JP4212965B2 - 安全リレーシステム及び安全リレーシステム用出力ブロック化ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば安全確認等に関わる複数の入力条件が全て成立した場合に限り対象となる負荷を駆動する等の用途に好適な信頼性の高い安全リレーシステム及び安全リレーシステム用出力ブロック化ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
各方面における安全対策の必要性から、安全対策機器が利用されている。例えば、製造現場においては工作機械やプレス機械、ロボット、包装機械、昇降装置等が使用されており、これらの機器から作業者を保護するために様々な安全対策が必要となる。例えば、安全でない状態または異常発生時に機器への電源供給を断つことで機械的な動作を停止させ、作業者の安全を確保する。このようなシステムの構築においては、安全リレー装置が利用されている。
【0003】
安全リレー装置は、電気接点を開閉して通電を制御する。安全リレー装置には、例えば強制ガイド付リレーを複数個内蔵し、加えて自己保持機能、リレー接点の二重化、リレーのNC接点によるバックチェック機能、異種構造等を備えるものがある。強制ガイド付リレーは、一の常開接点(NO接点)が溶着した場合、コイル無励磁状態で他の常閉接点(NC接点)が開路となり、また一の常閉接点が溶着した場合でも、コイル励磁状態で他の常開接点が開路となるようなリレーである(例えば特許文献1)。また自己保持機能とは、非常停止スイッチ等の操作等安全情報の入力後、これを復帰(リセット)させてもシステムが再起動しないよう構成されたものである。さらにリレー接点の二重化は、冗長化とも呼ばれるもので、接点を並列に設けることにより、万一一方が接点溶着しても並列に設けられた他方の接点によって機能させることを可能にする。さらにまたリレーのNC接点によるバックチェック機能とは、リレーやコンタクタ(接触器)の接点溶着等の故障を検出し、接点の状態をチェックするものである。異種構造(ダイバシティ構造)とは、複数種類の部材を組み合わせて使用することで、万一特定の部材にバグ等の不具合が生じた場合でも、種固有の不具合であれば同時に同じ不具合が生じないので、他の部材により機能させることを可能とするものである。
【0004】
近年は、安全対策基準が法制化された国や地域が多くなり、特にこのような安全対策の標準規格に適合した仕様の安全リレー装置やシステムが求められている。安全規格としては対象や地域に応じてISO、IEC、EN、JIS等が規定されている。例えば欧州規格の機械安全に関する規格であるEN954−1に基づく最も高い安全レベルであるカテゴリ4の認証を受けるためには、冗長構造であること、異種構造であること、常に回路または部品の保全性に対するデータの自己点検を行うこと等が要求される。
【0005】
図1に、安全を確保する対象である一の安全コンポーネントで機器を停止させるシステムを構成した一例を示す。ここで安全コンポーネントとは、作業者の安全を確保すべき具体的な動作を受けて、所望の機器への電源供給を遮断する指令を送る要素である。例えば作業者が機器の段取り替えやティーチング、調整のために駆動モータの動作を停止させるための非常停止スイッチや、機器の作業エリアに作業者が入るためにセーフティドアを解放したことを検知するセーフティドアスイッチ、あるいは作業者が危険区域に接近したことを光学的に検知するライトカーテンの出力等が該当する。安全コンポーネント1は、安全リレー装置を構成する安全出力ユニット2と組み合わせて安全回路を構成する。図1に示す安全回路は、常閉のブレーク式の安全コンポーネントスイッチ3を接続している。安全回路が閉じているとき、安全出力ユニット2は正常と判断し、リレー4を閉じて接続機器への電力供給が維持される。一方、作業者やユーザが手動で操作もしくはセンサ等の出力で安全コンポーネントスイッチ3を操作することにより、安全回路が開放されると、安全出力ユニット2は安全ではない状態と判断し、リレー4を解放して接続機器への電力供給を断ち、動作を停止させる。
【0006】
このシステムは冗長性を持たせるため、図1に示すように二重の安全回路を構成しており、安全コンポーネントスイッチ3を操作することで両方の安全回路が解放される。これによって、いずれか一方の安全回路が接点溶着等で不良又は故障となっても、他方の安全回路が機能するので、機械を停止可能である。さらに、自己点検を行うことで、接点溶着等の異常を検出することが可能であり、故障の累積を防止できる。また、このシステムでは異種構造を採用しており、同じ不良が同時に起こることを防止している。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−162317号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図1に示す安全リレーシステムにおいては、一の安全コンポーネント1に対して一の安全出力ユニット2が接続されており、上述したEN954−1のカテゴリ4の仕様に対応可能である。カテゴリ4では、単一故障に対する安全システムの設計として「単一故障により安全機能が失われないこと、かつ、単一故障を安全システムの次回の要求時またはその前に検出されること。もしそれが不可能な場合には、故障の蓄積により安全機能が失われないこと」が、要求されている。上述した図1の場合、いずれか一方の安全回路で接点溶着あるいは短絡が生じた場合(単一故障の場合)においても、安全コンポーネントスイッチ3を操作することで他方の安全回路により接続機器を停止することが可能(安全機能が失われていない)であり、かつ各安全回路の論理(ON/OFFの状態)が異なるため故障を検出できる。一方、複数の安全コンポーネント1を使用する場合、図2に示すように各安全コンポーネントスイッチ3を直列に接続する方法が考えられる。この接続方法では、正常時にはいずれかの安全コンポーネントスイッチ3を操作することで接続機器を停止させることができる。しかしながら、図2の接続形態では上記のカテゴリ4には対応できない。それは、いずれか一方の安全コンポーネントスイッチ3で接点溶着が発生した場合でも、他方の安全コンポーネントスイッチ3を操作すると各安全回路の論理が同一になるので故障を検出できないからである(安全機能を低下させる故障の累積)。したがって、複数の安全コンポーネントで一の接続機器を停止させる場合は、図3に示すように安全コンポーネント1毎に安全出力ユニット2を接続しなければならなかった。
【0009】
しかしながら、図3の方法では接続する安全コンポーネント数が増えると、それに応じて多くのリレーを用意しなければならず、システムが複雑で高価になるという問題があった。安全出力ユニット2に使用されるリレー4は機械的駆動部分を含んでおり、駆動系統も複雑で高価であるため、必要なリレーの数が多くなると回路も複雑となり、配線の手間もコストもかかる。このため、一のリレーで複数の安全コンポーネントを接続可能な安全リレーシステムが求められていた。
【0010】
一方で、安全/非安全の検出結果を受けて動作を制御したい制御対象機器が複数ある場合、すなわち出力を複数設置したい場合は、安全出力ユニットの出力側も複数必要となる。しかしながら、安全出力ユニットの出力側においても、接続可能な出力数は限られているため、固定の出力数を超えて出力を追加することはできなかった。出力数の多い安全リレーシステムを構築するには、専用の回路構成を設計し直す必要があり、極めて煩雑であった。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、出力側での追加が可能な安全リレーシステム及び安全リレーシステム用出力ブロック化ユニットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載される安全リレーシステムは、作業者の安全を確保すべき具体的な動作を受け所望の機器への電源供給を遮断する指令を送る要素である安全コンポーネントからの入力状態に基づいて安全か否かを判断し、安全でないと判断した場合に接続機器の内少なくとも危険箇所の動作を直接的または間接的に停止させるためのリレーを制御する安全リレーシステムであって、安全リレーシステムは、一以上の安全コンポーネントから各々入力状態を取得するためのマスタユニット入力側接続部と、取得した入力状態に基づき生成される制御信号を出力するためのマスタユニット出力側接続部とを備えるマスタユニットと、制御信号を入力するための出力ユニット入力側接続部と、制御信号を出力するための出力ユニット出力側接続部と、安全リレーの開閉を制御する開閉制御部とを備える一以上の出力増設ユニットとを備え、前記出力増設ユニットは出力ユニット入力側接続部を前記マスタユニットのマスタユニット出力側接続部と、出力ユニット出力側接続部を他の出力増設ユニットの出力ユニット入力側接続部にそれぞれ接続可能で、前記マスタユニットと一以上の出力増設ユニットとが各接続部を介して互いに直列に連結されており、各安全コンポーネントから入力状態をマスタユニット入力側接続部からマスタユニットが取得し、取得した入力状態に基づき安全リレーの開閉を制御する開閉制御部を動作させるための制御信号を生成し、生成された制御信号をマスタユニット出力側接続部から出力増設ユニット側に出力し、各出力増設ユニットが出力ユニット入力側接続部から制御信号を入力し、制御信号を出力ユニット出力側接続部から他のユニットに出力すると共に、制御信号に基づいて開閉制御部を動作させて安