JP4226002B2 - 積層形フィルムコンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本願は、内部電極にアルミニウムを用いた積層形フィルムコンデンサの製造方法に関し、具体的には、チップ型、特にPML(Polymer Multi Layer)型コンデンサ素子(薄膜高分子多層コンデンサ素子)の製造時の処理方法に関し、更に特には、チップカット後の切断面処理方法に関する。
真空中で誘電材料を蒸着・硬化させて樹脂層を形成するPMLコンデンサを含めて、チップ型の積層形フィルムコンデンサは、誘電体となる樹脂層と内部電極となる金属薄膜層を交互に積層した積層体を切断(チップカット)してコンデンサ素子の形状として製造される。
この積層体を切断して素子とする際、外部電極が形成されない一対の切断面には、切断時の摩擦や熱によって内部電極のアルミニウムのバリが露出して電気的に短絡しており、クリアリングなどの電気的処理を行い、コンデンサ特性を発現させている。また、この切断面に露出した内部電極(特にはアルミニウム)は、このままではコンデンサの使用雰囲
気において、水分と反応し、腐食等を引き起こし、コンデンサ特性寿命を低下させるため、何らかの処理が必要である。
従来の積層形フィルムコンデンサでは、露出した内部電極を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等により溶解させる処理を行い、短絡の防止や、電極の水和抑制をしている。また、エポキシ樹脂等の外装を行うことで外気と遮断したりもする。しかし、このような手法は、コンデンササイズを大きくしたり、水分の金属への到達距離を長くしたりしているのに過ぎず、チップ型の積層形フィルムコンデンサのメリットである小型化を失ったり、その効果が小さいなどの問題がある。
既存の蒸着フィルムを積層して素子を形成するチップ型の積層形フィルムコンデンサの場合には、主にチップカット時のカット条件を工夫することで、切断面からの水分の浸入の遅延や絶縁向上を図っていた。誘電体となっている既存のフィルムが切断時にその熱で溶解し、切断面の内部電極アルミニウムとまざりあった状態となる。そのような状態の切断面を電圧処理することによって、コンデンサとしての絶縁を保つことが可能となる。しかしながら、PMLタイプの誘電体のごとく一層の厚さが薄い積層形フィルムコンデンサでは、電圧処理だけでは絶縁性が回復しない。
PMLタイプのコンデンサチップの場合には、切断面に露出した内部電極アルミニウムを溶液によってエッチングし、その表面に不動態膜(酸化膜等)を形成することで絶縁を保ちあるいは耐湿性を向上させる技術が開示されている。また、チップタイプの積層形フィルムコンデンサ素子の切断面を処理する方法としていくつか先行技術が開示されている。
これらの先行技術の代表例として、積層形フィルムコンデンサの製造方法において、素子の切断面に露出した金属アルミニウム電極層に対し、アルカリ金属化合物含有の水溶液を使用した化成処理方法により、各金属アルミニウム電極層表面に酸化皮膜を生成し絶縁化する工程を有することを特徴とする方法が知られている(特許文献1)。この方法において、アルカリ金属化合物の組合せは、金属種としてリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムのうち少なくとも一種であり、金属塩を構成するアニオン種としては水酸化物、シュウ酸化物、クロム酸化物、硝酸化物、炭酸化物、炭酸水素化物の少なくとも一種であることが記載されている。
この処理によって切断後の積層形フィルムコンデンサの短絡を解消し、耐衝撃性や耐湿負荷試験においても優れ、信頼性の高いコンデンサを得ることを目的としている。
しかしながら、この方法により得られた酸化皮膜では、コンデンサの耐湿寿命特性を向上させる効果が十分とは言えず、得られたコンデンサの耐湿寿命特性を十分に満足させ得るものでない。
また、その他の先行技術として、金属層と誘電体層とを積層してなるコンデンサ部と、このコンデンサ部の両端に積層方向に形成された外部電極とからなる長尺状のコンデンサ母材を、長手方向に垂直に切断して構成した積層形フィルムコンデンサにおいて、切断面近傍の金属層先端に不導体層を形成したことを特徴とする積層形フィルムコンデンサおよびその製造方法が知られている(特許文献2)。このコンデンサは、不導体層の構成成分に金属層または誘電体層の構成元素が含まれること、不導体膜が酸化物または窒化物からなること、プラズマで不導体膜を形成することなどが開示されている。
しかしながら、この方法により得られる不導体層は非常に薄いため、絶縁性や耐湿性を向上させる十分な効果が得られない。従って、得られたコンデンサ特性は、初期絶縁抵抗値(初期IR値)、耐湿寿命特性または耐衝撃性のいずれかが不適当、または不十分であって、それらの特性を同時に満足させ得るものでない。
