JP4226530B2 - オレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、その製造方法及び発泡成形体 - Google Patents

オレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、その製造方法及び発泡成形体 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、その製造方法及び発泡成形体に関する。本発明のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子によれば、優れた剛性、耐薬品性及び耐衝撃性を有する発泡成形体を得ることができる。
従来から、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内に充填して加熱、発泡させて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体は、剛性、断熱性、軽量性、耐水性及び発泡成形性に優れていることが知られている。そのためこの発泡成形体は、緩衝材や建材用断熱材として広く用いられている。しかし、この発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性に劣るといった問題点があった。
一方、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなる発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性に優れていることが知られている。そのためこの発泡成形体は、自動車関連部品に用いられている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は発泡ガスの保持性に劣ることから、発泡成形条件を精密に制御する必要があるため、製造コストが高くつくという問題点がある。加えて、ポリスチレン系樹脂発泡成形体に比して剛性が劣る問題点もある。
上記ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の問題点を解決するために、剛性及び発泡成形性の良好なポリスチレン系樹脂と、耐薬品性及び耐衝撃性の良好なポリオレフィン系樹脂とを複合化した発泡成形体が報告されている。
この複合化させた発泡成形体の性質は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との比率に大きく影響を受ける。即ち、ポリオレフィン系樹脂の比率が高い程、発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性は向上するが、剛性や発泡成形性は低下する。
特に、発泡成形体を自動車関連部品に用いる場合には、ガソリン、灯油、ブレーキオイル、塩化ビニル可塑剤等の薬品に接触したり、強い衝撃を受けたりする可能性があることから、高い耐薬品性及び耐衝撃性が要求されている。この要求を満たす方法として、発泡成形体中のポリオレフィン系樹脂成分を50重量%以上とすることで、発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性を向上させる方法が知られている。しかし、この方法では、ポリスチレン系樹脂成分の量が相対的に減少してしまうので、発泡成形体の剛性や発泡成形性が大きく低下してしまう。その結果、この発泡成形体は、自動車関連部品に広く使用できなかった。
そこで、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の欠点を互いに補完して両者の特性を両立させることを目的として、表面層が発泡ポリオレフィン系樹脂からなり芯部が発泡ポリスチレン系樹脂からなる二次発泡可能な発泡樹脂粒子が提案されている(特許文献1参照)。
この発泡樹脂粒子によれば、発泡剤が芯部の発泡ポリスチレン系樹脂に保持されているので、成形性が優れていると記載されている。更に、この発泡樹脂粒子から得られる発泡成形体は、剛性、柔軟性及び低温特性が優れていると記載されている。
しかしながら、本発明者らが上記公報を追試したところ、ポリスチレン系樹脂粒子がポリオレフィン系樹脂で被覆されてなる樹脂粒子に発泡剤を含浸させて予備発泡させると、内部のポリスチレン系樹脂のみが大きく発泡する一方、ポリオレフィン系樹脂は僅かに発泡するか又は発泡しなかった。その結果、ポリオレフィン系樹脂層とポリスチレン系樹脂層とが剥離し、目的とする発泡成形体を得ることができなかった。
上記方法以外に、水性媒体中、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを含浸させて重合させることで、ポリオレフィン系樹脂で、ポリスチレン系樹脂を改質した発泡樹脂粒子を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記方法でも、高い耐薬品性及び耐衝撃性と剛性や発泡成形性とを同時に実現する発泡成形体を提供しうるポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得ることができなかった。
特開昭54−119563号公報 特公昭59−3487号公報
かくして本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂で改質されたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子からなり、ポリスチレン系樹脂を形成するスチレン系モノマーが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、100〜1000重量部の範囲で使用され、該粒子の嵩密度が0.012〜0.20g/cm3 であると共に、ATR法赤外分光分析により測定された粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる698cm-1及び2850cm-1での吸光度比(D698 /D2850)が0.1〜2.5の範囲であるオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子が提供される。
更に、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂粒子が分散されている水性媒体中、スチレン系モノマー(使用されるポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して100〜1000重量部)を、ポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら重合開始剤の存在下にて重合させてオレフィン改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程(a)、該樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程(b)、発泡剤含浸樹脂粒子を予備発泡させてオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得る工程(c)とからなり、
工程(a)において、水性媒体が、0.06〜0.8kw/m3 の攪拌所要動力で攪拌され、スチレン系モノマーの含浸及び重合が、ポリオレフィン系樹脂粒子中のスチレン系モノマー含有量が35重量%以下となる条件下で行われるオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法が提供される。
まず、用語「オレフィン改質ポリオレフィン系樹脂」とは、ポリスチレン系樹脂をポリオレフィン系樹脂で改質した樹脂を意味する。また、以下では、オレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を単に予備発泡粒子と称する。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、公知の重合方法で得られた樹脂が使用できる。また、ポリオレフィン系樹脂は、構造中にベンゼン環を含まない樹脂を使用することが好ましい。更に、ポリオレフィン系樹脂は、架橋していてもよい。例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。この内、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。これらの低密度ポリエチレンは、0.91〜0.94g/cm3 の密度を有することが好ましく、0.91〜0.93g/cm3 の密度を有することがより好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン系モノマーに由来する樹脂が挙げられる。更に、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーと、スチレン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、ジビニルベンゼンのような多官能性モノマーや、(メタ)アクリル酸ブチルのような構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。これら他のモノマーは、実質的にポリスチレン系樹脂に対して5重量%を超えない範囲で使用してもよい。
ポリスチレン系樹脂のGPC測定によるz平均分子量は、35万〜110万であることが好ましく、45万〜95万がより好ましい。z平均分子量が、35万より低いと、予備発泡粒子を発泡成形して得られる発泡成形体の強度が低下することがあるため好ましくない。一方、110万より高いと、予備発泡粒子の二次発泡性が低下し、予備発泡粒子同士の融着性が低下して発泡成形体の強度が低下することがあるので好ましくない。
ポリスチレン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して100〜1000重量部の範囲のスチレン系モノマーから形成される。好ましいスチレン系モノマーの配合量は、120〜800重量部であり、130〜700重量部がより好ましい。
