JP4228421B2 - 水性インク組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性インク,特にインクジェット記録用水性インクに関し,分散安定性に優れ,ノズル目詰まりを損なわず,高濃度でかつ滲みが少なく,かつ耐水性・耐洗濯性に優れたインクジェット記録を可能にする水性インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録用インクは大別すると油性インクと水性インクがあるが,油性インクは臭気・毒性の点で問題があり,水性インクが主流となりつつある。
【0003】
しかしながら,従来の水性インクの多くは着色剤として水溶性染料を用いているため耐水性や耐光性が悪いという欠点を有していた。また,染料が分子レベルで溶解しているため,オフィスで一般に使用されているコピー用紙などのいわゆる普通紙に印刷すると髭状のフェザリングと呼ばれるブリードを生じて著しい印刷品質の低下を招いていた。
【0004】
上記欠点を改良するためにいわゆる水性の顔料インクが過去に様々に提案されており,例えばバインダー兼分散剤として水溶性樹脂を用いてカ−ボンブラックや有機顔料を分散させた樹脂溶解型のインクやポリマーラテックスあるいはマイクロカプセルとして着色剤を内包する樹脂分散型のインクが各種提案されている。
【0005】
樹脂溶解型の顔料分散インクは,インクの水分蒸発に伴いノズル付近のインク粘度上昇による異常噴射や,最悪ノズル目詰まりを生じ易かった。また,水溶性樹脂を用いているために記録紙上での滲みが大きく,耐水性・耐洗濯性が十分とはいえなかった。
【0006】
染料インクや樹脂溶解型の顔料分散インクの滲みを防止するためにアルギン酸やその誘導体,カルボキシメチルセルロースやアラビアゴム等の高分子系の増粘剤が提案されているが,染料インクでは滲み防止効果は小さく,樹脂溶解型の顔料分散インクでは溶解している水溶性樹脂の乾燥が遅いため滲み防止効果が少なく,またノズル目詰まりが必ずしも避けられなかった。また耐水性や耐洗濯性が十分といえなかった。
【0007】
樹脂分散型の水性インクは,インクの水分蒸発に伴う粘度上昇は比較的少なく,また耐水性に優れるという利点がある。具体的には,特開昭58−45272号公報では染料を含有したウレタンポリマーラテックスを含むインク組成物,特開昭62−95366号公報では水不溶性有機溶媒中にポリマーと油性染料を溶解し,さらに表面(界面)活性剤を含む水溶液と混合して乳化させた後に溶媒を蒸発してポリマー粒子中に内包された染料を含むインクが提案され,特開昭62−254833号公報ではカプセル化時の有機溶媒と水との間の界面張力を10ダイン以下にすることによる着色料水性懸濁液の製造法が提案され,特開平1−170672号公報では同様にマクロカプセル化した色素を含有する記録液等が提案されている。しかしながら,着色樹脂粒子と記録媒体(例えば記録紙や布の繊維)との密着が十分でなく,耐水性に劣り,特に繊維に用いたときには十分な耐洗濯性が得られなかった。
【0008】
特開平7−331141号公報,特開平7−331142号公報,特開平7−331143号公報の明細書中にアルキルジメチルアミンオキシドが例示されているが,良好な耐水性・耐洗濯性を示すが,顔料の分散安定性が必ずしも満足できるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は,従来の樹脂溶解型の顔料インクや樹脂分散型の顔料インクや,顔料にエマルジョンを併用したインクを用いても得られない,分散安定性に優れ,かつ高濃度で滲みが少なく,かつ,耐水・耐洗濯性に優れた水性インクを提供することにある。また,インクジェット記録に用いた場合には,それらに加えてさらにノズル目詰まりもないインクジェット記録用水性インクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者等は,上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果,本発明を解決するに至った。
即ち本発明は,少なくとも,水,顔料,酸価を有する皮膜形成性樹脂からなる水性媒体に,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含有することを特徴とする水性インク組成物を提供する。
【0010】
本発明のアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物は,特に下記一般式で表される化学構造のものが好ましい。
【0011】
【化2】
Figure 0004228421
【0012】
尚,一般式中の符号の定義は以下の通りである。
1は炭素数3〜24のアルキル基又はアルケニル基
2は炭素数1〜5のアルキレン基
3,R4は炭素数1から3のアルキル基
【0013】
具体的な,化合物としては,以下のものがある。
【0014】
【化3】
Figure 0004228421