さらに、PMLコンデンサの絶縁破壊強度を改善する方法として、塩基性溶液または酸性溶液中で、切断縁部の内部電極金属(アルミニウム)をエッチングして除去するか、または陽極酸化して酸化物で被覆する方法が知られている(特許文献3)。この方法では、適したエッチング処理液として、塩基性処理液としてKOH, NaOH、酸性処理液としてフッ化水素酸、硫酸、リン酸などが開示されている。また陽極酸化に用いる溶液としては、ホウ酸水溶液が開示されている。
さらに、この方法では、切断面に露出したアルミニウムを塩基性溶液によりエッチングし、続けて陽極酸化することも開示されている。
しかしながら、このような処理方法は、液処理だけでは、前述のように内部電極の水和に対する抑制(遅延)効果のみであり、陽極酸化は水溶液中で個々のチップ型コンデンサに通電させる装置が必要となり、煩雑かつ時間を要するという問題が生じる。得られたコンデンサ特性も、初期絶縁抵抗値(初期IR値)、耐湿寿命特性または耐衝撃性のいずれかが不適当、または不十分であって、それらの特性を同時に満足させ得るものでない。
特開2002−231563号公報 特開2005−45094号公報 米国特許第5,716,532号明細書
本発明は、前記のごとき各先行技術が有する問題点を解決し、コンデンサの小型化を損なわずに、初期電気特性、初期絶縁抵抗値(初期IR値)、耐湿寿命特性、および耐衝撃性のいずれの特性にも優れ、信頼性の高い小型の積層形フィルムコンデンサを簡便な処理方法により提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、第一の態様において、誘電体層とアルミニウムを含む金属層とを積層して製造される積層形フィルムコンデンサの製造方法において、少なくともリン酸化合物を含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程を有する積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第二の態様として、上記第一の態様において、前記リン酸化合物が、リン酸、またはリン酸塩、またはリン酸エステル化合物のいずれかであることを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第三の態様として、上記第一または第二の態様において、前記リン酸化合物が、リン酸水素アルミニウムであることを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第四の態様として、上記第三の態様において、前記リン酸水素アルミニウムが、リン酸一水素アルミニウム(Al2(HPO4)3)またはリン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3)であることを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第五の態様として、上記第一〜第四のいずれか一つの態様において、前記リン酸化合物を含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程の後に、コンデンサ素子を加熱することを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第六の態様として、上記第五の態様において、前記加熱時のコンデンサ素子表面の最高温度が200℃〜280℃であることを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第七の態様として、上記第一〜六のいずれか一つの態様において、前記リン酸化合物を含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程の前に、アルカリ性水溶液による処理を行うことを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第八の態様として、上記第七の態様において、前記アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、第九の態様として、上記第一〜第八のいずれか一つの態様において、誘電体層がモノマーまたはオリゴマーを真空中で蒸着法により支持体上に付着させ、その後硬化させることによって形成されることを特徴とする積層形フィルムコンデンサの製造方法に関する。
本発明は、誘電体層とアルミニウムを含む金属層とを積層して製造される積層形フィルムコンデンサの製造方法において、少なくともリン酸化合物を含む溶液、特にはリン酸またはリン酸塩またはリン酸エステル化合物のいずれかを含む溶液、更に特にはリン酸水素アルミニウムを含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程を有することを構成の特徴として有するが、その構成を有することにより、あるいはその構成と共に他の構成を有することに関連して下記の作用効果を奏することができる。