配合量が1000重量部より多いと、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下するため好ましくない。一方、配合量が100重量部より少ないと、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の剛性が低下するため好ましくない。
予備発泡粒子は、0.012〜0.20g/cm3 の嵩密度を有する。好ましい嵩密度は、0.014〜0.15g/cm3 である。
嵩密度が0.012g/cm3 より小さいと、発泡粒子の独立気泡率が低下して、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、0.20g/cm3 より大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の重量が増加するので好ましくない。なお、嵩密度の測定法は、実施例の欄で説明する。
更に、本発明の予備発泡粒子は、その表面を、ATR法赤外分光分析により測定して得られた赤外線吸収スペクトルから、0.1〜2.5の範囲の698cm-1及び2850cm-1の吸光度比(D698 /D2850)を有している。好ましい吸光度比は、0.2〜2.0であり、0.4〜2.0がより好ましい。なお、粒子表面は、表面から深さ数μmまでの領域を含む。
吸光度比が、2.5より高いと、予備発泡粒子の表面におけるポリオレフィン系樹脂の比率が低下する。その結果、予備発泡粒子を発泡成形して得られる発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下するので好ましくない。吸光度比が0.1より低いと、予備発泡粒子表面からの発泡剤の逸散が顕著になることにより、型内での成形において粒子同士の融着が悪くなって耐衝撃性が逆に低下したり、収縮等による発泡成形体の外観の仕上がり状態が悪くなったりする傾向があるので好ましくない。加えて、予備発泡粒子を製造する際に、スチレン系モノマーのポリオレフィン系樹脂粒子への含浸、重合に要する時間が長くなって製造効率が低下するので好ましくない。
ここで、本発明におけるATR法赤外分光分析とは、全反射吸収(Attenuated Total Reflectance)を利用する一回反射型ATR法により赤外吸収スペクトルを測定する分析方法である。この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。
ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムとを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる698cm-1での吸光度D698 は、ポリスチレン系樹脂に主に含まれるベンゼン環の面外変角振動に由来する698cm-1付近に現われるピークの高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる2850cm-1での吸光度D2850は、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂の双方に含まれるメチレン基のC−H間伸縮振動に由来する2850cm-1付近に現われるピークの高さをいう。
吸光度比からポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の組成割合を求めることが可能である。即ち、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを所定の組成割合に均一に混合してなる複数種類の標準試料を後述の要領で作製する。各標準試料についてATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行なって赤外線吸収スペクトルを得る。測定した赤外吸収スペクトルのそれぞれから吸光度比を算出する。
そして、横軸に組成割合(標準試料中のポリスチレン系樹脂の重量比)を、縦軸に吸光度比をとることで、検量線を描く。この検量線に基づいて、本発明の予備発泡粒子の吸光度比から、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂のおおよその組成割合を求めることができる。
例えば、ポリオレフィン系樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリケム社製商品名「LV−121」)、ポリスチレン系樹脂がポリスチレン(積水化成工業社製商品名「MS142」)の場合、図9に示す検量線を用いることで、おおよその組成割合を知ることができる。例えば、吸光度比が1.0の場合には、ポリオレフィン系樹脂が約76〜82重量%、ポリスチレン系樹脂が約24〜18重量%、吸光度比が2.5の場合にはポリオレフィン系樹脂が約51〜57重量%、ポリスチレン系樹脂が約49〜43重量%であると算出できる。検量線の作成条件は、以下の方法による。
上記標準試料は、次の方法により得られる。まず、組成割合(ポリスチレン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂)が下記比率になるようにポリスチレン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂を合計2g精秤する。これを小型射出成形機にて下記条件下に加熱混練して、直径が25mmでかつ高さが2mmの円柱状に成形することによって標準試料が得られる。なお、小型射出成形機としては、例えば、CSI社から商品名「CS−183」で販売されているものを用いることができる。
射出成形条件:加熱温度200〜250℃、混練時間10分
組成割合(ポリスチレン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂;重量比):
0.5/9.5、1/9、2/8、3/7、4/6、5/5、6/4、7/3、9/1
上記比率の標準試料の吸光度比を測定し、ポリスチレン量と吸光度比の関係をグラフ化することで、図9の検量線が得られる。
本発明の予備発泡粒子は、0.1〜2.5の吸光度比を有している。よって、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂の種類によっても異なるが、予備発泡粒子の表面近傍部におけるポリオレフィン系樹脂の割合は、約50重量%以上となる。予備発泡粒子全体では、ポリオレフィン系樹脂の配合量は、ポリスチレン系樹脂の配合量以下であることからすると、予備発泡粒子表面でポリオレフィン系樹脂がポリスチレン系樹脂よりも豊富な状態となっていることがわかる。なお、予備発泡粒子全体におけるポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂の合計量に対するポリオレフィン系樹脂の重量%は、9〜50重量%である。また、吸光度比が0.1以上であることから、予備発泡粒子表面には、ポリスチレン樹脂が存在し、ポリオレフィン系樹脂が100重量%にはならない。
上記のような全体的にはポリスチレン系樹脂の配合量が大きく、表面においては、ポリオレフィン系樹脂の配合量が大きい予備発泡粒子は、従来の方法では入手できない、特殊な構造である。
予備発泡粒子の形態は、その後の二次発泡に影響を与えないものであれば、特に限定されない。例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。この内、型内への充填が容易である真球状、楕円球状が好ましい。
各予備発泡粒子の平均重量は、0.5〜5.0mgが好ましく、0.5〜3.0mgがより好ましい。0.5mgより軽いと、高発泡化が困難となることがあるため好ましくない。一方、5.0mgより重いと、予備発泡粒子が大きくなり過ぎて型内への充填性が低下して、得られる発泡成形体の外観性が低下することがあるので好ましくない。なお、各予備発泡粒子の重量とは、任意に選択した200個の予備発泡粒子の平均重量をいう。
予備発泡粒子は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、タルク、珪酸カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミド、メタクリル酸エステル系共重合体等の発泡核剤、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等の充填剤、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤、ジイソブチルアジペート、流動パラフィン、グリセリンジアセトモノラウレート、やし油等の可塑剤、カーボンブラック、グラファイト等の着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
次に、本発明の予備発泡粒子の製造方法について説明する。
まず、ポリオレフィン系樹脂粒子が分散されている水性媒体中、スチレン系モノマー(使用されるポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して100〜1000重量部)を、ポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら重合開始剤の存在下にて重合させてオレフィン改質ポリスチレン系樹脂粒子(以下、改質樹脂粒子とも称する)を得る(工程(a))。
スチレン系モノマーは、ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸させるために、水系媒体に、連続的にあるいは断続的に添加できる。スチレン系モノマーは、水性媒体中に徐々に添加していくのが好ましい。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
更に、各ポリオレフィン系樹脂粒子の平均重量は、製造される予備発泡粒子の成形時の型内への充填し易さを考慮すると、0.10〜1.5mgが好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂粒子の平均重量とは、任意に選択した100個のポリオレフィン系樹脂粒子の平均重量をいう。また、ポリオレフィン系樹脂粒子の形態は、特に限定されない。例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。
