JP4231422B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、操舵ハンドルの操作に応じて転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置に関する。
近年、この種のステアリングバイワイヤ方式を採用した操舵装置の開発は、積極的に行われるようになった。そして、例えば下記特許文献1は、操舵角および車速を検出し、操舵角の増加に従って減少するとともに車速の増加に従って増加する伝達比を計算し、この伝達比で操舵角を除算することにより前輪の転舵角(ラック軸の変位量)を計算して、同計算した転舵角に前輪を転舵するようにした操舵装置が示されている。また、この操舵装置においては、検出ハンドル操舵角を時間微分した操舵速度に応じて前記計算した転舵角を補正することにより、前輪の転舵応答性・追従性を高めるようにしている。さらに、検出車速および検出ハンドル操舵角を用いて目標ヨーレートを計算し、この計算した目標ヨーレートと検出した実ヨーレートとの差に応じて前記計算した転舵角を補正することにより、車両の挙動状態を考慮した転舵制御を実現するようになっている。
また、下記特許文献2には、操舵トルクおよびハンドル操舵角を検出し、操舵トルクおよびハンドル操舵角の増加に従って増加する2つの転舵角をそれぞれ計算し、これらの計算した両転舵角を加算した転舵角に前輪を転舵するようにした転舵装置が示されている。この操舵装置においては、車速も検出し、この検出車速により前記両転舵角を補正して、転舵特性を車速に応じて変更するようになっている。
しかしながら、上記従来の装置のいずれにおいても、車両を操舵するための運転者による操舵ハンドルに対する操作入力値である操舵角および操舵トルクを検出し、これらの検出した操舵角および操舵トルクを用いて前輪の転舵角を直接的に計算して、この計算した転舵角に前輪を転舵するようにしている。しかし、これらの前輪の転舵制御は、従前の操舵ハンドルと転舵輪との機械的な連結を外してはいるものの、操舵ハンドルの操作に対する前輪の操舵の応答性としては、操舵ハンドルの操作位置または操作力に対応させて前輪の転舵角を決定するという基本的な技術思想は全く同じであり、これらの転舵方法では、人間の感覚特性に対応して前輪の転舵角が決定されていないので、車両の運転操作が難しかった。
すなわち、上記従来の装置においては、運転者が知覚し得ない転舵角が操舵ハンドルの操作に対応させて直接的に決定され、同転舵角に応じた前輪の転舵によって車両が旋回する。そして、運転者はこの車両の旋回に起因した車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率を触覚または視覚により感じ取り、操舵ハンドルの操作にフィードバックして車両を所望の態様で旋回させていた。言い換えれば、運転者による操舵ハンドルの操作に対する前輪の転舵角は人間の知覚し得ない物理量であるので、運転者の操舵操作に対して直接的に決定される転舵角は運転者の知覚特性に合わせて決められたものではなく、これが車両の運転を難しくしていた。
また、上記従来の装置においては、検出車速および検出ハンドル操舵角を用いて計算した目標ヨーレートと、検出した実ヨーレートとの差に応じて決定転舵角を補正するようにしているが、これは車両の挙動状態を考慮した転舵角の単なる補正であって、操舵ハンドルの操作により運転者が知覚するであろうヨーレートに応じて転舵角を決定しているわけではない。したがって、この場合も、運転者の操舵操作に対して決定される転舵角は運転者の知覚特性に合わせて決められたものではなく、車両の運転を難しくしていた。
また、上記従来の装置においては、操舵装置自体に異常が発生した場合に、運転者に対して発生した異常を知らせる手段を備えていない。一般的に、ステアリングバイワイヤ方式を採用した操舵装置においては、フェールセーフ機構としてシステムを多重化することが行われている。そして、通常使用される主転舵系に異常が発生した場合には、例えば、待機系に切り替えることにより車両を安全に走行させることが可能となる。このとき、異常が発生していることを運転者に知らせる手段としては、例えば、操舵ハンドルの反力トルク(操舵トルク)を大きく(所謂、重く)することが考えられる。
しかしながら、上記従来の操舵装置において、単に操舵ハンドルの反力トルク(操舵トルク)を大きく変更する場合には、この変更に併せて操舵装置の転舵アクチュエータの作動状態も変更される場合がある。すなわち、上記従来の操舵装置は、操舵ハンドルの操作に対する転舵輪の応答性として、操舵ハンドルの操作位置または操作力に対応させて転舵輪の転舵角を決定しているため、運転者が操舵ハンドルを操舵し難くなると、これに併せて転舵アクチュエータの作動量が制限されることになる。このため、車両性能(例えば、操舵ハンドルの戻り、直進性など)に多大な影響を与える場合があり、車両の運動特性が悪化する可能性がある。また、一方で、車両性能に影響を与えない程度に操舵トルクを大きくする場合には、運転者に対する異常発生の警報として機能しない場合がある。
特開2000−85604号公報 特開平11−124047号公報
本発明者等は、上記問題に対処するために、運転者による操舵ハンドルの操作に対して、人間の知覚特性に合わせて車両を操舵することができる車両の操舵装置の研究に取り組んだ。このような人間の知覚特性に関し、ウェーバー・ヘフナー(Weber-Fechner)の法則によれば、人間の感覚量は与えられた刺激の物理量の対数に比例するといわれている。言い換えれば、人間の操作量に対して人間に与えられる刺激の物理量を指数関数的に変化させれば、操作量と物理量との関係を人間の知覚特性に合わせることができる。本発明者等は、このウェーバー・ヘフナーの法則を車両の操舵装置に適用し、次のようなことを発見した。
車両の運転にあたっては、操舵ハンドルの操作によって車両は旋回し、この車両の旋回によって横加速度、ヨーレート、旋回曲率などの車両の運動状態量が変化し、運転者はこの車両の運動状態量を触覚および視覚により感じ取るものである。したがって、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作に対して、運転者が知覚し得る車両の運動状態量を指数関数的に変化させるようにすれば、運転者の操舵ハンドルの操作に対して運転者の知覚特性に合わせて車両を運転操作できることになる。
本発明は、上記発見に基づくもので、その目的は、運転者による操舵ハンドルの操作に対して、人間の知覚特性に合わせて車両を操舵させることにより、車両の運転をやさしくするとともに、異常発生時においても人間の知覚特性および車量の運動特性を損なうことなく発生した異常を確実に報知可能な車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサと、前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する変換手段と、車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運転状態を表していて、前記運動状態量に関する予め決められたウェーバー比を前記操作力に関する予め決められたウェーバー比で除算した値を指数とする前記操作力のべき乗関数として定義される車両の見込み運動状態量を、前記変換された操作力を用いて計算する運動状態量計算手段と、前記計算された見込み運動状態量で車両が運動するために必要な前記転舵輪の転舵角を、前記計算された見込み運動状態量を用いて計算する転舵角計算手段と、前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、転舵輪の転舵に関する異常を検出する異常検出手段と、前記操作力と前記車両の見込み運動状態量との前記べき乗関数を維持して、前記異常検出手段によって検出した異常を前記操舵ハンドルを介して運転者に報知する異常報知手段とを備えていることにある。この場合、前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つである
上記のように構成した本発明においては、まず、操舵ハンドルに対する運転者の操作が、車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態を表していて、前記運動状態量に関する予め決められたウェーバー比を前記操作力に関する予め決められたウェーバー比で除算した値を指数とする前記操作力のべき乗関数として定義される車両の見込み運動状態量(横加速度、ヨーレート、旋回曲率など)に変換される。そして、この変換された見込み運動状態量に基づいて、同見込み運動状態量で車両が運動するために必要な転舵輪の転舵角が計算されて、この計算された転舵角に転舵輪が転舵される。したがって、転舵輪の転舵によって車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」として前記見込み運動状態量が与えられる。そして、この見込み運動状態量は、操舵ハンドルへの操作に対してべき乗関係で変化するものであるので、運転者は、人間の知覚特性に合った運動状態量を知覚しながら、操舵ハンドルを操作できる。なお、横加速度およびヨーレートについては、運転者が車両内の各部位との接触により触覚的に感じ取ることができる。また、旋回曲率については、運転者が車両の視野内の状況の変化により視覚的に感じ取ることができる。その結果、本発明によれば、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドルを操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、転舵輪の転舵に関する異常を検出した場合には、上述した操舵ハンドルに対する運転者の操作と運転者が知覚し得る見込み運動状態量とのべき乗関数を維持した状態で、検出した異常が操舵ハンドルを介して報知される。このため、運転者は、操舵ハンドルを介して、異常の発生を確実に認識することができるとともに、人間の知覚特性に合った運動状態量を知覚しながら操舵ハンドルを操作できる。したがって、転舵輪の転舵に関する異常の発生を報知するために、車両の運動特性を悪化させることなく、確実に運転者に報知することができて、好適である。
