性構造となっている。
【0184】
より詳細にこの繊維構造体を見ると、図25(c)に示すように、個々の繊維は捲縮されており、この捲縮に伴い、隣接する繊維間で複雑な網目構造を形成し、融着が生じている。一部の捲縮した繊維は、直交する方向(F2)に向くことで、三次元的な融着をも完成している。本例で実際に用いた繊維構造体は、融点約180℃の芯材のポリプロピレン繊維に対して、融点約132℃のポリエチレンが、図26の(a)に示す略同心円状に被覆した二軸繊維のトウを用いて、スライバーに形成した。用いた繊維構造体では、主に繊維が配列する繊維方向(F1)が存在するので、仮に液体を浸漬すると、内部での流動性ならびに静止状態での保持の様子が、繊維方向(F1)とそれと直交する方向(F2)とでは、明確な差異を有する。
【0185】
この例では、対象とする物品形状が繊維構造体であり、平面な表面を有する物品より液体の保持性が一般に高いため、処理液溶液を以下の組成とした。
【0186】
【表2】
Figure 0004240703
【0187】
(1)PP・PE繊維吸収体の親水化処理方法
上記組成の親水処理液に、図27(a)に示す構造のポリプロピレン・ポリエチレン繊維吸収体を浸漬した(図27(b))。この時、繊維吸収体の間隙に処理液が保持される。その後、繊維吸収体を押しつぶして(図27の(c))、繊維の隙間に保持されている、余分な処理溶液を除去した。金網等の抑え治具から取り出すと、繊維吸収体は元の形状に復元して(図28の(a))、繊維表面に液層が塗布されたものとなる。この繊維表面が液で濡れたものを、60℃オーブンにて、1時間乾燥させた(図28(b))。
【0188】
(対比例1及び参照例1)
加えて、対比例1として、上記繊維体親水処理液において調製した硫酸とイソプロピルアルコールのみを含む液についても、図27及び図28で説明した方法と同じ操作を施した。すなわち、表1で示した処理液から、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)を除いた液を用いた。また、参照例として、未処理のPP・PE繊維吸収体を用いた。
【0189】
なお、上記の原理適用例1において、使用したPP・PE繊維吸収体も重量0.5gに対し、前記の塗布法で繊維吸収体全体に塗布される親水処理液は0.3〜0.5gである。また、対比例1においても、塗布される液量は、原理適用例1と同じである。
【0190】
以上の操作で得られた各繊維吸収体における表面の処理状態についての評価及びその結果を以下に示す。
【0191】
(1)PP・PE繊維吸収体親水性評価方法
イ)スポイト純水滴下評価
原理適用例1の処理をしたPP・PE繊維吸収体、対比例1のPP・PE繊維吸収体および参照例の未処理のPP・PE繊維吸収体について、それぞれ、上部からスポイトにて純水を滴下した際、純水のしみこみ具合を観察した。
【0192】
ロ)純水浸漬評価
PP・PE繊維吸収体が十分に入る大きさの容器に純水を満たし、この容器に中に、原理適用例1による処理のPP・PE繊維吸収体、対比例1のPP・PE繊維吸収体および参照例の未処理のPP・PE繊維吸収体をゆっくり乗せ、その際、それぞれのPP・PE繊維吸収体への純水のしみこみ具合を観察した。
【0193】
(2)PP・PE繊維吸収体親水性評価結果
イ)スポイト純水滴下評価結果
原理適用例1の処理をしたPP・PE繊維吸収体では、上部からスポイトにて純水を滴下した際、純水は瞬時に繊維吸収体の内部へと浸透していった。
【0194】
一方、対比例1のPP・PE繊維吸収体ならびに参照例1の未処理PP・PE繊維吸収体では、上部からスポイトにて純水を滴下したが、純水はPP・PE繊維吸収体にまったく浸透せず、PP・PE繊維吸収体上をはじくような形で球状形の液滴を形成していた。
【0195】
ロ)純水浸漬評価結果
原理適用例1の処理をしたPP・PE繊維吸収体を純水を満たした容器に中にゆっくり乗せると、PP・PE繊維吸収体はゆっくりと水中に沈んでいった。少なくとも、これは、図27及び図28を用いて説明した例によって処理したPP・PE繊維吸収体の表面は、親水性有することを表している。
【0196】
一方、対比例1のPP・PE繊維吸収体、ならびに参照例1の未処理PP・PE繊維吸収体を純水を満たした容器に中にゆっくり乗せた際には、対比例1のPP・PE繊維吸収体と未処理PP・PE繊維吸収体は、共に純水の上に完全に浮いた状態になった。その後も、まったく水を吸収する様子はみられず、明らかに撥水性を示していた。
【0197】
以上の結果から、PP・PE繊維吸収体に対しても、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサン、酸、アルコールからなる処理液を塗布し、乾燥することにより、図28(c)に示すようなポリアルキルシロキサンの被覆が形成され、有効に表面親水化処理が行われると判断される。その結果として、上記の処理を施したPP・PE繊維吸収体は、水性インクに対しても、十分にインク吸収体としての機能を持たせることが可能であることが判明した。
【0198】
上記の結果、すなわち、本発明に適用された表面改質において、PP・PE繊維の表面にポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサンが付着し、高分子被覆を形成することの査証を得る目的で、繊維表面のSEM写真による観察を行った。
【0199】
図29、図30、図31に、参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維表面の拡大SEM写真を示す。また、図32に、対比例4(酸とアルコールのみ処理PP・PE繊維吸収体)の酸処理PP・PE繊維表面の拡大SEM写真を示す。
【0200】
図33、図34、図35に、図27及び図28を用いて説明した例例(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維表面の拡大SEM写真を示す。
【0201】