本発明は、少なくともリン酸化合物を含む溶液、特にはリン酸またはリン酸塩またはリン酸エステル化合物のいずれかを含む溶液、更に特にはリン酸水素アルミニウムを含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程と、その後コンデンサ素子を加熱する工程を有することにより、コンデンサ素子表面、特に切断面のアルミニウム表面にリン酸を含むアルミニウムの皮膜を形成することができる。この皮膜は、大気中での高安定性とともに耐水和性にも優れる皮膜である。従って、この皮膜により、コンデンサ素子への水分浸入による内部電極金属(アルミニウム)の水和を抑制する効果を発現させることでコンデンサの耐湿性能を向上させることができる。
ここで、本発明の方法によって、前記切断面のアルミニウム表面に形成されるリン酸を含む皮膜が出来る反応式を示す。
aAl3++b[H3-nPO4]n-→[Ala[H3-mPO4]b]3a-bm+b(m-n)H+
aAl3++(b+c)H2O+d[H3-nPO4]n-→[AlaOb(OH)c(H3-mPO4)d]0+[2b+c+d(m-n)]H+
上記反応式によって切断面のアルミニウム表面に形成されたリン酸を含むアルミニウムの皮膜を、更に加熱処理することで、より安定性と耐水和性に優れたものにすることが出来る。
このような皮膜が形成されることで、上記のような耐湿性、耐衝撃性、外部からの汚染にも優れた信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
そして、本発明は、上記のような作用に基づき、前記のごとき各先行技術が有する問題点を解決し、コンデンサの小型化を損なわずに、初期電気特性、初期絶縁抵抗値(初期IR値)、耐湿寿命特性、および耐衝撃性のいずれの特性にも優れ、信頼性の高い小型の積層形フィルムコンデンサを提供することができる。
本発明は、上記のごとく、少なくともリン酸化合物を含む溶液、特にはリン酸またはリン酸塩またはリン酸エステル化合物のいずれかを含む溶液、更に特にはリン酸水素アルミニウムを含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程を有することにより、コンデンサ機能を損なわないでコンデンサ素子表面、特には切断面のアルミニウム表面にリン酸を含むアルミニウムの皮膜を形成することが出来るが、より良好な皮膜を得るための条件としては、リン酸化合物を含む溶液でコンデンサ素子を処理した後、更に加熱工程を有すること、特に、素子表面の温度が、100℃〜280℃、好ましくは200℃〜250℃、より好ましくは200℃〜220℃で、30秒〜30分程度となるように熱処理を行うことが必要である。但し、素子表面の温度が280℃を超える高温での熱処理、あるいは、200℃程度の温度においても15分を超える長時間での熱処理は、コンデンサ、特に誘電体である樹脂層に悪影響を与える恐れがあり、素子表面が200℃〜220℃程度の温度で、30秒〜15分、好ましくは30秒〜5分、より好ましくは30秒〜3分程度の短時間で効率的に加熱処理を行うのが望ましい。100℃未満の低い温度での熱処理は、乾燥を含めて時間を要することとなり、また耐水和性に優れたリン酸を含むアルミニウムの皮膜の形成が不十分となり、コンデンサの耐湿性能向上を期待できない。
更には、内部電極アルミニウムがリン酸水素アルミニウムを含む溶液で処理される場合、処理溶液にアルミニウムが入っているため、緩衝作用により、アルミニウムを含まないリン酸溶液による処理よりもアルミニウムの溶解を抑制でき、緻密な皮膜が得られる効果とともに、内部電極アルミニウムを溶解し過ぎることによるコンデンサ特性への悪影響を小さくできる。そして、この構成は、本発明の目的である、前記のごとき各先行技術が有する問題点を解決し、コンデンサの小型化を損なわずに、初期電気特性、初期絶縁抵抗値(初期IR値)、耐湿寿命特性、および耐衝撃性のいずれの特性にも優れ、信頼性の高い小型の積層形フィルムコンデンサを提供するためには、必要な構成である。
特に真空中で誘電体を蒸着・硬化させて形成するPML型コンデンサでは、誘電体層を非常に薄く(1μm以下)することができ、そうした場合には切断面における内部電極アルミニウム間の距離が近くなるため、電圧印加時にアーク放電などの問題が生じやすい。そのため、本発明においては、コンデンサの絶縁抵抗を向上させ信頼性の高いコンデンサを得るために、リン酸水素アルミニウムを含む水溶液でチップ状積層形フィルムコンデンサ素子の切断面を処理する工程に先立って、アルカリ水溶液で切断面に露出されているアルミニウムをエッチングして、内部電極間の沿面距離を大きくすることにより、より優れた特性のコンデンサを得ることができる。この際、エッチングに用いる溶液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液などが挙げられる。このような処理では、アルミニウムの溶解度が高いので迅速な処理が可能となるが、処理後の水洗浄が不十分であって、アルカリ成分の残渣が大きいと、コンデンサの実使用時にアルカリ成分が水分と反応してアルミニウムを腐食し、コンデンサの寿命・特性に悪影響を及ぼすことがある。しかしながら、このエッチング処理後にリン酸水素アルミニウム水溶液による処理を行うことで、切断面からエッチングされた内部電極アルミニウムの表面に安定化皮膜としてリン酸を含むアルミニウムの皮膜を形成させことができる。そして、この際、酸性のリン酸二水素アルミニウム水溶液を用いた場合には、アルカリ処理によって素子内部に残留した腐食成分を中和するという効果も得られる。