また、本発明の他の特徴は、前記ステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記変位量センサによって検出した操舵ハンドルの変位量と指数関係にある反力を前記操舵ハンドルの操作に対して付与する反力付与手段を設け、前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって転舵輪の転舵に関する異常を検出すると、前記操舵ハンドルの変位量と前記反力付与手段によって前記操舵ハンドルに付与する前記反力との指数関係を変更するとともに、前記反力付与手段によって前記変更した指数関係にある反力を前記操舵ハンドルに付与することにもある。この場合、前記異常報知手段は、前記操舵ハンドルの変位量と前記反力付与手段によって前記操舵ハンドルに付与する前記反力との指数関係を、前記反力付与手段が前記操舵ハンドルの操作に対して所定量大きな反力を付与するための指数関係に変更するとよい。
これによれば、転舵輪の転舵に関する異常は、前記ウェーバー・ヘフナーの法則に従って操舵ハンドルに付与される反力の大きさを適宜変化させることによって報知される。このため、運転者は、車両走行中に操舵ハンドルの反力(または操舵力)の大きさが人間の知覚特性に従って変化することによって、確実に異常が発生したことを認識することができる。この場合、反力(または操舵力)を正常時に比して大きくなるように変化させて異常の発生を報知することにより、運転者は、より確実に異常発生を認識することができる。この場合においても、運転者は、操舵ハンドルを介して、異常の発生を確実に認識することができるとともに、人間の知覚特性に合った運動状態量を知覚しながら操舵ハンドルを操作できる。したがって、転舵輪の転舵に関する異常の発生を報知するために、車両の運動特性を悪化させることなく、確実に運転者に報知することができて、好適である。
また、本発明の他の特徴は、前記ステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって転舵輪の転舵に関する異常を検出すると、前記操舵ハンドルの中立位置を変更することにもある。この場合、前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって検出した転舵輪の転舵に関する異常の程度に応じて、段階的に前記操舵ハンドルの中立位置を変更するとよい。
これらによれば、転舵輪の転舵に関する異常は、操舵ハンドルの中立位置を変更することによって報知される。このため、運転者は、操舵ハンドルの中立位置が変更されたことを視覚的な違和感として認識するため、確実に異常の発生を報知することができる。また、発生した異常の程度に応じて、段階的に操舵ハンドルの中立位置を変更することによって、運転者は、視覚的な違和感を通して異常の程度を認識することができる。このとき、転舵装置は、操舵ハンドルと転舵輪との機械的な連結が外されているため、操舵ハンドルの中立位置変更に伴って転舵輪の中立位置が変更されることはない。このため、車両の運動特性が悪化することもない。したがって、この場合においても、運転者は、操舵ハンドルを介して、異常の発生を確実に認識することができるとともに、人間の知覚特性に合った運動状態量を知覚しながら操舵ハンドルを操作できる。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
この操舵装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を転舵するために、運転者によって回動操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は操舵入力軸12の上端に固定され、操舵入力軸12の下端は電動モータおよび減速機構からなる反力アクチュエータ13に接続されている。反力アクチュエータ13は、運転者の操舵ハンドル11の回動操作に対して反力を付与する。
また、この操舵装置は、電動モータおよび減速機構からなる転舵アクチュエータ21を備えている。この転舵アクチュエータ21による転舵力は、転舵出力軸22、ピニオンギア23およびラックバー24を介して左右前輪FW1,FW2に伝達される。この構成により、転舵アクチュエータ21からの回転力は転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23の回転によりラックバー24を軸線方向に変位させて、このラックバー24の軸線方向の変位により、左右前輪FW1,FW2は左右に転舵される。
さらに、この操舵装置は、電動モータ、減速機構およびクラッチからなり、転舵アクチュエータ21に異常(フェイル)が発生したときに動作を開始するフェールセーフとしての待機系転舵アクチュエータ25を備えている。この待機系転舵アクチュエータ25は、後述する電気制御装置によって転舵アクチュエータ21の作動にフェイルが検出されるとクラッチが作動するようになっていて、待機系転舵アクチュエータ25による転舵力が転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達されるようになっている。なお、この待機系転舵アクチュエータ25の作動に関しては、同アクチュエータ23が転舵アクチュエータ21にフェイルが発生した場合に作動することを除いて、転舵アクチュエータ21の作動と同一である。このため、この待機系転舵アクチュエータ25の詳細な作動説明については、転舵アクチュエータ21の作動説明を行うことによって省略する。
次に、これらの反力アクチュエータ13、転舵アクチュエータ21および待機系転舵アクチュエータ25の作動を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、操舵角センサ31、転舵角センサ32、車速センサ33および横加速度センサ34を備えている。
操舵角センサ31は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出して操舵角θとして出力する。転舵角センサ32は、転舵出力軸22に組み付けられて、転舵出力軸22の中立位置からの回転角を検出して実転舵角δ(左右前輪FW1,FW2の転舵角に対応)として出力する。なお、操舵角θおよび実転舵角δは、中立位置を「0」とし、左方向の回転角を正の値で表すとともに、右方向の回転角を負の値でそれぞれ表す。車速センサ33は、車速Vを検出して出力する。横加速度センサ34は、車両の実横加速度Gを検出して出力する。なお、実横加速度Gも、左方向の加速度を正で表し、右方向の加速度を負で表す。
これらのセンサ31〜34は、電子制御ユニット35に接続されている。電子制御ユニット35は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、プログラムの実行により反力アクチュエータ13、転舵アクチュエータ21および待機系転舵アクチュエータ25の作動をそれぞれ制御する。そして、ROMには、後述する異常報知プログラムが予め記憶されており、電子制御ユニット35(詳しくは、CPU)は、同プログラムの各ステップを実行して、発生したフェイルを運転者に報知する。電子制御ユニット35の出力側には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21(待機系転舵アクチュエータ25)を駆動するための駆動回路36,37がそれぞれ接続されている。駆動回路36,37内には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21(待機系転舵アクチュエータ25)内の電動モータに流れる駆動電流を検出するための電流検出器36a,37aが設けられている。電流検出器36a,37aによって検出された駆動電流は、両電動モータの駆動を制御するために、電子制御ユニット35にフィードバックされている。
次に、上記のように構成した第1実施形態の転舵装置に関し、まず、同装置の転舵動作について、電子制御ユニット35内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図2の機能ブロック図を用いて説明する。電子制御ユニット35は、操舵ハンドル11への反力付与を制御するための反力制御部40と、操舵ハンドル11の回動操作に基づいて運転者の感覚特性に対応した左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを決定するための感覚適合制御部50と、目標転舵角δdに基づいて左右前輪FW1,FW2を転舵制御するための転舵制御部60とからなる。
運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、操舵角センサ31によって操舵ハンドル11の回転角である操舵角θが検出されて、同検出された操舵角θを反力制御部40および感覚適合制御部50にそれぞれ出力する。反力制御部40においては、変位−トルク変換部41が、下記式1を用いて、操舵角θの指数関数である反力トルクTzを計算する。
Tz=To・exp(K1・θ) …式1
ただし、前記式1中のTo,K1は定数であり、これらの値に関しては後述する感覚適合制御部50の説明時に詳しく説明する。また、前記式1中の操舵角θは前記検出操舵角θの絶対値を表しているものとし、検出操舵角θが正であれば定数Toを負の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数Toを前記負の定数Toと同じ絶対値を有する正の値とする。ここで、前記式1の演算に代えて、操舵角θに対する反力トルクTzを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、反力トルクTzを計算することも可能である。このため、本明細書にて後に詳述する異常報知プログラムの説明においては、この変換テーブルを用いて説明する。
