JP4234943B2 - 光学活性イソマンニド誘導体及びその製造方法、光反応型キラル剤、液晶組成物、液晶カラーフィルター、光学フィルム及び記録媒体、並びに液晶の螺旋構造を変化させる方法、液晶の螺旋構造を固定化する方法 - Google Patents

光学活性イソマンニド誘導体及びその製造方法、光反応型キラル剤、液晶組成物、液晶カラーフィルター、光学フィルム及び記録媒体、並びに液晶の螺旋構造を変化させる方法、液晶の螺旋構造を固定化する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性を有する光学活性イソマンニド誘導体、その製造方法、液晶構造に変化を起こさせる光反応型キラル剤、これを含む液晶組成物、液晶カラーフィルター、光学フィルム及び記録媒体、並びに液晶の螺旋構造を変化若しくは固定化させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶材料が注目され、例えば、螺旋構造を有し、該螺旋の捻れ力(捻れ角)により多彩な選択反射色を示すコレステリック液晶化合物等は、その選択反射性や選択反射光の色純度に優れることから、光学フィルム、液晶カラーフィルター、あるいは記録媒体等に広く使用されている。
その具体例として、カラーフィルターを例にとってその現状を以下に述べる。
【0003】
例えば、カラー液晶ディスプレー等に用いられるカラーフィルターは、一般に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各画素と、その間隙に表示コントラストの向上を目的とするブラックマトリクスとが形成されて構成される。このようなカラーフィルターは、従来、樹脂中に顔料を分散させたものや染料を染着させたものが主流であり、その製造方法も、着色樹脂液をスピンコート等によりガラス基板上に塗布して着色レジスト層を形成し、フォトリソグラフィ法によるパターニングを行ってカラーフィルター画素を形成したり、着色画素を基板に直接印刷したりする方法が一般的であった。
【0004】
しかし、例えば、印刷法による製造方法では、画素の解像度が低く高精細な画像パターンの形成には対応が難しいという欠点があり、スピンコート法による製造方法では材料ロスが大きく、また大面積の基板に塗布する場合の塗布ムラが大きいといった欠点があった。また電着法による製造方法によると、比較的解像度が高く、着色層のムラも少ないカラーフィルターを得ることができる反面、製造工程が煩雑であり液管理も難しいといった難点を有していた。
以上より、カラーフィルターの製造工程としては、材料ロスが少なく高効率に且つ簡便に、高品質なカラーフィルターを製造しうる製造方法が要望されていた。
【0005】
一方、カラーフィルターの性能としては、透過率、色純度が高いことが求められ、近年、染料を用いた方法では染料の種類や染着樹脂を最適化したり、顔料を用いる方法ではより微細分散した顔料を用いることにより上記要求に対する向上が図られてきた。しかしながら、最近の液晶ディスプレイ(LCD)パネルにおける、カラーフィルターの透過率、色純度に対する要求は極めて高く、特に反射型LCD用カラーフィルターにおいては、ペーパーホワイトの白表示とコントラスト、及び色再現性の両立が難しい一方、従来の製造方法における、樹脂中に染料を染着させ、或いは顔料を分散させて製造されるカラーフィルターは、いずれも光吸収型のカラーフィルターであるため、透過率の更なる向上による色純度の改善は略限界に達していた。
【0006】
以上のような状況に対して、コレステリック液晶を主成分とする偏光利用型カラーフィルターが最近注目されている。この偏光利用型カラーフィルターは、一定の光量を反射しそれ以外を透過して画像表示を行うため、光の利用効率が本来高く、透過率及び色純度の点でも光吸収型のカラーフィルターよりも卓越した性能を有する。他方、その製造方法には、均一厚が得られる観点から、スピンコート法等を用いて基板上に成膜する方法が一般に行われてきたが、材料ロスが大きいといった問題がありコストの点で不利であった。
【0007】
上記問題を解決し、カラーフィルター膜の色純度等の均一性を確保することができ、しかも製造工程数の低減をも実現しうる手段として、光反応型のキラル化合物(カイラル化合物)を用いる方法が有効である。この方法は、光反応型のキラル化合物を含む液晶組成物に該キラル化合物の反応波長の光をパターン状に照射すると、その照射エネルギーの強度に応じてキラル化合物の反応が進行し、液晶化合物の螺旋ピッチ(螺旋の捻れ角)が変化するので、光量差のあるパターン露光のみにより画素ごとに選択反射色が形成されるという原理を用いている。つまり、カラーフィルター形成時におけるパターニングの回数は透過光量の異なるマスクを用いた1回のマスク露光で完了し得るというメリットがある。
従って、画像様に光照射してパターニングした後、パターニングされたコレステリック液晶化合物を固定化することにより、カラーフィルターとして機能する膜を形成できる。この手法は、光学用のフィルムや画像の記録等にも応用できる。
【0008】
特に、1回のマスク露光によってカラーフィルターを作製する場合などは、B(青色)、G(緑色)、R(赤色)の3原色を一回の露光で色純度良く形成できることが望まれる。しかし、液晶の捻れの変化率が小さい場合には十分な色純度が得られない。従って、1回の露光で色純度の高い3原色を表示させる観点では、実用的には、用いる光反応型のキラル化合物として、液晶化合物の螺旋構造の捻れ力を大きく変化させ得る、捻れ変化率の大きいキラル化合物(キラル剤)を用いる必要がある。即ち、捻れ変化率の大きいキラル化合物を用いることにより、その光量変化により選択反射する色相の幅を拡げることができる。
【0009】
このようなキラル剤として、先に本出願人により、桂皮酸誘導体によってエステル化されたイソマンニド骨格を持つ光反応型キラル剤の出願(特願2001−5741)がなされている。また、WO00/34808には、ベンジリデンメントン型の光反応型キラル剤が開示されている。
一方、マスク露光に用いる光源は、一般的には365nmに輝線を有する超高圧水銀ランプであり、マスク露光の際に高感度で、即ちキラル化合物の反応を速くするためには、この波長領域におけるキラル剤のモル吸光係数が大きいことが望ましい。
しかしながら、上記に記載のキラル剤は、365nmにおけるモル吸光係数が小さくマスク露光の際に感度が低いという問題を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、照射する光量により液晶の螺旋ピッチ(捻れ力、螺旋の捻れ角)等の配向構造を変化させ得る光反応性を備え、しかも、例えばネマチック液晶化合物を含むコレステリック液晶相の場合に、選択反射可能な波長領域の幅が広く多彩な選択反射を示し、特に3原色(B、G、R)を色純度高く表示させることができるなど、その螺旋ピッチ(捻れ力)を大きく変化させることの可能な光反応型キラル剤は、未だ提供されていないのが現状である。
【0011】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、第一に、感光性を有し、光により異性化して構造変化し得る、且つ光異性化後のシス体の熱安定性に優れた新規な光学活性化合物を提供することを目的とする。
第二に、液晶性化合物の配向を制御し得、かつ光による液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)の変化率(以下、「捻れ変化率」ということがある。)が大きく、例えばコレステリック液晶相の場合には、3原色(B、G、R)を含む広範な選択反射が可能で、色純度の高い3原色を表示させ得る光反応型キラル剤を提供することを目的とする。
第三に、光により液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を変化でき、且つその捻れ変化率の大きい光反応型キラル剤を含み、光により液晶分子の配向状態を大きく立体的に制御して光学特性を変化しうる液晶組成物、例えばコレステリック液晶の場合には、光照射により3原色を含む広範な選択反射色を示し、しかも色純度に優れた3原色の表示が可能な液晶組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、第四に、捻れ変化率の大きい光反応型キラル剤を含む液晶組成物に光照射して液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を大きく変化させうる、液晶の螺旋構造を変化させる方法を提供することを目的とする。
第五に、捻れ変化率の大きい光反応型キラル剤を含む液晶組成物に対し、画像様に露光した後、パターン化された螺旋ピッチを損なわず維持された状態で固定化でき、特に液晶相がコレステリック液晶相の場合には、所望の選択反射色に液晶の螺旋構造を固定化し、色純度の高い色相を得ることのできる、液晶の螺旋構造を固定化する方法を提供することを目的とする。
【0013】
更に本発明は、第六に、光照射により液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を大きく変化させ得る光反応型キラル剤を含み、色純度の高い液晶カラーフィルターを提供することを目的とする。
第七に、光照射により液晶の捻れ力を大きく変化させ得る光反応型キラル剤を含む非光吸収型の光学フィルム、例えばコレステリック液晶相の場合には、選択反射域が広範で色純度の高い光学フィルムを提供することを目的とする。
第八に、光照射により液晶の捻れ力を大きく変化させ得る光反応型キラル剤を含み、画像様に光量を変化させることにより鮮明な画像を形成し得る記録媒体、例えば液晶相がコレステリック液晶相の場合には、色相が広範で色純度の高い選択反射色よりなる画像を形成し得る記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の手段は、以下の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体。
【化3】
Figure 0004234943
〔一般式(I)中、R1とR9はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、又は、−NR1718(該R17とR18はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は、置換もしくは無置換のアリール基を示す。)を表す。 3 、R 、R 6 、R 11 、R 13 、及びR 14 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は、置換もしくは無置換のアルコキシ基を表す。R7とR15及びR8とR16はそれぞれ独立に水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R2とR4及びR10とR12は互いに結合して5員環叉は6員環を形成している。〕
