JP4221888B2 - 多孔質膜の連続製造方法および連続製造装置 - Google Patents

多孔質膜の連続製造方法および連続製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー溶液の流延膜から溶媒置換速度を調節しながら相転換法によってポリマー多孔質膜を得ることができる方法であって、特にバラツキが少なく均質な貫通した多孔特性を有する多孔質膜を連続的に得ることができる多孔質膜の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔質ポリマー膜は、フィルター、分離膜、電池用セパレータ等の産業用材料、医療材料の素材、光学材料や電子材料などに幅広く使用されている。多孔質ポリマー膜の製造方法は、例えば、ポリマーに無機微粒粉体や有機液状体を混合し製膜したあとで前記無機微粒粉体や有機液状体を抽出除去して細孔を形成する方法、結晶性ポリマーを賦形したあとアニール処理をおこなって賦形物にラメラ積層構造を形成し次いで延伸してこのラメラ積層結晶間を剥離させてフィブリルを成長させることにより細孔を形成する方法、また、ポリマー溶液を流延しそれを凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶性を有し、ポリマーは不溶な有機溶剤、水など)に浸漬してその際に生じる相分離現象を利用して細孔を形成させる相転換法などがある。
【0003】
前記相転換法は、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデンなどのポリマーから多孔質膜を製造するときに好適に用いられる。しかし、相転換法で得られる多孔質膜は最表面に緻密層が形成され膜内部に細孔が形成された非対称膜であるため、得られた膜の用途がガス分離膜などに限定されていた。
【0004】
特開平11−310658号公報には、ポリアミック酸溶液をキャストした後に多孔質フィルムを積層し、該積層体を貧溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔膜の製造方法が開示されている。この方法によれば、直径約0.01〜10μmの貫通孔を有するポリイミド多孔質膜を得ることができた。この方法で得られる貫通した微細孔を有する多孔質膜は前記の種々の用途において極めて有用である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記特開平11−310658号公報に示された多孔質膜を得る方法において、膜厚、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することができる工業的な多孔質膜の連続製造方法および連続製造装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決することを目的としたものであって、ベルトコンベア上に溶液粘度が10〜30000ポイズのポリマー溶液を供給してポリマー溶液流延膜を形成する工程と、前記ポリマー溶液流延膜を均一な膜厚に調整する工程と、溶媒置換速度調整材を連続的に供給し前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せる工程と、前記工程で形成されたベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶媒置換速度調整材とからなる積層体を前記ポリマーに対する非溶媒を含む凝固液中に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させる工程と、前記積層体を構造安定化溶媒中に浸漬する工程と、前記構造安定化溶媒中に浸漬中あるいは前記構造安定化溶媒から取り出した後で前記積層体から溶媒置換速度調整材および多孔質ポリマー膜を剥離する工程と、剥離された前記多孔質ポリマー膜を乾燥及び/あるいは熱処理する工程とを含んで構成される多孔質膜の連続製造方法に関する。さらに、本発明は駆動可能なベルトコンベアと、ポリマー溶液を供給する供給部と、ポリマー溶液流延膜の膜厚調整部と、溶媒置換速度調整材を連続的に供給して前記ポリマー流延膜の上に貼り合せる供給部及び貼り合せ部と、凝固液槽及び構造安定化溶媒槽と、溶媒置換速度調整材及び多孔質ポリマー膜の剥離部とを含んで構成され、ベルトコンベア上に均質な厚みのポリマー溶液流延膜を形成した後で前記流延膜の上に溶媒置換速度調整材を貼り合せて積層体を形成し、次いで前記積層体を凝固液に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させるように構成された多孔質膜の連続製造装置に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本願請求項1〜6に記載の多孔質膜の連続製造方法と、本願請求項7〜10に記載の連続製造装置は、各々の各構成が以下に述べるように相互に対応した関係を持つものである。
【0008】
