JP4212762B2 - 消火設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は火災を消火する消火設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の地下駐車場には泡式の消火設備が一般的に広く設けられている。これは車両のガソリンやオイルなどによる油火災に適しているためである。泡消火設備では、原液タンクに貯蔵された泡原液と、水源からの水とを混合して泡水溶液をつくり、警戒時においては、この泡水溶液が配管内に充満した状態となっている。そして火災時には、泡水溶液を消火ヘッドとしての泡ヘッドから、水溶液の状態のまま放水するか、又は泡状に発泡させて放出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、駐車場などは夏場は、非常に温度が高まり、配管内の液体が膨張して、感知ヘッドが暴発することがある。また車両が配管、感知ヘッドに接触してヘッドを破損したりして、火災でないにも関わらず、泡水溶液が外部に流出してしまうことがある。この泡水溶液の原液は腐食性を有するものもあり、外部に流出されると、環境に悪影響を及ぼす恐れがある。そこで本発明は火災時以外に、泡水溶液が外部に流出することを防ぐことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、流水検知器と、該流水検知器の一次側に接続され、基端側に水源が設けられた一次側配管と、該一次側配管に混合器を介して接続される、泡原液が貯蔵された原液タンクと、前記流水検知器の二次側に接続され、複数の消火ヘッドが設けられる二次側配管とを備えた消火設備において、前記混合器と前記原液タンクとの間に、火災時に開放する常時閉の阻止弁を設けたことを特徴とするものである。また通常時は、前記一次側配管及び前記流水検知器の二次側に、前記水源からの水のみを封入したことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
実施形態1
図1は本発明の実施形態1に係わる消火設備の系統図を示したものである。図1において、10は防護区画毎に設置された流水検知器である。この流水検知器10を基準として一次側に接続された配管を一次側配管11、二次側に接続された配管を二次側配管21とする。
【0006】
11は一次側配管で、基端側には水源としての水槽12及びポンプ13が設けられる。一次側配管11の途中には、混合器15が設けられる。この混合器15には配管16を介して原液タンク17が接続される。混合器15は、原液タンク17に貯蔵された泡原液と水槽12からの水を混合して所定濃度の泡水溶液を生成するものである。
【0007】
この混合方式は、ベンチュリープロポーショーナ方式と呼ばれるもので、ポンプ13により圧送された水槽12からの水が混合器15を通る際に、混合器15はベンチュリー作用により原液タンク17の泡原液を吸い込むものである。18は火災時に開放する常時閉の阻止弁で、混合器15と原液タンク17との間に設けれた配管16に設けられる。
【0008】
ところで、混合方式としては、原液タンク17内に送水管を介して水源側から水を送りこんで、タンク内の泡原液を加圧して排出させるプレッシャープロポーショーナ方式などの他の方式でも構わない。この場合には送水管にも常時は閉じており、火災時に開放される弁を設けるようにしてもよい。
【0009】
22は一斉開放弁で、一次側が二次側配管21に接続され、二次側に、複数の消火ヘッドとしての泡ヘッド24が設けられる配管23が接続される。また一斉開放弁22の制御室には、複数の感知ヘッド26が設けられた配管25が接続される。
【0010】
28は一斉開放弁22と同じ放射区域(防護区画)に設けられた火災感知器である。29は火災感知器28、阻止弁18、ポンプ13及び流水検知器10とそれぞれ信号線を介して接続されている制御盤である。制御盤29は、火災感知器28が動作し、かつ流水検知器10が動作した時に、阻止弁18を開放するように制御する。また流水検知器10が動作した時に、ポンプ13を起動させる。
【0011】