この計算された反力トルクTzは、駆動制御部42に供給される。駆動制御部42は、駆動回路36から反力アクチュエータ13内の電動モータに流れる駆動電流を入力し、同電動モータに反力トルクTzに対応した駆動電流が流れるように駆動回路36をフィードバック制御する。この反力アクチュエータ13内の電動モータの駆動制御により、同電動モータは、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTzを付与する。したがって、運転者は、この操舵角θに対して指数関数的に変化する反力トルクTzを感じながら、言い換えればこの反力トルクTzに等しい操舵トルクを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。この操舵角θと反力トルクTzの関係も上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従うものであり、運転者は、操舵ハンドル11から人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
一方、感覚適合制御部50に入力された操舵角θは、変位−トルク変換部51にて前記式1と同様な下記式2に従って操舵トルクTdを計算する。
Td=To・exp(K1・θ) …式2
この場合も、前記式2中のTo,K1は、前記式1と同様な定数である。ただし、前記式2中の操舵角θは前記検出操舵角θの絶対値を表しているものであるが、検出操舵角θが正であれば定数Toを正の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数Toを前記正の定数Toと同じ絶対値を有する負の値とする。ここで、この場合も、前記式2の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTdを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。このため、本明細書にて、後に詳述する異常報知プログラムにおいては、この変換テーブルを用いて説明する。
この計算された操舵トルクTdは、トルク−横加速度変換部52に供給される。トルク−横加速度変換部52は、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み横加速度Gdを、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To未満であれば下記式3のように「0」とし、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To以上であれば下記式4に従って操舵トルクTdのべき乗関数である見込み横加速度Gdを計算する。
Gd=0 (|Td|<To) …式3
Gd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式4
ただし、式4中のC,K2は定数である。また、前記式4中の操舵トルクTdは前記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式3,4の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み横加速度Gdを記憶した図4に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。
ここで、前記式4について説明しておく。前記式2を用いて操舵トルクTdを消去すると、下記式5に示すようになる。
Gd=C(To・exp(K1・θ))K2=C・ToK2・exp(K1・K2・θ)=Go・exp(K1・K2・θ)…式5
前記式5において、Goは定数C・ToK2であり、式5は、運転者による操舵ハンドル11の操舵角θに対して見込み横加速度Gdが指数関数的に変化していることを示す。そして、この見込み横加速度Gdは、車内の所定部位への運転者の体の一部の接触によって運転者が知覚し得る物理量であり、前述したウェーバー・ヘフナーの法則に従ったものである。したがって、運転者が、この見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、操舵ハンドル11の回動操作と車両の操舵との関係を人間の知覚特性に対応させることができる。
このように、前記式4(すなわち式5)に示された見込み横加速度Gdは操舵ハンドル11の操作量である操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、人間の知覚特定に合ったものである。さらに、運転者による操舵ハンドル11の回動操作にとって最も簡単な方法は操舵ハンドル11を一定速度ω(θ=ω・t)で回動することであり、この回動操作によれば、見込み横加速度Gdは下記式6に示すように時間tに対して指数関数的に変化する。したがって、これからも、前記見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、運転者の操舵ハンドル11の回動操作が簡単になることがわかる。
Gd=Go・exp(K0・ω・t) …式6
ただし、K0は、K0=K1・K2の関係にある定数である。
また、前記式3に示されるように、操舵トルクTdが所定値To未満である場合、見込み横加速度Gdは「0」に保たれている。これは、操舵角θが「0」のとき、すなわち操舵ハンドル11が中立位置に保たれる場合でも、前記式2の演算により、操舵トルクTdは正の所定値Toになり、この操舵トルクTd(=To)を前記式4の演算に適用してしまうと、見込み横加速度Gdは正の値C・ToK2になって、これは現実的でない。しかしながら、前述のように、操舵トルクTdが所定値To未満であれば、見込み横加速度Gdは「0」であるので、この問題は解決される。
また、この場合、運転者が知覚し得る最小感知横加速度をGoとし、かつ所定値ToがGo=C・ToK2の関係になるようにすれば、操舵トルクTdが所定値Toになるまで、すなわち運転者が操舵ハンドル11の操作によって車両が旋回して運転者が車両に発生する横加速度を感じるまで、車両の見込み横加速度Gdが「0」に保たれる。これによれば、最小操舵トルクTo以上で操舵ハンドル11を操舵したときのみ、見込み横加速度Gdを発生させるために必要な転舵角だけ左右前輪FW1,FW2は転舵制御され、この転舵制御が車両の操舵に的確に対応したものとなる。
次に、前記式1〜6で用いたパラメータK1,K2,C(所定値K1,K2,C)の決め方について説明しておく。なお、このパラメータK1,K2,Cの決め方についての説明では、前記式2〜6の操舵トルクTdおよび見込み横加速度Gdについては、操舵トルクTおよび横加速度Gとして扱う。前述したウェーバー・ヘフナーの法則によれば、「人間の知覚できる最小の物理量変化ΔSとその時点での物理量Sとの比ΔS/Sは、物理量Sの値によらず一定となり、その比ΔS/Sをウェーバー比という」ことになっている。本発明者等は、操舵トルクおよび横加速度に関し、前記ウェーバー・ヘフナーの法則が成立することを確認するとともに、ウェーバー比を決定するために、次のような実験を、男女、年齢、車両の運転履歴などの異なる種々の人間に対して行った。
操舵トルクに関しては、車両の操舵ハンドルにトルクセンサを組み付け、操舵ハンドルに検査用のトルクを外部から付与するとともに同検査用トルクを種々の態様で変化させながら、この検査用トルクに抗して人間が操舵ハンドルに操作力を加えて同操舵ハンドルを回転させないように調整する人間の操舵トルク調整能力を計測した。すなわち、前記状況下で、ある時点での検出操作トルクをTとし、同検出操舵トルクTからの変化を知覚し得る最小の操舵トルク変化量をΔTとしたときの比の値ΔT/Tすなわちウェーバー比を種々の人間に対して計測した。この実験結果によれば、操舵ハンドルの操作方向、操舵ハンドルを把持する手の状態、検査用トルクの大きさおよび方向によらず、ウェーバー比ΔT/Tはほぼ一定の0.03程度であった。
横加速度に関しては、運転席の側方に壁部材を設けて同壁部材に人間の肩の押圧力を検出する力センサを組み付け、人間に操舵ハンドルを把持させるとともに壁部材の力センサに方を接触させ、壁部材に検査用の力を人間に対して横方向に外部から付与するととともに同検査用の力を種々の態様で変化させながら、この検査用の力に抗して人間が壁部材を押して壁部材が移動しないように調整する、すなわち姿勢を維持する人間の横力調整能力を計測した。すなわち、前記状況下で、ある時点での外部からの横力に耐えて姿勢を維持する検出力をFとし、同検出力Fからの変化を知覚し得る最小の力変化量ΔFとしたときの比の値ΔF/Fすなわちウェーバー比を種々の人間に対して計測した。この実験の結果によれば、壁部材に付与される基準力の大きさおよび方向によらず、ウェーバー比ΔF/Fはほぼ一定の0.09程度の値であった。
一方、前記式2を微分するとともに、同微分した式において式2を考慮すると、下記式7が成立する。
ΔT=To・exp(K1・θ)・K1・Δθ=T・K1・Δθ …式7
この式7を変形するとともに、前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとすると、下記式8が成立する。
K1=ΔT/(T・Δθ)=Kt/Δθ …式8
また、最大操舵トルクをTmaxとすれば、前記式2より下記式9が成立する。
Tmax=To・exp(K1・θmax) …式9
この式9を変形すれば、下記式10が成立する。
K1=log(Tmax/To)/θmax …式10
そして、前記式8および式10から下記式11が導かれる。
Δθ=Kt/K1=Kt・θmax/log(Tmax/To) …式11