全リレーを開閉し、安全リレーに接続された外部接続機器の駆動を制御し、前記出力増設ユニットは、出力ユニット入力側接続部が、マスタユニットから出力される制御信号を分岐して、出力ユニット出力側接続部を構成する一の接続端子と、前記開閉制御部にそれぞれ出力するよう接続されてなる制御信号端子を含み、前記安全リレーシステムはさらに、出力増設ユニットと接続し信号を入力するための出力ブロック化入力側接続部と、他の出力増設ユニットと接続し信号を出力するための出力ブロック化出力側接続部を備える出力ブロック化ユニットを備えており、前記出力ブロック化ユニットは前記出力ブロック化出力側接続部を介して接続された一以上の出力増設ユニットの安全確認情報をそれぞれ取得し、該一以上の安全確認情報を一にまとめてブロック化して、すべての安全確認情報のANDをとる形で出力ブロック化状態として出力ブロック化入力側接続部から一以上の出力増設ユニットを介して前記マスタユニットに伝達し、前記マスタユニットはマスタユニット出力側接続部を介して接続された一以上の前記出力増設ユニットの安全確認情報および前記出力ブロック化ユニットの出力ブロック化状態を取得し、これに基づいて出力増設ユニットに関する安全確認情報を検知することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の安全リレーシステムは、請求項1の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットは、出力ユニット入力側接続部が、マスタユニットから出力される制御信号を分岐して、出力ユニット出力側接続部を構成する一の接続端子と、前記開閉制御部にそれぞれ出力するよう接続されてなる制御信号端子を含むことを特徴とする。
【0014】
【0015】
さらにまた、請求項3の安全リレーシステムは、請求項2の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットの出力ユニット入力側接続部および出力ユニット出力側接続部は複数のパラレル端子を備えており、出力ユニット入力側接続部および出力ユニット出力側接続部は、出力増設ユニット内部で出力ユニット入力側接続部側と出力ユニット出力側接続部側を構成するパラレル端子同士を、それぞれ対応する端子番号から一以上シフトして接続するシフト端子を含み、前記一以上の出力増設ユニットと前記マスタユニットとが直列に連結された状態で、各出力増設ユニットの安全確認情報端子はシフト端子に接続されて、各出力増設ユニットの安全確認情報端子から前記マスタユニット側に向かって伝達される際、出力増設ユニットを経る毎にシフト端子でパラレル端子間をシフトしながら伝達されることを特徴とする。
【0016】
さらにまた、請求項4の安全リレーシステムは、請求項3の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットの出力ユニット入力側接続部および出力ユニット出力側接続部はさらに、対応する端子番号同士の出力ユニット入力側接続部側と出力ユニット出力側接続部側とを接続する非シフト端子とを含み、前記制御信号端子は非シフト端子に接続されることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、請求項5の安全リレーシステムは、請求項1から4のいずれか一に記載の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットは、前記制御信号端子および制御信号端子に接続される開閉制御部を複数備えており、これらが同一の動作を行っていることを確認するよう構成されてなることを特徴とする。
【0018】
さらにまた、請求項6の安全リレーシステムは、請求項4または5の安全リレーシステムであって、さらに前記一以上の出力増設ユニットが一方の端面で前記マスタユニットと直列に連結された状態で、前記一以上の出力増設ユニットの他方の端面において連結される出力エンドユニットを備え、前記出力エンドユニットは、前記出力増設ユニットの出力増設ユニット出力側接続部と接続するための複数のパラレル端子を備える出力エンドユニット接続部を備えており、前記出力エンドユニット接続部は、隣接する出力増設ユニットの非シフト端子に接続される接続端子と、該出力増設ユニットのシフト端子に接続される接続端子とを接続する切替端子と、接地される接地端子とを含むことを特徴とする。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
また、請求項7の安全リレーシステム用出力ブロック化ユニットは、作業者の安全を確保すべき具体的な動作を受け所望の機器への電源供給を遮断する指令を送る要素である安全コンポーネントからの入力状態に基づいて安全か否かを判断し、安全でないと判断した場合に接続機器の内少なくとも危険箇所の動作を直接的または間接的に停止させるためのリレーを制御する安全リレーシステムに使用される出力ブロック化ユニットであって、前記出力ブロック化ユニットは、出力増設ユニットと接続するための出力ブロック化入力側接続部と、他の出力増設ユニットと接続するための出力ブロック化出力側接続部を備える出力ブロック化ユニットを備えており、前記出力ブロック化ユニットは前記出力ブロック化出力側接続部を介して接続された一以上の出力増設ユニットの安全確認情報をそれぞれ取得し、該一以上の安全確認情報を一にまとめてブロック化して、すべての安全確認情報のANDをとる形で出力ブロック化状態として出力ブロック化入力側接続部から一以上の出力増設ユニットを介して前記マスタユニットに伝達し、前記マスタユニットはマスタユニット出力側接続部を介して接続された一以上の前記出力増設ユニットの安全確認情報および前記出力ブロック化ユニットの出力ブロック化状態を取得し、これに基づいて出力増設ユニットに関する安全確認情報を検知することを特徴とする。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための安全リレーシステム及び安全リレーシステム用出力ブロック化ユニットを例示するものであって、本発明は安全リレーシステム及び安全リレーシステム用出力ブロック化ユニットを以下のものに特定しない。
【0033】
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0034】
なお本明細書においては、「入力側」、「出力側」等の表現は説明のために使用しており、必ずしも入力、出力機能のみを果たすことを意味しない。後述のように、入力側の端子が出力、あるいは出力側の端子が入力を行うこともできる。特に、ユニット間に通信機能を設けず、配線パターンのみで認識信号を伝達する場合は、接続端子は入力、出力のいずれをも果たす。
【0035】
図4に、本発明の一実施の形態に係る安全リレーシステムの構成例を示す。この図は制御システムの安全関連部分を示している。この例においては、2つの安全コンポーネント1として、非常停止スイッチである安全コンポーネントスイッチ3を安全リレーシステムに接続している。非常停止スイッチはそれぞれ直接開路動作機能(強制開離機構)を備えており、かつ接点を二重化しており、各々の接点において安全回路を構成している。安全リレーシステムは、安全コンポーネントからの入力状態に基づいて安全か否かを判断し、安全を確認する。もし安全が確認できない場合は、安全でないと判断し、接続機器の内で危険を及ぼす箇所の動作を停止させる。停止は、リレーを直接制御して開放し電力供給を遮断して停止させる他、コンタクタ等を介して間接的に停止させることもできる。あるいは、電力供給の遮断以外にも、停止命令を接続機器に送り、その命令に基づいて機器の中で危険箇所を能動的に制御しながら停止させてもよい。以下の例においては、リレーによる電力供給の遮断について説明するが、本発明はこの構成に限られず、他の方法による接続機器の停止手段を採用することもできる。安全リレーシステムは、安全リレー装置としてリレー4を備えるマスタユニット5と、リレーを含まない入力増設ユニット6を備える。
【0036】
[マスタユニット5]
マスタユニット5は、安全コンポーネント1を接続するための入力部を備える。さらにマスタユニット5はリレー4を内蔵しており、接続機器への停止命令を検知してリレー4の切り替えを行う。リレー4には、電磁リレー、ソリッドステートリレー、強制ガイド機構付きの電磁リレー等が適宜利用できる。リレー接点は二重化されており、いずれかのリレー接点が万一溶着しても他方のリレー接点が開放されるので確実に接続機器を停止できる。リレー4は、コンタクタを介してモータ等の接続機器の通電を制御する。あるいはコンタクタを介さず直接接続機器に接続することもできる。コンタクタも同様に二重化して、一方のコンタクタ接点が溶着しても他方のコンタクタ接点の開放により接続機器を停止させるよう構成できる。この場合、一方のコンタクタ接点が溶着したままでも他方のコンタクタ接点を開放させることができため、接続機器の停止後に始動スイッチをONしても再起動できず、バックチェック機能を実現できる。
【0037】
なお、マスタユニット5は安全コンポーネントを接続する入力部を省略して、入力増設ユニット6側に安全コンポーネントを接続する構成としてもよい。またマスタユニット5はリレーを内蔵するのでなく、外付けのリレーを制御するように構成してもよい。
【0038】
[入力増設ユニット6]
