JP4224763B2 - 光ピックアップ装置用の対物レンズ、対物レンズ及び光ピックアップ装置 - Google Patents

光ピックアップ装置用の対物レンズ、対物レンズ及び光ピックアップ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置用のガラス製の対物レンズ及び光ピックアップ装置に関し、特に回折などレンズ面に段差により隔てられた複数の輪帯状構造を有する単レンズよりなる対物レンズ及び光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,短波長赤色半導体レーザーの実用化に伴い,従来の光ディスク(光情報記録媒体ともいう)である,CD(コンパクトディスク)と同程度の大きさで大容量化させた高密度の光ディスクであるDVD(デジタルバーサタイルディスク)が開発・製品化され、更に発振波長400nm程度の青紫色半導体レーザーと高開口数の対物レンズを用いて情報記録面上に集光するスポットの径を小さくすることで、より高密度な情報記録/再生を達成する光ディスクシステムが提案されている。
【0003】
ところで,レーザー光源の短波長化や対物レンズの高開口数化が図られてくると,CDやDVDのごとき従来の光ディスクに対して情報の記録または再生を行うような,比較的長波長のレーザー光源と低開口数の対物レンズとの組み合わせからなる光ピックアップ装置では,ほとんど無視できたような問題でも,より顕在化されることが予想される。
【0004】
その1つがレーザー光源の微少な発振波長の変動により対物レンズで生じる軸上色収差の問題である。一般の光学レンズ材料の微少な波長変動による屈折率変化は,通過させる光束が短波長になるほど大きくなる。そのため,微少な波長変動により生じる焦点のデフォーカス量は大きくなる。ところが,対物レンズの焦点深度は,k・λ /NA(kは比例定数,λ は波長,NAは対物レンズの像側開口数)で表されることからわかるように,入射光束の波長が短いほど焦点深度が小さくなり僅かなデフォーカス量も許されないことになる。従って,青紫色半導体レーザーのような短波長の光源及び高開口数の対物レンズを用いた光学系では,半導体レーザーのモードホップ現象や出力変化による波長変動や,高周波重畳による波面収差の劣化を防ぐために,軸上色収差の補正が重要な課題となる。
【0005】
更に,レーザー光源の短波長化と対物レンズの高開口数化において顕在化する別の問題は,温度・湿度変化に起因する光学系の球面収差の変動である。すなわち,光ピックアップ装置において一般的に使用されているプラスチックレンズは,温度や湿度変化をうけて変形しやすく,また,屈折率が大きく変化する。従来の光ピックアップ装置に用いられる光学系ではそれほど問題にならなかった屈折率変化による球面収差の変動も,レーザー光源の短波長化と対物レンズの高開口数化においては無視できない量となる。
【0006】
このような高密度に情報の記録/再生が可能な光ピックアップ装置用の対物レンズとして、以下の特許文献1には、比較的大きい屈折率の硝材を用いた両面非球面単レンズよりなる対物レンズが開示され、以下の特許文献2には、プラスチック製の高開口両面非球面単レンズよりなる対物レンズが開示されている。
【特許文献1】
特開2002-156579
【特許文献2】
特開2001-324673
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの対物レンズは、色収差の補正が不十分であったり、温度変化による収差劣化があり、高密度に情報の記録/再生を行う光ピックアップ装置で使用する際には、それを補うべく他の補正手段等が必要になり、コスト増大及び装置の大型化を招くという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、簡素な構成でありながら、高開口数で短波長光源を用いる光ピックアップ装置用の対物レンズ及びそれを用いた光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、波長λ1の第1の光源と、対物レンズと、光検出器とを有し、前記第1の光源からの光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に用いる対物レンズにおいて、
ガラス転移点Tgが400℃以下である硝材からなり、かつ少なくとも一つのレンズ面に回折構造を有し、前記回折構造の輪帯のピッチをP、特定の光源波長の入射光束が通過する際の回折効率が最大となる回折次数をMとするとき、有効径内の輪帯数で80%以上の輪帯が以下の条件を満足することを特徴とする。
0.008mm<P/M<0.2mm (1)
【0010】
上述したように、光ピックアップ装置において高密度な情報の記録/再生を達成するために高開口数の対物レンズを用いる場合、材料の分散特性による色収差や、温度変化による屈折率変化の影響が無視できなくなり、何らかの補正手段が必要になってくる。硝材すなわち無機ガラスは、温度変化による屈折率変化がプラスティックに比べ1桁以上小さく、従ってガラス製のレンズでは、温度変化の影響は非常に小さいことは周知である。しかし、色収差については、大きなアッベ数を有するガラスを用いても、単レンズでは残存するという問題がある。特に、対物レンズが、像側開口数が0.7(好ましくは0.75)以上で、更に500nm以下の短波長光源からの光束を集光させる場合や、2つの異なる波長の光源で共通に用いられる場合では、重大な問題となる。一方、回折構造を用いることで色収差を補正できることは、周知であるが、ガラス製のレンズに回折構造のような微細構造を設けることは困難であることから、回折構造を有する樹脂層をレンズ表面に設けるいわゆる複合レンズが提案されていた。しかし、複合レンズは樹脂層の温度変化の影響が残存し、製造工程も複雑で製造コストの低減が難しいという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、ガラス製のレンズに回折構造を形成する場合の問題点を、以下のようにして解決し、高密度な情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置用の対物レンズを提供している。まず、ガラス転移点が400℃以下の硝材を用い、有効径内の輪帯数で80%以上の輪帯について、P/Mが条件式(1)の下限を上回るようにすると、各輪帯の楔型形状の頂角が小さくなり過ぎないため、金型を切削加工などにより低コストで作製することができ、また回折構造を精度良くガラスレンズ表面に転写させることができる。また、ガラス転移点が低いので金型の温度も通常のガラス材料を使う場合より低くでき、金型の回折構造の頂角が大きいため、金型の寿命も長くなる。逆に、輪帯数で80%以上の輪帯について、P/Mが条件式(1)の上限を超える場合は、回折構造の色収差補正作用は小さく回折面のある金型作製コストを考慮すると、回折構造を設けないほうが経済的である。