本発明の多孔質膜の連続製造法について説明する。ポリマー溶液はポリマーが溶媒中に均一に溶解され十分脱気される。前記ポリマー溶液のポリマー濃度は0.3〜60重量%、好ましくは1〜30重量%である。0.3重量%未満では得られる多孔質膜の強度が低下するので好ましくなく、60重量%を越えるとポリマーの析出の制御が難しくなるので好ましくない。また、ポリマー溶液の溶液粘度(回転粘度)は10〜30000ポイズ、好ましくは50〜10000ポイズ、特に好ましくは100〜5000ポイズである。溶液粘度が30000ポイズを越えるとベルトコンベア上に容易に流延させたり膜厚を均一に調整するのが困難になり且つ溶媒置換速度の制御が難しくなって孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるので適当ではない。10ポイズ未満では流延膜としての形状を保持できなくなり厚みムラが生じ易くなるのでるので適当ではない。均一な膜厚を得るためには前記ポリマー溶液は一定流量でベルトコンベア上に供給されることが好適である。供給方法としては、ポリマー溶液を貯えた供給装置内を気体特に乾燥空気あるいは不活性ガスなどを用いて一定の圧力に加圧することによってポリマー溶液をノズル(Tダイ)から押し出す方法が気泡などの混入を防げるので好ましい。ポリマー溶液は例えばTダイによってベルトコンベア上に一定の幅を持って一定流量で供給されることが好ましい。
【0009】
ベルトコンベアは表面が平滑であり且つ析出した多孔質膜を容易に剥がすことができる剥離性を有するものが好ましい。また、有機溶剤と接触しても耐久性が優れたものである必要があるので、金属製ベルト特にステンレス製のベルトが好ましい。また、ベルトコンベアは速度を変えることが出来るものであって、且つ、駆動中は変動が少なく定速度になるものが好適である。
【0010】
ベルトコンベア上に流延されたポリマー溶液流延膜は膜厚が調整される。膜厚の調整は、例えばベルトコンベアと幅方向に均一な隙間を持つように設置されその隙間が調整できるブレード(ドクターナイフ)によって好適におこなわれるが、膜厚を精度よく均一に調整する必要があるのでベルト下面が例えばロールやプレートによって支えられている部位でおこなわれることが好ましい。また、本発明の方法においてポリマー流延膜厚は1〜2000μm、特に好ましくは10〜500μmに調整される。膜厚が1μmより小さいと得られる多孔質膜の強度が十分でなくなり好ましくない。また、膜厚が2000μmを越えると得られる多孔質膜の膜厚方向の多孔質構造の均一性が悪くなるので、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが難しくなるので好ましくない。
【0011】
次いで、前記ポリマー溶液流延膜の上に溶媒置換速度調整材を貼り合せる。この張り合せの際、ポリマー溶液流延膜の膜厚が実質的に変化しないように圧力が制御されることが好適である。実質的に変化しないとは、貼り合せられる前のポリマー流延膜の膜厚に対して90%以上の膜厚、好ましくは95%以上の膜厚を保持するようにして貼り付けることである。貼り合せるときの圧力が高いとポリマー溶液が強制的に流動して、流延膜厚のバラツキが大きくなり、得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるので好ましくない。
【0012】
また、前記溶媒置換速度調整材の貼り合せはベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略水平方向へ移動させながおこなっても構わないが、ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略垂直方向へあるいはポリマー溶液流延膜を上側にした状態で垂直方向に対して60度以下(より好ましくは略垂直から45度以下)の角度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整材を前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せることが、貼り合せた溶媒置換速度調整材の重量によってポリマー流延膜の膜厚が変化しにくいので特に好適である。例えば、ベルトコンベアとポリマー流延膜との積層体がロールによって略水平方向から略垂直方向へ方向を変えながら進んでいく途中で貼り合せをおこなうことが特に好適である。
【0013】
本発明の溶媒置換速度調整材は、多孔質フィルムであり、ポリマー流延膜を凝固液と接触させてポリマーを析出させる際に、ポリマー溶液の溶媒と凝固液が適切な速度で透過することができる程度の透過性を有するものが好ましい。特に、透気度(ガーレー値)が50〜1000秒/100cc、更に250〜800秒/100ccであるものが好ましい。溶媒置換速度調整材の膜厚は5〜500μm、好ましくは5〜100μmであり、フィルム断面方向に貫通した孔径が0.01〜10μm、好ましくは0.03〜1μmの孔が十分な密度で分散しているものが好適である。溶媒置換速度調整材の透気度が上記範囲より大きいと溶媒置換速度が速すぎて析出するポリマー表面に緻密層が形成されるなど溶媒置換速度を十分調整できなくなるので適当でなく、上記範囲よりも小さいと溶媒置換速度が遅くなり過ぎて析出ポリマーに形成される多孔質構造が不均一になる。