入力増設ユニット6は、同じく安全コンポーネントを接続するための入力部を備える。この入力増設ユニット6はマスタユニット5と異なりリレーを内蔵しないので、回路を簡単に構成して安価にすることができる。リレーは機械的動作部分を含み、駆動のための制御回路等が必要で、また大電流の通電に耐えうる接点や繰り返し開閉動作しても機能する耐久性も要求され、一般に複雑で高価となる。このため、上述した図3のように安全コンポーネント1を接続するユニット毎にリレー4を設ける構成では、入力数に応じてコストも高くなる。これに対して本発明の実施の形態に係る図4の構成では、リレーを省略した入力増設ユニット6を増設可能とすることで、入力数に応じて増設するユニットを簡単にして、コストを安価にすることができる。さらにリレーを含まない入力増設ユニット6においては、リレーに通電する大電流も流れないため、大電流用の配線接続が不要であり、より安価で接続の容易な信号線の接続で足りる。しかもコネクタ式にできるので、連結も簡単かつ容易に行える。さらに配線数も少なくなるので、省スペース化にも寄与する。
【0039】
各ユニットに接続された安全コンポーネント1の安全コンポーネントスイッチ3は、常閉(NC)接点である。通常時は安全回路はそれぞれ閉路されて通電しており、ユニット側はこれを安全情報としてモニタし、リレー4を閉じてモータ等の接続機器に通電する。一方、非常時に非常停止スイッチを押下すると、対応する2つの安全コンポーネントスイッチ3の常閉接点がそれぞれブレークされて安全回路が開放されるので、ユニット側は安全情報が失われたことを検知し、リレー4を開いて接続機器への通電を遮断する。
【0040】
この安全リレーシステムは、マスタユニット5もしくは入力増設ユニット6に接続された安全コンポーネント1の安全コンポーネントスイッチ3のいずれかが操作されると、該当する安全回路が開放されるので安全でない状態または異常を検出できる。しかも、各安全回路は独立しているので、いずれかの安全コンポーネントスイッチ3に不良または故障が生じても検出することができる。マスタユニット5による安全コンポーネントスイッチ3の自己点検は、例えば所定の周期毎にテスト信号を送出して開閉のチェックを行う。
【0041】
この構成によって、リレー接点の二重化、コンタクタ接点のバックチェック機能、安全コンポーネントスイッチの自己点検が実現され、EN954−1に基づくカテゴリ4等の安全基準に対応可能な安全リレーシステムが実現可能となる。
【0042】
[入力増設ユニット6の増設]
図4では2つの安全コンポーネントを接続する例を示したが、さらに安全コンポーネントを追加して3つの安全コンポーネントを入力するには、図5に示すように入力増設ユニット6Aに入力増設ユニット6Bを追加する。入力増設ユニット6Bは上述した入力増設ユニット6Aと同様のものが利用できる。また入力増設ユニット6Bに接続された安全コンポーネント1の安全コンポーネントスイッチ3の操作も上記と同様で、非常停止スイッチ等の動作によってマスタユニット5のリレー4が操作される。これによって、新たにシステムを設計し直したり回路を組み替えることなく、入力増設ユニット6を追加することで簡単に安全コンポーネントの増設に対応できる。また、各入力増設ユニット6の出力をマスタユニット5でまとめることができるので、ユニット間の配線も簡素化でき、この点においても省配線に寄与する。
【0043】
[コネクタ]
ユニット間の接続には、コネクタを使用する。コネクタは複数の接続端子を電気的に接続する。入力増設ユニット6は、入力側端子群と出力側端子群を備えており、入力側端子群は他の入力増設ユニット6や入力エンドユニット12と、出力側端子群は他の入力増設ユニット6やマスタユニット5とそれぞれ接続する。一例として、入力増設ユニット6をマスタユニット5に接続する様子を図6に示す。図6では相互にコネクタ7を挿入し、フックで係止してユニット同士を連結している。上述のように入力増設ユニット6にはリレーを含まないので、リレーを流れる大電流用の配線が不要となり、簡易なコネクタ式の接続で足りる。各ユニットには、接続用のコネクタ7が側面の略中央に設けられており、対向する接合面で一方が雄型7A、他方が雌型7Bとなるように対応する位置にそれぞれのコネクタ7が配置される。またユニットの接合面において、一方の面の端部付近で両側に一対の係止用のフック8と、フックに対応する対抗面の位置にこのフックを係止するための係止溝9がそれぞれ設けられる。マスタユニット5は入力増設ユニット6を接合する一面のみにこれらコネクタ7、フック8あるいは係止溝9を設けているが、入力増設ユニット6は両面にユニットを接続できるよう、両面にこれらのコネクタ7やフック8等を設けている。この図はマスタユニット5と入力増設ユニット6の接続例を示しているが、入力増設ユニット6同士や入力増設ユニット6と入力エンドユニット12との接続も同様にして実現できる。
【0044】
コネクタは、入力側端子群と出力側端子群とを個別に構成して、各ユニット間で入力側端子群と出力側端子群のコネクタ同士を直接係合する方式とする他、入力側端子群と出力側端子群を一体にしたコネクタとすることもできる。例えば、図7においては、接続用ボード10に各ユニットを装着する形態としている。図7の例では、各ユニットの一面に入力側端子群と出力側端子群を一体にした雄型コネクタが設けられ、接続用ボード10にはこの雄型コネクタに係合可能な雌型コネクタ7Cが設けられる。雌型コネクタ7Cは一定間隔で接続ボード10上に複数設けられ、各ユニットを装着した状態でユニットが略一直線に並ぶよう雌型コネクタ7Cの間隔が設定される。
【0045】
これら雄型、雌型コネクタの雄型、雌型はユニットとボードで逆にしてもよく、またコネクタの形状は、複数のピンを配置するタイプやベローズ状に面に接点を配置するタイプ等が適宜利用できる。またコネクタの位置も、略中央に限られず、偏心位置や端部等所望の位置に設定できる。またコネクタ自体にフック等の係止部材を設け、電気的接続と機械的連結を兼用する構成としてもよい。あるいはユニット同士の接続は、ユニットに設けられたコネクタ同士を直接係合する方式の他、別部材のコネクタやコード等を介して接続する形態とすることもできる。
【0046】
[複数のユニットを連結したシステム]
この入力増設ユニット6は、安全リレーシステムに接続すべき安全コンポーネントの数が増加しても、入力増設ユニット6を増設するだけで容易に対応できる。図8に、マスタユニット5に5つの入力増設ユニット6A〜Eを追加した例を示す。この構成では7つのバスラインを備えており、それぞれの入力増設ユニット6は入力側(図8において右側)と出力側(図8において左側)に7つのバスラインの接続端子1〜7を設けている。各入力増設ユニット6の内部では、入力側の接続端子は1つシフトして出力側の接続端子と接続されている。例えば入力側の接続端子1は出力側の接続端子2と、入力側の接続端子2は出力側の接続端子3と、それぞれ接続されており、シフト端子を構成している。また出力側の接続端子1は、安全コンポーネントと接続される。一方入力増設ユニット6同士の接続においては、コネクタ等により入力側の接続端子と出力側の接続端子がそのまま接続され、例えば入力増設ユニット6Aの入力側の接続端子1は入力増設ユニット6Bの出力側の接続端子1と、入力増設ユニット6Aの入力側の接続端子2は入力増設ユニット6Bの出力側の接続端子2と、それぞれ接続される。さらに入力増設ユニット6Aの出力側の接続端子は、マスタユニット5の入力側の接続端子とそれぞれ接続される。マスタユニット5は、一面(図において右側)に入力増設ユニット6と接続するための入力側端子群に相当するマスタユニット入力側接続部のみを備えている。またマスタユニット5は、リレー4を備えており、マスタユニット入力側接続部から取得される安全コンポーネントからの入力状態に基づいてリレー4の制御を行う。このように、マスタユニット5は複数段に連結された入力増設ユニット6の一端で、各入力増設ユニット6に接続された安全コンポーネントからの入力状態を集積して、これに基づきリレー4を動作させる。なお、図8のマスタユニット5は安全コンポーネントを接続していない。ただ、図4と同様に安全コンポーネントを接続するための入力部を備える構成としてもよい。
【0047】
各入力増設ユニット6は、安全コンポーネントから受けた入力をマスタユニット5側に送出する。例えば、入力増設ユニット6Aの入力状態(入力A)は、入力増設ユニット6Aの出力側の接続端子1からバスラインを通ってマスタユニット5の入力側の接続端子1に入力される。同じく、入力増設ユニット6Bの入力状態(入力B)は、入力増設ユニット6Bの出力側の接続端子1から入力増設ユニット6Aのシフト端子である入力側の接続端子1、出力側の接続端子2を通って、マスタユニット5の入力側の接続端子2に入力される。以下同様にして、各入力増設ユニット6の入力状態は、間に介在する入力増設ユニット6を介してシフト端子を経る毎に端子番号を増加させながら伝達されていき、マスタユニット5に送出される。
【0048】
このようにしてマスタユニット5は、入力増設ユニット6A〜Eの入力状態を入力側の接続端子1〜5をモニタすることで確認できる。いずれかの入力側の接続端子で安全でない状態または異常が検出されると、内蔵するリレー4を動作させてシステムを安全に停止する。マスタユニット5は入力側の接続端子の番号から、何番目に接続された入力増設ユニット6の入力状態かを認識することが可能となる。なお本明細書において「安全ではない状態」とは、安全コンポーネントが正常に動作して危険領域に入ろうとする人を検出する状態等を指し、一方「異常」とは、安全コンポーネントまたは安全リレー装置等が故障した状態等を指す。
【0049】