【0012】
また、ガラス材料のプレス成形により得た対物レンズは、プラスティックの射出成形と異なり複屈折性が小さいという特性を有するので、偏光を用いるMOなどの光ピックアップ装置用の対物レンズとしても最適である。
【0013】
請求項2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、波長λ1の第1の光源と、対物レンズと、光検出器とを有し、前記第1の光源からの光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に用いる対物レンズにおいて、
ガラス転移点Tgが400℃以下である硝材からなり、かつ少なくとも一つのレンズ面に回折構造を有し、前記回折構造の輪帯のピッチをP、特定の光源波長の入射光束が通過する際の回折効率が最大となる回折次数をMとするとき、有効径内で10本以上の輪帯が以下の条件を満足することを特徴とする。
0.008mm<P/M<0.2mm (1)
【0014】
請求項2に記載の対物レンズは、請求項1に記載の対物レンズに対し、条件式(1)を満足する輪帯が、「有効径内の輪帯数で80%以上の輪帯」に代えて、「有効径内で10本以上の輪帯」を限定した点のみが異なるのみであり、実質的に請求項1の発明と同様の作用効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の対物レンズは、レンズ有効半径の50%の半径より外側の部分にのみ回折構造を有するので、例えば光源として用いた半導体レーザーにモードホップが生じたような場合でも、波長依存性を良好なものとできる。又、前記対物レンズの光軸及びその周囲の中心部には回折構造を設けないことから、光透過率が向上し、全体として光の利用効率が高まる。
【0016】
請求項4に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下で、ガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面に同心輪帯状の回折構造を有し、各輪帯のピッチをPi、各輪帯で最大の回折効率となる回折次数をMiとするとき、光軸中心からレンズ周辺に向かうに従い、Pi/Miが減少することを特徴とする。
【0017】
像側開口数が0.45以上で、単一波長レーザダイオードなどの光源からの光束を集光する対物レンズでは、光源波長の瞬間的な変化によって発生する軸上色収差の影響や、設計波長と異なる波長における球面収差の影響は、使用波長が短くなるに従い大きくなるが、アッベ数が40以上の硝材を用いれば、必要な回折面による補正量は小さくなり、回折輪帯の最小ピッチは、1次回折光を用いる場合でも7μ以上となり、金型加工および成形による転写は可能となる。また、回折構造は各輪帯でのピッチをPi、回折次数をMi(iは輪帯番号)としたときに、Pi/Miが光軸から離れるにつれ減少するような特性とすると、入射光束の波長が長くなったときにバックフォーカスが長くなるのを防ぐか、あるいは入射光束の波長が長くなったときに補正過剰となる球面収差を低減させるように作用させることができる。また、入射光束の波長が短くなったときには、バックフォーカスが短くなるのを防ぐか、あるいは入射光束の波長が短くなったときに補正不足となる球面収差を低減するように作用させることができる。バックフォーカス変化あるいは球面収差変化を補正することでモードホップによる波面収差劣化は十分に補正できる。
【0018】
請求項5に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、最大の回折効率となる回折次数が2以上5以下であることを特徴とする。
【0019】
最大の回折効率となる回折次数を2以上と大きくすると、輪帯のピッチが大きくなり、プレス成形時の転写不良誤差すなわちブレーズ先端部が丸まってしまうことで引き起こされる回折効率低下を緩和することができる。しかし回折次数が5次を超えると、ブレーズの段差量が大きくなりすぎ、金型の加工に要する時間が長くなったり、ひとつひとつのブレーズ先端部に掛かる応力が大きくなり金型寿命が短くなるので、5次以下であることが好ましい。
【0020】
レンズ面が光軸方向の段差によって隔てられた同心輪帯状構造をもつようにすると、各輪帯を通過する光波に位相差が生じ、この位相差は入射光束の波長によって変化する。この変化を用いることで各々の波長でのレンズのバックフォーカスすなわち色収差を補正あるいは、その影響を緩和するようにすることができる。
【0021】
また、上記の位相差が波長によって変化する作用を色の球面収差補正にも応用できる。すなわち、入射光束の波長が長くなったときに補正不足の球面収差が発生するのと等価となるように、光軸から外側の輪帯に向かうに従い、参照球面波に対して各輪帯等価波面の位相が急激に進むようにさせると、レンズの屈折面によって生ずる補正過剰の色の球面収差を緩和することができる。
【0022】
請求項6に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる、少なくとも1つの光源を有する光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下でガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された輪帯状構造を有し、前記輪帯状構造が、それを通過した入射光束の波長が長くなるよう変化したときにバックフォーカスが短くなるような特性を有し、対物レンズ全体では色収差が軽減されることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下でガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された輪帯状構造を有し、前記輪帯状構造が、それを通過した入射光束の波長が長くなるよう変化すると補正不足の球面収差が発生するような特性を有し、対物レンズ全体では、波長が変化した際の球面収差が軽減されることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下でガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された回折構造を有し、前記回折構造を表すための光路差関数を光軸からの高さをhとし、付加する光路差Φ(h)を、
