JP4236660B2 - 衛生薄葉紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このローション成分を含む薬液が塗布された衛生薄葉紙は、肌荒れ軽減という点では効果的であるが、使用者にべたつき感を与えてしまうことがあった。特に、蒸し暑い夏場などにおいては、べたつき感という感覚の問題をこえて、現実に使用者の肌に貼り付いてしまい、鼻をかむなどの円滑な使用が妨げられるおそれもあった。
〔請求項1記載の発明〕
基材紙表面にローション成分を含む薬液が塗布された衛生薄葉紙であって、
前記薬液は、パウダー成分が分散され、かつ油性成分を含み、接着成分を含まず、
前記パウダー成分は、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方からなり、かつ、平均粒子径が40〜100μmとされ、
前記油性成分の配合質量は前記薬液全質量の10〜35%とされており、
前記薬液は、ロール転写によって、前記基材紙の一方又は双方の表面全面の5〜80%に部分的に塗布されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙。
パルプ繊維が抄紙されて得られた基材紙表面にローション成分を含む薬液が塗布された衛生薄葉紙であって、
前記薬液は、パウダー成分が分散され、かつ油性成分、柔軟剤成分及び乳化剤成分を含み、接着成分を含まず、
前記パウダー成分は、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方からなり、かつ平均粒子径が40〜100μmとされ、更に前記基材紙質量の0.5〜10%の塗布量で塗布されて前記ローション成分を含む薬液によって前記基材紙表面に定着させられており、
前記油性成分の配合質量は前記薬液全質量の10〜35%とされ、前記柔軟剤成分の配合質量は前記薬液全質量の0.5〜20%とされ、前記乳化剤成分の配合質量は前記薬液全質量の0.5〜20%とされており、
前記薬液は、ロール転写によって、前記基材紙の一方又は双方の表面全面の5〜80%に部分的に塗布されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙。
前記薬液は、デザイン性を有するように部分的に付与されている請求項1又は2記載の衛生薄葉紙。
基材紙表面にローション成分を含む薬液を塗布して衛生薄葉紙を製造する方法であって、
パルプ繊維を抄紙して基材紙を得て、
その基材紙に対して;
油性成分を10〜35%質量%含み、柔軟剤成分を0.5〜20質量%含み、乳化剤成分を0.5〜20質量%含み、接着成分を含まず、かつ、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方からなる平均粒子径が40〜100μmのパウダー成分が分散された薬液を、
着色した後に、ロール転写によって、
前記基材紙質量の0.5〜10%の塗布量で、かつ、基材紙の一方又は双方の表面全面の5〜80%に部分的にデザイン性を有するように、
塗布して前記基材紙の表面に定着させる、ことを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
〔用途〕
本形態の衛生薄葉紙は、その用途が特に限定されない。例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、ペーパーナプキン、キッチンペーパーなどとして、利用することができる。
本形態の衛生薄葉紙は、従来の衛生薄葉紙と同様に、基材紙表面にローション成分を含む薬液が塗布されている。しかしながら、この薬液は、パウダー成分が分散されており、かつ、接着成分を含まない、という特徴を有する。パウダー成分が分散されていると、べたつき感や使用者の肌への貼り付きが抑えられる。また、接着成分を含まないと、接着剤が固まって衛生薄葉紙がごわつくということがないため、ローション成分を含む薬液を塗布する目的、つまり肌荒れ軽減目的が、阻害されるおそれがない。さらに、パウダー成分がローション成分を含む薬液に分散されているので、接着成分を含まなくても、パウダー成分は、ローション成分を含む薬液が有する粘性及び表面張力等によって、基材紙表面に定着させられることになり、べたつき感抑制効果等が、確実に得られる。
このように、薬液を、デザイン性を有するように部分的に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、スプレー塗布、グラビア塗布、フレキソ塗布等によることができる。ただし、ロール転写によって、塗布するのが好ましい。デザインの制約が少なく、また、正確に塗布することができるためである。さらに好ましくは、薬液を予め着色し、ロール転写によって塗布すれば、所望の部分に色柄のあるデザインを施すことができる。このほか、薬液の塗布方法については、例えば、特開平7−216786号公報等を参考にすることができる。