【0014】
溶媒置換速度調整材としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロース、テフロンなどを材料にした不織布或いは多孔質膜などが用いられ、特にポリオレフィン製の微多孔膜を用いると、製造された多孔質膜のフィルム表面の平滑性に優れるので好適である。
【0015】
本発明においては、ベルトコンベアとポリマー流延膜と溶媒置換速度調整材とが貼り合せられた積層体を凝固液に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させる。凝固液中では、非溶媒が溶媒置換速度調整材を介してポリマー溶液流延膜と接触しポリマー溶液流延膜中の溶媒と徐々に置換されポリマー溶液流延膜の相分離が進んて多孔質ポリマー膜が析出する。この溶媒と非溶媒の置換が偏りなくおこなわれれば、得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質にすることができる。溶媒と非溶媒の置換にバラツキが生じると、相分離の進み具合が均質にならないので得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔率、孔形状などが不均質になる。本発明の特徴の一つは、前記積層体を凝固液中で移動させ、前記積層体表面に接する溶媒を常にリフレッシュさせながら多孔質ポリマー膜を析出させることにある。すなわち、ポリマー流延膜中の溶媒と凝固液中の非溶媒とが置換するときに起こる局所的な溶媒と非溶媒の濃度、組成の偏りを表面に接する溶媒を常にリフレッシュすることによって抑制し、溶媒と非溶媒との置換を偏りなく進めることによって、得られる多孔質膜の膜厚や孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性をより均質に制御する。
【0016】
また、本発明において、ベルトコンベアとポリマー流延膜と溶媒置換速度調整材とが貼り合せられた積層体を凝固液中に進入させる速度即ちベルトコンベアの速度は、0.01m/分〜50m/分であることが好ましい。0.01m/分未満では生産性が悪いので好適でなく、50m/分を越えると、装置が大きくなり過ぎて、ベルト駆動の制御や凝固液(凝固槽)の管理等に問題が生じるので好ましくない。
【0017】
本発明の凝固液としては、前記ポリマーの非溶媒、又は、これら非溶媒99.9〜40重量%と前記ポリマー溶液の溶媒0.1〜60重量%との混合溶媒を用いることができる。凝固液に非溶媒と溶媒とからなる混合溶媒を用いた場合には析出する多孔質膜の構造が均一になり易いので好適である。即ち、凝固液として用いられる非溶媒はポリマー非溶媒であり且つポリマー溶液の溶媒と相溶性を持つものであり、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、水などが用いられる。
【0018】
次いで、ベルトコンベアと析出した多孔質膜と溶媒置換速度調整材とは貼り合せた状態で、構造安定化溶媒中に浸漬される。構造安定化溶媒は、前記凝固液中で析出した多孔質膜中に残存しているポリマー溶液の溶媒を完全に除去して多孔質構造を安定化させる。前記凝固液はポリマー溶液の相分離を促す作用をもつものであり、非溶媒と溶媒との混合液などを用いてもよいが、構造安定化溶媒は凝固液と相溶性は持つがポリマーに対しては溶解性を示さない溶剤が好ましい。例えば低級アルコール、ヘキサン、水などを好適に用いることができる。
【0019】
更に、構造安定化溶媒はベルトコンベアと析出した多孔質膜と溶媒置換速度調整材との剥離を促進する効果も持っている。従って、構造安定化溶媒中に浸漬されている間に溶媒置換速度調整材や析出した多孔質膜を剥離させてもよい。あるいは、構造安定化溶媒中から取り出したあとで、溶媒置換速度調整材や析出した多孔質膜を剥離させてもよい。構造安定化溶媒に浸漬しないで溶媒置換速度調整材や多孔質膜を剥離させ乾燥や熱処理をおこなうと、多孔質膜中にポリマー溶液の溶媒がかなり残存した状態で応力や熱を加えられるので多孔質構造が変形を起こしやすく、均一な多孔質特性を得るためには好ましいものではない。
【0020】
溶媒置換速度調整材とベルトコンベアから剥離された多孔質膜は、次いで乾燥及び/あるいは熱処理される。この工程は、ポリマーの種類や用いた溶媒の種類によってそれぞれ好適に処理をおこなうことが好ましい。例えばポリアミック酸の多孔質膜では80〜100℃の熱風乾燥に続いて、200℃〜500℃の温度範囲での高温熱処理を施して熱イミド化することによって、最終的にポリイミド多孔質膜を得ることができる。これらの乾燥や熱処理の際、多孔質膜の幅方向の熱収縮を抑制するために例えば幅方向の両端部をピンテンター等で支えて一定の張力を掛け、又、該膜の縦方向の熱収縮を抑制するために例えば膜にテンションロールで一定の張力を掛けておこなうことは、多孔質構造(孔形状、孔径など)を安定化させて均一な多孔質をもった多孔質膜を得ることができるので好適である。