Φ(h)=Σbi・h(i=2,4,6,・・・)
と表したとき、b4<0であることを特徴とする。
【0025】
一般に像側開口数NAが大きい対物レンズでは、波長の変化に伴いレンズの焦点位置がシフトする軸上色収差によるデフォーカス成分と、像側開口数NAの大きい光束に対して球面収差の補正状況が変化する球面収差成分の2つにより波面収差あるいはスポットが劣化する。これら2つの成分または、少なくとも一方を補正することで波面収差は実用に耐えうるように改善することができる。より具体的に述べると、例えばモードホップなどにより入射光束において波長が長いほうに瞬間的にシフトすると、焦点位置がレンズから離れる方にシフトし、かつ像側開口数NAの大きい光束ほどレンズから遠いところに集光する補正過剰の球面収差が発生する。しかも、これらは対物レンズのフォーカスサーボが追従できないような瞬時に生じるため、これらのずれは波面収差のデフォーカス成分、球面収差成分として増加し、スポットが大きくなってしまう。
【0026】
このような状況において、同心輪帯状構造に入射する光束の波長が長くシフトしたときに像側開口数NAの大きい光束ほどレンズの近くに集光させるような特性を、その同心輪帯状構造に持たせるようにしておくと、かかる波長シフトにおけるずれの内、球面収差の変動分は相殺させることができ、波長シフトが発生しても球面収差は変動すなわち劣化しないこととなる。
【0027】
回折構造の場合、その光路差関数をΦとすると、回折構造を最適化させるための特定の波長をλBとするとλに波長が変化した際の光路差はΦ・λ/λBとなり、λBよりλが長い場合は光路差の影響が大きくなる。ここで光路差関数の4次成分に着目すると、4次の係数b4が負の場合、光路差の4次成分をΦとすると、Φ=b4・hとなる。波長がλと長くなったときはb4・h ・λ/λBと負の量が増加する。すなわち、3次の補正不足の球面収差成分が増加する。これと屈折によって生ずる補正過剰の球面収差を相殺させることができ、球面収差の変動を防ぐことができる。
【0028】
請求項9に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記開口数をNA、アッベ数をνdとすると以下の条件式を満足することを特徴とする。
70<νd/NA<120 (2)
【0029】
対物レンズの開口数とレンズ材料のアッベ数により、色収差または色の球面収差を補正するための回折などレンズ面に設ける微細構造のピッチが増減する。条件式(2)を満足するようにすると、微細構造の大きさが細かくなりすぎず、レンズ面に設けることが容易になる。より具体的には、条件式(2)の下限を下回ると、微細構造のピッチが小さくなりすぎたり、段差が大きくなりすぎ、レンズ面への加工が難しくなる。一方、条件式(2)の上限を超えると微細構造を設けなくとも色収差の影響は小さく、微細構造を設ける意味が薄れる。
【0030】
請求項10に記載の対物レンズは、アッベ数νdが65以上100以下であることを特徴とする。
【0031】
アッベ数が65以上の材料を用いると、色収差が小さくなり、補正のための微細構造が造りやすく、また形状誤差が少なくなりスポットに寄与しない不要光が減少し、光源の照射光量を有効に使うことができ、また光ピックアップ装置の光検出器のノイズが減少するため、良好な信号再生や記録が可能となる。
【0032】
請求項11に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、像側開口数が0.6以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、屈折率の温度変化係数Δn/ΔTが−5×10−5以上、−0.3×10−5以下でガラス転移点Tgが200℃以上、400℃以下の条件を満足する硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された輪帯状構造を有し、前記輪帯状構造が、それを通過した入射光束の波長が長くなるよう変化すると補正不足の球面収差が発生するような特性を有することを特徴とする。
【0033】
像側開口数が0.6以上の高開口レンズを、例えば光ピックアップ装置に用いた場合、材料の屈折率の温度係数Δn/ΔTが−0.3×10−5以下と温度による屈折率変化が大きい場合、温度上昇による屈折率低下で生ずる補正過剰の球面収差の影響が大きくなりスポットの劣化が著しいが、更に光源が半導体レーザーの場合、温度上昇に伴い波長が長い方にシフトするということがあり、これにより更に屈折率が低下し、球面収差劣化が増大する。しかし、レンズ面に光軸方向の段差で分割された同心輪帯状の構造を設けることで、波長が長くなったときに補正不足の球面収差が生ずるようにすると上記補正過剰の球面収差と相殺し、球面収差劣化の増大を防ぐことができる。屈折率の温度係数が−5×10−5以下となる温度変化による屈折率低下が大きすぎ、上記のごとき同心輪帯状構造が細かくなりすぎ、形状の加工が困難になる。また、屈折率の温度係数が−0.3×10−5以上、あるいは、屈折率の温度係数の絶対値が0.3×10−5以下になると温度変化の影響が小さく特別な構成は不要になる。
【0034】
このような特性をもたせることで、対物レンズにおける色収差の影響を小さくすることができる。像側開口数NAが0.6以上の高開口のレンズでは、波長変化による球面収差の増加は無視できなくなる。輪帯状構造をもたない通常の対物レンズでは、波長が長くなると屈折率が低下するため、焦点位置がレンズから離れる方向にシフトする軸上色収差と同時に球面収差が補正過剰となる。これらの2つの要因により、波長が瞬間的に変動するモードホップが生ずるとスポットは著しく大きくなり、信号の読み出し又は記録が行えなくなる。しかし、上記の波長特性を有する輪帯状構造を付加すると、球面収差の劣化を防ぐことができ、スポットの劣化を緩和できる。