この式11において、Ktは操舵トルクTのウェーバー比であり、θmaxは操舵角の最大値であり、Tmaxは操舵トルクの最大値であり、Toは前記したように人間が知覚し得る最小感知横加速度Goに対応するように計算されたものであり、これらの値Kt,θmax,Tmax,Toはいずれも実験およびシステムによって決定される定数であるので、前記微分値Δθを前記式11を用いて計算できる。そして、この微分値Δθをウェーバー比Ktを用いて、前記式8に基づいて所定値(係数)K1も計算できる。
また、前記式4を微分するとともに、同微分した式において式4を考慮すると、下記式12が成立する。
ΔG=C・K2・TK2-1ΔT=G・K2・ΔT/T …式12
この式12を変形し、かつ前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとするとともに、横加速度に関するウェーバー比ΔF/FをKaとすると下記式13,14が成立する。
ΔG/G=K2・ΔT/T …式13
K2=Ka/Kt …式14
この式14において、Ktは操舵トルクに関するウェーバー比であるとともに、Kaは横加速度に関するウェーバー比であって、共に定数として与えられるものであるので、これらのウェーバー比Kt,Kaを用いて、前記式14に基づいて係数K2も計算できる。
また、横加速度の最大値をGmaxとし、操舵トルクの最大値をTmaxとすれば、前記式4から下記式15が導かれる。
C=Gmax/TmaxK2 …式15
そして、この式15においては、GmaxおよびTmaxは実験およびシステムによって決定される定数であり、かつK2は前記式14によって計算されるものであるので、定数(係数)Cも計算できる。
以上のように、操舵角θの最大値θmax、操舵トルクTの最大値Tmax、横加速度Gの最大値Gmax、最小操舵トルクTo、最小感知横加速度Go、操舵トルクTに関するウェーバー比Ktおよび横加速度に関するウェーバー比Kaを、実験およびシステムによって決定すれば、前記式1〜5における係数K1,K2,Cを予め計算により決定しておくことができる。ここで、実験による好適な数値例を示しておくと、ホイールベースLが2.67mの車両において、θmax=π/2、Tmax=3.5Nm、Gmax=9.8m/s/s、To=0.76Nm、Go=0.1m/s/s、Kt=0.03、Ka=0.09であり、この場合には、K1=0.17、K2=3.0、C=0.23である。なお、この場合、Δθ=0.18である。したがって、変位−トルク変換部41,51およびトルク−横加速度変換部52においては、前記式1〜5を用いて、運転者の知覚特性に合った反力トルクTz、操舵トルクTdおよび見込み横加速度Gdを計算できる。
ふたたび、図2の説明に戻ると、トルク−横加速度変換部52にて計算された見込み横加速度Gdは、転舵角変換部53に供給される。転舵角変換部53は、見込み横加速度Gdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図5に示すように車速Vに応じて変化して見込み横加速度Gdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと横加速度Gとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部53は、このテーブルを参照して、前記入力した見込み横加速度Gdと車速センサ33から入力した検出車速Vとに対応した目標転舵角δdを計算する。また、前記テーブルに記憶されている横加速度G(見込み横加速度Gd)と目標転舵角δdはいずれも正であるが、転舵角変換部53から供給される見込み横加速度Gdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
なお、目標転舵角δdは下記式16に示すように車速Vと横加速度Gの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式16の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・Gd/V2 …式16
ただし、前記式16中のLは車両のホイールベースを示す予め決められた所定値(例えば、2.67m)であり、Aは予め決められた所定値(例えば、0.00187)である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部60の転舵角補正部61に供給される。転舵角補正部61は、トルク−横加速度変換部52から見込み横加速度Gdを入力するとともに、横加速度センサ34によって検出された実横加速度Gをも入力しており、下記式17の演算を実行して、入力した目標転舵角δdを補正して補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K3・(Gd−G) …式17
ただし、係数K3は予め決められた正の定数であり、これにより実横加速度Gが見込み横加速度Gdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実横加速度Gが見込み横加速度Gdを超える場合には、補正目標転舵角δdaは小さくなる側に補正される。この補正により、見込み横加速度Gdに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdがより精度よく確保される。
この計算された補正目標転舵角δdaは、駆動制御部62に供給される。駆動制御部62は、転舵角センサ32によって検出された実転舵角δを入力し、左右前輪FW1,FW2が補正目標転舵角δdaに転舵されるように転舵アクチュエータ21(待機系転舵アクチュエータ25)内の電動モータの回転をフィードバック制御する。また、駆動制御部62は、駆動回路37から転舵アクチュエータ21(待機系転舵アクチュエータ25)内の電動モータに流れる駆動電流も入力し、同電動モータに転舵トルクに対応した大きさの駆動電流が適切に流れるように駆動回路37をフィードバック制御する。この転舵アクチュエータ21(待機系転舵アクチュエータ25)内の電動モータの駆動制御により、同電動モータの回転は、転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23によりラックバー24を軸線方向に変位させる。そして、このラックバー24が軸線方向に変位することにより、左右前輪FW1,FW2は補正目標転舵角δdaに転舵される。
次に、上記したように運転者の操舵ハンドル11に入力した操舵角θに対し、左右前輪FW1,FW2が補正目標転舵角δdaに転舵制御されている状態において、電子制御ユニット35は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2の転舵に関する異常(フェイル)を検出して運転者に報知する、図6に示す異常報知プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。以下、この異常報知プログラムについて詳細に説明する。
この異常報知プログラムは、ステップS10にてその実行が開始され、ステップS11にて、電子制御ユニット35は、左右前輪FW1,FW2の転舵に関してフェイルが発生しているか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット35は、駆動回路37から取得したフェイル判定フラグFRGが”1”であるか否かを判定する。なお、フェイル判定フラグFRGは、”1”に設定されることによりフェイル発生状態を表し、”0”に設定されることにより正常状態を表すフラグである。
具体的に例示して説明すると、駆動回路37は、転舵アクチュエータ21内の電動モータの作動に問題があり、電流検出器37aによって検出された同電動モータの駆動電流が異常であれば、フェイル判定フラグFRGを”1”に設定する。そして、”1”に設定したフェイル判定フラグFRGを電子制御ユニット35に出力する。このように、出力されたフェイル判定フラグFRGが”1”であれば、操舵装置の転舵アクチュエータ21にフェイルが発生しているため、電子制御ユニット35は、「Yes」と判定して、ステップS12に進む。
ステップS12においては、電子制御ユニット35は、図3に示した操舵角θに対する操舵トルクTd(反力トルクTz)の変換テーブルに基づき、操舵トルクTd(反力トルクTz)が大きく(所謂、重く)なるマップM2を採用して変更する。このマップM2は、通常時すなわちフェイルが発生していないときに採用する破線で示すマップM1と同様に、操舵角θに対して操舵トルクTd(反力トルクTz)が指数関数的に増加する特性を有しており、操舵ハンドル11の中立位置にてマップM1と同一の操舵トルクTd(反力トルクTz)の値であり、操舵角θが大きくなるに従ってマップM1の操舵トルクTd(反力トルクTz)よりも大きな値を有する。
このため、フェイルが発生した状態すなわちフェイル判定フラグFRGが”1”に設定された状態においては、運転者は通常時に比して、大きな操舵トルクTdによって操舵ハンドル11を操舵し、操作入力値としての操舵角θを入力するようになる。そして、電子制御ユニット35は、操舵角θに対する操舵トルクTd(反力トルクTz)の変換テーブルのマップM2を採用して変更するとともに、同採用したマップM2に基づいて入力された操舵角θに対する操舵トルクTd(反力トルクTz)を決定してステップS14に進む。ここで、操舵装置は、ステアバイワイヤ方式を採用しているため、操舵トルクTdが大きく変更されても、上述した転舵アクチュエータ21の作動状態に関しては、全く影響を与えない。すなわち、運転者は、操舵トルクTdが大きくなったことを除き、入力した操舵角θに対応するウェーバー・ヘフナーの法則に従った見込み横加速度Gdを感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。
一方、電子制御ユニット35は、前記ステップS11にて、フェイル判定フラグFRGが”1”でなければすなわちフェイル判定フラグFRGが”0”であれば、ファイルが発生していないため、「No」と判定して、ステップS13に進む。ステップS13においては、電子制御ユニット35は、操舵角θに対する操舵トルクTd(反力トルクTz)の変換テーブルに基づき、操舵トルクTd(反力トルクTz)が通常の大きさとなるマップM1を採用する。そして、電子制御ユニット35は、採用したマップM1に基づいて入力された操舵角θに対する操舵トルクTd(反力トルクTz)を決定してステップS14に進む。
