JP4237924B2 - ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。 - Google Patents

ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。 Download PDF

Info

Publication number
JP4237924B2
JP4237924B2 JP2000259608A JP2000259608A JP4237924B2 JP 4237924 B2 JP4237924 B2 JP 4237924B2 JP 2000259608 A JP2000259608 A JP 2000259608A JP 2000259608 A JP2000259608 A JP 2000259608A JP 4237924 B2 JP4237924 B2 JP 4237924B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
weight polyolefin
layer
resin
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000259608A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001205760A (ja
Inventor
好希 出口
耕三 牧野
幸治 市原
俊夫 稲守
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2000259608A priority Critical patent/JP4237924B2/ja
Publication of JP2001205760A publication Critical patent/JP2001205760A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4237924B2 publication Critical patent/JP4237924B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超高分子量のポリオレフィン発泡シート(以下、単に「ポリオレフィンシート」、又は、「発泡シート」ということがある)を被着体に接合した構造体、及びその製造方法並びに樹脂複合管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は低極性材料であるため、他の材料との接合性が低く、接合が困難であった。
特に超高分子量のポリエチレンは自己潤滑性が高いため、他の材料と接合する際は、ビス止めを行ったり、ゴムを溶融状態で超高分子量の製品に裏貼りし、このゴム面に他の材料を接着するなど、材料のコストアップが必要な方法や、生産性の悪い方法を取らざるを得ないのが実状であった。
例えば、特開平8−207163号公報には、超高分子量のポリエチレンシート層をゴムの内部側に一体的に配設した耐磨耗性ホースが開示されているが、かかる構成とするには、通常、接着性の極めて低い超高分子量のポリエチレンシート層とゴム層とを融着せざるを得ず、ポリオレフィン材料と他材料との接合体を得るという点では、生産性が悪いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、超高分子量ポリオレフィンを発泡させて得た表層にスキン層を有する発泡体が、意外にも、発泡させていない成形体と比べて耐摩耗性等の物性に殆ど遜色がないこと、及び、発泡体の表層の一部を除去して多孔層を形成し、その多孔層と被着体とを接合することによって、十分な接着強度を有する発泡体接合構造体が得られることを見出し、これらの知見を基に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、軽量で耐摩耗性に優れている超高分子量ポリオレフィン発泡シートの接合構造体を提供すること、及びその製造方法を提供すること、並びに、低コスト化が図れ、接合信頼性が向上した樹脂複合管の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートが接着剤により被着体と接合された構造体であって、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの一方の表層に上記超高分子量ポリオレフィンからなるスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が被着体と接合されてなることを特徴とする超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体を提供する。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートが被着体と接合された構造体であって、被着体が熱硬化性樹脂であり、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの一方の表層に上記超高分子量ポリオレフィンからなるスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が被着体と接合されてなることを特徴とする超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体を提供する。
【0006】
また、請求項3記載の発明は、粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートが接着剤により被着体と接合された構造体であって、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの比重が0.85〜0.15である請求項1又は2に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体を提供する。
また、請求項4記載の発明は、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの摩耗輪による摩耗試験における摩耗損量が、同一材料の非発泡成形体と比較して、150〜25重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体を提供する。
【0007】
また、請求項5記載の発明は、超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体の剪断接合強度が、同一材料の非発泡成形体が同一材料の被着体と接合された接合構造体と比較して、125〜1000%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体を提供する。
【0008】
また、請求項6記載の発明は、粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィンに非反応性ガスを高圧下で溶解させて易成形状態とし、押出機中で溶融混練した後に金型から押出発泡させる際に、該易成形状態の樹脂を溶解時のガス圧力以上の樹脂圧力で金型に導入し、次いで冷却しながら樹脂圧力を溶解時のガス圧力以上に保持した状態で(降温時の結晶化ピーク温度−10℃)〜(降温時の結晶化ピーク温度+10℃)の温度範囲で金型先端からシート状に押出して発泡させた後、得られた超高分子量ポリオレフィン発泡シートの表層の一方のスキン層を除去して多数の凹部からなる多孔層を形成した後、該多孔層と被着体とを接合することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体の製造方法を提供する。
【0009】
また、請求項7記載の発明は、マンドレル外周面に、
