JP4232515B2 - 無段変速装置とその組立方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用自動変速装置として、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する無段変速装置とその組立方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。又、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特許文献1〜7に記載されている様に、従来から提案されている。図11は、このうちの特許文献2に記載された無段変速装置を示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機2とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機1は、入力軸3と、1対の入力側ディスク4a、4bと、出力側ディスク5と、複数のパワーローラ6、6とを備える。
【0003】
又、上記遊星歯車式変速機2は、上記入力軸3及び一方(図11の右方)の入力側ディスク4bに結合固定されたキャリア7を備える。このキャリア7の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車8、9を固設した第一伝達軸10を、回転自在に支持している。又、上記キャリア7を挟んで上記入力軸3と反対側に、その両端部に太陽歯車11、12を固設した第二伝達軸13を、上記入力軸3と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車8、9と、上記出力側ディスク5にその基端部(図11の左端部)を結合した中空回転軸14の先端部(図11の右端部)に固設した太陽歯車15又は上記第二伝達軸13の一端部(図11の左端部)に固設した太陽歯車11とを、それぞれ噛合させている。又、一方(図11の左方)の遊星歯車8を、別の遊星歯車16を介して、上記キャリア7の周囲に回転自在に設けたリング歯車17に噛合させている。
【0004】
一方、上記第二伝達軸13の他端部(図11の右端部)に固設した太陽歯車12の周囲に設けた第二キャリア18に遊星歯車19、20を、回転自在に支持している。尚、この第二キャリア18は、上記入力軸3及び第二伝達軸13と同心に配置された、出力軸21の基端部(図11の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車19、20は、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車19が上記太陽歯車12に、他方の遊星歯車20が、上記第二キャリア18の周囲に回転自在に設けた第二リング歯車22に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車17と上記第二キャリア18とを低速用クラッチ23により係脱自在とすると共に、上記第二リング歯車22とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ24により係脱自在としている。
【0005】
上述の様な、図11に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ23を接続すると共に上記高速用クラッチ24の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力軸3の動力が上記リング歯車17を介して上記出力軸21に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸3と上記出力軸21との間の変速比が変化する。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機1の変速比を調節する事により、上記入力軸3を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸21の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0006】
これに対して、上記低速用クラッチ23の接続を断ち、上記高速用クラッチ24を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力軸3の動力が上記第一、第二伝達軸10、13を介して上記出力軸21に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。この場合には、上記トロイダル型無段変速機1の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−174033号公報
【特許文献2】
特開2000−220719号公報
【特許文献3】
特開2002−139124号公報
【特許文献4】
米国特許第5607372号明細書
【特許文献5】
米国特許第6059635号明細書
【特許文献6】
米国特許第6099431号明細書
【特許文献7】
米国特許第6358178号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な従来から知られている無段変速装置の場合、原理が開示されている過ぎず、量産を前提として組立性を考慮したものではない。ところで、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機2とを組み合わせた無段変速装置は、構成部品の数が多く、しかもこれら各構成部品が精密に組み合わされる。例えば、上記遊星歯車式変速機2を構成する各歯車の噛合部のバックラッシュを僅少若しくは零にする事が、運転時に於ける振動並びに騒音の低減の他、無限大の変速比を安定して実現する為に重要である。
【0009】
所望の性能を有する無段変速装置を得る事自体は、この無段変速装置の構成各部材を1個ずつケーシング内に組み込む事により可能ではあるが、このケーシング内の空間は狭く、構成部材の数は多い為、量産を考慮した場合には好ましくない。この様な事情に鑑みて特願2002−243389号には、トロイダル型無段変速機と、遊星歯車式変速機の構成部材の一部とをケーシング外で組み合わせてモジュール化し、このモジュールをこのケーシング内に組み付ける技術が開示されている。但し、この先発明に係る技術も、このケーシング内に組み付けた上記モジュールと、上記遊星歯車式変速機の構成部材の残部との組み合わせを能率良く行なう事までは考慮していない。