スチレン系モノマーの配合量が1000重量部より多いと、ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸されずに、ポリスチレン系樹脂単独の粒子が発生するため好ましくない。加えて、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下するため好ましくない。一方、スチレン系モノマーの配合量が100重量部より少ないと、ポリオレフィン系樹脂粒子への含浸、重合に要する時間が短くなるが、得られるオレフィン改質ポリスチレン系樹脂粒子の発泡剤を保持する能力が低下して、高発泡化できなくなるので好ましくない。加えて、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の剛性が低下するため好ましくない。
なお、上記水性媒体中に分散剤を添加しておくことが好ましい。このような分散剤としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の有機系分散剤、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の無機系分散剤が挙げられる。この内、無機系分散剤が好ましい。
無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。
ここで、スチレン系モノマーの含浸及び重合工程は、最初に含浸を行いさえすれば別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。
同時に進行させる場合、ポリオレフィン系樹脂粒子中のスチレン系モノマーの含有量が0〜35重量%に維持されるようにスチレン系モノマーの添加速度を調整したり、重合温度を調子して、含浸及び重合することが好ましい。添加、含浸及び重合工程を連続で行う場合、含有量は、0.5〜35重量%であることが好ましく、0.5〜30重量%であることがより好ましい。
なお、上記含有量を算出する場合のポリオレフィン系樹脂粒子とは、ポリオレフィン系樹脂と含浸されたスチレン系モノマー、更に含浸されて既に重合したポリスチレン系樹脂とから構成された粒子を意味する。
スチレン系モノマーの含有量が35重量%より多いと、後述する範囲内に攪拌所要動力(Pv)を調整しても、所定の範囲の吸光度比の予備発泡粒子を得られない場合があるため好ましくない。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂粒子及びスチレン系モノマーを含めた水性媒体が所定条件下にて攪拌される。具体的には、ポリオレフィン系樹脂粒子、スチレン系モノマー及び、必要に応じて他の分散物及び溶解物を含めた水性媒体1m3 を攪拌させるのに要する攪拌所要動力(Pv)が、0.06〜0.8kw/m3 となるように調整された攪拌条件である。攪拌所要動力は、0.08〜0.7kw/m3 であることが好ましい。この攪拌所要動力は、反応容器内の内容物が攪拌により受けた、正味の単位体積当たりのエネルギーに対応する。
従来、水性媒体中でスチレン系モノマーをポリオレフィン系樹脂粒子に含浸させて重合させる場合、水性媒体の攪拌が着目されることはなく、水性媒体を十分攪拌しうる条件下で行われている。従来における攪拌所要動力は、1〜2kw/m3 程度であると推測される。これに対して、本発明の製造方法は、従来より攪拌所要動力を低くすることで、スチレン系モノマーの重合に伴って、ポリオレフィン系樹脂が改質樹脂粒子の表面近傍に局在化し、表面近傍でポリオレフィン系樹脂をリッチに含む改質樹脂粒子が得られることを意外にも見い出すことでなされている。
攪拌所要動力を所定範囲内に調整すると共に、ポリオレフィン系樹脂粒子中におけるスチレン系モノマーの含有量を所定量に調整することによって、スチレン系モノマーをポリオレフィン系樹脂粒子の中心部付近にまで充分に含浸させることが可能となる。その結果、ポリオレフィン系樹脂粒子の中心部にスチレン系モノマーを多く存在させた状態とし、ポリオレフィン系樹脂粒子の中心部から表面に向かってスチレン系モノマー量が徐々に減少した状態とすることができる。
更に、ポリオレフィン系樹脂粒子中に生成したポリスチレン系樹脂に、スチレン系モノマーが逐次吸収されながら重合していくので、ポリオレフィン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂の生成に伴って、中心部に近づけば近づく程、ポリスチレン系樹脂が豊富な状態になりながら大きな径に成長していく。
その結果、後述の要領で得られる予備発泡粒子は、その中心部ではポリスチレン系樹脂が高比率で含有されており、ポリスチレン系樹脂にポリオレフィン系樹脂が層状に分散している。一方、表面近傍部では、ポリオレフィン系樹脂が高比率で含まれかつポリスチレン系樹脂がその割合を粒子表面に近づくにつれて徐々に減少させつつ小さくなりながらポリオレフィン系樹脂中に微分散した状態となっており、粒子表面は、ポリスチレン系樹脂が殆どなくポリオレフィン系樹脂がより高い比率で存在した状態となっている。
攪拌所要動力が0.06kw/m3 より低いと、水性媒体中におけるスチレン系モノマーの分散が不充分となって、スチレン系モノマーをポリオレフィン系樹脂粒子の中心部に充分に含浸させることが困難である。そのため、ポリオレフィン系樹脂粒子の表面近傍部においてスチレン系モノマーの重合が進行してしまって、得られる改質樹脂粒子の表面近傍部におけるポリオレフィン系樹脂の組成割合が減少することとなる。その結果、改質樹脂粒子を発泡させて得られる発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下することとなる。
逆に、攪拌所要動力が0.8kw/m3 より高いと、改質樹脂粒子中でのスチレン系モノマーとポリオレフィン系樹脂の混合が進み、表面近傍部にポリオレフィン系樹脂をリッチに含む改質樹脂粒子は得難くなる。加えて、スチレン系モノマーを含浸して軟化したポリオレフィン系樹脂粒子が偏平状に変形してしまう場合がある。その場合、充分な二次発泡力を有する予備発泡粒子を得ることが困難となる。
ここで、攪拌所要動力は下記要領で測定したものをいう。
即ち、ポリオレフィン系樹脂粒子、スチレン系モノマー及び必要に応じて他の分散物並びに溶解物を含有する水性媒体を重合装置の重合容器内に供給し、攪拌翼を所定の回転数で回転させて水性媒体を攪拌する。このとき、攪拌翼を回転させるのに必要な回転駆動負荷を電流値A1 (アンペア)として計測する。この電流値A1 に実効電圧(ボルト)を乗じた値をP1 (ワット)とする。
そして、重合装置の攪拌翼を重合容器内が空の状態で、上記と同一回転数で回転させ、攪拌翼を回転させるのに必要な回転駆動負荷を電流値A2 (アンペア)として計測する。この電流値A2 に実効電圧(ボルト)を乗じた値をP2 (ワット)とし、下記式2によって攪拌所要動力を算出できる。なお、V(m3 )は、ポリオレフィン系樹脂粒子、スチレン系モノマー及び必要に応じて他の分散物並びに溶解物を含めた水性媒体全体の体積である。
攪拌所要動力(Pv)=(P1 −P2 )/V・・・式2
重合容器の形状及び構造としては、従来からスチレン系モノマーの重合に用いられているものであれば、特に限定されない。
また、攪拌翼は、攪拌所要動力を所定の範囲に設定可能であれば、特に限定されない。具体的には、V型パドル翼、傾斜パドル翼、平パドル翼、ファードラー翼、プルマージン翼等のパドル翼、タービン翼、ファンタービン翼等のタービン翼、マリンプロペラ翼のようなプロペラ翼等が挙げられる。これら攪拌翼の内、パドル翼が好ましく、V型パドル翼、傾斜パドル翼、平パドル翼、ファードラー翼、プルマージン翼がより好ましい。攪拌翼は、単段翼であっても多段翼であってもよい。
また、攪拌翼の大きさについても、攪拌所要動力を所定の範囲に設定可能であれば、特に限定されない。
更に、重合容器に邪魔板(バッフル)を設けてもよい。
また、重合開始剤としては、スチレン系モノマーの重合に汎用されている重合開始剤を使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、単独で用いられても併用されてもよい。
上記重合開始剤の水性媒体中への添加要領としては、特に限定されないが、下記要領で行なうことが好ましい。即ち、スチレン系モノマーの使用量が使用総量の90重量%に達するまでに、重合開始剤を、ポリオレフィン系樹脂粒子及びスチレン系モノマーの使用総量の0.02〜2.0重量%添加することが好ましい。重合開始剤は、より好ましくは使用総量の85重量%、特に80重量%に達するまでに添加することが好ましい。また、より好ましい重合開始剤の添加量は、使用総量に対して、0.10〜1.50重量%である。
上記添加要領によれば、ポリオレフィン系樹脂粒子中におけるスチレン系モノマーの重合速度を向上させて、得られる改質樹脂粒子の表面近傍部におけるポリオレフィン系樹脂の組成割合を多くすることができる。その結果、改質樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形体の強度を向上できる。
更に、重合開始剤の添加は、上記所定量まで、重合開始剤を含有するスチレン系モノマーを介して行うことが好ましい。残りのスチレン系モノマーは、重合開始剤を含まないモノマーを使用できる。
重合開始剤を含有するスチレン系モノマーを使用する理由としては、以下の理由が考えられる。
即ち、重合開始剤をスチレン系モノマーに含有させた上でポリオレフィン系樹脂粒子中に吸収させることによって、重合開始剤をスチレン系モノマーと共にポリオレフィン系樹脂粒子の中心部に効果的に含浸させられる。そのため、スチレン系モノマーの重合工程の早い段階から、ポリオレフィン系樹脂粒子の中心部に、優先的にスチレン系モノマーの重合に必要な量の重合開始剤を供給することができる。その結果、ポリオレフィン系樹脂粒子の中心部において優先的にスチレン系モノマーを重合させることができる。
次に、重合開始剤を含有しないスチレン系モノマーを水性媒体中に添加すると、このスチレン系モノマーがポリオレフィン系樹脂粒子の中心部に形成されているポリスチレン系樹脂に逐次、吸収されながら、ポリオレフィン系樹脂粒子の中心部に豊富に存在する重合開始剤のもとで円滑に重合される。そのため、得られる改質樹脂粒子は、その表面付近より中心部で、ポリスチレン系樹脂が豊富な状態となる。
