JP4216145B2 - ハイブリット車両 - Google Patents
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Description
この時、走行に必要なトルクをエンジン状態から過小に算出した場合には、走行用モータのトルク指令も小さくなり、車両の走行速度が低下するので、車両の運転者によるアクセルペダルの踏み込み量が増加する。そのため、車両が必要とするトルクの要求値が走行用モータの最大出力トルクを超えてしまい、エンジンに動力源を戻す必要性が生じる可能性があった。一方、走行に必要なトルクをエンジン状態から過大に算出した場合には、走行用モータのトルク指令も大きくなるので、車体にトルク段差によるショックが発生してしまうという問題があった。
従って、上述のように動力源をエンジンから走行用モータへ切り換えてすぐに、動力源を走行用モータからエンジンに戻す必要が生じた場合、駆動軸へのトルク供給がない状態が連続して発生するため、車両の走行速度が低下するという問題があった。
請求項2の発明に係るハイブリット車両は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記制御部は、さらに、前記走行用モータの温度に基づいて、走行用モータのみの動力を利用した走行の可否を判断することを特徴とする。
エンジンまたは走行用モータの少なくとも一方の動力により走行可能なハイブリット車両において、
請求項3の発明に係るハイブリット車両は、前記エンジンのみの動力を利用した走行状態から、前記走行用モータのみの動力を利用した走行状態へ切り換える場合、前記エンジンから前記走行用モータへのトルク移行制御を開始する前に、現在の走行状況に必要なエンジンの出力トルクを算出すると共に、車両走行速度とモータの効率とから現在の走行状況に必要な出力トルクを走行用モータのみで得る場合のバッテリ出力電力を予測し、前記バッテリ出力電力が現在のバッテリの上限出力能力以下か判断し、前記走行用モータのみでの走行が可能か否かを判断して前記走行用モータのみでの走行が可能であると判断され、且つ、モータの温度に基づいて前記走行用モータのみの動力を利用した走行が可能か否かを判断して前記走行用モータのみでの走行が可能であると判断された場合に、前記エンジンから前記走行用モータへのトルク移行制御を開始し、切り換え制御中は、車両走行速度が略一定状態となるように制御しながら、前記エンジンと前記走行用モータとの間の出力トルク配分を、徐々に前記エンジンから前記走行用モータへ移行させると共に、切り換え制御中に、エンジンの出力トルクを算出すると共に、走行用モータに指示した出力トルクを算出し、エンジンの出力トルクと走行用モータの出力トルクとを合算して、現在の走行状況に必要な全出力トルクを算出し、車両走行速度とモータの効率から現在の走行状況に必要な出力トルクを走行用モータのみで得る場合のバッテリ出力電力を予測し、前記バッテリ出力電力が現在のバッテリ上限出力能力以下か判断し前記走行用モータのみの動力を利用して走行可能であるか否かを判断して前記走行用モータのみの動力による走行が不可能であると判断した場合には、車両走行速度が略一定状態となるように制御しながら、前記出力トルク配分を徐々に前記走行用モータから前記エンジンへ移行させて、前記エンジンのみの動力を利用した走行状態へ制御を戻す制御部を備えたことを特徴とする。
図1は、本発明の第1の実施例のハイブリット車両の構成を示すブロック図である。図1において、走行用モータ1は、車両に搭載され、車両を走行駆動するエンジン2を補助するか、または車両を走行駆動するように、車両のエンジン2に連結された三相電動機である。走行用モータ1及びエンジン2は、変速機3及びディファレンシャルギア4を介して駆動軸5により駆動輪6に伝達される、走行用モータ1のみの動力を利用した「モータ走行」や、同様に変速機3及びディファレンシャルギア4を介して駆動軸5により駆動輪6に伝達される、エンジン2のみの動力を利用した「エンジン走行」、更にはエンジン2の動力を利用した走行駆動時に走行用モータ1で駆動力を補助する「アシスト走行」を可能にする。なお、本実施例のハイブリット車両は、車両の駆動に直接は係わらない従動輪7を備えている。また、駆動輪6は車両の前輪または後輪の一方とし、駆動輪6ではない残る一方を従動輪7とする。
次に、主要部の構成を示すブロック図を参照して、更に本実施例のハイブリット車両の詳細について説明する。図2に示すように、走行用モータ1のステータ1aの中心に位置するロータ1bは、出力軸11によって車両のエンジン2に連結されている。また、バッテリ9には、電流センサ9a及び電圧センサ9bが接続され、バッテリ9の入出力電流ABを検出する電流センサ9aの検出信号、及びバッテリ9の入出力電圧VBを検出する電圧センサ9bの検出信号は、ECU10に入力されている。これにより、ECU10は、バッテリ9の入出力電流ABとバッテリ9の入出力電圧VBとから、バッテリ9のI−V(電流−電圧)特性に基づいてバッテリ9の残容量SOCを推定することができる。