処理に用いるリン酸水素アルミニウムを含む水溶液の液温は常温〜80℃、好ましくは30℃〜70℃、より好ましくは40℃〜60℃がその効果から好ましい。80℃より高い液温の場合には、内部電極の金属(アルミニウム)が溶解しすぎるなどコンデンサ素子に悪影響を与えるため、処理条件として好ましくない。一方で液温が常温(25℃)より低すぎると反応速度が遅くなり(イオンの動きが鈍いことによる反応速度の低下)、処理に時間を要し、十分な耐水和性を有する、高安定性の皮膜を効率的に得ることが出来ない。
また、処理液の濃度は、3wt%〜50wt%、好ましくは5wt%〜30wt%、より好ましくは5wt%〜20wt%の間が良い。その濃度が高すぎると、内部電極の金属(アルミニウム)を溶解し過ぎたり、処理後の洗浄を行っても残渣濃度が高いため、洗浄時間が長くなる欠点がある。また、洗浄が不十分であると逆に電極の腐食の要因となるので好ましくない。そして、この濃度が、3wt%より低いと、十分なリン酸を含むアルミニウムの皮膜を形成することができない。このリン酸水素アルミニウムを含む溶液による処理において、内部電極層がアルミニウムの時には、この皮膜と金属層のアルミニウムの密着性が非常によく、耐湿性向上の効果が特に大きい。
本発明のPMLタイプの積層形フィルムコンデンサにおいて、使用できる樹脂としては、ビニル系樹脂やアクリル樹脂が製造の容易性や得られるコンデンサ特性の面から好ましい。それらの樹脂を構成するモノマーの具体的な例としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートやトリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。
本発明において、内部電極として使用できる金属としては、アルミニウムである。
以下に、本発明の技術的特徴をより理解し易くするために、発明の好ましい態様について、実施例として、必要に応じて比較例と対比しつつ説明する。以下の実施例は、本発明の幾つかの態様を説明するものであって、本発明の技術的範囲を規定するものではないことに留意されねばならない。
PMLコンデンサの製造例
本発明に係るPMLコンデンサの製造方法の一態様を図面、特に図4を用いて説明する。
積層体形成工程1において、積層体を形成する。ここでは、真空槽内において表面が冷却された回転ドラムの上に、蒸着室により気化されたモノマー(アクリル系)を直接蒸着した。続いてドラムの回転する方向に位置する電子線照射装置により電子線を照射し、ドラム上に蒸着された樹脂薄膜を硬化させる。この操作を繰り返し、ドラム表面上に厚さ4μm の樹脂のみの下部保護層1を形成した。
次に、この樹脂製の下部保護層1の上に、蒸着により内部電極となる厚さ250〜300オングストロームのアルミニウムの薄膜層2を形成した。次いで、この内部電極層2上に、モノマー(アクリル系)を蒸着し、その後硬化させて厚み0.4μmの誘電体層3を形成した。同様にして、順次内部電極層2と誘電体層3を交互に積層することでコンデンサになるよう素子層を積層した。ここで、ドラムの1回転ごとに、オイルを用いたパターニング方法により、誘電体層上に電気的絶縁部分を形成しながら、金属蒸発源からアルミニウムを蒸着させて内部電極層を形成した。このようにして、樹脂薄膜とアルミニウムを連続的に交互に4700層ずつ積層し、最後に、素子層の表面に、厚さ4μm の樹脂のみの上部保護層1’を形成し、総厚約2.0mmの板状積層体を得た。
ここではアクリル系樹脂として、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを用いた。
次の平坦化工程2においては、得られた板状積層体をドラムの軸線方向に分割切断してドラム上から取り外し、湾曲を取り除くため、加熱プレスすることにより平板状の積層体母素子を得た。
粗切断工程3においては、平板状の積層体母素子を精密切断可能の大きさに切断した。
次の精密切断工程4においては、この粗切断された積層体母素子をパターニング方向に平行に切断して5.5mm幅の条形状の母素子(ストリップ)Aを得た。
端面プラズマ処理(端面灰化)工程5においては、外部電極の取出しを可能にするためにストリップAの対向する切断端面を、酸素を含むプラズマで処理を行い、樹脂層(誘電体層)3を選択的に除去して、切断面より内部電極層2を構成するアルミニウム層を露出させた。