【0015】
【化4】
Figure 0004228421
【0016】
【化5】
Figure 0004228421
【0017】
本発明の水性インクは,水,顔料,酸価を有する皮膜形成性樹脂,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を必須成分として含有する。
【0018】
本発明のアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物のインク中での含有量は特に限定されるものではないが,0.01質量%〜1質量%が好ましい。この含有量が少ないと耐水・耐洗濯性の効果が少なく,逆に含有量が多いと耐水・耐洗濯性は向上するが分散安定性が悪くなる傾向があるため,これらに考慮して最適含有量を決める必要がある。
【0019】
本発明において,顔料が分散している水性媒体中に含まれる酸価を有する皮膜形成性樹脂は,分散剤あるいはバインダーとして溶解していても良いが,好ましくは顔料が皮膜形成性樹脂によって覆われている顔料被覆着色樹脂粒子,特に顔料が内包された着色樹脂粒子の場合に,優れた分散安定性とノズル目詰まり性に加えて,優れた耐水・耐洗濯性をも兼備することを可能にする。
【0020】
分散剤あるいはバインダーあるいは着色樹脂粒子を構成する酸価を有する皮膜形成性樹脂は,特に当該樹脂の種類の制限はないが,例えば,自己水分散性の皮膜形成性樹脂が挙げられる。酸価を有する,即ちアニオン性の皮膜形成性樹脂としては,酸価が50以上280以下の合成樹脂が好ましく,その少なくとも一部が塩基で中和されてなる自己水分散性樹脂の場合は,特に優れた分散安定性を維持することが出来,しかもより耐水性に優れた画像の印刷が出来る。
【0021】
このような樹脂としては,特に制限はないが,例えばアクリル酸樹脂,マレイン酸樹脂,ポリエステル樹脂等が挙げられる。皮膜形成性樹脂として上記した,好ましい自己水分散性樹脂を得るための,酸価を有する合成樹脂は,好ましくはスチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂である。尚,本発明で(メタ)アクリルとは,アクリルとメタアクリルとの両方を包含する。
【0022】
スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂とは,スチレン系モノマーを必須成分として,(メタ)アクリル酸系モノマー,例えば(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル,を共重合させた樹脂である。
【0023】
当該樹脂としては,例えばスチレンあるいはα−メチルスチレンのような置換スチレン,アクリル酸メチルエステル,アクリル酸エチルエステル,アクリル酸ブチルエステル,アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステル,メタクリル酸メチルエステル,メタクリル酸エチルエステル,メタクリル酸ブチルエステル,メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位と,アクリル酸,メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位を含む共重合体である。
【0024】
これらの共重合体は,ガラス転移温度が60℃以上,好ましくは70〜130℃となるようにモノマー成分を選択することが好ましく,少なくともその一部が共有結合性の架橋や多価金属によるイオン架橋されていても良い。
【0025】
前記合成樹脂を用いて自己水分散性樹脂として用いる場合には,その酸基の少なくとも一部を塩基で中和すればよい。塩基,即ちアルカリ性中和剤による中和は,得られる自己水分散性樹脂が水に溶解しない程度に中和すればよい。
【0026】
塩基としては,例えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物,アンモニア,トリエチルアミン,モルホリン等の塩基性物質の他,特にトリエタノールアミン,ジエタノールアミン,N−メチルジエタノールアミン等のアルコールアミンが,インクジェット記録用水性インクとして好ましい。
【0027】
本発明での顔料は特に限定されるものはなく,例えばカーボンブラック,チタンブラック,チタンホワイト,硫化亜鉛,ベンガラ等の無機顔料やフタロシアニン顔料,モノアゾ系,ジスアゾ系等のアゾ顔料,フタロシアニン顔料,キナクリドン顔料等の有機顔料がある。
【0028】
特に,顔料表面あるいは(顔料)化学構造中に,アニオン性の置換基(酸性基)を有している顔料を好ましい。この様なものとしては,顔料表面あるいは化学構造中に,例えばカルボキシル基やスルホン基を有している顔料,具体的にはスルホン化処理カーボンブラック,メタルソルトアゾイエロー,C.I.ピグメントイエロー151,オレンジ17,レッド48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,バイオレット1,5,グリーン2,12,ブラウン5,アシッドブルー45等がある。