先ず、これら全てのPP・PE繊維表面拡大SEM写真において、繊維表面上に有機物の付着に起因すると判断される、明確な構造変化は確認できない。実際に、図31の未処理PP・PE繊維及び、図35の親水化処理PP・PE繊維の2000倍拡大写真を詳細に比較しても、未処理PP・PE繊維と親水化処理PP・PE繊維の表面のSEM観察において両者の違いは認められない。従って、親水化処理PP・PE繊維において、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は繊維表面に均一に薄い膜状(単分子膜と思われる)に付着しているため、形状的には、元の繊維表面と区別が付かないものとなっており、SEM観察上差異が認められないと判断される。
【0202】
一方、図32の酸とアルコールのみで処理したPP・PE繊維のSEM写真を見ると、繊維の交点(溶着部)の切断が多く生じ、また、繊維中に節のようなものが多く見られる。この変化は、加熱乾燥の過程で、溶剤の蒸発による高濃度の酸と、乾燥工程自体の熱により、繊維表面のPE・PP分子、特に表層PEの劣化が誘起・促進された結果を示している。
【0203】
一方、親水化処理溶液も、同じ濃度の酸を含み、同じく加熱乾燥を施すにもかかわらず、酸とアルコールのみで処理した酸処理PP・PE繊維にて観測されるような、繊維結合部の切断、および、繊維中に節のようなものは認めれない。この事実は、原理適用例1の親水化処理では、繊維表面のPE分子の劣化が抑制されていることを示している。これは、酸が作用して、繊維表面のPE分子の切断が生じ、分子内にラジカルが生成した際にも、何らかの物質・構造がラジカルを捕捉し、ラジカルが連鎖的にPEを破壊することを抑制していると考えられる。そのラジカルの捕捉にも、表面に付着する(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)が関与し、生成したラジカルを捕捉する形でPE表面と化学的な結合をも形成することで、ラジカル連鎖によるPE/PPの破壊を抑制する副次的な現象・効果も否定はできない。
【0204】
これらを総合すると、原理適用例1においては、繊維表面の改質は、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)が繊維表面に均一に薄い膜状に付着していることで達成されていると判断される。その過程において、親水化処理に用いる溶液中に含まれる酸と溶剤による繊維表面の洗浄効果も期待でき、ポリアルキレンオキサイド鎖の物理的な吸着を促進する作用も予測される。それ以外に、高濃度の酸と熱によるPE分子の切断に伴うPE分子の切断部とポリアルキレンオキサイド鎖の化学的結合の可能性も少なからず存在していることも考えられる。
【0205】
さらには、原理適用例1では、曲面から形成される繊維表面に対しても、例えば、図28(c)に模式的に示すように、高分子の被覆を容易に達成できることを示している。このように表面の周部(断面の外周形状が閉環状である部分)を、高分子の被覆が環状に覆うことで、この高分子の被覆により表面改質がなされた部分が物品から容易に剥離しないようにすることができる。
【0206】
なお、二軸繊維には、二軸繊維の中には図26(b)に示すように偏芯して、核部(芯材)1bが部分的に外壁面に露出して、表層(鞘材)からなる表面と核部からなる表面が混在している場合があるが、この様な場合においても、上記の本発明にかかる表面改質処理を行うことで、核部の露出部分および表層の表面の両方に親水性を付与すれることが可能である。なお、親水性機能をもつ界面滑性剤を塗布し、乾燥させただけの場合には、部分的ではあるが初期親水性は得られるものの、純水により軽く揉み洗いすると、すぐに界面滑性剤が水に溶解して溶出してしまい、親水性が失われる。
【0207】
「原理適用例2、3」
次に、PP繊維体に対して上述の表面親水化の原理を適用した例を説明する。具体的には、PP繊維体として、2cm×2cm×3cmの直方体形状に成形した繊維径が2デニールの繊維塊を利用した。
【0208】
先ず、下記する二種の組成の親水処理溶液を調製した。
【0209】
【表3】
Figure 0004240703
【0210】
【表4】
Figure 0004240703
【0211】
第2の組成(原理適用例3)は、イソプロピルアルコールならびに純水をこの順に所定量加えて、上記の組成としたものである。ここでも、含まれる硫酸と(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は、4倍に希釈されたものとなっている。
【0212】
図27及び図28を用いて説明したPP・PE繊維吸収体の親水化処理方法の手順に準じて、イソプロピルアルコールを主な溶媒とする第1組成(表2)の溶液で処理したPP繊維体(原理適用例2)と、水と、イソプロピルアルコールの混合溶媒とする第2組成の溶液で処理したPP繊維体(原理適用例3)を得た。
【0213】
(参照例2)
未処理のPP繊維体を参照例2とした。
【0214】
原理適用例1と同様に、参照例2の未処理のPP繊維体は、その表面は撥水性であるものが、原理適用例2のPP繊維体、原理適用例3のPP繊維体ともに親水性を示す表面に改質されていた。その親水性の程度を評価する目的で、シャーレに水性インク(γ=46dyn/cm)7gを入れ、そのインク液表面に、原理適用例2のPP繊維体、原理適用例3のPP繊維体、ならびに参照例2の未処理のPP繊維体を静かに乗せた。
【0215】
参照例2の未処理のPP繊維体は、水性インク上に浮いた状態であったが、原理適用例2のPP繊維体、原理適用例3のPP繊維体では、繊維体の底面からインクを吸い上げていた。しかしながら、原理適用例2のPP繊維体と原理適用例3のPP繊維体とを比較すると、吸い上げられた水性インク量に明確な差異が見られ、原理適用例2のPP繊維体は、シャーレ内のインクを全て吸い上げ・吸収していたが、原理適用例3のPP繊維体では、シャーレ内にインクの凡そ半量が残っていた。
【0216】
原理適用例2のPP繊維体と原理適用例3のPP繊維体とにおいて、その表面上に被覆する高分子である(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)の総量は、実質的な顕著な差異はないが、その被覆における高分子自体の配向の程度に差異がある結果と考えられる。
【0217】
例えば、原理適用例2のPP繊維体においては、その表面上に被覆する高分子は、概ね配向するものの、部分的には、配向に乱れを含む状態で付着を完成している。一方、原理適用例3のPP繊維体においては、前記する配向の乱れは格段に少なくされている。
【0218】