<2> 下記一般式(II)及び一般式(III)で表されるアリールハライドと下記一般式(IV)で表されるイソマンニド誘導体とを反応させることを特徴とする上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体の製造方法。
【化4】
Figure 0004234943
〔一般式(II)〜(IV)中のR1〜R16は、上記一般式(I)中のR1〜R16とそれぞれ同義である。〕
<3> 上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体からなる光反応型キラル剤。
<4> 少なくとも液晶性化合物と、上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む液晶組成物。
<5> 重合性基を少なくとも1個有する液晶性化合物と、上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種と、光重合開始剤とを含む液晶組成物。
<6> 上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体と前記光重合開始剤とが、それぞれ異なる感光波長領域を持つ上記<5>に記載の液晶組成物。
<7> 上記<4から<6>のいずれかに記載の液晶組成物に光を照射して、一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の構造を変化させる、液晶の螺旋構造を変化させる方法。
<8> 上記<4>から<6>のいずれかに記載の液晶組成物に対して、一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の感光波長領域の光を画像様に照射した後、光重合開始剤の感光波長領域の光を照射して光重合を行う工程を有する、液晶の螺旋構造を固定化する方法。
<9> 少なくとも液晶性化合物と、上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む液晶カラーフィルター。
<10> 少なくとも液晶性化合物と、上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む光学フィルム。
<11> 少なくとも液晶性化合物と、上記<1>に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む記録媒体。
【0015】
【発明の実施の形態】
(光学活性イソマンニド誘導体)
以下に、本発明の光学活性イソマンニド誘導体について、詳細に説明する。
本発明の光学活性イソマンニド誘導体は、下記に示す一般式(I)で表される光学活性化合物であり、それ自身光によってシス−トランス異性化し、構造変化するものであり、特に365nm付近の波長領域に感光性を有する。
【0016】
【化5】
Figure 0004234943
【0017】
上式(I)中、R1とR9はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−NR1718、(該R17とR18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を示す。)を表す。R2とR10はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R3〜R6とR11〜R14はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。R7とR15及びR8とR16はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基を表す。R2とR4及びR10とR12は互いに結合して5員環叉は6員環を形成してもよい。
【0018】
1とR9で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキル基が特に好ましい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基が好ましく、中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基が特に好ましい。
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、アセチルオキシメチル基等が挙げられる。
【0019】
1とR9で表されるアルケニル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数2〜30のアルケニル基が好ましく、総炭素数2〜20のアルケニル基が特に好ましい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基が好ましく、特にアリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基が好ましい。
上記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、フェニルエテニル基、4−ペンチルオキシフェニルエテニル基、メトキシビニル基等が挙げられる。
【0020】
1とR9で表されるアリール基、複素環基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数4〜40のアリール基、複素環基が好ましく、総炭素数4〜30のアリール基、複素環基が特に好ましい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基が好ましく、中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ヒドロキシル基が特に好ましい。上記アリール基の具体例としては、フェニル基、β−ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−ベンゾイルオキシフェニル基、ピリミジン−2−イル基等が挙げられる。
また、上記複素環基の具体例としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、ベンゾフラン環等が好ましく、中でもピリジン環、ピリミジン環が好ましい。
【0021】
1とR9で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルコキシ基が特に好ましい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基が好ましく、中でも、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましい。
上記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、ブチルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、アセチルオキシヘキシルオキシ基、ベンゾイルオキシドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
1とR9で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数4〜40のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数4〜30のアリールオキシ基が特に好ましく、また、アリール部は複素環であってもよい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基が特に好ましい。
上記アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、4−フェノキシカルボニルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0023】
1とR9で表される−NR1718基内のR17とR18は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を示す。
【0024】
17とR18で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜12のアルキル基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基アリール基が好ましい。
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0025】
17とR18で表されるアリール基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、総炭素数6〜20のアリール基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基が好ましく、特にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
上記アリール基の具体例としては、フェニル基、β−ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−フルオロフェニル基が挙げられる。
上記した−NR1718で表される基の中でも、特に−NHR17が好ましい。
【0026】
また、R1とR9で表される上述のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−NR1718は、下記に示す基で置換されていてもよい。
【0027】
【化6】
Figure 0004234943
【0028】
以上、上述したR1とR9で表される基の中でも、R1とR9がアルキル基叉はアリール基を表す場合が好ましく、特にR1とR9が同一のアルキル基叉はアリール基を表す場合が好ましい。
【0029】
2とR10で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、特に総炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基が好ましい。