重合開始剤を含有しないスチレン系モノマーの添加量は、スチレン系モノマーの使用総量の10〜60重量%が好ましく、15〜60重量%がより好ましく、20〜55重量%が特に好ましい。添加量が10重量%より少ないと、改質樹脂粒子の表面近傍部におけるポリスチレン系樹脂の比率が大きくなる場合があるので好ましくない。この場合、改質樹脂粒子から得られる予備発泡粒子を二次発泡させた発泡成形体の耐衝撃性及び耐薬品性が低下することがある。一方、60重量%より多いと、スチレン系モノマーの重合速度が低下して、改質樹脂粒子中にスチレン系モノマーが多量に残留することがあるので好ましくない。
重合開始剤を含有するスチレン系モノマーを水性媒体中に添加する方法としては、種々の方法が挙げられる。例えば、
(1)重合容器とは別の容器内でスチレン系モノマーに重合開始剤を溶解、含有させ、このスチレン系モノマーを重合容器内の攪拌状態の水性媒体に供給する方法、
(2)重合開始剤をスチレン系モノマーの一部、溶剤または可塑剤に溶解させて溶液を作製する。この溶液と、所定量のスチレン系モノマーとを重合容器内の攪拌状態の水性媒体に同時に供給する方法、
(3)重合開始剤を水性媒体に分散させた分散液を作製する。この分散液とスチレン系モノマーとを重合容器内の攪拌状態の水性媒体に同時に供給する方法
等が挙げられる。
また、スチレン系モノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中にて重合させる際の水性媒体の温度は、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂の融点の−30〜+10℃の範囲であることが好ましい。より具体的には、70〜140℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。更に、水性媒体の温度は、スチレン系モノマーの重合開始から終了までの間、一定温度であってもよいし、段階的に上昇させてもよい。水性媒体の温度を上昇させる場合には、温度を段階的に0.1〜2℃/分の昇温速度で上昇させることが好ましい。
更に、架橋したポリオレフィン系樹脂からなる粒子を使用する場合、架橋は、スチレン系モノマーを含浸させる前に予め行なっておいてもよいし、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸、重合させている間に行なってもよいし、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸、重合させた後に行なってもよい。
ポリオレフィン系樹脂の架橋に用いられる架橋剤としては、例えば、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物が挙げられる。なお、架橋剤は、単独でも二種以上が併用してもよい。また、架橋剤の使用量は、通常、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して0.05〜1.0重量部が好ましい。
架橋剤を添加する方法としては、例えば、架橋剤をポリオレフィン系樹脂に直接添加する方法、溶剤、可塑剤またはスチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法、架橋剤を水に分散させた上で添加する方法等が挙げられる。この内、スチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法が好ましい。
改質樹脂粒子には発泡剤を含浸させる(工程(b))。改質樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法は、発泡剤の種類に応じて適宜変更可能である。例えば、改質樹脂粒子が分散している水性媒体中に発泡剤を圧入して改質樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法、改質樹脂粒子を回転混合機に供給し、この回転混合機内に発泡剤を圧入して改質樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。なお、改質樹脂粒子に発泡剤を含浸させる温度は、通常、50〜140℃である。
ここで、発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル等の揮発性発泡剤が挙げられる。発泡剤は、単独で用いられても併用されてもよい。発泡剤の添加量としては、改質樹脂粒子100重量部に対して5〜25重量部が好ましい。
更に、発泡助剤を発泡剤と共に用いてもよい。このような発泡助剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、D−リモネン等の溶剤、ジイソブチルアジペート、ジアセチル化モノラウレート、やし油等の可塑剤(高沸点溶剤)が挙げられる。なお、発泡助剤の添加量としては、改質樹脂粒子100重量部に対して0.1〜2.5重量部が好ましい。
また、改質樹脂粒子には、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤等の表面処理剤を添加してもよい。
結合防止剤は、改質樹脂粒子を予備発泡させる際の予備発泡粒子同士の合着を防止する役割を果たす。ここで、合着とは、予備発泡粒子の複数個が合一して一体化することをいう。具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
融着促進剤は、予備発泡粒子を二次発泡成形する際の予備発泡粒子同士の融着を促進させる役割を果たす。具体例としては、ステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
なお、上記表面処理剤の総添加量は、改質樹脂粒子100重量部に対して0.01〜2.0重量部が好ましい。
揮発性発泡剤を含浸させた改質樹脂粒子を水蒸気等の加熱媒体を用いて加熱して所定の嵩密度に予備発泡させれば、予備発泡粒子を得ることができる(工程(c))。
更に、この予備発泡粒子を成形機の型内に充填し、加熱して二次発泡させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることによって所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。上記成形機としては、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられる成形機を用いることができる。
上記予備発泡粒子は、上述したように、その中心部ではポリスチレン系樹脂を高比率で含有し、表面近傍部ではポリオレフィン系樹脂を高比率で含有している。
従って、予備発泡粒子を二次発泡させる際、その表面に多量に含まれているポリオレフィン系樹脂によって予備発泡粒子同士を強固に熱融着一体化させることができる。加えて、予備発泡粒子の中心に多量に含まれているポリスチレン系樹脂に起因した優れた発泡成形性をも発現させることができる。
得られた発泡成形体の表面全面は、予備発泡粒子の表面近傍部のポリオレフィン系樹脂に由来するポリオレフィン系樹脂が高比率で含有されている。換言すれば、発泡成形体は、ポリオレフィン系樹脂を高比率で含有した表面を有していることから、優れた耐薬品性及び耐衝撃性を備えている。
しかも、発泡成形体を構成する各発泡粒子の内部は、予備発泡粒子の中心部が発泡してなるものであり、ポリスチレン系樹脂を高比率で含有しているから、発泡成形体は優れた剛性をも備えている。
上記のようにして得られた発泡成形体は、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の車輛用緩衝材、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の各種用途に用いることができる。特に、車輛用緩衝材として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例における嵩密度、吸光度比、スチレン系モノマーの最大含有量、ポリスチレン系樹脂のGPC測定によるz平均分子量、融着率、圧縮強度、耐衝撃性、耐薬品性の測定法を下記する。
(スチレン系モノマーの最大含有量)
スチレン系モノマーを含浸されて重合しつつあるポリオレフィン系樹脂粒子の一部を重合容器内から取り出して水性媒体と分離した後、ポリオレフィン系樹脂粒子表面の水分をガーゼで除去して測定用試料とした。
そして、測定用試料から0.08gを精秤し、トルエン40ミリリットル中に24時間浸漬してスチレン系モノマーを抽出した。このスチレン系モノマーを抽出した溶液に、ウイス試薬10ミリリットル、5重量%ヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1重量%でんぷん水溶液約30ミリリットルを入れ、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して試料の滴定数(ミリリットル)とした。なお、ウイス試薬は、氷酢酸2リットルにヨウ素8.7g及び三塩化ヨウ素7.9gを溶解させることによって作製した。
また、測定用試料をトルエン中に浸漬させることなく上記と同様の要領で滴定を行ってブランクの滴定数(ミリリットル)とした。そして、ポリオレフィン系樹脂粒子中のスチレン系モノマーの含有量を下記式に基づいて算出した。
スチレン系モノマーの含有量(重量%)=0.1322×(ブランクの滴定数−試料滴定数)/測定用試料の重量(g)
上述の測定をスチレン系モノマーを水性媒体中に添加し始めてから20分毎に行い、最も多かったスチレン系モノマーの含有量をスチレン系モノマーの最大含有量とした。
(嵩密度)
予備発泡粒子の嵩密度は下記の要領で測定する。
まず、予備発泡粒子を500cm3 メスシリンダ内に500cm3 の目盛りまで充填する。
なお、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3 の目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の重量を少数点以下2位の有効数字で秤量し、その重量をW(g)とする。そして、下記式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3 )=W/500
(吸光度比)