この(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)による親水化処理は、イソプロピルアルコールに加えて、水を溶媒に加えることで、密で、より配向が揃った被覆が達成されていると判断される。処理液自体、表面を均一に濡らす必要があるので、少なくともイソプロピルアルコールを20%程度含むことが望ましいが、上記の原理適用例3のイソプロピルアルコールの含有率40%よりも少ないイソプロピルアルコールの含有率であっても、被覆が可能と考えられる。すなわち、溶媒を蒸散して、乾燥させる過程では、イソプロピルアルコールがより早く揮発して失われ、その間、イソプロピルアルコールの含有率は一層低下するので、それを考慮すると、イソプロピルアルコールの含有率40%よりも少ないイソプロピルアルコールの含有率であっても、被覆が可能と考えられる。また、工業的には安全性からみて、イソプロピルアルコールの量は40%以下が好ましい。
【0219】
また、本発明の上記改質方法及び改質された表面、物品における上記技術思想は負圧発生部材としての繊維以外の多孔質体にもすべて適用可能であることは言うまでもない。
【0220】
なお、上記(その他の実施形態)の欄に開示した方法で一様に親液化された負圧発生部材は、発明が解決すべき課題の欄でも述べられているような、負圧発生部材内に含浸したインク(液体)が抜き取られた後の、インクの再度の吸い上げに関して、インクの抜き取り量やくり返しの回数によらず、再度の吸い上げ後の負圧発生部材で保持するインク量がほぼ同じ、言い換えれば初期負圧に復帰できる、という効果がある。
【0221】
一方、負圧発生部材収納室に対して液体収納室を着脱自在に設ける実施形態では、液体収納室を交換する際の負圧発生部材収納室の液体の保持量は、インク導出口との連結部であるジョイントパイプ近傍にまで液体が保持されている場合や、インク供給口近傍の液体まで消費されている場合もしくは、消費(供給)できるインクが無い場合といったように様々である。上記本発明の適用によれば、上記(その他の実施形態)の欄に開示した方法のいずれかで負圧発生部材収納室内の負圧発生部材に対して親液化処理することで、液体収納室の交換後の、負圧発生部材収納室のインク供給口部における負圧を、交換回数や交換前の負圧発生部材収納室内の液体の残量にかかわらず、初期水準(負圧、量)に常に復帰せしめることができる。ここで、本発明の部分親水化を考慮する場合、その処理部においては、交換前の負圧発生部材の液体の残量がこの処理部内近傍にあれば(例えばジョイントパイプ近傍の液体のみが消費されている場合)、負圧発生部材全体を上述の方法で親水化するのではなく、液体が補充される部分から液体が消費される部分にわたって、上述の親液化処理が行われていればよい。
【0222】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体吐出ヘッド用記録液体を保持するための液体収納容器に収納された負圧発生部材としての繊維体において、繊維表面にポリオレフィン系樹脂を有し、該ポリオレフィン系樹脂が親水基を該樹脂表面に配向して持つことにより、繊維表面の濡れ性が高くなるので、使用する液体が高表面張力インクであってもその注入に従来必要であった特別の工程や設備を簡素化することができる。また記録用液体の移動時の流抵抗が低下するので、高速印字に伴う液体吐出ヘッドへの高流量の供給に対応することも可能である。
【0223】
また、液体収納容器の供給口部分に配した繊維の圧接体に親水化処理を施すことにより、インク流抵抗を低減し、インクの流動性を高めることができるので、高流量のインク供給が可能になる。さらには、繊維体を圧接体とした場合の気泡の滞留を防ぐことができるため、この面でも流抵抗の上昇を抑制できる。
【0224】
また、液体収納容器に収納された負圧発生部材としての繊維体の、供給口に対応する部分及びその周辺域を親水化処理したことにより、供給口及びその周辺に記録用液体が常に存在しようとするため、ヘッドへの液体供給が途切れにくい。
【0225】
また、負圧発生部材収納室と液体収納室とを互いの連通部を介して一体又は着脱自在に構成した液体収納室において、前記供給口を重力方向下向きにした姿勢で、負圧発生部材としての繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部より重力方向に関して上方に在って重力方向に対して交差する平面層を親水化処理したことにより、環境変化によ液体収納部内の液体及び気体が膨張しても、繊維間を流れる液体を前記親水化処理部で拡散させることができる。そのため、負圧発生部材収納室の容積を増加させずに急激な圧力上昇を充分に緩和させることができる。
【0226】
また、負圧発生部材収納室と液体収納室とを互いの連通部を介して一体又は着脱自在に構成した液体収納室において、収納された負圧発生部材としての繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部から、液体吐出ヘッドへの液体の供給口までの液体供給域を親水化処理したことにより、繊維体の持つミクロな疎密差により気液交換時の液面が乱れて低下しても、親水化処理域おいて、突出した低下液面が止められる。これにより、液体収納部から負圧発生部材収納部への液体の移動をエアーで途切らせることがないので、安定した気液交換動作が行われる。また、供給口付近が親水化処理されていることで、その周囲に常に存在しようとするため、供給口において記録用液体が途切れにくい。さらには、新しい液体収納部に交換した際に、繊維体の親水化処理域が積極的に液体を呼ぶ込むため、液体吐出ヘッドの回復を速やかにできる。また、液体吐出ヘッドの回復に必要な液量を、親水化処理域の大きさでコントロールできる。
【0227】
また、負圧発生部材収納室と液体収納室とを互いの連通部を介して一体又は着脱自在に構成した液体収納室において、収納された負圧発生部材としての繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部もしくはその近傍の大気導入溝及び、その周辺に対応する領域を親水化処理したことにより、この親水化部分が安定的に液体を保持するため、気液交換状態に達する前に、不用意なエアパスにより気液交換動作が行なわれるのを防ぐことができる。また、気液交換状態において記録用液体の消費が停止したとき、前記繊維体の大気導入溝及びその周辺に対応する部分を液体で満たし速やかに大気連通溝もしくは連通部を塞ぐことができる。以上の機能により安定した気液交換動作が可能となる。また、前記液体収納容器を交換するために取り外した際、前記負圧発生部材収納部側の連通部より液体がたれにくい。