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0030】
2とR10で表されるアリール基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、特に総炭素数6〜20のアリール基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
上記アリール基の具体例としては、フェニル基、β−ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
上述したR2とR10で表される基の中でも、R2とR10が水素原子又は後述するR2とR4及びR10とR12が互いに結合して5員環又は6員環を形成する場合が好ましい。また、R2とR10が同一の基を示す場合が好ましい。
【0031】
3〜R6とR11〜R14で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
3〜R6とR11〜R14で表されるアルキル基は、前述のR2とR10で表されるアルキル基と同義であり、好ましい基も同様である。
3〜R6とR11〜R14で表されるアルキコキシ基は、無置換でも置換されていてもよく、総炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、特に総炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子が好ましい。具体例としては、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0032】
上述したR3〜R6とR11〜R14で表される基の中でも、R3〜R6及びR11〜R14が水素原子、アルキル基、アルコキシ基を示すものが好ましく、特にR3〜R6の全てが水素原子又は何れか1つの置換基がアルキル基又はアルコキシ基を示す場合、且つR11〜R14の全てが水素原子又は何れか1つの置換基がアルキル基又はアルコキシ基を示す場合が好ましい。またR3とR11、R4とR12、R5とR13、R6とR14が同一の基を示す場合が好ましい。
【0033】
7とR15で表されるアルキル基は、前述のR2とR10で表されるアルキル基と同義であり、好ましい基も同様である。特に、R7及びR15として水素原子が好ましく、またR7とR15が同一の基を示す場合が好ましい。
8とR16で表されるアルキル基は、前述のR2とR10で表されるアルキル基と同義であり、好ましい基も同様である。特に、R8及びR16でとして水素原子が好ましく、またR8とR16が同一の基を示す場合が好ましい。
【0034】
2とR4が互いに結合して5員環又は6員環を形成する場合、該環を構成する原子が炭素原子及び窒素原子であるもの、又は炭素原子、窒素原子及び酸素原子であるものが好ましい。
特に下記式で示される5員環又は6員環が好ましい。
【0035】
【化7】
Figure 0004234943
【0036】
10とR12が互いに結合して5員環又は6員環を形成する場合も、該環を構成する原子が炭素原子及び窒素原子であるもの、又は炭素原子、窒素原子及び酸素原子であるものが好ましい。
特に好ましい5員環又は6員環も同様で、上記式中のR1、R3、R5、R6をそれぞれR9、R11、R13、R14に変えたものが好ましい。
【0037】
本発明の一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体には、イソマンニド核とベンゼン環の間に二重結合が存在するので、両者の配置の違いによる幾何異性体(シス体とトランス体)が存在する。本発明の光学活性イソマンニド誘導体としては、シス体もトランス体も又その混合物も含むが、捻り力の変化率が大きく且つ合成容易性の観点より、照射前はトランス体で光の照射によりシス体に構造変化するものの方が好ましい。
【0038】
以下に、本発明の一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の具体例(例示化合物1−1〜49、2−1〜27、3−1〜7、4−1〜4、5−1〜5)を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではなく、幾何異性体であるシス体も含むものとする。
【0039】
【化8】
Figure 0004234943
【0040】
【化9】
Figure 0004234943
【0041】
【化10】
Figure 0004234943
【0042】
【化11】
Figure 0004234943
【0043】
【化12】
Figure 0004234943
【0044】
【化13】
Figure 0004234943
【0045】
【化14】
Figure 0004234943
【0046】
【化15】
Figure 0004234943
【0047】
【化16】
Figure 0004234943
【0048】
【化17】
Figure 0004234943
【0049】
【化18】
Figure 0004234943
【0050】
【化19】
Figure 0004234943
【0051】
【化20】
Figure 0004234943
【0052】
【化21】
Figure 0004234943
【0053】
【化22】
Figure 0004234943
【0054】
【化23】
Figure 0004234943
【0055】
【化24】
Figure 0004234943
【0056】
【化25】
Figure 0004234943
【0057】
【化26】
Figure 0004234943
【0058】
(イソマンニド誘導体の合成)
次に、本発明の前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の合成方法について詳細に説明する。
前記一般式(I)で表されるイソマンニド誘導体の合成は、(1)イソマンニドと対応するカルボン酸クロリドを塩基性条件下でエステル化する方法、(2)イソマンニドと対応するカルボン酸をDCC等の脱水剤を用いて縮合する方法、(3)イソマンニドと対応するカルボン酸との光延反応等によって行うことができる。
上記対応するカルボン酸クロリドは、カルボン酸と塩化オキザリル叉は塩化チオニル等との反応により得ることができ、また、上記対応するカルボン酸は、対応するアリールアルデヒドとマロン酸とのクネーフェナーゲル反応、若しくはカルボメトキシメチレントリフェニルホスホラン等とのウィッティヒ反応の後に加水分解する方法、又は対応するアリールブロミド等のアリールハライドとアクリル酸等若しくはアクリル酸エステル等とのヘック反応による方法等により得ることができる。
【0059】
また、下記の方法によっても合成することができる。
【化27】
Figure 0004234943
【0060】
上記で、一般式(II)中のX1及び一般式(III)中のX2は、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、中でも臭素叉は沃素が好ましく、特に沃素が好ましい。
【0061】
即ち、一般式(I)で表されるイソマンニド誘導体は、ハロゲン化アリールとオレフィンとのカップリング反応で合成することができる。
上記カップリング反応は、反応を加速するために、遷移金属触媒、塩基、溶媒、必要に応じてその他の添加剤を共存させて行うことが好ましい。尚、上記カップリング反応の詳細は、「Organic Reactions」 <27>、345(1982)に記載の方法等を用いることが出来る。
【0062】
また、一般式(II)及び一般式(III)の化合物は、一般式(IV)の化合物に対して、それぞれ1.0〜5.0当量を用いるのが好ましく、特に1.0〜2.0当量を用いるのが好ましい。
【0063】
前記遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒が好ましく、特にパラジウム触媒が好ましい。
上記パラジウム触媒としては、いわゆる0価パラジウム触媒、2価パラジウム触媒の何れでもよく、具体的には、Pd(PPh34、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、Pd(OAc)2、PdCl2、PdCl2(PPh32等が挙げられる。
また、前記遷移金属触媒としてパラジウム触媒を用いた場合の添加量は、一般式(IV)の化合物に対して、0.005〜0.3当量を添加するのが好ましく、特に0.01〜0.2当量を添加するのが好ましい。
【0064】
前記塩基としては、無機塩基及び有機塩基の何れでもよく、具体的には、炭酸カルシウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、酢酸カリウム等が挙げられる。また、塩基の添加量は、一般式(IV)の化合物に対して、2.0〜10.0当量を添加するのが好ましく、特に2.0〜5.0当量を添加するのが好ましい。
【0065】
前記溶媒としては、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、アセトニトリル、トルエンが好ましく、特にDMF、トルエンが好ましい。また、溶媒の添加量は、一般式(IV)の化合物1モルに対して、1.0〜10Lを添加するのが好ましく、特に1.0〜5.0Lを添加するのが好ましい。
【0066】
前記その他の添加剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等のホスフィン系の配位子;テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩;硝酸銀等の金属塩を用いることが出来る。
【0067】
前記その他の添加剤の添加量は、それぞれの役割に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、ホスフィン系の配位子の場合は、一般式(IV)の化合物に対して、0.01〜0.4当量を添加するのが好ましく、特に0.05〜0.3当量を添加するのが好ましい。
また、4級アンモニウム塩の場合は、一般式(IV)の化合物に対して、1.0〜5.0当量を添加するのが好ましく、特に2.0〜4.0当量を添加するのが好ましい。
【0068】
金属塩の場合は、一般式(IV)の化合物に対して、1.0〜5.0当量を添加するのが好ましく、特に2.0〜4.0当量を添加するのが好ましい。
また、反応温度としては、20℃〜200℃が好ましく、特に50℃〜120℃が好ましい。
【0069】
また、一般式(I)中のR2及びR10が水素原子を示す場合には、下記反応式により合成することもできる。