超高分子量ポリオレフィン発泡シートの一方の表層に上記超高分子量ポリオレフィンからなるスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層を有する粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートを上記多孔層が外側になるように螺旋状に巻回して筒体を形成する工程と、
形成された筒体をマンドレルに沿って螺旋送りしつつ、その筒体の外周面に合成樹脂層を積層する工程と、
前記筒体とともに合成樹脂層を硬化させながら超高分子量ポリオレフィン発泡シートを接合する工程と、
硬化された合成樹脂および筒体を、所定の長さに切断する工程と、
を包含することを特徴とする樹脂複合管の製造方法を提供する。
【0010】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0011】
(請求項1記載の発明)
本発明に用いることのできる超高分子量ポリオレフィンとしては従来公知のポリオレフィン樹脂を用いることができ、オレフィン性モノマーの単独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他のモノマーとの共重合体であり、特に限定されるものではない。
例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エレチン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体等を挙げることができる。
更に、オレフィン性モノマーと、共役ジエン系炭化水素化合物、非共役ジエン系炭化水素化合物、共役オレフィン系炭化水素化合物、非共役オレフィン系炭化水素化合物、その他分子内に少なくとも2 個の不飽和結合、好ましくは二重結合を有する炭化水素化合物との共重合体等を挙げることができる。
【0012】
また、本発明に用いる超高分子量ポリオレフィンの粘度平均分子量は50万以上である。例えば粘度平均分子量50万以上のポリエチレン樹脂は、耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性及び低温特性などの優れた性質を有する点で好ましい。
粘度平均分子量が100万以上であることがより好ましく、200万以上であることが更に好ましい。
【0013】
粘度平均分子量は高ければ高い程、上記の耐摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、低温特性はより優れた性質を示すが、過大であると、成形が困難となる。
本発明においては、粘度平均分子量が50万未満のポリオレフィンを超高分子量ポリオレフィンに混合、配合して用いても構わない。ただし、本発明の目的を損なわない範囲にとどめることが必要である。
同様にポリオレフィン以外の合成樹脂もしくは天然樹脂や、可塑剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料、充填剤等を本発明の目的を損なわない範囲で配合しても構わない。
【0014】
また、本発明に用いられる超高分子量ポリオレフィン発泡シートは内部に多数の気泡もしくは気孔(以下、単に気泡という)を有した超高分子量ポリオレフィン発泡シートであるので、比重が低く、軽量である。上記発泡シートの比重は特に限定されないが、請求項で後述するように、0.85〜0.15が好ましい。
【0015】
気泡の径は特に限定されないが0.05〜500μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜300μmである。細か過ぎては、接着剤が浸み込みにくくなって強度低下を来たし、また、大き過ぎてもやはり接着強度や耐摩耗性が低くなるからである。
これら気泡の形状や大きさは走査型電子顕微鏡などで観察することができる。
【0016】
上記超高分子量ポリオレフィン発泡シートが接合される被着体の材質は特に限定されず、SUS、鉄、アルミニウムなどの金属材料、各種合成高分子材料、材木や紙などの天然高分子材料、硝子やセラミックスなどの無機材料などを用いることが可能である。これらは単独で用いられてもよいし、複合材料として用いられてもよい。また相手材料の形状も、板状、管状あるいは異型といずれでもよく特には限定されない。
【0017】
発明において、超高分子量ポリオレフィン発泡シートは一方の表層にスキン層を有し、内部が発泡層であり、他方の表層が多数の凹部からなる多孔層である。上記スキン層は非発泡層からなり、本発明の目的を達成する上で支障とならない程度であれば、微細な開口部を有していても良く、その割合はスキン層の全表面積に対して、通常20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。また、その厚みは、通常、10〜2000μm、好ましくは50〜1000μmである。スキン層の開口部、及び厚みが上記範囲にあることにより、超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体はより好ましい耐摩耗特性を発揮する。
【0018】
スキン層は表裏面両方には必ずしも必要ではなく、接合される相手材料と接する裏面側はスキン層が無いことが好ましい。
スキン層が存在するため、超高分子量ポリオレフィン発泡シートであるにも関わらず、超高分子量ポリオレフィンが本来有する性能である良好な耐摩耗性を発揮し得る。
【0019】
また、他方の表層に形成される多数の凹部からなる多孔層は、スキン層の反対側の表層における全表面積に対して微細な開口部が50〜99面積%を占めているのが好ましい。多孔層は内部の発泡層と均一な構造でもよく、また、気泡、気孔サイズが異なった構造でもよく、また、厚みなどは特に限定されない。また超高分子量ポリオレフィン発泡シートの比重については、後述する請求項3と同様であることが好ましい。
【0020】
また超高分子量ポリオレフィン発泡シートを接合する相手材料も特に限定されないが、固定する方法は、接着剤による接着が最も好ましい。本発明の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、上記多孔層側の表層で相手材料である被着体と接着剤により接着されてなる。無論、接合強度を向上させる目的で、ビス、ナット、釘、鋲などの従来公知の緊結材を併用しても構わない。接着剤を用いるため、被着体の形状は特殊な形状を採用することも可能である。板状、管状あるいは異型といずれでもよく特には限定されない。
【0021】
本発明で用いることのできる接着剤としては特に限定されず、従来公知の有機溶剤型接着剤、反応型接着剤、ホットメルト型接着剤、エマルジョン型接着剤などの接着剤を好ましく利用することができる。また、天然ゴム、合成ゴムあるいはアクリル系の粘着剤、あるいはそれらによる粘着テープなども好適に用いることができる。
接着する超高分子量ポリオレフィン発泡シートの組成あるいは接着する被着体の材質により好適な接着剤が異なるため、材料に応じた接着剤を選択することが好ましい。
本発明においては、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの多孔層の多数の凹部に接着剤が染み込むため、硬化した接着剤が超高分子量ポリオレフィン材料にくいこんで固定され、超高分子量ポリオレフィン発泡シートと被着体とが高い接着強度をもって接合された接合体を得ることが可能である。
【0022】
(請求項2記載の発明)
本発明においては、被着体が熱硬化性樹脂であり、従って、超高分子量ポリオレフィン発泡シートと被着体との接合にあたり、接着剤は不要である。この場合、硬化前の液状の熱硬化性樹脂が超高分子量ポリオレフィン発泡シートの多孔層の多数の凹部に接着剤が染み込むため、硬化した熱硬化性樹脂が超高分子量ポリオレフィン材料にくいこんで固定され、超高分子量オレフィン発泡シートと被着体とが高い接着強度をもって接合された接合体を得ることが可能である。