【0029】
これらは,それ単独使用等の場合,しばしば耐水性,特に耐洗濯性を悪くするが,本発明のアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を併用することにより,顔料の分散安定性を損なうことなく,著しく耐水・耐洗濯性を向上させることが可能となる。
【0030】
かかる顔料の使用量(含有量)は,特に規定されないが,最終的に得られる水性インキ中で0.5〜10質量%となるような量が好ましい。
【0031】
本発明の水性インク組成物は,従来の顔料を分散剤と共に分散機を用いて分散させる方法でも得られるが,皮膜形成性樹脂によって顔料が内包された着色樹脂粒子を作製する方法を用いると分散安定性の点でより好ましい。
【0032】
本発明の好ましい例である皮膜形成性樹脂によって顔料が内包された着色樹脂粒子を作製する方法は,特に限定されるものではないが,より好ましい具体的な例は,下記工程にて得ることが出来る。
【0033】
(1)酸価を有する合成樹脂に,少なくとも顔料を分散または溶解して固形着色コンパウンドを得る樹脂着色工程。
(2)少なくとも,水,合成樹脂を溶解する有機溶媒,塩基,前記樹脂着色工程で得られた固形着色コンパウンドを混合し,分散によって少なくとも樹脂の一部が溶解している着色剤懸濁液を得る懸濁工程。
(3)前記懸濁工程で得られた着色剤懸濁液中の顔料表面に溶解樹脂成分を沈着させる再沈殿工程。
【0034】
(1)の樹脂着色工程は,酸価を有する合成樹脂に,少なくとも顔料を分散または溶解して固形着色コンパウンドを得る工程である。この工程は,例えば従来知られているロールやニーダーやビーズミル等の混練装置を用いて,溶液や加熱溶融された状態で,顔料を,酸価を有する合成樹脂に均一に溶解または分散させ,最終的に固体混練物(固形着色コンパウンド)として取り出すことにより行うことが出来る。
【0035】
(2)の懸濁工程は,少なくとも,水,合成樹脂を溶解する有機溶媒,塩基,前記樹脂着色工程で得られた固形着色コンパウンドを混合し,分散によって少なくとも樹脂の一部が溶解している着色剤懸濁液を得る工程である。
【0036】
(1)の樹脂着色工程で得られた固形着色コンパウンドを,分散媒として水,酸価を有する合成樹脂を溶解する有機溶媒,塩基を必須とする混合溶媒に加えて,均一に分散する様に攪拌することによって,固形着色コンパウンド表面から,顔料を包含する酸価を有する合成樹脂が,有機溶媒と塩基の助けを借りて,溶解または自己乳化し,いずれの場合も少なくとも当該樹脂の一部が溶解している着色剤懸濁液が得られる。
【0037】
懸濁液を得るための撹拌方法としては,公知慣用の手法がいずれも採用でき,例えば従来の1軸のプロペラ型の撹拌翼の他に,目的に応じた形状の撹拌翼や撹拌容器を用いて容易に懸濁可能である。
【0038】
懸濁液を得るに当たって,せん断力がない或いは相対的に小さい,単なる混合撹拌のみで,或いは,顔料が比較的凝集しやすい場合には,それに加えて更に,次いで高せん断力下において,より分散を安定させてもよい。この場合の分散機としては,高圧ホモジナイザーや商品名マイクロフルイダイザーやナノマイザーで知られるビーズレス分散装置等を用いるのが,顔料の再凝集が少なく好ましい。
【0039】
(3)の再沈殿工程は,前記懸濁工程で得られた着色剤懸濁液中の顔料表面に,当該溶解樹脂成分を沈着させる工程である。本発明において「再沈殿」とは,顔料,或いは当該溶解樹脂が顔料表面に吸着した着色剤を懸濁液の液媒体から,分離沈降させることを意味するものではない。従って,この工程で得られるものは,固形成分と液体成分とが明らか分離した単なる混合物ではなく,当該溶解樹脂が顔料表面に吸着した着色剤が懸濁液の液媒体に安定的に分散した着色樹脂粒子水性分散液である。
【0040】
この(2)の懸濁工程の着色剤懸濁液中の顔料表面へ溶解樹脂の沈着は,例えば,▲1▼少なくとも一部当該樹脂が溶解している着色剤懸濁液に,当該樹脂に対して貧溶媒として機能する水または水性媒体を加えて行うか,及び/又は,▲2▼着色剤懸濁液から有機溶媒を除去して行うことによって容易に行うことが出来る。
【0041】
この様にして得られた着色樹脂粒子水分散液から共存している有機溶媒を更に除いて,皮膜形成性樹脂によって顔料が内包された着色樹脂粒子の安定な水分散液を得る。
【0042】
本製造方法において,酸価を有する合成樹脂を溶解する有機溶媒が用いられるが,これは当該樹脂に対して良溶媒として機能するものである。当該有機溶媒としては,当該樹脂に対して適宜選択することが出来,例えばアセトン,ジメチルケトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒,クロロホルム,塩化メチレン等の塩素系溶媒,ベンゼン,トルエン等の芳香族系溶媒,酢酸エチルエステル等のエステル系溶媒,エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒,アミド類等樹脂を溶解させるものであれば使用可能である。