本発明の無段変速装置とその組立方法は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の無段変速装置とその組立方法のうち、請求項1に記載した無段変速装置は、ケーシング内にトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを、互いの間での動力の伝達を自在に組み合わせた状態で収納すると共に、上記トロイダル型無段変速機の中心部に第一回転軸を配設し、上記遊星歯車式変速機の中心部に第二回転軸を接続して成る。
【0011】
このうちのトロイダル型無段変速機は、上記第一回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数の支持部材と、複数のパワーローラと、中空回転軸とを備える。
そして、上記第一の回転軸は、上記ケーシング内に回転自在に支持されている。
又、上記各外側ディスクは、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、この第一回転軸と同期した回転を自在として支持されている。
又、上記内側ディスクは、上記第一回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記第一回転軸に対する相対回転を自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、軸方向に関して上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
又、上記各パワーローラは、上記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させている。
更に、上記中空回転軸は、円管状で、上記1対の外側ディスクのうちの上記第二回転軸側の外側ディスクの内周面と上記第一回転軸の外周面との間に配設されて、この第二回転軸と反対側の端部を上記内側ディスクに回転伝達自在に接続すると共に、この第二回転軸の側の端部をこの第二回転軸の側の外側ディスクの外側面から突出させている。
【0012】
一方、前記遊星歯車式変速機は、第一段の遊星歯車式変速ユニットと、第二段の遊星歯車式変速ユニットとを互いに同軸に、動力の伝達自在に組み合わせて成る。
このうちの第一段の遊星歯車式変速ユニットは、前記トロイダル型無段変速機側に設けられたもので、上記中空回転軸の上記第二回転軸側の端部にこの中空回転軸と同期した回転を自在に設けられた第一太陽歯車と、上記第一回転軸と上記第二回転軸側の外側ディスクとの間に掛け渡されたキャリアと、このキャリアのうちでこの外側ディスクの側に回転自在に支持されて上記第一太陽歯車と噛合した複数の第一遊星歯車とを備える。
又、上記第二段の遊星歯車式変速ユニットは、上記第二回転軸側に設けられたもので、上記第二回転軸のうちで上記トロイダル型無段変速機の側の端部にこの第二回転軸と同期した回転を自在に支持された第二太陽歯車と、上記キャリアのうちで上記外側ディスクと反対の側に回転自在に支持されて上記第二太陽歯車と噛合した複数の第二遊星歯車と、これら第二太陽歯車及び各第二遊星歯車の周囲にこの第二太陽歯車と同心に、且つ、回転自在に支持されたリング歯車とを備える。
そして、上記リング歯車を、上記各第一遊星歯車と上記各第二遊星歯車とのうちの少なくとも一方の遊星歯車と噛合させている。
【0013】
又、前記ケーシングは、前記遊星歯車式変速機の設置位置を基準として、上記トロイダル型無段変速機と反対側に、この遊星歯車式変速機を軸方向に挿入可能な開口部が設けられている。
この開口部の内周面は、上記リング歯車を内嵌する事でこのリング歯車の中心軸と上記第一太陽歯車の中心軸とが一致する形状及び寸法とされている。
又、上記ケーシングの内周面のうちで、上記リング歯車と上記各第一遊星歯車と上記各第二遊星歯車とのうちの少なくとも一方とを組立完了状態にまで噛合させた状態で上記リング歯車の周囲に位置する部分は、このリング歯車の外周面と接触しない形状及び寸法とされている。
【0014】
更に、請求項8に記載した無段変速装置の組立方法は、上述した様な無段変速装置を組み立てる際に、上記ケーシング内の所定位置に、トロイダル型無段変速機を組み付ける。
これと共に、上記遊星歯車式変速機を構成する第一太陽歯車と、キャリアと、第一、第二遊星歯車とを組み合わせた後、第二太陽歯車を備えた第二回転軸とリング歯車とを、ケーシング内への組み付けに先だって組み合わせてモジュールとしておく。
そして、このモジュールを構成する上記リング歯車の外周面を、上記ケーシングの開口部の内周面に内嵌しつつ、上記モジュールを軸方向に移動させる事によりこのケーシング内に挿入し、上記リング歯車と上記各第一遊星歯車と上記各第二遊星歯車とのうちの少なくとも一方とを、第二太陽歯車と各第二遊星歯車とを、それぞれ噛合させる。
【0015】
【作用】
上述の様に構成する本発明の無段変速装置とその組立方法によれば、無段変速装置の構成各部材をケーシング内に組み込む作業を能率良く行なえる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜9は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、図1〜3及び図6〜9には縦横比等の寸法関係を、実際の寸法関係で示している。又、斜視図である図4〜5に関しても、この寸法関係を、ほぼ実際の寸法関係に則して描いている。本例の無段変速装置は、トロイダル型無段変速機1aと、第一段〜第三段の遊星歯車式変速ユニット25〜27とを組み合わせて成る遊星歯車式変速機28と、特許請求の範囲に記載した第一回転軸に相当する入力軸3aと、同じく第三回転軸に相当する出力軸21aとを有する。図示の例では、これら入力軸3aと出力軸21aとの間に、特許請求の範囲に記載した第二回転軸に相当する伝達軸29を、これら両軸3a、21aと同心に、且つ、これら両軸3a、21aに対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二遊星歯車式変速ユニット25、26を上記入力軸3aと上記伝達軸29との間に掛け渡す状態で、上記第三遊星歯車式変速ユニット27をこの伝達軸29と上記出力軸21aとの間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0017】