【0023】
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、フタル酸系樹脂などがあげられる。
【0024】
上記熱硬化性樹脂には必要に応じて、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、天然樹脂、可塑剤、熱安定剤、顔料、染料、充填剤などが添加されてもよい。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0025】
上記熱硬化性樹脂には、さらに必要に応じて、補強繊維が添加されてもよい。
上記補強繊維としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維などが挙げられる。
また、繊維の形態としても特に限定されず、長繊維、ヤーン、クロス、チョップ状のものなどが使用される。
【0026】
(請求項3記載の発明)
本発明の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体において、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの比重が0.85〜0.15である場合は、接合構造体全体の軽量化を図ることが出来る点で好ましい。0.15より小さい場合には、気泡気孔の形状が粗大になり成形が困難となる場合がある。また、性能面でも耐摩耗性などの性能を良好に発揮することが困難となる場合が多い。0.85を越えた比重を有する場合は、発泡倍率が低すぎ、軽量性等、発泡体としての効果の発現が困難となる。より好ましくは0.70〜0. 20の範囲である。
【0027】
(請求項4記載の発明)
本発明は、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの摩耗輪による摩耗試験における摩耗損量が、同一材料の非発泡成形体と比較して、150〜25重量%の範囲である超高分子量ポリオレフィン発泡シート接着構造体である。摩耗試験の方法としては同一条件下での値であれば構わないが、例えばJISK7204に例示される測定方法が例示される。また、ここでいう摩耗損量の比は、それぞれのシートの摩耗輪の回転数5000回転を実施した時点での値とする。
【0028】
(請求項5記載の発明)
本発明は、超高分子量ポリオレフィン発泡シート接着構造体の剪断接合強度が同一材料の非発泡成形体が同一材料の被着体と接合された接合構造体と比較して、125〜1000%である超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体である。
具体的には同一条件下で接合試験片を作成し、強度を測定することにより両者の強度比較を行うことができる。接合試験片の作成方法、接合強度を測定する方法としては同一条件であれば構わないが、例えばJIS K6833に例示される方法に準じた方法で剪断接合強さを測定する方法が例示される。
【0029】
(請求項記載の発明)
本発明で用いることのできる超高分子量のポリオレフィンとしては請求項1で例示した従来公知の超高分子量のポリオレフィンを好適に用いることができる。尚、本発明においては、本発明の趣旨に損なわない範囲で従来公知の超高分子量のポリオレフィン以外の他の天然、あるいは合成樹脂をブレンド、添加しても構わない。各種添加剤についても同様であるが、過剰にブレンド、添加すると超高分子量ポリオレフィンの持つ特性を最終製品が発揮することが困難となるため、その使用は最小限にとどめることが好ましい。
【0030】
(非反応性ガス)
超高分子量ポリオレフィンは、超高分子量である特性から溶融粘度が高く、通常の加熱による押出成形が困難な材料である。本発明においては超高分子量ポリオレフィンの可塑化剤として、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを用いるので、加熱時の溶融粘度を低下させて成形を行うことができる。
また、後述するように、脱圧時には非反応性ガスは多泡状集合体を形成する発泡剤として作用する。
【0031】
本発明で用いる非反応性ガスとしては常温・常圧で気体である有機ないしは無機物質であって、上記高分子量ポリオレフィンを劣化させないものなら特に限定されず、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等の無機ガスや、フロンガス、低分子量の炭化水素等の有機ガスが挙げられる。
環境に与える悪影響が低く、そしてガスの回収を必要としない点で、無機ガスが好ましく、超高分子量ポリオレフィン(以下単に樹脂と記載する場合がある)に対する溶解度が高く、樹脂の溶融粘度の低下が大きいという観点から、二酸化炭素が最も好ましい。
なお、このような非反応性ガスは、単独で使用されても良いし、2種以上併用されても良い。
【0032】
樹脂にガスを高圧下で溶解させる方法としては、ガスを溶融状態の樹脂に溶解させる方法と、固体状態の樹脂に溶解させる方法があるが、どちらの方法を用いても良く、また、両者を併用しても良い。溶融状態の樹脂にガスを高圧下で溶解させる方法としては、例えば、ベントタイプスクリューを使用して、シリンダーの途中からベント部分に混入する方法や、タンデム押出機を利用して第1押出機内または第2押出機への樹脂流入部付近においてガスを圧入させて、第2押出機で充分溶解・混練する方法等が挙げられる。
【0033】
固体状態の樹脂にガスを高圧下で溶解させる方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。(1)予め高圧容器などでペレットまたはパウダー状態の樹脂にガスを溶解させる方法。(2)押出機内のホッパから固体輸送部においてガスを樹脂中に溶解させる方法。
(1)の方法の場合、ガスを溶解させた樹脂の押出機への供給は、樹脂に溶解したガスが拡散によって大気中に抜けていくことを抑制するためにできるだけ速やかに行うことが好ましい。一方(2)の方法の場合は、ガスが押出機外へ揮散しないようにスクリュー駆動軸及びホッパの耐圧シール構造を組み入れることが好ましい。ガスの供給はガスボンベから直接行っても良いし、プランジャーポンプ等を用いて加圧供給しても良い。
【0034】
本発明において、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを樹脂に高圧下で溶解させると、樹脂は、可塑化されて流動性が向上し、スクリュ押出機内で溶融混練が可能(易成形状態)となる。樹脂に対する非反応性ガスの溶解量は、溶解によって樹脂の溶融粘度が成形に適した粘度になるのであれれば特に限定されず、超高分子量ポリオレフィンの分子量、ガスの種類によって適宜選択できる。
次いで該溶融混練した樹脂を溶解時のガス圧力以上の樹脂圧力を保持した状態で、押出機排出側に配設した金型に導入する。この場合、樹脂圧力は溶解時のガス圧力以上であることが好ましい。
【0035】
溶解時のガス圧力より低い場合には、溶解していたガスが樹脂から相分離して気泡となりやすく、ついには金型先端から吹き出すおそれがある。
次いで金型内で冷却しながら樹脂圧力を溶解時のガス圧力以上に保持した状態で(降温時の結晶化ピーク温度−10℃)〜(降温時の結晶化ピーク温度+10℃)の範囲において金型先端から押出して発泡させる。この場合、金型先端近傍部分での樹脂圧力は、溶解時のガス圧力以上であることが好ましい。溶解時のガス圧力未満の場合には、粗大な孔径の気泡ができやすく、外観が悪くなり、良好な発泡体を得ることができなくなる。
【0036】
また、樹脂の(降温時の結晶化ピーク温度−10℃)未満の温度で押出した場合には、樹脂の結晶化が進み、樹脂の粘度が急激に上昇するために、ほとんど発泡が起こらず、その結果、比重がほとんど低下しなくなり、良好な発泡体を得ることができなくなる。一方、(降温時の結晶化ピーク温度+10℃)を超える温度で押出した場合には、樹脂の粘度が低いために粗大な孔径の気泡ができやすく、それが欠陥となって強度の低下した発泡体となりやすい。