【化28】
Figure 0004234943
【0070】
即ち、前述の方法により化合物(A)を得た後、ニトロ基の還元によりアミノ体(B)を得る。この還元反応は、鉄粉や亜鉛等による公知の還元方法を使用することができる。一般式(I)の化合物は、(1)化合物(B)と対応する酸クロリドを塩素性条件下で反応させる方法、(2)化合物(B)と対応するカルボン酸をDCC等の脱水剤を用いて縮合する方法、(3)化合物(B)と対応するイソシアナートを反応させる方法等で合成することができる。
また、上記の方法により合成した一般式(I)の化合物に、更にアシル化、エステル化等の官能基変更により他の一般式(I)の化合物に導くことも可能である。
【0071】
(光反応型キラル剤)
本発明の光反応型キラル剤は、前記の光学活性イソマンニド誘導体よりなり、液晶性化合物の配向構造を制御し得ると共に、光の照射により構造異性化して液晶の螺旋ピッチ、即ち螺旋構造の捻れ力HTP(ヘリカルツイスティングパワー)を変化させることができる特質を有する。即ち、液晶性化合物、好ましくはネマチック液晶化合物に誘起する螺旋構造の捻れ力の変化を光照射(紫外線〜可視光線〜赤外線)によって起こさせる化合物であり、必要な部位(分子構造単位)として、キラル部位(カイラル部位)と光の照射によって構造変化を生じる部位とを有する。
【0072】
しかも、前記イソマンニド誘導体からなる光反応型キラル剤は、特に液晶分子のHTPを大きく変化させることができる。従って、例えば、液晶性化合物にネマチック液晶化合物を用いたコレステリック液晶(液晶相)の場合には、B(青色)、G(緑色)、R(赤色)の3原色を含む広範囲の波長領域にわたる選択反射が可能となる。即ち、光の波長の選択反射特性は、液晶分子の螺旋構造の捻れ角により決まり、その角度が大きく変化するほど選択反射する色幅が広範となり有用となる。
【0073】
また、前記イソマンニド誘導体からなる光反応型キラル剤が、その同一分子内に重合性の結合基が1個以上導入された構造である場合には、該光反応型キラル剤を含む液晶組成物や、例えば液晶カラーフィルター、光学フィルム等の耐熱性を向上させることができる。
【0074】
前記イソマンニド誘導体からなる光反応型キラル剤の分子量としては、500以上が好ましい。また、後述する液晶性化合物との溶解性の高いものが好ましく、その溶解度パラメーター(SP)値が、液晶性化合物に近似するものがより好ましい。
【0075】
尚、前記HTPは、液晶の螺旋構造の捻れ力、即ち、HTP=1/(ピッチ×キラル剤濃度〔質量分率〕)を表し、例えば、ある温度での液晶分子の螺旋ピッチ(螺旋構造の一周期;μm)を測定し、この値をキラル剤の濃度から換算〔μm-1〕して求めることができる。
光反応型キラル剤により光の照度により選択反射色を形成する場合、前記HTPの変化率(=照射前のHTP/照射後のHTP)としては、照射後にHTPがより小さくなる場合には1.5以上が好ましく、更に2.5以上がより好ましく、照射後にHTPがより大きくなる場合には0.7以下が好ましく、更に0.4以下がより好ましい。
【0076】
また、本発明の光反応型キラル剤は、捻れ力の温度依存性が大きいキラル化合物など、光反応性のない公知のキラル剤と併用することもできる。
上記光反応性のない公知のキラル剤としては、例えば、特開2000−44451号、特表平10−509726号、WO98/00428、特表2000−506873号、特表平9−506088号、「Liquid Crystals」(1996、<21>、327)、「Liquid Crystals」(1998、<24>、219)等に記載のキラル剤が挙げられる。
【0077】
(液晶組成物)
本発明の液晶組成物は、少なくとも1種の液晶性化合物(好ましくはネマチック液晶化合物)と、前記本発明の光学活性イソマンニド誘導体(即ち、光反応型キラル剤)より選択される少なくとも1種とを含んでなり、前記液晶性化合物は、重合性基を有していても有していなくてもよい。
また必要に応じて、重合性モノマー、重合開始剤や、バインダー樹脂、溶媒、界面活性剤、重合禁止剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤等の他の成分を含んでいてもよい。本発明の液晶組成物は、特に界面活性剤を併用することが好ましい。例えば、塗布液状の液晶組成物を塗布して層を形成する場合など、層表面の空気界面における液晶分子の配向状態を立体的に制御でき、特にコレステリック液晶相の場合には、より色純度の高い選択反射波長を得ることができる。
【0078】
(光学活性イソマンニド誘導体)
前記光学活性イソマンニド誘導体としては、光反応型キラル剤として、前述の一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体を含有し、液晶分子の配向構造を立体的に制御すると共に、所望のパターン及び光量で光照射することによって、共存する液晶性化合物、好ましくはネマチック液晶化合物の螺旋構造を変化させる。
前記光学活性イソマンニド誘導体(光反応型キラル剤)の含有量としては、特に制限はなく適宜選択できるが、液晶組成物の全固形分(質量)の0.1〜30質量%程度が好ましい。
【0079】
(液晶性化合物)
液晶性化合物としては、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、重合性液晶化合物の中から適宜選択することができる。例えば、スメクティック液晶化合物、ネマチック液晶化合物などを挙げることができ、中でも、ネマチック液晶化合物が好ましい。例えば、液晶性化合物にネマチック液晶化合物を用い、これに前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体を併用することによって、コレステリック液晶組成物(コレステリック液晶相)とすることができる。
前記液晶性化合物は、溶融時の液晶状態にある間に、例えばラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いる等により配向させることができる。また、液晶状態を固相にして固定化する場合には、冷却或いは重合等の手段を用いることができる。
【0080】
前記液晶性化合物の具体例としては、WO95/22586、特願2000−51089、特願2000−68479、特願平11−91162に記載の化合物を挙げることができる。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。このような液晶性化合物の一例を下記に示す。
【0081】
【化29】
Figure 0004234943
【0082】
【化30】
Figure 0004234943
【0083】
【化31】
Figure 0004234943
【0084】
上式中、nは1〜1000の整数を表す。
上記各例示化合物においては、芳香環の連結基が以下の構造に変わったものも同様に好適なものとして挙げることができる。
【0085】
【化32】
Figure 0004234943
【0086】
上記の中でも、十分な硬化性を確保し、層の耐熱性を向上させる観点からは、分子内に重合性基あるいは架橋性基を有する液晶性化合物が好ましい。
【0087】
液晶性化合物の含有量としては、液晶組成物の全固形分(質量)の30〜99.9質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましい。該含有量が30質量%未満であると、配向が不十分となることがあり、特にコレステリック液晶の場合には所望の選択反射色が得られないことがある。
【0088】
(光重合開始剤)
本発明の液晶組成物は光重合開始剤を含有させることもでき、該光重合開始剤の併用により重合性基の重合反応を促進し、光照射により液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を変化させた後の螺旋構造を固定化して、固定化後の液晶組成物の強度をより向上させることができる。液晶の螺旋構造の固定化に、重合性の液晶性化合物による重合反応を利用した場合には光重合開始剤を添加することが好ましい。例えば、液晶相がコレステリック液晶相である場合には、所望の螺旋ピッチが安定的に得られ、色純度の高い選択反射色を確保することができる。
【0089】
上記光重合開始剤としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等、更にビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等の特開平10−29997号公報に記載のビスアシルホスフィンオキシド類、LucirinTPO等のDE4230555等に記載のアシルホスフィンオキシド類等が挙げられる。
【0090】
上記光重合開始剤の添加量としては、液晶組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。該添加量が0.1質量%未満であると、光照射時の硬化効率が低いため長時間を要することがあり、20質量%を越えると、紫外線領域から可視光領域での光透過率が劣ることがある。
【0091】
既述の通り、本発明の液晶組成物においては、前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体と光重合開始剤とを併含し、前記光学活性イソマンニド誘導体は光により異性化(トランス−シス)して液晶の螺旋ピッチを変化させ得るものであり、前記光重合開始剤は光により重合性基の重合反応を促進させ得るものであるので、光学活性イソマンニド誘導体と光重合開始剤とが、光源波長に対して、それぞれ異なる感光波長領域を持つことが好ましい。ここで、異なる感光波長を持つとは、両者の感光中心波長が重ならず、例えば、画像の表示特性や選択反射による色相純度の低下等を起こさない程度に、画像様露光時又は重合硬化時に互いに液晶配向を変化させないことを意味する。感光中心波長が重ならないようにするには、両者の分子構造によることの他、バンドパスフィルター等を通して照射光の波長を制御することでも行うことができる。
【0092】
両者が互いに異なる波長の光に感光(感応)することによって、画像様に照射して液晶分子をパターン状に配向させた後、パターン状に配向してなる液晶の螺旋ピッチに影響を与えることなく固定化し、所望の螺旋ピッチよりなる画像を得ることができる。例えば、液晶相がコレステリック液晶相である場合には、所望の螺旋ピッチよりなる選択反射色を示し、色純度に優れた色相を得ることができる。
【0093】
(重合性モノマー)