【0021】
本発明において用いられるポリマーは、通常の相転換法において用いられているポリマーであればよく、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデン、それらの前駆体、及び、それらの混合物などを好適に用いることができるが、耐熱性、耐溶剤、寸歩安定性、絶縁性などにおいて極めて優れた特性を有するので芳香族ポリイミドあるいは芳香族ポリイミド前駆体が特に有用であり好適に用いることができる。
【0022】
以下ポリマーとしてポリイミド前駆体を用いた場合について説明する。前記ポリイミド前駆体とは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分、好ましくは芳香族モノマーを重合して得られたポリアミック酸或いはその部分的にイミド化したものであり、熱イミド化あるいは化学イミド化することで閉環してポリイミド樹脂とすることができるものである。ポリイミド樹脂とは、イミド化率が約80%以上、好適には約95%以上の耐熱性ポリマーである。
【0023】
前記ポリイミド前駆体の溶媒として用いる有機溶媒は、パラクロロフェノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾールなどが挙げられる。
【0024】
前記のテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分は、上記の有機溶媒中に大略等モル溶解し重合して、対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL NMP)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリイミド前駆体が製造される。また、重合を約80℃以上の温度でおこなった場合に、部分的に閉環してイミド化したポリイミド前駆体が製造される。
【0025】
前記の芳香族ジアミンとしては、例えば、一般式(1)
2N−R(R1)m−A−(R2)nR’−NH2 (1)
(ただし、前記一般式において、RおよびR’は直接結合あるいは二価の芳香族環、R1およびR2は、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン原子などの置換基であり、Aは直接結合あるいはO、S、CO、SO2、SO、CH2、C(CH32などの二価の基であり、mおよびnは1〜4の整数である。)で示される芳香族ジアミン化合物が好ましい。
【0026】
前記芳香族ジアミンの具体的な化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DADEと略記することもある)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0027】
また、前記の芳香族ジアミン成分としては、ジアミノピリジンであってもよく、具体的には、2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジンなどが挙げられる。
芳香族ジアミン成分は上記の各芳香族ジアミン成分を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0028】
前記のテトラカルボン酸成分としては、好適にはビフェニルテトラカルボン酸成分が挙げられ、例えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましいが、3,3’,4,4’−又は2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるいは3,3’,4,4’−又は2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル誘導体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成分は、上記各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物であってもよい。
【0029】
また、上記のテトラカルボン酸成分は、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテルあるいはそれらの酸無水物、塩またはエステル化誘導体などのテトラカルボン酸類であってもよい。またこれら芳香族テトラカルボン酸成分の一部をブタンテトラカルボン酸、あるいはそれらの酸無水物、塩またはエステル化誘導体などの脂肪族テトラカルボン酸類で、全テトラカルボン酸成分に対して10モル%以下、特に5モル%以下の割合で置き換えてもよい。
【0030】