このうちのトロイダル型無段変速機1aは、それぞれが特許請求の範囲に記載した外側ディスクである1対の入力側ディスク4a、4bと、特許請求の範囲に記載した内側ディスクである、一体型の出力側ディスク5と、複数のパワーローラ6、6とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク4a、4bは、上記入力軸3aを介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク5は、上記両入力側ディスク4a、4b同士の間に、これら両入力側ディスク4a、4bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク4a、4bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ6、6は、軸方向に関して上記出力側ディスク5の軸方向両側面と上記両入力側ディスク4a、4bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク4a、4bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク4a、4bから上記出力側ディスク5に動力を伝達する。
【0018】
又、本例の場合、図3に示す様に、上記各パワーローラ6、6を支持する、特許請求の範囲に記載した支持部材に相当するトラニオン30、30の長さ方向両端部に設けた、1対の折れ曲がり壁部31、31の先端部同士を、連結部材32、32により連結している。この様な連結部材32は、上記パワーローラ6を跨ぐ様に設けると共に、その両端面を上記トラニオン30の各折れ曲がり壁部31、31の互いに対向する内側面に突き当てた状態で、ねじ33、33により、上記各トラニオン30、30に結合固定している。この様な連結部材32、32を設けた本例の場合には、これら各トラニオン30、30の曲げ剛性の向上を図れ、これら各トラニオン30、30を弾性変形しにくくできる。この結果、これら各トラニオン30、30の変形に基づいて、これら各トラニオン30、30の中間部にそれぞれの基半部を支持した支持軸34の傾斜を防止し、この支持軸34の先半部に支持した上記各パワーローラ6、6の位置がずれるのを抑える事ができるので、変速動作を安定させる事ができる。尚、本例の場合、上記支持軸34と、上記パワーローラ6を回転自在に支持するスラスト玉軸受35を構成する外輪とを、一体に形成している。
【0019】
更に、本例の場合には、上記出力側ディスク5の軸方向両端部を、1対のスラストアンギュラ玉軸受36、36等の転がり軸受により、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、ケーシング38の内側に、アクチュエータボディー39を介して1対の支柱40、40を設けている。これら各支柱40、40は、上記各トラニオン30、30の両端部に設けた枢軸86、86を揺動及び軸方向の変位を自在に支持する、1対の支持板37a、37bを支持する為のものである。上記各支柱40、40はそれぞれ、前記入力軸3aを挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト部41a、41bを、円環状の支持環部42により連結して成る。上記入力軸3aは、この支持環部42の内側を挿通している。
【0020】
又、上記各支柱40、40の下端部は、上記アクチュエータボディー39の上面に、それぞれ複数本ずつのボルト43、43により、取付位置並びに取付方向を規制した状態で結合固定している。この為に上記アクチュエータボディー39の上面には、上記各支柱40、40の下端部をがたつきなく内嵌する為の凹部44、44を形成している。又、これら各支柱40、40の下端部には、下端面に開口する複数のねじ孔を形成している。これら各支柱40、40は、それぞれの下端部を上記各凹部44、44に内嵌した状態で、上記アクチュエータボディー39を下方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト43、43により、上記アクチュエータボディー39の上面の所定位置に固定している。
【0021】
これに対して上記各支柱40、40の上端部は、連結板45の下面に、それぞれボルト46、46により、取付位置を規制した状態で結合固定している。この為に上記連結板45の下面には、上記各支柱40、40の上端部をがたつきなく内嵌する為の凹部47、47を形成している。又、これら各支柱40、40の上端部には、上端面中央部に開口する1個ずつのねじ孔を形成している。これら各支柱40、40は、それぞれの上端部を上記各凹部47、47に内嵌した状態で、上記連結板45を上方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト46、46により、上記連結板45の下面の所定位置に固定している。
【0022】
上記1対の支柱40、40は、上述の様に上記アクチュエータボディー39の上面と上記連結板45の下面との間に、位置規制して掛け渡す様に連結固定している。この状態で、上記各支柱40、40の両端部近傍に設けた、前記各支持ポスト部41a、41bのうち、下側の支持ポスト部41a、41aは上記アクチュエータボディー39の上面の直上位置に存在する。そして、上記両支柱40、40の支持ポスト部41a、41aに、前記1対の支持板37a、37bのうちの下側の支持板37aに形成した支持孔48a、48aを、がたつきなく外嵌している。又、上側の支持ポスト部41b、41bは上記連結板45の下面の直下位置に存在する。そして、上記両支柱40、40の支持ポスト部41b、41bに、前記1対の支持板37a、37bのうちの上側の支持板37bに形成した支持孔48b、48bを、がたつきなく外嵌している。
【0023】
尚、図示の例では、上記下側の支持板37aに、前記各トラニオン30、30の傾斜角度を制限する為のストッパとして機能する、凸部49a、49b、49c(図4)を突設している。即ち、上記支持板37aの幅方向(図1〜2の表裏方向、図3の左右方向)両側縁部の、前後方向(図1〜2の左右方向、図3の表裏方向)両端部と中央部との3個所位置に、上記凸部49a、49b、49cを形成している。これら各凸部49a、49b、49cは、上記各トラニオン30、30がそれぞれの両端部に設けた枢軸86、86を中心として過度に傾斜する事を防止するものである。そして、上記各トラニオン30、30に支持したパワーローラ6、6の周面が、前記入力側ディスク4a、4b或は出力側ディスク5の各側面から、これら各ディスク4a、4b、5の径方向外方に外れる事を防止する。
【0024】