本発明の液晶組成物には、例えば膜強度等の硬化の程度を向上させる目的で、重合性モノマーを併用してもよい。該重合性モノマーを併用すると、光照射による液晶の捻れ力を変化(パターニング)させた後(例えば、選択反射波長の分布を形成した後)、その螺旋構造(選択反射性)を固定化し、固定化後の液晶組成物の強度をより向上させることができる。但し、前記液晶性化合物が同一分子内に重合性基を有する場合には、必ずしも添加する必要はない。
【0094】
前記重合性モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和結合を持つモノマー等が挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
前記エチレン性不飽和結合を持つモノマーの具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる、但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0095】
【化33】
Figure 0004234943
【0096】
上記重合性モノマーの添加量としては、液晶組成物の全固形分(質量)に対して、0.5〜50質量%が好ましい。該添加量が、0.5質量%未満であると、十分な硬化性を得ることができないことがあり、50質量%を越えると、液晶分子の配向を阻害し十分な発色が得られないことがある。
【0097】
(他の成分)
更に他の成分として、バインダー樹脂、溶媒、界面活性剤、重合禁止剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤等を添加することもできる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン化合物、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載のメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0098】
また、アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー及びメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマーも挙げられ、これらについては、アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基等のものを挙げることができる。
その他、水酸基を有するポリマーに酸無水物を添加させたもの、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタアクリル酸のホモポリマータ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーの多元共重合体等が挙げられる。
【0099】
前記液晶組成物中における上記バインダー樹脂の含有量としては、0〜50重量%が好ましく、0〜30重量%がより好ましい。該含有量が50重量%を超えると、液晶性化合物の配向が不十分となることがある。
【0100】
本発明の液晶組成物においては、光反応性キラル剤及び液晶性化合物と共に界面活性剤を併用することが好ましい。該界面活性剤としては、排除体積効果を及ぼす界面活性剤が好ましい。ここで、排除体積効果を及ぼすとは、例えば塗布により液晶組成物を含む層を形成した際の、この層表面の空気界面での空間的な配向状態を立体的に制御することをいう。具体的には、ノニオン系の界面活性剤が好ましく、公知のノニオン系界面活性剤の中から適宜選択して使用することができる。
【0101】
前記重合禁止剤は、保存性の向上の目的で添加することができる。例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。該重合禁止剤の添加量としては、前記重合性モノマーに対して0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
【0102】
本発明の液晶組成物は、前記各成分を適当な溶媒に溶解ないし分散して調製でき、これを任意の形状に成形し、あるいは支持体等の上に形成して用いることができる。ここで、上記溶媒としては、例えば、2−ブタノン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
【0103】
(液晶の螺旋構造を変化させる方法)
前述の通り、本発明の液晶組成物は光反応型キラル剤(本発明の光学活性イソマンニド誘導体)を含んでなり、本発明の液晶の螺旋構造を変化させる方法においては、前述の本発明の液晶組成物に対して所望の光量で所望のパターン状に光照射することにより、液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を変化させ、液晶の螺旋構造、即ち、螺旋の捻れの程度(捻れ力;HTP)の異なる領域を形成することができる。
【0104】
また、特に液晶相をコレステリック液晶相とする場合には、その捻れ力に応じ液晶の示す選択反射色を任意に変化させることができる。この捻れ力の変化率(捻れ変化率)が大きい場合は、液晶が選択反射し得る選択反射色の色幅が拡く、3原色(B,G,R)を含む広範な波長域の選択反射を得ることが可能であり、このことは、特にBGRの3原色を色純度高く表示させることができる点で重要となる。この点において、特に既述の一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体は、液晶の螺旋構造の捻れ力を大きく変化させることができるので、該化合物(キラル剤)を含む液晶組成物を用いることにより、青(B)、緑(G)、赤(R)の3原色を含む広範な色相を表示することができ、しかも色純度に優れた3原色を得ることができる。
【0105】
具体的には、以下のようにして行うことができる。即ち、
まず、前述の「液晶の螺旋構造を変化させる方法」において説明したパターニングと同様に、液晶組成物中の光学活性イソマンニド誘導体の感光波長領域にある光を画像様に照射する。この光照射により、光学活性イソマンニド誘導体が感光して液晶の螺旋構造を変化させ、画像様のパターンが形成される(パターニング)。このパターニングの後に、液晶組成物中の光重合開始剤の感光波長領域にある光を照射する。すると、光重合開始剤によって液晶性化合物が重合し、変化後の螺旋構造を保持した状態で固定化される。この工程の前に、例えば、窒素置換等の工程を設けてもよい。
【0106】
光学活性イソマンニド誘導体の感光波長領域と光重合開始剤の感光波長領域とが異なる場合は、HTPを変化させるための光照射と光重合のための光照射が、互いに影響を及ぼすことがない。したがって、HTPを変化させるために画像様に露光する際、光重合が進行しないため、設定どおりのHTP変化率を有するパターニングが可能となる一方、螺旋構造を固定化するために光重合させる際には、光学活性イソマンニド誘導体が光に反応せず、形成されたHTP変化パターンを確実に固定化することができる。
【0107】
後述の液晶カラーフィルター、光学フィルム等を形成する場合には、前述のようにして光学活性イソマンニド誘導体が感光する波長の光を画像様に露光してパターニングした後、更に光重合開始剤が感光する波長の光を照射して液晶組成物中の重合性基を光重合させて硬化し、所望の選択反射色に液晶の螺旋構造を固定化する。これらの形成方法の詳細は後述する。
【0108】
光照射に用いる光源としては、前述の「液晶の螺旋構造を変化させる方法」
の説明において例示した光源と同様である。
【0109】
(液晶カラーフィルター)
以下、液晶カラーフィルター、光学フィルム、記録媒体について詳述する。
本発明の液晶カラーフィルターは、液晶性化合物と少なくとも一種の前記本発明の光学活性イソマンニド誘導体とを少なくとも含んでなり、前記液晶性化合物としてはネマチック液晶化合物が最も好適である。また、必要に応じて、重合性モノマー、光重合開始剤、前記本発明の液晶組成物において列挙した他の成分、及び排除体積効果を及ぼす界面活性剤等を含んでなる。
例えば、前述の「液晶の螺旋構造を変化させる方法」並びに「液晶の螺旋構造を固定化する方法」に基づいて適宜選択された所望のパターン及び光量で光照射することにより作製できる。
【0110】
以下、液晶カラーフィルターの製造方法の説明を通じて、本発明の液晶カラーフィルターについて詳述する。
本発明の液晶カラーフィルターは、前述の本発明の液晶組成物、及び公知の組成物に前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体を含んでなるものの中から適宜選択して作製することができる。
この場合、前記液晶組成物のみから構成されたシート形態のものであってもよいし、所望の支持体や仮支持体上に液晶組成物含む層(液晶層)が設けられた態様のものであってもよく、更に配向膜や保護膜等の他の層(膜)が設けられていてもよい。後者の場合、液晶層を2層以上積層することもでき、この場合には後述する前記露光工程は複数回設けられる。
【0111】
前記ネマチック液晶化合物、重合性モノマー、光重合開始剤及び他の成分としては、前記本発明の液晶組成物で使用可能なものと同様のものが使用でき、その含有量、好ましい範囲等も該液晶組成物の場合と同様である。排除体積効果を及ぼす界面活性剤を併用することが好ましい。
また、液晶カラーフィルターを構成する液晶組成物中における、前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の含有量も、既述の本発明の液晶組成物と同様である。
【0112】
本発明の液晶カラーフィルターは、例えば、前記本発明の液晶組成物により好適に作製することができる。
また、液晶カラーフィルターを製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、第1の光により画像様に露光してパターニングした後、第2の光により光重合させて硬化する工程(以下、「露光工程」ということがある。)を少なくとも1工程含んでなる製造方法であってもよい。即ち、前記本発明の「液晶の螺旋構造を固定化する方法」を適用してもよい。また、選択する製造態様に応じて、適宜液晶組成物との接触面に配向処理を施す工程(配向処理工程)、密着・剥離により液晶層を転写形成する工程(転写工程)、コレステリック液晶組成物を塗布して液晶層を形成する工程(塗布工程)などを経て形成されてもよい。
【0113】
以下に、前記露光工程を含む製造方法の例として、コレステリック液晶組成物を用いた具体的な一態様を示す。
<露光工程>