前記のポリイミド前駆体は、前記有機溶媒に0.3〜60重量%、好ましくは1〜30重量%の割合で溶解してポリイミド前駆体溶液に調製される(有機溶媒を加えてもよくあるいは重合溶液をそのまま用いてもよい)。ポリイミド前駆体の割合が0.3重量%より小さいと多孔質膜を作製した際のフィルム強度が低下するので適当でなく、60重量%より大きいと溶液粘度調整が難しく溶液粘度が高くなって流延が難しくなるし、多孔質膜析出の制御が難しくなるので好ましくないため上記の範囲が好適である。前記のポリマー濃度において、ポリマー溶液は好適な溶液粘度である10〜30000ポイズ、より好ましくは50〜10000ポイズ、特に好ましくは100〜5000ポイズに容易に調整できる。
【0031】
本発明法において得られたポリイミド前駆体からなる多孔質膜は、加熱処理によって熱イミド化されてポリイミド多孔質膜とされる。化学イミド化でもイミド化できるが、熱イミド化する方法では工程が複雑にならないのに加え、得られる膜の強度が大きくなる傾向があるので好適である。熱イミド化は前述のとおり、大気中にて250℃〜500℃で5分間〜60分間熱処理することによって好適におこなうことができる。
【0032】
次に、本発明の多孔質膜の連続製造装置について、代表的な実施形態の概略図である図1〜図4によって説明する。尚、本発明の連続製造装置は図1〜図4の概略図に示された実施形態に限定されるものではない。
本発明の連続製造装置は速度可変で、かつ定速で駆動するベルトコンベア1を備える。ベルトコンベア1は表面が平滑であり且つ析出した多孔質膜を容易に剥がすことができる剥離性を有するものが好ましい。また、有機溶剤と接触しても耐久性が優れたものである必要があるので、金属製ベルト特にステンレス製のベルトが好ましい。
【0033】
また、ポリマー溶液を一定流量で供給する供給部2を備える。この供給部は、ポリマー溶液を脱気された状態で保持し一定流量で、ノズル(或いは、Tダイ)3からベルトコンベア上に供給する。供給はポンプを用いておこなってもよいが、ポリマー溶液を収納した密閉された容器に気体好ましくは乾燥空気または窒素ガスなどの不活性気体を注入して一定の圧力によってポリマー溶液を一定流量で押し出す方法によって、気泡を混入させることなく好適におこなうことができる。また、ベルトコンベア上への供給形態はノズルから押し出す方法やスプレイする方法などがあり、それらのノズルがベルトの幅方向にトラバースするものでもよいが、ベルトの幅方向にスリットを持つTダイを通して幅方向に一定幅で均一に供給されるものが好適である。こうすると溶液粘度が比較的高いときでも膜厚が揃ったポリマー溶液の流延膜を形成することができる。形成された流延膜はベルトによって移動して膜厚調整部4によってより高い精度で厚みを調整される。膜厚調整部4はベルト表面に対して一定の隙間を置いて備えられたブレード(ドクターナイフ)によって構成される。隙間の大きさは可変である。また、膜厚を精度よく均一に調整するためにベルト下面が例えばロールや平滑表面を持つ台座によって支えられたり、更にベルトの遊びを防ぐために下面が吸引されて平滑面に吸着されるように構成されていてもよい。
【0034】
また、本発明の連続製造装置は、溶媒置換速度調整材の供給部5と貼り合せ部6とを備える。溶媒置換速度調整材の供給部5は例えば溶媒置換速度調整材が供給ロールから連続的に供給され、貼り合せ部6では例えばピンチロールによってガイドされてベルトコンベア上に形成されたポリマー溶液流延膜の上に貼り合せられる。この際、ピンチロールとベルトコンベアとの間の隙間は、溶媒置換速度調整材が張り付けられてもポリマー流延膜の厚みが実質的に変化しない程度の圧力を加えるように調整が可能なものである。また、貼り合せ部は、ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略水平方向へ移動させながおこなうように構成されていても構わないが、ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略垂直方向にあるいはポリマー溶液流延膜を上にした状態で垂直方向に対して60度以下(より好ましくは45度以下)の角度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整材を前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せるように構成されると、貼り合せた溶媒置換速度調整材の重量によってポリマー流延膜の膜厚が変化しにくいので特に好適である。例えば、図1〜図4に示されているように、ベルトコンベアとポリマー流延膜がロールに導かれて略水平方向から略垂直方向へ進んでいく部位で貼り合せがおこなわれるように構成されると、溶媒置換速度調整材の重量によってポリマー溶液流延膜が影響を受けて膜厚などの変動が起こりにくいので好適である。
【0035】
また、本発明の連続製造装置では、ポリマー溶液供給部2、流延膜の膜厚調整部4、溶媒置換速度調整材の貼り合せ部6、貼り合せ部から凝固液槽7までのベルトコンベア1が通過する空間の湿度及び温度が制御できるように構成されることが好ましい。温度はポリマー溶液粘度に影響を与えるので一定に制御する必要がある。また、吸湿性の溶媒を用いている場合には低湿度に保持しないと溶媒が水分を吸湿してポリマーを析出させ易くなるという問題が生じる。温度も湿度も相分離析出工程に影響を与えるので、一定に管理することが孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御するうえで重要である。更に、塵埃の影響を避けるためにこれらの空間のクリーン度は必要なレベルに保持されるようにクリーン化装置が備えられることが望ましい。