【0228】
加えて、本発明に適用される表面改質法によれば、多孔質体や微細加工物品などの複雑な形状を有する負圧発生部材の内部全体表面に対して、所望の親液性処理が行える。そして、表面改質が困難とされているオレフィン系樹脂に対して、従来よりも長期的に親液性を維持できる。さらに、負圧発生部材構造や重量増加がほとんど無く、改質表面自体が分子レベル、好ましくは単分子レベルの薄層として形成できる。さらに、所望の改質を自由に行え、また、簡単で且つ量産性に優れた製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による液体収納容器の概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による液体収納容器の概略断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による液体収納容器の吸収体における親水化処理域の例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による液体収納容器の吸収体における親水化処理域の例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理域の例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理域の例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理域の例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理域の例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジにおけるインクの移動状態の例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジにおける気液交換時の親水化処理域の効果を説明するための図である。
【図11】本発明の第3の実施形態による液体収納容器であるインクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理域の例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態による圧接体を有する液体収納容器を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態による液体収納容器を示す概略断面図である。
【図14】図13に示すような親水化処理域が有る場合と無い場合との効果の違いを説明するための図である。
【図15】本発明の第6の実施形態による液体収納容器内の吸収体の親水化処理方法を説明するための図である。
【図16】本発明の第7の実施形態による液体吐出記録装置を示す概略斜視図である。
【図17】本発明に適用可能な表面改質方法における、物品(基材)の被改質表面上に形成される表面改質剤の高分子と物品表面との付着形態を模式的に示す図であり、(a)は機能性基としての第2の基と物品表面への付着のための第1の基の両方が高分子の側鎖にある場合について説明する図であり、(b)は第1の基が主鎖中に含まれている場合を説明する図である。
【図18】本発明に適用可能な表面改質方法において、表面改質剤の高分子を含む処理溶液を塗布し、基材上に塗布層を形成した状態を模式的に示す図である。
【図19】本発明に適用可能な表面改質方法において、基材上に形成した表面改質剤の高分子を含む塗布層中の溶媒を一部除去する工程を示す概念図である。
【図20】表面改質剤の高分子を含む塗布層中の溶媒を一部除去する工程に付随し、処理溶液中に添加する酸により誘起される、表面改質剤の高分子の部分的な解離過程を示す概念図である。
【図21】表面改質剤の高分子を含む塗布層中の溶媒をさらに除去する工程に付随し、表面改質剤の高分子あるいはその解離細分化物が配向形成する過程を示す概念図である。
【図22】塗布層中の溶媒を乾燥除去して、表面改質剤の高分子あるいはその解離細分化物が配向して、表面上に付着固定される過程を示す概念図である。
【図23】表面上に付着固定される表面改質剤の高分子由来の解離細分化物相互が、縮合反応により再結合する過程を示す概念図である。
【図24】本発明に適用可能な表面改質方法を、撥水性表面の親水化処理に適用する事例を示し、処理溶液中に水を添加する効果を示す概念図である。
【図25】インクタンクにおけるインク吸収体に利用されうるPE・PP繊維体を示し、(a)は、インクタンクにおけるインク吸収体としての利用形態を、(b)は、PE・PP繊維体の全体形状と、繊維の配列方向F1とそれと直交する方向F2を、(c)は、前記PE・PP繊維体を加熱融着して形成する前の状態を、(d)は、前記PE・PP繊維体を加熱融着して形成した状態をそれぞれ模式的に示す図である。
【図26】図25に示すPE・PP繊維体の断面構造の一例であり、(a)はPP芯材上にPE鞘材がほぼ同心円状に被覆する例、(b)はPP芯材上にPE鞘材が偏心して被覆する例を模式的に示す図である。
【図27】図25に示すPE・PP繊維体の撥水性表面の親水化処理に本発明の表面改質方法を適用する事例を示し、(a)は未処理の繊維体を、(b)は繊維体を親水化処理液に浸漬する工程を、(c)は浸漬後、繊維体を圧縮し、余剰の処理液を除く工程を模式的に示す図である。
【図28】図27に示す工程に引き続く工程を示し、(a)は繊維体表面に形成された塗布層を、(b)は塗布層中に含まれる溶媒を乾燥除去する工程を、(c)は、繊維表面を覆う親水化剤の被覆を模式的に示す図である。