次いで、電極形成工程6においては、さらにスパッタリングにより金属層を形成し、外部電極4を形成した。このスパッタリング層の上に熱硬化性フェノール樹脂中に銅粉を分散させた導電性ペーストを塗布し、加熱硬化させ、さらにその樹脂表面に電解により錫メッキを施した。この外部電極4が形成された条形状母素子(ストリップ)Aを図1に示す。
その後、チップ化工程7において、このストリップAを図1の切断面aで切断し、図2のようなチップ状積層形フィルムコンデンサ素子Bを得た。得られたコンデンサのサイズは、5.7mm×5.0mm×2.1mmであった。以上のようにして得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子Bにそれぞれ、以下の処理を行った。
〔実施例1〕
さらに、得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子Bを、50℃の10wt%リン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3)水溶液中に5分間浸漬させた。次いで、純水洗浄後、素子温度が200℃以上になる時間が1分間以上となるよう加熱処理を行った。
その後電圧処理によって絶縁回復をして正常な特性のチップ状積層形フィルムコンデンサを得た。そして、得られたコンデンサの特性について検査を行った。
その測定結果は、以下の実施例および比較例により得られたコンデンサの特性値と共に、図5〜7にグラフ1〜3として纏めて示す。
〔実施例2〕
上記コンデンサの製造方法により得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子を、50℃の10wt%リン酸一水素アルミニウム(Al2(HPO4)3)水溶液中に5分間浸漬させた。その他は実施例1と同様の処理方法で正常な特性のチップ状積層形フィルムコンデンサを得た。
〔実施例3〕
上記コンデンサの製造方法により得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子を25℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬させ、流水洗浄後、実施例1と同様に50℃の10wt%リン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3)水溶液中に5分間浸漬させた。その他は実施例1と同様の処理方法で正常な特性のチップ状積層形フィルムコンデンサを得た。
比較例1
上記コンデンサの製造方法により得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子を、リン酸水素アルミニウム水溶液中への浸漬を全くしないで、加熱処理と電圧処理のみ行いチップ状積層形フィルムコンデンサを得た。つまり、実施例1からリン酸二水素アルミニウム水溶液への浸漬処理を除いた。
比較例2
上記コンデンサの製造方法により得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子を、25℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬させ、流水洗浄して加熱処理した後電圧処理を行い、チップ状積層形フィルムコンデンサを得た。つまり、実施例3からリン酸二水素アルミニウム水溶液への浸漬処理を除いた。
比較例3
上記コンデンサの製造方法により得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子を、従来法の切断面に酸化皮膜を形成させる手段として、硝酸リチウムLiNO3と炭酸水素ナトリウムNaHCO3をそれぞれ5mMとなるように純水に溶解させた80℃の水溶液に、素子を30分間浸漬した。その後加熱処理と電圧処理を行い、チップ状積層形フィルムコンデンサを得た。つまり、実施例1のリン酸二水素アルミニウム水溶液の代わりに、硫酸リチウムと炭酸水素ナトリウムを溶解した水溶液を用いた。
比較例4
上記コンデンサの製造方法により得られたチップ状積層形フィルムコンデンサ素子を、ローラを用いて切断面に直接紫外線硬化樹脂を塗布して、紫外線にて硬化させた。得られた紫外線硬化樹脂膜厚は約0.1mmであった。その後加熱処理と電圧処理を行い、チップ状積層形フィルムコンデンサを得た。
このようにして得られた実施例1〜3と比較例1〜4のコンデンサの初期特性を表1に示す。どの条件においても初期特性(容量・tanδ・ESR)にほとんど差は無く良好であり、どの処理方法もコンデンサ特性に悪影響を与えなかった。このことから、リン酸一水素アルミニウム水溶液・リン酸二水素アルミニウム水溶液への浸漬処理と水酸化ナトリウム水溶液への浸漬処理は、どちらもコンデンサの初期特性に悪影響を及ぼしていないことがわかった。
IR(絶縁抵抗)値については、実施例1・2と比較例1を比較するとリン酸水素アルミニウム水溶液での処理によってIRが向上することがわかった。これは切断面にリン酸を含むアルミニウムの皮膜が形成されたためと考えられる。