この消火設備は、初期時にポンプ13を駆動して、一次側配管11側に水槽12の水を供給する。この時、阻止弁18は閉じているため、一次側配管11及び流水検知器10の二次側、つまり二次側配管21と配管25内には、泡原液が流入せず、水源12からの水のみが封入され、通常時は、この状態が維持される。
【0012】
このような消火設備において、火災が発生した場合について説明する。防護区域にて火災が発生すると、まず火災感知器28が動作して、制御盤29に火災信号を送出する。続いて感知ヘッド26が動作して、配管25内の加圧水が放出され、一斉開放弁22の制御室の圧力が低下する。これにより一斉開放弁22の弁は開放して、二次側配管21と配管23とを接続する。そして二次側配管21内の水が泡ヘッド24から放水されると、流水検知器10が配管内の減圧または水の流れを検知して、制御盤29に流水信号を出力する。
【0013】
ここで制御盤29は、阻止弁18に開放信号を出力して、阻止弁18を開放させる。これと同時に、流水による配管内の減圧によりポンプ12は自動起動される。こうして水槽12の水がポンプ13によって、混合器15側へ圧送される。混合器15を通過する水は、原液タンク17からの泡原液を吸い込んで混合し、所定濃度の泡水溶液を生成して、二次側配管21側へ供給する。このようにして泡水溶液が、流水検知器10及び一斉開放弁22を通って、泡ヘッド24から発泡されて放出され、火災を消火する。
【0014】
次に、夏季のように防護区域が非常に暑くなったりして、感知ヘッド26が破損する場合について説明する。この場合には、前述したように、一斉開放弁22が開放し、流水検知器10が流水信号を出力する。そしてポンプ13が起動して、水槽12の水が供給されることになる。しかし、火災感知器28が動作していないため、阻止弁18は閉じたままであり、この阻止弁18により一次側配管11側への泡原液の流入が阻止される。
【0015】
従って、泡ヘッド22からは水のみしか放水されないので、火災でない時に、防護区画内に泡消火剤が流出されることを防止できる。また特に、通常時において、一次側配管11及び流水検知器10の二次側に、水源からの水のみを封入し、配管内に泡水溶液を混在させないようにしているので、非火災時及び点検時に作動させても、全く泡消火剤は外部に流出しない。よって環境に良い消火設備を構築できる。また長期間、配管の良い状態を維持できる。
実施形態2
次に本発明の実施形態2を図2を用いて説明する。なお実施形態1と同じ部分には同じ符号を付けて説明を省略する。図2において、流水検知器10の二次側には常時は閉じた制御弁30が設けられる。なお制御弁30に圧力スイッチなどの流水検知機能を付加して、流水検知器10を省略してもよい。また制御弁30の一次側と二次側を接続する、図示しない補給水用のバイパス配管を設けてもよく、このような配管を設けることで二次側配管21内を所定圧に調整することができる。制御弁30の二次側配管21には、消火ヘッドとしての閉鎖型の噴霧ヘッド34が複数設けられる。
【0016】
31は二次側配管21の基端側、例えば制御弁30の二次側から分岐された排水管である。この排水管31には常時は閉じた排水弁32が設けられる。この排水弁32は、火災時に一定時間開放する弁である。35は一次側配管11の混合器15の二次側から分岐された分岐管である。分岐管35には常時は閉じた試験弁36が設けられる。また一次側配管11と分岐管35と接続部分の二次側には、常時は開放された止水弁37が設けられている。なお41は常時は閉じた混合器弁で、試験時に混合比を計測する際に開放される。
【0017】
39は制御盤で、流水検知器10、阻止弁18、火災感知器28、制御弁30及び排水弁32とそれぞれ信号線を介して接続されている。この制御盤39は、実施形態1の制御盤29が行う制御の他に、火災感知器28が動作した時に、制御弁30を開放させ、また火災感知器28が動作し、かつ流水検知器10が動作した時に、排水弁32を一定時間だけ開放させるように制御する。ここで一定時間とは、火災時に、一次側配管11に封入された水を排水するのに要する時間、言い換えれば、ポンプ13が起動して、混合器15で混合された泡水溶液が二次側配管21に送られてくるまでにかかる時間である。
【0018】