【図29】参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす150倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図30】参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす500倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図31】参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす2000倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図32】対比例1(酸とアルコールのみ処理PP・PE繊維吸収体)の酸処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす150倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図33】原理適用例1(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす150倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図34】原理適用例1(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす500倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図35】原理適用例1(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす2000倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図36】本発明に適用可能な改質表面処理の製造工程の一例を示す工程図である。
【図37】本発明に適用可能な表面改質処理による表面の親水性基と疎水性基の推定される分布の一例を模式的に示す図である。
【図38】本発明に適用可能な、インクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理の例を示す図である。
【符号の説明】
1、11 インクタンク
2、15 PP繊維体
3、16 大気連通口
4、14 インク供給口
5 親水化処理液
12 負圧発生部材収納室
13 インク収納室
17 インク導出口
18 仕切り壁
19 大気導入溝
20 シール
100 負圧制御ユニット
102 シール面
110 負圧制御室容器
113c 境界面
115 大気連通口
116 バッファ空間
120 蓋部材
130、140 吸収体
150 ホルダー
160 インクジェットヘッドユニット
161 フィルター
165 インク供給管
170、250 ID部材
180 ジョイントパイプ
180a シール用突起
180b 弁開閉用突起
200 インクタンクユニット
201 インク収納容器
210 筐体
210a 係合部
220 内袋
221 ピンチオフ部
222 外気連通口
230 ジョイント口
250a クリック部
252 ID用凹部
260a 第1弁枠
260b 第2弁枠
261 弁体
262 弁蓋
263 付勢部材
300
H 液面(気液界面)
1000 液体収納容器
5020 キャップ
5030 ガイドシャフト
5040 リードスクリュー
5050 螺旋溝
5080 ギア
5090、5100、5110、5200 駆動伝達ギア
5130 駆動モータ
HC キャリッジ
IJRA インク吐出記録装置

Claims (53)

  1. 液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドに供給する液体を供給可能に収納する容器に用いられる負圧発生用繊維体であって、オレフィン系樹脂を少なくとも繊維表面に有し、前記オレフィン系樹脂がその表面に相対的に長鎖の親液性基と相対的に短鎖の疎液性基とを有する接液表面構造を配向して持つことを特徴とする繊維体。
  2. 水系液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドに供給する水系液体を供給可能に収納する容器に用いられ、少なくとも部分表面に高分子化合物が付与されている繊維からなる繊維体であって、
    前記高分子化合物は、相対的に長鎖の親水性基を有する第1の部分と、前記親水性基の界面エネルギーより低く且つ前記部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備え、
    前記第2の部分は前記部分表面に向かって配向し、前記第1の部分は前記部分表面とは異なる方向に配向していることを特徴とする繊維体。
  3. 前記繊維の表面がオレフィン系の樹脂であり、前記高分子化合物が親水性基を備えたポリアルキルシロキサンであることを特徴とする請求項2に記載の繊維体
  4. 前記親水性基がポリアルキレンオキサイド鎖を有することを特徴とする請求項3に記載の繊維体。
  5. 前記オレフィン系の樹脂はポリプロピレンあるいはポリエチレンであり、前記ポリアルキルシロキサンが、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項3に記載の繊維体。
  6. 請求項2から5のいずれか1項に記載の繊維体を負圧発生部材として収納している液体収納容器。
  7. 請求項2から5のいずれか1に記載の繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部へ液体を供給する液体収納部とを備え、該液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器。
  8. 前記液体収納部は、液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な内袋と、該内袋を覆う筐体と、該筐体と前記内袋との間に大気を導入可能な外気連通口とを備えている請求項7に記載の液体収納容器。
  9. 液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給口と、内部を大気に連通させる大気連通口とを有し、負圧発生部材を収納した液体収納容器において、前記供給口内部分に、請求項2に記載の繊維体が配されていることを特徴とする液体収納容器。