【0035】
更に、輪帯状構造で軸上色収差も補正可能であるが、完全に補正しようとすると輪帯状構造のピッチが小さくなりすぎたり、あるいは段差が深くなりすぎ、ガラス転移点Tgが400℃以下の硝材をもちいても良好な成形ができなくなる。すなわち形状誤差が大きくなりすぎ、不要光が増大する。ガラス転移点が200℃以下の硝材をもちいると加工の難度は幾分低くなるが、温度変化による屈折率変化が大きくなりすぎる傾向となり、輪帯状構造による補正は最小ピッチの減少を招き、成形が困難になる。
【0036】
請求項12に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記光軸方向の段差により、基準使用状態の波長において前記輪帯状構造の各輪帯部を通過する光波の位相が2πの略整数倍異なることを特徴とする。
【0037】
前記の同心輪帯状構造の各輪帯部を通過する光波の位相差が、ある波長において2πの略整数倍となるようにすると、隣合う光波の位相状態は同一で前記同心輪帯状構造のない場合と同一となり、良好な波面を形成し、スポットも良好となる。波長がずれたり屈折率が変化すると、各輪帯部を通過する光波の位相にずれが生じ、この作用が色収差や色の球面収差を補正する。しかし、補正状態では隣合う波面は位相状態が同一ではないため、各輪帯の縁で段差のある波面が生ずるため、波面収差は劣化し、スポットもやや大きくなる。したがって、最も頻繁に使用する基準使用状態の波長で、段差が生じせしめる位相差が2πの略整数倍とすると平均的に最良の波面収差が得られる。
【0038】
請求項13に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、像側開口数が0.7(好ましくは0.75)以上で、前記光源の波長λ1が500nm以下であることを特徴とする。
【0039】
請求項14に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1の光源と、請求項1〜13のいずれかに記載の対物レンズと、前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、光検出器とを有し、前記第1の光源から出射された光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする。
【0040】
請求項15に記載の光ピックアップ装置は、像側開口数が0.7(好ましくは0.75)以上で、前記光源の波長λ1が500nm以下であることを特徴とする。上記の色の球面収差の影響は開口数が大きくなるほど、また材料の分散の大きい短波長で顕著になり、特に像側開口数が0.7(好ましくは0.75)以上で、波長が500nm以下となると著しい。本発明は、このような条件下で最も効果を発揮する。
【0041】
請求項16に記載の光ピックアップ装置は、更に、前記波長λ1と異なる波長λ2の第2の光源を有し、前記第2の光源からの光束を、前記対物レンズを介して第2の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行うようになっており、
前記対物レンズはアッベ数νdが50以上の硝材よりなり、少なくとも1つの面に同心輪帯状の回折構造を有し、像側開口数が0.45以上で、前記波長λ1と、前記波長λ2とでの軸上色収差をδfbとするとき、以下の条件式を満足することを特徴とする。
λ1<600nm<λ2 (3)
0.15<(λ2−λ1)/λ1<0.65 (4)
|δfb/λ1|<3 (5)
【0042】
請求項17に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1の光源と、前記波長λ1とは異なる波長λ2の第2の光源と、請求項1〜13のいずれかに記載の対物レンズと、前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、光検出器とを有し、前記第1の光源から出射された光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2の光源から出射された光束を、前記対物レンズを介して第2の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする。
【0043】
開口数はそれほど大きくなくとも、2つの異なる波長の光源からの光を同時に集光するための対物レンズで、本発明は効果を発揮する。2つの波長が条件式(3)および(4)を満足するように離れていて、その際の軸上色収差δfbを条件式(5)を満足するように補正する場合、レンズ面に設ける回折構造、または同心輪帯状(位相差)構造はガラス転移点Tgが400℃以下の材料を用いるとき、形成可能な形状・大きさとなる。条件式(4)の上限を超えると波長差が大きくなりすぎ、回折または同心輪帯状(位相差)構造のピッチは細かくなりすぎ、形成が困難となる。条件式(4)の下限を下回ると波長差は小さく特別な構成を用いなくとも色収差は十分許容できる値、すなわち条件式(5)を満足する。
【0044】
なお、本明細書において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に駆動可能なレンズを指すものとする。従って、本明細書において、対物レンズの像側開口数NAとは、対物レンズの最も光情報記録媒体側に位置する光学面の開口数であって、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいは、それぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録及び/又は再生をするために必要なスポット径を得ることができる、回折限界性能を有する開口数を指すものとする。
【0045】