なおこの実施形態においても、通常時においては、一次側配管11及び流水検知器10の二次側、つまり二次側配管21内には、泡原液が流入せず、水源12からの水のみが封入されている。このように実施形態2は、排水弁32及び試験弁36を設けた点、また消火ヘッド34を閉鎖型にして点が、実施形態1と異なる主な部分である。なお実施形態1に排水弁32や試験弁36を設けるようにしてもよい。
【0019】
また本実施形態2においては、混合方式として、原液タンク17内に送水管を介して水源12側から水を送りこんで、タンク内の泡原液を加圧して排出させるプレッシャープロポーショーナ方式としている。送水管にも常時は閉じており、火災時に開放される弁を設けてもよい。
【0020】
このような消火設備において、火災が発生した場合について説明する。防護区域にて火災が発生すると、まず火災感知器28が動作して、制御盤39に火災信号を送出する。そうすると制御盤39は制御弁30を開放させる。続いて消火ヘッド34が動作して、二次側配管21内の加圧水が放水され、流水検知器10が配管内の減圧または水の流れを検知して、制御盤39に流水信号を出力する。
【0021】
ここで制御盤39は、排水弁32及び阻止弁18に開放信号を出力して、排水弁32及び阻止弁18を開放させる。またこれと同時に、配管11内の減圧を、図示しない圧力空気槽の圧力スイッチにより検知してポンプ13が自動的に起動する。
【0022】
排水弁32が開放されると、二次側配管21の水が排水され、また一次側配管11内に通常(初期)時に封入されていた水がポンプ13によって圧送されて排水される。そして一定時間経過後に、排水弁32は閉止される。消火ヘッド34動作した時に、この排水弁32を開放させないと、所定時間の間は、消火ヘッド34からは水だけが放水されることになるので、消火効率が十分でない。そこでこのように排水弁32を設けることで、通常時において一次側配管11及び二次側配管21内に封入されていた水を急速に排水させることが可能となり、消火ヘッド34から水よりも消火性能が高い泡水溶液のみを消火剤としていち早く放水させることができる。また油火災の場合には水が放水されるのを防ぐことができる。
【0023】
ポンプ13が起動されると、水槽12の水がポンプ13によって、混合器15側へ圧送される。混合器15を通過する水は、原液タンク17からの泡原液を吸い込んで混合し、所定濃度の泡水溶液を生成して、二次側配管21側へ供給する。このようにして泡水溶液が、流水検知器10及び制御弁30を通って、消火ヘッド34から放水され、火災を消火する。
【0024】
次に、不慮の事故などによって、消火ヘッド34が破損した場合について説明する。この場合には、破損した消火ヘッド34から二次側配管21内の水が流出する。ここで前述したように、制御弁30の一次側と二次側を接続するバイパス配管がある場合には、バイパス配管を通って、一次側配管11の水が二次側配管21へと流れ、流水検知器10が流水信号を出力する。そしてポンプ13が起動して、水槽12の水が供給されることになる。しかし、火災感知器28が動作していないため、阻止弁18は閉じたままであり、この阻止弁18により一次側配管11側への泡原液の流入が阻止される。従って、消火ヘッド34からは水のみしか放水されないので、火災でない時に、防護区画内に消火剤が流出されることを防止できる。
【0025】
また特に、通常時において、一次側配管11及び流水検知器10の二次側に、水源からの水のみを封入し、配管内に泡水溶液を混在させないようにしているので、非火災時には、全く泡消火剤は外部に流出しない。よって環境に良い消火設備を構築できる。
【0026】
この消火設備において、混合器15よって、所定濃度の泡水溶液が生成されているかを試験する場合について説明する。この場合には、まず止水弁37を閉じ、阻止弁18を開放させ、更に試験弁36を開放させてから、ポンプ13を起動させる。そして試験弁36から流出する泡水溶液を所定量だけ計量器を用いて採取し、所定濃度になっているかを測定する。この後、阻止弁18を閉じて、阻止弁18の二次側に残った泡原液がなくなるまでポンプ13を運転させてから、試験弁36を閉じ、最後に止水弁37を開放させる。
【0027】