【0036】
また、本発明の連続製造装置は、凝固液槽7および構造安定化溶媒槽8を備える。これらの槽には、それぞれ前述の凝固液と構造安定化液が貯えられている。本発明では、ベルトコンベアとポリマー溶液の流延膜と溶媒置換速度調節材とを貼り合せた積層体が凝固液に浸漬され、且つ、凝固液中を移動するように構成される。浸漬中にポリマー溶液の溶媒と凝固液溶媒が徐々に置換して相分離を起こして多孔質膜が析出する。これらの溶媒の置換を均質におこなうことが多孔質膜の孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御する上で極めて重要である。本発明では、前記積層体を凝固液溶媒中で移動させて積層体表面に接する溶媒を常にリフレッシュさせ、局所的な溶媒濃度の偏りを抑制するように構成されている。また、浸漬は十分行われる必要があるのでこれらの槽は複数備えられていても構わない。また、図2の実施形態のように、凝固液槽内で積層体が蛇行するようにして、十分な浸漬時間を稼ぐように構成されてもよい。相分離は、温度や溶媒の組成によって影響を受けるので凝固液槽は温度や溶媒組成などの管理が十分おこなわれるようになっていることが好適である。
【0037】
また、本発明の製造装置においては、、図1及び図2の実施形態のように前記積層体が略垂直に凝固液へ進入させるように構成されてもよいし、図3及び図4の実施形態のように前記積層体が凝固液表面に対して傾斜して凝固液に進入するように構成されても構わない。また、図4の実施形態のように、前記積層体が凝固液へ進入し移動する工程で積層体が凝固液表面に対して傾斜して移動するように構成し、また、凝固液からの取り出される工程でも積層体が凝固液表面に対して傾斜して移動するように構成すれば、凝固液の水位を高くして浸漬時間(浸漬距離)を長くしたり、凝固液の水位を低くして浸漬時間(浸漬距離)を短くしたりするなどの調整が容易にできるので極めて好適である。更に、積層体の凝固液への進入速度もまた溶媒置換、相分離析出挙動に対して影響を与えるので0.01m/分〜50m/分の範囲で調整可能であることが望ましい。
【0038】
また、本発明の製造装置においては、ベルトコンベアの駆動は特に限定されるものではなく通常の駆動方法を用いることができるが、駆動ロールやフリーロールを用いて好適におこなわれる。また、図1〜図4の13で示したようなロールでは、積層体の溶媒置換速度調整材がロール表面と直接接触するので、多孔質膜へ加わる圧縮応力を緩和するために、ロール表面をゴムなどの弾性体で被覆したものが好適に用いられる。このようなロールの表面がステンレスなどの金属では、多孔質膜が圧縮応力を受けて多孔形態が変形することがあるので好ましいものではない。
【0039】
構造安定化溶媒槽8は、構造安定化溶媒中で溶媒置換速度調節材及び/あるいは析出した多孔質膜を剥離するように、溶媒置換速度調節材の剥離部9や析出した多孔質膜の剥離部10が組み込まれていてもよい。この場合には、最初に溶媒置換速度調整材を剥離して多孔質膜に溶媒をより接触させた後で多孔質膜を剥離するように配置することが、各々の剥離が容易になるので好適である。また、構造安定化溶媒を出た後で溶媒置換速度調節材及び/あるいは析出した多孔質膜を剥離するように、構造安定化溶媒槽8と溶媒置換速度調節材の剥離部9と多孔質膜の剥離部10が構成されてもよい。
【0040】
剥離された多孔質膜は乾燥及び/あるいは熱処理がおこなわれる。このためには熱風乾燥器及び/あるいは高温熱処理装置が備えられる。熱風乾燥器及び/あるいは高温熱処理装置は、ポリマー供給部から剥離部までと一体化して、剥離された多孔質膜が連続的に乾燥及び/あるいは熱処理されるように構成されていてもよいし、あるいは、乾燥及び/あるいは熱処理を別の工程となるように熱風乾燥器及び/あるいは高温熱処理装置が配置されてもよい。
【0041】
本発明によって、特に好ましくは空孔率が15〜85%、平均孔径が0.01〜10μmの微細な連続孔を有する多孔質構造を持つ多孔質膜を得ることができる。この微細な連続孔は任意の表面から細孔が通路状に他の表面まで連続しており、屈曲しながら非直線的に通じているものである。また、本発明によって得られる多孔質膜は空孔率が高くしても機械的強度が高いものであり、しかも、膜厚や孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性が均質な多孔質膜であるので、種々の用途において極めて有用である。
【0042】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例)
ポリアミック酸溶液の調整