【0037】
なお、本発明における「降温時の結晶化ピーク温度」とは、溶融状態の樹脂が降温して結晶化する際の結晶かピーク温度を意味し、より詳細には、このような降温の際に、樹脂が発熱する熱量が最大となる温度を意味する。このような温度は、大気圧下で示差走査型熱量計(DSC)により測定される。また、「結晶化ピーク温度」は、JIS K 7121の9. 2にその求め方とともに詳細に記載されている。上記条件で押出発泡することにより、超高分子量ポリオレフィンからなる、表層にスキン層を形成した発泡体が得られる。なお表層スキンの形状は請求項1で記載した形状が好ましいが特に限定はされない。また、内部の発泡構造および、比重などの値も請求項に記載した内容が好ましく例示される。
【0038】
(本発明で適用される成形条件)
非反応性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、樹脂に対する二酸化炭素の溶解量は、1重量%以上30重量%以下の範囲が好ましく、3重量%以上20重量%以下の範囲がより好ましい。1重量%未満の場合、樹脂の粘度が充分に低下せず、押出が困難となる。一方、30重量%を超える量にしようとする場合には、大がかりな設備を用いて溶解時の圧力を極端に高くする必要がある場合があり、生産効率上好ましくない。
【0039】
溶解量を上記の範囲内とするためには、二酸化炭素の圧力は0. 5MPa 以上50MPa 以下であることが好ましく、1. 5MPa 以上35MPa 以下であることがより好ましい。本発明においては、続いて押し出された超高分子量ポリオレフィン発泡シートの片方の表層を除去して、内部の多孔構造が露出した構造とする。露出させる方法としては、表層をカッター刃、ノコギリ刃などの刃物、熱せられた金属線、レーザーなどで切除するあるいは、ヤスリ、グラインダーなどで切削し削除する方法などが挙げられるが、特に限定はされず内部の多孔構造が露出できれば構わない。
押出方向に超高分子量ポリオレフィン発泡シートをスライスし、2枚の製品とすることが、生産効率上好ましい。
【0040】
(本発明で適用される接着条件)
超高分子量ポリオレフィン発泡シートを接合する相手材料となる被着体は特に限定されないが、SUS、鉄、アルミニウムなどの金属材料、各種合成高分子材料、材木や紙などの天然高分子材料、硝子やセラミックスなどの無機材料などを用いることが可能である。これらは単独で用いられてもよいし、複合材料として用いられてもよい。また相手材料の形状も、板状、管状あるいは異型といずれでもよく特には限定されない。
【0041】
手材料の形状は、接着剤を用いる場合、特殊な形状も採用することがより可能である。板状、管状あるいは異型といずれでもよく特には限定されない。本発明で用いることのできる接着剤としては特に限定されず、従来公知の有機溶剤型接着剤、反応型接着剤、ホットメルト型接着剤、エマルジョン型接着剤などの接着剤を好ましく利用することができる。
【0042】
また、天然ゴム、合成ゴムあるいはアクリル系の粘着剤、あるいはそれらによる粘着テープなども好適に用いることが可能である。これらは、接着する超高分子量ポリオレフィン発泡シートの組成あるいは接着する相手材料により好適な接着剤が異なるため、材料に応じた接着剤を選択することが好ましい。本発明においては、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの多孔面に接着剤が染みむため、接着剤が超高分子量ポリオレフィン材料にくいこみ固定され、高い接着強度を得ることが可能である。
【0043】
(請求項7記載の発明)
本発明で用いることのできる超高分子量のポリオレフィン発泡シートとしては請求項1で例示した従来公知の超高分子量のポリオレフィン発泡シートが用いられ、一方の表層にスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が、上記合成樹脂層と接合されてなるものが好ましい。上記超高分子量のポリオレフィン発泡シートとしては、請求項3〜5で例示したものが好ましく使用される。
【0044】
また、本発明において、筒体の外周面に積層される合成樹脂層には、請求項で例示した熱硬化性樹脂が好適に使用されるが、光硬化性樹脂であってもよい。
【0045】
【発明の実施の形態】
次に、請求項1記載の本発明の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体について、図面を参照して説明する。図1は本発明の接合構造体の一実施形態を示す斜視図である。図1において、1は粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリエチレン発泡シートであり、図示しない両面の表層にスキン層を有する超高分子量ポリエチレン発泡シートの一方のスキン層をスライスして得られたもので、他方のスキン層2は、殆どが非発泡の層からなり、厚さは、通常、10〜2000μmとされ、良好な耐摩耗性を発揮する。スキン層2は本発明の目的を達成する上で支障とならない程度であれば、微細な開口部を有していても良く、その割合はスキン層の全表面積に対して、通常20%以下である。
【0046】
また、一方のスキン層をスライスした側は、多孔層4を形成しており、その孔は前記スライスにより内部の発泡層3の孔の一部が表面に露出した多数の凹部からなるものであり、一般に、スキン層の反対側の表層における全表面積に対して50〜99面積%を占めている。
多孔層4は内部の発泡層3と均一な構造でもよく、また、気泡、気孔サイズが異なった構造でもよく、また、厚みなどは特に限定されない。
【0047】
5は、SUS板からなる被着体6の接合に用いられている接着剤であり、多孔層4の多数の凹部に染み込んで硬化しており、すなわち、接着剤5が超高分子量ポリオレフィン材料である発泡シート1にくいこんで固定され、超高分子量ポリオレフィン発泡シート1と被着体6とが高い接着強度をもって接合されている。
被着体6の形状は、板状、管状あるいは異型といずれでもよく特には限定されず、材質も、SUS、鉄、アルミニウムなどの金属材料、各種合成高分子材料、材木や紙などの天然高分子材料、硝子やセラミックスなどの無機材料等を、特に限定されず用いることが可能である。
【0048】
次に、請求項記載の本発明の樹脂複合管の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0049】
図2は本発明の樹脂複合管の製造方法の一実施形態を示す概略図である。この製造方法では、架台11に片持ち状態で水平に支持された円柱状のマンドレル12が使用される。このマンドレル12には、帯状の超高分子量ポリオレフィン発泡シート24(粘度平均分子量50万以上、以下、単に「発泡シート」という)が螺旋状に巻回されて筒体25を形成している。
発泡シート24は、図3に示すように、内側の表層にスキン層24aを有し、内部が発泡層24bであり、外側の表層に多数の凹部からなる多孔層24cが形成されている。
【0050】
発泡シートを巻回する方式としては、例えば、1)隣接する発泡シートの端面同士を突き合わせた状態で巻回する方式、2)端面同士を部分的に重ねた状態で巻回する方式が挙げられる。
2)の方式の場合には、後述する合成樹脂層21との接着をより強固にするために、例えば、外側の発泡シートの重ねた部分を他の部分より薄くし、厚み方向に貫通した孔を設けることにより、内側の発泡シートの重ねた部分に位置する多孔層24cの凹部に、硬化前の合成樹脂が染み込むことで、より強固に巻回することができる。
【0051】
マンドレル12上に形成された発泡シート24製の筒体25には、無端状になった推進ベルト16が巻き付けられている。この推進ベルト16は、一対のプーリ15に巻き掛けられて周回移動するようになっており、推進ベルト16が周回移動することにより、筒体25がマンドレル12の周面上を回転されて、マンドレル12の先端側へと螺旋送りされる。