図8に示すマスタユニット5は入力側の接続端子を7つ備えているので、入力増設ユニット6を7台まで接続することが可能である。端子数を増やすことで、更に多くの入力増設ユニット6を接続することができる。
【0050】
[入力エンドユニット12]
次に、本発明の他の実施の形態として、端部に位置する入力増設ユニット6Eにさらに入力エンドユニットを接続した例を図9に示す。この図に示す各入力増設ユニット6は図8と異なり、入力側の接続端子7と出力側の接続端子7とがシフトすることなく接続された非シフト端子となっており、他の端子は図8と同様に入力側の接続端子と出力側の接続端子がシフトした接続となっている。入力エンドユニット12は、一面(図において左側)に入力増設ユニット6と接続するための入力エンドユニット接続部のみを備えている。入力エンドユニット12の出力側の接続端子1と7は接続されており、残りの2〜6は接地されている。この入力エンドユニット12は、配線パターンのみのユニットとすることができ、安価に構成できる。入力エンドユニット12を接続することで、入力増設ユニット6の接続数を検知することができる。
【0051】
図9に示すように、マスタユニット5の入力側の接続端子7から認識信号として所定の周期毎に認識可能なパルス信号を出力する。認識信号は、マスタユニット5に内蔵あるいは外部に接続された認識信号発生回路11により生成される。マスタユニット5から出力された認識信号は各入力増設ユニット6A〜Eの非シフト端子である出力側の接続端子7から入力側の接続端子7を通り、入力エンドユニット12の出力側の接続端子7に伝達される。さらに認識信号は、入力エンドユニット12の出力側の接続端子7から出力側の接続端子1を通って再び入力増設ユニット6に伝達され、入力増設ユニット6Eのシフト端子である入力側の接続端子1から出力側の接続端子2を通り、さらに入力増設ユニット6Dの入力側の接続端子2から出力側の接続端子3、入力増設ユニット6Cの入力側の接続端子3から出力側の接続端子4、入力増設ユニット6Bの入力側の接続端子4から出力側の接続端子5、入力増設ユニット6Aの入力側の接続端子5から出力側の接続端子6へと伝達され、マスタユニット5の入力側の接続端子6に入力される。このとき、マスタユニット5は入力側の接続端子6で認識信号を認識することにより、入力増設ユニット6の接続台数が5台であることを検知できる。例えばマスタユニット5に入力増設ユニット6が2台接続されているのであれば、マスタユニット5の入力側の接続端子7から出力した認識信号はマスタユニット5の入力側の接続端子3で検出されることになる。あるいは、入力増設ユニットが接続されていない状態では、マスタユニット5の入力側の接続端子7から出力された認識信号が、入力エンドユニット12の出力側の接続端子7から1に伝達されてマスタユニット5の入力側の接続端子1で検出される。このように、マスタユニット5の入力側の接続端子7から出力した認識信号が、何番の入力側の接続端子に返されたかを検知すれば、その番号よりも1少ない台数の入力増設ユニットが接続されていると認識できる。マスタユニット5は、入力増設ユニットの接続台数を記憶するためのメモリ等の記憶部を備えている。認識された入力増設ユニットの接続台数は、記憶部に保持される。
【0052】
このように、入力エンドユニット12を付加することによって、マスタユニット5は入力増設ユニット6の接続台数を検知できる。このため、各入力増設ユニット6に固有のID番号やアドレスを持たせなくとも、マスタユニット5側で入力増設ユニット6の接続台数を検知することができる。特にユニット間で通信等を行うことなく、配線のみの簡単な構成で入力増設ユニット数の計数が実現される。入力増設ユニット6の接続数を知ることは、安全システムで要求される故障検出に重要となる。すなわち、信号のない端子について接続されている入力増設ユニット6が故障しているのか、あるいは入力増設ユニット自体が接続されていないのかを区別する必要があるからである。
【0053】
[故障検出]
安全リレーシステムでは故障検出が可能である。上記システムにおいては所定の故障検出期間を設け、各入力増設ユニットの故障検出を行う。なお、故障検出は安全機能実行前に行わせてもよい。故障検出期間中は各バスラインから正常を知らせるテスト信号パルスを出力させる。マスタユニット5は故障検出期間に各入力増設ユニット6からのテスト信号パルスを認識して、正常状態を確認する。テスト信号パルスは、リレーが機械的に検出できない程短い時間、例えば5μs送信される。一般にONかOFFかは信号のhighかlowかで判断される。もし地絡や断線、ショート等の事故が発生すると、信号はhighまたはlowで固定されることになる。このような信号の固定状態が発生していないかどうかを検出するために、テスト信号として故障検出期間外に各バスラインが出力すべき信号とは反転した信号(反転信号)を送出する。反転信号を受けると、短い時間に反転が生じなければならない。よって、もし反転しない場合は、異常が生じていることが検出される。いずれか一の端子で異常が検出されると、システムは異常と判断して必要な処理、例えばリレー4を動作させてシステム全体の停止を実行する。
【0054】
故障検出において、マスタユニット5側で入力増設ユニット6の接続台数を認識していないと、故障検出期間に正常信号を取得できない場合に、入力増設ユニット6が故障なのか、もしくは未接続なのかを認識できないことになる。上記の構成では予め入力増設ユニット6の接続数をマスタユニット5側で検知しているため、正常信号を受信できない場合に該当する入力増設ユニット6が故障であると判断できる。この際、マスタユニット5は正常信号を受信できない入力側の接続端子の番号により、何番目の入力増設ユニット6に異常が生じたかを認識することが可能となる。
【0055】
このように、入力エンドユニット12を接続することによって何台の入力増設ユニット6がマスタユニット5に接続されているかを検出可能となる。これによって、いずれかの端子で安全でない状態または異常が検出されると、それがユニット未接続の端子なのか、故障なのかが判別できる。すなわち、安全でない状態または異常が検出された端子番号と接続台数とを比較することで、ユニットの故障が生じているかどうかが判別できる。
【0056】
[認識信号発生回路11を内蔵する入力エンドユニット12]
さらに、入力増設ユニット6の接続数は図10に示す本発明の実施の他の形態によっても検知することができる。この例では、認識信号をマスタユニット5から送出するのでなく、入力エンドユニット12自体に認識信号を発生するための認識信号発生回路11を備えている。認識信号発生回路11は入力エンドユニット12の出力側の接続端子1に接続されており、図9と同様に入力エンドユニット12の出力側の接続端子1から順に各入力増設ユニット6を経由してマスタユニット5に認識信号が送出される。よって、マスタユニット5では認識信号が入力側の接続端子の何番で検出できるかによって入力増設ユニット6の接続台数を認識することが可能となる。この構成では、マスタユニット5から入力エンドユニット12に認識信号を送出するためのバスラインや非シフト端子が不要となるため、図9に比べて端子数を減らすことができるというメリットがある。
【0057】
また、図9および図10の入力エンドユニット12は、いずれも安全コンポーネントを接続していない。ただ、入力エンドユニットにも、安全コンポーネントを接続するための端子等の入力部を備えることはできる。例えば、図9および図10において、入力増設ユニット6Eと入力エンドユニット12を一体にした構造とすることで、入力増設ユニットと入力エンドユニットの機能を果たすユニットを構成できる。図11に、図9の構成に基づく入力エンドユニット機能を備える入力エンドユニット13の一例を示す。図11の入力エンドユニット13は、安全コンポーネントを接続可能な入力エンドユニット、あるいは入力エンドユニットの機能を備える入力増設ユニットとして機能し、いずれも入力増設ユニットとして扱われる。また入力エンドユニットに通信機能を持たせ、マスタユニットと通信によって認識信号をやりとりすることもできる。
【0058】
以上の例では、安全リレーシステムの信頼性を高めるため、安全コンポーネントからの入力信号に冗長性を持たせ、入力信号用に同じバスラインを2系統持たせることも可能である。これによって、一方のバスラインに問題が生じても他方が動作することで安全性が維持できる。
【0059】
なお上記の実施の形態においては、冗長性を持たせるため回路やリレー4を二重に構成しているが、単一の構成でも安全リレーとして動作可能であることはいうまでもない。一方で様々な安全基準や規格に対応するため、必要な場合は二重化や三重化等の構成を適宜採用できる。
【0060】
[複数入力に対応した入力増設ユニット6]
さらに本発明の他の実施の形態として、一の入力増設ユニット6に複数の安全コンポーネントを接続可能とした入力増設ユニット6を使用する例を図12に示す。図において入力増設ユニット6Cは、2個の安全コンポーネントを接続でき、それぞれの入力状態を入力C、入力C’とする。この例において、入力Cを入力増設ユニット6Cの出力側の接続端子1へ、また入力C’を出力側の接続端子2に送出する。この結果、入力Cはシフト端子である入力増設ユニット6Bの入力側の接続端子1から出力側の接続端子2へ、入力C’は入力側の接続端子2から出力側の接続端子3へ、それぞれ伝達される。一方、入力増設ユニット6Cの入力側の接続端子1は出力側の接続端子2でなく出力側の接続端子3へ、同様に入力側の接続端子2は出力側の接続端子4へと、2つシフトして接続される。このように、入力増設ユニット6Cは2つシフトする2シフト端子で構成される。2つの入力を接続可能な入力増設ユニット6Cは、他の入力増設ユニット2台分の扱いとなる。この構成によって、一台の入力増設ユニットで複数台分の機能を果たすことができ、省スペース化、省配線化、低コスト化が実現される。なおこの例においては、認識信号は図9と同様にマスタユニット5側から送出する構成としているが、図10のように入力エンドユニット12側に認識信号発生回路11を備える構成とすることもできることはいうまでもない。