また、水酸化ナトリウム水溶液でのみ処理をした比較例2は、比較的大きなIR値を示した。これは切断面に露出したアルミニウム電極層がエッチングされ、素子内部方向に一定の距離除去されたためと考えられる。この水酸化ナトリウム水溶液での処理をリン酸水素アルミニウム水溶液での処理と組み合わせることで(実施例3)、よりIR値を向上させることが可能である。
樹脂を切断面に塗布した比較例4では、割合は非常に少ないものの、樹脂を直接塗布する際に素子切断面の表面に傷をつけてしまい、IRを著しく低下させることがあった。樹脂誘電体層の一層厚が薄い素子ほどその割合が大きくなる。また、素子切断面の面積が小さくなるほど、その表面に樹脂を均一に薄く塗布することが困難となる。
Figure 0004226002
次にこのようにして得られた実施例1〜3と比較例1〜4のコンデンサを基板上にリフロー実装した後、40℃95%RHの耐湿負荷試験を行った。印加電圧は直流25Vで行った。
実施例1〜3の試験結果をグラフ1に示す。
最初の約15%の容量増加は吸水によるものである。いずれも1000時間経過後も容量の減少はほとんど観察されず良好な耐湿寿命特性を示した。実施例1と実施例2を比較するとほとんど差は無く、処理溶液としてリン酸一水素アルミニウム水溶液を用いた場合でも、リン酸ニ水素アルミニウム水溶液を用いた場合でも耐湿寿命特性向上の効果にほとんど差が無いことがわかった。また、リン酸水素アルミニウム水溶液への浸漬処理をする前に、水酸化ナトリウム水溶液で処理を行った実施例3は、実施例1および2と比べてやや容量の減少が小さく優れた耐湿寿命特性を示した。これは切断面に露出した内部電極アルミニウムが、水酸化ナトリウム水溶液処理によってエッチングされて後退し、その上に更にリン酸皮膜が形成されたため、より耐湿性が向上したものと考えられる。
次に、実施例1と比較例1〜4の試験結果をグラフ2に示す。
リン酸二水素アルミニウム水溶液への浸漬処理をした実施例1と、何も処理を行わなかった比較例1を比較すると、明らかに実施例1の方が、耐湿寿命特性が優れていることがわかった。これは素子表面、特には切断面に露出したアルミニウム内部電極層の表面にリン酸を含むアルミニウムの皮膜が形成されたためであると考えられる。この皮膜は大気中で安定であり、耐水和性にも優れる皮膜である。比較例1の素子は素子内部に浸入した水分と電極層のアルミニウムが水和反応したため容量が減少したと考えられる。
水酸化ナトリウム水溶液を用いた処理しか行わなかった比較例2では、耐湿寿命特性の向上はほとんど見られなかった。
硝酸リチウムLiNO3と炭酸水素ナトリウムNaHCO3を溶解した水溶液を用いて浸漬処理を行った比較例3では、耐湿寿命特性の向上が見られたものの、リン酸二水素アルミニウム溶液で処理した実施例1よりもその効果は小さかった。
切断面に紫外線硬化樹脂を塗布した比較例4では、実施例1と同等の耐湿寿命特性を示した。ただし、塗布した樹脂膜厚が0.1mm程度と厚く、素子寸法に対する塗布された樹脂の厚さが相対的に大きくなると、基板への実装不良や塗布した樹脂膜が剥離する問題が生じる。また、積層形フィルムコンデンサの小型化のメリットを損なうこととなる。
次に、パーツフィーダーを用いて耐衝撃性を調査した。実施例1〜3と比較例1〜4の素子をそれぞれ100個ずつ、60Hzの周波数のパーツフィーダーに投入し、運ばれてきた素子のIR値を調査した。IR値が1MΩ以下の素子を不良とし、その数を表2に示す。
Figure 0004226002
実施例1〜3では、IRが1MΩ以下の素子はなかった。これは実施例1〜3では切断面表面に安定なリン酸を含むアルミニウムの皮膜が形成されており、素子との密着性も良いため、絶縁性が保たれたと考えられる。また、切断面に酸化皮膜を形成した比較例3でもIR不良の素子はなかった。
一方、比較例1、2および4ではそれぞれ100個中4〜8個、IR不良の素子が見られた。
この原因として、比較例1と2では切断面表面に何も皮膜がなかったため、素子切断面に傷が付きIR不良を引き起こしたと考えられる。
比較例4では切断面に樹脂膜が形成されていたものの、パーツフィーダーで素子に衝撃を加えた際に樹脂膜が剥離したものが見られた。その剥き出しとなった切断面に傷が付きIR不良を招いたものと考えられる。
実施例と比較例について、以上の結果をまとめたものを表3に示す。
Figure 0004226002
※初期IRは501MΩ以上を優、500〜201MΩを良、200〜101MΩを不十分、100MΩ以下を不適とした。
※耐湿寿命特性は、40℃95%RHで25V印加し、1000時間経過時の容量変化率が、+10%以上を優、+9〜+5%を良、+5〜0%を不十分、−1%以下を不適とした。
※耐衝撃性は、上述したパーツフィーダーによるテストのIR不良数が、0個を優、1〜3個を良、4〜6個を不十分、7個以上を不適とした。