  10. 液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給口と、内部を大気に連通させる大気連通口とを有し、繊維体を負圧発生部材として収納している液体収納容器において、前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分のみが部分的に親液化処理されていることを特徴とする液体収納容器。
  11. 繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、
    前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分のみが部分的に親液化処理されていることを特徴とする液体収納容器。
  12. 繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、
    前記供給口を重力方向下向きにした姿勢で、前記繊維体の、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部より重力方向に関して上方に在って重力方向に対して交差する平面層がその周囲に対し部分的に親液化処理されていることを特徴とする液体収納容器。
  13. 繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、
    前記繊維体の、少なくとも前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部から前記供給口までの液体供給域が繊維体全体に対して部分的に親液化処理されていることを特徴とする液体収納容器。
  14. 繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を導出する液体収納部とを備え、前記液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、
    前記繊維体の、少なくとも前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部が繊維体全体に対して部分的に親液化処理されていることを特徴とする液体収納容器。
  15. 繊維体を負圧発生部材として収納している負圧発生部材収納部と、該負圧発生部材収納部内を大気に連通させる大気連通口と、前記繊維体が保持する液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給口と、前記負圧発生部材収納部へ液体を供給する液体収納部と、前記負圧発生部材収納部と前記液体収納部との連通部近傍に設けられ、前記液体収納部内に気体を導入するに応じて前記負圧発生部材収納部へ液体を導出させる気液交換を生じるための大気導入溝とを備え、該液体収納部を前記負圧発生部材収納部に対して一体に又は着脱可能に構成した液体収納容器において、
    前記繊維体の、少なくとも前記大気導入溝部に対応する領域が繊維体全体に対して部分的に親液化処理されていることを特徴とする液体収納容器。
  16. 前記液体収納部は、液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な内袋と、該内袋を覆う筐体と、該筐体と前記内袋との間に大気を導入可能な外気連通口とを備えている請求項11から15のいずれか1項に記載の液体収納容器。
  17. 前記負圧発生部材収納部は、前記大気連通口側の第1の繊維体と、前記供給口側の第2繊維体とを有し、前記部分的親液化処理される繊維体は、該第1の繊維体である請求項12に記載の液体収納容器。
  18. 前記負圧発生部材収納部は、前記大気連通口側の第1の繊維体と、前記供給口側の第2繊維体とを有し、前記部分的親液化処理される繊維体は、該第2繊維体である請求項13から15のいずれか1項に記載の液体収納容器。
  19. 前記第2繊維体は、前記第1繊維体及び第2繊維体を含む繊維体全体に対する部分的親液化処理されるものであって、第2繊維体全体が親液化処理されていることを特徴とする請求項18に記載の液体収納容器。
  20. 前記繊維体の親液化処理部分は接液表面構造であって、相対的に長鎖の親液性基と相対的に短鎖の疎液性基とを実質的に交互に有する高分子を備えることを特徴とする請求項10から19のいずれか1項に記載の液体収納容器。
  21. 前記液体が水系液体である場合、前記親液性基は、親水基を備えた高分子構造を有する側鎖基であって、前記疎液性基は、メチル基を有する側鎖基である請求項20に記載の液体収納容器。
  22. 前記親液化処理は、開裂・縮合可能で親液性基を有する第1基と、繊維の部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する第2基とを備えた高分子の開裂後の細分化物を、繊維表面において縮合せしめて高分子化する縮合工程を有することを特徴とする請求項10から19のいずれか1項に記載の液体収納容器。
  23. 前記縮合工程は、前記高分子を溶解する溶液の蒸発終了後の縮合時に発生する水分子のアニール工程を有する請求項22に記載の液体収納容器。
  24. 前記アニール工程における加熱温度は、前記繊維体の使用時の最高温度よりも高く、前記繊維体の融点及び前記高分子の融点よりも低いことを特徴とする請求項23の液体収納容器。
  25. オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有し、該表面が親水化された改質表面を有し、インクジェット用負圧発生部に適用される繊維体であって、
    親水性基と前記オレフィン系の繊維表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基とを有する高分子、該高分子の開裂触媒としての希酸、およびアルコールを含む処理液が付着された後、付着している処理液を蒸発させるとともに、前記希酸を濃酸化することで前記高分子を開裂させ、更にこれらを縮合させることで、前記繊維表面に相対的に長鎖の親水性基と相対的に短鎖の疎液性基とを実質的に交互に有する接液表面構造を有することを特徴とする繊維体。
  26. 液体を保持してインクジェットヘッドに対する負圧を発生するとともに、該ヘッドへ液体を供給する負圧発生部材としての繊維体の少なくとも部分表面を親液化処理するインクジェット用繊維体の親液化方法において、