ステップS14およびステップS15においては、上述した転舵装置の転舵動作の説明と同様に、見込み横加速度Gdおよび目標転舵角δdを決定する。すなわち、ステップS14においては、前記ステップS12またはステップS13にて決定した操舵トルクTd(反力トルクTz)に基づいて、図4に示した変換テーブルを利用して見込み横加速度Gdを決定する。また、ステップS15においては、前記ステップS14にて決定した見込み横加速度Gdに基づいて、図5に示した変換テーブルを利用して目標転舵角δdを決定する。
前記ステップS14およびステップS15の処理後、ステップS16に進み、電子制御ユニット35は、フェイル判定フラグFRGを一旦リセットすなわち”0”に設定し、ステップS17にて、異常報知プログラムの実行を一旦終了する。
上記作動説明から理解できるように、第1実施形態によれば、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵角θは変位−トルク変換部51によって操舵トルクTdに変換されるとともに、同変換された操舵トルクTdはトルク−横加速度変換部52によって見込み横加速度Gdに変換され、転舵角変換部53、転舵角補正部61および駆動制御部62により、左右前輪FW1,FW2は見込み横加速度Gdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。
この場合、操舵トルクTdは、反力トルクTzと等しいため、反力アクチュエータ13の作用によって運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。また、左右前輪FW1,FW2の転舵によって車両に発生する実横加速度Gも知覚し得る物理量であるとともに、この実横加速度Gは見込み横加速度Gdに等しくなるように制御される。さらに、この見込み横加速度Gdも運転者が入力した操舵角θに対してべき乗関数的(式4を式5に変形することにより指数関数的)に変化する。したがって、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った横加速度を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。その結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、転舵角補正部61は、車両に実際に発生している実横加速度Gが操舵ハンドル11の操舵角θに正確に対応するように目標転舵角δdを補正するので、車両には操舵ハンドル11の操舵角θに正確に対応した実横加速度Gが発生する。その結果、運転者は、人間の知覚特性により正確に合った横加速度を知覚しながら、操舵ハンドル11を操作できるようになるので、車両の運転がより簡単になる。
さらに、操舵装置の操舵に関する異常(フェイル)が発生した場合には、運転者は、通常時に比して大きな操舵トルクTdを感じながら、操舵入力値としての操舵角θを入力する。これにより、運転者は、指数関数的に変化する、通常時とは異なる操舵フィーリングを感じることにより、フェイルが発生していることを認識することができる。この場合、操舵トルクTdが大きくなっても、その他の知覚特性すなわち見込み横加速度Gdの知覚特性を変化させることなく、車両を旋回させることができる。この結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、フェイル発生前後にて車両の運動特性を損なうことなく、確実に運転者に報知することができて、好適である。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2の転舵に関するフェイルを検出して運転者に報知する際に、操舵トルクTd(反力トルクTz)の大きさ(重さ)を大きく(重く)して、運転者の操舵フィーリングに違和感を与えることにより、フェイルが発生していることを報知するように実施した。これに代え、または加えて、発生したフェイルのレベルに応じて、運転者に対して段階的に報知し、発生した故障を予見させるように実施することも可能である。以下、この第2実施形態について、詳細に説明するが、操舵装置の構成および転舵動作に関しては、上記第1実施形態と同一であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態においては、フェイル発生時に、電子制御ユニット35によって、図7に示す異常報知プログラムが実行される。この異常報知プログラムは、その実行がステップS50にて開始され、ステップS51にて、電子制御ユニット35は、左右前輪FW1,FW2の転舵に関してフェイルが発生しているか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット35は、駆動回路37から取得したフェイル判定フラグFRGが”1”であるか否かを判定する。なお、このフェイル判定フラグFRGは、上記第1実施形態の異常報知プログラムと同一のフラグである。そして、フェイル判定フラグFRGが”0”すなわちフェイルが発生していなければ、「No」と判定して、ステップS52に進み、人間の知覚特性に従って、上述した第1実施形態と同様に正常時の転舵動作によって左右前輪FW1,FW2を転舵し、ステップS60にて異常報知プログラムの実行を一旦終了する。
一方、前記ステップS51にて、フェイル判定フラグFRGが”1”すなわちフェイルが発生していれば、「Yes」と判定し、ステップS53にて、電子制御ユニット35は、発生しているフェイルのレベルを判定して車両の走行が継続可能であるか否かを判定する。このレベル判定は、発生したフェイルが車両走行を不能とするものであるか否かを判定するとともに、走行可能である場合には、走行不能となるまでの余裕度に応じてフェイルレベル判定する。
すなわち、電子制御ユニット35は、転舵アクチュエータ21が作動可能であるものの、例えば、転舵アクチュエータ21との間に設定された3回線からなる多重通信回線のうちの主回線が断線したり(余裕度大につきフェイルレベル1)、主回線および第2回線が断線したり(余裕度小につきフェイルレベル2)した場合には、継続して車両走行が可能と判断して「Yes」と判定する。そして、ステップS54にて、操舵ハンドル11の中立位置をオフセット量θoff(例えば、0<θoff<π/6)だけオフセットして変更する。これについて、上記した多重通信回線の断線を例に挙げて、図8および図9を用いて詳細に説明する。
電子制御ユニット35は、多重通信回線が正常すなわち多重通信回線に断線が発生していない状態においては、図8の正常領域に示すように、オフセット量θoffを「0」に設定し、操舵ハンドル11の中立位置を、図9(a)に示すように、正常状態に設定している。この正常状態から、多重通信回線の主回線が断線した状態すなわちフェイルレベル1を検出すると、電子制御ユニット35は、図8の報知領域に示すように、フェイルレベル1に対応したオフセット量θoffを設定し、操舵ハンドル11を、図9(b)に示すように、報知状態として設定したオフセット量θoffだけ中立位置をオフセットさせる。
より詳細に説明すると、電子制御ユニット35は、駆動回路36を介して、反力アクチュエータ13を駆動させて、操舵ハンドル11をその中立位置が前記設定したオフセット量θoffとなるまで回動させる。これにより、電子制御ユニット35は、オフセット量θoffだけ回動させたオフセット位置を新たな中立位置として再設定し、運転者によって入力される操舵角θを、θ=θ−θoffとして検出する。このように、操舵ハンドル11の中立位置をオフセットさせることにより、運転者は、視覚的に違和感を感じ、操舵装置に異常が発生していることを認識することができる。この場合、操舵装置は、ステアバイワイヤ方式を採用しているため、左右前輪FW1,FW2の中立位置に対しては、全く影響を与えない。このため、運転者は、新たに設定された中立位置から操舵ハンドル11を開度操作することにより、ウェーバー・ヘフナーの法則に従った横加速度を感じ、人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。
また、電子制御ユニット35は、通信回線の主回線および第2回線が断線した状態すなわちフェイルレベル2を検出すると、電子制御ユニット35は、図8の報知領域に示すように、フェイルレベル2に対応したオフセット量θoffを設定する。そして、上記したフェイルレベル1と同様に、操舵ハンドル11の中立位置を前記設定したフェイルレベル2に対応するオフセット量θoffとなるまで回動させ、同回動位置を新たな中立位置として設定する。ここで、フェイルレベル2のオフセット量θoffは、フェイルレベル1のオフセット量θoffに比して、大きく設定されている。このように、フェイルレベルが大きくなるに従って、オフセット量θoffを大きくすることにより、運転者は、視覚的により違和感を覚えることになり、操舵装置に発生しているフェイルを段階的に認識することができる。
ここで、多重通信回線の主回線が断線してフェイルレベル1が検出され、その後、多重通信回線の第2回線が断線してフェイルレベル2が検出された場合には、電子制御ユニット35は、段階的に操舵ハンドル11の中立位置をオフセットさせる。すなわち、フェイルレベル1を検出した時点で、電子制御ユニット35は、フェイルレベル1に対応したオフセット量θoffを決定して操舵ハンドル11の中立位置をオフセットさせる。この状態から、さらに第2回線が断線してフェイルレベル2を検出すると、電子制御ユニット35は、前記フェイルレベル1に対応した中立位置からフェイルレベル2に対応した中立位置まで操舵ハンドル11を回動させる。このように、電子制御ユニット35は、発生したフェイルレベルに応じて、段階的に、操舵ハンドル11をオフセットさせる。