表3から、リン酸水素アルミニウム水溶液で素子を処理した実施例1〜3はどの項目においても優秀な結果を示しており、リン酸水素アルミニウム水溶液での処理の前に、アルカリ性の水溶液で素子を処理することでさらに信頼性(IR)を向上させることができることがわかる。
リン酸水素アルミニウム水溶液での処理は、特に耐湿寿命特性の向上に大きな効果があることが特徴として挙げられる。この実施例1〜3の耐湿寿命特性の向上は、リン酸水素アルミニウム水溶液による処理並びにその後の熱処理によって、コンデンサ表面に耐湿性に効果があるリン酸を含むアルミニウム皮膜が形成され、特には図3のように切断面の内部電極であるアルミニウムの露出面にこのような皮膜が形成されたため、電極であるアルミニウムの水和が遅延され、耐湿寿命特性を向上させたものと考えられる。図3は水酸化ナトリウム水溶液処理も行った実施例3の場合の切断面図を示したものである。
これに対して比較例1と2のようにリン酸水素アルミニウム水溶液による処理を行わなかった場合には、切断面に露出した内部電極アルミニウム表面に、加熱処理等で僅かな熱酸化皮膜が形成されたものの、この皮膜が非常に薄いため、水和の遅延効果が十分でなく、徐々にアルミニウム金属層が水和し寿命低下に至ったものと考えられる。溶液によって酸化皮膜を形成した比較例3も、耐湿寿命特性の向上効果は見られたものの、リン酸を含むアルミニウムの皮膜を形成した実施例1・2の方がその効果は大きかった。
実施例1〜3の耐湿寿命特性の向上効果は、従来の切断面を樹脂膜で覆う比較例4と同程度で優れていたが、比較例4の場合には、樹脂膜がコンデンサ表面に0.1mmという厚みで形成されるため、チップ状の積層形フィルムコンデンサのメリットである小型化に対して素子が小さければ小さいほど、そのメリットを損なうこととなってしまう。さらには樹脂膜と素子の密着性が悪いことによる剥離の問題や、実装不良の問題が生じることがあり、信頼性に欠けることも挙げられる。
また、実施例1〜3は外部からの衝撃によるIR低下に対しても良好な結果を示しており、これも素子表面にリン酸を含むアルミニウムの皮膜が形成されたためと考えられる。
実際に実施例1と比較例1の積層形フィルムコンデンサ素子切断面をFT-IRで分析した結果をグラフ3に示す(図7参照)。グラフ3には(1):実施例1の素子切断面、(2):比較例1の素子切断面、(3):(1)―(2)のFT-IRチャートの差スペクトル、(4):アルミニウム上にリン酸二水素アルミニウム水溶液を塗布し200℃で加熱させたもの、以上4種類のチャートを示している。(4)のチャートの1094cm-1と1224cm-1が、アルミニウム上に形成されたリン酸皮膜(AlPO4)の特徴的なピークを示していると考えられる。
実施例1から比較例1のチャートを引いた差スペクトル(3)からは、(4)で見られる1094cm-1と1224cm-1にAlPO4の特徴的なピークが見られる。これは実施例1ではアルミニウム上のリン酸皮膜の特徴的なピークが検出され、比較例1ではそのピークが検出されなかったことを示している。すなわち、リン酸二水素アルミニウム水溶液の処理により、AlPO4皮膜が形成されたことを示唆するものであり、この皮膜が、実施例1〜3の耐湿、IR、対衝撃性におけるコンデンサ特性向上に寄与していることを裏付けることが出来る。
さらに、リン酸水素アルミニウム水溶液処理前にアルカリ水溶液処理を行うと、切断時に生じた内部電極アルミニウムのバリや切断面に露出した内部電極がエッチングされ、アルミニウムが切断面から後退するため、実施例3のようにコンデンサの信頼性(耐湿寿命)をより向上させることが可能となる。
ただしこの場合、アルカリ水溶液処理後の洗浄が不十分であると、アルカリ水溶液の残渣が内部電極のアルミニウムを腐食し、逆に寿命に悪影響を与える可能性が考えられる。しかし、アルカリ水溶液処理後に、酸性のリン酸二水素アルミニウム水溶液で処理を行う場合には、内部に残留したアルカリ水溶液の残渣が中和される効果も挙げられる。
また、リン酸水素アルミニウム水溶液はアルミニウムを含むため、フィルムコンデンサで内部電極として用いられるアルミニウムの処理時の溶解に対して緩衝作用があり、過度の溶解を伴わずに処理できることにもメリットが得られる。ただしリン酸水素アルミニウム水溶液の濃度は3wt%〜50wt%、好ましくは5wt%〜30wt%、より好ましくは5wt%〜20wt%、の間が良い。50wt%よりも濃度が濃いと素子の内部電極アルミニウムを過度に溶解してしまう。また、処理後の洗浄を行っても残渣濃度が高いため、アルミニウム電極を腐食してしまったり、洗浄時間が長くなってしまう等の問題もある。また、3wt%よりも濃度が薄い場合には、露出した内部電極アルミニウム層へのリン酸アルミニウムの付着が不十分となり、耐湿性を向上させるのに十分な皮膜を得ることが出来ない。