    前記親液性基を有する第1の部分と前記親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記表面部分の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備えた親液性基付与用高分子を開裂させて得られた、前記第1の部分および前記第2の部分を有する細分化物を含む液体を前記部分表面に付与する第1の工程と、
    前記部分表面に前記細分化物の第2の部分を前記部分表面側に配向させ、前記第1の部分を前記部分表面とは異なる側に配向させる第2の工程と、
    前記部分表面上に配向した細分化物同士を少なくとも一部で縮合させて高分子化する第3工程と、を有することを特徴とするインクジェット用繊維体の親液化方法。
  27. 液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給口と、内部を大気に連通させる大気連通口と、繊維体を負圧発生部材として収納された繊維体とを有する液体収納容器において、前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域を親液化する方法であって、
    親液化処理液を入れた注射器を用い、該注射器の針を前記大気連通口より前記繊維体に差し込み、前記繊維体の中央部付近に前記親液化処理液を注入する工程と、前記供給口より前記親液化処理液を吸引し、前記親液化処理液が前記液体収納容器の内側面に到達しない前に前記親液化処理液を排出する工程とを有することを特徴とする親液化方法。
  28. オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有し、該表面が親水化された改質表面を有し、インクジェット用負圧発生部に適用される繊維体の製造方法であって、
    親水性基を有するポリアルキルシロキサン、酸、およびアルコールを含む処理液が付着された繊維表面を形成する工程と、
    前記繊維表面に付着している処理液を室温より高い温度で且つオレフィン系樹脂の融点よりも低い温度で加熱し乾燥させる工程と、を有することを特徴とする改質表面を有する繊維体の製造方法。
  29. オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有し、該表面が親水化された改質表面を有し、インクジェット用負圧発生部に適用される繊維体の製造方法であって、
    親水性基を有するポリアルキルシロキサン、酸、アルコールおよび水を含む液体が付着された繊維表面を形成する工程と、
    前記繊維表面に付着している処理液を乾燥させ、その過程において前記親水性基を前記表面とは反対側の方向に配向させて前記表面を親水化させる工程、とを有することを特徴とする改質表面を有する繊維体の製造方法。
  30. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維の表面改質方法であって、
    希酸と、揮発性かつ繊維表面との親和性向上剤と、前記繊維表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第1の部分と該界面エネルギーとは異なる界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備えた高分子を備える処理剤と、が溶解している液体を前記繊維表面に付与する第1工程と、
    前記繊維表面に熱を付与することで前記親和性向上剤を除去する第2工程と、
    前記希酸を濃酸化し、前記処理剤中の高分子を開裂させる第3工程と、
    前記開裂された高分子を前記表面上で縮合させるとともに、前記高分子の第1の部分を前記繊維表面に向けて配向させ、前記第2の部分を前記繊維表面とは異なる側に配向させる第4工程と、
    を有することを特徴とする表面改質方法。
  31. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維の表面に機能性基を導入して該表面を改質する方法であって、
    前記表面が有する表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に長鎖の第1の部分と相対的に短鎖の機能性基を有する第2の部分とを備えた高分子化合物が開裂して得られ、前記第1の部分と前記第2の部分とを有する細分化物が、前記表面エネルギーと略等しい界面エネルギーの基の前記表面への親和力に基づき配向された状態下で、前記細分化物を縮合させる工程を含むことを特徴とする表面改質方法。
  32. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維の表面に機能性基が導入されている改質表面を有する繊維であって、
    前記繊維の表面有する表面エネルギーと略等しい界面エネルギーの相対的に長鎖の基を有する第1の部分と前記機能性基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備えた高分子化合物が開裂した、前記第1の部分と前記第2の部分とを有する細分化物が、前記表面エネルギーと略等しい界面エネルギーの基の前記表面への親和力に基づき配向された状態下で縮合された、前記細分化物の縮合物が該表面に付着していることを特徴とする繊維。
  33. 断面の外周が閉環形状をなす曲面からなる周状部を有するとともに、前記周状部に、前記周状部の外周を閉環状に一周する高分子を含む膜で覆われた部分を少なくとも有し、該高分子を含む膜で覆われている表面部分においては該表面部分が改質されている、インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維であって、
    前記高分子化合物は、溶媒に対して可溶性または主骨格が該繊維表面とは異なる材料であって、前記表面を改質するための相対的に長鎖の機能性基を有する第1の部分と、該機能性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備え、
    前記第2の部分は前記表面に向かって配向し、前記第1の部分は該表面とは異なる方向に配向していることを特徴とする改質された表面を有する繊維。
  34. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維が有する疎水性表面を親水性に改質するための表面改質方法であって、