又、上記1対の支柱40、40により互いに結合された、上記アクチュエータボディー39と上記連結板45とのうち、アクチュエータボディー39は前記ケーシング38の下部に固定している。この為に、このケーシング38の内面下端開口寄り部分に段部50a、50bを、上記アクチュエータボディー39の幅方向(図1〜2の表裏方向、図3の左右方向)両端寄り部分にボルト挿通孔51、51(図4)を、それぞれ形成している。上記アクチュエータボディー39を上記ケーシング38内に固定する際には、このアクチュエータボディー39の上面幅方向両端寄り部分を上記各段部50a、50bに突き当てる。そして、上記各ボルト挿通孔51、51を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部50a、50bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締する。
【0025】
一方、上記連結板45は上記ケーシング38内に、長さ方向(図1〜2の左右方向、図3の表裏方向)及び幅方向の位置を規制した状態で設置されている。この位置規制を行なう為に、上記連結板45の上面と、上記ケーシング38の天板部52の下面との、互いに対向する部分に、それぞれ位置決め凹部53a、53bを形成している。これら各位置決め凹部53a、53bは、それぞれ円形の平面形状を有する。上記アクチュエータボディー39を上記ケーシング38内に固定した状態で、上記連結板45の上面に形成した各位置決め凹部53a、53aと、上記天板部52の下面に形成した位置決め凹部53b、53bとの間に、円筒状の位置決めスリーブ54、54を掛け渡している。この構造により、前記1対の支柱40、40の上下両端部を上記ケーシング38に対し、位置決めした状態で支持固定している。
【0026】
この様にして上記ケーシング38内の所定位置に固定した1対の支柱40、40の中間部に設けられ、それぞれが前記入力側ディスク4a、4bと前記出力側ディスク5との側面同士の間に存在する各キャビティ(空間)の中央部に存在する前記各支持環部42、42により、上記出力側ディスク5を、回転自在に支持している。この為に、これら各支持環部42、42とこの出力側ディスク5の軸方向両端面、即ち、この出力側ディスク5の軸方向両側面に設けた出力側面87、87よりも内径側部分との間に、前記各スラストアンギュラ玉軸受36、36を設けている。図示の例の場合、これら各スラストアンギュラ玉軸受36、36を構成する1対の軌道輪55a、55bの外側面(互いに反対側の側面)の内径寄り部分に短円筒状の突条部56、56(図2)を、全周に亙って形成している。
【0027】
そして、これら各突条部56、56を、上記各支持環部42、42及び上記出力側ディスク5の端部にがたつきなく内嵌する事により、上記各スラストアンギュラ玉軸受36、36の径方向に関する位置決めを図っている。又、一方の軌道輪55a、55aの外側面と上記各支持環部42、42との間にシム57、57(図2)を挟持して、上記各スラストアンギュラ玉軸受36、36の軸方向に関する位置決めを図っている。又、この状態で、これら各スラストアンギュラ玉軸受36、36に、所望の予圧を付与している。従って上記出力側ディスク5は、各キャビティ内に1対ずつ設けた上記各支柱40、40同士の間に、径方向及び軸方向に関する位置決めを図られた状態で、回転自在に支持されている。
【0028】
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力軸3aの基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、駆動軸58及びトーションダンパ59を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力軸3aを回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク4a、4bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク5の軸方向両側面と上記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置60として、油圧式のものを使用している。又、ギヤポンプ等の図示しない油圧源により、この押圧装置60及び変速の為にトラニオン30、30を変位させる為の油圧式のアクチュエータ61、61、並びに後述する低速用クラッチ62及び高速用クラッチ63を断接させる為の油圧シリンダに、圧油を供給自在としている。
【0029】
又、上記出力側ディスク5に、中空回転軸14aの基端部(図1〜2の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸14aを、エンジンから遠い側(図1〜2の右側)の入力側ディスク4bの内側に挿通して、上記出力側ディスク5の回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸14aの先端部(図1〜2の右端部)で上記入力側ディスク4bの外側面から突出した部分に、前記第一遊星歯車式変速ユニット25を構成する為の、第一太陽歯車64を固設している。
【0030】
一方、上記入力軸3aの先端部(図1〜2の右端部)で上記中空回転軸14aから突出した部分と上記入力側ディスク4bとの間に、キャリア7aを掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク4bと上記入力軸3aとが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記キャリア7aの軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二遊星歯車式変速ユニット25、26を構成する為の遊星歯車65〜67を、回転自在に支持している。これら各遊星歯車65〜67のうち、内径側で上記入力側ディスク4b寄りの遊星歯車65が特許請求の範囲に記載した第一遊星歯車に、同じく前記出力軸21a寄りの遊星歯車66が第二遊星歯車に、それぞれ相当する。尚、外径寄りに設けた、軸方向寸法が長い遊星歯車67は、第一遊星歯車であると同時に第二遊星歯車でもある。更に、上記キャリア7aの片半部(図1〜2の右半部)周囲に、特許請求の範囲に記載したリング歯車に相当する第一リング歯車68を、回転自在に支持している。この第一リング歯車68の外周面は、軸方向に関して直径が変化しない、単なる円筒面としている。
【0031】