吸光度比(D698 /D2850)は下記の要領で測定される。即ち、無作為に選択した10個の各予備発泡粒子の表面をATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行なって赤外線吸収スペクトルを得る。各赤外線吸収スペクトルから吸光度比(D698 /D2850)をそれぞれ算出し、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余の8個の吸光度比の相加平均を吸光度比(D698 /D2850)とする。なお、吸光度比(D698 /D2850)は、例えば、Nicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 MAGMA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
(ポリスチレン系樹脂のz平均分子量)
予備発泡粒子を約60mg採取し、各予備発泡粒子をカッターを用いて二分割した上で常温にてクロロホルム10ミリリットルに24時間浸漬した。
しかる後、クロロホルムを非水系0.45・mクロマトディスクで濾過してGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフ)を用いてポリスチレン換算z平均分子量を測定した。
測定装置:Water 社製 商品名「HPLC Detector484,Pump510」
測定条件
カラム:昭和電工社製 商品名「Shodex GPC K−806L(直径8.0×300mm)」2本
カラム温度:40℃、移動相:クロロホルム、移動相流量:1.2ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:室温、測定時間:25分、検出:紫外線254nm
注入量:50マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン
昭和電工社製 商品名「Shodex」分子量:1030000
東ソー社製 分子量:5480000,3840000,355000,102000,37900,9100,2630,495
(融着率)
縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状の発泡成形体の表面にカッターで横方向に長さ300mm、深さ5mmの切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡成形体を二分割した。そして、発泡成形体の分割面において、発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子間の界面で破断している発泡粒子数(b)を測定し、下記式に基づいて融着率を算出した。
融着率(%)=100×(a)/〔(a)+(b)〕
(圧縮強度)
発泡成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの平面長方形状の試験片を切り出し、この試験片の5%圧縮強度をJIS K6767に準拠して測定した。なお、圧縮速度を10mm/分とした。
(耐衝撃性)
発泡成形体から縦215mm×横40mm×厚み20mmの平面長方形状の試験片を切り出した。そして、JIS K7211に準拠して、150mmの間隔を存して配設された一対の支点間に試験片を架設して321gの鋼球を落とし、落球衝撃値、即ち、50%破壊高さを下記式に基づいて算出した。但し、剛球の最大高さは120cmとした。
50%破壊高さH50=Hi+d〔Σ(i×ni)/N±0.5〕
但し、H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験片の高さ(cm)であり、
試験片が破壊することが予測される高さ
d:試験片の高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし、1つずつ増減する高さ水準
(i=・・・−3、−2、−1、0、1、2、3、・・・)
ni:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数( N=Σni)
何れか多い方のデータを使用する
なお、同数の場合はどちらを採用してもよい
±0.5:破壊したデータを使用する時は負を、
破壊しなかったデータを使用する時は正をとる
(耐薬品性)
発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み20mmの平面長方形状の板状試験片を3枚切り出し、23℃、湿度50%の条件で24時間放置した。なお、試験片の上面全面が発泡成形体の表面から形成されるように試験片を発泡成形体から切り出した。
次に、3枚の試験片の上面毎に別々の薬品(ガソリン、灯油、ジブチルフタレート(DBP))1gを均一に塗布し、23℃、湿度50%の条件で60分放置した。その後、試験片の上面から薬品を拭き取り、試験片の上面を目視観察して下記基準に基づいて判断した。
○:良好 変化なし
△:やや悪い 表面軟化
・:悪い 表面陥没(収縮)
(実施例1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ユニカー社製 商品名「NUC−3221」、酢酸ビニル含有量:5重量%、融点:107℃、メルトフローレート:0.5g/10分、密度:0.93g/cm3 )100重量部及び合成含水二酸化ケイ素0.5重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。ポリオレフィン系樹脂粒子の平均重量は0.60mgであった。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート及び密度は、JIS K6992−2に準拠して測定した値である。
内径が1800mm、直胴部長さが1890mm、内容積が6.4m3 の重合容器3内にV型パドル翼4(攪拌羽根:3枚、攪拌羽根半径d1 :585mm、攪拌羽根幅d2 :315mm)を備えた重合装置を用意した。この重合装置の重合容器内に、70℃の水100重量部、ピロリン酸マグネシウム0.8重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.02重量部をV型パドル翼4で攪拌しながら供給して水性媒体とした。しかる後、水性媒体中に上記ポリオレフィン系樹脂粒子40重量部をV型パドル翼4で攪拌しながら懸濁させた。そして、水性媒体を85℃に加熱した上で、これ以後の攪拌所要動力が0.20kw/m3 を維持するようにV型パドル翼4の回転数を調整した。
なお、上記重合装置の重合容器3は、図7に示したように、断面凸円弧状の底面部31の外周縁から上方に向かって円筒状の周壁部32が突設している。更に、周壁部32の上端開口部は、断面凸円弧状の天井部33によって閉止されている。この重合容器3の天井部33から垂下された回転軸33aの下端部に、攪拌翼としてV型パドル翼4が取り付けられている。
このV型パドル翼4は、回転軸33aに取り付けるための取付部41とこの取付部41の外周面に水平方向に等間隔毎に一体的に設けられた3枚の側面平行四辺形状の攪拌羽根42とからなる。各攪拌羽根42は、上方における斜め外方を指向している。
図7中、61は、V型パドル翼4を回転させるためのモータ、62はモータの回転数を制御するためのインバータ、63はモータの負荷電流値を測定するための電流計、64は電源を意味する。
一方、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.15重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.01重量部、並びに、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.25重量部をスチレンモノマー(St)20重量部に溶解させて第一スチレン系モノマーを作製した。また、スチレンモノマー(St)40重量部に気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド0.05重量部を溶解させて第二スチレン系モノマーを作製した。
そして、第一スチレン系モノマーを一時間当たり10重量部の割合で上記水性媒体中に連続的に滴下し、スチレンモノマー、重合開始剤及び架橋剤をポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中にて重合させた。
次に、第一スチレン系モノマーの水性媒体への添加が終了した後、第二スチレン系モノマーを水性媒体中に一時間当たり20重量部の割合で連続的に滴下して、スチレンモノマー及び気泡調整剤をポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中にて重合させた。
更に、水性媒体を攪拌しつつ、第二スチレン系モノマーの水性媒体への滴下が終了してから1時間放置した後、水性媒体を140℃に加熱して3時間保持した。しかる後、重合容器を冷却して改質樹脂粒子を得た。
続いて、内容積が1m3 の耐圧V型回転混合機に、改質樹脂粒子100重量部、水1.0重量部、ステアリン酸モノグリセリド0.15重量部及びジイソブチルアジペート0.5重量部を供給して回転させながら常温でブタン14重量部を圧入した。そして、回転混合機内を70℃に昇温して4時間保持した後に25℃まで冷却して発泡性の改質樹脂粒子を得た。
得られた発泡性の改質樹脂粒子を直ちに予備発泡機(積水工機製作所社製 商品名「SKK−70」)に供給し、0.02MPaの圧力の水蒸気を用いて予備発泡させて嵩密度0.06g/cm3 の予備発泡粒子を得た。
次に、予備発泡粒子を室温で7日間放置した後、成形機(積水工機製作所社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填した。そして、金型内に水蒸気を供給して予備発泡粒子を二次発泡させて、縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状の発泡成形体を製造した。
(実施例2)
攪拌所要動力を0.08kw/m3 に維持したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(実施例3)
攪拌所要動力を0.50kw/m3 に維持したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(実施例4)