【0052】
螺旋送りされる筒体25上に、補強層としての帯状の合成樹脂層21が螺旋状に巻回される。合成樹脂層21は、例えば、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステルが長繊維状のガラス繊維に含浸されて構成されている。
【0053】
筒体25は、図3に示すように、発泡シート24の多孔層24cで合成樹脂層21と接合されている。このように、発泡シート24の多孔層24cと、合成樹脂層21とが直接接触しているために、硬化前の不飽和ポリエステル樹脂が発泡シート24の多孔層24c表層から多孔層24cに染み込み、硬化して、合成樹脂層21が筒体25上に一体的に積層される。
【0054】
合成樹脂層21上には、図2に示すように、所定幅および所定厚さの樹脂モルタル層22が積層される。樹脂モルタル層22は、螺旋送りされる合成樹脂層21上に螺旋状態に積層されており、その結果、樹脂モルタル層22は繊維強化合成樹脂層21の全周に円筒状に積層される。樹脂モルタル層22は、例えば、不飽和ポリエステルと珪砂とによって構成されている。
【0055】
合成樹脂層21上に樹脂モルタル層22が積層されると、その樹脂モルタル層22上に、帯状になった合成樹脂層23が、螺旋状に積層される。この合成樹脂層23も、例えば、合成樹脂層21と同様に、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステルが長繊維状のガラス繊維に含浸されたものが使用される。
【0056】
このようにして、マンドレル12上に設けられた発泡シート24製の筒体25上に、合成樹脂層21が一体的に積層されて、さらに、樹脂モルタル層22、合成樹脂層23が順次積層されることにより、マンドレル12上には、積層体20が形成される。積層体20は、筒体25がマンドレル12上を螺旋送りされることによって全体が一体となって螺旋送りされ、マンドレル12の先端から、順次、延出して片持ち状態になる。
【0057】
マンドレル12の先端から延出した積層体20は、マンドレル12の先端側に配置された硬化炉31に、順次、導入されて、この硬化炉31内を通過する間に、遠赤外線によって加熱されて硬化される。硬化炉31を通過して硬化した積層体20は、硬化炉31の出口近傍に配置された切断機32によって、所定の長さに切断される。切断機32は、ダイヤモンドチップが周面に取り付けられた回転刃を有している。
【0058】
このように、硬化した積層体20が切断機32によって所定の長さに切断されることによって、図4に示すように、内周側に発泡シート製の筒体25が設けられてその筒体25に、合成樹脂モルタルの積層体20が積層された樹脂複合管20aが製造される。
【0059】
発泡シート24の厚さおよび幅寸法は、マンドレル12に螺旋状に巻回されるような剛性になるように、また、容易に螺旋状に成形されるように、マンドレル12の外径に基づいて、適宜設定される。発泡シート24の厚さは、通常、0.2〜10mm程度、幅寸法は40〜300mm程度が好適である。
この範囲の寸法の厚み、幅であれば、成形性が良好であり、また、得られる樹脂複合管は、耐摩耗性に優れたものとなる。
【0060】
マンドレル12は、熱可塑性シート24が容易に巻回されるように、メッキ処理等を施して表面が滑らかであることが好ましい。
【0061】
また、前記実施の形態では、筒体25上に合成樹脂層21、樹脂モルタル層22および合成樹脂層23が順番に積層された樹脂複合管20aを製造する場合について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、樹脂モルタル層を積層することなく、筒体25上に、直接、合成樹脂層21が複数層にわたって積層された樹脂複合管20aを製造する場合にも適用できる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0063】
(実施例1)
(超高分子量ポリオレフィン発泡シートの製造)
超高分子量ポリエチレン(三井石油化学工業社製「ハイゼックス・ミリオン240M」粘度平均分子量230万、融点136℃、降温結晶化ピーク温度118℃)を成形装置の原料供給ホッパから単軸押出機(スクリュー径40mm、L/D=30)に供給した。
【0064】
非反応性ガスとして二酸化炭素を用い、これをガス供給口から押出機の固体輸送部及び溶融物輸送部に20MPa の圧力で圧入した。この圧力で超高分子量ポリエチレン樹脂に対する二酸化炭素の溶解量は、約10重量%であった。
尚このとき、押出機は、スクリュー駆動軸の高圧軸シール機構とホッパ構造、及び押出機近傍の溶融状態の超高分子量ポリエチレン樹脂により、押出機内の二酸化炭素を高圧状態に保持した。
次いで、押出機に供給された樹脂をその内部で、押出量2kg/時間、スクリュー回転数10rpm、バレル設定温度230℃の条件下で十分に溶融混練した。
【0065】
続いて、金型出口の先端温度を120℃に保つことにより、金型入口での樹脂圧力を35MPa 、及び金型出口近傍での樹脂圧力を25MPa とし、金型の先端を通過する樹脂の温度を120℃として、金型から樹脂をチューブ状に押出すと共に発泡させ、その直後に押出方向に切り欠きを入れて、表裏にスキン層を有する発泡シートを製造した。
得られた超高分子量ポリエチレン発泡シートの比重は0.35、厚さは2.2mmであった。
この発泡シートを厚み方向に破断して観察したところ、スキン層は120μmで、内部の発泡層には気泡が多数観察された。
【0066】
また、上記と同じ原料を用い同じ成形条件で、金型から樹脂をチューブ状に押出すと共に発泡させ、その直後に押出方向にスリットを入れて、発泡シートを押し出しつつ、一方のスキン層をスライスして多数の凹部からなる多孔層が形成されている発泡シートを製造した。この超高分子量ポリエチレン発泡シートの比重は0.32、厚さは1.7mmであった。
【0067】
(発泡シート接合構造体の製造)
得られた発泡シートの多孔層表面および、SUS板にクロロプレン溶剤型接着剤(コニシ社製「ボンドG17」)をそれぞれ25.4×25.4mmあたり0.125gずつ塗布して、両者を接着し、発泡シート接合構造体を得た。
〔発泡シートの耐摩耗性の測定〕
得られた超高分子量ポリエチレン発泡シートのスキン層を評価面としてJISK7204に準拠して摩耗輪H22を使用し、回転数60rpm、荷重1000gで摩耗輪の回転数10000回転時での摩耗損量を測定したところ摩耗損量は86mgであった。
〔剪断接着強さの測定〕
上記発泡シート接合構造体のサンプルを万能試験機(島津製作所社製「オートグラフAG10kNG」)にて25mm/minの試験速度で剪断接着強さを測定したところ、1.85MPaの接着強さであった。
【0068】
(比較例1)
(超高分子量ポリオレフィン非発泡シートの製造)
超高分子量ポリエチレン(三井石油化学工業社製「ハイゼックス・ミリオン240M」粘度平均分子量230万、融点136℃、降温結晶化ピーク温度118℃)を160℃の条件でミキシングロールにて混練後、160℃の条件でプレスし、厚さ1 mmの超高分子量ポリエチレン非発泡シートを作製した。
【0069】
(超高分子量ポリオレフィン非発泡シート接合構造体の製造)
得られた非発泡シートの片面および、SUS板にクロロプレン溶剤型接着剤(コニシ社製「ボンドG17」)をそれぞれ25.4×25.4mmあたり0.125gずつ塗布して、両者を接着し、非発泡シート接合構造体を得た。
〔超高分子量ポリオレフィン非発泡シートの耐摩耗製の測定〕
実施例1と同様の方法で摩耗損量を測定したところ摩耗損量は258mgであった。
【0070】
〔剪断接着強さの測定〕
実施例1と同様の方法で、上記接合構造体の剪断接着強さを測定したところ、1.13MPaの接着強さであった。
【0071】