上記各遊星歯車65〜67のうち、前記トロイダル型無段変速機1a寄り(図1〜2の左寄り)で上記キャリア7aの径方向に関して内側に設けた遊星歯車65は、上記第一太陽歯車64に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速機1aから遠い側(図1〜2の右側)で上記キャリア7aの径方向に関して内側に設けた遊星歯車66は、前記伝達軸29の基端部(図1の左端部)に固設した第二太陽歯車69に噛合している。又、上記キャリア7aの径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車67は、上記内側に設けた遊星歯車65、66よりも軸方向寸法を大きくして、これら両歯車65、66に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車67と上記第一リング歯車68とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二遊星歯車式変速ユニット25、26同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
【0032】
一方、前記第三遊星歯車式変速ユニット27を構成する為の第二キャリア70を、前記出力軸21aの基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二キャリア70と上記第一リング歯車68とを、前記低速用クラッチ62を介して結合している。又、上記伝達軸29の先端寄り(図1〜2の右端寄り)部分に、第三太陽歯車71を固設している。又、この第三太陽歯車71の周囲に第二リング歯車72を配置し、この第二リング歯車72と前記ケーシング38等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ63を設けている。更に、上記第二リング歯車72と上記第三太陽歯車71との間に配置した複数組の遊星歯車73、74を、上記第二キャリア70に回転自在に支持している。これら各遊星歯車73、74は、互いに噛合すると共に、上記第二キャリア70の径方向に関して内側に設けた遊星歯車73を上記第三太陽歯車71に、同じく外側に設けた遊星歯車74を上記第二リング歯車72に、それぞれ噛合している。
【0033】
上述の様な第一段〜第三段の遊星歯車式変速ユニット25〜27から成る、前記遊星歯車式変速機28のうち、第一段及び第二段の遊星歯車式変速機25、26は、前記ケーシング38の主ケーシング部75(特許請求の範囲に記載したケーシングに相当)内に収納している。これに対して、残りの第三段の遊星歯車式変速ユニット27は、上記ケーシング38の後端部に結合固定した補助ケーシング部76内に収納している。この補助ケーシング部76の前端開口縁と上記主ケーシング部75の後端開口縁とは、断面L字形で全体を円環状に形成した隔壁板77の外周寄り部分を介して突き当て、図示しないボルトを介して結合固定している。
【0034】
上記主ケーシング部75の後端部、即ち、上記遊星歯車式変速機28の設置位置を基準として、前記トロイダル型無段変速機1aと反対側に、この遊星歯車式変速機28を軸方向に挿入可能な開口部78を設けている。この開口部78の内周面は、前記第一リング歯車68の外径よりも僅かに大きな内径を有する円筒面としている。又、上記開口部78の中心軸は、前記トロイダル型無段変速機1a、及び、上記第一段及び第二段の遊星歯車式変速機25、26のうちの上記第一リング歯車68を除く部材を上記主ケーシング部75の所定位置に組み付けた状態で、上記第一段の遊星歯車式変速機25を構成する前記第一太陽歯車64の中心軸(=前記入力軸3a及び前記中空回転軸14aの中心軸)と一致する部分に存在する。従って、上記トロイダル型無段変速機1a、並びに、上記第一段及び第二段の遊星歯車式変速機25、26のうちの上記第一リング歯車68を除く部材を上記主ケーシング部75の所定位置に組み付けた状態で、上記第一リング歯車68を上記開口部78に内嵌すれば、この第一リング歯車68の中心軸と、上記第一太陽歯車64の中心軸とが一致する。
【0035】
これに対して、上記主ケーシング部75の内周面のうちで、上記第一リング歯車68と前記外径側の遊星歯車67とを組立完了状態にまで噛合させた状態でこの第一リング歯車68の周囲に位置する部分、即ち、上記開口部78よりも少し上記トロイダル型無段変速機1aに寄った部分は、この開口部78よりも少し内径を大きくしている。従って、上記第一リング歯車68と上記外径側の遊星歯車67とを組立完了状態にまで噛合させた状態では、この第一リング歯車68の外周面と上記主ケーシング部75の内周面とが接触する事はない。
【0036】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力軸3aから1対の入力側ディスク4a、4b、各パワーローラ6、6を介して一体型の出力側ディスク5に伝わった動力は、前記中空回転軸14aを通じて取り出される。そして、前記低速用クラッチ62を接続し、前記高速用クラッチ63の接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速機1aの変速比を変える事により、上記入力軸3aの回転速度を一定にしたまま、前記出力軸21aの回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。即ち、この状態では、上記入力軸3aと共に正方向に回転するキャリア7aと、上記中空回転軸14aと共に逆方向に回転する前記第一太陽歯車64との差動成分が、前記第一リング歯車68から、前記低速用クラッチ62、前記第二キャリア70を介して、上記出力軸21aに伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を所定値にする事で上記出力軸21aを停止させられる他、このトロイダル型無段変速機1aの変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸21aを、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸21aを、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0037】