第一スチレン系モノマーのスチレンモノマー量を20重量部から40重量部に変更したこと、第二スチレン系モノマーのスチレンモノマー量を40重量部から20重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(実施例5)
水性媒体中に懸濁させたポリオレフィン系樹脂粒子を15重量部としたこと、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.25重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.02重量部、並びに、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.15重量部をスチレンモノマー30重量部に溶解させて第一スチレン系モノマーを作製し、第一スチレン系モノマーを一時間当たり10重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと、スチレンモノマー55重量部に気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド0.14重量部を溶解させて第二スチレン系モノマーを作製し、第二スチレン系モノマーを一時間当たり15重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(実施例6)
水性媒体中に懸濁させたポリオレフィン系樹脂粒子を10重量部としたこと、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.30重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.02重量部、並びに、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.10重量部をスチレンモノマー30重量部に溶解させて第一スチレン系モノマーを作製し、第一スチレン系モノマーを一時間当たり10重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと、スチレンモノマー60重量部に気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド0.14重量部を溶解させて第二スチレン系モノマーを作製し、第二スチレン系モノマーを一時間当たり20重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(実施例7)
実施例5で得られた発泡性の改質樹脂粒子を、予備発泡機に投入し、0.04MPaの圧力の水蒸気を用いて予備発泡させることにより、嵩密度0.015g/cm3 の予備発泡粒子を得た。その後、実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。
(実施例8)
実施例1で得られた発泡性の改質樹脂粒子を、予備発泡機に投入し、0.01MPaの圧力の水蒸気を用いて予備発泡させることにより、嵩密度0.15g/cm3 の予備発泡粒子を得た。その後、実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。
(実施例9)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ユニカー社製 商品名「TUF−2032」、融点:125℃、メルトフローレート:0.9g/10分、密度:0.923g/cm3 )100重量部及びタルク0.3重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。ポリオレフィン系樹脂粒子の平均重量は0.50mgであった。なお、直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレート及び密度は、JIS K6767に準拠して測定した。
実施例1と同一の重合装置を用い、この重合装置の重合容器3内に、70℃の水100重量部、ピロリン酸マグネシウム0.8重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.02重量部をV型パドル翼4で攪拌しながら供給して水性媒体とした。しかる後、水性媒体中に上記ポリオレフィン系樹脂粒子35重量部をV型パドル翼4で攪拌しながら懸濁させた。そして、水性媒体を125℃に加熱した上で、これ以後の攪拌所要動力が0.20kw/m3 を維持するようにV型パドル翼4の回転数を調整した。
一方、スチレンモノマー20重量部に重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.15重量部を溶解させて第一スチレン系モノマーを作製した。
そして、第一スチレン系モノマーを一時間当たり10重量部の割合で上記水性媒体中に連続的に滴下し、スチレンモノマー及び重合開始剤をポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中にて重合させた。
次に、第一スチレン系モノマーの水性媒体への添加が終了した後、スチレンモノマー45重量部を水性媒体中に一時間当たり20重量部の割合で連続的に滴下して、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中にて重合させた。なお、このスチレンモノマーは、表1において、便宜上、第二スチレン系モノマーの欄に記載した。
更に、水性媒体を攪拌しつつ、スチレンモノマーの水性媒体への滴下が終了してから1時間放置した後、水性媒体を140℃に加熱して1時間保持した。しかる後、重合容器を冷却して改質樹脂粒子を得た。
続いて、内容積が1m3 の耐圧V型回転混合機に、改質樹脂粒子100重量部、ステアリン酸モノグリセリド0.15重量部及びジイソブチルアジペート0.5重量部を供給して回転させながら常温でブタン14重量部を圧入した。そして、回転混合機内を80℃に昇温して3時間保持した後に25℃まで冷却して発泡性の改質樹脂粒子を得た。発泡性の改質樹脂粒子を水蒸気を用いて直ちに予備発泡させて嵩密度0.06g/cm3 の予備発泡粒子を得た。
次に、予備発泡粒子を室温で7日間放置した後、成形機(積水工機製作所社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填した。そして、金型内に水蒸気を供給して予備発泡粒子を二次発泡させて、縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状の発泡成形体を製造した。
(実施例10)
重合容器内に、V型パドル翼の代わりに、図8に示したような、下降流型45°傾斜パドル翼5(攪拌羽根:4枚、攪拌羽根半径d1 :550mm、攪拌羽根幅d2 :280mm)を上下二段に備えてなる重合装置を用いたこと、第一スチレン系モノマーを水性媒体中に滴下する直前の傾斜パドル翼5の回転数を、改質樹脂粒子の製造が完了するまで、一定に保持したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ここで、上記重合装置の重合容器3は実施例1と同一構造を有するものが用いられ、この重合容器3の天井部33から垂下された回転軸33aの下端部及び上下方向の中央部の夫々に、攪拌翼として下降流型45°傾斜パドル翼5が取り付けられている。
この下降流型45°傾斜パドル翼5は、回転軸33aに取り付けるための取付部51とこの取付部51の外周面に水平方向に等間隔毎に一体的に設けられた4枚の側面横長長方形状の攪拌羽根52とからなる。各攪拌羽根52は、水平方向に指向していると共に回転進行方向に対して上端から下端に向かって斜め前方に45°だけ傾斜した状態とされている。
更に、重合容器3には、邪魔板7が設置されている。邪魔板7は、重合容器3の側壁に、重合容器3の上面から見て、互いに90°の位置関係になるように設置されている。邪魔板7の幅は100mmであり、長さは1890mmである。
なお、第一スチレン系モノマーを水性媒体中に滴下させる直前の攪拌所要動力(当初攪拌所要動力)は、0.20kw/m3 であり、改質樹脂粒子の製造を完了した時点での攪拌所要動力(最終攪拌所要動力)は、0.29kw/m3 であった。
(実施例11)
分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ユニカー社製 商品名「DFDJ−6775」、融点:112℃、メルトフローレート:0.2g/10分、密度:0.92g/cm3 )100重量部及び合成含水二酸化ケイ素0.5重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。ポリオレフィン系樹脂粒子の平均重量は0.75mgであった。なお、分岐状低密度ポリエチレンのメルトフローレート及び密度は、JIS K6767に準拠して測定した。上記ポリオレフィン系樹脂粒子を用いたこと以外は実施例10と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。なお、当初攪拌所要動力は、0.20kw/m3 であり、最終攪拌所要動力は、0.29kw/m3 であった。
(実施例12)
当初攪拌所要動力が0.08kw/m3 となるように調整したこと以外は実施例11と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。なお、最終攪拌所要動力は、0.13kw/m3 であった。
(実施例13)
当初攪拌所要動力が0.45kw/m3 となるように調整したこと以外は実施例11と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。なお、最終攪拌所要動力は、0.68kw/m3 であった。
(比較例1)
攪拌所要動力を0.04kw/m3 としたこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(比較例2)
攪拌所要動力を0.90kw/m3 としたこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子を得ようとした。しかしながら、改質樹脂粒子が偏平状になっていたので、予備発泡粒子及び発泡成形体を得ることができなかった。