処理に用いるリン酸水素アルミニウム水溶液の液温は、常温〜80℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40℃〜60℃がその効果から好ましい。80℃より高い液温の場合には、内部電極のアルミニウムを溶解しすぎるなどコンデンサ素子に悪影響を与えるため、処理条件として好ましくない。一方で液温が常温(25℃)より低すぎると反応速度が遅くなり(イオンの動きが鈍いことによる反応速度の低下)、処理に時間を要し、十分な耐水和性を有する、高安定性の皮膜を効率的に得ることが出来ない。
リン酸水素アルミニウム水溶液処理後の加熱温度として、素子表面の温度が200℃以上の高温になるよう処理することが望ましい。これは耐湿性に効果のあるリン酸アルミニウム皮膜を形成するためには、通常のリン酸アルミニウムは含水塩であるため、これを除去する必要があるからである。
その加熱時間は、素子表面の温度が100℃〜280℃、好ましくは200℃〜250℃、より好ましくは200℃〜220℃で、30秒〜30分程度となるように熱処理を行うことが必要である。但し、素子表面の温度が280℃を超える高温での熱処理、あるいは、200℃程度の温度においても15分を超える長時間での熱処理は、コンデンサ、特に誘導体である樹脂に悪影響を与える恐れがあり、素子表面が200℃〜220℃程度の温度で30秒〜5分程度の短時間で効率的に加熱処理を行うのが望ましい。
本実施例では、真空中で樹脂誘電体層とアルミニウム金属層を連続して形成するPMLコンデンサタイプの素子に対して処理を行った場合について述べたが、既製の樹脂フィルム(PET、PP、PPS、PENなど)と金属箔、または金属が蒸着された既製の樹脂フィルムを積層して積層体を形成し、その積層体の一対の対向面において積層された金属層を交互に異なる端子電極に電気的に結合させ、その後積層体を切断しチップコンデンサ素子を得るタイプの積層形フィルムコンデンサ素子に対して処理を行っても、同様の効果が得られる。
また、本実施例では、処理に用いる溶液としてリン酸一水素アルミニウム並びにリン酸二水素アルミニウム水溶液の場合について述べたが、リン酸化合物を含む溶液、特にはリン酸またはリン酸塩またはリン酸エステル化合物のいずれかを含む溶液を用いた場合でも同様の効果が得られる。
図1は、条形状の母素子(ストリップ)Aの概略図を示す。 図2は、チップ状積層形フィルムコンデンサ素子Bの概略図を示す。 図3は、チップ状積層形フィルムコンデンサ素子Bのリン酸水素アルミニウム溶液による処理後のコンデンサ素子の切断面の一部拡大図を示す。 図4は、PMLコンデンサの製造工程図である。 図5は、実施例1〜3に係る耐湿負荷試験の結果を示すグラフ1である。 図6は、実施例1および比較例1〜4に係る耐湿負荷試験の結果を示すグラフ2である。 図7は、FT−IRの測定結果を示すグラフ3である。
符号の説明
A 条形状の母素子(ストリップ)
B チップ状積層形フィルムコンデンサ素子
1 下部保護層
1’ 上部保護層
2 内部電極層
3 誘電体層(樹脂層)
4、4’ 外部電極
5 リン酸を含むアルミニウム皮膜

Claims (7)

  1. 誘電体層とアルミニウムを含む金属層とを積層して製造される積層形フィルムコンデンサの製造方法において、少なくともリン酸水素アルミニウムを含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程を有する積層形フィルムコンデンサの製造方法。
  2. 前記リン酸水素アルミニウムが、リン酸一水素アルミニウム(Al2(HPO4)3)またはリン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3)であることを特徴とする請求項に記載の積層形フィルムコンデンサの製造方法。
  3. 前記リン酸水素アルミニウムを含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程の後に、コンデンサ素子を加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の積層形フィルムコンデンサの製造方法。
  4. 前記加熱時のコンデンサ素子表面の最高温度が200℃〜280℃であることを特徴とする請求項に記載の積層形フィルムコンデンサの製造方法。
  5. 前記リン酸水素アルミニウムを含む溶液でコンデンサ素子を処理する工程の前に、アルカリ性水溶液による処理を行うことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の積層形フィルムコンデンサの製造方法。
  6. 前記アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の積層形フィルムコンデンサの製造方法。
  7. 前記誘電体層が、モノマーまたはオリゴマーを真空中で蒸着させることにより支持体上に付着させ、その後硬化させることによって形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の積層形フィルムコンデンサの製造方法。
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