更に、上記低速用クラッチ62の接続を断ち、上記高速用クラッチ63を接続した状態では、上記出力軸21aを、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力軸3aと共に正方向に回転するキャリア7aと、上記中空回転軸14aと共にこのキャリア7aと逆方向に回転する前記第一太陽歯車64との差動成分に応じて回転する、前記第一遊星歯車式変速ユニット25の遊星歯車65の回転が、別の遊星歯車67を介して、前記第二遊星歯車式変速ユニット26の遊星歯車66に伝わり、前記第二太陽歯車69を介して、前記伝達軸29を回転させる。そして、この伝達軸29の先端部に設けた第三太陽歯車71と、この太陽歯車71と共に前記第三遊星歯車式変速ユニット27を構成する第二リング歯車72及び遊星歯車73、74との噛合に基づき、前記第二キャリア70及びこの第二キャリア70に結合した上記出力軸21aを、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸21aの回転速度を速くできる。
【0038】
図10は、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比(減速比)と、無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。図10の縦軸は、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を、同じく横軸は、排気量が3L程度のエンジンで前記入力軸3aを一定速度(5600min-1 )で回転させた場合に於ける理論上の車速(km/h)を、それぞれ表している。この様な図10から明らかな通り、前記低速用クラッチ62を接続し、前記高速用クラッチ63の接続を断った状態で、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を0.6程度とする事により、上記入力軸3aを回転させた状態のまま、上記出力軸21aを停止させる事ができる。又、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を、0.6程度を境にして変化させる事により、車両を前進或は後退させる事ができる。更に、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比が2.2〜2.3程度を境に、上記低速用クラッチ62の接続を断ち、上記高速用クラッチ63を接続した状態で、上記トロイダル型無段変速機1aの変速比を増速側に変化させる事により、車両の速度を速くできる。
【0039】
上述の様に構成し作用する無段変速装置の組立時には、上記トロイダル型無段変速機1a及び前記第一段、第二段の遊星歯車式変速ユニット25、26を、前記ケーシング38内に収納するのに先立って、図4に示す様に、予めこのケーシング38外で組み立てる。即ち、前記アクチュエータボディー39にそれぞれの下端を結合固定した1対の支柱40、40(図1〜3参照)により、出力側ディスク5及び中空回転軸14aを回転自在に支持できる。又、上記両支柱40、40の上下両端部に設けた各支持ポスト部41a、41bに外嵌支持した上下1対の支持板37a、37bにより、複数のトラニオン30、30及びパワーローラ6、6を所定位置に支持する。更に、上記中空回転軸14aを挿通した前記入力軸3aに、前記押圧装置60、前記1対の入力側ディスク4a、4b、上記第一段、第二段の遊星歯車式変速ユニット25、26等を組み付ける。
【0040】
従って、無段変速装置を構成する上記トロイダル型無段変速機1a及び前記第一段、第二段の遊星歯車式変速ユニット25、26の主要部を、上記ケーシング38内に組み込む以前に、このケーシング38外で組み立てて、図4に示す様な、上記無段変速装置の主要部となる、モジュール79とする事ができる。このモジュール79の組立作業は、上記ケーシング38に邪魔される事なく、広い空間で行なう事ができて、組立作業が容易になる。又、上記モジュール79を組立後、上記ケーシング38内に収納する以前に、このモジュール79の作動状態を確認できる。そして、この作動状態が不良である場合には、上記ケーシング38外の広い空間で、分解・再組立を容易に行なえる。
【0041】
これに対して、上記モジュール79の作動状態が適正であった場合には、このモジュール79を、前記連結板45を上にして上記ケーシング38を構成する前記主ケーシング部75内に、この主ケーシング部75の下端開口から挿入する。そして、前記連結板45の上面に形成した各位置決め凹部53a、53aと前記天板部52の下面に形成した位置決め凹部53b、53bとの間に円筒状の位置決めスリーブ54、54を掛け渡すと共に、前記アクチュエータボディー39の上面幅方向両端寄り部分を、前記各段部50a、50bに突き当てる。そして、上記アクチュエータボディー39のボルト挿通孔51、51を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部50a、50bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締して、図6の左側に示す様に、上記モジュール79を上記主ケーシング部75内に組み付ける。
【0042】
この様にして、上記モジュール79を上記主ケーシング部75内に組み付けたならば、前記第三段の遊星歯車式変速ユニット27等、上記モジュール79に含まれない構成部分を、上記主ケーシング部75に組み付ける。この為に、図6の右側に示す様な第二モジュール81を、予め上記主ケーシング75外で組み立てておく。この第二モジュール81は、両端部に前記第二太陽歯車69及び前記第三太陽歯車71を設けた前記伝達軸29の中間部周囲に、この第二太陽歯車69の側から順番に、前記第一リング歯車68と、前記低速用クラッチ62と、前記隔壁板77とを外嵌支持して成る。この様な第二モジュール81に関しても、前記モジュール79と同様に、上記各構成部材を、上記主ケーシング部75外の広い場所で組み立て、予め動作の確認をしておく。
【0043】
この様にして上記主ケーシング部75外で組み立てた、上記第二モジュール81は、図7〜8に示す様にこの主ケーシング75内に、前記開口部78から、上記第一リング歯車68を先にして挿入する。前述した様にこの開口部78にこの第一リング68を挿入した状態では、この第一リング歯車68の中心軸と前記第一段の遊星歯車式変速機25を構成する前記第一太陽歯車64の中心軸とが一致する。この為、上記第一リング歯車68を少し回転させつつ上記開口部78内に挿入すれば、先ず、図7に示す様に、この第一のリング歯車68と、前記外径側の遊星歯車67とが噛合し始める。そして、更に上記第二モジュール81を上記主ケーシング75内に、前記伝達軸29を少し回転させつつ挿入すれば、図8に示す様に、上記第二太陽歯車69が、前記第二段の遊星歯車式変速ユニット26を構成する内径側の遊星歯車66と噛合し始める。この状態から、上記第二モジュール81を上記主ケーシング75内に挿入し、図9に示す様に、上記隔壁板77を上記主ケーシング部75の後端開口縁部に突き当てれば、上記第二モジュール81の構成部材と前記モジュール79の構成部材とが、適正な位置関係に組み合わされる。又、この状態で、上記第一リング歯車68の外周面と上記主ケーシング部75の内周面との間に隙間が生じ、これら両周面同士が擦れ合う事がなくなる。