【0061】
上記の実施の形態で例示した各入力増設ユニットは、端子群を構成する入力側の接続端子と出力側の接続端子の接続状態を任意に切り換え可能としてもよい。例えば図8の入力増設ユニット6Aのように、すべての端子を1ずつシフトさせる1シフト接続、あるいは図9の入力増設ユニット6Aのように、入力側の接続端子と出力側の接続端子の7のみをそのまま接続する非シフト接続として残りの端子を1ずつシフトさせるシフト接続、あるいはまた図12の入力増設ユニット6Cのように、7のみを非シフト接続として残りの端子を2ずつシフトさせる2シフト接続等、一の入力増設ユニットで入力側の接続端子と出力側の接続端子の接続状態やシフト量を任意に変更できるように構成してもよい。回路の切換にはディップスイッチ等が利用できる。
【0062】
上記の実施の形態では、リレーの動作と安全コンポーネントからの入力を行う部材をそれぞれマスタユニット5と入力増設ユニット6に分離し、マスタユニット5にリレーを設けて、入力増設ユニット6に安全コンポーネント1を接続している。そして入力増設ユニット6で安全コンポーネントからの入力状態を取得し、これをマスタユニット5側に送出してリレーの動作を行う。これによって、安全コンポーネント毎にリレーを設ける必要が無くなり、複数の安全コンポーネントを1台のマスタユニット5で集約して、ここに安全リレーを設けることで上述したEN954−1に基づくカテゴリ4等の高度な安全基準にも対応可能なシステムを実現できる。
【0063】
さらに入力増設ユニット6をユニット化することで、入力増設ユニット6を増設して安全コンポーネントの増加に容易に対応できる。特に、安全リレーは制御対象の負荷に直接接続されるよりも、コンタクタ(接触器)に接続されることが一般的である。この場合、コンタクタにはコンタクタの接点をモニタするための接点が設けられており、このモニタ接点の状態を安全リレーが監視することとなる。従来は、EN954−1に基づくカテゴリ4等の高い安全基準を満たすためには、図3のように安全コンポーネント毎に安全リレーを接続する必要があったが、この場合は複数の安全リレーで一のコンタクタを制御することとなる。このとき、モニタすべきコンタクタの接点の数が安全リレーの数よりも少なくなるため、カテゴリ4を満たすためには非常に煩雑な接続を強いられることとなる。特に、モニタ接点の接続は非常に煩雑で面倒であった。これに対し上記の実施の形態によれば、安全リレーの数を増やすことなく安全コンポーネントを増やすことが可能となるので、一のコンタクタで一の安全リレーを制御する状態が維持され、煩雑な配線を行う手間から解放され、高度な専門知識が無くとも簡単な接続で容易に安全コンポーネントの追加を行うことができる。
【0064】
[入力ブロック化ユニット14]
上述した構成では、マスタユニットに接続可能な入力増設ユニット6の台数は、バスラインの数に制限を受ける。バスラインを予め多く備えるよう設計することで、多数の入力増設ユニット6を接続できるが、バスラインがパラレルであるためライン数の増加はスペースやコストの面で不利となる。また、一旦バスライン数が固定されてしまうと接続可能な入力増設ユニット6の台数も固定されてしまうため、上記の構成ではそれ以上の入力増設ユニット6を接続することができない。バスラインの本数よりも入力増設ユニット6の数が多くなると、オーバーした入力増設ユニット6の情報や入力エンドユニット12の情報が受け取れなくなり、正常に動作できなくなるからである。そこで、バスラインの数よりも多くの入力増設ユニット6を接続可能とした構成を図13に示す。
【0065】
図13に示す安全リレーシステムは、図9の構成において入力増設ユニット6Dと6Eの間に入力ブロック化ユニット14を追加したものである。入力ブロック化ユニット14は、他ユニットと接続するための複数の端子で構成される入力ブロック化出力側接続部および入力ブロック化入力側接続部を備えている。入力ブロック化出力側接続部は入力ブロック化ユニット出力側端子群を構成し、入力増設ユニット6またはマスタユニット5と接続される。同様に入力ブロック化入力側接続部は入力ブロック化ユニット入力側端子群を構成し、入力増設ユニット6または入力エンドユニット12と、それぞれ接続される。入力ブロック化ユニット14は、マスタユニット5に順次接続される入力増設ユニット6の最後が接続される位置に接続され、さらに入力ブロック化ユニット14の後段に入力増設ユニット6を追加接続でき、最後に入力エンドユニット12を接続する。
【0066】
さらに入力ブロック化ユニット14は入力ブロック化状態出力部15を接続している。入力ブロック化状態出力部15は、入力ブロック化入力側接続部を構成する接続端子の内、入力ブロック化入力側接続部に接続される入力増設ユニットの安全コンポーネント接続端子と接続される可能性のある端子と電気的に接続されており、すべての端子のANDをとる形で入力ブロック化状態を生成する。すなわち、後段に接続されたすべてのユニットで正常信号を確認したときにのみ、リレーを閉路して接続された外部機器を動作させ、これ以外の場合、例えばいずれか一の安全コンポーネントで安全でない状態または異常が検出された場合はリレーを開放して電源供給を断ち、動作を停止させる。また入力ブロック化ユニット14は、入力ブロック化出力側接続部のシフト端子である接続端子1と接続されており、マスタユニット5側に入力ブロック化状態を送出する。なお、入力ブロック化状態出力部15は入力ブロック化ユニット14に内蔵あるいは外付けのいずれでもよい。
【0067】
この入力ブロック化ユニット14は、入力エンドユニットとマスタユニットの機能を併せ持つ。すなわち、入力ブロック化ユニット14の前段(図13において入力ブロック化ユニット14より左側)において、入力エンドユニットの機能を果たす。このため、入力ブロック化出力側接続部を構成する接続端子は、非シフト端子とシフト端子に接続される。図13の例では、接続端子7は入力エンドユニット12と同様に非シフト端子に接続されており、入力ブロック化ユニット14内部でシフト端子に切り換える。ただ、接続端子7は接続端子1でなく、接続端子2に接続されており、これによって認識信号は入力ブロック化ユニット14の接続端子2から、入力増設ユニット6Dの入力側の接続端子2を通って出力側の接続端子3へと順次シフト端子を介して伝達されるので、図9と同様にマスタユニット入力側接続部の接続端子6に返され、マスタユニット5は入力増設ユニット6の接続台数を検知できる。ここで検出される接続台数は、入力増設ユニット6Dの入力側の接続端子1でなく2に返されたため、端子番号よりも2少ない数となり、図13の例では接続端子6−2=4台となる。
【0068】
一方、入力ブロック化ユニット14は後段(図13において入力ブロック化ユニット14より右側)において、マスタユニットの機能を果たす。すなわち、入力ブロック化ユニット14は入力ブロック化入力側接続部をインターフェースとして複数の入力増設ユニット6を直列に連結し、各入力増設ユニット6からシフト端子を介して入力状態を取得する。取得された入力状態は入力ブロック化状態出力部15にまとめられて、入力ブロック化ユニット14の入力状態、すなわち入力ブロック化状態として入力ブロック化出力側接続部の接続端子1から出力される。入力ブロック化状態出力部15は、後段すなわち入力ブロック化ユニット14の入力ブロック化入力側接続部に接続された入力増設ユニット6の入力状態をモニタし、いずれかの安全コンポーネントで安全でない状態または異常が検出されると、これを入力ブロック化出力側接続部の接続端子1からシフト端子を介してマスタユニット5に向けて送出する。マスタユニット5側では、入力ブロック化ユニット14からの入力状態をマスタユニット入力側接続部の接続端子5で取得する。そして、マスタユニット5に接続された他の入力増設ユニット6と同様にこの入力状態に基づいてリレーを制御する。このように、マスタユニット5に接続可能な上限の入力増設ユニット6の位置に入力ブロック化ユニット14を接続することにより、さらに(上限台数)−1台の入力増設ユニット6の増設が可能となる。
【0069】
これによって、入力ブロック化ユニット14に接続された複数の入力増設ユニット6の出力を一にまとめて、一の入力増設ユニット6と同様に扱うことで、入力増設ユニット6の増加に対応でき、バスライン数よりも多くの入力増設ユニット6を接続した安全リレーシステムを構築できる。特に安全コンポーネントを利用した安全の確保においては、すべての安全コンポーネントで安全が確認される必要がある。言い換えると、すべての入力状態が揃う状態、すなわちANDをとって出力が得られる状態で安全と判断できるという性質上、上記のように各ブロック毎に接続された安全コンポーネントの入力状態を集積して積を得、さらに他のブロックで取得された入力状態と積算し、順次積算を重ねながら最終的な結果を得るという構成は適しているということができる。しかも積算を積み重ねる構成とすることで、システムの構成を単純化できる。