(比較例3)
攪拌所要動力を0.04kw/m3 としたこと、第二スチレン系モノマーを用いることなく、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.15重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.01重量部、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.25重量部、並びに、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド0.05重量部をスチレンモノマー60重量部に溶解させてなる第一スチレン系モノマーを作製し、この第一スチレン系モノマーを一時間当たり15重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(比較例4)
攪拌所要動力を0.20kw/m3 としたこと以外は比較例3と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(比較例5)
水性媒体中に懸濁させたポリオレフィン系樹脂粒子を60重量部としたこと、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.01重量部、並びに、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.35重量部をスチレンモノマー10重量部に溶解させて第一スチレン系モノマーを作製し、第一スチレン系モノマーを一時間当たり10重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと、スチレンモノマー30重量部に気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド0.04重量部を溶解させて第二スチレン系モノマーを作製し、第二スチレン系モノマーを一時間当たり15重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子を得た。
そして、予備発泡粒子を室温で1日だけ放置したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(比較例6)
水性媒体中に懸濁させたポリオレフィン系樹脂粒子を8重量部としたこと、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.32重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.02重量部、並びに、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.10重量部をスチレンモノマー30重量部に溶解させて第一スチレン系モノマーを作製し、第一スチレン系モノマーを一時間当たり10重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと、スチレンモノマー62重量部に気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド0.14重量部を溶解させて第二スチレン系モノマーを作製し、第二スチレン系モノマーを一時間当たり21重量部の割合で水性媒体中に滴下したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
(比較例7)
嵩密度が0.06g/cm3 のエチレン−プロピレンランダム共重合体予備発泡粒子(エチレン−ランダム共重合体:エチレン成分=3.5重量%、平均重量:2mg)を高圧成形機を用いて金型内で二次発泡させて発泡成形体を得た。なお、表2において、エチレン−プロピレンランダム共重合体を「PP」を表現した。
(比較例8)
発泡性ポリスチレン粒子(積水化成品工業社製 商品名「エスレンビーズHDS」)を実施例1と同様の要領で嵩密度0.06g/cm3 に予備発泡させてポリスチレン予備発泡粒子を得た。そして、ポリスチレン予備発泡粒子を実施例1と同様の要領で二次発泡させて発泡成形体を得た。なお、表2において、ポリスチレンを「PSt」と表現した。
(比較例9)
当初攪拌所要動力が0.04kw/m3 となるように調整したこと以外は実施例11と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。なお、最終攪拌所要動力は、0.06kw/m3 であった。
(比較例10)
当初攪拌所要動力が0.90kw/m3 となるように調整したこと以外は実施例11と同様にして予備発泡粒子を得ようとした。しかしながら、得られた改質樹脂粒子が偏平状になっていたので、予備発泡粒子及び発泡成形体を得ることができなかった。なお、最終攪拌所要動力(Pv)は、1.25kw/m3 であった。
実施例1〜13及び比較例1〜10において、予備発泡粒子の吸光度比(D698 /D2850)、予備発泡粒子中のポリスチレン系樹脂のGPC測定によるz平均分子量、スチレン系モノマーの重合途上におけるポリオレフィン系樹脂粒子中のスチレン系モノマーの最大含有量、発泡成形体の融着率、圧縮強度、耐衝撃性及び耐薬品性を表1〜3に示した。
表1〜3から以下のことが分かる。
(1)実施例1〜8と比較例5〜6により、ポリスチレン系樹脂の配合量が、ポリオレフィン系樹脂の配合量に対して、1〜10倍の範囲であれば、良好な特性の発泡成形体を提供しうる予備発泡粒子が得られることが分かる。
(2)実施例1〜8と比較例1、3〜4により、吸光度比が0.1〜2.5の範囲であれば、良好な特性の発泡成形体を提供しうる予備発泡粒子が得られることが分かる。
(3)実施例1〜8と比較例1〜2、及び実施例11〜13と比較例9〜10により、攪拌所要動力が0.06〜0.8kw/m3 の範囲であれば、良好な特性の発泡成形体を提供しうる予備発泡粒子が得られることが分かる。
(4)実施例1〜8と比較例1、3〜4により、スチレン系モノマーの最大含有量が35重量%以下であれば、良好な特性の発泡成形体を提供しうる予備発泡粒子が得られることが分かる。
(5)実施例1〜8と実施例9により、ポリオレフィン系樹脂粒子の種類を変更しても、良好な特性の発泡成形体を提供しうる予備発泡粒子が得られることが分かる。
(6)実施例1〜9と比較例7〜8により、ポリオレフィン系樹脂で改質したポリスチレン系樹脂からなる予備発泡粒子は、良好な特性の発泡成形体を提供できることが分かる。
(7)実施例1〜9と実施例10〜13により、攪拌翼の形状が異なっても、攪拌所要動力が0.06〜0.8kw/m3 の範囲であれば、良好な特性の発泡成形体を提供しうる予備発泡粒子が得られることが分かる。
(電子顕微鏡写真)
図1は、実施例1で得られた予備発泡粒子の表面をSEMを用いて倍率1500倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
図2は、実施例1で得られた予備発泡粒子の表面近傍部断面をTEMを用いて倍率2万倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
図3は、実施例1で得られた予備発泡粒子の表面近傍部断面をTEMを用いて倍率10万倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
図4は、実施例1で得られた予備発泡粒子の中心部断面をTEMを用いて倍率2万倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
図5は、実施例1で得られた予備発泡粒子にポリスチレン系樹脂の抽出処理を施した後、処理後の予備発泡粒子の表面をSEMを用いて倍率1500倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
図6は、比較例3で得られた予備発泡粒子にポリスチレン系樹脂の抽出処理を施した後、処理後の予備発泡粒子の表面をSEMを用いて倍率1500倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
図2〜4は下記の要領で撮影した。
即ち、実施例1で得られた予備発泡粒子を二分割した。そして、予備発泡粒子の断面を常温硬化型のエポキシ樹脂(包埋樹脂)で全面的に被覆した後、四酸化ルテニウム(RuO4 )で染色した。
次に、予備発泡粒子をウルトラミクロトームを用いて薄膜状にスライスして試験片を作製した。この試験片をTEMを用いて所定倍率で撮影した。
また、図5〜6においてポリスチレン系樹脂の抽出処理は下記の要領で行なった。
予備発泡粒子をテトラヒドロフラン40ミリリットル中に浸漬して23℃で3時間攪拌し、予備発泡粒子からポリスチレン系樹脂を抽出した。
次に、抽出後の予備発泡粒子をテトラヒドロフラン中から取り出し、予備発泡粒子の表面に付着又は浸透したテトラヒドロフランを自然乾燥させて除去し、ポリスチレン系樹脂を抽出した予備発泡粒子を得た。
図2及び図3に示したように、予備発泡粒子の表面近傍部においては、ポリオレフィン系樹脂1が高比率で含有されている一方、ポリスチレン系樹脂2は、粒子表面に近づくにつれて徐々に減少していると共に大きさも小さくなっている。そして、予備発泡粒子の表面は、概ねポリオレフィン系樹脂1から形成されている。
また、図4に示したように、予備発泡粒子の中心部の気泡膜では、ポリスチレン系樹脂2が高比率で含有されており、ポリオレフィン系樹脂1がポリスチレン系樹脂2中に層状に分散した状態となっている。
更に、図1及び図5は、実施例1の予備発泡粒子からポリスチレン系樹脂を抽出した前後の粒子表面を表したものである。一方、図6は、比較例3の予備発泡粒子からポリスチレン系樹脂を抽出した後の粒子表面を表したものである。
図1及び図5から、実施例1の予備発泡粒子の表面には、ポリスチレン系樹脂抽出後の空隙が僅かに形成されているに過ぎないのに対して、図6から分かるように、比較例3の予備発泡粒子の表面には、ポリスチレン系樹脂抽出後の空隙が無数に形成されていることが分かる。
本発明の予備発泡粒子は、その表面近傍部に、ポリオレフィン系樹脂が高比率で含有されている。一方、ポリスチレン系樹脂の割合は、粒子表面に近づくにつれて減少している。また、粒子内部に向かってポリスチレン系樹脂の割合が徐々に多くなり、中心部では高比率で含有された状態となっている。更に、ポリスチレン系樹脂は、表面近傍部で、ポリオレフィン系樹脂中に微分散した状態となっている。