テトラカルボン酸成分としてs−BPDAを、ジアミン成分としてDADEを用い、S−BPDAに対するDADEのモル比が0.996で且つ該モノマー成分の合計重量が10重量%になるようにNMPに溶解し、温度40℃、6時間重合をおこなってポリイミド前駆体溶液を得た。ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は800ポイズであった。
【0043】
(実施例)
多孔質膜の製造
図4で概略図を示した装置を用いて多孔質膜を製造した。
ポリマー供給部に、参考例で得たあとで減圧脱気したポリイミド前駆体溶液を気泡を巻き込まないように注ぎ込み、2.5kg/cm2に加圧した窒素ガスを注入してその圧力によって、前記ポリイミド前駆体溶液をTダイを通じて0.3m/分の速さで駆動するステンレス製のベルトコンベア上に流延し、続いて厚さ調整部によって流延膜の厚さを100μmに調整した。溶媒置換速度調整材としてポリエチレン多孔質膜(宇部興産(株)製、ユーポアUP2015、透気度550秒/100cc)を用い、ピンチロールを介して前記流延膜上に実質的に膜厚は変化しないようにして貼り付けた。これらの工程は温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下でおこなった。次に、ベルトコンベアと流延膜とポリエチレン多孔質膜とを貼り合せた積層体をメタノールが貯えられた凝固液槽中に進入させ5分間凝固液中を移動させて浸漬しポリイミド前駆体多孔質膜を析出させた。これを更にロールによって凝固液槽から水が貯えられた構造安定化溶媒槽へ導いて浸漬し、構造安定化溶媒槽から出たあとで、溶媒置換速度調整材を剥離して取り除き、次いで、ポリイミド前駆体多孔質膜をベルトコンベアから剥離した。
【0044】
次に、ポリイミド前駆体多孔質膜は、両端部を膜を支えるに十分な間隔で並ぶピンにより固定して幅方向の収縮を抑制し、且つ、進行方向に収縮を抑制する程度の張力を掛けながら、温度80℃の乾燥槽を10分間で通過させて乾燥し、続いて400℃の熱処理槽を20分間で通過させて熱イミド化をおこないポリイミド多孔質膜を得た。
【0045】
得られたポリイミド多孔質膜は、可撓性を持ち30.0μmの均一な膜厚を持っており、表面にメタノールを滴下すると裏面に透過する連続孔を有していた。走査型電子顕微鏡で観察したところ平均孔径は0.23μmの均一性の高い多孔質膜であり、空孔率は65%で透気度は160秒/100ccであった。
【0046】
更に、引き続き連続製造したポリイミド多孔質膜を10mごとにサンプリングして平均孔径と透気度を測定した結果を表1に示す。孔径は平均値が0.24μmで標準偏差が0.022であり、また、透気度は平均値が155秒/100ccで標準偏差が11.0であった。また、膜厚は平均値が29.9μmで標準偏差は1.004であった。
【0047】
【表1】
Figure 0004221888
【0048】
尚、本発明において、多孔質膜の孔径、透気度は次の方法によって測定した。▲1▼多孔質膜の平均孔径
膜表面の走査型電子顕微鏡写真を撮り、50点以上の開口部について孔面積を測定し、該孔面積の平均値から次式に従って孔形状が真円であるとした際の平均直径を計算より求めた。次式のSaは孔面積の平均値を意味する。
平均孔径=2×(Sa/π)1/2
▲2▼透気度
JIS P8117に準じて測定した。測定装置としてB型ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を使用した。試料の膜を直径28.6mm、面積645mm2の円孔に締付ける。内筒重量567gにより、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間を測定し、透気度(ガーレー値)とした。
▲3▼空孔率
所定の大きさに切取った膜の膜厚、面積及び重量を測定し、目付重量から次式により空孔率を求めた。次式のSは膜面積、dは膜厚、wは測定した重量、Dは該多孔質膜を形成するポリマー密度であり、例えば芳香族ポリイミドでは1.34とした。
空孔率=(1−W/(S×d×D))×100
【0049】
【発明の効果】
本発明は以上説明をしたようなものであるから、以下に述べるような効果を奏する。
本発明の多孔質膜の連続製造方法および連続製造装置によって、膜厚、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性が均質な多孔質ポリマー膜を工業的に連続製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施形態の一つの概略図である。
【図2】図2は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施形態の一つの概略図である。
【図3】図3は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施形態の一つの概略図である。
【図4】図4は本発明の多孔質膜の連続製造装置の実施形態の一つの概略図である。
【符号の説明】
1:ベルトコンベア
2:ポリマー溶液供給部
3:Tダイ
4:ブレード
5:溶媒置換速度調整材供給部