更に、ECU10には、この他、例えば車両の走行速度(車速)VPを検出する車速センサからの検出信号や、アクセルペダルの操作量に係るアクセルペダル開度APを検出するアクセルペダル開度センサからの検出信号、ブレーキペダルの操作状態BRK_SWを検出するブレーキスイッチからの検出信号等も入力されている。
更に、エンジン2には、スパークプラグとディストリビュータ、イグニッションコイル等で構成された点火装置が備えられており、点火装置は、ECU10にて算出される点火時期制御信号に基づいて、エンジン2の気筒内の燃料と空気の混合ガスに点火する。
次に、図面を参照して本実施例のハイブリット車両の動力源切り換え制御について説明する。図3及び図4は、本実施例のハイブリット車両のECU10による動力源切り換え制御動作を示すフローチャートである。
図3及び図4において、まずECU10は、遷移制御中フラグが「1」であるか否かを確認し、現在の制御がエンジン2のみの動力を利用した「エンジン走行」と走行モータ1のみの動力を利用した「モータ走行」との間の遷移制御中であるか否かを判定する(ステップS1)。なお、遷移制御中フラグは、その値が「1」の場合は遷移制御中であることを示し、値が「0」の場合は遷移制御中でないことを示す。
そして、走行モータ1のみの動力を利用した場合の走行可否判断における判断結果が「モータ走行」可であるか否かを判定する(ステップS4)。
また、ステップS5において、モータ走行中フラグが「0」で、「モータ走行」が可能な状態でも現在の走行状態が「モータ走行」中でなかった場合(ステップS5のYES)、ECU10は、遷移制御中フラグに「1」を設定して、「エンジン走行」と「モータ走行」との間の遷移制御を開始する(ステップS6)。
そして、ステップS7において、モータ走行中フラグが「1」で、「モータ走行」が不可能な状態でも現在の走行状態が「モータ走行」中であった場合(ステップS7のYES)、ECU10は、ステップS6へ進み、遷移制御中フラグに「1」を設定して、「エンジン走行」と「モータ走行」との間の遷移制御を開始する(ステップS6)。
ステップS8において、遷移制御中断フラグが「0」で、現在の制御が「エンジン走行」と「モータ走行」との間の遷移制御の中断中でなかった場合(ステップS8のNO)、ECU10は、次に、再度前述の走行モータ1のみの動力を利用した場合の走行可否判断における判断結果が「モータ走行」可であるか否かを判定する(ステップS9)。
ステップS12において、バッテリ9の電圧低下やモータの温度上昇による出力の制限要求がない場合(ステップS12のNO)、「エンジントルク徐々落とし制御」実行中で、かつエンジン2の出力トルクが設定値以下であるか否かを判定する(ステップS13)。なお、設定値は、出力軸11に印加されている走行用モータ1またはエンジン2の出力トルクの一方(ステップS13の場合はエンジン2の出力トルク)を設定値から直接ゼロに減少させ、走行に寄与するトルクを走行用モータ1またはエンジン2の出力トルクの一方(ステップS13の場合は走行用モータ1の出力トルク)に移行しても、車両の走行速度VPに影響を与えないトルク値を示す。
一方、「エンジントルク徐々落とし制御」実行中で、かつエンジン2の出力トルクが設定値以下であった場合(ステップS13のYES)、ECU10は、走行モータ1のみの動力を利用した走行状態に制御を変更して、モータ走行中フラグに「1」を設定する(ステップS14)と共に、遷移制御中フラグ及び遷移制御中断フラグを「0」にリセットし(ステップS15)、動力源切り換え制御を終了する。
また、ステップS8において、遷移制御中断フラグが「1」で、現在の制御が「エンジン走行」と「モータ走行」との間の遷移制御の中断中であった場合(ステップS8のYES)、ECU10は、ステップS17へ進み、「エンジントルク徐々戻し制御」を実行する(ステップS17)。
一方、「エンジントルク徐々戻し制御」実行中で、かつ走行用モータ1の出力トルクが設定値以下であった場合(ステップS18のYES)、ECU10は、エンジン2のみの動力を利用した走行状態に制御を変更して、モータ走行中フラグに「0」を設定する(ステップS19)と共に、遷移制御中フラグ及び遷移制御中断フラグを「0」にリセットし(ステップS15)、動力源切り換え制御を終了する。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図5は、本発明の第2の実施例のハイブリット車両の構成を示すブロック図である。図5において、図1に示す第1の実施例のハイブリット車両と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施例のハイブリット車両を構成する構成要素と同じ動作を行う構成要素であるので、ここでは説明を省略する。
第1の実施例のハイブリット車両と第2の実施例のハイブリット車両との違いについて述べると、第1の実施例のハイブリット車両が前輪または後輪の一方を駆動輪6とし、残る一方を従動輪7とする二輪駆動の車両であったのに対し、第2の実施例のハイブリット車両は、前輪または後輪の一方を駆動輪6とし、残る一方を駆動輪6とは独立に動作する駆動輪24とする四輪駆動可能な車両であることを特徴とする。