従って、本発明の予備発泡粒子は、そのポリスチレン系樹脂が高比率で含有された中心部に起因した優れた発泡成形性を有している。その結果、所望形状を有する発泡成形体を容易に製造することができる。
また、予備発泡粒子の表面近傍部は、ポリオレフィン系樹脂が大部分を占めた状態となっている。よって、予備発泡粒子を型内に充填して二次発泡させると、粒子同士が互いに良好に熱融着一体化して、優れた強度及び外観を有する発泡成形体を得ることができる。
加えて、得られた発泡成形体は、その表面が概ねポリオレフィン系樹脂によって被覆された状態となっているので、優れた耐薬品性及び耐衝撃性を有している。一方、発泡成形体を構成する発泡粒子内部はポリスチレン系樹脂が高比率で含有された状態となっているので優れた剛性も有している。
また、ポリスチレン系樹脂のGPC測定によるz平均分子量が35万〜110万である場合には、予備発泡粒子の二次発泡性を向上させることができる。加えて、優れた強度を有する発泡成形体を得ることができる。
更に、本発明の予備発泡粒子の製造方法によれば、上述の如き優れた特性を有する予備発泡粒子を特別な装置を用いることなく容易に製造することができる。
また、上記予備発泡粒子の製造方法において、所定量の重合開始剤を所定時までに添加することで、予備発泡粒子の表面近傍部におけるポリオレフィン系樹脂の比率をより高くできる。その結果、予備発泡粒子からより優れた強度を有する発泡成形体を得ることができる。
更に、所定量の重合開始剤を含むスチレン系モノマーを水性媒体中で重合させ、次いで重合開始剤を含まないスチレン系モノマーを水性媒体中で重合させることで、予備発泡粒子の表面近傍部におけるポリオレフィン系樹脂の比率を確実に高くできる。その結果、予備発泡粒子から更に優れた強度を有する発泡成形体を得ることができる。
本発明の発泡成形体は、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の車輛用緩衝材、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等に有用である。
実施例1で得られたオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の表面をSEMを用いて撮影した電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の表面近傍部断面をTEMを用いて撮影した電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の表面近傍部断面をTEMを用いて撮影した電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の中心部断面をTEMを用いて撮影した電子顕微鏡写真である。 ポリスチレン系樹脂の抽出処理を施した後のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子(実施例1)の表面をSEMを用いて撮影した電子顕微鏡写真である。 ポリスチレン系樹脂の抽出処理を施した後のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子(比較例3)の表面をSEMを用いて撮影した電子顕微鏡写真である。 実施例1で用いられた重合容器の概略断面図である。 実施例10で用いられた重合容器の概略断面図である。 ポリスチレン系樹脂量と吸光度比の関係を示す検量線である。
符号の説明
1 ポリオレフィン系樹脂
2 ポリスチレン系樹脂
3 重合容器
4 V型パドル翼
5 傾斜パドル翼

Claims (19)

  1. ポリオレフィン系樹脂で改質されたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子からなり、ポリスチレン系樹脂を形成するスチレン系モノマーが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、100〜1000重量部の範囲で使用され、該粒子の嵩密度が0.012〜0.20g/cm3 であると共に、ATR法赤外分光分析により測定された粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる698cm-1及び2850cm-1での吸光度比(D698 /D2850)が0.1〜2.5の範囲であるオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  2. 吸光度比が、0.4〜2.0の範囲である請求項1に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  3. 嵩密度が、0.014〜0.15g/cm3 の範囲である請求項1に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  4. ポリオレフィン系樹脂が、予備発泡粒子の中心部より、表面に多く存在する請求項1に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  5. ポリスチレン系樹脂のGPC測定によるz平均分子量が35万〜110万の範囲である請求項1に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  6. ポリオレフィン系樹脂が、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、ポリスチレン系樹脂が、ポリスチレン樹脂である請求項1に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  7. ポリオレフィン系樹脂粒子が分散されている水性媒体中、スチレン系モノマー(使用されるポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して100〜1000重量部)を、ポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸させながら重合開始剤の存在下にて重合させてオレフィン改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程(a)、該樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程(b)、発泡剤含浸樹脂粒子を予備発泡させてオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得る工程(c)とからなり、
    工程(a)において、水性媒体が、0.06〜0.8kw/m3 の攪拌所要動力で攪拌され、スチレン系モノマーの含浸及び重合が、ポリオレフィン系樹脂粒子中のスチレン系モノマー含有量が35重量%以下となる条件下で行われるオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  8. 工程(a)において、スチレン系モノマーの使用量が使用総量の90重量%に達するまでに、
    重合開始剤を、ポリオレフィン系樹脂粒子及びスチレン系モノマーの使用総量の0.02〜2.0重量%添加する請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  9. 工程(a)において、スチレン系モノマーの使用量が使用総量の90重量%に達するまでに、
    重合開始剤を、ポリオレフィン系樹脂粒子及びスチレン系モノマーの使用総量の0.02〜2.0重量%添加した後、重合開始剤を含有しないスチレン系モノマーを添加する請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  10. 重合開始剤を含有しないスチレン系モノマーの添加量が、スチレン系モノマーの使用総量に対して、10〜60重量%の範囲である請求項9に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  11. スチレン系モノマーの重合が、ポリオレフィン系樹脂粒子の融点の−30〜+10℃の温度範囲で行われる請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  12. ポリオレフィン系樹脂粒子が、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体の粒子であり、スチレン系モノマーが、スチレンモノマーである請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  13. 攪拌所要動力が、0.08〜0.7kw/m3 の範囲である請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  14. スチレン系モノマーの含浸及び重合が、ポリオレフィン系樹脂粒子中のスチレン系モノマーの含有量が0〜30重量%の範囲となる条件下で行われる請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  15. 工程(b)が、パドル型の攪拌翼による攪拌下で行われる請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  16. スチレン系モノマーの使用総量が、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して、130〜700重量部の範囲である請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  17. スチレン系モノマーが、架橋剤を含む請求項7に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  18. 請求項1に記載のオレフィン改質ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内に充填し発泡成形させてなる発泡成形体。
  19. 車輛用緩衝材として用いる請求項18に記載の発泡成形体。
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