本形態の衛生薄葉紙において、基材紙の原料は、特に限定されない。例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパー等の用途に応じて、適宜の原料を使用することができる。
本形態の衛生薄葉紙に使用するローション成分とは、肌触り性(風合い)を高め、あるいは保湿性、柔軟性を高め、あるいはパルプ繊維の肌への刺激を和らげ、あるいは潤い感を高めることを主眼とするものである。
油性成分の配合質量は、薬液全質量の、3〜40%、好ましくは10〜35%である。
薬液中の成分をより均一に分散させるため、乳化剤成分を添加することもできる。乳化剤成分としては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性イオン界面活性剤の中から適宜選択して用いることができ、特にアニオン系界面活性剤が好適である。各界面活性剤の具体例としては前述の柔軟剤成分と同様である。
添加率としては、薬液成分全質量の、0.5〜20%、好ましくは1〜7%を添加する。0.5%未満であると、乳化剤成分による分散性の効果が発現しにくく、逆に20%を超えると、薬液自体の物性が変化し、薬液の粘度が上がって、薬液を均一に塗布することが困難になるに恐れがある。
また、以上のローション成分を含む薬液は、pHが5.0〜6.0の弱酸性とされたものであると、肌に対して接触させても肌がアルカリ性になることがなく、薬液pHの影響による肌荒れが効果的に防止される。特に好ましいpH範囲は、5.3〜5.7である。
pHの調節は、例えば、酸性又は塩基性のpH調節剤を薬液に添加することで行うことができる。薬液が強酸性の場合には、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。他方、薬液が中性又はアルカリ性の場合には、クエン酸やリンゴ酸、乳酸などを用いることができる。
本形態のローション成分を含む薬液は、流動パラフィン3〜40質量%と、多価アルコール類40〜85質量%と、糖類0〜10質量%と、更に必要ならば10質量%以下の非イオン界面活性剤とを主剤とするのが好ましい。
多価アルコール類としては、グリセリン若しくはプロピレングリコール又はこれらの混合物からなるのが好ましい。
糖類としては、ソルビトール若しくはグルコース又はこれらの混合物からなるものが好ましい。
本形態の衛生薄葉紙において、パウダー成分の種類は、特に限定されない。例えば、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、加工澱粉、コーンスターチ、小麦粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、小麦粉タンパク質などを例示することができる。
本形態の衛生薄葉紙において、抗ウィルス剤の種類は、特に限定されない。天然(生体(動植物)内の成分中に含まれている)の抗ウィルス剤、非天然の抗ウィルス剤のいずれをも使用することができる。具体的には、例えば、オシメン、カンフェン、リモネン、サビネン、ミルセン、テルピネン、ピネン、シメン等の植物抽出成分中に含まれるモノテルペン炭化水素類や、シトロネロール、ゲラニオール、イソプレゴール、リナロール、テルピネロール等のモノテルペンアルコール類、アネトール、カルバクロール、オイゲノール、チモール、パラクレゾール、カビコール等のフェノール類、t−アネトール、チャビコールメチルエーテル、サフロール等のフェノールエーテル類、アセトアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ゲラニアール、ペリルアルデヒド、バレラナール等のアルデヒド類、アセトフェノン、カンファー、ジャスモン、ノートカトン、メントン、フェンコン、カルボン、プレゴン等のケトン類、カリオレフィンオキサイド、シネオール、ビサボロールオキサイド等の酸化物類、カテキン、プロアントシアニディン、フラボン、フラバノン、アントシアニン、フェノール類、フラボノール等のフラボノイド類、などの薬効成分の中から、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。また、以上のほかにも、例えば、アスコルビン酸、カルボン酸、クエン酸等の有機酸や、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを使用することもできる。