【0044】
以上の様にして、上記モジュール79と上記第二モジュール81とを、上記主ケーシング部75に組み付けたならば、前記第三段の遊星歯車式変速ユニット27の構成各部材、前記高速用クラッチ63、前記出力軸21aを、上記隔壁板77外に組み付ける。尚、これら第三段の遊星歯車式変速ユニット27の構成各部材、高速用クラッチ63、出力軸21aも、予め広い場所で組み立てると共に前記補助ケーシング部76内に組み付けて、第三モジュールとしておく。従って、上記第三段の遊星歯車式変速ユニット27の構成各部材、上記高速用クラッチ63、上記出力軸21aを上記隔壁板77外に組み付ける作業は、上記第三モジュールをこの隔壁板77外に組み付ける事により、容易に行なえる。前記ケーシング38の下端開口は、これら一連の組み付け作業の後、オイルパン80により塞ぐ。
【0045】
又、図示の例では、前記各支柱40、40の上部に、前記トラクション部に潤滑油(トラクションオイル)を供給する為の給油ノズル83、83を設けている。これら各給油ノズル83、83には、前記天板部52及び前記連結板45内に設けた給油通路から、前記各位置決め凹部53a、53bと前記各ボルト46、46の中心孔とを通じて、上記潤滑油を送り込む。又、前記各トラニオン30、30の内部に、前記各パワーローラ6、6に関する転がり軸受部に潤滑油を送り込む為の給油通路84、84(図3)を設け、上記天板部52内に設けた給油通路から上記各トラニオン30、30内の給油通路84、84に、潤滑油を送り込み自在としている。これに合わせて上記連結板45の下面に、上記各給油通路84、84に向け潤滑油を送り込む為の給油プラグ85、85(図3)を設け、上記ケーシング38内への前記モジュール79の組み込みに伴って、上記連結板45側の給油通路と上記各トラニオン30、30側の給油通路84、84とを連通させる様にしている。又、本例の場合、出力側ディスク5の外周縁及び押圧装置60の外周縁に、径方向に関する凹凸を円周方向等間隔に設け、上記出力側ディスク5及び入力側ディスク4a、4bの回転速度を検出自在としている。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、組立作業の容易化によりトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置のコスト低減を図れる他、修理作業も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】図1の拡大B−B断面図。
【図4】トロイダル型無段変速機を含むモジュールの斜視図。
【図5】ケーシングのうちの主ケーシング部を下方から見た斜視図。
【図6】モジュールを組み込んだ主ケーシング部と第二モジュールとを、組み合わせる以前の状態で示す断面図。
【図7】同じく組み合わせ作業の初期段階の状態を示す断面図。
【図8】同じく終期段階の状態を示す断面図。
【図9】同じく完了状態を示す断面図。
【図10】トロイダル型無段変速機の変速比と無段変速機全体としての変速比(車速)との関係を示す線図。
【図11】従来から知られている無段変速装置の基本構成の1例を示す略断面図。
【符号の説明】
1、1a トロイダル型無段変速機
2 遊星歯車式変速機
3、3a 入力軸
4a、4b 入力側ディスク
5 出力側ディスク
6 パワーローラ
7、7a キャリア
8 遊星歯車
9 遊星歯車
10 第一伝達軸
11 太陽歯車
12 太陽歯車
13 第二伝達軸
14、14a 中空回転軸
15 太陽歯車
16 遊星歯車
17 リング歯車
18 第二キャリア
19 遊星歯車
20 遊星歯車
21、21a 出力軸
22 第二リング歯車
23 低速用クラッチ
24 高速用クラッチ
25 第一段の遊星歯車式変速ユニット
26 第二段の遊星歯車式変速ユニット
27 第三段の遊星歯車式変速ユニット
28 遊星歯車式変速機
29 伝達軸
30 トラニオン
31 折れ曲がり壁部
32 連結部材
33 ねじ
34 支持軸
35 スラスト玉軸受
36 スラストアンギュラ玉軸受
37a、37b 支持板
38 ケーシング
39 アクチェータボディー
40 支柱
41a、41b 支持ポスト部
42 支持環部
43 ボルト
44 凹部
45 連結板
46 ボルト
47 凹部
48a、48b 支持孔
49a、49b、49c 凸部
50a、50b 段部
51 ボルト挿通孔
52 天板部
53a、53b 位置決め凹部
54 スリーブ
55a、55b 軌道輪
56 突条部
57 シム板
58 駆動軸
59 トーションダンパ
60 押圧装置
61 アクチュエータ
62 低速用クラッチ
63 高速用クラッチ
64 第一太陽歯車
65 遊星歯車
66 遊星歯車
67 遊星歯車
68 第一リング歯車
69 第二太陽歯車
70 第二キャリア
71 第三太陽歯車
72 第二リング歯車
73 遊星歯車
74 遊星歯車
75 主ケーシング部
76 補助ケーシング部
77 隔壁部
78 開口部
79 モジュール
80 オイルパン
81 第二モジュール
83 給油ノズル
84 給油通路
85 給油プラグ
86 枢軸
87 出力側面

Claims (8)

  1. ケーシング内にトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを、互いの間での動力の伝達を自在に組み合わせた状態で収納すると共に、上記トロイダル型無段変速機の中心部に第一回転軸を配設し、上記遊星歯車式変速機の中心部に第二回転軸を接続して成り、
    このうちのトロイダル型無段変速機は、上記ケーシング内に回転自在に支持された上記第一回転軸と、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態でこの第一回転軸と同期した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この第一回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記第一回転軸に対する相対回転を自在に支持された内側ディスクと、軸方向に関してこの内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた支持部材と、これら各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させたパワーローラと、上記1対の外側ディスクのうちの上記第二回転軸側の外側ディスクの内周面と上記第一回転軸の外周面との間に配設されて、この第二回転軸と反対側の端部を上記内側ディスクに回転伝達自在に接続すると共にこの第二回転軸の側の端部をこの第二回転軸の側の外側ディスクの外側面から突出させた円管状の中空回転軸とを備えたものであり、