【0043】
当該合成樹脂が,例えばスチレン,置換スチレン,(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと,(メタ)アクリル酸とを含む組成物の共重合体の場合には,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒を主として,助溶媒としてイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒から選ばれる少なくとも1種類以上の組み合わせが良い。
【0044】
このようにして得られた分散液に,本発明のアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を直接加えるか,あるいは前述の分散液の製造工程の途中で加えるかしてインク化するが,必要に応じて以下の添加剤類を併用することが好ましい。
【0045】
乾燥防止剤は,インクジェット記録用水性インク組成物に限らず,添加される場合が多い。インクジェット記録用水性インク組成物においては,インクジェットの噴射ノズル口でのインクの乾燥を防止する効果を与えるものであり,通常水の沸点以上の沸点を有するものが使用される。
【0046】
このような乾燥防止剤としては,特に限定されるものではなく,従来知られているエチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,グリセリン等の多価アルコール類,N−メチル−2−ピロリドン,2−ピロリドン等のピロリドン類,アミド類,ジメチルスルホオキサイド,イミダゾリジノン等が使用可能であるが,特にグリセリンがメインの乾燥防止剤の場合に最も優れた乾燥防止効果を示し,他の乾燥防止剤類はグリセリンと併用する場合は少量に止めたほうがよい。
【0047】
乾燥防止剤の使用量は,種類によって異なるが,通常水100重量部に対して1〜150重量部の範囲から適宜選択されるが,グリセリン及びそれに他の乾燥防止剤を併用したものを使用する場合には10〜50重量部が好適である。
【0048】
インクジェット記録用水性インク組成物に限らず,水性インク組成物の被印刷媒体への浸透をより良好とするために,公知慣用の浸透剤の必要量を用いることが好ましい。
【0049】
ジェット噴射して付着したインクを紙によりよく浸透させるために,浸透剤として,記録紙への浸透性付与効果を示す,エタノール,イソプロピルアルコール等の低級アルコール,ジエチレングリコール−N−ブチルエーテル等のグリコールエーテル,プロピレングリコール誘導体等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を加えてもよい。
【0050】
本発明の,少なくとも,水,顔料,酸価を有する樹脂からなる水性媒体に,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含有することを特徴とする水性インク組成物は,pH7〜9の範囲とすることが好ましい。
【0051】
また,インクのpHが7より小さいと,本発明のアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物がカチオンとして挙動し,顔料分散系を不安定にする傾向がある。一方pHが9を越えるとアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物による耐水・耐洗濯性の付与効果が小さくなったり,顔料が皮膜形成樹脂で覆われている場合には,着色樹脂粒子の膨潤溶解が促進され,ノズル目詰まりを生じやすくなり,さらにpH10以上になると皮膜形成樹脂が溶解し,従来の樹脂溶解型の顔料インクと同様に分散安定性やノズル目詰まりの原因となる場合が多い。
【0052】
インクのpH調整剤として,pHを上げるには前述の塩基が使用可能であり,逆にpHを下げるには一般に知られている種々の酸,即ち酢酸等のカルボン酸,グリコール酸や乳酸等のヒドロキシカルボン酸,炭酸,燐酸,硫酸等が使用可能である。
【0053】
その他,必要に応じて水溶性樹脂,防腐剤,キレート剤等の添加剤を加えることができる。
【0054】
本発明の水性インク組成物を得るには,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含まないインクと,同化合物そのものまたは同化合物を必須に含む水溶液とを混合する。この混合は,同化合物を含まないインクのほうに,同化合物そのものまたは同化合物を必須に含む水溶液を加える様にしても良いが,同化合物そのものまたは同化合物を必須に含む水溶液のほうに,同化合物を含まないインクを加えるのが好ましい。
【0055】