【0070】
さらに、入力ブロック化ユニット14においても認識信号に基づき、入力ブロック化ユニット14に接続された入力増設ユニット6の台数を検知できる。入力ブロック化出力側接続部の接続端子7は、同接続端子2と接続されると共に、入力ブロック化入力側接続部の接続端子7とも接続されている。これによって、マスタユニット5から非シフト端子を介して伝達された検出信号は、入力ブロック化入力側接続部の接続端子7から同様に非シフト端子を介して入力エンドユニット12に伝達され、入力エンドユニット12内部でシフト端子に切り換えられて入力ブロック化入力側接続部の接続端子のいずれかで検知される。端子番号は上記の例と同様にシフト数、すなわち入力増設ユニット6の接続台数に依存するので、端子番号によって接続台数を検知することができる。図13の例では、認識信号は入力エンドユニット12の接続端子1から入力増設ユニット6Eの入力側の接続端子1、出力側の接続端子2を介して入力ブロック化入力側接続部の接続端子2に伝達される。これを入力ブロック化状態出力部15が受領して、2−1=1台の入力増設ユニット6が接続されていることを検知する。なお、図13のマスタユニット5では、上述のように入力ブロック化ユニット14の入力エンドユニット機能の関係上、(認識信号が返された端子番号)−2が接続台数となるのに対し、入力エンドユニット12が接続された入力ブロック化ユニット14においては、図9の例と同様に(認識信号が返された端子番号)−1が接続台数となる。
【0071】
[入力ブロック化ユニット14を複数連結]
さらに図14に示すように、一の安全リレーシステムに複数の入力ブロック化ユニット14を連結することもできる。この図においては、マスタユニット5に4台の入力増設ユニット6A〜Dと入力ブロック化ユニット14Aを接続し、さらに入力ブロック化ユニット14Aにも4台の入力増設ユニット6E〜Hと入力ブロック化ユニット14Bを接続し、さらに入力ブロック化ユニット14Bに1台の入力増設ユニット6Iと入力エンドユニット12を接続している。この例において、入力ブロック化ユニット14Aは、4台の入力増設ユニット6E〜Hを、入力ブロック化ユニット14Bは1台の入力増設ユニット6Iを、それぞれ一ブロックとして入力状態を監視する。すなわち、入力ブロック化ユニット14Bは入力増設ユニット6Iの入力状態を第2の入力ブロック化ユニット接続部の接続端子1で監視し、入力ブロック化状態出力部15に出力する。入力ブロック化状態出力部15は、入力ブロック化ユニット14Bに接続された入力増設ユニットIの入力状態をブロック化して入力ブロック化状態とし、第1の入力ブロック化ユニット接続部の接続端子1から、入力増設ユニット6Hの第2のユニット接続部の接続端子1に送出する。
【0072】
一方、入力ブロック化ユニット14Aは、後段に接続されたユニット、すなわち入力増設ユニット6E〜H、および入力ブロック化ユニット14Bの入力状態を監視する。具体的には、入力ブロック化ユニット14Aは入力増設ユニット6Eの入力状態を第2の入力ブロック化ユニット接続部の接続端子1で、入力増設ユニット6Fの入力状態を接続端子2で、入力増設ユニット6Gの入力状態を接続端子3で、入力増設ユニット6Hの入力状態を接続端子4で、入力ブロック化ユニット14Bの入力ブロック化状態を接続端子5で、それぞれ受けて入力ブロック化状態出力部15に送出する。入力ブロック化状態出力部15は、入力ブロック化ユニット14Aより後段に接続されたユニットの入力状態をブロック化して入力ブロック化状態とし、同様に第1の入力ブロック化ユニット接続部の接続端子1から、入力増設ユニット6Dの第2のユニット接続部の接続端子1に出力する。
【0073】
さらに同様に、マスタユニット5は、後段に接続されたユニット、すなわち入力増設ユニット6A〜D、および入力ブロック化ユニット14Aの入力状態を監視する。具体的には、マスタユニット5は入力増設ユニット6Aの入力状態をマスタユニット入力側接続部の接続端子1で、入力増設ユニット6Bの入力状態を接続端子2で、入力増設ユニット6Cの入力状態を接続端子3で、入力増設ユニット6Dの入力状態を接続端子4で、入力ブロック化ユニット14Aの入力ブロック化状態を接続端子5で、それぞれ受けて、これに基づきリレーを制御する。この結果、安全リレーシステムに接続されたすべての安全コンポーネントの入力状態を一のマスタユニット5に集約してリレーを制御できる。
【0074】
グループ化ユニット入力側端子群の端子数、すなわちバスラインの数は、マスタユニット5や入力エンドユニット12と同じとする。各グループ化ユニットに接続可能な入力増設ユニット6の台数は、バスラインの数に応じて接続可能な上限の台数(図13の例では5台)よりも1台少ない数となる。よって、マスタユニット5から(上限台数)−1台毎に入力ブロック化ユニット14に接続すれば、理論上は上限無く入力増設ユニット6の接続台数を増やすことができる。
【0075】
また、入力ブロック化ユニット14にも安全コンポーネントを接続するための入力部を設けることもできる。この場合、例えば入力ブロック化入力側接続部の接続端子1に入力ブロック化ユニット14に接続された安全コンポーネントの入力状態を、同接続端子2に入力ブロック化状態出力部15の出力を、同接続端子3に同接続端子7を、それぞれ接続する。これによって、入力状態を他の入力増設ユニット6で取得される入力状態と同様に扱うことができる。
【0076】
以上の構成によって、バスライン数によらず任意の安全コンポーネントの入力状態を入力できるので、より設計の柔軟性が増し、利便性は向上する。またバスライン数を多くする必要がないので、各ユニットの構成を複雑にする必要もなく、簡単かつ安価な構成とできる。
【0077】
なお各入力ブロック化ユニットの接続端子の数は、マスタユニットの接続端子の数と異なる値に設計することもできる。ただ、各ユニットのコネクタの共通化等の観点から、好ましくは同じ数とする。
【0078】
[出力側の増設]
以上は、安全リレーシステムの入力側を追加する構成について説明した。次に、安全リレーシステムの出力側を追加する構成について説明する。安全リレーシステムにおいて、出力側を追加したいことがある。安全でない状態または異常検出時に停止させたい機器を増やしたい場合は、この機器への電力供給を断つためのリレー等をマスタユニットの出力側に付加する必要がある。出力を増設可能とした構成を図15に示す。この図に示す安全リレーシステムは、マスタユニット5Bと出力増設ユニット16を連結している。
【0079】
[マスタユニット5B]
マスタユニット5Bは、出力増設ユニット16を接続するためのマスタユニット出力側接続部を図において左側に設けている。また入力側として、各安全コンポーネントの入力状態を取得するためのマスタユニット入力側接続部を設けている。このマスタユニット5Bは、安全コンポーネントの入力状態に基づいて安全/非安全を判定し、その結果に基づき制御信号生成部19で外部接続機器の動作の決定するための制御信号を生成する。制御信号は外部接続機器の電力供給線に接続されたリレーの動作、すなわち接点の開閉を決定する。マスタユニット5Bは、安全コンポーネントの入力状態に基づいて制御信号を出力増設ユニット16に向けて出力する。このマスタユニット5Bは、リレーやリレーを動作させる開閉制御部を省略している。ただ、図16に示すようにマスタユニット側にもリレー20や開閉制御部21を備えることもできる。リレー20等はマスタユニットに内蔵、あるいは外付けのいずれの形態で設けてもよい。
【0080】
[出力増設ユニット16]
一方、出力増設ユニット16はマスタユニット5Bに制御されてリレーの開閉動作を行う。図15の出力増設ユニット16は、左右に出力ユニット入力側接続部と、出力ユニット出力側接続部を備える。これらの接続部はパラレル端子をまとめたコネクタ状に形成され、ユニット間を電気的に接続する。出力増設ユニット16は出力ユニット入力側接続部をマスタユニット5Bのマスタユニット出力側接続部と接続され、出力ユニット入力側接続部に含まれる制御信号端子で制御信号を受ける。そして制御信号に基づいて、リレーを開閉させる。リレーは出力増設ユニット16に内蔵、あるいは外付けで接続されている。
【0081】
図16に、リレーを出力増設ユニットに設ける例を示す。この出力増設ユニット16は、リレーの開閉を制御する開閉制御部21とリレー20を備える。開閉制御部21はASICやFPGA等のゲートアレイ、LSI等で構成される。開閉制御部21にはリレー20が接続され、制御信号に基づいてリレー20の開閉を行う。リレー20は電磁リレー、ソリッドステートリレー等が利用できる。電磁リレーはコイルと接点により接点を電気的に絶縁しており、コイルに電圧を加えて接点をON/OFFさせる。また、接点溶着対策として、リレー20を二重化したり自己チェック機能を持たせることもできる。
【0082】
出力増設ユニット16は、複数を相互に連結することができる。制御信号端子を分岐させて、一方を開閉制御部21に接続し、他方を出力ユニット出力側接続部の一の接続端子に接続している。これによって、後段(図15において左側)に連結された出力増設ユニット16に順次制御信号を送り出すことができる。図15においては2台の出力増設ユニット16A、16Bをマスタユニット5Bに連結しているが、出力増設ユニット16Bの出力ユニット出力側接続部にさらに出力増設ユニット16を追加することができる。連結された各出力増設ユニット16には、制御信号端子によってマスタユニット5Bの制御信号が順次伝達されるため、これに基づき各々が開閉制御部21を駆動して、すべての出力増設ユニット16で同一の動作が実現される。制御信号を伝達して同一の動作をさせるという目的に関して、マスタユニット5Bには、出力増設ユニット16を制限なく接続できる。