また、本明細書において、情報の記録とは、上記のような光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することをいう。また、本明細書において、情報の再生とは、上記のような光情報記録媒体の情報記録面上に記録された情報を再生することをいう。本発明による対物レンズは、記録だけあるいは再生だけを行うために用いられるものであってもよいし、記録および再生の両方を行うために用いられるものであってもよい。また、ある光情報記録媒体に対しては記録を行い、別の光情報記録媒体に対しては再生を行うために用いられるものであってもよいし、ある光情報記録媒体に対しては記録または再生を行い、別の光情報記録媒体に対しては記録および再生を行うために用いられるものであってもよい。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
【0046】
更に、本明細書において、回折構造が形成された光学面(回折面)とは、対物レンズの表面に、レリーフを設けて、入射光束を回折させる作用を持たせる光学面のことをいい、同一の光学面に回折を生じる領域と生じない領域がある場合は、回折を生じる領域をいう。
【0047】
また、回折構造とは、この回折を生じる領域のことをいう。レリーフの形状としては、例えば、対物レンズの表面に、光軸を中心として略同心円状の輪帯として形成され、光軸を含む平面でその断面(子午断面)をみれば、各輪帯は鋸歯状、あるいは階段状のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。
【0048】
一般に、回折構造が形成された光学面(回折面)からは、0次回折光、±1次回折光、±2次回折光、・・・・、と無数の次数の回折光が生じるが、例えば、上記のような子午断面が鋸歯状となるレリーフを持つ回折面の場合は、特定の次数の回折効率を他の次数の回折効率よりも高くしたり、場合によっては、特定の1つの次数(例えば、+1次回折光)の回折効率をほば100%とするように、このレリーフの形状を設定することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。まず、図1と図2を用いて、本発明の対物レンズの回折構造と同心輪帯状の段差構造(輪帯状構造)を模式的に説明する。図1は、第1の実施の形態の対物レンズOBJ1を示す概略図であり、図1(a)は正面図。図1(b)は側面図、図1(c)は側面の一部を拡大した図である。この対物レンズOBJ1は、例えば、青紫色半導体レーザーのような短波長光源を使用する高密度DVDに記録/再生する光ピックアップ装置用の対物レンズである。
【0050】
対物レンズOBJ1は、非球面である2つの光学面S1,S2を有する両凸の単レンズであり、一方の光学面S1上に、図1(a)に示したように光軸を中心とした、同心円状の回折構造としての輪帯構造を形成している。この輪帯構造は、図1(c)に示したように、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向の段差Δを持つ。この輪帯構造の任意の輪帯に入射したレーザー光は、その輪帯の光軸に垂直な方向の幅、すなわちピッチPによって決定される方向に回折する。
【0051】
回折次数により各輪帯境界の段差の大きさとピッチが変わる。図1における断面の模式図において、全ての段差はほぼ等しく、各輪帯の回折次数は同一である。
【0052】
そして、輪帯のピッチを、光軸からレンズ周縁部に向かうにつれて、ピッチが小さくなるように変化させている。ピッチが小さくなるほど回折角は大きくなるので、回折面は平行光束を集光させるような凸レンズに似た作用を有する。この回折角は波長にも依存し、波長が長いほど回折角は大きくなり、回折面の作用は大きくなる。このことを上手く利用すると、色収差や色の球面収差を補正することができる。この効果はピッチが小さいほど大きくなるが、ピッチが小さく成り過ぎると転写不良などに起因した加工誤差が増大し、回折効率へ及ぼす影響が大きくなる。
【0053】
図2は、第2の実施の形態の対物レンズOBJ2を示す概略図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。この対物レンズは、同心輪帯状の位相構造をもたせた例にかかるものであり、対物レンズOBJ1と同様に、青紫色半導体レーザのような短波長光源を使用する高密度DVD(第1の光情報記録媒体)に記録/再生するための光ピックアップ装置に適用され、光源から発したレーザ光を光ディスクの情報記録面上に色収差なく集光させる機能を有している。
【0054】
対物レンズOBJ2は、非球面である2つの光学面S1、S2を有する両凸の単レンズであり、一方の光学面S1上に図2(a)に示したように光軸を中心とした同心円状の輪帯構造(輪帯状構造)が形成されている。この輪帯状構造は、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向に段差Δを持ち、各段差間では基準波長において2πの整数倍だけの位相差が生ずるように作られており、この状態ではとなりあう輪帯を通過する光波の波面がお互いにつながり、あたかも段差構造をもたないような光波となる。そして波長変化が生じたり、温度変化により屈折率変化が生ずると、段差によって生ずる位相差が2πの整数倍からずれ、波面はなめらかにつながらず、概略形状が変化する。回折と同様この作用を色収差の補正や色の球面収差の補正に応用できる。
【0055】
各輪帯は、図2(b)に示すように、内側に隣接する輪帯よりも光軸に沿って光源方向に変位して形成されている。このように各輪帯を形成することにより、レンズ材料の色分散により発生する色収差を補正することができ、対物レンズOBJ2は、波長差のある光源に対しても、色収差を抑えて回折限界内で集光することが可能となっている。
【0056】
位相のずれは段差が深いほど大きくなり、この構造の作用は大きくなる。しかし、深すぎる構造になると構造の転写が困難となり、各輪帯を通過する波面の隔たりが大きく、高次の収差成分が増加する。
【0057】
対物レンズOBJ1、OBJ2のいずれの場合も、ガラス製レンズの表面にこれらのような構造をもたせるには限界がある。そのため補正すべき色収差や色の球面収差は適切な分散の材料を選ぶことで、もともとの色収差を小さめにしておく必要がある。
【0058】
(実施例)
以下に、本発明の実施例にかかる対物レンズについて説明する。各実施例の対物レンズにおける非球面は、光軸方向をx軸、光軸に垂直な方向の高さをh、屈折面の曲率半径をrとするとき次式の数1で表す。ただしκを円すい係数、A2iを非球面係数とする。
【数1】
Figure 0004224763
【0059】
かかる対物レンズにおいて、光学面上に形成された回折構造としての輪帯構造は、この回折構造により透過波面に付加される光路差で表される。かかる光路差は、光軸に垂直な方向の高さをh、b2iを回折面係数(光路差関数係数ともいう)とするとき次の数2により定義される光路差関数Φ(mm)で表される。
【数2】
Figure 0004224763
【0060】
この光路差関数Φ(mm)の値をもとに、対物レンズの光学面上に回折構造を形成する場合、光路差関数Φ(mm)の値が所定の波長λBのn倍(ただし、nは自然数)変わる毎に輪帯を形成する。本明細書において、「回折構造が波長λ、回折次数nで最適化されている」とは、このように回折構造が決定されていることを指し、波長λを最適化波長または、製造波長と呼ぶ。
【0061】
(実施例1)
実施例1の対物レンズにおいて、光源側の面には図1のごとき回折構造が設けられている。表1にそのレンズデータを記載する。最適化波長λBを405nm、回折次数1次で最適化すると最小の輪帯ピッチは8.8μとなる。表2(a)に、回折次数1次で最適化した場合の各輪帯の位置、ピッチ分布を示し、表2(b)に、回折次数2次で最適化した場合の各輪帯の位置、ピッチ分布を示す。また、輪帯間の段差量は光軸に近いところで0.79μ、最大有効径付近で0.94μとなる。材料のガラス転移点Tgは285℃であり、加熱プレス成形で回折構造を作製するためには、回折次数2で最適化し、最小ピッチ18μ、光軸に近いところでの段差量1.58μ、最大有効径付近で1.88μとする方が回折構造の転写誤差の影響を受けにくい。Tgが285℃の材料を使うことで金型温度は通常の材料を成形するときより低く設定することができ、金型の寿命も長くなる。尚、本明細書中(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば 2.5×10−3)を、E(例えば 2.5×E―3)を用いて表すことがある。
【表1】
Figure 0004224763
【表2】
Figure 0004224763
【0062】
ガラス材料としては、住田光学ガラス社製のSUPER VIDRON KPG325(商品名)が例として挙げられる。
【0063】
実施例1の対物レンズの球面収差および色収差を、図3に示す。回折により、軸上色収差は補正せず、色の球面収差のみを補正している。光源波長の1nmの瞬間的な変動により、デフォーカスが0.24μ発生するが、このときの波面収差は0.081λRMSとなる。実際のモードホップは1nmより小さいので実用上十分である。
【0064】
また、上記発明の効果を説明するために、比較例の対物レンズにかかるレンズデータを表3に示す。比較例のレンズの断面形状は、巨視的には図1のものと同じである。図4に比較例の球面収差および色収差を示す。波長がシフトするとデフォーカスとともに色の球面収差が発生しており、410nmおよび400nmで球面収差が発生している。これら両方の影響で1nmのモードホップで波面収差は0.1λRMSとなる。アッベ数が70と低分散材料により、波長特性はかなり小さくなっているが、実用上まだ問題がある。
【表3】
Figure 0004224763
【0065】
(実施例2)
表4に、実施例2の対物レンズにかかるレンズデータを示す。また、図5に、実施例2の対物レンズにかかる球面収差、色収差を示す。実施例2の対物レンズは、軸上色収差を回折により補正し、色の球面収差の補正を行っていない。軸上色収差を補正するための各輪帯のピッチは表5に示す。表5は最適化波長λBが405nmで、回折次数1次で最適化したもので、最小の輪帯ピッチは9.7μである。
【表4】
Figure 0004224763
【表5】
Figure 0004224763
【0066】
さらに色の球面収差を補正することは設計上可能であるが、回折構造の最小ピッチが5μm以下と小さくなりすぎ、ガラス転移点Tgが285℃の硝材を用いても、プレス成形で量産することは困難となる。実施例2では、NA0.85で若干の色の球面収差を残しているが、1nmの波長シフトでの波面収差は0.044λRMSで実用上十分である。
【0067】
(実施例3)
実施例3の対物レンズは、図6に示す光ピックアップ装置において、波長の異なる2つの光源からの光束に対して、第1の光情報記録媒体の情報記録面及び第2の光情報記録媒体の情報記録面に集光させるために用いられるものである。
【0068】
図6において、光ピックアップ装置PUは、高密度DVD用のGaN系青紫色半導体レーザLD1(光源波長λ1)と、DVD用の赤色半導体レーザLD2(光源波長λ2)と、これらの半導体レーザからの波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスク上に集光できる対物レンズOBJとを有している。
【0069】
高密度DVD用の光源としては、上記のGaN系青紫色半導体レーザLD1のほかに、SHG青紫色レーザを使用することができる。
【0070】
対物レンズOBJは、上記の対物レンズOBJ1、及び対物レンズOBJ2のいずれかである。対物レンズOBJは、光軸に対し垂直に延びた面を持つフランジ部FLを有し、このフランジ部FLにより、対物レンズOBJを光ピックアップ装置PUに精度よく取り付けることができる。
【0071】
第1の光源である半導体レーザLD1から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタBS1で反射され、偏光ビームスプリッタBS2を透過した後、コリメートレンズCLを経て平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによって、高密度DVDである光ディスク(第1の光情報記録媒体)D1の保護層DP1を介して情報記録面DR1上に形成されるスポットとなる。対物レンズOBJは、その周辺に配置されたアクチュエータACTによってフォーカス制御およびトラッキング制御される。
【0072】
情報記録面DR1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りST、コリメートレンズCLを透過した後、収斂光束となり、偏光ビームスプリッタBS2、偏光ビームスプリッタBS1を透過し、シリンドリカルレンズCY、凹レンズLを経ることによって非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて光ディスクD1に記録された情報を読み取ることができる。
【0073】
一方、第2の光源である半導体レーザLD2から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタBS2で反射された後、コリメートレンズCLを経て平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによってDVDである光ディスク(第2の光情報記録媒体)D2の保護層DP2を介して情報記録面DR2上に形成されるスポットとなる。対物レンズOBJは、その周辺に配置されたアクチュエータACTによってフォーカス制御およびトラッキング制御される。
【0074】
情報記録面DR2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りST、コリメートレンズCLを透過した後、収斂光束となり、偏光ビームスプリッタBS1、偏光ビームスプリッタBS2を透過し、シリンドリカルレンズCY、凹レンズLを経ることによって非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて光ディスクD2に記録された情報を読み取ることができる。
【0075】
なお、光ピックアップ装置PUは、半導体レーザLD1と対物レンズOBJとの間と、半導体レーザLD2と対物レンズOBJとの間の光路中にレーザ光の偏光を変えるための1/4波長板を備えるが、かかる1/4波長板は図6では省略されている。
【0076】
実施例3の対物レンズにかかるレンズデータを表6に示す。対物レンズの光源側の面が回折面になっており、各輪帯のピッチを表7に示す。硝材のアッベ数νdが70.5であるので、最適化波長532nm、回折次数1次で最適化したときの最小ピッチは24μとできる。この大きさは、ガラス転移点Tgが285℃の硝材を持ちいれば十分に作製、量産化可能である。その収差図を図7に示す。図7から明らかなように、2つの波長の光束において、完全に色収差、および色の球面収差が補正されている。尚、本実施例においてδfb/λ1=0.05である。
【表6】
Figure 0004224763
【表7】
Figure 0004224763
【0077】
(実施例4)
表8に、実施例4の対物レンズにかかるレンズデータを示す。また、図8に、実施例4の対物レンズにかかる球面収差、色収差を示す。実施例4の対物レンズは、レンズ有効半径の50%の半径より外側の部分にのみ回折構造を有するものである。各輪帯のピッチは表9に示す。表9は最適化波長λBが405nmで、回折次数1次で最適化したもので、最小の輪帯ピッチは8.8μである。
【表8】
Figure 0004224763
【表9】
Figure 0004224763
【0078】
尚、全実施例において、ガラス転移点Tg285℃の硝材を用いており、Δn/ΔT=-0.94×10−5 である。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、簡素な構成でありながら、高開口数で短波長光源を用いる光ピックアップ装置用の対物レンズ及びそれを用いた光ピックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の対物レンズOBJ1を示す概略図であり、図1(a)は正面図。図1(b)は側面図、図1(c)は側面の一部を拡大した図である。
【図2】第2の実施の形態の対物レンズOBJ2を示す概略図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。
【図3】実施例1の対物レンズの球面収差および色収差を示す図である。
【図4】比較例の球面収差および色収差を示す図である。
【図5】実施例2の対物レンズにかかる球面収差および色収差を示す図である。
【図6】2種類の光情報記録媒体に対して情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】実施例3の対物レンズの球面収差図である。
【図8】実施例4の対物レンズにかかる球面収差、色収差を示す図である。
【符号の説明】
PU 光ピックアップ装置
OBJ、OBJ1,OBJ2 対物レンズ
LD1、LD2 半導体レーザ
BS1,BS2 偏光ビームスプリッタ
CL コリメートレンズ
ST 絞り
PD 光検出器

Claims (17)

  1. 波長λ1の第1の光源と、対物レンズと、光検出器とを有し、前記第1の光源からの光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に用いる対物レンズにおいて、
    ガラス転移点Tgが400℃以下である硝材からなり、かつ少なくとも一つのレンズ面に回折構造を有し、前記回折構造の輪帯のピッチをP、特定の光源波長の入射光束が通過する際の回折効率が最大となる回折次数をMとするとき、有効径内の輪帯数で80%以上の輪帯が以下の条件を満足することを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    0.008mm<P/M<0.2mm (1)
  2. 波長λ1の第1の光源と、対物レンズと、光検出器とを有し、前記第1の光源からの光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に用いる対物レンズにおいて、
    ガラス転移点Tgが400℃以下である硝材からなり、かつ少なくとも一つのレンズ面に回折構造を有し、前記回折構造の輪帯のピッチをP、特定の光源波長の入射光束が通過する際の回折効率が最大となる回折次数をMとするとき、有効径内で10本以上の輪帯が以下の条件を満足することを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    0.008mm<P/M<0.2mm (1)