露光工程では、液晶化合物のパターニング及び固定化(重合硬化)のいずれをも光の照射によって行う。
即ち、光学活性イソマンニド誘導体(以下、「光反応型キラル剤」ということがある。)が高感度に感光しうる波長の第1の光により画像様に露光してパターニングした後、重合開始剤が高感度に感光しうる第2の光により光重合させて硬化し、所望の選択反射色に液晶化合物の螺旋構造を固定化する。
【0114】
前記第1の光が液晶組成物に照射されると、その照度に応じて、共存する光反応型キラル剤が感光して液晶化合物の螺旋構造が変化し、この構造変化により異なる選択反射色を示し画像様のパターンが形成される。従って、所望の領域ごとに照射強度を変えて光照射すれば、照射強度に対応して複数色を呈し、例えば、画像様に光透過率を変えて作成された露光用マスクを介して露光することにより、1回の光照射によって画像を、即ち異なる選択反射をする有色領域を同時形成することができる。これに更に、第2の光を照射して硬化(固定化)させることにより液晶カラーフィルターを作製できる。
【0115】
前記第1の光の波長としては、光反応型キラル剤の感光波長域、特に感光ピーク波長に近接する波長に設定することが、十分なパターニング感度が得られる点で好ましい。また、第2の光の波長としては、重合開始剤の感光波長域、特に感光ピーク波長に近接する波長に設定することが、十分な光重合感度が得られる点で好ましい。
また、第1及び第2の光の照度(照射強度)には特に制限はなく、パターニング時及び重合硬化時の光感度が十分得られるように、使用する材料に応じて適宜選択できる。前記第1及び第2の光の照射に用いる光源としては、前記液晶組成物の光照射に使用可能なものと同様の光源が使用できる。
【0116】
更に具体的には、下記第1、第2の態様の製造方法であってもよく、これら2態様によって、より好適に作製することができる。
[第1の態様]
(1)仮支持体上に塗布液状の液晶組成物を設け、液晶層を少なくとも有する転写材料を形成する工程。
前記塗布液状の液晶組成物は、各成分を適当な溶媒に溶解、分散して調製できる。ここで、前記溶媒としては、例えば、2−ブタノン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。液晶カラーフィルターの作製においては、コレステリック液晶組成物が好ましい。
前記液晶層と仮支持体との間には、被転写体上に異物等がある場合など、転写時における密着性を確保する観点から、熱可塑性樹脂等を含んでなるクッション層を設けることもでき、該クッション層等の表面には、ラビング処理等の配向処理(配向処理工程)を施すことも好ましい。
(2)前記転写材料を光透過性の基板上にラミネートする工程。
前記光透過性の基板のほか、基体上に受像層を有する受像材料を用いてもよい。また、前記転写材料を用いずに、基板上に直接液晶組成物を塗布形成してもよい(塗布工程)。塗布は、バーコーターやスピンコーター等を用いた公知の塗布方法の中から適宜選択して行える。但し、材料ロス及びコストの点で転写による方法が好ましい。
【0117】
(3)光透過性の基板から転写材料を剥離して、前記基板上にコレステリック液晶層を形成する工程(転写工程)。
該液晶層は、下記(4)を経た後、更に積層して複数層より構成することもできる。
(4)コレステリック液晶層に露光マスクを介して画像様に照度ν1の紫外線を照射し選択反射色を示す画素パターンを形成し、これに更に照度ν2の紫外線を照射して層を硬化させる工程(露光工程)。
【0118】
[第2の態様]
(1)カラーフィルターを構成する支持体上に直接液晶組成物を設けて液晶層を形成する工程。
ここで、液晶層は、上記同様に塗布液状に調製した液晶組成物をバーコーターやスピンコーター等を用いた公知の塗布方法により塗布形成することができる。また、前記コレステリック液晶層と仮支持体との間には、上記同様の配向膜が形成されていてもよい。該配向膜等の表面には、ラビング処理等の配向処理(配向処理工程)を施すことも好ましい。
(2)前記第1の態様の工程(4)と同様の露光工程。
【0119】
液晶カラーフィルターとして機能する液晶層(シート状の液晶組成物)の厚みとしては、1.5〜4μmが好ましい。
【0120】
更に、図1から図3を用いて以下に一例を説明する。図1〜3は、本発明の液晶カラーフィルターを製造する工程の1形態を示す概略図である。
まず、既述の各成分を適当な溶媒に溶解し、塗布液状コレステリック液晶組成物を調製する。ここで、各成分及び溶媒は既述の通りである。
【0121】
図1−(A)のように、支持体10(以下、「仮支持体」ともいう)を準備し、該支持体10上に、例えばアクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等を塗布形成してクッション層(熱可塑性樹脂層)12を設け、更にポリビニルアルコール等よりなる配向膜14を積層する。この配向膜には、図1−(B)に示すようにしてラビング処理が施される。このラビング処理は、必ずしも必要ではないが、ラビング処理した方がより配向性を向上させることができる。
次に、図1−(C)に示すように、前記配向膜14上に、塗布液状のコレステリック液晶組成物を塗布、乾燥しコレステリック液晶層16を形成した後、このコレステリック液晶層16上にカバーフィルム18を設けて、転写材料を作製する。以下、該転写材料を転写シート20と称する。
【0122】
一方、図1−(D)に示すように、別の支持体22を準備し、該支持体上に上記と同様にして配向膜24を形成し、その表面にラビング処理を施す。以下、これをカラーフィルター用基板26と称する。
【0123】
次いで、転写シート20のカバーフィルム18を剥がした後、図2−(E)に示すように、該転写シート20のコレステリック液晶層16の表面と、カラーフィルター用基板26の配向膜24の表面とが接触するように重ね合わせ、図中の矢印方向に回転するロールを通してラミネートされる。その後、図1−(F)に示すように、転写シート20の配向膜14とクッション層12との間で剥離され、カラーフィルター用基板上に、コレステリック液晶層が配向膜14と共に転写される。この場合、クッション層12は、必ずしも仮支持体10と共に剥離されなくてもよい。
【0124】
転写後、図3−(G)に示すように、配向膜14の上方には、光の透過率の異なる領域を複数有する露光マスク28が配置され、このマスク28を介して第一の光をコレステリック液晶層16にパターン状に照射される。コレステリック液晶層16には、光照射量によって螺旋ピッチが異なるように液晶化合物、キラル化合物等が含まれており、螺旋ピッチが異なる構造が各パターン毎に、例えば、緑色(G)を反射し、青色(B)及び赤色(R)を透過させる領域、青色(B)を反射し、緑色(G)及び赤色(R)を透過させる領域、赤色(R)を反射し、緑色(G)及び青色(B)を透過させる領域を形成するように形成される。
【0125】
次に、図3−(H)に示すように、コレステリック液晶層16に対して、上記工程(G)における光照射と異なる照射強度で更に紫外線照射して、パターンを固定化する。その後、2−ブタノン、クロロホルム等を用いて、コレステリック液晶層16上の不要部分(例えば、クッション層、中間層等の残存部、未露光部)を除去することにより、図3−(I)に示すように、BGRの反射領域を有するコレステリック液晶層を形成できる。
【0126】
図1〜3に示す方法は、ラミネート方式によるカラーフィルターの製造方法の一形態であるが、カラーフィルター用基板上に直接液晶層を塗布形成する塗布方式による製造方法であってもよい。この場合、上記態様に当てはめると、図1−(D)に示すカラーフィルター用基板26の配向膜24上にコレステリック液晶層を塗布、乾燥した後、上記同様の図3−(G)〜(I)に示す工程が順次実施される。
【0127】
これらの工程及び使用する転写材料、支持体等の材料については、本発明者らが先に提出した特願平11−342896号及び特願平11−343665号の各明細書に詳細に記載されている。
【0128】
上記のように、前記の光学活性イソマンニド誘導体を含む液晶組成物を用いると、光量に対する液晶の螺旋構造の捻れ力の変化率が大きいので、液晶が呈し得る選択反射色の色幅が拡がり、色純度に優れた青(B)、緑(G)、赤(R)の3原色よりなる液晶カラーフィルターを得ることができる。
【0129】
(光学フィルム)
本発明の光学フィルムは、液晶性化合物と少なくとも一種の前記本発明の光学活性イソマンニド誘導体とを少なくとも含んでなり、広範な波長域から光学波長を任意に設定してなる。必要に応じて、重合性モノマー、光重合開始剤、及び排除体積効果を及ぼす界面活性剤等の前記本発明の液晶組成物において列挙した他の成分等を含んでなり、適宜選択された所望のパターン及び光量で光照射することにより作製できる。例えば、前述の「液晶の螺旋構造を変化させる方法」並びに「液晶の螺旋構造を固定化する方法」に基づいて作製できる。
【0130】
本発明の光学フィルムは、前述した本発明の液晶組成物、及び公知の組成物に前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体を含んでなるものの中から適宜選択して作製することができる。ここで、光学フィルムの形態としては、特に制限はなく、前記液晶組成物のみから構成されたシート形態、所望の支持体や仮支持体上に液晶組成物含む層(液晶層)を設けた形態等のいずれであってもよく、更に配向膜や保護膜等の他の層(膜)が設けられていてもよい。
【0131】
前記液晶性化合物、重合性モノマー及び光重合開始剤及び他の成分としては、前記本発明の液晶組成物で使用可能なものと同様のものが使用でき、その含有量、好ましい範囲等も該液晶組成物の場合と同様である。また、光学フィルムを構成する液晶組成物中における、前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の含有量も、既述の本発明の液晶組成物と同様である。
【0132】
本発明の光学フィルムは、例えば、前記本発明の液晶組成物を用いて好適に作製することができる。
また、光学フィルムを製造する方法としては、前記液晶カラーフィルターとほぼ同様の方法により作製でき、前記露光工程を少なくとも一工程含んでなる方法であってもよい。即ち、前述の「液晶の螺旋構造を固定化する方法」を適用してもよい。また、選択する製造態様に応じて、前記配向処理工程、転写工程、塗布工程などの工程を経て形成されてもよい。
より具体的には、前記第1の態様、第2の態様の製造方法とほぼ同様にして作製することもできる。
【0133】