【0083】
[多重化]
安全リレーシステムは、安全性を高めるために出力部分すなわちリレーの制御部分を多重化することができる。図17の例では、制御信号を出力する制御信号端子を二重化し、接続端子7、8をそれぞれ制御信号端子として開閉制御部21およびリレー20を個別に接続している。これによって、いずれか一方に不具合が生じても、他方により正常にリレー20を動作させることができる。図17の開閉制御部21は、互いのリレー20が同一の動作を行っていることを確認するために、開閉制御部21間でクロスチェックを行っている。なお、図17は二重化の例を示したが、三重以上の多重化を行うこともでき、さらに信頼性が向上する。このように冗長化を行うことで、高い信頼性が要求される高度な安全基準にも対応可能となる。
【0084】
[ステータス安全確認情報]
さらに出力増設ユニット16は、各ユニット毎に安全確認のための情報を検知し続けてマスタユニット5B側に送出し、マスタユニット5B側で各出力増設ユニット16の安全確認情報を常時モニタすることで安全リレーを安全側に動作させ続けることができる。すなわち、安全が確認できる状態で接続機器を動作させ、安全が確認できなくなると動作を停止させるように制御する。安全確認のための情報は、好ましくはダイナミックな信号とする。図の例においては、安全確認のための情報としてステータス安全確認情報を出力増設ユニット16はマスタユニット5B側に送出している。出力増設ユニット16は安全確認のための各種の安全確認情報を出力する安全確認情報出力部23を備え、安全確認情報出力部23は出力ユニット入力側接続部の安全確認情報端子24と接続されている。安全確認情報端子24は、出力増設ユニット16でパラレル端子間をシフトしながらマスタユニット5B側に伝達される。図15に示す出力増設ユニット16は、出力ユニット入力側接続部と出力ユニット出力側接続部にそれぞれ接続端子1〜7を備える。この内、出力ユニット出力側接続部の接続端子1〜5は、それぞれ対応する端子番号を一ずつシフトして出力ユニット入力側接続部の接続端子2〜6と接続されており、シフト端子を構成している。また接続端子7は、シフトすることなくそのまま入力側と出力側が接続され、非シフト端子を構成している。この非シフト端子は、制御信号端子と接続されている。また出力ユニット入力側接続部の接続端子1は、安全確認情報出力部23と接続された安全確認情報端子24である。この状態で、出力増設ユニット16Aは、出力ユニット入力側接続部の接続端子1からマスタユニット5Bのマスタユニット出力側接続部の接続端子1に安全確認情報を送出する。また出力増設ユニット16Bは、出力ユニット入力側接続部の接続端子1から、出力増設ユニット16Aの出力ユニット出力側接続部の接続端子1および出力ユニット入力側接続部の接続端子2を介して、マスタユニット5Bのマスタユニット出力側接続部の接続端子2に安全確認情報を送出する。これによってマスタユニット5Bは、マスタユニット出力側接続部の各接続端子をモニタして、いずれかの出力増設ユニット16で安全が確認できない状態が発生した場合、接続端子の番号からどの出力増設ユニット16で安全でない状態または異常が生じたかを検知することができる。このように、出力増設ユニット16のパラレル端子にシフト端子を含めることで、安全リレーシステムに安全でない状態または異常が発生した場合に発生位置の検出が可能となる。
【0085】
[出力増設ユニット16の台数検知]
さらに安全リレーシステムは、出力エンドユニット17を連結することで、マスタユニット5Bに接続された出力増設ユニット16の台数を検知できる。図18に、図15の安全リレーシステムに出力エンドユニット17を連結した安全リレーシステムの一例を示す。この図に示す安全リレーシステムは、一連の出力増設ユニット16の右端面にマスタユニット5Bが、左端面に出力エンドユニット17が、それぞれ連結されている。出力エンドユニット17は、出力増設ユニット16の出力増設ユニット16出力側接続部と接続するための出力エンドユニット接続部を備える。出力エンドユニット接続部は、複数のパラレル端子で構成される。パラレル端子は、隣接する出力増設ユニット16の非シフト端子に接続される接続端子と、該出力増設ユニット16のシフト端子に接続される接続端子とが接続された切替端子Cを含んでおり、残りの接続端子は接地された接地端子Gである。図18の例では、出力エンドユニット17の接続端子1と7が切替端子C、接続端子2〜6が接地端子Gである。
【0086】
この安全リレーシステムは、以下のようにして出力増設ユニット16の台数を検知する。まずマスタユニット5Bは接続端子7から認識信号を送出する。認識信号は非シフト端子を介して順次出力増設ユニット16を伝達して出力エンドユニット17の接続端子7に到達する。そして切替端子Cによって認識信号は接続端子1に至る。ここでシフト端子に接続されて、認識信号は出力増設ユニット16のパラレル端子間を順次シフトしながら伝達され、マスタユニット5Bに返送される。マスタユニット5Bでは認識信号7から送出した認識信号が接続端子3で検出される。そして、この端子番号から1を引いた値が、マスタユニット5Bに接続された出力増設ユニット16の接続台数となる。この例では接続端子3−1=2台となり、2台の出力増設ユニット16が接続されていることがマスタユニット5B側に認識される。
【0087】
出力エンドユニット17は、入力エンドユニットと同様の構成のものが使用でき、一のエンドユニットで出力エンドユニット、入力エンドユニットを共用することができる。また、認識信号として制御信号を用いているが、入力エンドユニットと同様に所定の周期毎に認識可能なパルス信号を制御信号とは別に送出し、当該パルス信号(認識信号)を伝送するための非シフト端子をそれぞれのユニットに設けるようにしても良い。
【0088】
[出力ブロック化ユニット18]
なお、出力エンドユニットを用いて台数検知を行うに際して、検知可能な最大台数はバスライン数に依存する。すなわち、図18の構成においては(バスライン数)−1が検知可能な最大台数となる。これ以上の出力増設ユニット16がマスタユニット5Bに接続されると、制御信号でリレーを動作させることはできても、マスタユニット5B側で接続台数を認識することはできない。ここでバスライン数によらず接続台数を認識可能とした構成の一例を図19に示す。
【0089】
図19においては、出力エンドユニットとマスタユニットの機能を果たす出力ブロック化ユニット18を追加している。出力ブロック化ユニット18は複数のパラレル端子を備える出力ブロック化入力側接続部と出力ブロック化出力側接続部とを備える。また出力ブロック化出力側接続部のパラレル端子と接続され、各安全確認情報や識別信号をブロック化して出力ブロック化状態を生成する出力ブロック化状態出力部25を備える。出力ブロック化状態出力部25は出力ブロック化入力側接続部の接続端子1から出力ブロック化状態を出力する。接続端子1はシフト端子に接続されており、出力増設ユニット16でパラレル端子間を順次シフトされながらマスタユニット5Bに送出される。これによってマスタユニット5Bは出力ブロック化ユニット18でブロック化された情報を取得できるので、台数に関わらず出力増設ユニット16を認識、監視できる。
【0090】
[OFFディレイ動作]
また、出力増設ユニット16にOFFディレイ動作を行わせることもできる。OFFディレイ動作は、制御信号を受けると同時にリレーを動作させるのでなく、開閉制御部21にOFFディレイタイマを設けて、設定された時間経過後に動作させるようにしたものである。これによって外部接続機器の動作を停止する際の減速や停止時間を考慮した安全制御が実現される。OFFディレイタイマは、制御信号を受けると計時動作を開始し、設定時間経過後にコイルを動作させる。OFFディレイタイマはOFFディレイ時間を可変式としてもよく、例えば0.1〜30秒の範囲で任意の時間に設定できる。
【0091】
【発明の効果】
以上のように、本発明の安全リレーシステム及び安全リレーシステム用出力ブロック化ユニットによれば、安全リレーシステムの出力側の増設が可能となる。特に、出力側を構成するリレーを設けた部材をユニット式の出力増設ユニットとして、複数の出力増設ユニットを連結することで増設可能に構成している。これによって、安全コンポーネントからの入力状態を受けて動作を制御する制御対象機器を増設したい場合やリレーを増設したい場合にも対応可能な安全リレーシステムが構築できる。また増設の方法も、配線や回路設計を構築し直すことなく、ユニットの連結で行うことができるので作業も極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一の安全コンポーネントでリレーを開閉させる安全リレーシステムの一例を示す概念図である。
【図2】二の安全コンポーネントでリレーを開閉させる安全リレーシステムの一例を示す概念図である。
【図3】二の安全コンポーネントでリレーを開閉させる安全リレーシステムの他の例を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る安全リレーシステムの構成例を示す概念図である。
【図5】図4の安全リレーシステムに安全コンポーネントを追加する状態を示す概念図である。