(比較例2)
超高分子量ポリエチレンシートにゴムシートが一体化され、接着性が改良されたシート(作新工業社製「ニューライトWR」)を評価した。ニューライトWRをクロロプレン系溶剤型接着剤を用いてSUS板に接合して剪断接着強さの測定サンプルとした。
【0072】
〔耐摩耗性の測定〕
実施例1と同様の方法で摩耗損量を測定したところ摩耗損量は211mgであった。
〔剪断接着強さの測定〕
実施例1と同様の方法で、上記接合構造体の剪断接着強さを測定したところ、1.80MPaの接着強さであった。
【0073】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で得られた、一方の表層にスキン層を有し、内部が発泡層であり、他方の表層が多数の凹部からなる多孔層である超高分子量ポリエチレン発泡シート(比重0.35、厚さ0.5mm、スキン層厚さ120μm)24を用い、図2で説明した製造方法により、図3及び図4に示した積層体20(筒体25:0.5mm、合成樹脂層21:2mm、樹脂モルタル層22:10mm、合成樹脂層23:2mm)を得た。
【0074】
なお、図2乃至図4において、合成樹脂層21、23として長繊維ガラス65重量%に不飽和ポリエステル樹脂35重量%を含浸したものを使用し、樹脂モルタル層22として、不飽和ポリエステル樹脂10重量%と珪砂90重量%からなるモルタルを使用した。
【0075】
得られた積層体20を切断機32によって1000mmの長さに切断し、樹脂複合管20aを得た。
【0076】
〔剪断接着強さの測定〕
得られた樹脂複合管20aを、オートグラフAG10kNG(島津製作所社製)にて25mm/minの試験速度で剪断接合強さを測定したところ、3.0MPaの接合強さであった。
【0077】
(比較例3)
実施例2と同様の超高分子量ポリエチレン発泡シート24の多孔層を内面に、スキン層を外面にして合成樹脂層21を積層したが、すぐに剥離し、積層体は得られなかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明に係る超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、粘度平均分子量が50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートが被着体と接合されており、耐摩耗性等の物性に優れている超高分子量ポリオレフィンと内部が発泡構造となっているため軽量な発泡体の特性を兼ね備えた超高分子量ポリオレフィン発泡シートの利点が活かされ得る接合構造体である。
【0079】
請求項1記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、一方の表層がスキン層で他方の表層が多数の凹部からなる多孔層を有するため、スキン層側は耐摩耗性等の物性に優れており、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が接着剤により被着体と接合されてなるので、接着剤が超高分子量ポリオレフィン材料である発泡シートにくいこんで固定され、発泡シートと被着体とが高い接着強度をもって接合されている。
【0080】
請求項2記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、被着体が熱硬化性樹脂であり、一方の表層がスキン層で他方の表層が多数の凹部からなる多孔層を有するため、スキン層側は耐摩耗性等の物性に優れており、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が被着体と接合されてなるので、硬化前の熱硬化性樹脂が超高分子量ポリオレフィン材料である発泡シートにくいこんで固定され、発泡シートと被着体とが高い接着強度をもって接合されている。さらに、被着体が熱硬化性樹脂であるので、余分な接着剤を必要とせず、低コストであり、接合プロセスも簡易である。
【0081】
請求項3記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの比重が0.85〜0.15であるので、軽量でかつ、耐摩耗性に優れている。
請求項4記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、超高分子量ポリオレフィン発泡シートが、摩耗輪による摩耗試験における摩耗損量が、同一材料の非発泡成形体と比較して、150〜25重量%の範囲であるため、摩擦に対する耐久性に極めて優れている。
【0082】
請求項5記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体は、超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体の剪断接合強度が、同一材料の非発泡成形体が同一材料の被着体と接合された接合構造体と比較して、125〜1000%であるため、耐久性に優れている。
請求項6記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体の製造方法は、上述の通りの構成であり、超高分子量ポリオレフィンにガスを溶解させて易成形状態とし、溶融混練した後に金型から押出発泡させる際に、溶解時のガス圧力以上の樹脂圧力で金型に導入し、次いで冷却しながら溶解時のガス圧力以上に保持した状態で特定の温度範囲で金型からシート状に押出して発泡させるので、生産性よく超高分子量ポリオレフィン発泡シートを製造することができ、その後、発泡シートの表層の一方のスキン層を除去して多数の凹部からなる多孔層を形成した後、該多孔層と被着体とを接合するものであるので、従来公知の接着剤などを用いて、容易に被着体と接合することが可能であり、結局、高い生産性をもって容易に、本発明の超高分子量ポリオレフィン発泡シートを製造することができる。
【0083】
請求項7記載の樹脂複合管の製造方法は、上述の通りの構成であり、マンドレル外周面に上記超高分子量ポリオレフィン発泡シートを螺旋状に巻回して筒体を形成し、形成された筒体をマンドレルに沿って螺旋送りしつつ、その筒体の外周面に合成樹脂層を積層するし、前記筒体とともに合成樹脂層を硬化させながら超高分子量ポリオレフィン発泡シートを接合するので、極めて合理的に、生産性よく、超高分子量ポリオレフィン発泡シートが合成樹脂層に接合された樹脂複合管を製造することができる。
さらに、従来の樹脂複合管の製造方法のように接着剤を必要とせず、低コスト化が図れ、超高分子量ポリオレフィン発泡シートと、被着体である合成樹脂層が直接接合されているので、接合信頼性が向上する。
さらに、マンドレルを交換することにより、任意の内径の樹脂複合管を、容易に、かつ、経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項記載の発明における超高分子量ポリオレフィン発泡シート接着構造体の一例を示す斜視図である。
【図2】 請求項記載の発明における樹脂複合管の製造方法の一実施形態を示す概略図である。
【図3】 請求項記載の発明により製造される樹脂複合管の一例の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】 請求項記載の発明により製造される樹脂複合管の一例を示す断面図である。
【図5】 請求項記載の発明により製造される樹脂複合管の別の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1;超高分子量ポリオレフィン発泡シート
2;スキン層
3;発泡層
4;多孔層
5;接着剤
6;被着体
12;マンドレル
15;プーリー
16;推進ベルト
20;積層体
20a;樹脂複合管
21;合成樹脂層
22;樹脂モルタル層
23;合成樹脂層
24;超高分子量ポリオレフィン発泡シート
24a;スキン層
24b;発泡層
24c;多孔層
25;筒体