前記ステップS54の設定処理後、ステップS55にて、電子制御ユニット35は、操舵角θに対する操舵トルクTd(反力トルクTz)の変換テーブルを、前記ステップS54にて設定したオフセット量θoffを考慮して変更するとともに、同変更した変換テーブルに基づいて、操舵トルクTd(反力トルクTz)を決定する。すなわち、電子制御ユニット35は、前記ステップS54にて、操舵ハンドル11の中立位置をオフセットした場合には、オフセット量θoffだけ変換テーブルを操舵角θに対して平行移動(本実施形態においては、操舵角θの正方向に平行移動)させて変更する。そして、電子制御ユニット35は、変更した変換テーブルに基づいて、入力された操舵角θに対応した操舵トルクTd(反力トルクTz)を決定する
続く、ステップS56およびステップS57においては、上記第1実施形態における異常報知プログラムのステップS14およびステップS15と同様に、見込み横加速度Gdおよび目標転舵角δdを決定する。すなわち、ステップS56においては、前記ステップS55にて決定した操舵トルクTd(反力トルクTz)に基づいて、見込み横加速度Gdを決定する。また、ステップS57においては、前記ステップS56にて決定した見込み横加速度Gdに基づいて、目標転舵角δdを決定する。
前記ステップS56およびステップS57の処理後、ステップS58に進み、電子制御ユニット35は、フェイル判定フラグFRGを一旦リセットすなわち”0”に設定し、ステップS60にて、異常報知プログラムの実行を一旦終了する。
一方、電子制御ユニット35は、前記ステップS53にて、例えば、転舵アクチュエータ21との間に設定された多重通信回線が全て断線した(通信不能であるためフェイルレベル3)ことにより転舵アクチュエータ21の作動が不能となった場合には、同アクチュエータ21の作動不全によって車両走行の継続が不能と判断して、「No」と判定する。そして、ステップS59にて、故障処理として、待機系転舵アクチュエータ25の作動に切り替えるとともに、操舵ハンドル11の中立位置を最大にオフセットさせることによって操舵系に故障が発生したことを報知する。すなわち、電子制御ユニット35は、多重通信回線がすべて断線しているため、図8の故障領域に示すように、操舵ハンドル11の中立位置を最大オフセット量θoffだけオフセットさせる。これにより、ユーザは、現在車両の操舵装置に異常が発生していることを、視覚的な違和感を通じて知ることができる。そして、ステップS60にて異常報知プログラムの実行を一旦終了する。
以上の説明から理解することができるように、この第2実施形態によれば、発生したフェイルのレベルに応じて、操舵ハンドル11の中立位置をオフセットすることができる。これにより、運転者に対して、視覚的な違和感を与え、発生したフェイルを確実に報知することができる。また、操舵ハンドル11をオフセットした後、このオフセット位置を中立位置として再設定するため、運転者の操作入力値としての操舵角θに対する見込み横加速度Gdは、操舵ハンドル11の中立位置のオフセット前後において、運転者により同様に知覚される。このため、運転者に対して、効果的にフェイルを報知した状態であっても、車両の運動特性を良好に確保することができる。
c.第1変形例
上記第1実施形態および第2実施形態における異常報知プログラムは、運動状態量としての横加速度を採用した操舵装置に適用して実施した。これらに代えて、運動状態量としてのヨーレートを採用した操舵装置に異常報知プログラムを適用して実施することも可能である。以下、この第1変形例について説明する。この第1変形例においては、操舵装置は、図1に破線で示すように、上記第1実施形態および第2実施形態における横加速度センサ34に代えて、運転者が知覚し得る運動状態量である実ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ38を備えている。他の構成については、上記第1実施形態および第2実施形態と同じであるが、転舵操作に関し、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1実施形態および第2実施形態の場合とは若干異なる。また、この第1変形例に係るヨーレートを運動状態量とする操舵装置に適用される異常報知プログラムは、上記第1実施形態および第2実施形態の異常報知プログラムと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
この第1変形例においては、転舵動作に関し、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図10の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部50において、変位−トルク変換部51は上記第1実施形態および第2実施形態と同様に機能するが、上記第1実施形態および第2実施形態のトルク−横加速度変換部52に代えてトルク−ヨーレート変換部54が設けられている。
このトルク−ヨーレート変換部54は、変位−トルク変換部51にて計算された操舵トルクTdを用いて、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込みヨーレートγdを、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To未満であれば下記式18のように「0」とし、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To以上であれば下記式19に従って計算する。
γd=0 (|Td|<To) …式18
γd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式19
ただし、式19中のC,K2は、上記第1実施形態および第2実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式19中の操舵トルクTdは上記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合、前記式18,19の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込みヨーレートγdを記憶した図11に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込みヨーレートγdを計算するようにしてもよい。
また、転舵角変換部55は、見込みヨーレートγdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図12に示すように車速Vに応じて変化して見込みヨーレートγdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δとヨーレートγとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部55は、このテーブルを参照して、前記入力した見込みヨーレートγdと車速センサ33から入力した検出車速Vに対応した目標転舵角δdを計算する。また、前記テーブルに記憶されているヨーレートγ(見込みヨーレートγd)と目標転舵角δdは、いずれも正であるが、転舵角変換部55から供給される見込みヨーレートγdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
なお、目標転舵角δdは下記式20に示すように車速Vとヨーレートγの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式20の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・γd/V …式20
ただし、前記式20においても、Lはホイールベースを示す予め決められた所定値(例えば、2.67m)であり、Aは予め決められた所定値(例えば、0.00187)である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部60の転舵角補正部63に供給される。転舵角補正部63は、トルク−ヨーレート変換部54から見込みヨーレートγdを入力するとともに、ヨーレートセンサ38によって検出された実ヨーレートγをも入力しており、下記式21の演算を実行して、入力した目標転舵角δdを補正して補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K4・(γd−γ) …式21
ただし、係数K4は予め決められた正の定数であり、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込みヨーレートγdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
また、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記第1実施形態および第2実施形態の場合と同じである。そして、図10の機能ブロック図において、上記第1実施形態および第2実施形態の図2と同一の符号を付してその説明を省略する。
そして、上記説明した第1変形例においても、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵角θは変位−トルク変換部51によって操舵トルクTdに変換されるとともに、同変換された操舵トルクTdはトルク−ヨーレート変換部54によって見込みヨーレートγdに変換され、転舵角変換部55、転舵角補正部63および駆動制御部62により左右前輪FW1,FW2は見込みヨーレートγdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。この場合も、操舵トルクTdは、反力トルクTzと等しいため、反力アクチュエータ13の作用によって運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。