本発明の水性インク組成物は,そのままでも使用できるが,好適には,1μm以上の粗大粒子を含まない様に,さらに好適には0.5μmを越える粗大粒子を含まない様に,濾過を行うことによりサブミクロンオーダーの着色樹脂微粒子を主体としたものがインクジェット記録用水性インクとしては好ましい。
【0056】
本発明の水性インク組成物は,公知慣用の被印刷媒体に適用できるが,紙や布などの繊維に印刷した後の耐水性や耐洗濯性の効果において優れている。
【0057】
被印刷媒体上に適用された本発明の水性インク組成物は,乾燥されることによって定着固定される。この印刷画像は,そのままで耐水性や耐洗濯性に優れているが,画像を破壊しない程度に加熱押圧することにより,より優れた耐水性や耐洗濯性を得ることが出来る。
【0058】
【発明の実施の形態】
1. 少なくとも,水,顔料,酸価を有する皮膜形成性樹脂からなる水性媒体に,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含有することを特徴とする水性インク組成物。
【0059】
2. アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物が,上記一般式で表される上記1記載の水性インク組成物。
【0060】
3. 顔料と,酸価を有する皮膜形成性樹脂とが,顔料が酸価を有する皮膜形成性樹脂で覆われた,顔料被覆着色樹脂粒子として含まれる上記1〜2記載の水性インク組成物。
【0061】
4. 酸価を有する皮膜形成性樹脂が,スチレン−(メタ)アクリル酸系皮膜形成性樹脂である上記1〜3記載の水性インク組成物。
【0062】
5. 顔料が,顔料表面又は化学構造中にアニオン性の置換基を有する顔料である請求項1〜4記載の水性インク組成物。
【0063】
6. インクが,pHが7〜9の範囲にあるインクである上記1〜5記載の水性インク組成物。
【0064】
7. インクがインクジェット記録用である上記1〜6記載の水性インク組成物。
【0065】
8. 繊維面上に上記1〜7の水性インク組成物で所望の画像を形成させ、液媒体を乾燥する繊維面上への画像形成方法。
【0066】
9. 繊維面上に上記1〜7の水性インク組成物で所望の画像を形成させ、液媒体を除去した後、画像部分を、70℃以上かつ布帛の溶融または分解温度以下で加熱押圧する繊維面上への画像形成方法。
【0067】
本発明は次の好適な実施形態を含む。
1.下記工程にて,着色樹脂粒子水分散液を得る着色樹脂粒子水分散液を製造する。
(1)酸価を有する合成樹脂(スチレン−アクリル酸−メタクリル酸樹脂)と顔料を二本ロールで分散して固形着色コンパウンドを得る樹脂着色工程。
(2)少なくとも,水,合成樹脂を溶解する有機溶媒(メチルエチルケトン・イソプロピルアルコール),塩基(アルコールアミン),前記樹脂着色工程で得られた固形着色コンパウンドを混合し,分散撹拌機を用いて分散して着色剤懸濁液を得る懸濁工程。
(3)前記懸濁工程で得られた着色剤懸濁液に水を添加して,顔料表面に溶解樹脂成分を沈着させる再沈殿工程。
【0068】
2.(3)の再沈殿工程後に脱溶剤を行って水分散液を得る。
【0069】
3.得られた水分散液を,本発明のアルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含むインク調整用薬剤の水溶液に徐々に加え,濃度・物性を調整した後,ろ過を行いインクジェット記録用水性インクとする。
【0070】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚,以下の実施例中における「部」は『質量部』を表わす。
【0071】
(実施例1)
カーボンブラック20部とスチレン−アクリル酸−メタクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13;分子量5万・酸価160)20部の二本ロール混練物を,水210部,グリセリン35部,トリエタノールアミン8部,メチルエチルケトン90部,イソプロピルアルコール40部の混合溶液に入れ,室温で3時間撹拌し着色剤懸濁液を得た。
【0072】
得られた懸濁液に撹拌しながら,グリセリン30部と水210部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し,黒色着色樹脂粒子水性分散液を得た。得られたカプセル液をロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去し,顔料分8質量%の最終の黄色着色樹脂粒子水分散液を得た。
【0073】
本発明の化合物1を0.2質量%,グリセリン5質量%,プロピレングリコールプロピルエーテル2質量%の混合水溶液50部に前期黄色着色樹脂粒子水分散液50部を攪拌しながら徐々に加え,0.5μmフィルターを用いてろ過を行い,インクジェット記録用水性インクとした。得られたインクのpHは8.4であった。
【0074】
得られた水性インクは凝集物もなく長期にわたって安定な分散を示し,ピエゾ式インクジェットプリンターを用いた普通紙への印刷はノズル目詰まりもなく安定しており,得られた印刷物は滲みがなく,かつ極めて高い黒色度を示した。