Claims (7)

  1. 粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートが接着剤により被着体と接合された構造体であって、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの一方の表層に上記超高分子量ポリオレフィンからなるスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が被着体と接合されてなることを特徴とする超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体。
  2. 粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートが被着体と接合された構造体であって、被着体が熱硬化性樹脂であり、超高分子量ポリオレフィン発泡シートの一方の表層に上記超高分子量ポリオレフィンからなるスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層が被着体と接合されてなることを特徴とする超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体。
  3. 超高分子量ポリオレフィン発泡シートの比重が0.85〜0.15であることを特徴とする請求項1または2に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体。
  4. 超高分子量ポリオレフィン発泡シートの摩耗輪による摩耗試験における摩耗損量が、同一材料の非発泡成形体と比較して、150〜25重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体。
  5. 超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体の剪断接合強度が、同一材料の非発泡成形体が同一材料の被着体と接合された接合構造体と比較して、125〜1000%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体。
  6. 粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィンに非反応性ガスを高圧下で溶解させて易成形状態とし、押出機中で溶融混練した後に金型から押出発泡させる際に、該易成形状態の樹脂を溶解時のガス圧力以上の樹脂圧力で金型に導入し、次いで冷却しながら樹脂圧力を溶解時のガス圧力以上に保持した状態で(降温時の結晶化ピーク温度−10℃)〜(降温時の結晶化ピーク温度+10℃)の温度範囲で金型先端からシート状に押出して発泡させた後、得られた超高分子量ポリオレフィン発泡シートの表層の一方のスキン層を除去して多数の凹部からなる多孔層を形成した後、該多孔層と被着体とを接合することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の超高分子量ポリオレフィン発泡シート接合構造体、の製造方法。
  7. マンドレル外周面に、
    超高分子量ポリオレフィン発泡シートの一方の表層に上記超高分子量ポリオレフィンからなるスキン層を有し、内部が発泡層であり、多数の凹部からなる多孔層である他方の表層を有する粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィン発泡シートを上記多孔層が外側になるように螺旋状に巻回して筒体を形成する工程と、
    形成された筒体をマンドレルに沿って螺旋送りしつつ、その筒体の外周面に合成樹脂層を積層する工程と、
    前記筒体とともに合成樹脂層を硬化させながら、超高分子量ポリオレフィン発泡シートを接合する工程と、
    硬化された合成樹脂および筒体を、所定の長さに切断する工程と、
    を包含することを特徴とする樹脂複合管の製造方法。
JP2000259608A 1999-11-15 2000-08-29 ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。 Expired - Fee Related JP4237924B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000259608A JP4237924B2 (ja) 1999-11-15 2000-08-29 ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32438099 1999-11-15
JP11-324380 1999-11-15
JP2000259608A JP4237924B2 (ja) 1999-11-15 2000-08-29 ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001205760A JP2001205760A (ja) 2001-07-31
JP4237924B2 true JP4237924B2 (ja) 2009-03-11