6:貼り合せ部(ピンチロール)
7:凝固液槽
8:構造安定化溶媒槽
9:溶媒置換速度調整材剥離ロール
10:多孔質膜剥離ロール
11:駆動ロール
12:フリーロール
13:ゴムロール
14:溶媒置換速度調整材
15:多孔質膜

Claims (10)

  1. ベルトコンベア上に溶液粘度が10〜30000ポイズのポリマー溶液を供給してポリマー溶液流延膜を形成する工程と、前記ポリマー溶液流延膜を均一な膜厚に調整する工程と、溶媒置換速度調整材を連続的に供給し前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せる工程と、前記工程で形成されたベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶媒置換速度調整材とからなる積層体を前記ポリマーに対する非溶媒を含む凝固液に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させる工程と、前記積層体を構造安定化溶媒に浸漬する工程と、前記構造安定化溶媒に浸漬中あるいは前記構造安定化溶媒から取り出した後で前記積層体から溶媒置換速度調整材および多孔質ポリマー膜を剥離する工程と、剥離された前記多孔質ポリマー膜を乾燥及び/あるいは熱処理する工程とを含んで構成される多孔質膜の連続製造方法。
  2. ポリマー溶液流延膜を1〜2000μmの均一な膜厚に調整すること、および、溶媒置換速度調整材を実質的に膜厚が変化しない程度の圧力を加えて前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の連続製造方法。
  3. ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略垂直方向にあるいはポリマー溶液流延膜を上側にした状態で垂直方向に対して60度以下の角度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整材を前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  4. ベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶媒置換速度調整材とからなる積層体を、溶媒置換速度調整材を下側にし且つ凝固液表面に対して60度以下の角度で凝固液へ進入させて浸漬することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  5. ポリマーが酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデン、及びそれらの前駆体ポリマーとからなる群から選択された1種または2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  6. ポリマーが芳香族ポリイミドあるいは芳香族ポリイミド前駆体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造方法。
  7. 駆動可能なベルトコンベアと、ポリマー溶液を供給する供給部と、ポリマー溶液流延膜の膜厚調整部と、溶媒置換速度調整材を連続的に供給して前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せる供給部及び貼り合せ部と、凝固液槽及び構造安定化溶媒槽と、溶媒置換速度調整材及び多孔質ポリマー膜の剥離部とを含んで構成され、ベルトコンベア上に均質な厚みのポリマー溶液流延膜を形成した後で前記流延膜の上に溶媒置換速度調整材を貼り合せて積層体を形成し、次いで前記積層体を凝固液に浸漬し且つ凝固液中を移動させて多孔質ポリマー膜を析出させるように構成された多孔質膜の連続製造装置。
  8. 請求項7に記載の多孔質膜の連続製造装置において、ポリマー溶液を収納した密閉容器に気体を注入して一定の圧力によってポリマー溶液を押し出すことによってポリマー溶液を供給するように構成されたことを特徴とする多孔質膜の連続製造装置。
  9. 請求項7〜8のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造装置において、ベルトコンベア上のポリマー溶液流延膜を略垂直方向にあるいは前記ポリマー溶液流延膜を上側にした状態で垂直方向に対して60度以下の角度で下方へ移動させながら、溶媒置換速度調整材を前記ポリマー溶液流延膜の上に貼り合せるように構成されたことを特徴とする多孔質膜の連続製造装置。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の多孔質膜の連続製造装置において、ベルトコンベアとポリマー溶液流延膜と溶媒置換速度調整材とからなる積層体を、溶媒置換速度調整材を下側にし且つ凝固液表面に対して60度以下の角度で凝固液へ進入させて浸漬するように構成されたことを特徴とする多孔質膜の連続製造装置。
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