本形態の衛生薄葉紙は、1プライであっても、2プライ(2枚重ねで一組)、3プライ、4プライ又はそれ以上の複数プライであってもよい。複数プライとする場合は、表面を構成する基材紙のみに薬液が塗布されていても、全ての基材紙に薬液が塗布されていてもよい。また、例えば、2プライのティシュペーパーとする場合は、各基材紙(1枚)のJIS P 8124に基づく米坪(坪量)を、10〜50g/m2とするのが好ましく、12〜25.0g/m2とするのがより好ましい。坪量が、10g/m2未満であると、抄造が困難となる。他方、坪量が、50g/m2を超えると、柔らかさが低下し、使用感や収納箱からの引き出し(ポップアップ)性能が低下する。さらに、ティシュペーパーとする場合は、2枚重ね一組での紙厚が、90〜450μmであるのが好ましく、100〜300μmであるのがより好ましい。紙厚が薄すぎると、使用者が感じる紙薄感が顕著になり、また、吸水性に劣りティシュペーパーとしての機能が低下する。他方、紙厚が厚すぎると、所定枚数を収納箱に収めて製品としたときの引き出し(ポップアップ)性能に劣るようになる。
薬液全体に対する各成分(保湿性ローション成分・油性成分・柔軟剤成分・乳化剤成分・水分)の質量%を各々変え、基材紙に塗布するパウダー成分の質量%、前記薬液成分(但し水分を除く)質量%及びパウダー成分の平均粒子径(μm)を変えた実施例について、評価者を50人とする官能評価(しっとり感・べたつきの無さ・総合評価)を行った。条件及び結果を表1に示した。
なお、「しっとり感」については、しっとり感があると感じた場合を5、しっとり感がややあると感じた場合を4、どちらでもないと感じた場合を3、しっとり感があまりないと感じた場合を2、しっとり感がないと感じた場合を1とした。また、「べたつきの無さ」については、べたつきが無いと感じた場合を5、べたつきがあまり無いと感じた場合を4、どちらでもないと感じた場合を3、べたつきがややあると感じた場合を2、べたつきがあると感じた場合を1とした。さらに、「総合評価」については、とても良いと感じた場合を◎、良いと感じた場合を○、普通と感じた場合を△、悪いと感じた場合を×、とても悪いと感じた場合を××とする5段階評価とした。
Claims (4)
- 基材紙表面にローション成分を含む薬液が塗布された衛生薄葉紙であって、
前記薬液は、パウダー成分が分散され、かつ油性成分を含み、接着成分を含まず、
前記パウダー成分は、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方からなり、かつ、平均粒子径が40〜100μmとされ、
前記油性成分の配合質量は前記薬液全質量の10〜35%とされており、
前記薬液は、ロール転写によって、前記基材紙の一方又は双方の表面全面の5〜80%に部分的に塗布されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙。 - パルプ繊維が抄紙されて得られた基材紙表面にローション成分を含む薬液が塗布された衛生薄葉紙であって、
前記薬液は、パウダー成分が分散され、かつ油性成分、柔軟剤成分及び乳化剤成分を含み、接着成分を含まず、
前記パウダー成分は、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方からなり、かつ平均粒子径が40〜100μmとされ、更に前記基材紙質量の0.5〜10%の塗布量で塗布されて前記ローション成分を含む薬液によって前記基材紙表面に定着させられており、
前記油性成分の配合質量は前記薬液全質量の10〜35%とされ、前記柔軟剤成分の配合質量は前記薬液全質量の0.5〜20%とされ、前記乳化剤成分の配合質量は前記薬液全質量の0.5〜20%とされており、
前記薬液は、ロール転写によって、前記基材紙の一方又は双方の表面全面の5〜80%に部分的に塗布されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙。 - 前記薬液は、デザイン性を有するように部分的に付与されている請求項1又は2記載の衛生薄葉紙。
- 基材紙表面にローション成分を含む薬液を塗布して衛生薄葉紙を製造する方法であって、
パルプ繊維を抄紙して基材紙を得て、
その基材紙に対して;
油性成分を10〜35%質量%含み、柔軟剤成分を0.5〜20質量%含み、乳化剤成分を0.5〜20質量%含み、接着成分を含まず、かつ、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方からなる平均粒子径が40〜100μmのパウダー成分が分散された薬液を、
着色した後に、ロール転写によって、
前記基材紙質量の0.5〜10%の塗布量で、かつ、基材紙の一方又は双方の表面全面の5〜80%に部分的にデザイン性を有するように、
塗布して前記基材紙の表面に定着させる、ことを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
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