Family

ID=26571469

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000259608A Expired - Fee Related JP4237924B2 (ja) 1999-11-15 2000-08-29 ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4237924B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4033048B2 (ja) * 2003-06-11 2008-01-16 ソニー株式会社 スピーカ振動板の製造方法及びスピーカ振動板
WO2009025678A1 (en) * 2007-08-20 2009-02-26 Levent Berksan A composite pipe for transporting hot and cold water
KR100865470B1 (ko) * 2008-02-20 2008-10-27 주식회사 사이몬 삼중관, 그 제조방법 및 제조장치
JP5993247B2 (ja) * 2012-08-24 2016-09-14 株式会社サンエー化研 電池ケース用包材
JP6083308B2 (ja) 2013-04-11 2017-02-22 株式会社デンソー 静電容量式操作装置および静電容量式操作装置の製造方法
JP5872524B2 (ja) * 2013-11-29 2016-03-01 日東電工株式会社 発泡部材
RU2764745C2 (ru) * 2017-11-24 2022-01-20 Наутибуой Марин Лимитед Способ получения надувного изделия с присоединяемой вспененной отделкой

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001205760A (ja) 2001-07-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7318961B2 (en) Polyolefin film, tape or yarn
US4303710A (en) Coextruded multi-layer polyethylene film and bag construction
RU2072919C1 (ru) Способ изготовления листового материала высокой прочности и устройство для его осуществления
JPWO2007046496A1 (ja) 熱可塑性樹脂微多孔膜の製造方法
US4390573A (en) Laminar thermoplastic film constructions
EP2268722B1 (en) Cross-linked polyolefin foam sheet comprising cork particles
CN100593092C (zh) 连续蜂窝状胞室的粘合组装所组成的平面结构
JP4237924B2 (ja) ポリオレフィン発泡シート接合構造体及びその製造方法、並びに樹脂複合管の製造方法。
EP2398632A2 (en) Multilayer structures having annular profiles and methods and apparatus of making the same
JP2005519178A (ja) ポリプロピレンフォーム及びフォームコアの構造体
JP2013227483A (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡粒子及びこれを用いた発泡成形体の製造方法、発泡成形体並びに複合発泡体
AU718513B2 (en) Multilayer polyamide film structures
WO1998043812A1 (fr) Stratifie multicouche renfermant une couche de polyolefine de poids moleculaire tres eleve, et ses procede et appareil de fabrication
JP2016188290A (ja) 複合成形品およびその製造方法
JPH04320824A (ja) 制御された配向を有する繊維により補強された熱可塑性樹脂製チューブの製造方法
JP2003220550A (ja) 研磨用パッドおよびその製造方法
JP2013203888A (ja) 複合体用発泡体及びその製造方法
JP2006130924A (ja) 多層構造
US20210339486A1 (en) Unidirectionally Fiber-Reinforced Endless Winding Ply
FR2607750A1 (fr) Procede et appareil pour la fabrication d'un article composite de section constante comprenant une ame et une enveloppe exterieure et article composite en resultant
JP2014043528A (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡粒子及びこの製造方法、発泡成形体並びに複合成形体
JP3324336B2 (ja) 易裂性ラミネートフィルム及び易裂性袋
JP6078671B2 (ja) 複合体
US20050164619A1 (en) Thermoplastic sheet abrasives and methods of making the same
JP3739258B2 (ja) プラスチック製コンクリート型枠

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080709

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080924

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081219

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121226

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121226

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131226

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees