JP4222810B2 - 胃粘膜保護剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胃粘膜保護剤に関し、より詳細には、ユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(Paris)植物に含有されるステロイドサポニン(steroid saponin)成分を利用してなる胃粘膜保護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、天然植物に由来した有効資源の開発にとりくんでいる。今日まで種々の効能・効果を有する植物資源を開発して来ている。
【0003】
天然植物を採用した有用製品の開発分野の1つとして、合成品に代替する生体安全性に優れ、かつ、副作用のない胃粘膜保護剤の開発がある。
消化性潰瘍治療剤は大きく大別して攻撃因子抑制剤と防御因子増強剤の2つに区分され、胃粘膜保護剤は後者の区分に属する。胃や腸といった消化器官の粘膜が損傷をきたした種々の消化性潰瘍は、粘膜の防御能力が弱くなることと胃液などの攻撃因子の分泌などが多くなり、そのバランスがくずれたことに起因することが多い。
従来の消化性潰瘍治療には、H受容体拮抗剤のガスターやプトロンポンプ阻害剤などの攻撃因子抑制剤が広く用いられてきた。一方、治療・改善のみならず、予防的効果も期待される防御因子増強剤としては、セトラキセートなどの胃粘膜微少循環改善剤やスクラルファートなどの潰瘍病巣部位保護剤などが用いられてきたが、その比率は前記攻撃因子抑制剤と比較して少ないものであった。加えて、近年増加の一途をたどる高齢者に対しては身体機能が低下しているために、様々な代謝や***が遅くなり、攻撃因子抑制剤の使用では作用が強く現れる可能性が高く、むしろ防御因子増強剤の方が適していると言える。
しかし、これまで知られている防御因子増強剤は胃潰瘍の治療に高用量(例えばスクラルファートは、1回1〜1.2gを1日3回:1日量として3〜3.6g、セトラキセートは、1回200mgを1日3〜4回:1日量として600〜800mg)が必要であり、より安全で効果の高い防御因子増強剤が求められている。
【0004】
前記した胃粘膜保護剤の開発に関連して、本発明者は、先に胃粘膜保護作用を有する多数のトリテルペンサポニン(triterpenoid saponin)を明らかにしている。これらの研究成果は、例えば、Life Sci.,63,PL245〜250(1998);Eur.J.Pharmacol.,373,63〜70(1999);chem.phram.Bull.,49,863〜870(2001)に報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、天然植物を利用した胃粘膜保護剤の開発において、更に有用な利用植物を求めて鋭意、検討を進めている。
この結果、ユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(Paris)植物であり、ヒマラヤから中国南部、台湾にかけて分布する「重楼」の根茎の抽出エキスにエタノール誘発胃粘膜損傷に対して強い抑制作用があることを見い出した。
【0006】
そして、この抽出エキス成分について検討したところ、胃粘膜損傷の抑制に有効な成分が、前記したトリテルペンサポニンとは異質のステロイドサポニン(steroid saponin)であることを見い出した。
前記した知見をベースに重楼以外のユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(paris)植物についても検討したところ、ユリ科ツクバネソウ属植物がステロイドサポニンを豊富に含有しており、この植物が胃粘膜保護剤として有用植物であることをつきとめた。
【0007】
本発明は、前記知見をベースにして完成されたものである。
本発明により、合成品に代替し、生体安全性に優れ、かつ経済性に優れる胃粘膜保護剤が提供される。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は、ユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(Paris)植物に含有されるステロイドサポニン成分を利用してなる胃粘膜保護剤に関するものである。
【0009】
以下、本発明の技術的構成について詳しく説明する。
【0010】
本発明の胃粘膜保護剤は、ユリ科(Liliaceae)のツクバネソウ属(Paris)植物を起源とするものである。
ユリ科ツクバネソウ属植物である蚤休、重楼、王孫などは、中国伝総医学では天然薬物として位置付けられている。例えば、蚤休の薬効としては、解毒、鎮咳、強壮、強精などが伝承されており、また、癰腫、疔瘡、瘰癧、慢性器管炎、小児のひきつけの治療、疲労回復を目的に内服されたり、神経症皮膚炎、痔、ヘビの咬傷の治療に外用されたりしている。重楼の薬効は、膏薬にして腫瘍中毒に外用されている。また、王孫の薬効は、鎮痛、強壮、消腫などの薬効が伝承されており、衰弱疲労に内服されている。
しかしながら、これらの伝承薬効を科学的に証明するような医薬学的評価はほとんど行われておらず、ましてやユリ科ツクバネソウ属植物に胃粘膜保護に関する作用が認められたという報告はない。
【0011】
本発明の胃粘膜保護剤に利用することができる植物は、ユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(Paris)に属するものであれば特に限定されるものではない。例えば、蚤休(Paris polyphylla)、重楼(Paris petiolata)、王孫(Paris tetraphylla)等を挙げることができる。
【0012】
以下、本発明に利用することができる具体的な植物について、植物名、学名、産地(中国における省など)、を示す。
蚤休:七葉一枝花(学名:Paris polyphylla SMITHvar.chinensis FRANCH.、産地:江蘇、浙江、福建江西、安徴、湖北、四川、貴州、雲南、広東、広西など)、闊弁蚤休(Paris polyphylla SMITH var.platypetala FRANCH.、四川、雲南)、毛脈蚤休(Paris polyphylla SMITH var.pubessens HANDMAZZ.、四川、雲南)、狭葉蚤休(Paris polyphylla SMITH var.stenophylla FRANCH.、四川、雲南)、金線重楼(Paris polyphylla SMITH、貴州、雲南、四川、チベットなど)、雲南重楼(Paris polyphylla SMITH var.yunnanensis FRANCH.、HAND−MAZZ.、雲南)、クルマバツクバネソウ(Paris quadrifolia L.=Paris verticillata.、山西など、日本、朝鮮、サハリン、シベリア)、重楼:具柄王孫(paris petiolata BAK ex FORB.、四川、広西など)、王孫:ツクバネソウ(Paris tetrphylla A.GRAY.、江蘇、浙江、江西、安徴、四川など、日本、朝鮮)などがある(「中薬大辞典」小学館編参照)。
【0013】
これらの植物は、種類や産地などによって、その中に含有される成分の量や種類に若干の差異があるが、中国、朝鮮、日本、サハリン、シベリアなどの産地のほか、いずれの地域に生育しているものでも使用することができる。
前記植物の利用部位は、根茎などの地下部のみならず、葉など、ツクバネソウ属植物の全ての部位を利用することができる。
【0014】
本発明の胃粘膜保護剤は、前記ユリ科ツクバネソウ属植物に含有されるステロイドサポニン(steroid saponin)を有効成分とするものである。
前記ユリ科ツクバネソウ属植物から有効成分であるステロイドサポニンを利用する方法としては、これら植物の粉末体及び/又は抽出物を利用すればよい。例えば、抽出物を得るには、所望の抽出法を採用すればよい。後述するように、抽出操作により各種のステロイドサポニンが得られる。
一般的な抽出法としては、刻加工あるいは粉末化した植物を水あるいは低級アルコール(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソプルパノールなど)あるいはそれらの混合溶媒にて、通常植物の約10倍量以上の溶媒量にて、(1)室温下、冷浸抽出であれば一昼夜、(2)沸騰水浴下熱時抽出であれば2〜3時間、の抽出時間にて抽出すればよい。そして、抽出物を得るには、抽出液をろ別後、残渣に更に同量の溶媒を加え、同様の操作を2〜3回くり返し、抽出液をあわせて減圧下濃縮し、抽出物を得ればよい。
【0015】
本発明において、ユリ科ツクバネソウ属植物の抽出物は、有効成分であるステロイドサポニンを含有しているものであれば有効であり、例えば重楼をメタノールで抽出したもの、更に溶媒分画して得たもの、更に精製したものなど、いずれであってもよい。
【0016】
得られた抽出物は、濃縮して用いてもよい。濃縮は、低温減圧下で行うことが好ましい。また、この濃縮は乾固するまで行ってもよい。なお、濃縮する前にろ過し、ろ液を濃縮してもよい。
また、得られた抽出物は、精製処理に付してもよい。精製処理方法としては、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法などを単独又は組み合せて使用する方法が挙げられる。
【0017】
前記したクロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等のいずれか又はそれらを組み合せてしようする方法が挙げられる。その際の担体、溶出溶媒などの精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。例えば、順相クロマトグラフィーの場合には、クロロホルム−メタノール系の溶媒、逆相クロマトグラフィーの場合には水−メタノール系の溶媒を使用することができる。
【0018】
また、前記したイオン交換樹脂を使用する溶離法としては、得られた抽出液を、水又は低級アルコールに希釈/溶解させ、この溶液をイオン交換樹脂に接触させて吸着させた後、低級アルコール又は水で溶離する方法が挙げられる。この際に使用される低級アルコールとしては種々のものを使用することができるがメタノールが好ましい。イオン交換樹脂としては、通常、当該分野の精製処理に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、巨大網状構造で多孔性の架橋されたポリスチレン系樹脂、アーバンライト、セルローズ等が挙げられる。
【0019】
ユリ科ツクバネソウ属植物の抽出物は、医薬的に受容な塩、賦形剤、保存剤、着色剤、矯味剤等とともに、医薬品又は食品の製造分野において公知の方法によって、顆粒、錠剤、カプセル剤などの種々の形態で使用することができる。
【0020】
本発明において、ユリ科ツクバネソウ属植物の粉末及び/又は抽出物の使用量は、含有するステロイドサポニンの種類や含有量、精製の度合、水分含有量、あるいは、年齢、症状等によって異なる。例えば、予防のために用いるには、成人1回につき10〜200mg程度、抽出物では精製の度合いや水分含有量などに応じて10〜200mg程度、好ましくは10〜50mg程度が挙げられ、食前30分位に1日3回服用するのが望ましい。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
なお、本発明は実施例のものに限定されないことはいうまでもないことである。
1.重楼の抽出及び単離:
中国雲南省山の重楼(Paris polyphylla var. yunnanensis)の乾燥根茎2.5kgを利用して有効成分の抽出を行った。なお、抽出・分画スキームの全体像を図1に示す。
【0022】
以下、重楼の具体的な抽出法を説明する。
重楼(Paris polyphylla var. yunnanensis)の乾燥根茎2.5kgを細断し、約10倍量のメタノール(約25L、ナカライテスク社製、特級)を加え、加熱還流下、3時間抽出した。抽出液をひだ折りろ紙(アドバンテック社製、No.2ろ紙)にてろ別した後、残査にメタノールを加え、同様の抽出操作を合計3回繰り返した。抽出液を合わせ、ロータリーエバポレーターにて減圧下、溶媒留去し、メタノール抽出エキス311g(12.4%生薬からの収率)を得た。
【0023】
得られたメタノール抽出エキスをダイアイオンHP−20カラム(日本練水社製、移動相:水→メタノール)に付し、水溶出部220g(8.8%)およびメタノール溶出部91g(3.6%)を得た。
前記メタノール溶出部80gを順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[(SiO BW−200、富士シリシア社製、移動相:クロロホルム(ナカライテスク社製、特級)−メタノール(10:1)→クロロホルム−メタノール−水(10:3:0.5→7:3:0.5)→メタノール]にてFr.1(7.7g)、Fr.2(1.5g)、Fr.3(15.2g)、Fr.4(49.6g)、Fr.5(3.5g)を得た。
【0024】
前記Fr.3を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[ODSクロマトレックス、富士シリシア社製、移動相:メタノール−水]および高速液体クロマトグラフィー[HPLC、探知器:RID−6A、島津製作所社製;ポンプ:LC−10AS、島津製作所社製;カラム:YMC−Pack ODS−AL 250×20mm i.d.,YMC社製、移動相:アセトニトリル(東京化成社製、HPLC大量分取用)−水]または順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[SiO BW−200,移動相:クロロホルム−メタノール−水(10:3:1、下層)→メタノール]にて分離・精製し、
1.pennogenin 3−O−α−L−rhamnopyranosyl−(1→2)−〔α−L−arabinofuranosyl−(1→4)〕−β−glucopyranoside(1,0.014%),
2.pennogenin 3−O−α−L−rhamnopyranosyl−(1→4)−α−L−rhamnopyranosyl(1→4)−〔α−L−rhamnopyranosyl−(1→2)〕−β−grucopyranoside(2,0.019%),
3.diosgenin 3−O−α−L−rhamnopyranosyl−(1→2)−〔α−L−arainofuranosyl−(1→4)]−β−glucopyranoside(3,0.10%)〕,
4.diosgenin 3−O−α−L−rhamnopyranosyl−(1→4)−α−L−rhamnopyranosyl−(1→4)−〔α−L−rhamnopyranoyl−(1−2)〕−β−glucopyranoside(4,0.10%),
5.parisaponin(5,0.013%),
6.trigofoenoside A(6,0.014%),
9.edysterone(9,0.18%),
を得た。
【0025】
前記Fr.4を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔ODS クロマトレックス、富士シリシア社製、移動相:メタノール−水〕および高速液体クロマトグラフィー〔HPLC,検知器:RID−6A;ポンプ:LC−10AS;カラム:Develosil C30UG−5 250×20mm i.d.(野村化学社製)、移動相:アセトニトリル−水〕または順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔SiO BW−200,移動相:クロロホルム−メタノール水(15:3:1、下層)→メタノール〕にて分離・精製し、diosgenin 3−O−α−L−rhamnopyranosyl−(1→2)−〔α−L−arabinofuranosyl−(1→4)〕−β−glucopyranoside(3,0.018%),diosgenin 3−O−α−L−rhamnopyranosyl−(1→4)−α−L−rhamnopyranosyl−(1→4)−〔α−L−rhamnopyranosyl−(1→2)〕−β−glucopyranoiside(4,0.012%),protogracillin(7,0.11%),dichotomin(8,0.16%)を得た。
【0026】
前記抽出・分画スキームにより得られた各種のステロイドサポニン化合物(1〜9)の化学構造式は、下記の〔化1〕〜〔化9〕で示されるものである。なお、下記の化1〜化9は、前記化合物1〜9に対応するものである。
【0027】
【化1】
Figure 0004222810
【0028】
【化2】
Figure 0004222810
【0029】
【化3】
Figure 0004222810
【0030】
【化4】
Figure 0004222810
【0031】
【化5】
Figure 0004222810
【0032】
【化6】
Figure 0004222810
【0033】
【化7】
Figure 0004222810
【0034】
【化8】
Figure 0004222810
【0035】
【化9】
Figure 0004222810
【0036】
前記化合物1〜8のステロイドサポニンにおいて、化合物1〜4はフロスタン型ステロイドサポニン、化合物5〜8はスピロスタン型ステロイドサポニン、といわれるものである。なお、化合物9はステロールといわれるものである。
なお、前記化5で示される化合物5〔parisaponin〕は、本発明者らによって初めて確認された新しいステロイドサポニン化合物であり、別途に物質特許として特許出願がなされている。前記新規化合物である化合物5は、ツクバネソウ属(paris)植物から見い出されたステロイドサポニン(steroid saponin)ということで、ここではパリサポニン(parisaponin)と命名(略称)されている。
【0037】
2.胃粘膜保護作用の検証:
前記抽出・分画スキーム(図1参照)により得られた各種のステロイドサポニンの胃粘膜保護作用について検証した。
胃粘膜保護作用の有無について、次の二つのモデルをラットに適用して行った。
(1).エタノール誘発胃粘膜損傷モデル
24〜26時間絶食させたSprague−Dawley系雄性ラット(体重約250g)に被験物質を経口投与し、1時間後に99.5%エタノール(1.5ml/匹)を経口投与した。1時間後にエーテル麻酔下、頚椎脱臼により安楽死させ、直ちに胃を摘出した。1.5%ホルマリン10mlを胃内に注入し固定した後、大彎に沿って切り開き、損傷の長さ(mm)を測定し、損傷係数とした(参考文献 Matsuda H.et.al.,Life Sciences,63、PL 245−250(1998))。
(2).インドメタシン誘発胃粘膜損傷モデル
24〜26時間絶食させたSprague−Dawley系雄性ラット (体重約250g)に被験物質を経口投与し、1時間後にインドメタシンを20mg/kgの用量で経口投与した。4時間後にエーテル麻酔下、頚椎脱臼により安楽死させ、直ちに胃を摘出した。1.5%ホルマリン10mlを胃内に注入し固定した後、大彎に沿って切り開き、損傷の長さ(mm)を測定し、損傷係数とした。
【0038】
2−(1).MeoH抽出液(MeOH extract)、MeOH溶出部、HO 溶出部のエタノール誘発胃粘膜損傷抑制効果:
MeOH抽出液(MeOH−extract)、及び、これを水→メタノールでカラム分離して得たMeOH溶出部(MeOH−elutedfraction)とHO溶出部(HO−eluted fraction)について、エタノール誘発胃粘膜損傷の抑制効果について調べた。結果を下記の表1に示す。
なお、表1及び他の表において、数値はthe mean(平均値)±S.E.M(標準誤差)で示され、(*)印は0.05%、(**)印は0.01%、で有意差があることを意味している。
【0039】
【表1】
Figure 0004222810
【0040】
表1より、胃損傷抑制効果は、MeOH溶出部、MeOH抽出液、HO 溶出部の順で低下していることがわかる。
なお、表1において、Omeprazoleは、市販合成品(例えば、吉富製薬社製またはアストラ・ジャパン社製のオメパラゾール錠)の健胃剤(プロトン・ポンプ阻害剤)を意味する。
【0041】
2−(2).化合物1〜4及びディオスゲニンのエタノール誘発胃粘膜損傷抑制効果:
次に、前記化合物1〜4及びディオスゲニン(diosgenin)(前記化合物3の非糖部をなす化合物)のエタノール誘発胃粘膜損傷の抑制効果について調べた。結果を下記の表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0004222810
【0043】
表2より、胃損傷抑制効果は、化合物1〜2は化合物3〜4に比較して顕著であることがわかる。また、ディオスゲニンの活性は低いことがわかる。
これら化合物の前記した化学構造式からみて、化合物1〜2は化合物3〜4と比較して、17位に水酸基を有することに特徴がある。
また、ディオスゲニンは、3位に糖部をもたない非糖部をなす化合物である。
このことからみて、ステロイドサポニンの胃損傷抑制効果において、3位糖鎖構造が活性発現に必須であり、17位水酸基は強い活性発現に重要であることがわかる。
【0044】
2−(3).化合物1〜4及びディオスゲニンのインドメタシン誘発胃粘膜損傷抑制効果:
次に、前記化合物1〜4及びディオスゲニン(diosgenin)のインドメタシン誘発胃粘膜損傷の抑制効果について調べた。結果を下記の表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004222810
【0046】
表3から、化合物1〜4は、低い投与用量のインドメタシン誘発胃粘膜損傷抑制効果において、前記エタノール誘発胃粘膜損傷抑制効果とほぼ同じ傾向を示していること、高い投与用量の場合には化合物3〜4が化合物1〜2より良い結果を示していることが判る。
【0047】
2−(4).化合物5〜7のメタノール誘発胃粘膜損傷抑制効果:
次に、前記抽出・分画スキーム(図1参照)で抽出、単離された化合物5〜7のメタノール誘発胃粘膜損傷抑制効果について調べた。結果を下記の表4に示す。
【0048】
【表4】
Figure 0004222810
【0049】
表4から化合物5〜7においても、低い投与用量(2.5〜5.0mg)で10〜20%の抑制率を示していることがわかり、これら化合物は胃粘膜保護剤として有用なものである。
【0050】
2−(5).化合物5〜6のインドメタシン誘発胃粘膜損傷抑制効果:
次に、化合物5〜6のインドメタシン誘発胃粘膜損傷抑制効果について調べた。結果を下記の表5に示す
【0051】
【表5】
Figure 0004222810
【0052】
表5から、化合物5〜6においても、低い投与用量において10〜20%の抑制率を示していることがわかり、これら化合物は胃粘膜保護剤として有用なものである。
【0053】
2−(6).急性毒性試験
体重約20〜25gのddY系マウスを雌、雄とも各一群10匹とし、本発明の胃粘膜保護剤を500mg/kgを経口投与し、エサ、水を自由に与え、2weeks、生死を観察した。その結果、死亡例や行動の異常なものは全く観察されず、本発明の胃粘膜保護剤が安全であることがわかった。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、従来のオメパラゾール(omeparazole)等の合成医薬品系の胃粘膜保護剤に代る天然植物系の生体安全性と経済性に優れる胃粘膜保護剤が提供される。
即ち、本発明により、ユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(Paris)植物に含有されるステロイドサポニン成分を有効成分とする生体安全性と経済性に優れる天然植物系の胃粘膜保護剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の胃粘膜保護剤の主成分であるステロイドサポニンを重楼から得るための抽出・分画スキームを示す図である。

Claims (3)

  1. ユリ科(Liliaceae)ツクバネソウ属(Paris)植物に含有されるステロイドサポニン成分を利用してなる胃粘膜保護剤。
  2. ユリ科ツクバネソウ属植物が、蚤休、重楼又は王孫である請求項1に記載の胃粘膜保護剤。
  3. ユリ科ツクバネソウ属植物が、粉末及び/又は抽出物の形態で利用される請求項1または2に記載の胃粘膜保護剤。
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