上記のように、前記の光学活性イソマンニド誘導体を含む液晶組成物を用いると、光量に対する液晶の螺旋ピッチを大きく変化させることができる非光吸収型の光学フィルムを得ることができる。例えば、液晶相をコレステリック液晶相とした場合には、液晶の選択反射する色幅が拡く、多彩な選択反射色よりなる光学フィルム、色純度に優れた原色(B,G,R)の光学フィルムなどを得ることができる。
【0134】
(記録媒体)
本発明の記録媒体は、液晶性化合物と少なくとも1種の前記本発明の光学活性イソマンニド誘導体とを含んでなり、必要に応じて、重合性モノマー、光重合開始剤、及び排除体積効果を及ぼす界面活性剤等の、前記本発明の液晶組成物において列挙した他の成分等を含んでなる。
【0135】
本発明の記録媒体は、その形態に制限はなく、液晶組成物のみからなるシート形態のものであってもよいし、所望の支持体や仮支持体(以下、「支持体等」という)上に光反応型キラル剤を含有する液晶組成物を含む層(液晶層)が設けられた形態のものであってもよい。ここで、液晶組成物としては、前述した本発明の液晶組成物、及び公知の組成物に前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体を含んでなるものの中から適宜選択できる。また更に、配向膜や保護膜等の他の層(膜)が設けられていてもよい。
【0136】
前記液晶性化合物、重合性モノマー及び光重合開始剤、及び他の成分としては、前記液晶組成物で使用可能なものと同様のものが使用でき、その含有量、好ましい範囲等も液晶組成物の場合と同様である。また、記録媒体を構成する液晶組成物中における、前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の含有量も、既述の本発明の液晶組成物と同様である。
【0137】
本発明の記録媒体は、例えば、前述した本発明の液晶組成物を支持体等上に設けることにより、好適に作製することができる。
液晶組成物を支持体等上に設ける方法としては、(1)仮支持体上に本発明の液晶組成物を含む液晶層が設けられた転写材料を用いて、支持体上に該液晶層を転写する方法、(2)支持体上に、塗布液状に調製した液晶組成物を直接塗布等する方法、等が挙げられる。
前記方法(1)及び(2)において、転写材料や塗布の方法などについては、前記本発明の液晶組成物において例示した態様(第1及び第2の態様)及び図1〜3の説明に準じて適応できる。
【0138】
上記のようにして作製された本発明の記録媒体は、適宜選択された所望のパターン及び光量で光照射することにより、液晶の捻れ力の変化率に応じて画像を、特にコレステリック液晶の場合には螺旋ピッチの変化率で決まる選択反射色から構成される有色画像を、形成することができる。画像の形成は、例えば、前述の「液晶の螺旋構造を変化させる方法」並びに「液晶の螺旋構造を固定化する方法」に基づいて行ってもよい。
しかも、液晶構造を変化させるキラル剤として前記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体を用いると、光量に対する液晶の螺旋構造の捻れ力の変化率が大きいので、色再現範囲の広い画像を形成することができ、特にコレステリック液晶の場合には、液晶が選択反射する色相幅を拡げることができ、多彩で色純度の高い多色画像を形成することができる。また、捻れ力の変化率の大きいことは、画像形成の際の高感度化(高速化)にも大きく寄与する。
また、例えば、重合性の液晶化合物や重合性モノマーを用いることにより、パターニング後の液晶を固定化することができ、十分な画像安定性に優れた画像を形成することができる。
【0139】
光照射する光源としては、前記本発明の液晶組成物において使用可能なものと同様の光源を用いて、好適に光記録を行うことができる。また、液晶の固定化のための光照射の場合も同様である。
【0140】
以上説明したように、液晶分子の螺旋構造を変化させるキラル剤として、特に前記の光学活性イソマンニド誘導体を用いることにより、液晶の捻れ力(捻れ角)を大きく変化させることができる。特にネマチック液晶化合物を用いたコレステリック液晶の場合には、光照射により得られる選択反射波長域が拡がり、その結果、BGRの3原色の色純度をもより高めることができる。したがって、液晶の色相の選択性、鮮やかさが向上し、特に液晶カラーフィルターや光学フィルム等においては、クリアで鮮やかなカラー像の表示が可能となり、記録媒体においては、形成する画像の色相を多彩化することができる。
【0141】
【実施例】
以下に、本発明の光学活性イソマンニド誘導体の合成例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、全て「質量部」及び「質量%」を表す。
【0142】
[実施例1](例示化合物2−8の合成)
下記化合物(A−1)5.5mmol(0.62g)、下記化合物(A−2)12.1mmol(1.73g)、酢酸パラジウム0.02g、トリエチルアミン1.0ml及びTHF10mlの混合物を、外温70℃で3時間加熱し攪拌した。冷却後、反応化合物を希塩酸中に投下して、生じた固体を濾取した。この固体物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、薄黄色固体である例示化合物(2−8)を1.24g得た。収率は73%であった。
【0143】
[α]D 25+322°(c0.10,CHCl3
上記で得られた結晶を1H−NMR(CDCl3)解析により同定した結果を下記に示す。δ(in ppm from TMS);
8.35−8.18(m,2H)、7.70(d,2H)、7.40−7.36(m,4H)、6.40(d,2H)、5.30−5.20(m,2H)、4.83−4.77(m,2H)、4.20−3.82(m,8H)、3.25−3.10(m,4H)、2.50−2.40(m,2H)、1.90−1.10(m,20H)、
【0144】
【化34】
Figure 0004234943
【0145】
次に、本発明の光学活性イソマンニド誘導体の用途を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0146】
[実施例2](光照射による螺旋ピッチの変化の測定)
一般式(I)の光学活性イソマンニド誘導体(光反応型キラル剤)として、上記で合成した例示化合物(2−8)を、ネマチック液晶組成物(メルク社製の「ZLI−1132」)に1.0%添加して混合し、ポリイミド配向膜で一軸配向処理を施したクサビ型セル(ガラス厚み1.1mm、青色板)に注入した。ここで、偏光顕微鏡を用いて室温での螺旋ピッチを測定し、これをヘリカルツイスティングパワー(HTP)に換算して、初期のHTPとして31μm-1のデータを得た。
【0147】
次いで、上記クサビ型セルに対して高圧水銀ランプから300mW/cm2の照射強度で3分間紫外線を照射した。該照射の後、上記と同様にして室温での螺旋ピッチを測定して、これをHTPに換算して、光照射後のHTPとして17μm-1のデータを得た。初期値との差よりHTPの変化率として1.8の値を得、紫外線の照射により螺旋の捻れ力(HTP)を大きく変化させることができた。尚、コンタクト法により、紫外線照射前後における捻れの向きを確認したところ、照射の前後とも左捻れであった。
【0148】
[実施例3](光照射による螺旋ピッチの変化の測定)
光照射の方法を、370nm付近に光源中心波長を有するトランスイルミネーター(Upland社製、4.8mW/cm2)の10秒間照射に変更して、光学活性イソマンニド誘導体として上記例示化合物(2−8)につき、実施例2と同様にして光照射による螺旋ピッチの変化を測定し、初期HTPとして31μm-、光照射後のHTPとして20μm-1、HTP変化率として1.6の値を得た。本発明の光学活性イソマンニド誘導体は、370nm付近の光に対しても感度が高いことが分かった。
【0149】
[実施例4](広帯域円偏光反射板の作製)
(1)基板の準備
ガラス基板上に、ポリイミド配向膜(日立化成デュポン(株)製の「LX−1400」)塗布液をスピンコーターにより塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した後、250℃のオーブンで1時間焼成して配向膜を形成した。更に、該膜の表面をラビング処理により配向処理して配向膜付ガラス基板を作製した。
【0150】
(2)作製
上記で得た配向膜付ガラス基板の該配向膜上に、下記処方にて調製した塗布液をバーコーターにより塗布し、110℃のホットプレート上にて5分間保持した後、該温度下で365nmに光源中心波長を持つバンドパスフィルターを介して、超高圧水銀灯により1分間光照射を行った。
次いで、110℃に維持した状態で暗所に5分間保持し、その後バンドパスフィルターを取り除き、窒素ガスを吹き付けながら上記と同様の超高圧水銀灯により照射エネルギー500mJ/cm2で更に全面を露光し、重合硬化させた。以上のようにして、円偏光反射板を作製した。
【0151】
【化35】
Figure 0004234943
【0152】
上記より得られた円偏光反射板は、450〜650nmに亙る広範な波長領域の選択反射を示し、広帯域円偏光反射板として十分な帯域特性を有していた。しかも、550nmの選択反射波長での左円偏光反射率は96%であった。
【0153】
[実施例5](液晶カラーフィルターの作製)
(1)フィルター基板の準備
ガラス基板上にポリイミド配向膜(日立化成デュポン(株)製の「LX−1400」)塗布液をスピンコーターにより塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した後、250℃のオーブンで1時間焼成して配向膜を形成した。更に、該膜の表面をラビング処理により配向処理して配向膜付ガラス基板を作製した。
【0154】
(2)フィルター層の形成
上記より得た配向膜付ガラス基板の該配向膜上に、下記処方にて調製した感光性樹脂層用塗布液をスピンコーターにより塗布し、これを110℃のオーブンで2分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。
【0155】
【化36】
Figure 0004234943
【0156】
次いで、ガラス基板の表面で接触するように110℃のホットプレート上に5分間保持し、感光性樹脂層を発色させた。更に、該感光性樹脂層上に、透過率が3段階に異なり(0%、46%、92%)、それぞれの領域が青色画素用、緑色画素用、赤色画素用に対応して配列されたフォトマスクと365nmに中心波長を持つバンドパスフィルターとを介して超高圧水銀灯を配置し、このフォトマスク及びバンドパスフィルターを通して超高圧水銀灯により照射しパターニングした。このときの照射エネルギーは赤色画素用に対して120mJ/cm2であり、照射強度は30mW/cm2であった。