【0075】
市販のインクジェット用布に印刷後,150℃以上の温度でアイロン掛けした後,市販の洗濯石鹸の1%溶液を用いて1時間洗濯を行った結果,ほとんど色落ちすることはなかった。
【0076】
(比較例1)
実施例1の化合物1を除いたインクを作製し,同様に評価を行った結果,安定性は優れていたが,滲み(フェザリング)が若干認められ,耐洗濯性試験によってやや色落ちした。
【0077】
(実施例2)
顔料C.I.ピグメントイエロー151の40部とスチレン−アクリル酸−メタクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13;分子量5万・酸価160)40部の二本ロール混練物を,水250部,グリセリン22部,トリエタノールアミン8部,メチルエチルケトン90部,イソプロピルアルコール40部の混合溶液に入れ,室温で3時間撹拌し混練物が溶解したところで,衝突式分散機ナノマイザー(ナノマイザー社製)を用いて98MPaの圧力で分散を行いイエローの着色剤懸濁液を得た。
【0078】
得られた着色剤懸濁液に撹拌しながら,グリセリン22部と水250部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し,着色樹脂粒子水性分散液を得た。得られたカプセル液をロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去し,最終の黄色着色樹脂粒子水分散液(顔料濃度8質量%)を得た。
【0079】
前述化合物2を0.1質量%,グリセリン10質量%,プロピレングリコールプロピルエーテル5質量%の混合水溶液50部に前記着色樹脂粒子水分散液50部を攪拌しながら徐々に加え,0.5μmフィルターを用いてろ過を行い,インクジェット記録用黒色水性インクとした。得られたインクのpHは8.3であった。
【0080】
得られた水性インクは凝集物もなく長期にわたって安定な分散を示し,ピエゾ式インクジェットプリンターを用いた普通紙へのフルカラー印刷はノズル目詰まりもなく安定しており,得られた印刷物は滲みがほとんどなく,かつ極めて鮮やかな黄色を示した。
【0081】
市販のインクジェット専用布に印刷後,150℃以上の温度でアイロン掛けした後,市販の洗濯石鹸の1%溶液を用いて1時間洗濯を行った結果,ほとんど色落ちすることはなかった。
【0082】
(比較例2)
実施例2化合物1の代わりに繊維固着剤としてトリメチル−n−ブチルアミンを0.1質量%含有するインクを作製し,同様に評価を行った結果,安定性は優れていたが,普通紙での滲みが若干認められた。
【0083】
市販のインクジェット用専用布に印刷後,150℃以上の温度でアイロン掛けした後,市販の洗濯石鹸の1%溶液を用いて1時間洗濯を行った結果,ほとんど色落ちしてしまった。
【0084】
【発明の効果】
本発明によると,少なくとも,水,顔料,酸価を有する樹脂からなる水性媒体に,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含有する水性インク組成物は,分散安定性やノズル目詰まりを生じることなく,高濃度で滲みの少ない印刷を可能にし,かつ得られた印刷物の耐水・耐洗濯性は飛躍的に向上する。

Claims (7)

  1. 少なくとも,水,顔料,酸価を有する皮膜形成性樹脂からなる水性媒体に,アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物を含有することを特徴とする水性インク組成物。
  2. アルキルアミド基又はアルケニルアミド基を有するアミンオキシド化合物が,下記一般式で表される請求項1記載の水性インク組成物。
    Figure 0004228421
    1は炭素数3〜24のアルキル基又はアルケニル基R2は炭素数1〜5のアルキレン基R3,R4は炭素数1から3のアルキル基
  3. 顔料と,酸価を有する皮膜形成性樹脂とが,顔料が酸価を有する皮膜形成性樹脂で覆われた,顔料被覆着色樹脂粒子として含まれる請求項1または記載の水性インク組成物。
  4. 酸価を有する皮膜形成性樹脂が,スチレン−(メタ)アクリル酸系皮膜形成性樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  5. 顔料が,顔料表面又は化学構造中にアニオン性の置換基を有する顔料である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  6. インクが,pHが7〜9の範囲にあるインクである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  7. インクがインクジェット記録用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
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