    相対的に長鎖の親水性基と相対的に短鎖の疎水性基とを備えた高分子化合物の開裂によって生じる該親水性基と該疎水性基とを有する細分化物を、前記疎水性基が前記疎水性基の表面の側に向き、且つ前記親水性基を前記疎水性基とは異なる方向に向く様に配向させて前記疎水性表面に付着させる工程を有することを特徴とする表面改質方法。
  35. 前記疎水性表面上の、該細分化物が互いに縮合している請求項34に記載の表面改質方法。
  36. 前記工程が、前記高分子化合物および希酸を含む液体を前記疎水性表面に塗布し、前記疎水性表面において前記希酸を濃酸化させ、前記濃酸によって前記高分子化合物を開裂せしめて細分化する工程を含む請求項34または35に記載の表面改質方法。
  37. 前記工程は、前記液体として水および水よりも蒸気圧の低い非水系溶媒を含む液体を用いるとともに、前記疎水性表面における前記液体の乾燥過程において、前記非水系溶媒が水に先立って蒸発し、前記疎水性表面において水の薄膜が存在する状態を経させるものである請求項34から36のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  38. 前記液体が、前記疎水性表面の所望の面に対して濡れる組成を有する請求項34から37のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  39. 前記繊維の疎水性表面がオレフィン系の樹脂から構成される請求項34から38のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  40. 前記高分子化合物が、親水性基を有するポリアルキルシロキサンである請求項34から39のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  41. 前記親水性基としてポリアルキレンオキサイド鎖を有する請求項40に記載の表面改質方法。
  42. 前記親水性基を有するポリアルキルシロキサンが、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)である請求項40に記載の表面改質方法。
  43. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する多孔質体の部分表面に表面改質を行う表面改質方法において、
    相対的に長鎖の親水性基と相対的に短鎖の疎水性基とを備えた高分子化合物が開裂された開裂高分子を、前記多孔質体の部分表面の表面エネルギーに類似した界面エネルギーの基の前記部分表面への親和力に基づいて配向し、前記開裂高分子を前記部分表面において縮合させて表面を改質することを特徴とする表面改質方法。
  44. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維の少なくとも部分表面を液状の高分子を用いて改質する方法であって、
    開裂、縮合可能で相対的に長鎖の機能性基を有する第1基と、繊維の部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する相対的に短鎖の第2基とを備えた高分子の開裂後の細分化物を、繊維表面において、縮合せしめて高分子化する縮合工程を有することを特徴とする表面改質方法。
  45. 疎水性表面を有し、該疎水性表面が親水性表面に改質された、インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維であって、
    相対的に長鎖の親水性基と相対的に短鎖の疎水性基とを備えた高分子化合物の開裂によって生じた前記親水性基と前記疎水性基とを有する細分化物が、前記疎水性基が前記疎水性表面の側に向き、前記親水性基が前記疎水性基とは異なる方向に向くように配向して、前記疎水性表面に付着していることを特徴とする表面が改質されている繊維。
  46. 核部と該核部を覆う表層とからなり、前記核部と前記表層とは各々オレフィン系の樹脂で構成され、前記核部を構成する樹脂の溶融温度が前記表層を構成する樹脂の溶融温度よりも高い請求項45に記載の繊維。
  47. 前記核部を構成する樹脂がポリプロピレンであり、前記表層を構成する樹脂がポリエチレンである請求項46に記載の繊維。
  48. 前記核部が外壁面に部分的に露出し、前記核部の露出部の表面および前記表層の表面の双方に前記細分化物が付着している請求項47に記載の繊維。
  49. 前記高分子化合物が親水性基を有するポリアルキルシロキサンである請求項45から48のいずれか1項に記載の繊維。
  50. 前記親水性基としてポリアルキレンオキサイド基を有する請求項49に記載の繊維。
  51. 前記親水性基を有するポリアルキルシロキサンが、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)である請求項45から48のいずれか1項に記載の繊維。
  52. インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成し、液体が供給されて、該液体を保持する繊維の接液表面構造であって、
    相対的に長鎖の親液性基と相対的に短鎖の疎液性液とを実質的に交互に有する高分子を備えたことを特徴とする繊維の接液表面構造。
  53. オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有し、該表面が親水化された改質表面を有する、インクジェット用負圧発生部に適用されるインク吸収体を構成する繊維であって、
    親水性基と前記オレフィン系樹脂を構成成分として少なくとも含む繊維表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基とを有する高分子、該高分子の開裂触媒としての希酸、およびアルコールを含む処理液が付着された繊維表面を形成後、該繊維表面に付着している処理液を蒸発させるとともに、前記繊維表面上で前記希酸を濃酸化することで前記高分子を開裂させた後、開裂生成物を縮合させることで、前記繊維表面に相対的に長鎖の親水性基と、相対的に短鎖の疎水性基とを実質的に交互に有する接液表面構造を有することを特徴とする繊維。
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