【図6】入力増設ユニットをマスタユニットに接続する様子を示す概略斜視図である。
【図7】入力増設ユニットをマスタユニットに接続する他の例を示す概略斜視図である。
【図8】マスタユニットに5つの入力増設ユニットを接続した安全リレーシステムを示す概念図である。
【図9】図8の安全リレーシステムに一実施の形態に係る入力エンドユニットを接続した状態を示す概念図である。
【図10】さらに他の実施の形態に係る安全リレーシステムに入力エンドユニットを接続した状態を示す概念図である。
【図11】図8の安全リレーシステムに他の実施の形態に係る入力エンドユニットを接続した状態を示す概念図である。
【図12】さらに他の実施の形態に係る安全リレーシステムに入力エンドユニットを接続した状態を示す概念図である。
【図13】本発明の他の実施の形態に係る安全リレーシステムの構成例を示す概念図である。
【図14】本発明の他の実施の形態に係る安全リレーシステムの構成例を示す概念図である。
【図15】マスタユニットに出力増設ユニットを連結して安全リレーシステムを構成する一例を示す概念図である。
【図16】マスタユニットに出力増設ユニットを連結して安全リレーシステムを構成する他の例を示す概念図である。
【図17】マスタユニットから出力増設ユニットへの制御信号端子を多重化した安全リレーシステムの一例を示す概念図である。
【図18】出力増設ユニットに出力エンドユニットを連結した安全リレーシステムの一例を示す概念図である。
【図19】出力増設ユニットに出力ブロック化ユニットを連結した安全リレーシステムの一例を示す概念図である。
【符号の説明】
1…安全コンポーネント
2…安全出力ユニット
3…安全コンポーネントスイッチ
4…リレー
5、5B…マスタユニット
6、6A〜I…入力増設ユニット
7、7A、7B、7C…コネクタ
8…フック
9…係止溝
10…接続用ボード
11…認識信号発生回路
12、13…入力エンドユニット
14、14A、14B…入力ブロック化ユニット
15…入力ブロック化状態出力部
16、16A、16B、16C、16D、16E…出力増設ユニット
17…出力エンドユニット
18…出力ブロック化ユニット
19…制御信号生成部
20…リレー
21…開閉制御部
22…制御信号端子
23…安全確認情報出力部
24…安全確認情報端子
25…出力ブロック化状態出力部
C…切替端子
G…接地端子
Claims (7)
- 作業者の安全を確保すべき具体的な動作を受け所望の機器への電源供給を遮断する指令を送る要素である安全コンポーネントからの入力状態に基づいて安全か否かを判断し、安全でないと判断した場合に接続機器の内少なくとも危険箇所の動作を直接的または間接的に停止させるためのリレーを制御する安全リレーシステムであって、安全リレーシステムは、
一以上の安全コンポーネントから各々入力状態を取得するためのマスタユニット入力側接続部と、取得した入力状態に基づき生成される制御信号を出力するためのマスタユニット出力側接続部とを備えるマスタユニットと、
制御信号を入力するための出力ユニット入力側接続部と、制御信号を出力するための出力ユニット出力側接続部と、安全リレーの開閉を制御する開閉制御部とを備える一以上の出力増設ユニットと、
を備え、
前記出力増設ユニットは出力ユニット入力側接続部を前記マスタユニットのマスタユニット出力側接続部と、出力ユニット出力側接続部を他の出力増設ユニットの出力ユニット入力側接続部にそれぞれ接続可能で、前記マスタユニットと一以上の出力増設ユニットとが各接続部を介して互いに直列に連結されており、
各安全コンポーネントから入力状態をマスタユニット入力側接続部からマスタユニットが取得し、取得した入力状態に基づき安全リレーの開閉を制御する開閉制御部を動作させるための制御信号を生成し、生成された制御信号をマスタユニット出力側接続部から出力増設ユニット側に出力し、各出力増設ユニットが出力ユニット入力側接続部から制御信号を入力し、制御信号を出力ユニット出力側接続部から他のユニットに出力すると共に、制御信号に基づいて開閉制御部を動作させて安全リレーを開閉し、安全リレーに接続された外部接続機器の駆動を制御し、
前記出力増設ユニットは、出力ユニット入力側接続部が、マスタユニットから出力される制御信号を分岐して、出力ユニット出力側接続部を構成する一の接続端子と、前記開閉制御部にそれぞれ出力するよう接続されてなる制御信号端子を含み、
前記安全リレーシステムはさらに、
出力増設ユニットと接続し信号を入力するための出力ブロック化入力側接続部と、他の出力増設ユニットと接続し信号を出力するための出力ブロック化出力側接続部を備える出力ブロック化ユニットを備えており、
前記出力ブロック化ユニットは前記出力ブロック化出力側接続部を介して接続された一以上の出力増設ユニットの安全確認情報をそれぞれ取得し、該一以上の安全確認情報を一にまとめてブロック化して、すべての安全確認情報のANDをとる形で出力ブロック化状態として出力ブロック化入力側接続部から一以上の出力増設ユニットを介して前記マスタユニットに伝達し、前記マスタユニットはマスタユニット出力側接続部を介して接続された一以上の前記出力増設ユニットの安全確認情報および前記出力ブロック化ユニットの出力ブロック化状態を取得し、これに基づいて出力増設ユニットに関する安全確認情報を検知することを特徴とする安全リレーシステム。 - 請求項1の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットは、出力ユニット入力側接続部が、マスタユニットから出力される制御信号を分岐して、出力ユニット出力側接続部を構成する一の接続端子と、前記開閉制御部にそれぞれ出力するよう接続されてなる制御信号端子を含むことを特徴とする安全リレーシステム。
- 請求項2の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットの出力ユニット入力側接続部および出力ユニット出力側接続部は複数のパラレル端子を備えており、出力ユニット
入力側接続部および出力ユニット出力側接続部は、
出力増設ユニット内部で出力ユニット入力側接続部側と出力ユニット出力側接続部側を構成するパラレル端子同士を、それぞれ対応する端子番号から一以上シフトして接続するシフト端子を含み、
前記一以上の出力増設ユニットと前記マスタユニットとが直列に連結された状態で、各出力増設ユニットの安全確認情報端子はシフト端子に接続されて、各出力増設ユニットの安全確認情報端子から前記マスタユニット側に向かって伝達される際、出力増設ユニットを経る毎にシフト端子でパラレル端子間をシフトしながら伝達されることを特徴とする安全リレーシステム。 - 請求項3の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットの出力ユニット入力側接続部および出力ユニット出力側接続部はさらに、対応する端子番号同士の出力ユニット入力側接続部側と出力ユニット出力側接続部側とを接続する非シフト端子とを含み、
前記制御信号端子は非シフト端子に接続されることを特徴とする安全リレーシステム。 - 請求項1から4のいずれか一に記載の安全リレーシステムであって、前記出力増設ユニットは、前記制御信号端子および制御信号端子に接続される開閉制御部を複数備えており、これらが同一の動作を行っていることを確認するよう構成されてなることを特徴とする安全リレーシステム。
- 請求項4または5の安全リレーシステムであって、さらに
前記一以上の出力増設ユニットが一方の端面で前記マスタユニットと直列に連結された状態で、前記一以上の出力増設ユニットの他方の端面において連結される出力エンドユニットを備え、
前記出力エンドユニットは、前記出力増設ユニットの出力増設ユニット出力側接続部と接続するための複数のパラレル端子を備える出力エンドユニット接続部を備えており、
前記出力エンドユニット接続部は、隣接する出力増設ユニットの非シフト端子に接続される接続端子と、該出力増設ユニットのシフト端子に接続される接続端子とを接続して、非シフト端子と接続端子とを切り替える切替端子と、接地される接地端子とを含むことを特徴とする安全リレーシステム。 - 作業者の安全を確保すべき具体的な動作を受け所望の機器への電源供給を遮断する指令を送る要素である安全コンポーネントからの入力状態に基づいて安全か否かを判断し、安全でないと判断した場合に接続機器の内少なくとも危険箇所の動作を直接的または間接的に停止させるためのリレーを制御する安全リレーシステムに使用される出力ブロック化ユニットであって、前記出力ブロック化ユニットは、
出力増設ユニットと接続するための出力ブロック化入力側接続部と、他の出力増設ユニットと接続するための出力ブロック化出力側接続部を備える出力ブロック化ユニットを備えており、
前記出力ブロック化ユニットは前記出力ブロック化出力側接続部を介して接続された一以上の出力増設ユニットの安全確認情報をそれぞれ取得し、該一以上の安全確認情報を一にまとめてブロック化して、すべての安全確認情報のANDをとる形で出力ブロック化状態として出力ブロック化入力側接続部から一以上の出力増設ユニットを介して前記マスタユニットに伝達し、前記マスタユニットはマスタユニット出力側接続部を介して接続された一以上の前記出力増設ユニットの安全確認情報および前記出力ブロック化ユニットの出力ブロック化状態を取得し、これに基づいて出力増設ユニットに関する安全確認情報を検知することを特徴とする安全リレーシステム用出力ブロック化ユニット。
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