また、左右前輪FW1,FW2の転舵によって車両に発生するヨーレートγも知覚し得る物理量であるとともに、このヨーレートγは見込みヨーレートγdに等しくなるように制御され、さらに、この見込みヨーレートγdも操舵角θに対してべき乗関数的(上記第1実施形態の式4から式5への変形と同様に式19を変形することにより指数関数的)に変化する。したがって、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従ったヨーレートを感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。その結果、運転者は、上記第1実施形態および第2実施形態の場合と同様に、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、この第1変形例においても、操舵装置の操舵に関する異常(フェイル)が発生した場合には、運転者は、通常時に比して大きな操舵トルクTdに抗して、操舵入力値としての操舵角θを入力する。これにより、運転者は、指数関数的に変化する、通常時とは異なる操舵フィーリングを感じることにより、フェイルが発生していることを確実に知ることができる。この場合、操舵トルクTdが大きくなっても、その他の知覚特性すなわち見込み横加速度Gdの知覚特性を変化させることなく、車両を旋回させることができる。この結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運動特性を損なうことなく、車両の運転を簡単に行うことができる。
さらに、発生したフェイルのレベルに応じて、操舵ハンドル11の中立位置をオフセットすることができる。これにより、運転者に対して、視覚的な違和感を与え、発生したフェイルを確実に報知することができる。また、操舵ハンドル11をオフセットした後、このオフセット位置を中立位置として再設定するため、運転者の操作入力値としての操舵角θに対する見込み横加速度Gdは、操舵ハンドル11の中立位置のオフセット前後において、運転者により同様に知覚される。このため、運転者に対して、効果的にフェイルを報知した状態であっても、車両の運動特性を良好に確保することができる。
c.第2変形例
次に、上記第1実施形態および第2実施形態における異常報知プログラムは、運動状態量としての横加速度を採用した操舵装置に適用して実施した。また、上記第1変形例における異常報知プログラムは、運動状態量としてのヨーレートを採用した操舵装置に適用して実施した。これらに代えて、運動状態量としての旋回曲率を採用した操舵装置に適用して実施することも可能である。以下、この第2変形例について説明する。この第2変形例においても、操舵装置は、上記第1実施形態および第2実施形態と同様に図1に示すように構成されている。ただし、転舵動作に関し、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが上記第1実施形態および第2実施形態の場合とは若干異なる。また、この第2変形例に係る旋回曲率を運動状態量とする操舵装置に適用される異常報知プログラムは、上記第1実施形態および第2実施形態の異常報知プログラムと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
この第2変形例においては、転舵動作に関し、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図13の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部50において、変位−トルク変換部51は上記第1実施形態および第2実施形態と同様に機能するが、上記第1実施形態および第2実施形態のトルク−横加速度変換部52に代えてトルク−旋回曲率変換部56が設けられている。
このトルク−旋回曲率変換部56は、変位−トルク変換部51にて計算された操舵トルクTdを用いて、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み旋回曲率ρdを、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To未満であれば下記式22にように「0」とし、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To以上であれば下記式23に従って計算する。
ρd=0 (|Td|<To) …式22
ρd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式23
ただし、式23中のC,K2は、上記第1実施形態および第2実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式23中の操舵トルクTdは上記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合、前記式22,23の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み旋回曲率ρdを記憶した図14に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み旋回曲率ρdを計算するようにしてもよい。
また、転舵角変換部57は、見込み旋回曲率ρdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図15に示すように車速Vに応じて変化して見込み旋回曲率ρdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと旋回曲率ρとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部57は、このテーブルを参照して、前記入力した見込み旋回曲率ρdと車速センサ33から入力した検出車速Vとに対応した目標転舵角δdを計算する。また、前記テーブルに記憶されている旋回曲率ρ(見込み旋回曲率ρd)と目標転舵角δdはいずれも正であるが、トルク−旋回曲率変換部56から供給される見込み旋回曲率ρdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
なお、目標転舵角δdは下記式24に示すように車速Vと旋回曲率ρの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式24の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・ρd …式24
ただし、前記式24においても、Lはホイールベースを表す予め決められた所定値(例えば、2.67m)であり、Aは予め決められた所定値(例えば、0.00187)である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部60の転舵角補正部64に供給される。転舵角補正部64は、トルク−旋回曲率変換部56から見込み旋回曲率ρdを入力するとともに、旋回曲率計算部65から実旋回曲率ρも入力する。旋回曲率計算部65は、横加速度センサ34によって検出された横加速度Gまたはヨーレートセンサ38によって検出されたヨーレートγと、車速センサ33によって検出された車速Vとを用いて、下記式25の演算の実行により実旋回曲率ρを計算して転舵角補正部64に出力する。
ρ=G/V2またはρ=γ/V …式25
そして、転舵角補正部64は、下記式26の演算を実行して、入力した目標転舵角δdを補正して補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K5・(ρd−ρ) …式26
ただし、係数K5は予め決められた正の定数であり、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み旋回曲率ρdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
また、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記第1実施形態および第2実施形態の場合と同じである。そして、図13の機能ブロック図において、上記第1実施形態および第2実施形態の図2と同一の符号を付してその説明を省略する。
そして、上記説明した第2変形例においても、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵角θは変位−トルク変換部51によって操舵トルクTdに変換されるとともに、同変換された操舵トルクTdはトルク−旋回曲率変換部56によって見込み旋回曲率ρdに変換され、転舵角変換部57、転舵角補正部64および駆動制御部62により、左右前輪FW1,FW2は見込み旋回曲率ρdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。この場合も、操舵トルクTdは、反力トルクTzと等しいため、反力アクチュエータ13の作用によって運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。
また、左右前輪FW1,FW2の転舵による旋回曲率も視覚によって知覚し得る物理量であるとともに、この旋回曲率ρは見込み旋回曲率ρdに等しくなるように制御され、さらに、この見込み旋回曲率ρdも操舵角θに対してべき乗関数的(上記第1実施形態の式4から式5への変形と同様に式23を変形することにより指数関数的)に変化する。したがって、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った旋回曲率を視覚により知覚しながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。その結果、運転者は上記第1実施形態および第2実施形態の場合と同様に、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、転舵角補正部64は、車両に実際に発生している実旋回曲率ρが操舵ハンドル11の操舵角θに正確に対応するように目標転舵角δdを補正するので、車両は操舵ハンドル11の操舵角θに正確に対応した実旋回曲率ρで旋回する。その結果、運転者は、人間の知覚特性にさらに正確に合った旋回曲率を知覚しながら、操舵ハンドル11を操作できるようになるので、車両の運転がさらに簡単になる。さらに、具体的な作用効果についても、上記第1実施形態および第2実施形態の横加速度を旋回曲率に換えた点を除けば、同じである。