    上記遊星歯車式変速機は、上記トロイダル型無段変速機側に設けられた第一段の遊星歯車式変速ユニットと、上記第二回転軸側に設けられた第二段の遊星歯車式変速ユニットとを互いに同軸に、動力の伝達自在に組み合わせて成るものであり、
    このうちの第一段の遊星歯車式変速ユニットは、上記中空回転軸の上記第二回転軸側の端部にこの中空回転軸と同期した回転を自在に設けられた第一太陽歯車と、上記第一回転軸と上記第二回転軸側の外側ディスクとの間に掛け渡されたキャリアと、このキャリアのうちでこの外側ディスクの側に回転自在に支持されて上記第一太陽歯車と噛合した複数の第一遊星歯車とを備えたものであり、
    上記第二段の遊星歯車式変速ユニットは、上記第二回転軸のうちで上記トロイダル型無段変速機の側の端部にこの第二回転軸と同期した回転を自在に支持された第二太陽歯車と、上記キャリアのうちで上記外側ディスクと反対の側に回転自在に支持されて上記第二太陽歯車と噛合した複数の第二遊星歯車と、これら第二太陽歯車及び各第二遊星歯車の周囲にこの第二太陽歯車と同心に、且つ、回転自在に支持されたリング歯車とを備え、このリング歯車を、上記各第一遊星歯車と上記各第二遊星歯車とのうちの少なくとも一方の遊星歯車と噛合させたものであり、
    上記ケーシングは、上記遊星歯車式変速機の設置位置を基準として、上記トロイダル型無段変速機と反対側に、この遊星歯車式変速機を軸方向に挿入可能な開口部が設けられており、この開口部の内周面は、上記リング歯車を内嵌する事でこのリング歯車の中心軸と上記第一太陽歯車の中心軸とが一致する形状及び寸法とされており、上記ケーシングの内周面のうちで、上記リング歯車と上記各第一遊星歯車と上記各第二遊星歯車とのうちの少なくとも一方とを組立完了状態にまで噛合させた状態で上記リング歯車の周囲に位置する部分は、このリング歯車の外周面と接触しない形状及び寸法とされている
    無段変速装置。
  2. リング歯車と第二太陽歯車を備えた第二回転軸とが、ケーシング内への組み付けに先だって組み合わされたモジュールとされている、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. 内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間に設けられ、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を備え、この支持環部に第一回転軸を挿通した状態でこれら両支柱の両端部をケーシングに対し支持固定すると共に、これら両支柱の支持環部に上記内側ディスクの軸方向両端部を回転自在に支持した、請求項1〜2の何れかに記載した無段変速装置。
  4. 第一回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数個の支持部材と、これら各支持部材の両端部に設けられた枢軸を揺動及び軸方向の変位自在に支持する為の複数の支持板と、上記各支持部材に回転自在に支持された複数のパワーローラと、上記内側ディスクの両端部を回転自在に支持する為の1対の支柱と、上記各支持部材を上記各枢軸の軸方向に変位させる複数のアクチュエータとを、これら各アクチュエータの本体部分を収納するアクチュエータボディーに、ケーシング内に組み込む以前に組み付けている、請求項3に記載した無段変速装置。
  5. ケーシングのうちで車両への搭載状態で下側となる部分に開口が設けられており、予めアクチュエータボディーに組み付けた、第一回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数個の支持部材と、複数の支持板と、複数のパワーローラと、複数のアクチュエータと、1対の支柱とを、上記開口を通じて上記ケーシング内に収納し、上記アクチュエータボディーを上記ケーシングに結合固定している、請求項4に記載した無段変速装置。
  6. リング歯車と、第二回転軸のうちでトロイダル型無段変速機と反対側部分の周囲に設けた第三段の遊星歯車式変速ユニット構成する部材とを、動力の伝達状態を断接する為のクラッチを介して結合している、請求項1〜5の何れかに記載した無段変速装置。
  7. 第三段の遊星歯車式変速ユニットは、第二回転軸のうちでトロイダル型無段変速機と反対側の端部にこの第二回転軸と同期した回転を自在に支持された第三太陽歯車と、この第二回転軸に関して第一回転軸と反対側に、これら第一、第二回転軸と同心に、且つ、これら第一、第二回転軸に対する相対回転を自在に支持された第三回転軸と、この第三回転軸に支持された第二キャリアに支持されて上記第三太陽歯車と噛合した複数の第三遊星歯車と、上記第三太陽歯車の周囲に回転自在に支持されてこれら各第三遊星歯車と噛合した第二リング歯車とを備えたものであり、ケーシングの開口部の外側に結合固定された補助ケーシング部と、この補助ケーシング部と上記第二リング歯車との間に、接続時にこの第二リング歯車の回転を阻止する第二クラッチを設けた、請求項6に記載した無段変速装置。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載した無段変速装置を組み立てる際に、ケーシング内の所定位置にトロイダル型無段変速機を組み付けると共に、遊星歯車式変速機を構成する第一太陽歯車と、キャリアと、第一、第二遊星歯車とを組み合わせた後、第二太陽歯車を備えた第二回転軸とリング歯車とを、ケーシング内への組み付けに先だって組み合わせてモジュールとし、このモジュールを構成する上記リング歯車の外周面を、上記ケーシングの開口部の内周面に内嵌しつつ、上記モジュールを軸方向に移動させる事によりこのケーシング内に挿入し、上記リング歯車と、上記各第一遊星歯車と上記各第二遊星歯車とのうちの少なくとも一方の遊星歯車とを、上記第二太陽歯車と上記各第二遊星歯車とを、それぞれ噛合させる、無段変速装置の組立方法。
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