  3. レンズ有効半径の50%の半径より外側の部分にのみ回折構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  4. 像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下で、ガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面に同心輪帯状の回折構造を有し、各輪帯のピッチをPi、各輪帯で最大の回折効率となる回折次数をMiとするとき、光軸中心からレンズ周辺に向かうに従い、Pi/Miが減少することを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  5. 最大の回折効率となる回折次数が2以上5以下であることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  6. 像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる、少なくとも1つの光源を有する光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下でガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された輪帯状構造を有し、前記輪帯状構造が、それを通過した入射光束の波長が長くなるよう変化したときにバックフォーカスが短くなるような特性を有し、対物レンズ全体では色収差が軽減されることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  7. 像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下でガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された輪帯状構造を有し、前記輪帯状構造が、それを通過した入射光束の波長が長くなるよう変化すると補正不足の球面収差が発生するような特性を有し、対物レンズ全体では、波長が変化した際の球面収差が軽減されることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  8. 像側開口数が0.45以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、アッベ数νdが40以上100以下でガラス転移点Tgが400℃以下の硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された回折構造を有し、前記回折構造を表すための光路差関数を光軸からの高さをhとし、付加する光路差Φ(h)を、
    Φ(h)=Σbi・h(i=2,4,6,・・・)
    と表したとき、b4<0であることを特徴とする光ピックアップ装置用対物レンズ。
  9. 前記開口数をNA、アッベ数をνdとすると以下の条件式を満足することを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    70<νd/NA<120 (2)
  10. アッベ数νdが65以上100以下であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  11. 像側開口数が0.6以上で、少なくとも1面が非球面の単レンズよりなる対物レンズにおいて、屈折率の温度変化係数Δn/ΔTが−5×10−5以上、−0.3×10−5以下でガラス転移点Tgが200℃以上、400℃以下の条件を満足する硝材で構成され、かつ少なくとも1つの面が、光軸方向の段差により同心輪帯状に分割された輪帯状構造を有し、前記輪帯状構造が、それを通過した入射光束の波長が長くなるよう変化すると補正不足の球面収差が発生するような特性を有することを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  12. 前記光軸方向の段差により、基準使用状態の波長において前記輪帯状構造の各輪帯部を通過する光波の位相が2πの略整数倍異なることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  13. 像側開口数が0.7以上で、前記光源の波長λ1が500nm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  14. 波長λ1の第1の光源と、請求項1〜13のいずれかに記載の対物レンズと、前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、光検出器とを有し、前記第1の光源から出射された光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
  15. 像側開口数が0.7以上で、前記光源の波長λ1が500nm以下であることを特徴とする請求項14に記載の光ピックアップ装置。
  16. 前記光ピックアップ装置は、更に、前記波長λ1と異なる波長λ2の第2の光源を有し、前記第2の光源からの光束を、前記対物レンズを介して第2の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行うようになっており、
    前記対物レンズはアッベ数νdが50以上の硝材よりなり、少なくとも1つの面に同心輪帯状の回折構造を有し、像側開口数が0.45以上で、前記波長λ1と、前記波長λ2とでの軸上色収差をδfbとするとき、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項14又は15記載の光ピックアップ装置。
    λ1<600nm<λ2 (3)
    0.15<(λ2−λ1)/λ1<0.65 (4)
    |δfb/λ1|<3 (5)
  17. 波長λ1の第1の光源と、前記波長λ1とは異なる波長λ2の第2の光源と、請求項1〜13のいずれかに記載の対物レンズと、前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、光検出器とを有し、前記第1の光源から出射された光束を、前記対物レンズを介して第1の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2の光源から出射された光束を、前記対物レンズを介して第2の光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより、情報の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
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