また、この第2変形例においても、操舵装置の操舵に関する異常(フェイル)が発生した場合には、運転者は、通常時に比して大きな操舵トルクTdに抗して、操舵入力値としての操舵角θを入力する。これにより、運転者は、指数関数的に変化する、通常時とは異なる操舵フィーリングを感じることにより、フェイルが発生していることを確実に知ることができる。この場合、操舵トルクTdが大きくなっても、その他の知覚特性すなわち見込み横加速度Gdの知覚特性を変化させることなく、車両を旋回させることができる。この結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運動特性を損なうことなく、車両の運転を簡単に行うことができる。
さらに、発生したフェイルのレベルに応じて、操舵ハンドル11の中立位置をオフセットすることができる。これにより、運転者に対して、視覚的な違和感を与え、発生したフェイルを確実に報知することができる。また、操舵ハンドル11をオフセットした後、このオフセット位置を中立位置として再設定するため、運転者の操作入力値としての操舵角θに対する見込み横加速度Gdは、操舵ハンドル11の中立位置のオフセット前後において、運転者により同様に知覚される。このため、運転者に対して、効果的にフェイルを報知した状態であっても、車両の運動特性を良好に確保することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1、第2実施形態および各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記第1、第2実施形態および各変形例においては、車両を操舵するために回動操作される操舵ハンドル11を用いるようにした。しかし、これに代えて、例えば、直線的に変位するジョイスティックタイプの操舵ハンドルを用いてもよいし、その他、運転者によって操作されるとともに車両に対する操舵を指示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
また、上記第1、第2実施形態および各変形例においては、転舵アクチュエータ21を用いて転舵出力軸22を回転させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにした。しかし、これに代えて、転舵アクチュエータ21を用いてラックバー23をリニアに変位させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにしてもよい。
さらに、上記第1、第2実施形態および各変形例においては、人間が知覚し得る車両の運動状態量として、横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率をそれぞれ単独で用いるようにした。しかし、これらの車両の運動状態量を、運転者による選択操作により切り替え、または車両の走行状態に応じて自動的に切り替えて、車両の操舵制御を行うようにしてもよい。車両の走行状態に応じて自動的に切り替える場合、例えば、車両の低速走行時(例えば、40Km/h未満)には前記運動状態量として旋回曲率を用い、車両の中速走行時(例えば、40Km/h以上100Km/h未満)には前記運動状態量としてヨーレートを用い、かつ車両の高速走行時(例えば、100Km/h以上)には前記運動状態量として横加速度を用いるようにする。これによれば、車両の走行状態に応じて適切な車両の操舵制御がなされ、車両の運転がより易しくなる。
本発明の第1および第2実施形態に共通の車両の操舵装置の概略図である。 本発明の第1および第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵角と操舵トルクの関係を示すグラフである。 操舵トルクと見込み横加速度の関係を示すグラフである。 見込み横加速度と目標転舵角の関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される異常報知プログラムを示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される異常報知プログラムを示すフローチャートである。 フェイルレベルに応じて設定されるオフセット量を説明するための図である。 (a)は、正常状態の操舵ハンドルの中立位置を示しており、(b)は、フェイル時の操舵ハンドルの中立位置を示す概略図である。 本発明の第1変形例に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵トルクと見込みヨーレートの関係を示すグラフである。 見込みヨーレートと目標転舵角の関係を示すグラフである。 本発明の第2変形例に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵トルクと見込み旋回曲率の関係を示すグラフである。 見込み旋回曲率と目標転舵角の関係を示すグラフである。
符号の説明
FW1,FW2…左右前輪、11…操舵ハンドル、12…操舵入力軸、13…反力アクチュエータ、21…転舵アクチュエータ、22…転舵出力軸、25…待機系転舵アクチュエータ、31…操舵角センサ、32…転舵角センサ、33…車速センサ、34…横加速度センサ、35…電子制御ユニット、38…ヨーレートセンサ、40…反力制御部、50…感覚適合制御部、51…変位−トルク変換部、52…トルク−横加速度変換部、53,55,57…転舵角変換部、54…トルク−ヨーレート変換部、56…トルク−旋回曲率変換部、60…転舵制御部、61,63,64…転舵角補正部

Claims (6)

  1. 車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置
    前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサと、
    前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する変換手段と、
    車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運転状態を表していて、前記運動状態量に関する予め決められたウェーバー比を前記操作力に関する予め決められたウェーバー比で除算した値を指数とする前記操作力のべき乗関数として定義される車両の見込み運動状態量を、前記変換された操作力を用いて計算する運動状態量計算手段と、
    前記計算された見込み運動状態量で車両が運動するために必要な前記転舵輪の転舵角を、前記計算された見込み運動状態量を用いて計算する転舵角計算手段と、
    前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、
    前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、
    転舵輪の転舵に関する異常を検出する異常検出手段と、
    前記操作力と前記車両の見込み運動状態量との前記べき乗関数を維持して、前記異常検出手段によって検出した異常を前記操舵ハンドルを介して運転者に報知する異常報知手段とを備えていることを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記変位量センサによって検出した操舵ハンドルの変位量と指数関係にある反力を前記操舵ハンドルの操作に対して付与する反力付与手段を設け、
    前記異常報知手段は、
    前記異常検出手段によって転舵輪の転舵に関する異常を検出すると、前記操舵ハンドルの変位量と前記反力付与手段によって前記操舵ハンドルに付与する前記反力との指数関係を変更するとともに、前記反力付与手段によって前記変更した指数関係にある反力を前記操舵ハンドルに付与することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  3. 請求項2に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記異常報知手段は、
    前記操舵ハンドルの変位量と前記反力付与手段によって前記操舵ハンドルに付与する前記反力との指数関係を、前記反力付与手段が前記操舵ハンドルの操作に対して所定量大きな反力を付与するための指数関係に変更することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  4. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって転舵輪の転舵に関する異常を検出すると、前記操舵ハンドルの中立位置を変更することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  5. 請求項4に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって検出した転舵輪の転舵に関する異常の程度に応じて、段階的に前記操舵ハンドルの中立位置を変更することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  6. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
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