このような試験弁36を設けることで、泡原液の薬剤を外部に多量に流出させることなく、適正な泡水溶液が生成されていれるかを試験することができる。また試験時には止水弁37が閉じられるので、二次側配管21は勿論、一次側配管11の大部分には泡水溶液が入りこまないので、通常時の配管内に水だけを封入した状態を維持することができる。
【0028】
また混合器15の混合比Kだけを計測する場合は以下のように行う。まず阻止弁18を閉じた状態で、混合器弁41を開放し、そして試験弁36を開放させる。このようにして、ポンプ13から送水された水が混合器15を通り、試験弁36から排出される。この時、混合器弁41と直列に設けられた図示しない流量計により、原液に相当する流量Q2を計測し、あわせて試験弁36に設けられた流量計により、試験弁36の通過流量Q1を計測して、混合比K=Q2/Q1は計測される。
【0029】
なお、配管内には水のみを封入するとしたが、例えば寒冷地においては、二次側配管内の水は凍結する恐れがあるので、二次側配管の基端側に逆止弁を設けて、その逆止弁の二次側には不凍液を封入させるようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、混合器と原液タンクとの間に、火災時に開放する常時閉の阻止弁を設けたので、非火災時には、消火ヘッドからは水のみしか流出しない。従って火災でない時に、防護区画内に泡消火剤が流出されることを防止できる。また通常時は、一次側配管及び流水検知器の二次側に、水源からの水のみを封入し、配管内に泡水溶液を混在させないようにしているので、点検時に作動させても、及び消火ヘッドが暴発、破損したとしても、全く泡消火剤は外部に流出しない。よって環境に良い消火設備を構築できる。
【0031】
また二次側配管の基端側に、火災時に一定時間開放する常時閉の排水弁を設けたので、通常時において一次側配管11及び二次側配管21内に封入されていた水を急速に排水させることが可能となり、消火ヘッド34から水よりも消火性能が高い泡水溶液のみを消火剤としていち早く放水させることができる。また油火災の場合には水が放水されることを防ぐことができる。
【0032】
また一次側配管の混合器の二次側に分岐管を設け、分岐管に常時閉の試験弁を設けたので、泡原液の薬剤を外部に多量に流出させることなく、適正な泡水溶液が生成されているかを試験することができる。また試験時には止水弁が閉じられるので、二次側配管は勿論、一次側配管の止水弁の二次側には泡水溶液が入りこまないので、通常時の配管内に水だけを封入した状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の消火設備の系統図である。
【図2】本発明の実施形態2の消火設備の系統図である。
【符号の説明】
10 流水検知器、 11 一次側配管、 12 水槽、 13 ポンプ、
15 混合器、 16 配管、 17 原液タンク、 18 阻止弁、
21 二次側配管、 22 一斉開放弁、 23 配管、 24 泡ヘッド、
25 配管、 26 感知ヘッド、 28 火災感知器、 29 制御盤、
30 制御弁、 31 排水管、 32 排水弁、 34 消火ヘッド、
35 分岐管、 36 試験弁、 37 止水弁、 39 制御盤、
41 混合器弁、
Claims (4)
- 流水検知器と、該流水検知器の一次側に接続され、基端側に水源が設けられた一次側配管と、該一次側配管に混合器を介して接続される、泡原液が貯蔵された原液タンクと、前記流水検知器の二次側に接続され、複数の消火ヘッドが設けられる二次側配管とを備えた消火設備において、前記混合器と前記原液タンクとの間に、火災時に開放する常時閉の阻止弁を設けたことを特徴とする消火設備。
- 通常時は、前記一次側配管及び前記流水検知器の二次側に、前記水源からの水のみを封入したことを特徴とする請求項1記載の消火設備。
- 前記二次側配管の基端側に、火災時に一定時間開放する常時閉の排水弁を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の消火設備。
- 前記一次側配管の混合器の二次側に分岐管を設け、該分岐管に常時閉の試験弁を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の消火設備。
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