また、本実施例のハイブリット車両でも、第1の実施例のハイブリット車両と同様に、図3及び図4に示したECU10による動力源切り換え制御を実行する。但し、エンジン2の動力を利用した駆動輪6と走行用モータ21の動力を利用した駆動輪24とで走行する本実施例のハイブリット車両では、エンジン2の回転数と走行用モータ21の回転数(あるいは駆動輪6の回転数と駆動輪24の回転数)とが異なる場合、すなわちそれぞれが独立に回転する場合があるため、走行に必要な全出力トルクをエンジン2の出力トルクと走行用モータ21の出力トルクとの合計から求められない場合がある。
2 エンジン
10 ECU(制御部)
Claims (3)
- エンジンまたは走行用モータの少なくとも一方の動力により走行可能なハイブリット車両において、
前記エンジンのみの動力を利用した走行状態から、前記走行用モータのみの動力を利用した走行状態へ切り換える場合、前記エンジンから前記走行用モータへのトルク移行制御を開始する前に、現在の走行状況に必要なエンジンの出力トルクを算出すると共に、車両走行速度とモータの効率とから現在の走行状況に必要な出力トルクを走行用モータのみで得る場合のバッテリ出力電力を予測し、前記バッテリ出力電力が現在のバッテリの上限出力能力以下か判断し、前記走行用モータのみでの走行が可能か否かを判断して前記走行用モータのみでの走行が可能であると判断され、且つ、現在の走行状況が走行用モータの最大出力トルク以下で走行可能な場合に、前記走行用モータのみの動力を利用した走行が可能であると判断して、前記エンジンから前記走行用モータへのトルク移行制御を開始し、切り換え制御中は、車両走行速度が略一定状態となるように制御しながら、前記エンジンと前記走行用モータとの間の出力トルク配分を、徐々に前記エンジンから前記走行用モータへ移行させると共に、切り換え制御中に、エンジンの出力トルクを算出すると共に、走行用モータに指示した出力トルクを算出し、エンジンの出力トルクと走行用モータの出力トルクとを合算して、現在の走行状況に必要な全出力トルクを算出し、車両走行速度とモータの効率から現在の走行状況に必要な出力トルクを走行用モータのみで得る場合のバッテリ出力電力を予測し、前記バッテリ出力電力が現在のバッテリ上限出力能力以下か判断し前記走行用モータのみの動力による走行が不可能であると判断した場合には、車両走行速度が略一定状態となるように制御しながら、前記出力トルク配分を徐々に前記走行用モータから前記エンジンへ移行させて、前記エンジンのみの動力を利用した走行状態へ制御を戻す制御部を備えたことを特徴とするハイブリット車両。 - 前記制御部は、さらに、前記走行用モータの温度に基づいて、走行用モータのみの動力を利用した走行の可否を判断することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
- エンジンまたは走行用モータの少なくとも一方の動力により走行可能なハイブリット車両において、
前記エンジンのみの動力を利用した走行状態から、前記走行用モータのみの動力を利用した走行状態へ切り換える場合、前記エンジンから前記走行用モータへのトルク移行制御を開始する前に、現在の走行状況に必要なエンジンの出力トルクを算出すると共に、車両走行速度とモータの効率とから現在の走行状況に必要な出力トルクを走行用モータのみで得る場合のバッテリ出力電力を予測し、前記バッテリ出力電力が現在のバッテリの上限出力能力以下か判断し、前記走行用モータのみでの走行が可能か否かを判断して前記走行用モータのみでの走行が可能であると判断され、且つ、モータの温度に基づいて前記走行用モータのみの動力を利用した走行が可能か否かを判断して前記走行用モータのみでの走行が可能であると判断された場合に、前記エンジンから前記走行用モータへのトルク移行制御を開始し、切り換え制御中は、車両走行速度が略一定状態となるように制御しながら、前記エンジンと前記走行用モータとの間の出力トルク配分を、徐々に前記エンジンから前記走行用モータへ移行させると共に、切り換え制御中に、エンジンの出力トルクを算出すると共に、走行用モータに指示した出力トルクを算出し、エンジンの出力トルクと走行用モータの出力トルクとを合算して、現在の走行状況に必要な全出力トルクを算出し、車両走行速度とモータの効率から現在の走行状況に必要な出力トルクを走行用モータのみで得る場合のバッテリ出力電力を予測し、前記バッテリ出力電力が現在のバッテリ上限出力能力以下か判断し前記走行用モータのみの動力を利用して走行可能であるか否かを判断して前記走行用モータのみの動力による走行が不可能であると判断した場合には、車両走行速度が略一定状態となるように制御しながら、前記出力トルク配分を徐々に前記走行用モータから前記エンジンへ移行させて、前記エンジンのみの動力を利用した走行状態へ制御を戻す制御部を備えたことを特徴とするハイブリット車両。
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