【0157】
次に、フォトマスクとバンドパスフィルターとを取り除き、代わりに400nm以上の光を透過する(400nmで50%透過)シャープカットフィルターを付け、窒素ガスを吹き付けながら上記と同様の超高圧水銀灯により照射エネルギー500mJ/cm2で更に全面を露光し、重合硬化した。更に、フィルター部(感光性樹脂層)の硬化度を促進するために、220℃のオーブンで20分間焼成し、赤色画素、緑色画素、青色画素パターンが形成されたカラーフィルターを得た。
上記パターニング時において、照射によって液晶の螺旋ピッチ(液晶の捻れ力)を大きく変化させることができ、色純度の高い赤色、緑色、青色よりなる画素パターンを形成することができた。
【0158】
[実施例6](STN素子用光学補償膜の作製)
厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)上に、ケン化度99.5%のポリビニルアルコール(PVA)膜をバーコート法により形成し、110℃下で3分間加熱した。該PVA膜上にラビング処理を施し、更に下記処方にて調製した塗布液をバーコーターにより加温塗布し、これを120℃のオーブンで3分間乾燥して成膜した。
【0159】
【化37】
Figure 0004234943
【0160】
次いで、温度100℃の下、前記膜上から高圧水銀ランプを用いて紫外線照射(照射エネルギー1000mJ/cm2)を行って膜を重合硬化させ、STN素子用光学補償膜(以下、「STN補償膜」と称する。)を作製した。この時のSTN補償膜の膜厚を測定したところ5.0μmであった。また、該STN補償膜の偏光透過スペクトルプロファイルから、液晶分子の配向(螺旋構造)が−240度で膜厚方向に捻れ、その螺旋の捻れ角(回転角)が−240度であることが判った。
また、この膜を該膜とは逆向きの捻れ角(+240度)を持つSTN補償膜を用意し、これらを合致した部分の液晶分子が直交するように重ね合わせ、互いに吸収軸が直交する2枚の偏光板の間に挿入して、目視により観察したところ良好な黒色を示した。したがって、上記より形成された膜(STN補償膜)は、STN素子用光学補償膜として作用していることが確認できた。
【0161】
[実施例7](TN素子用のリバースツイストドメインの発生防止)
ITO膜付きのガラス基板の該ITO膜上に、ポリイミド配向膜(日立化成デュポン(株)製の「LX−1400」)塗布液をスピンコーターにより塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した後、250℃のオーブンで1時間焼成して配向膜を形成した。更に、該膜の表面にラビング処理を施してラビング角度が90度になるように配向処理し、配向膜付ガラス基板を2枚作製した。
上記配向膜付ガラス基板の配向膜が互いに対向するように配置し、直径6μmのスペーサービーズを混合した2液性エポキシ樹脂接着剤により貼り合わせ、駆動用セルを形成した。該セルの厚みを光干渉法により測定したところ5.4μmであった。
【0162】
前記セル中に、下記組成よりなる組成物を注入した。
<組成物>
・ネマチック液晶組成物(メルク社製「ZLI−1132」)……99.9%
・本発明の光反応型キラル剤(前記例示化合物2−8)………………0.1%
【0163】
次に、互いに吸収軸が直交する二枚の偏光板の間に、注入後の駆動用セルを挿入して目視により観察したところ、リバースツイストドメインの発生は認められなかった。従って、リバースツイストの発生によるコントラストの低下がなく、コントラストと色純度に優れた画像表示が期待できる。
【0164】
【発明の効果】
本発明によれば、365nm付近の光に対して感光性を有し、光により異性化して構造変化し得る、且つ光異性化後のシス体の熱安定性に優れた新規な光学活性化合物を提供することができる。
本発明によれば、液晶性化合物の配向を制御し得る、且つ光による液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)の変化率(捻れ変化率)が大きく、例えばネマチック液晶化合物を用いた場合には、3原色(B、G、R)を含む広範な選択反射が可能で、色純度の高い3原色を表示させ得る光反応型キラル剤を提供することができる。
本発明によれば、光により液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を変化でき、且つその捻れ変化率の大きい光反応型キラル剤を含み、光により液晶分子の配向状態を大きく立体的に制御して光学特性を変化し得る液晶組成物を提供することができる。例えば、コレステリック液晶の場合には、光照射により3原色を含む広範な選択反射色を示し、しかも色純度に優れた3原色の表示が可能な液晶組成物を提供することができる。
【0165】
本発明によれば、捻れ変化率の大きい光反応型キラル剤を含む液晶組成物に光照射して液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を大きく変化させ得る、液晶の螺旋構造を変化させる方法を提供することができる。
本発明によれば、捻れ変化率の大きい光反応型キラル剤を含む液晶組成物に対し、画像様に露光した後、パターン化された螺旋ピッチを損なわず維持された状態で固定化でき、特に液晶相がコレステリック液晶相の場合には、所望の選択反射色に液晶の螺旋構造を固定化し、色純度の高い色相を得ることのできる、液晶の螺旋構造を固定化する方法を提供することができる。
【0166】
本発明によれば、光照射により液晶の螺旋ピッチ(捻れ力)を大きく変化させ得る光反応型キラル剤を含み、色純度の高い液晶カラーフィルターを提供することができる。
本発明によれば、光照射により液晶の捻れ力を大きく変化させ得る光反応型キラル剤を含む非光吸収型の光学フィルムを提供することができる。例えば、コレステリック液晶相とした場合には、選択反射域が広範で色純度の高い光学フィルムを提供することができる。
本発明によれば、光照射により液晶の捻れ力を大きく変化させ得る光反応型キラル剤を含み、画像様に光量を変化させることにより鮮明な画像を形成し得る記録媒体を提供することができる。例えば、コレステリック液晶相とした場合には、色相が広範で色純度の高い選択反射色よりなる画像を形成し得る記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶カラーフィルターを製造する工程の一部を示す概略図である。
【図2】 本発明の液晶カラーフィルターを製造する工程の一部を示す概略図である。
【図3】 本発明の液晶カラーフィルターを製造する工程の一部を示す概略図である。
【符号の説明】
10 支持体(仮支持体)
12 クッション層(熱可塑性樹脂層)
14,24 配向膜
16 液晶層(液晶組成物)
18 カバーフィルム
20 転写シート
22 基板
26 カラーフィルター用基板
28 露光マスク

Claims (11)

  1. 下記一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体。
    Figure 0004234943
    〔一般式(I)中、R1とR9はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、又は、−NR1718(該R17とR18はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は、置換もしくは無置換のアリール基を示す。)を表す。 3 、R 、R 6 、R 11 、R 13 、及びR 14 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は、置換もしくは無置換のアルコキシ基を表す。R7とR15及びR8とR16はそれぞれ独立に水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R2とR4及びR10とR12は互いに結合して5員環叉は6員環を形成している。〕
  2. 下記一般式(II)及び一般式(III)で表されるアリールハライドと下記一般式(IV)で表されるイソマンニド誘導体とを反応させることを特徴とする請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体の製造方法。
    Figure 0004234943
    〔一般式(II)〜(IV)中のR1〜R16は、上記一般式(I)中のR1〜R16とそれぞれ同義である。〕
  3. 請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体からなる光反応型キラル剤。
  4. 少なくとも液晶性化合物と、請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む液晶組成物。
  5. 重合性基を少なくとも1個有する液晶性化合物と、請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種と、光重合開始剤とを含む液晶組成物。
  6. 請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体と前記光重合開始剤とが、それぞれ異なる感光波長領域を持つ請求項5に記載の液晶組成物。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の液晶組成物に光を照射して、一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の構造を変化させる、液晶の螺旋構造を変化させる方法。
  8. 請求項4から6のいずれかに記載の液晶組成物に対して、一般式(I)で表される光学活性イソマンニド誘導体の感光波長領域の光を画像様に照射した後、光重合開始剤の感光波長領域の光を照射して光重合を行う工程を有する、液晶の螺旋構造を固定化する方法。
  9. 少なくとも液晶性化合物と、請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む液晶カラーフィルター。
  10. 少なくとも液晶性化合物と、請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む光学フィルム。
  11. 少なくとも液晶性化合物と、請求項1に記載の光学活性イソマンニド誘導体の少なくとも一種とを含む記録媒体。
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